(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069402
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】バッテリバンクユニット、充電残時間算出方法、および、充電残時間算出プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20230511BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230511BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H02J7/02 U
H02J7/02 G
H02J7/02 J
H01M10/48 301
H01M10/48 P
H02J7/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181218
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 瞬
(72)【発明者】
【氏名】北村 謙治
(72)【発明者】
【氏名】勝部 恭行
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA08
5G503CA20
5G503CB11
5G503DA05
5G503DA07
5G503DA16
5G503EA01
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS03
5H030AS06
5H030FF22
(57)【要約】
【課題】充電が完了するまでに要する時間を精度よく算出することができるバッテリバンクユニットを提供すること。
【解決手段】バッテリバンクユニットは、並列接続されている第1のバッテリバンク及び第2のバッテリバンクと、第1のバッテリバンク及び第2のバッテリバンクを一括で充電する一括充電の後に、第1のバッテリバンクのみを充電する第1バンク充電を行い、第1バンク充電の後に、第2のバッテリバンクのみを充電する第2バンク充電を行う制御装置と、を備えるバッテリバンクユニットであって、制御装置は、一括充電を開始するときの、バッテリバンクユニットの温度に基づいて、バッテリバンクユニットの充電完了までの残時間を算出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続されている第1のバッテリバンク及び第2のバッテリバンクと、
前記第1のバッテリバンク及び前記第2のバッテリバンクを一括で充電する一括充電の後に、前記第1のバッテリバンクのみを充電する第1バンク充電を行い、前記第1バンク充電の後に、前記第2のバッテリバンクのみを充電する第2バンク充電を行う制御装置と、
を備えるバッテリバンクユニットであって、
前記制御装置は、前記一括充電を開始するときの、前記バッテリバンクユニットの温度に基づいて、前記バッテリバンクユニットの充電完了までの残時間を算出する、
バッテリバンクユニット。
【請求項2】
前記制御装置は、
温度と、前記一括充電に要する時間である一括充電時間と、前記第1バンク充電の開始から前記第2バンク充電の開始までに要する時間である第1バンク充電時間と、前記第2バンク充電の開始から前記バッテリバンクユニットの充電完了までに要する時間である第2バンク充電時間とが互いに対応づけられているテーブルから情報取得できるように構成されており、
前記一括充電の開始時の前記バッテリバンクユニットの温度に対応づけられている前記一括充電時間、前記第1バンク充電時間および前記第2バンク充電時間、並びに、前記一括充電の開始時の前記バッテリバンクユニットの温度に基づいて、前記残時間を算出する、
請求項1に記載のバッテリバンクユニット。
【請求項3】
前記制御装置は、前記一括充電の開始から前記第1バンク充電の開始までに実際に要した時間である実一括充電時間、前記第1バンク充電の開始から前記第2バンク充電の開始までに実際に要した時間である実第1バンク充電時間、および、前記第2バンク充電の開始から前記バッテリバンクユニットの充電完了までに実際に要した時間である実第2バンク充電時間に基づいて、前記テーブルを更新する、
請求項2に記載のバッテリバンクユニット。
【請求項4】
前記制御装置は、前記実一括充電時間および前記実第1バンク充電時間の少なくとも一方に基づいて、前記残時間を前記バッテリバンクユニットの充電中に補正する、
請求項3に記載のバッテリバンクユニット。
【請求項5】
前記テーブルには、前記第1のバッテリバンクの充電の停止中における電圧降下量が、前記温度に対応づけて格納されており、
前記制御装置は、
前記第1バンク充電において、前記第1のバッテリバンクが満充電状態となった後に、前記第2バンク充電を開始するまで前記第1のバッテリバンクの充電を停止し、
前記第1のバッテリバンクの温度が予め定められている判定温度以下となった場合に、前記第1のバッテリバンクの温度が前記判定温度以下となったときの前記バッテリバンクユニットの温度に対応付けられている前記電圧降下量に基づいて、前記第1のバッテリバンクの温度が前記判定温度以下となったときから前記第2バンク充電の開始までに要する時間である充電停止時間を算出し、
前記充電停止時間に基づいて、前記残時間を補正する、
請求項2から4の何れか1項に記載のバッテリバンクユニット。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記第1バンク充電において、前記第1のバッテリバンクが満充電状態となった後に、前記第2バンク充電を開始するまで前記第1のバッテリバンクの充電を停止し、
前記第1バンク充電において前記第1のバッテリバンクの充電の停止中に、前記第1のバッテリバンクの電圧値の実際の降下量である実降下量を算出し、
前記実降下量が予め定められている所定量以下となったときの実降下量に基づいて、前記実降下量が前記所定量以下となったときから前記第2バンク充電の開始までに要する時間である第2の充電停止時間を算出し、
前記第2の充電停止時間に基づいて、前記残時間を補正する、
請求項2から4の何れか1項に記載のバッテリバンクユニット。
【請求項7】
第1のバッテリバンク、及び、前記第1のバッテリバンクに並列接続されている第2のバッテリバンクが一括で充電される一括充電の後に、前記第1のバッテリバンクのみが充電される第1バンク充電が行われ、前記第1バンク充電の後に、前記第2のバッテリバンクのみが充電される第2バンク充電が行われるバッテリバンクユニットの充電が完了するまでの残時間をコンピュータが算出する充電残時間算出方法であって、
前記一括充電開始時の前記バッテリバンクユニットの温度を取得することと、
前記バッテリバンクユニットの温度に基づいて前記残時間を算出することと、
を含む、充電残時間算出方法。
【請求項8】
第1のバッテリバンク、及び、前記第1のバッテリバンクに並列接続されている第2のバッテリバンクが一括で充電される一括充電の後に、前記第1のバッテリバンクのみが充電される第1バンク充電が行われ、前記第1バンク充電の後に、前記第2のバッテリバンクのみが充電される第2バンク充電が行われるバッテリバンクユニットを制御するコンピュータに、
前記一括充電開始時の前記バッテリバンクユニットの温度を取得する手順と、
前記バッテリバンクユニットの温度に基づいて前記バッテリバンクユニットの充電が完了するまでの残時間を算出する手順と、
を実行させる充電残時間算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリバンクユニット、充電残時間算出方法、および、充電残時間算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、停電によって外部電源が電力供給不能になったときに、外部電源に接続された負荷装置に放電するバッテリバンクユニットが開示されている。バッテリバンクユニットは、複数のバッテリバンクを備えている。複数のバッテリバンクは、複数の二次電池によってそれぞれ構成され、互いに並列に接続されている。複数のバッテリバンクは、外部電源からの電力によって平時に充電される。
【0003】
バッテリバンクユニットは、複数のバッテリバンクが順番に切り替えられて充電され、かつ、充電中ではないバッテリバンクが負荷装置に放電できるように構成されている。これにより、バッテリバンクユニットの充電中においても、バッテリバンクユニットは負荷装置に放電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば負荷装置の管理において、バッテリバンクユニットの充電中にバッテリバンクユニットの充電が完了するまでに要する時間を把握したいという要望がある。
【0006】
本開示は、充電が完了するまでに要する時間を精度よく算出することができるバッテリバンクユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るバッテリバンクユニットは、並列接続されている第1のバッテリバンク及び第2のバッテリバンクと、第1のバッテリバンク及び第2のバッテリバンクを一括で充電する一括充電の後に、第1のバッテリバンクのみを充電する第1バンク充電を行い、第1バンク充電の後に、第2のバッテリバンクのみを充電する第2バンク充電を行う制御装置と、を備えるバッテリバンクユニットであって、制御装置は、一括充電を開始するときの、バッテリバンクユニットの温度に基づいて、バッテリバンクユニットの充電完了までの残時間を算出する。
【0008】
本開示に係る充電残時間算出方法は、第1のバッテリバンク、及び、第1のバッテリバンクに並列接続されている第2のバッテリバンクが一括で充電される一括充電の後に、第1のバッテリバンクのみが充電される第1バンク充電が行われ、第1バンク充電の後に、第2のバッテリバンクのみが充電される第2バンク充電が行われるバッテリバンクユニットの充電が完了するまでの残時間をコンピュータが算出する充電残時間算出方法であって、一括充電開始時のバッテリバンクユニットの温度を取得することと、バッテリバンクユニットの温度に基づいて残時間を算出することと、を含む。
【0009】
本開示に係る充電残時間算出プログラムは、第1のバッテリバンク、及び、第1のバッテリバンクに並列接続されている第2のバッテリバンクが一括で充電される一括充電の後に、第1のバッテリバンクのみが充電される第1バンク充電が行われ、第1バンク充電の後に、第2のバッテリバンクのみが充電される第2バンク充電が行われるバッテリバンクユニットを制御するコンピュータに、一括充電開始時のバッテリバンクユニットの温度を取得する手順と、バッテリバンクユニットの温度に基づいてバッテリバンクユニットの充電が完了するまでの残時間を算出する手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、充電が完了するまでに要する時間を精度よく算出することができるバッテリバンクユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1実施形態のバッテリバンクユニットを示す概要図
【
図4】制御装置がバッテリバンクユニットを充電する際に実行するフローチャート
【
図5】
図4のフローチャートが実行されたときのタイムチャート
【
図6A】制御装置が残時間を算出する際に実行するフローチャート
【
図7A】本開示の第2実施形態に係る制御装置が残時間を算出する際に実行するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態に係るバッテリバンクユニットついて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本開示の第1実施形態のバッテリバンクユニット1の概要図である。バッテリバンクユニット1は、外部電源2が停電になったときに、外部電源2に接続された負荷装置3に電力を供給する。また、バッテリバンクユニット1は、外部電源2の電力によって充電される。
【0013】
外部電源2は、例えば商用の交流電力を直流電力に変換して出力する装置である。負荷装置3は、直流電力で動作する装置(例えばサーバ装置)である。
【0014】
図1に示されるように、バッテリバンクユニット1は、入出力端子10、第1、2のバッテリバンク20、30、充放電回路40、および、制御装置50を備えている。
【0015】
入出力端子10は、外部電源2から負荷装置3へ電力を供給する電源ライン4に接続されている。
【0016】
第1、2のバッテリバンク20、30は、複数の二次電池(例えばニッケル水素二次電池)が例えば直列に接続されて構成されている。なお、二次電池は、リチウムイオン二次電池等、ニッケル水素二次電池以外の二次電池であってもよい。第1、2のバッテリバンク20、30は、それぞれ互いと同様に構成されている。第1、2のバッテリバンク20、30は、互いに並列に接続されている。
【0017】
充放電回路40は、入出力端子10を介して第1、2のバッテリバンク20、30の充電および放電をする回路として機能する。充放電回路40は、昇圧DC/DCコンバータ41、切替スイッチ42、第1充電スイッチ43、第1放電スイッチ44、第2充電スイッチ45、および、第2放電スイッチ46を備えている。
【0018】
昇圧DC/DCコンバータ41は、外部電源2から供給された電力を昇圧して出力する電源変換装置である。
【0019】
切替スイッチ42は、第1、2のバッテリバンク20、30に印加される電圧値を切り替える。切替スイッチ42において、第1端子42aが昇圧DC/DCコンバータ41の出力端子に接続され、第2端子42bが入出力端子10に接続されている。また、第3端子42cは、第1、2充電スイッチ43、45を介して第1、2のバッテリバンク20、30に接続されている。
【0020】
切替スイッチ42がオン状態である場合、第1端子42aと第3端子42cとが接続され、昇圧DC/DCコンバータ41から出力された電力が第1、2充電スイッチ43、45を介して第1、2のバッテリバンク20、30に供給される。一方、切替スイッチ42がオフ状態である場合、第2端子42bと第3端子42cとが接続され、外部電源2から出力された電力が第1、2充電スイッチ43、45を介して第1、2のバッテリバンク20、30に供給される。
【0021】
第1充電スイッチ43は、オン状態である場合に第1のバッテリバンク20の充電を許容し、オフ状態である場合に第1のバッテリバンク20の充電を許容しない。第1充電スイッチ43において、第1端子43aが切替スイッチ42の第3端子42cに接続され、第2端子43bが第1のバッテリバンク20の正極に接続されている。なお、第1のバッテリバンク20の負極はグランドに接続されている。
【0022】
第1放電スイッチ44は、オン状態である場合に第1のバッテリバンク20の放電を許容し、オフ状態である場合に第1のバッテリバンク20の放電を許容しない。第1放電スイッチ44において、第1端子44aが第1のバッテリバンク20の正極に接続され、第2端子44bが入出力端子10に接続されている。
【0023】
第2充電スイッチ45は、オン状態である場合に第2のバッテリバンク30の充電を許容し、オフ状態である場合に第2のバッテリバンク30の充電を許容しない。第2充電スイッチ45において、第1端子45aが切替スイッチ42の第3端子42cに接続され、第2端子45bが第2のバッテリバンク30の正極に接続されている。なお、第2のバッテリバンク30の負極はグランドに接続されている。
【0024】
第2放電スイッチ46は、オン状態である場合に第2のバッテリバンク30の放電を許容し、オフ状態である場合に第2のバッテリバンク30の放電を許容しない。第2放電スイッチ46において、第1端子46aが第2のバッテリバンク30の正極に接続され、第2端子46bが入出力端子10に接続されている。
【0025】
図2は、バッテリバンクユニット1のブロック図である。
図2に示されるように、バッテリバンクユニット1は、電流センサ60、第1電圧センサ61、第1温度センサ62、第2電圧センサ63、および、第2温度センサ64をさらに備えている。
【0026】
電流センサ60は、入出力端子10を介して電源ライン4から流入する、または、電源ライン4に流出する電流値を検出する。電流センサ60は、具体的には、入出力端子10と充放電回路40の接続点40aとの間の電流値を検出する。第1電圧センサ61は、第1のバッテリバンク20の電圧値を検出する。第1温度センサ62は、第1のバッテリバンク20の温度を検出する。
【0027】
第2電圧センサ63は、第2のバッテリバンク30の電圧値を検出する。第2温度センサ64は、第2のバッテリバンク30の温度を検出する。電流センサ60、第1電圧センサ61、第1温度センサ62、第2電圧センサ63、および、第2温度センサ64は、それぞれ、検出値を制御装置50に送信する。
【0028】
また、バッテリバンクユニット1は、外部電源2の電圧値である電源電圧値を検出する第3電圧センサ(不図示)をさらに備えている。制御装置50は、第3電圧センサによって検出された電源電圧値に基づいて、外部電源2の停電を検出する。
【0029】
制御装置50は、各スイッチ42~46それぞれの状態を制御することで、バッテリバンクユニット1の充電および放電を制御する。制御装置50は、記憶部51を有している。記憶部51は、
図3に示されるテーブルTを記憶している。
【0030】
テーブルTは、制御装置50が後述するバッテリバンクユニット1の充電完了までに要する時間である残時間を算出する際に参照されるテーブルである。テーブルTでは、温度と、一括充電時間と、第1バンク充電時間と、第2バンク充電時間と、電圧降下量とが互いに対応づけられている。テーブルTにおいて、温度は、全部で8つの温度帯に区分けされており、0℃から60℃の間では10℃ずつ6つに区分けされている。各温度帯の温度範囲および温度帯の個数が、
図3に示されるものに限定されないことは言うまでもない。一括充電時間、第1バンク充電時間、第2バンク充電時間、および、電圧降下量の詳細は後述する。
【0031】
また、制御装置50は、電流センサ60によって検出された電流値に基づいて、バッテリバンクユニット1のSOC(State of Charge)を公知の方法によって算出する。バッテリバンクユニット1のSOCは、第1、2のバッテリバンク20、30それぞれの充電量を合わせた合計充電量に対応する充電率(%)である。
【0032】
次に、制御装置50が実行するバッテリバンクユニット1の充電制御について、
図4のフローチャート、および、
図5のタイムチャートを用いて説明する。
【0033】
充電制御が開始されていない状態では、切替スイッチ42および第1、2充電スイッチ43、45それぞれがオフ状態、かつ、第1、2放電スイッチ44、46それぞれがオン状態であり、第1、2のバッテリバンク20、30それぞれの放電が許容されている。また、上記のように第1、2のバッテリバンク20、30それぞれは互いと同様に構成され、並列接続されている。よって、第1、2のバッテリバンク20、30それぞれの電圧値および充電量はほぼ等しい。したがって、バッテリバンクユニット1のSOCと、第1、2のバッテリバンク20、30のSOCそれぞれとは、ほぼ等しい。
【0034】
制御装置50は、第3電圧センサの検出値に基づいて外部電源2との接続を検出したとき、または、外部電源2の停電の終了を検出したときに充電制御を開始する。
【0035】
制御装置50は、S1にて、一括充電処理を開始する。一括充電処理は、第1、2のバッテリバンク20、30を一括で充電する処理である。制御装置50は、具体的には、
図5に示されるように、切替スイッチ42および第1、2充電スイッチ43、45それぞれがオフ状態、かつ、第1、2放電スイッチ44、46それぞれがオン状態である状態から、切替スイッチ42および第1、2充電スイッチ43、45それぞれをオン状態に切り替える(時刻t0)。
【0036】
第1、2放電スイッチ44、46それぞれは、オン状態のままである。これにより、一括充電処理中に外部電源2が停電しても、バッテリバンクユニット1は負荷装置3に放電することができる。
【0037】
一括充電処理が開始されると(時刻t0)、昇圧DC/DCコンバータ41から電力が第1、2のバッテリバンク20、30に供給され、第1、2のバッテリバンク20、30の電圧値が上昇する。
【0038】
図5において、実線の電圧値は、第1のバッテリバンク20の電圧値を示し、一点鎖線の電圧値は、第2のバッテリバンク30の電圧値を示している。一括充電処理が開始される前、および、一括充電処理中において、第1、2のバッテリバンク20、30の電圧値は、ほぼ等しい。つまり、第1、2のバッテリバンク20、30の電圧値を示す線は重なっており、実線で示されている。
【0039】
続けて、制御装置50は、S2にて、バッテリバンクユニット1の電圧値であるバンク電圧値が電源電圧値以上であるか否かを判定する。バンク電圧値は、具体的には、第1のバッテリバンク20の電圧値および第2のバッテリバンク30の電圧値の平均値である。なお、バンク電圧値は、第1、2のバッテリバンク20、30の一方の電圧値でもよい。バンク電圧値が電源電圧値より低い場合(S2にてNO)、一括充電処理を継続する。
【0040】
一方、第1、2のバッテリバンク20、30の電圧値が上昇し、バンク電圧値が電源電圧値以上となった場合(時刻t1;S2にてYES)、制御装置50は、S3にて、一括充電処理を終了し、第1バンク充電処理を開始する。
【0041】
第1バンク充電処理は、第1のバッテリバンク20のみを充電する処理である。第1バンク充電処理において、第1のバッテリバンク20は、電源電圧値より高い電圧値で満充電にされる。第1バンク充電処理において、第2のバッテリバンク30は充電されない。
【0042】
制御装置50は、具体的には、第2充電スイッチ45をオフ状態に切り替え、かつ、第1放電スイッチ44をオフ状態に切り替える(時刻t1)。これにより、昇圧DC/DCコンバータ41の電力が第1のバッテリバンク20のみに供給され、第1のバッテリバンク20の電圧値が電源電圧値からさらに上昇する。第1バンク充電処理において、第1放電スイッチ44はオフ状態であり、第1のバッテリバンク20の放電は行われない。よって、電源電圧値より高い電圧値が負荷装置3に印加されることを未然に防止することができ、ひいては、負荷装置3の故障等を防止できる。
【0043】
一方、第2のバッテリバンク30の充電は停止され、第2のバッテリバンク30の電圧値が自己放電によって徐々に低下する。第1バンク充電処理において、第2放電スイッチ46はオン状態である。よって、第1バンク充電処理中に外部電源2が停電しても、第2のバッテリバンク30は負荷装置3に放電することができる。
【0044】
続けて、制御装置50は、S4にて、第1のバッテリバンク20が満充電状態となったか否かを判定する。制御装置50は、具体的には、第1温度センサ62の検出値が予め定められている第1温度となったか否かを判定する。第1温度は、第1のバッテリバンク20が満充電状態となったときの温度である。第1温度センサ62の検出値が第1温度より低い場合(S4にてNO)、制御装置50は、第1のバッテリバンク20のみの充電を継続する。
【0045】
一方、第1のバッテリバンク20が満充電状態になり、第1温度センサ62の検出値が第1温度に到達した場合(時刻t2;S4にてYES)、制御装置50は、S5にて、第1のバッテリバンク20の充電を停止する。
【0046】
制御装置50は、具体的には、第1充電スイッチ43をオフ状態に切り替える(時刻t2)。これにより、第1のバッテリバンク20の充電が停止され、第1のバッテリバンク20の電圧値が自己放電によって徐々に低下する。このとき、第1のバッテリバンク20の温度は、第2のバッテリバンク30の温度より高い。よって、第1のバッテリバンク20の電圧値の単位時間あたりの降下量は、第2のバッテリバンク30の電圧値の単位時間あたりの降下量より大きい。
【0047】
続けて、制御装置50は、S6にて、第1のバッテリバンク20の電圧値が電源電圧値以下となったか否かを判定する。第1のバッテリバンク20の電圧値が電源電圧値より高い場合(S6にてNO)、制御装置50は、第1、2のバッテリバンク20、30の充電が停止されている状態を継続する。
【0048】
一方、第1のバッテリバンク20の電圧値が電源電圧値以下となった場合(時刻t3;S6にてYES)、制御装置50は、S7にて、第1バンク充電処理を終了し、第2バンク充電処理を開始する。
【0049】
第2バンク充電処理は、第2のバッテリバンク30のみを充電する処理である。第2バンク充電処理において、第2のバッテリバンク30は、電源電圧値より高い電圧値で満充電にされる。第2バンク充電処理において、第1のバッテリバンク20は充電されない。
【0050】
制御装置50は、具体的には、第2充電スイッチ45をオン状態に切り替え、第1放電スイッチ44をオン状態に切り替え、かつ、第2放電スイッチ46をオフ状態に切り替える(時刻t3)。これにより、昇圧DC/DCコンバータ41から電力が第2のバッテリバンク30のみに供給され、第2のバッテリバンク30の電圧値が上昇して電源電圧値を超える。第2バンク充電処理において、第2放電スイッチ46はオフ状態であり、第2のバッテリバンク30の放電は行われない。よって、電源電圧値より高い電圧値が負荷装置3に印加されることを未然に防止することができ、ひいては、負荷装置3の故障等を防止できる。
【0051】
一方、第1のバッテリバンク20の充電は停止されたままであり、第1のバッテリバンク20の電圧値が自己放電によって徐々に低下する。第2バンク充電処理において、第1放電スイッチ44はオン状態である。よって、第2バンク充電処理中に外部電源2が停電しても、第1のバッテリバンク20は負荷装置3に放電することができる。
【0052】
続けて、制御装置50は、S8にて、第2のバッテリバンク30が満充電状態となったか否かを判定する。制御装置50は、具体的には、第2温度センサ64の検出値が予め定められている第2温度となったか否かを判定する。第2温度は、第2のバッテリバンク30が満充電状態となったときの温度である。第2温度センサ64の検出値が第2温度より低い場合(S8にてNO)、制御装置50は、第2のバッテリバンク30のみの充電を継続する。なお、第2温度は、第1のバッテリバンク20が満充電状態となったときの温度である第1温度と同じであっても良い。
【0053】
一方、第2のバッテリバンク30が満充電状態になり、第2温度センサ64の検出値が第2温度に到達した場合(時刻t4;S8にてYES)、制御装置50は、S9にて、第2のバッテリバンク30の充電を停止する。
【0054】
制御装置50は、具体的には、第2充電スイッチ45をオフ状態に切り替える(時刻t4)。これにより、第2のバッテリバンク30の充電が停止され、第2のバッテリバンク30の電圧値が自己放電によって徐々に低下する。このとき、第2のバッテリバンク30の温度は、第1のバッテリバンク20の温度より高い。よって、第2のバッテリバンク30の電圧値の単位時間あたりの降下量は、第1のバッテリバンク20の電圧値の単位時間あたりの降下量より大きい。
【0055】
続けて、制御装置50は、S10にて、第2のバッテリバンク30の電圧値が電源電圧値以下となったか否かを判定する。第2のバッテリバンク30の電圧値が電源電圧値より高い場合(S10にてNO)、制御装置50は、第1、2のバッテリバンク20、30の充電が停止されている状態を継続する。
【0056】
一方、第2のバッテリバンク30の電圧値が電源電圧値以下となった場合(時刻t5;S10にてYES)、制御装置50は、S11にて、第2バンク充電処理を終了する。制御装置50は、具体的には、切替スイッチ42をオフ状態に、かつ、第2放電スイッチ46をオン状態に切り替える(時刻t5)。これにより、バッテリバンクユニット1の充電を終了する。制御装置50は、バッテリバンクユニット1の充電を終了した時点におけるバッテリバンクユニット1のSOCを100%と定める。
【0057】
なお、バッテリバンクユニット1は、3つ以上のバッテリバンクを有してもよい。バッテリバンクの個数がm個である場合、一括充電処理では、m個のバッテリバンクが一括に充電される。また、一括充電処理が終了すると、上記の第1、2バンク充電処理と同様に、m個のバッテリバンクそれぞれが1つずつ順番に充電される。
【0058】
次に、制御装置50が実行する残時間を算出する制御について、
図6A、6Bのフローチャートを用いて説明する。残時間は、バッテリバンクユニット1の充電完了までに要する時間である。制御装置50は、上記の充電制御を実行している最中に、残時間を算出する。
【0059】
制御装置50は、S20にて、テーブルTから、バッテリバンクユニット1の一括充電処理開始時の温度に対応づけられている一括充電時間、第1バンク充電時間および第2バンク充電時間を取得する。バッテリバンクユニット1の温度は、例えば、第1、2のバッテリバンク20、30の平均温度である。なお、バッテリバンクユニット1の温度は、第1、2のバッテリバンク20、30の温度のうち、一方のバッテリバンクの温度でもよい。
【0060】
一括充電時間は、バッテリバンクユニット1の一括充電処理開始時のSOCが予め定められている第1所定充電率(例えば0%)である場合における、一括充電処理の開始(
図5の時刻t0)から終了(
図5の時刻t1)までに要する時間に相当する。第1所定充電率は、テーブルTに予め格納する一括充電時間を決定するために行われる実験等において定められる任意の値である。
【0061】
第1バンク充電時間は、第1バンク充電処理の開始(時刻t1)から終了(時刻t3)までに要する時間に相当する。第2バンク充電時間は、第2バンク充電処理の開始(時刻t3)から終了(時刻t5)までに要する時間に相当する。一括充電時間、第1バンク充電時間および第2バンク充電時間は、実験等により予め実測されることで温度帯毎に定められ、テーブルTに格納されている。
【0062】
バッテリバンクユニット1の充電開始時において、例えば、バッテリバンクユニット1の温度が25℃である場合、制御装置50は、
図3のテーブルTから、温度「20℃以上30℃未満」に対応する一括充電時間「A3」、第1バンク充電時間「B3」および、第2バンク充電時間「C3」を取得する。
【0063】
続けて、制御装置50は、S21にて、残時間を算出する。制御装置50は、具体的には、式(1)を用いて充電開始時の残時間である充電開始時残時間を算出する。
【0064】
(数1)
充電開始時残時間=Tm0+Tm1+Tm2 …(1)
【0065】
式(1)において、Tm0、Tm1、および、Tm2は、テーブルTから取得した一括充電時間、第1バンク充電時間、および、第2バンク充電時間である。
【0066】
また、制御装置50は、算出された充電開始時残時間を負荷装置3に通知する。負荷装置3は、充電開始時残時間をディスプレイ等の表示部に表示する。これにより、負荷装置3の管理者は、バッテリバンクユニット1の充電開始から充電完了までの時間を把握することができる。
【0067】
さらに、制御装置50は、バッテリバンクユニット1の充電開始時からの経過時間を計測する。そして、制御装置50は、予め定められている所定時間毎に、S21で算出された充電開始時残時間から、経過時間を減じることで、その時点における残時間を算出するとともに最新の残時間を更新し、更新された残時間を負荷装置3に通知する。負荷装置3は、更新された残時間を表示部に表示する。
【0068】
続けて、制御装置50は、S22にて、一括充電処理が終了したか否かを判定する。一括充電処理が実行されている場合(S22にてNO)、制御装置50は、残時間の更新および通知を継続する。
【0069】
一括充電処理が終了した場合(S22にてYES)、制御装置50は、S23にて残時間を補正する。制御装置50は、具体的には、一括充電処理が実際に要した時間である実一括充電時間に基づいて、残時間を補正する。制御装置50は、テーブルTから取得した一括充電時間から実一括充電時間を減算し、算出された値を一括充電処理が終了した時点の残時間に加算する。
【0070】
つまり、制御装置50は、一括充電処理が要する時間の実験値(一括充電時間)と実測値(実一括充電時間)との差を用いて、残時間を補正する。これにより、制御装置50は、一括充電を終了した時点で、残時間を精度よく補正することができる。なお、制御装置50は、S23にて、残時間を補正しなくてもよい。
【0071】
続けて、制御装置50は、S24にて、一括充電時間を更新する。制御装置50は、具体的には、テーブルTにおいて、バッテリバンクユニット1の充電開始時の温度に対応する一括充電時間を、実一括充電時間で更新する。例えば、バッテリバンクユニット1の充電開始時においてバッテリバンクユニット1の温度が25℃である場合、制御装置50は、テーブルTにおいて、温度「20℃以上30℃未満」に対応する一括充電時間「A3」を、実一括充電時間で更新する。
【0072】
続けて、制御装置50は、S25にて、第1バンク充電処理中に第1のバッテリバンク20の充電が停止したか否かを判定する。第1のバッテリバンク20が満充電状態となっておらず、第1のバッテリバンク20の充電が停止していない場合(S25にてNO)、制御装置50は、残時間の更新および通知を継続する。
【0073】
一方、第1のバッテリバンク20が満充電状態となり、第1のバッテリバンク20の充電が停止した場合(S25にてYES)、制御装置50は、S26にて、第1のバッテリバンク20の温度が第1判定温度以下となったか否かを判定する。第1判定温度は、第1のバッテリバンク20の電圧値の単位時間あたりの降下量がほぼ一定であるときの第1のバッテリバンク20の温度である。第1のバッテリバンク20の充電が停止した時点(時刻t2)では、第1のバッテリバンク20の温度が比較的高く、第1のバッテリバンク20の電圧値の単位時間あたりの降下量は比較的大きい。その後、自己放電によって第1のバッテリバンク20の電圧値が低下するにしたがって、第1のバッテリバンク20の電圧値の単位時間あたりの降下量は小さくなり、
図5の点Pの時点(時刻t10)の以降でほぼ一定となる。つまり、第1判定温度は、点Pの時点における第1のバッテリバンク20の温度に定められている。第1判定温度は、実験等によって実測されて予め定められる。
【0074】
なお、制御装置50は、第1判定温度を算出してもよい。制御装置50は、具体的には、一括充電処理の開始時の第1のバッテリバンク20の温度に予め定められている第1所定温度を加算することで第1判定温度を算出する。第1所定温度は、一括充電処理の開始時の第1のバッテリバンク20の温度と、第1のバッテリバンク20の電圧値の単位時間あたりの降下量がほぼ一定となる第1のバッテリバンク20の温度との関係を、実験等で実測することで予め定められている。なお、第1判定温度は、第1バンク充電処理の開始時の第1のバッテリバンク20の温度に第1所定温度を加算した温度でもよい。
【0075】
第1のバッテリバンク20の温度が第1判定温度より高い場合(S26にてNO)、残時間の更新および通知を継続する。第1のバッテリバンク20の温度が低下して、第1判定温度以下となった場合(S26にてYES)、制御装置50は、S27にて、テーブルTから電圧降下量を取得する。制御装置50は、具体的には、テーブルTにおいて、その時点の第1のバッテリバンク20の温度に対応する電圧降下量を取得する。
【0076】
例えば、その時点の第1のバッテリバンク20の温度が45℃である場合、制御装置50は、
図3のテーブルTから、温度「40℃以上50℃未満」に対応する電圧降下量「V5」を取得する。電圧降下量は、第1のバッテリバンク20が満充電状態となり、充電を停止した後における第1のバッテリバンク20の電圧値の単位時間あたりの降下量である。電圧降下量は、実験等により予め実測されることで温度帯毎に定められ、テーブルTに格納されている。
【0077】
続けて、制御装置50は、S28にて、残時間を補正する。制御装置50は、まず、テーブルTから取得した電圧降下量に基づいて、第1のバッテリバンク20の温度が第1判定温度以下となった時点から第2バンク充電処理の開始(時刻t3)までに要する時間である第1充電停止時間を算出する。制御装置50は、具体的には、第1のバッテリバンク20の温度が第1判定温度以下となった時点の第1のバッテリバンク20の電圧値から電源電圧値を減算し、その減算した値をテーブルTから取得した電圧降下量で除算することで、第1充電停止時間を算出する。
【0078】
制御装置50は、算出した第1充電停止時間に基づいて残時間を補正する。具体的には、制御装置50は、第1のバッテリバンク20の温度が第1判定温度以下となった時点における残時間を、算出した第1充電停止時間とS20で取得した第2バンク充電時間との合計に差し替えることで、残時間を補正する。また、制御装置50は、第1のバッテリバンク20の温度が第1判定温度以下となった時点以降、所定時間毎に、第1のバッテリバンク20の温度が第1判定温度以下となった時点からの経過時間を補正した残時間から減じることで、その時点における残時間を算出するとともに最新の残時間を更新する。そして、制御装置50は、更新された残時間を負荷装置3に通知する。これにより、制御装置50は、第1バンク充電処理中における第1のバッテリバンク20の充電が停止している最中に、残時間を精度よく補正することができる。
【0079】
続けて、制御装置50は、S29にて、第2バンク充電処理が開始されたか否かを判定する。第2バンク充電処理が開始されていない場合(S29にてNO)、制御装置50は、残時間の更新および通知を継続する。
【0080】
一方、第2バンク充電処理が開始された場合(S29にてYES)、制御装置50は、S30にて、残時間を補正する。制御装置50は、具体的には、時刻t3(第2バンク充電処理の開始時)における残時間を、第1バンク充電処理が実際に要した時間である実第1バンク充電時間に差し替える。また、制御装置50は、時刻t3における残時間を補正した場合、以下のように最新の残時間を更新する。すなわち、制御装置50は、時刻t3以降、所定時間毎に、時刻t3からの経過時間を実第1バンク充電時間から減じることで、その時点における残時間を算出するとともに最新の残時間を更新する。そして、制御装置50は、更新された残時間を負荷装置3に通知する。
【0081】
第1、2のバッテリバンク20、30は、それぞれ、上記のように互いと同様に構成されており、第1、2のバッテリバンク20、30それぞれの周囲の環境(温度および湿度等)はほぼ等しい。したがって、第2バンク充電処理が実際に要する時間は、実第1バンク充電時間とほぼ等しくなる。つまり、制御装置50は、第1バンク充電処理が終了した時点で、残時間を実第1バンク充電時間に差し替えることで残時間を精度よく補正し、補正した残時間を通知することができる。なお、制御装置50は、S30にて、残時間を補正しなくてもよい。
【0082】
続けて、制御装置50は、S31にて、第2バンク充電処理中に第2のバッテリバンク30の充電が停止したか否かを判定する。第2のバッテリバンク30が満充電状態となっておらず、第2のバッテリバンク30の充電が停止していない場合(S31にてNO)、制御装置50は、残時間の更新および通知を継続する。
【0083】
一方、第2のバッテリバンク30が満充電状態となり、第2のバッテリバンク30の充電が停止した場合(S31にてYES)、制御装置50は、S32にて、第2のバッテリバンク30の温度が第2判定温度以下となったか否かを判定する。第2判定温度は、第2のバッテリバンク30の電圧値の単位時間あたりの降下量がほぼ一定であるときの第2のバッテリバンク30の温度である。第2のバッテリバンク30の充電が停止した時点(時刻t4)では、第2のバッテリバンク30の温度が比較的高く、第2のバッテリバンク30の電圧値の単位時間あたりの降下量は比較的大きい。その後、自己放電によって第2のバッテリバンク30の電圧値が低下するにしたがって、第2のバッテリバンク30の電圧値の単位時間あたりの降下量は小さくなり、
図5の点Qの時点(時刻t11)の以降でほぼ一定となる。つまり、第2判定温度は、点Qの時点における第2のバッテリバンク30の温度に定められている。第2判定温度は、実験等によって実測されて予め定められる。なお、第1、2のバッテリバンク20、30が互いと同様に構成されている場合、第2判定温度は第1判定温度と同じ温度でもよい。
【0084】
なお、制御装置50は第2判定温度を算出してもよい。制御装置50は、具体的には、一括充電処理の開始時の第2のバッテリバンク30の温度に予め定められている第2所定温度を加算することで第2判定温度を算出する。第2所定温度は、一括充電処理の開始時の第2のバッテリバンク30の温度と、第2のバッテリバンク30の電圧値の単位時間あたりの降下量がほぼ一定となる第2のバッテリバンク30の温度との関係を、実験等で実測することで予め定められている。なお、第2判定温度は、第2バンク充電処理の開始時の第2のバッテリバンク30の温度に第2所定温度を加算した温度でもよい。また、第1、2のバッテリバンク20、30が互いと同様に構成されている場合、第2所定温度は、第1所定温度と同じ温度でもよい。
【0085】
第2のバッテリバンク30の温度が第2判定温度より高い場合(S32にてNO)、残時間の更新および通知を継続する。第2のバッテリバンク30の温度が低下して、第2判定温度以下となった場合(S32にてYES)、制御装置50は、S33にて、テーブルTから電圧降下量を取得する。制御装置50は、具体的には、テーブルTにおいて、その時点の第2のバッテリバンク30の温度に対応する電圧降下量を取得する。
【0086】
例えば、その時点の第2のバッテリバンク30の温度が45℃である場合、制御装置50は、テーブルTから、温度「40℃以上50℃未満」に対応する電圧降下量「V5」を取得する。
【0087】
続けて、制御装置50は、S34にて、残時間を補正する。制御装置50は、まず、テーブルTから取得した電圧降下量に基づいて、第2のバッテリバンク30の温度が第2判定温度以下となった時点から第2バンク充電処理の終了(時刻t5)までに要する時間である第2充電停止時間を算出する。制御装置50は、具体的には、第2のバッテリバンク30の温度が第2判定温度以下となった時点の第2のバッテリバンク30の電圧値から電源電圧値を減算し、その減算した値をテーブルTから取得した電圧降下量で除算することで、第2充電停止時間を算出する。
【0088】
制御装置50は、算出した第2充電停止時間に基づいて残時間を補正する。具体的には、制御装置50は、第2のバッテリバンク20の温度が第2判定温度以下となった時点における残時間を、算出した第2充電停止時間に差し替えることで、残時間を補正する。また、制御装置50は、第2のバッテリバンク30の温度が第2判定温度以下となった時点以降、所定時間毎に、第2のバッテリバンク30の温度が第2判定温度以下となった時点からの経過時間を補正した残時間から減じることで、その時点における残時間を算出するとともに最新の残時間を更新する。そして、制御装置50は、更新された残時間を負荷装置3に通知する。これにより、制御装置50は、第2バンク充電処理中における第2のバッテリバンク30の充電が停止している最中に、残時間を精度よく補正することができる。
【0089】
続けて、制御装置50は、S35にて、第2バンク充電処理が終了したか否かを判定する。第2バンク充電処理が終了していない場合(S35にてNO)、制御装置50は、残時間の更新および通知を継続する。
【0090】
一方、第2バンク充電処理が終了した場合(S35にてYES)、制御装置50は、S36にて、第1、2バンク充電時間を更新する。制御装置50は、具体的には、テーブルTにおいて、バッテリバンクユニット1の充電開始時の温度に対応する第1バンク充電時間を、実第1バンク充電時間で更新する。例えば、バッテリバンクユニット1の充電開始時においてバッテリバンクユニット1の温度が25℃である場合、制御装置50は、テーブルTにおいて、温度「20℃以上30℃未満」に対応する第1バンク充電時間「B3」を、実第1バンク充電時間で更新する。
【0091】
また、制御装置50は、テーブルTにおいて、バッテリバンクユニット1の充電開始時の温度に対応する第2バンク充電時間を、第2バンク充電処理が実際に要した時間である実第2バンク充電時間で更新する。例えば、バッテリバンクユニット1の充電開始時においてバッテリバンクユニット1の温度が25℃である場合、制御装置50は、テーブルTにおいて、温度「20℃以上30℃未満」に対応する第2バンク充電時間「C3」を、実第2バンク充電時間で更新する。制御装置50は、第2バンク充電時間を更新すると、残時間を算出する制御を終了する。
【0092】
実一括充電時間、実第1バンク充電時間、および、実第2バンク充電時間は、バッテリバンクユニット1の周囲の環境、電源電圧値、第1、2のバッテリバンク20、30の温度、バッテリバンクユニット1の経年変化および第1、2のバッテリバンク20、30の劣化度合い(以下、バッテリバンクユニット1の周囲の環境等と記載する。)によって変動する。よって、実一括充電時間、実第1バンク充電時間、および、実第2バンク充電時間によってテーブルTが更新されることで、テーブルTに格納されている値を、バッテリバンクユニット1の周囲の環境等に対応させることができる。したがって、制御装置50は、第1、2のバッテリバンク20、30の充電が実行される度に、バッテリバンクユニット1の周囲の環境等の変化に対応するようにテーブルTを更新することで、充電制御が実行される際に、残時間を精度よく算出することができる。
【0093】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態について、主として上記の第1実施形態と異なる部分について説明する。第2実施形態のテーブルTは、電圧降下量を有していない。また、第2実施形態の制御装置50が実行する残時間を算出する制御は、上記の第1実施形態のものと異なる。以下、第2実施形態における残時間を算出する制御について、
図6A、
図7A、7Bを用いて説明する。
【0094】
制御装置50は、残時間を算出する制御を開始すると、
図6AのS20~S25を、上記の第1実施形態と同様に実行する。第1のバッテリバンク20の充電が停止した場合(S25にてYES)、制御装置50は、
図7AのS126にて、第1のバッテリバンク20の電圧値のその時点における実際の単位時間あたりの降下量である第1実降下量を算出する。
【0095】
続けて、制御装置50は、S127にて、第1実降下量が所定量以下であるか否かを判定する。所定量は、実験等によって実測されて予め定められている値であり、
図5の点Pの時点での第1実降下量の値に定められている。つまり、所定量は、第1のバッテリバンク20の充電が停止してから、第1実降下量が小さくなり、第1実降下量がほぼ一定となった時の第1実降下量の値である。
【0096】
第1のバッテリバンク20の温度が比較的高いことで、第1実降下量が所定量より大きい場合(S127にてNO)、制御装置50は、第1実降下量の算出(S126)、並びに、残時間の更新および通知を継続する。一方、第1のバッテリバンク20の電圧値および第1のバッテリバンク20の温度が低下して、第1実降下量が所定量以下となった場合(S127にてYES)、制御装置50は、S128にて、残時間を補正する。
【0097】
制御装置50は、具体的には、第1実降下量が所定量以下となった時点から第2バンク充電処理の開始までに要する時間である第2の第1充電停止時間を算出し、算出された第2の第1充電停止時間に基づいて、残時間を補正する。
【0098】
制御装置50は、第2の第1充電停止時間を、第1実降下量が所定量以下となった時点の第1のバッテリバンク20の電圧値から電源電圧値を減算し、その減算した値を、第1実降下量が所定量以下となった時点の第1実降下量で除算することで算出する。
【0099】
さらに、制御装置50は、第1実降下量が所定量以下となった時点における残時間を、算出した第2の第1充電停止時間とS20で取得した第2バンク充電時間との合計に差し替えることで、残時間を補正する。また、制御装置50は、第1実降下量が所定量以下となった時点以降、所定時間毎に、第1実降下量が所定量以下となった時点からの経過時間を補正した残時間から減じることで、その時点における残時間を算出するとともに最新の残時間を更新する。そして、制御装置50は、更新された残時間を負荷装置3に通知する。
【0100】
続けて、制御装置50は、S129からS131を、第1実施形態のS29~S31と同様に実行する。
【0101】
そして、第2のバッテリバンク30の充電が停止した場合(S131にてYES)、制御装置50は、S132にて、第2のバッテリバンク30の電圧値のその時点における実際の単位時間あたりの降下量である第2実降下量を算出する。
【0102】
続けて、制御装置50は、S133にて、第2実降下量が第2の所定量以下であるか否かを判定する。第2の所定量は、実験等によって実測されて予め定められている値であり、
図5の点Qの時点での第2実降下量の値に定められている。つまり、第2の所定量は、第2のバッテリバンク30の充電が停止してから、第2実降下量が小さくなり、第2実降下量がほぼ一定となった時の第2実降下量の値である。なお、第1、2のバッテリバンク20、30が同様に構成されている場合、第2の所定量は、所定量と同じ値でもよい。
【0103】
第2のバッテリバンク30の温度が比較的高いことで、第2実降下量が第2の所定量より大きい場合(S133にてNO)、制御装置50は、第2実降下量の算出(S132)、並びに、残時間の更新および通知を継続する。一方、第2のバッテリバンク30の電圧値および第2のバッテリバンク30の温度が低下して、第2実降下量が第2の所定量以下となった場合(S133にてYES)、制御装置50は、S134にて、残時間を補正する。
【0104】
制御装置50は、具体的には、第2実降下量が第2の所定量となった時点から第2バンク充電処理の終了までに要する時間である第2の第2充電停止時間を算出し、算出された第2の第2充電停止時間に基づいて、残時間を補正する。
【0105】
制御装置50は、第2の第2充電停止時間を、第2実降下量が第2の所定量以下となった時点の第2のバッテリバンク30の電圧値から電源電圧値を減算し、その減算した値を、第2実降下量が第2の所定量以下となった時点の第2実降下量で除算することで算出する。
【0106】
さらに、制御装置50は、第2実降下量が第2の所定量以下となった時点における残時間を、算出した第2の第2充電停止時間に差し替えることで、残時間を補正する。また、制御装置50は、第2実降下量が第2の所定量以下となった時点以降、所定時間毎に、第2実降下量が第2の所定量以下となった時点からの経過時間を補正した残時間から減じることで、その時点における残時間を算出するとともに最新の残時間を更新する。そして、制御装置50は、更新された残時間を負荷装置3に通知する。
【0107】
続けて、制御装置50は、S135およびS136を、第1実施形態のS35およびS36と同様に実行し、残時間を算出する制御を終了する。
【0108】
本開示は、これまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0109】
例えば、式(1)を、以下の式(2)のようにしてもよい。
(数2)
充電開始時残時間
=Tm0×(100-So)/(100-α)+Tm1+Tm2 …(2)
【0110】
式(2)において、So(%)は、充電制御の開始時(時刻t0)におけるバッテリバンクユニット1のSOCである。α(%)は、第1所定充電率であり、テーブルTに格納するトータル充電時間を定める実験の開始時におけるバッテリバンクユニットのSOCである。
【0111】
式(2)は、式(1)と比べて、「Tm0」に「(100-So)/(100-α)」を乗じている点が異なる。Tm0は、上記のように、一括充電時間であり、バッテリバンクユニット1の充電開始時のSOCが第1所定充電率(α)である場合における、一括充電処理の開始(時刻t0)から終了(時刻t1)までに要する時間に相当する。
【0112】
また、「(100-So)/(100―α)」は、バッテリバンクユニット1のSOCがαから100%になるまでの充電量に対する、バッテリバンクユニット1のSOCがSoから100%になるまでの充電量の比である。
【0113】
したがって、式(2)の「Tm0×(100-So)/(100―α)」は、バッテリバンクユニット1の一括充電開始時のSOCがSoである場合における、一括充電処理の開始(時刻t0)から終了(時刻t1)までに要する時間に相当する。
【0114】
つまり、式(2)によって、バッテリバンクユニット1の一括充電開始時のSOCに対応する充電量の充電に要する時間を除いた充電開始時残時間を算出することができる。すなわち、制御装置50は、一括充電処理を開始するときの、バッテリバンクユニット1の温度およびバッテリバンクユニットのSOCに基づいて、バッテリバンクユニット1の充電完了までの残時間を算出する。よって、制御装置50は、充電開始時残時間を精度よく算出することができる。
【0115】
また、制御装置50は、第1、2のバッテリバンク20、30が自然放電することにより、バッテリバンクユニット1のSOCが低下して、予め定められている第2所定充電率(例えば90%)以下となった場合に、充電制御を開始してもよい。第2所定充電率は、自然放電によってバッテリバンクユニット1のSOCが比較的低い値にならないように定められている。なお、第2所定充電率と第1所定充電率とを等しく定めるようにしてもよい。この場合、式(1)、(2)におけるTm0(一括充電時間)は、第2所定充電率に基づいて定められ、充電制御が開始されるときのバッテリバンクユニット1のSOCが第2所定充電率と等しい場合に比較的高精度な時間となる。よって、充電制御が開始されるときのバッテリバンクユニット1のSOCが第2所定充電率と等しい場合に、制御装置50は、残時間をより精度よく算出することができる。
【0116】
また、制御装置50は、S30において、第1バンク充電処理の間に第2のバッテリバンク30が自己放電によって低下した電圧値の降下量に対応する充電時間が実第1バンク充電時間に加えられた修正充電時間に基づいて、残時間を補正してもよい。具体的には、制御装置50は、実第1バンク充電時間に所定係数(例えば1.05)を乗算することで修正充電時間を算出する。所定係数は、第1バンク充電処理中において第2のバッテリバンク30が自己放電によって低下する電圧値の降下量を、実験等によって実測することで予め定められている。制御装置50は、時刻t3(第2バンク充電処理の開始時)における残時間を、修正充電時間に差し替えることで補正する。
【0117】
また、第1、2のバッテリバンク20、30は、互いに異なるように構成されてもよい。この場合、テーブルTにおいて、温度、一括充電時間、第1バンク充電時間、第2バンク充電時間、電圧降下量、および、第2のバッテリバンク30が満充電状態となった後における第2のバッテリバンク30の電圧値の単位時間あたりの降下量である第2の電圧降下量が互いに対応づけられていてもよい。この場合、制御装置50は、S33において、第2の電圧降下量を取得する。
【0118】
また、第1、2のバッテリバンク20、30が互いに異なるように構成されている場合、第2バンク充電処理の開始時点で残時間が補正されないように、すなわち、
図6BのS30および
図7Aの130が実行されないようにしてもよい。
【0119】
また、バッテリバンクユニット1は、第1、2のバッテリバンク20、30を着脱可能に構成されてもよい。また、バッテリバンクユニット1は、バッテリバンクユニット1自身の構成要素として第1、2のバッテリバンク20、30を備えていなくてもよい。つまり、バッテリバンクユニット1は、入出力端子10と、充放電回路40と制御装置50と、各センサ60~64とを備えることで構成されていてもよい。この場合、別途手配された第1、2のバッテリバンク20、30を後付けすることによって、バッテリバンクユニット1が外部電源2のバックアップ装置として機能することができる。
【0120】
また、記憶部51は、制御装置50とは別体かつ制御装置50と通信可能に構成されてもよい。この場合、記憶部51は、インターネット等のネットワークを介して、制御装置50と通信可能に接続されてもよい。このように構成することにより、テーブルの情報を複数のバッテリバンクユニット1で共用することができ、さらに、複数のバッテリバンクユニット1でより精度が高い情報を格納したテーブルに更新していくことができる。また、制御装置50は、バッテリバンクユニット1とは別体に構成されていてもよい。この場合、制御装置50は、インターネット等のネットワークを介して、遠隔でバッテリバンクユニット1を制御し、かつ、残時間を算出することができる。また、記憶部51が残時間を算出する充電残時間算出プログラムを記憶しており、制御装置50は、充電残時間算出プログラムを読み出して実行することで、上記のように残時間を算出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、バッテリバンクユニットとして好適に利用される。
【符号の説明】
【0122】
1 バッテリバンクユニット
20 第1のバッテリバンク
30 第2のバッテリバンク
50 制御装置
T テーブル