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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069393
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】カミソリ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/40 20060101AFI20230511BHJP
   B26B 21/14 20060101ALI20230511BHJP
   B26B 21/52 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B26B21/40 A
B26B21/14 Z
B26B21/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181205
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】大塚 淳
(57)【要約】
【課題】流通用パッケージに使用される樹脂及び紙などの資源を減少可能なカミソリを提供する。
【解決手段】本発明のカミソリは、使用者により把持される把持部と、把持部と一体で形成されたヘッド支持部と、ヘッド支持部に搭載され、刃体を有するカミソリヘッドと、ヘッド支持部、把持部、及びカミソリヘッドを覆うよう形成されたカバー部材と、を備え、把持部、及びカバー部材によって内側に収容空間が形成され、把持部、ヘッド支持部、及びカバー部材によって流通用パッケージが形成され、使用時にはカバー部材によりカミソリヘッドが覆われた状態が解除される構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者により把持される把持部と、
前記把持部と一体で形成されたヘッド支持部と、
前記ヘッド支持部に搭載され、刃体を有するカミソリヘッドと、
前記ヘッド支持部、前記把持部、及び前記カミソリヘッドを覆うよう形成されたカバー部材と、を備え、
前記把持部、及び前記カバー部材によって内側に収容空間が形成され、
前記把持部、前記ヘッド支持部、及び前記カバー部材によって流通用パッケージが形成され、
使用時には前記カバー部材により前記カミソリヘッドが覆われた状態が解除される、
カミソリ。
【請求項2】
前記収容空間は、前記把持部の前記カミソリヘッドが配置された側に、前記カバー部材との間に形成され、カミソリとあわせて使用される物を収容する空間である、
請求項1に記載のカミソリ。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記ヘッド支持部及び前記把持部の全面を覆うよう形成される、
請求項1または請求項2に記載のカミソリ。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記収容空間を構成する凹部を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のカミソリ。
【請求項5】
前記カミソリヘッドは、全体が金属で形成される、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のカミソリ。
【請求項6】
前記ヘッド支持部は、前記カミソリヘッドと対向する位置に、剃り落した体毛を流出させるための貫通孔を有しており、
前記貫通孔を覆うよう形成された、取り外し可能なシール部材をさらに備える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のカミソリ。
【請求項7】
当該カミソリを吊り下げつつ展示するための吊り下げ手段をさらに有する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のカミソリ。
【請求項8】
前記吊り下げ手段は、前記カバー部材の、前記ヘッド支持部に対向する箇所において前記把持部が配置された側とは逆側の端部近傍に、前記カバー部材に連続して形成される、
請求項7に記載のカミソリ。
【請求項9】
前記カバー部材は前記把持部と連結される、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のカミソリ。
【請求項10】
前記カバー部材は、前記把持部との連結部分が破断されることで前記把持部から離脱されるよう形成される、
請求項9に記載のカミソリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、カミソリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカミソリは、ヘッド及びハンドルが一体となり金属または樹脂で形成された本体と、樹脂製のケースに金属製の刃が収容されたカミソリヘッドとによって構成されることが一般的である。このような従来のカミソリは、販売のために店舗に陳列される際には、樹脂と紙とを含んで構成された流通用のパッケージに封入されて販売されていた。このような従来のカミソリは、例えば特許文献1などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/090023号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、物を大切に使い、ごみを減らすリデュース(Reduce)、使える物を繰り返し使用するリユース(Reuse)、及びごみを資源として再び利用するリサイクル(Recycle)の3つのR(アール)を総称した3Rが提唱されている。上述したような従来のカミソリは、カミソリ自体が樹脂及び金属を含んで構成され、流通用のパッケージにも樹脂及び紙が含まれていた。しかしながら、上記3Rを考慮すると、流通用のパッケージを最小限にすることでごみを減少させること、再生利用が可能な材料を用いて形成すること、などが求められる。本発明は、持続可能な世界を目指すため、3Rを考慮した環境にやさしいカミソリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような手段を提供する。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記する場合があるが、本発明の各構成要素はこれらの具体的な構成に限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一態様のカミソリは、
使用者により把持される把持部と、
前記把持部と一体で形成されたヘッド支持部と、
前記ヘッド支持部に搭載され、刃体を有するカミソリヘッドと、
前記ヘッド支持部、前記把持部、及び前記カミソリヘッドを覆うよう形成されたカバー部材と、を備え、
前記把持部、及び前記カバー部材によって内側に収容空間が形成され、
前記把持部、前記ヘッド支持部、及び前記カバー部材によって流通用パッケージが形成され、
使用時には前記カバー部材により前記カミソリヘッドが覆われた状態が解除される、
カミソリである。
【0007】
上記構成のカミソリは、把持部、ヘッド支持部、及びカバー部材によって流通用パッケージを形成することができるため、カミソリ用のパッケージを別に用意する必要がなく、そのままの状態で流通させることができる。これにより、通常であれば準備されるパッケージに用いられる樹脂及び紙などの資源の利用を抑制することができ、環境にやさしいカミソリを提供することができる。また、カバー部材を除去することですぐに使用可能な状態にすることができるため、ユーザの利便性を高めることができる。また、収容空間を有する構成にすることができるため、シェービング剤などのシェービング補助用品、シェービング後に使用するローションまたはクリーム、及び替え刃として用いられるカミソリヘッド等のいずれか1以上を収容することができる。
【0008】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記収容空間は、前記把持部の前記カミソリヘッドが配置された側に、前記カバー部材との間に形成され、カミソリとあわせて使用される物を収容する空間である。
【0009】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記カバー部材が、前記ヘッド支持部及び前記把持部の全面を覆うよう形成される。
【0010】
上記構成のカミソリによれば、その全体がヘッド支持部、把持部、及びカバー部材によって覆われた状態となるため、流通用パッケージとして適した構成にすることができる。
【0011】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記カバー部材は、前記収容空間を構成する凹部を有する。
【0012】
上記構成のカミソリによれば、凹部を有する比較的広い収容空間に、カミソリとあわせて使用される物を収容できる。
【0013】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記カミソリヘッドは、全体が金属で形成される。
【0014】
上記構成のカミソリによれば、全体が金属で構成されたカミソリヘッドを、把持部、ヘッド支持部、及びカバー部材から取り外して分別廃棄をしやすい構成にすることができる。特に、把持部、ヘッド支持部、及びカバー部材の全体を紙で形成した場合には、紙と金属とを適切に分別廃棄しやすい構成となる。
【0015】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記ヘッド支持部は、前記カミソリヘッドと対向する位置に、剃り落した体毛を流出させるための貫通孔を有しており、
前記貫通孔を覆うよう形成された、取り外し可能なシール部材をさらに備える。
【0016】
上記構成のカミソリによれば、体毛を適宜貫通孔から流出させやすい構成となるため、快適に使用可能な構成にすることができる。
【0017】
上記カミソリにおいて好ましくは、
当該カミソリを吊り下げつつ展示するための吊り下げ手段をさらに有する。
【0018】
上記構成のカミソリによれば、吊り下げ手段を有する構成とすることで、店舗で展示しやすい構成にすることができる。
【0019】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記吊り下げ手段は、前記カバー部材の、前記ヘッド支持部に対向する箇所において前記把持部が配置された側とは逆側の端部近傍に、前記カバー部材に連続して形成される。
【0020】
上記構成のカミソリによれば、吊り下げ手段を有する構成とすることで、店舗でさらに展示しやすい構成にすることができる。
【0021】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記カバー部材は前記把持部と連結される。
【0022】
上記構成のカミソリによれば、流通するパッケージとして安定した構成にすることができる。
【0023】
上記カミソリにおいて好ましくは、
前記カバー部材は、前記把持部との連結部分が破断されることで前記把持部から離脱されるよう形成される。
【0024】
上記構成のカミソリによれば、使い勝手の良いカミソリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、カバー部材を取り外す前のカミソリの斜視図である。
図2図2は、カバー部材を取り外したカミソリの斜視図である。
図3図3は、カバー部材を取り外す前のカミソリの側面図である。
図4図4は、カバー部材を取り外したカミソリの側面図である。
図5図5は、カバー部材を取り外したカミソリをカミソリヘッドが配置された側から見た平面図である。
図6図6は、カバー部材を取り外したカミソリをカミソリヘッドが配置された側の逆側から見た平面図である。
図7図7は、カミソリヘッドの拡大図である。
図8図8は、変形例におけるカミソリの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一形態のカミソリは、カミソリとして機能する把持部、ヘッド支持部、及びカミソリヘッドに、カバー部材を組み合わせることで、流通用のパッケージとなる構成としつつ、シェービング剤などを収容する収容空間を設けた構成としていることを特徴のひとつとしている。
【0027】
以下、本発明の一形態のカミソリについて、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態及び実施例はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0028】
本実施形態に係るカミソリ1は、図1図6に示されるように、把持部2、ヘッド支持部3、カバー部材4、及びカミソリヘッド5を含んで構成される。
【0029】
把持部2とヘッド支持部3とは、一定以上の剛性を有する紙で一体的に形成される。把持部2は長手方向に延びるよう形成され、把持部2の上側の端部にヘッド支持部3が接続される。ヘッド支持部3は、把持部2が延びる長手方向に対して垂直な幅方向に延びるよう形成される。
【0030】
各図面には、x軸、y軸、及びz軸を示している。把持部2が延びる長手方向をx軸とする。把持部2の長手方向であるx軸に対して垂直な方向であって、ヘッド支持部3が延びる方向をy方向とする。x方向及びy方向に対して垂直な方向をz方向という。z方向を「厚み方向」ということがあるが、図示するように、把持部2に対してヘッド支持部3はz軸方向に傾くよう設けられるため、「厚み方向」は必ずしもx軸及びy軸の双方に対して垂直なz軸に厳密に沿った方向ではなく、ある程度の角度を有する方向である場合がある。
【0031】
本明細書では、x軸方向を上下方向と呼び、把持部2に対してヘッド支持部3が設けられた側を上側、その逆側を下側と呼ぶ。すなわち、上側はx軸+側、下側はx軸-側に対応する。また、y軸方向を幅方向と呼ぶ。ヘッド支持部3に対してカミソリヘッド5が配置された側を腹側と呼び、その逆側を背側と呼ぶ。すなわち、腹側はz軸+側、背側はz軸-側に対応するが、上記のように腹側及び背側は、z軸に対してある程度の角度を有する場合がある。
【0032】
把持部2は、図2に示されるように、略外殻部分のみの形状であって、腹側が窪んだ形状となっており、その内側は空洞になっている。これにより、把持部2に使用される紙などの資源を減少させている。把持部2は、腹側に、長手方向に延びる比較的広い凹部21を有する。この凹部21は、シェービング剤などのシェービング補助用品、シェービング後に使用するローションまたはクリーム、及び替え刃として用いられるカミソリヘッド等のいずれか1以上を収容可能な広さを有する。把持部2は外周が角を有さないように湾曲しており、これによって使用者の手に負担がかからない形状となっている。
【0033】
ヘッド支持部3は、把持部2の上側に位置しており、幅方向における中央の下側の部分で把持部2と連続している。ヘッド支持部3は、把持部2と同様、略外殻部分のみで腹側が窪んだ形状となっている。ヘッド支持部3の腹側の面には、カミソリヘッド5が搭載される。ヘッド支持部3は腹側が窪んだ形状であるため、図4に示されるように、カミソリヘッド5は背側に向かって沈み込む状態となる。つまり、カミソリヘッド5の腹側の面は、ヘッド支持部3の腹側の端面を繋いだ仮想面よりも腹側に突出している。これにより、カミソリヘッド5の刃体が肌に無理なく当接する形状となっている。ヘッド支持部3は、把持部2に対して首振り可能な構成としてもよい。
【0034】
カミソリヘッド5は、上記のようにヘッド支持部3により支持される。カミソリヘッド5は、例えば、接着、嵌合、または摩擦止めなどの方法で、ヘッド支持部3に固定される。カミソリヘッド5は、ヘッド支持部3に着脱自在に支持されるよう配設されてもよい。カミソリヘッド5は、略直方体で略箱型の枠体51と、刃体52とを含んでおり、その全体がステンレス鋼などの金属で形成される。枠体51は、使用者の肌に当接することになる腹側の面に開口53を有する。開口53からは、刃体52の刃先が露出する。
【0035】
カミソリヘッド5の枠体51の背側の面には、図7に示されるように、2つの矩形の孔54が形成される。また、ヘッド支持部3の、カミソリヘッド5の2つの孔54に対向する位置には、2つの貫通孔31が設けられる。使用前には、これらの貫通孔31を覆うように、粘着性を有するシール部材(図示省略)が貼り付けられている。このシール部材は、使用前に使用者により取り外される。カミソリヘッド5の刃体52で剃り落とされた体毛は、これらの孔54及び貫通孔31から外側に流出することで、カミソリヘッド5の内部に剃り落とされた体毛が残存しない構成となっている。すなわち、カミソリヘッド5の孔54及びヘッド支持部3の貫通孔31は、カミソリ1のリンス性を高めるための構成である。
【0036】
なお、カミソリヘッド5の孔54は、必ずしも2つでなくてもよいし、図に示された位置ではなくてもよい。同様に、ヘッド支持部3の貫通孔31も必ずしも2つでなくてもよいし、図に示された位置ではなくてもよい。ただし、刃体52で剃り落とされた体毛を効率的に流出させるために、孔54と貫通孔31とは少なくとも一部で対向する位置に設けられることが好ましい。
【0037】
カバー部材4は、把持部2及びヘッド支持部3の腹側の面に対向するよう配置され、把持部2及びヘッド支持部3とともに流通用パッケージを形成する。すなわち、把持部2、ヘッド支持部3、及びカミソリヘッド5は、それらの腹側に配置されたカバー部材4によって全面が覆われる。カバー部材4は、把持部2の凹部21に対向する位置に、長手方向に延びる凹部4aを有する。把持部2とカバー部材4との間には、把持部2の凹部21とカバー部材4の凹部4aとによって空間が形成される。この空間は、上記のように、シェービング剤などのカミソリとあわせて使用される物を収容する収容空間とすることができる。なお、カバー部材4が凹部4aを有さない平面状の構成としつつ、把持部2の凹部21によって上記のような収容空間を形成する構成としてもよい。また、把持部2が平面状であって、カバー部材4の凹部4aによって収容空間が形成されるような構成としてもよい。
【0038】
なお、カバー部材4は、必ずしも把持部2、ヘッド支持部3、及びカミソリヘッド5の全面を覆わなくてもよく、例えば把持部2の下側部分がカバー部材4によって覆われないような構成としてもよい。
【0039】
カバー部材4は、把持部2及びヘッド支持部3と連結しているが、再連結可能な連結方法を採用してもよいし、再連結不能な連結方法を採用してもよい。
【0040】
カバー部材4と、把持部2及びヘッド支持部3とが再連結可能に連結された構成の場合には、使用時にはカバー部材4が取り外されて図2及び図4の状態となり、使用後は再度カバー部材4が取り付けられると図1及び図3の状態に戻すことができる。この場合、カバー部材4は、把持部2の下端と、ヘッド支持部3の上端の位置で、把持部2及びヘッド支持部3と連結及び再連結可能な構成としてもよいが、このような構成に限定されるものではない。
【0041】
また、カバー部材4と把持部2及びヘッド支持部3とは、シール部材などによって連結されていてもよい。さらに、カミソリ1を廃棄する際などに、このシール部材によってカバー部材4と把持部2及びヘッド支持部3とを再連結可能にしてもよい。カバー部材4と把持部2及びヘッド支持部3とは、嵌合により着脱自在な構成としてもよい。
【0042】
一方、カバー部材4と、把持部2及びヘッド支持部3とが再連結不能に連結された構成の場合には、使用時にカバー部材4が取り外されて図2及び図4の状態になった後は、図1及び図3の状態に戻すことはできない。この場合であっても、カバー部材4を有さないカミソリ1として繰り返し使用してもよい。この場合、カバー部材4は、使用前の状態では、把持部2の下端と、ヘッド支持部3の上端の位置で、把持部2及びヘッド支持部3と連結され、使用時にはこの連結部分が破断される構成としてもよいが、このような構成に限定されるものではない。
【0043】
把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4は、同一素材で形成されることが好ましく、例えば紙または樹脂で形成される。把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4を紙で形成すると、再生しやすい構成となるため好ましい。把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4は、例えば、パルプモールドによって成形されてもよい。
【0044】
図1に示されるように、カバー部材4の、ヘッド支持部3に対向する箇所において把持部2が配置された側とは逆側、すなわち上側の端部または端部近傍には、カバー部材4から連続して形成された吊り下げ手段41が形成される。吊り下げ手段41の中央には、貫通孔41aが設けられる。貫通孔41aは、カミソリ1が、把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4による流通用パッケージの形状で店舗にて販売される際に、吊り下げ展示用の棒状部材が挿通されることで、カミソリ1を吊り下げられた状態で安定させる。
【0045】
なお、この吊り下げ手段41は、カバー部材4における上下方向の反対側、すなわち下側の端部に設けられてもよい。また、例えば把持部2及びカバー部材4に貫通孔を設け、この貫通孔に上記の吊り下げ展示用の棒状部材が挿通可能な構成としてもよい。
【0046】
[変形例]
本実施形態のカミソリは、図8の概念図に示されるカミソリ1aのような構成としてもよい。
【0047】
変形例のカミソリ1aは、使用前の状態では、ヘッド支持部3及び把持部2と、カバー部材4とは、把持部2の下端22と、カバー部材4の下端43とが連結しており、当該部分が破断されることでカバー部材4が把持部2から離脱される構成となっている。カバー部材4が把持部2から離脱された後は、再連結は不能となる。なお、このように連結部分が破断されることでカバー部材4が把持部2から離脱された後も、破断された連結部分以外で、例えばカバー部材4が把持部2及びヘッド支持部3と嵌合することで再連結可能な構成としてもよい。
【0048】
カミソリ1aでは、カバー部材4の上端に、カバー部材4から連続して形成された吊り下げ手段42が設けられる。吊り下げ手段42は、幅方向に延びる貫通孔42aを有する。
【0049】
カミソリ1aでも、把持部2の凹部21と、カバー部材4とにより形成される収容空間に、シェービング剤6が収容可能になっている。
【0050】
[カミソリの特徴]
本実施形態のカミソリ1及び変形例のカミソリ1aは、例えば以下のような特徴を有する。
【0051】
カミソリ1及び1aは、把持部2、ヘッド支持部3、カバー部材4、及びカミソリヘッド5を有し、把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4によって流通用パッケージが形成される。また、把持部2の腹側には、把持部2の凹部21とカバー部材4とによって形成された、カミソリとあわせて使用される物を収容する収容空間が形成される。使用時には、カバー部材4が取り外されることでカミソリヘッド5が覆われた状態が解除されて露出し、肌にカミソリヘッド5を当接可能な状態にできる構成としている。このようなカミソリ1及び1aにより、カミソリ用のパッケージを別に用意することなく、そのままの状態で流通させることができる。そのため、通常であれば準備されるパッケージに用いられる樹脂及び紙などの資源の利用を抑制することができ、環境にやさしいカミソリを提供することができる。
【0052】
また、カバー部材4を除去することですぐに使用可能な状態になるため、ユーザの利便性を高めることができる。また、収容空間にはシェービング剤などのシェービング補助用品、シェービング後に使用するローションまたはクリーム、及び替え刃として用いられるカミソリヘッド等のいずれか1以上のものを収容可能にできる。
【0053】
なお、当該収容空間に吸湿剤を封入する構成としてもよい。このような吸湿剤は使用時には一時的に取り除くこととなるが、使用後に再度収容空間に収容して保管することで、紙材で形成された部分の水分を吸着して劣化を抑制するとともに、カミソリヘッド5が酸化して錆びることを抑制することなどが可能となる。また、流通時に紙材が湿気により劣化することを抑制することができる。
【0054】
また、カミソリ1及び1aは、カバー部材4がヘッド支持部3及び把持部2の全体を覆う形状としているため、流通用パッケージとして適した構成としている。
【0055】
また、カミソリ1及び1aでは、上記のように把持部2が凹部21を有し、カバー部材4が凹部4aを有する構成であるため、カミソリとあわせて使用される物を収容する空間を比較的広く確保している。なお、カバー部材4は必ずしも凹部4aを有さない構成としてもよい。
【0056】
また、カミソリ1及び1aのカミソリヘッド5は全体が金属で形成されているため、金属のカミソリヘッド5を、紙で形成された把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4から取り外して分別廃棄することができる。なお、把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4は紙以外の樹脂などで形成されてもよく、この場合であっても、金属のカミソリヘッド5を分別廃棄可能である。
【0057】
また、カミソリ1のヘッド支持部3は、カミソリヘッド5の孔54と対向する位置に、剃り落とした体毛を流出されるための貫通孔31を有し、使用前の状態ではこの貫通孔31を覆う、取り外し可能なシール部材を有する構成としてよい。これにより、流通時には密封された状態または密封に近い状態としつつ、使用時には剃り落とした体毛を効果的に流出させやすい構成にすることができる。
【0058】
また、カミソリ1及び1aは、吊り下げ手段41または42を有する構成としているため、把持部2、ヘッド支持部3、及びカバー部材4により形成された流通用パッケージの状態でカミソリ1及び1aを店舗で展示しやすい構成にすることができる。
【0059】
また、カミソリ1及び1aでは、吊り下げ手段41及び42が、カバー部材4のヘッド支持部3に対向する箇所において、把持部2が配置された側とは逆側の端部近傍に、カバー部材4に連続して形成されている。この構成により、カミソリ1及び1aが違和感なく店舗で展示しやすい構成となっている。
【0060】
また、カミソリ1及び1aでは、カバー部材4が把持部2と連結された構成を採用してよい。この構成により、カミソリ1及び1aが流通用パッケージとして安定した構成となっている。なお、カバー部材4とヘッド支持部3とが連結された構成としてもよいし、カバー部材4と、ヘッド支持部3及び把持部2の双方とが連結された構成としてもよい。
【0061】
また、カミソリ1aでは、カバー部材4と把持部2との連結部分が破断されることで、カバー部材4が把持部2から離脱可能な構成としている。これにより、使い勝手の良い構成などにすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1、1a…カミソリ
2…把持部
21…凹部
3…ヘッド支持部
31…貫通孔
4…カバー部材
4a…凹部
41、42…吊り下げ手段
41a、42a…貫通孔
5…カミソリヘッド
51…枠体
52…刃体
53…開口
54…孔
6…シェービング剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8