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特開2023-69408ブームアタッチメントおよびコンクリート分配装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069408
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ブームアタッチメントおよびコンクリート分配装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/42 20060101AFI20230511BHJP
   E04G 21/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B65G53/42
E04G21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181233
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悠
(72)【発明者】
【氏名】林 和也
【テーマコード(参考)】
2E172
3F047
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA40
2E172CA44
2E172CA47
3F047BA04
3F047BA07
3F047BA08
3F047CC17
(57)【要約】
【課題】ブーム装置をコンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることを容易に行うことができるブームアタッチメントを提供する。
【解決手段】コンクリート分配装置が備えるブーム13の先端部に装着されるブームアタッチメント5であって、第4ブーム134の先端部134bに着脱可能に装着される本体部51と、本体部51に着脱可能に設けられ、第4ブーム134の先端部134bに装着された本体部51を第4ブーム134に固定する固定部材52と、本体部51に設けられ、第4ブーム134に沿って配置される延長コンクリート配管17を着脱可能に支持する第1支持部材53と、本体部51に設けられ、延長コンクリート配管17の先端部17bに接続される固定エルボ管18を支持する第2支持部材54とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート分配装置が備えるブームの先端部に装着されるブームアタッチメントであって、
前記ブームの先端部に、着脱可能に装着される本体部と、
前記ブームの先端部に装着された前記本体部をブームに固定する固定部材と、
前記本体部に設けられ、前記ブームに沿って配置されるコンクリート配管を着脱可能に支持する第1支持部材と、
前記本体部に設けられ、前記コンクリート配管の先端部に接続される固定エルボ管を支持する第2支持部材と、
を備えることを特徴とするブームアタッチメント。
【請求項2】
前記第2支持部により回動可能に支持されるとともに、前記固定エルボ管に接続される可動エルボ管と、
前記本体部に設けられる本体側ストッパと、
前記可動エルボ管に設けられ、前記本体側ストッパと係合可能であり、前記本体側ストッパと係合することにより前記可動エルボ管の回動動作を規制する可動側ストッパと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のブームアタッチメント。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のブームアタッチメント、前記ブームアタッチメントが着脱可能に装着されるブーム、および前記ブームに沿って配置されるコンクリート配管を有するブーム装置と、
前記ブーム装置を支持する支持部と、
を備えることを特徴とするコンクリート分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームアタッチメントおよびコンクリート分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートを打設する際に用いられるコンクリート分配装置として、旋回および起伏可能なブームと、ブームに沿って配置されるコンクリート配管とを有するブーム装置を備えたコンクリート分配装置が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されるコンクリート分配装置のブーム装置は、ブームの先端にブラケットを介して固定された継手と、固定枠を介してコンクリート配管に接続された固定エルボ管と、固定エルボ管に継手を介して揺動可能に接続された可動エルボ管とを有している。
【0004】
このように、ブームの先端に固定された継手によって可動エルボ管を揺動可能に支持することで、可動エルボ管をブームの長手方向と直交する方向に揺動させて、可動エルボ管に接続したホースの延長方向を変化させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実全昭57-172989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたブーム装置においては、固定エルボ管および可動エルボ管を支持する継手がブラケットを介してブームの先端に固定されているため、継手をブームの先端から取り外すことができなかった。これにより、固定エルボ管および可動エルボ管とは仕様が異なるホース管等をコンクリート配管に接続して使用することができず、ブーム装置をコンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明においては、ブーム装置をコンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることを容易に行うことができるブームアタッチメントおよびコンクリート分配装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するブームアタッチメントおよびコンクリート分配装置は、以下の特徴を有する。
【0009】
即ち、ブームアタッチメントは、コンクリート分配装置が備えるブームの先端部に装着されるブームアタッチメントであって、前記ブームの先端部に、着脱可能に装着される本体部と、前記ブームの先端部に装着された前記本体部をブームに固定する固定部材と、前記本体部に設けられ、前記ブームに沿って配置されるコンクリート配管を着脱可能に支持する第1支持部材と、前記本体部に設けられ、前記コンクリート配管の先端部に接続される固定エルボ管を支持する第2支持部材と、を備える。
【0010】
これにより、ブームアタッチメントをブームから取り外して仕様のアタッチメントを取り付けることが可能となり、ブームアタッチメントが装着されたコンクリート分配装置を、コンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることができる。
【0011】
また、前記第2支持部により回動可能に支持されるとともに、前記固定エルボ管に接続される可動エルボ管と、前記本体部に設けられる本体側ストッパと、前記可動エルボ管に設けられ、前記本体側ストッパと係合可能であり、前記本体側ストッパと係合することにより前記可動エルボ管の回動動作を規制する可動側ストッパと、を備える。
【0012】
これにより、コンクリートの供給時にブームに掛かる負荷を低減して、ブームが劣化することを抑制できる。
【0013】
また、コンクリート分配装置は、請求項1または請求項2に記載のブームアタッチメント、前記ブームアタッチメントが着脱可能に装着されるブーム、および前記ブームに沿って配置されるコンクリート配管を有するブーム装置と、前記ブーム装置を支持する支持部と、を備える。
【0014】
これにより、ブームアタッチメントをブームから取り外して仕様のアタッチメントを取り付けることが可能となり、ブームアタッチメントが装着されたコンクリート分配装置を、コンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ブームアタッチメントをブームから取り外して仕様のアタッチメントを取り付けることが可能となり、ブームアタッチメントが装着されたコンクリート分配装置を、コンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンクリートポンプ車を示す側面図である。
図2】コンクリートポンプ車のコンクリートポンプを示す平面図である。
図3】ブームを起立、展開させた状態のコンクリートポンプ車を示す側面図である。
図4】ブームアタッチメントが装着された第4ブームを示す斜視図である。
図5】第4ブームに装着されるブームアタッチメントを示す斜視図である。
図6】(a)はブームアタッチメントの本体部を示す側面図であり、(b)はブームアタッチメントの本体部を示す正面図であり、(c)はブームアタッチメントの本体部が固定部材により第4ブームに固定されている様子を示す平面断面図である。
図7】第4ブームの先端部にブームアタッチメントの本体部が装着された状態を示す斜視図である。
図8】ブームアタッチメントの本体部と第4ブームとの間にセーフティワイヤが架け渡されている状態を示す平面図である。
図9】第1支持部を示す正面図である。
図10】第2支持部を示す側面図である。
図11】第4ブームに装着されたブームアタッチメントの第2支持部により固定エルボ管および可動エルボ管が支持されている状態を示す斜視図である。
図12】可動エルボ管を示す図である。
図13】本体側ストッパと可動側ストッパとによって可動エルボ管の回動動作が規制される様子を示す側面図である。
図14】ホースガイドが装着された第4ブームを示す斜視図である。
図15】ホースガイドを示す図である。
図16】コンクリートディストリビュータを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0018】
[コンクリートポンプ車]
図1図2に示すコンクリートポンプ車Vは、本発明に係るコンクリート分配装置の一実施形態である。
【0019】
以下の説明においては、図1における「左側」、「右側」、および「左右方向」を、それぞれコンクリートポンプ車1の「前側」、「後側」、および「前後方向」と規定する。また、図2における「下側」、「上側」、および「上下方向」を、それぞれコンクリートポンプ車1の「左側」、「右側」、および「左右方向」と規定する。さらに、図1における「上側」及び「下側」、および「上下方向」を、それぞれコンクリートポンプ車1の「上側」、「下側」、および「上下方向」と規定する。
【0020】
コンクリートポンプ車Vは、シャシフレームFと、サブフレームSと、キャビンCと、ブーム装置Bと、ホッパHと、コンクリートポンプPとを備えており、ミキサー車等によって現場まで搬送された生コンクリートをホッパHに投入し、ホッパHに投入された生コンクリートをコンクリートポンプPおよびブーム装置Bによって打設位置に供給するものである。
【0021】
シャシフレームFは、前後方向に延びる長尺の部材であり、車幅方向となる左右方向に所定の間隔を置いて平行に左右一対配置されている。サブフレームSは、シャシフレームFと同様に、前後方向に延びる長尺の部材であり、左右方向に所定の間隔を置いて平行に左右一対配置されている。左右一対のサブフレームSは、それぞれ左右一対のシャシフレームFの上面に沿って固定配置されている。シャシフレームFおよびサブフレームSによって、コンクリートポンプ車Vの車体を構成している。キャビンCは、シャシフレームFの前端部に固定されている。
【0022】
ブーム装置BはサブフレームSに支持されており、サブフレームSの前端部に固定される旋回台11と、旋回台11に鉛直軸線回りに旋回自在に支持される支柱12と、支柱12の上端部に支持されるブーム13と、ブームアタッチメント5とを有している。サブフレームSは、ブーム装置を支持する支持部の一例である。
【0023】
ブーム13は、互いに屈曲可能に連結された第1ブーム131と、第2ブーム132と、第3ブーム133と、第4ブーム134とを有する、いわゆる4段ブームである。第1ブーム131の基端部131aは支柱12の上端部に回動可能に接続されている。第2ブーム132の基端部132aは第1ブーム131の先端部131bに回動可能に接続されている。第3ブーム133の基端部133aは第2ブーム132の先端部132bに回動可能に接続されている。第4ブーム134の基端部134aは第3ブーム133の先端部133bに回動可能に接続されている。ブームアタッチメント5は、第4ブーム134の先端部134bに接続されている。
【0024】
旋回台11は、支柱12を旋回駆動する旋回駆動手段14を有している。支柱12と第1ブーム131との間には第1油圧シリンダ151が介装されており、第1油圧シリンダ151を伸縮させることで、第1ブーム131を支柱12に対して起伏させることができる。
【0025】
第1ブーム131と第2ブーム132との間には第2油圧シリンダ152が介装されており、第2油圧シリンダ152を伸縮させることで、第2ブーム132を第1ブーム131に対して回動させることができる。第2ブーム132と第3ブーム133との間には第3油圧シリンダ153が介装されており、第3油圧シリンダ153を伸縮させることで、第3ブーム133を第2ブーム132に対して回動させることができる。第3ブーム133と第4ブーム134との間には第4油圧シリンダ154が介装されており、第4油圧シリンダ154を伸縮させることで、第4ブーム134を第3ブーム133に対して回動させることができる。
【0026】
支柱12およびブーム13には、コンクリートポンプPから圧送される生コンクリートをブーム13における第4ブーム134の先端部134bまで導くコンクリート配管16が、支柱12、ならびにブーム13の第1ブーム131、第2ブーム132、第3ブーム133、および第4ブーム134に沿って固定されている。
【0027】
図2に示すように、コンクリートポンプPは、生コンクリートなどの流体を圧送するためのものであり、サブフレームS上に搭載されたコンクリートポンプ本体2と、コンクリートポンプ本体2の後方に配置されるバルブ装置3とを有する。
【0028】
コンクリートポンプ本体2は、油圧駆動の復動式ピストンポンプであって、前後方向に延びるとともに、左右方向に並列する左側ポンプシリンダ21および右側ポンプシリンダ22を備えている。
【0029】
左側ポンプシリンダ21の前端部には、左側ポンプシリンダ21を駆動する左側駆動シリンダ23が、右側ポンプシリンダ22の前端部には、右側ポンプシリンダ22を駆動する右側駆動シリンダ24が、それぞれセンターフレーム26を介して接続されている。左側駆動シリンダ23および右側駆動シリンダ24は、前後方向に延びるとともに、左右方向に並列している。
【0030】
左側ポンプシリンダ21内にはポンプピストン21aが摺動自在に嵌合され、右側ポンプシリンダ22内にはポンプピストン22aが摺動自在に嵌合されている。左側駆動シリンダ23内には駆動ピストン23aが摺動自在に嵌合され、右側駆動シリンダ24内には駆動ピストン24aが摺動自在に嵌合されている。
【0031】
左側ポンプシリンダ21内のポンプピストン21aと左側駆動シリンダ23内の駆動ピストン23aとは、センターフレーム26を摺動自在に貫通するピストンロッド25aにより一体的に連結されている。右側ポンプシリンダ22内のポンプピストン22aと右側駆動シリンダ24内の駆動ピストン24aとは、センターフレーム26を摺動自在に貫通するピストンロッド25bにより一体的に連結されている。
【0032】
駆動ピストン23aは、左側駆動シリンダ23内をピストンロッド側となる後側の先部油室23bと、ピストンロッド側の反対側となる前側の基部油室23cとに区画している。同様に、駆動ピストン24aは、右側駆動シリンダ24内を後側の先部油室24bと、前側の基部油室24cとに区画している。左側ポンプシリンダ21の先端となる後端は吐出端21bとして開口され、右側ポンプシリンダ22の先端となる後端は吐出端22bとして開口されている。
【0033】
バルブ装置3は、バルブケーシング31と、底蓋32と、S字バルブ33と、S字バルブ駆動手段34と、吐出配管35とを備えている。バルブケーシング31は、前壁31aと、後壁31bと、左右の側壁31cとによって枠状に形成されており、下部は開口部31dにより開口されている。ホッパHはバルブケーシング31の上部に連結されており、ホッパHに投入された生コンクリートがバルブケーシング31内に充填されるように構成されている。
【0034】
左側ポンプシリンダ21の吐出端21bおよび右側ポンプシリンダ22の吐出端22bは、バルブケーシング31の前壁31aに接続されており、バルブケーシング31内と連通している。底蓋32はバルブケーシング31下部の開口部31dを、シリンダ等(図示せず)によって開閉するものである。
【0035】
バルブケーシング31の下部には、湾曲管状のS字バルブ33が収容支持されている。S字バルブ33は、S字バルブ33に一体的に形成され、左側ポンプシリンダ21および右側ポンプシリンダ22の軸線方向と平行な方向に延出する回動支軸33aの軸線まわりに回動自在である。
【0036】
S字バルブ33の前端は吸入口33bとして開口しており、S字バルブ33が回動支軸33aの軸線まわりに回動することで、吸入口33bを、左側ポンプシリンダ21の吐出端21bと右側ポンプシリンダ22の吐出端22bとに交互に切り替えて連通することが可能である。S字バルブ33の後端は吐出口33cとして開口しており、吐出口33cはバルブケーシング31の後壁31bに接続されている。
【0037】
S字バルブ駆動手段34はS字バルブ33を駆動するための駆動手段であり、回動支軸33aを左側ポンプシリンダ21のポンプピストン21aおよび右側ポンプシリンダ22のポンプピストン22aの動作に同期して回動させる。
【0038】
S字バルブ駆動手段34は、左側バルブ駆動シリンダ34a、右側バルブ駆動シリンダ34b、および連結アーム34cを有している。左側バルブ駆動シリンダ34aと右側バルブ駆動シリンダ34bとは、協動することによりS字バルブ33を駆動する。
【0039】
連結アーム34cは回動支軸33aの前端部に接続されており、連結アーム34cには、左側バルブ駆動シリンダ34aの先部と、右側バルブ駆動シリンダ34bの先部とが接続されている。左側バルブ駆動シリンダ34aは連結アーム34cの左側に配置され、右側バルブ駆動シリンダ34bは連結アーム34cの右側に配置されている。左側バルブ駆動シリンダ34aの基部および右側バルブ駆動シリンダ34bの基部は、バルブケーシング31に回動可能に支持されている。
【0040】
コンクリートポンプPの運転時において、左側バルブ駆動シリンダ34aおよび右側バルブ駆動シリンダ34bは、左側ポンプシリンダ21および右側ポンプシリンダ22のうち、生コンクリートの吸入状態にあるものをバルブケーシング31内に接続し、生コンクリートの圧送状態にあるものをS字バルブ33の吸入口33bに接続するように、S字バルブ33を切換駆動制御する。これにより、コンクリートポンプ本体2からS字バルブ33を通じて生コンクリートが円滑に圧送される。
【0041】
即ち、S字バルブ33はS字バルブ駆動手段34によって駆動されることで、吸入口33bを左側ポンプシリンダ21の吐出端21bに接続する第1切換位置(図2に2点鎖線で示す位置)と、吸入口33bを右側ポンプシリンダ22の吐出端22bに接続する第2切換位置(図2に実線で示す位置)との間を往復移動可能である。S字バルブ33の第1切換位置への移動は、左側バルブ駆動シリンダ34aの伸長作動によって行われ、S字バルブ33の第2切換位置への移動は、右側バルブ駆動シリンダ34bの伸長作動により行われる。
【0042】
吐出配管35は、その前端がバルブケーシング31の後壁31bに接続されており、S字バルブ33の吐出口33cと常時連通されている。吐出配管35の後端は、ブーム装置Bのコンクリート配管16に接続されている。
【0043】
コンクリートポンプPによって生コンクリートを圧送する場合には、まず生コンクリートをホッパHに投入してバルブケーシング31内に充填し、S字バルブ33と左側ポンプシリンダ21および右側ポンプシリンダ22とを作動させる。
【0044】
すなわち、例えば右側バルブ駆動シリンダ34bを伸長させてS字バルブ33をバルブケーシング31内で右側に回動させ、S字バルブ33の吸入口33bを右側ポンプシリンダ22の吐出端22bに接続する。これにより、右側ポンプシリンダ22と吐出配管35とが連通する。
【0045】
右側ポンプシリンダ22とS字バルブ33とを接続した状態で、左側ポンプシリンダ21のポンプピストン21aを前方へ引き込むとともに、右側ポンプシリンダ22のポンプピストン22aを後方へ押し出して、左側ポンプシリンダ21内にバルブケーシング31内の生コンクリートを吸入する。
【0046】
次に、左側バルブ駆動シリンダ34aを伸長させてS字バルブ33を左側に回動させ、S字バルブ33の吸入口33bを左側ポンプシリンダ21の吐出端21bに接続する。これにより、左側ポンプシリンダ21と吐出配管35とが連通する。
【0047】
左側ポンプシリンダ21とS字バルブ33とを接続した状態で、左側ポンプシリンダ21および右側ポンプシリンダ22に対して前記と逆の作動をさせる。つまり、右側ポンプシリンダ22のポンプピストン22aを前方へ引き込むとともに、左側ポンプシリンダ21のポンプピストン21aを後方へ押し出す。
【0048】
これにより、右側ポンプシリンダ22内にバルブケーシング31内の生コンクリートが吸入される。また、左側ポンプシリンダ21からは、内部に吸入されている生コンクリートがS字バルブ33に押し出されて、吐出配管35内に圧送される。上記作動を繰り返し行うことにより、バルブケーシング31内の生コンクリートを吐出配管35に連続的に圧送することができる。
【0049】
このように構成されるコンクリートポンプ車Vにおいては、旋回駆動手段14、第1油圧シリンダ151、第2油圧シリンダ152、第3油圧シリンダ153、および第4油圧シリンダ154を作動させることにより、支柱12を旋回させるとともに、ブーム13の第1ブーム131、第2ブーム132、第3ブーム133、および第4ブーム134を、図1に示すように互い違いに屈曲させて折り畳んだ状態としたり、図3に示すように起立、展開させた状態としたりすることができる。
【0050】
また、ブーム13を起立、展開させた状態において、生コンクリートをコンクリートポンプPにより圧送することで、コンクリート配管16を通じてブームアタッチメント5の先端に接続したホース58(図3参照)から任意の打設位置に供給すること可能である。
【0051】
ブーム13の第4ブーム134は、第1上下面134Aと、第1上下面134Aと対向する第2上下面134Bとを有しており、ブーム13が折り畳まれて第4ブーム134の基端部134aが先端部134bよりも後方に位置している状態では、第1上下面134Aは上方に面しており、第2上下面134Bは下方に面している(図1参照)。一方、ブーム13が起立、展開されて第4ブーム134の基端部134aが先端部134bよりも前方に位置している状態では、第1上下面134Aは下方に面しており、第2上下面134Bは上方に面している(図3参照)。
【0052】
[ブームアタッチメント]
図4に示すように、ブームアタッチメント5が装着される第4ブーム134においては、コンクリート配管16が、第4ブーム134の長手方向に沿って基端部134aから先端部134b側へ向けて配置されている。図4においては、第1上下面134Aが上方に面するとともに、第2上下面134Bが下方に面している姿勢の第4ブーム134を示している。コンクリート配管16は、第4ブーム134に固定された複数のクランプ41によって支持されている。第4ブーム134は、第1上下面134Aおよび第2上下面134Bと直交し、左右方向において互いに対向する一対の側面134Cを有している。側面134Cは、左右方向に面している。
【0053】
コンクリート配管16の先端部16aには、第4ブーム134の長手方向に沿って配置される延長コンクリート配管17の基端部17aが接続されている。延長コンクリート配管17は、ブームに沿って配置されるコンクリート配管の一例である。延長コンクリート配管17の基端部17aとは反対側の先端部17bには、固定エルボ管18の基端部18aが接続されている。固定エルボ管18の基端部18aとは反対側の先端部18bには、可動エルボ管19の基端部19aが接続されている。
【0054】
ブームアタッチメント5は、第4ブーム134の先端部134bに着脱可能に装着される本体部51と、本体部51に着脱可能に設けられ、第4ブーム134の先端部134bに装着された本体部51を第4ブーム134に固定する固定部材52と、本体部51に設けられ、第4ブーム134に沿って配置される延長コンクリート配管17を着脱可能に支持する第1支持部材53と、本体部51に設けられ、延長コンクリート配管17の先端部に接続される固定エルボ管18を着脱可能に支持する第2支持部材54とを備えている。第2支持部材54は、可動エルボ管19を回動可能に支持している。
【0055】
図5図6に示すように、本体部51は、四角筒形状に形成されており、第1上下面51Aと、第1上下面51Aと対向する第2上下面51Bと、第1上下面51Aおよび第2上下面51Bと直交し、左右方向において互いに対向する一対の側面51Cとを有している。側面51Cは左右方向に面している。本体部51は、筒軸方向の一端側に位置する基端部51aと、筒軸方向の他端側に位置する先端部51bとを有している。図5図6においては、第1上下面51Aが上方に面するとともに、第2上下面51Bが下方に面している姿勢の本体部51を示している。
【0056】
本体部51は、基端部51aを第4ブーム134の先端部134bに嵌装することで、第4ブーム134に装着される。本体部51が第4ブーム134に装着された状態では、本体部51の第1上下面51A、第2上下面51B、および側面51Cが、それぞれ第4ブーム134の第1上下面134A、第2上下面134B、および側面134Cの外側に位置して重なっており、第4ブーム134の先端部134bが本体部51の基端部51aにより全体的に覆われた状態となっている。
【0057】
本体部51の第1上下面51Aには、ゴム素材にて形成されたストッパ515が設けられている。ストッパ515は、第4ブーム134を第3ブーム133に対して折り畳んだ際に、第3ブーム133に当接して係止するように構成されている。ストッパ515が第3ブーム133に係止することで、第4ブーム134のそれ以上の折り畳みが抑制される。
【0058】
なお、本実施形態においては、本体部51は四角筒形状に形成されているが、第4ブーム134の先端部134bに装着することができる形状であれば、多角形状、円筒形状、または2枚のコ字状のプレートを開口面が対向するようにつなぎ合わせた形状等、他の形状であってもよい。
【0059】
本体部51の基端部51aにおける左右の側面51Cには、左右方向に貫通する貫通孔511、およびネジ孔512が形成されており、第4ブーム134の先端部134bにおける左右の側面134Cには係止穴134cが形成されている。係止穴134cは、側面134Cを貫通していない有底の穴である。本体部51を第4ブーム134に装着する際には、本体部51の貫通孔511の位置と第4ブーム134の係止穴134cの位置とが重なるように、本体部51の基端部51aを第4ブーム134の先端部134bに嵌装する。
【0060】
固定部材52は、固定ピン521と、ピンカバー522と、ボルト523とを有している。固定ピン521は、本体部51が第4ブーム134に嵌装されて貫通孔511と係止穴134cとが重なっている状態において、外側から貫通孔511および係止穴134cに挿入される。固定ピン521が貫通孔511と係止穴134cとにわたって挿入されることにより、本体部51が第4ブーム134に対して固定され、本体部51が第4ブーム134から抜け出ることが規制される。
【0061】
ピンカバー522は、固定ピン521が貫通孔511および係止穴134cに挿入された状態で、固定ピン521を覆うように本体部51の側面51Cに取り付けられる。ピンカバー522は、ボルト523を本体部51のネジ孔512に螺装することで、本体部51の側面51Cに締結される。
【0062】
図7に示すように、ピンカバー522をボルト523により本体部51の側面51Cに締結して取り付けることで、固定ピン521が貫通孔511および係止穴134cから抜け出ることが抑制され、本体部51の第4ブーム134に対する固定状態が保持される。このように、固定ピン521、ピンカバー522、およびボルト523を本体部51に一体的に取り付けることで、本体部51が第4ブーム134に固定される。固定ピン521、ピンカバー522、およびボルト523は、本体部51の左右の側面51Cにおいて取り付けられる。
【0063】
なお、本実施形態においては、固定部材52として、固定ピン521、ピンカバー522、およびボルト523を用いているが、ブームアタッチメント5を第4ブーム134に固定できるものであれば、例えば第4ブーム134と第4ブーム134に嵌装したブームアタッチメント5との隙間に差し込む楔部材等の別の固定具であってもよい。また、固定ピン521、ピンカバー522、およびボルト523は、ブームアタッチメント5専用の仕様に構成されているが、これらの固定部材52としては、ブームアタッチメント5を第4ブーム134に固定することができるものであれば、汎用のピン部材およびボルト等を用いることも可能である。
【0064】
さらに、本実施形態においては、固定ピン521、ピンカバー522、およびボルト523等の固定部材52は、本体部51に着脱可能に取り付けられているが、固定部材52は、例えば本体部51に固定されたナットに螺装されるボルトのように、本体部51に常に取り付けられた状態にあるものであってもよい。固定部材52が、本体部51に固定されたナットに螺装されるボルトであった場合は、例えば第4ブーム134の先端部134bに本体部51を嵌装した状態で当該ボルトをねじ込むことで、ボルトを第4ブーム134の側面134Cに押圧させて、本体部51を第4ブーム134に固定することができる。
【0065】
また、本実施形態においては、第4ブーム134には側面134Cを貫通していない係止穴134cを設けているが、側面134Cを貫通する貫通孔を側面134Cに形成し、その貫通孔に固定ピン521を挿入するように構成することもできる。
【0066】
また、本実施形態においては、第4ブーム134に係止穴134cを形成し、ブームアタッチメント5に貫通孔511を形成しているが、第4ブーム134に貫通孔511を形成し、ブームアタッチメント5に係止穴134cを形成することも可能である。この場合、ブームアタッチメント5を第4ブーム134に嵌装した際に、ブームアタッチメント5の本体部51が第4ブーム134の先端部134bによって外側から覆われるような仕様にすることで、固定部材52によるブームアタッチメント5の第4ブーム134に対する固定が行い易くなる。
【0067】
本体部51の基端部51aにおける左右の側面51Cには左右方向に貫通するピン孔513が形成されており、第4ブーム134の先端部134bにおける左右の側面134Cには左右方向に貫通するピン孔134dが形成されている。本体部51が固定ピン521により第4ブーム134に固定された状態では、ピン孔513の位置とピン孔134dの位置とは重なっている。
【0068】
固定部材52はセーフティピン524を有しており、セーフティピン524は、本体部51が第4ブーム134に装着された状態で、ピン孔513およびピン孔134dに挿通することが可能である。セーフティピン524をピン孔513およびピン孔134dに挿通することで、本体部51が第4ブーム134から抜け出ることをより抑制することが可能となる。
【0069】
図7図8に示すように、本体部51の側面51Cにはジャックル514が取り付けられており、第4ブーム134に固定されるクランプ41にはジャックル411が取り付けられている。図8に示すように、本体部51のジャックル514とクランプ41のジャックル411との間にセーフティワイヤ59を架け渡すことにより、本体部51が第4ブーム134から抜け出ることをさらに抑制することが可能となる。
【0070】
図5図7図9に示すように、第1支持部材53は、ブラケット55を介して本体部51に取り付けられている。第1支持部材53は、本体部51の筒軸方向における略中央部に位置している。第1支持部材53は、固定部531と、可動部532と、ボルト533と、ナット534とを有している。固定部531はブラケット55に固定されており、半円形状の内周部分を有している。可動部532は、固定部531に回動軸532aを中心として回動可能に支持されており、半円形状の内周部分を有している。ボルト533は、固定部531に回動可能に取り付けられており、ナット534はボルト533に螺装されている。
【0071】
可動部532は、回動軸532aを中心として回動することで、固定部531に対して閉じた状態(図9に示す状態)と、固定部531に対して開いた状態との間で移動することが可能である。
【0072】
第1支持部材53は、可動部532を開いた状態で延長コンクリート配管17を固定部531の半円形状の内周部分に添わせた後に可動部532を閉じ、閉じた可動部532をボルト533に螺装したナット534によって締結することで、延長コンクリート配管17の外周を覆って支持することができる。
【0073】
一方、ボルト533に螺装したナット534を緩めて可動部532の締結状態を解除し、可動部532を開くことにより、延長コンクリート配管17を第1支持部材53から取り外すことが可能である。このように、第1支持部材53は、延長コンクリート配管17を着脱可能に支持することが可能である。
【0074】
図5図7図10に示すように、第2支持部材54は、ブラケット56を介して本体部51の先端部51bに取り付けられている。第2支持部材54は、固定部541と、可動部542と、ボルト543と、ナット544とを有している。固定部541はブラケット56に固定されており、半円形状の内周部分を有している。可動部542は、固定部541に回動軸542aを中心として回動可能に支持されており、半円形状の内周部分を有している。ボルト543は、固定部541に回動可能に取り付けられており、ナット544はボルト543に螺装されている。
【0075】
可動部542は、回動軸542aを中心として回動することで、固定部541に対して閉じた状態(図10に示す状態)と、固定部541に対して開いた状態との間で移動することが可能である。
【0076】
第2支持部材54は、可動部542を開いた状態で、固定エルボ管18の先端部18bおよび可動エルボ管19の基端部19aを固定部541の半円形状の内周部分に添わせた後に可動部542を閉じ、閉じた可動部542をボルト543に螺装したナット544によって締結することで、固定エルボ管18の先端部18bおよび可動エルボ管19の基端部19aを支持することができる。
【0077】
一方、ボルト543に螺装したナット544を緩めて可動部542の締結状態を解除し、可動部542を開くことにより、固定エルボ管18および可動エルボ管19を第2支持部材54から取り外すことが可能である。このように、第2支持部材54は、固定エルボ管18および可動エルボ管19を着脱可能に支持することが可能である。
【0078】
図11に示すように、第4ブーム134にブームアタッチメント5が装着され、コンクリート配管16の先端部16a側に延長コンクリート配管17、固定エルボ管18、および可動エルボ管19が接続された状態においては、延長コンクリート配管17は、第4ブーム134に固定された支持部材42と、第1支持部材53とによって支持されている。支持部材42は延長コンクリート配管17の基端部17aを支持し、第1支持部材53は延長コンクリート配管17の先端部17bを支持している。コンクリート配管16の先端部16aと延長コンクリート配管17の基端部17aとは、ジョイント部材43によって接続されている。
【0079】
延長コンクリート配管17の先端部17bと固定エルボ管18の基端部18aとは、ジョイント部材44によって接続されており、固定エルボ管18の先端部18bは第2支持部材54によって支持されている。可動エルボ管19の基端部19aは第2支持部材54によって回動可能に支持されている。また、固定エルボ管18の先端部18bと可動エルボ管19の基端部19aとは第2支持部材54によって接続されている。可動エルボ管19の先端部19bにはホースを接続することが可能である。
【0080】
このように、第4ブーム134の先端部134bに装着されたブームアタッチメント5が有する第2支持部材54によって可動エルボ管19を回動可能に支持することで、可動エルボ管19を第4ブーム134の長手方向と直交する回動軸まわり、つまり第4ブーム134の枢軸と平行な回動軸まわりに回動させて、可動エルボ管19に接続したホース58の延長方向を変化させることが可能となっている。可動エルボ管19を回動させてホース58の延長方向を変化させることで、広範囲にコンクリートを打設することが可能となる。
【0081】
ブームアタッチメント5の本体部51におけるブラケット55が固定されている部分からブラケット56が固定されている部分までの間は空洞に形成して、本体部51のこの間における長さを大きく形成しても重量の増加を抑制することができるようになっている。このように、本体部51の長さを大きくすることで、可動エルボ管19を第4ブーム134の先端部134bからできるだけ遠くに位置させて、コンクリートを遠くの位置まで打設することが可能となる。
【0082】
図6(a)、図6(b)に示すように、ブラケット56は、ブームアタッチメント5における本体部51の先端部51bに固定されており、本体側ストッパ561を有している。本体側ストッパ561は、ブラケット56から本体部51の筒軸方向における先端側へ突出する突起である。本体側ストッパ561は、ブラケット56の上下略中央部かつ右端部に配置されている。
【0083】
図12に示すように、可動エルボ管19は、基端部19aと先端部19bとの開口方向が異なるように屈曲した配管である。本実施形態においては、基端部19aの開口方向と先端部19bの開口方向とは90°の角度を成している。可動エルボ管19は、基端部19aに可動側ストッパ191を有している。可動側ストッパ191は、基端部19aの外周から径方向外側へ突出し、周方向へ延出する円弧形状に形成されている。
【0084】
可動側ストッパ191は、可動エルボ管19が第2支持部材54により回動可能に支持された状態において、本体側ストッパ561と係合可能であり、ストッパ561と係合する第1係合部191aおよび第2係合部191bを有している。第1係合部191aは、可動側ストッパ191の周方向における一端部に位置しており、第2係合部191bは、可動側ストッパ191の周方向における他端部に位置している。
【0085】
図13に示すように、本体側ストッパ561と可動側ストッパ191とが係合することにより、可動エルボ管19の回動動作を規制することが可能である。回動動作が規制される可動エルボ管19は、第1位置P1から第2位置P2を経由して第3位置に至る範囲R1の間で回動可能に構成されている。図13には、第1上下面51Aが下方に面するとともに、第2上下面51Bが上方に面する姿勢の本体部51を示している。
【0086】
図13(a)に示すように、第1位置P1は、ブームアタッチメント5における本体部51の先端部51bが基端部51aよりも後方に位置していて、本体部51の第1上下面51Aが下方に面するとともに、第2上下面51Bが上方に面している状態において、可動エルボ管19の先端部19bが前斜め上方へ延出する位置である。第1位置P1に位置する可動エルボ管19においては、先端部19bは鉛直方向に対して前方へ角度θ1だけ傾斜している。角度θ1は、本実施形態においては60°に設定されている。また、可動エルボ管19が第1位置P1にあるときには、可動側ストッパ191の第1係合部191aが本体側ストッパ561に下方から係合しており、可動エルボ管19の先端部19bがそれ以上上方へ回動することが規制されている。
【0087】
図13(b)に示すように、第2位置P2は、ブームアタッチメント5における本体部51の先端部51bが基端部51aよりも後方に位置していて、本体部51の第1上下面51Aが下方に面するとともに、第2上下面51Bが上方に面している状態において、可動エルボ管19の先端部19bが下方へ延出する位置である。可動エルボ管19が第2位置にあるときには、可動側ストッパ191は本体側ストッパ561に係合しておらず、可動エルボ管19の回動動作は規制されていない。
【0088】
図13(c)に示すように、第3位置P3は、ブームアタッチメント5における本体部51の先端部51bが基端部51aよりも後方に位置していて、本体部51の第1上下面51Aが下方に面しており、第2上下面51Bが上方に面している状態において、可動エルボ管19の先端部19bが後斜め上方へ延出する位置である。第3位置P3に位置する可動エルボ管19においては、先端部19bが鉛直方向に対して後方へ角度θ2だけ傾斜している。角度θ2は、本実施形態においては60°に設定されている。また、可動エルボ管19が第3位置P3にあるときには、可動側ストッパ191の第2係合部191bが本体側ストッパ561に上方から係合しており、可動エルボ管19の先端部19bがそれ以上上方へ回動することが規制されている。
【0089】
このように、本体側ストッパ561と可動側ストッパ191とによって可動エルボ管19の回動動作を規制することで、可動エルボ管19の先端部19bが第1位置P1および第3位置P3よりも上方に位置する範囲R2に回動することを抑制している。
【0090】
ここで、ブーム装置Bに設けられるコンクリート配管16、延長コンクリート配管17、固定エルボ管18、および可動エルボ管19を通じて生コンクリートを吐出する場合、コンクリートポンプPにより圧送される生コンクリートに脈動が生じ、生じた脈動の反力がブーム13に作用する。
【0091】
この場合、ブーム13には、圧送される生コンクリートに生じた脈動の反力が作用して負荷が掛かる。ブーム13に掛かる負荷は、可動エルボ管19が、先端部19bが上方へ延出する姿勢にあるときに大きくなる。また、ブーム13に掛かる負荷は、上方へ延出する先端部19bの鉛直方向に対する傾斜角度が小さくなる程大きくなる。
【0092】
そこで、ブームアタッチメント5においては、本体側ストッパ561と可動側ストッパ191とを設けて、可動エルボ管19の先端部19bが上方へ延出する範囲R2内に、可動エルボ管19が回動することを規制している。このように、可動エルボ管19の回動動作を規制することで、コンクリートの供給時にブーム13に掛かる負荷を低減して、ブーム13が劣化することを抑制できる。
【0093】
なお、本実施形態においては、本体側ストッパ561はブラケット56の上下略中央部かつ右端部に配置され、可動側ストッパ191は可動エルボ管19の基端部19aに配置されているが、本体側ストッパ561および可動側ストッパ191は、本体側ストッパ561と可動側ストッパ191とが係合可能な位置であれば、任意の位置に配置することができる。
【0094】
また、本実施形態においては、突起状の本体側ストッパ561をブラケット56に設けて、円弧形状に形成される可動側ストッパ191を可動エルボ管19に設けているが、円弧形状のストッパをブラケット56に設けるとともに、突起状のストッパを可動エルボ管19に設けて、可動エルボ管19の回動動作を規制するように構成することもできる。
【0095】
また、ブームアタッチメント5においては、本体部51は、第4ブーム134の先端部134bに着脱可能に装着されるとともに、本体部51に着脱可能に設けられる固定部材52によって第4ブーム134に固定されており、第1支持部53は延長コンクリート配管17を着脱可能に支持している。
【0096】
従って、固定部材52を本体部51から取り外して、固定部材52による本体部51の第4ブーム134に対する固定状態を解除するとともに、延長コンクリート配管17を第1支持部材53から取り外すことで、ブームアタッチメント5を第4ブーム134から取り外すことができる。この場合、固定エルボ管18および可動エルボ管19は第2支持部材54によって着脱可能に支持されているため、固定エルボ管18および可動エルボ管19を第2支持部材54から取り外すことも可能である。さらに、コンクリート配管16に接続される延長コンクリート配管17を第4ブーム134から取り外すこともできる。
【0097】
図14に示すように、ブームアタッチメント5および延長コンクリート配管17を取り外した状態の第4ブーム134においては、先端部134bにホースガイド6を装着するとともに、コンクリート配管16の先端部16aにホース69を接続して、ホースガイド6によりホース69をガイドすることができる。
【0098】
図14図15に示すように、ホースガイド6は、第4ブーム134の先端部134bに着脱可能に装着される本体部61と、本体部61に着脱可能に設けられ、第4ブーム134の先端部134bに装着された本体部61を第4ブーム134に固定する固定部材62と、本体部61に設けられ、第4ブーム134に沿って配置されるコンクリート配管16に接続されたホース69を着脱可能に支持する支持部材63とを備えている。
【0099】
固定部材62は、例えば本体部61に固定されるナットに螺装されるボルトであり、第4ブーム134の先端部134bに本体部61を嵌装した状態で固定部材62をねじ込むことで、固定部材62を第4ブーム134の側面134Cに押圧させて、本体部61を第4ブーム134に固定する。
【0100】
支持部材63は、本体部61から第4ブーム134の長手方向における前端部134a側へ向けて延出する略円弧形状に形成されており、コンクリート配管16に接続されたホース69が支持部材63により支持されている。ホース69は、支持部材63によって支持されることで、第4ブーム134の長手方向と交差する方向に屈曲されている。
【0101】
支持部材63は、第4ブーム134の先端部134bからさらに先端部134b側へ延びているため、ホース69の先端を、第4ブーム134にブームアタッチメント5を装着したときのホース58の先端よりも、第4ブーム134の先端部134bから遠くに離れて位置させることができる。これにより、第4ブーム134にホースガイド6およびホース69を装着した場合には、第4ブーム134にブームアタッチメント5および可動エルボ管19を装着したときよりも、第4ブーム134から離れた位置にコンクリートを打設することが可能である。
【0102】
このように、ブーム装置Bにおいては、ブームアタッチメント5を第4ブーム134の先端部134bに着脱可能に装着しているため、ブームアタッチメント5を第4ブーム134から取り外して、第4ブーム134にホースガイド6等の他の仕様のアタッチメントを取り付けることができる。これにより、ブーム装置Bを備えたコンクリートポンプ車Vを、コンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることができる。
【0103】
なお、第4ブーム134にホースガイド6を装着した状態から、第4ブーム134にブームアタッチメント5が装着された状態に変更する場合には、まずコンクリート配管16からホース69を取り外すとともに、第4ブーム134からホースガイド6を取り外す。次に、ブームアタッチメント5を第4ブーム134に装着するとともに、固定部材52によってブームアタッチメント5を第4ブーム134に固定する。
【0104】
さらに、延長コンクリート配管17をコンクリート配管16に接続するとともに、支持部材42および第1支持部材53によって延長コンクリート配管17を支持する。また、延長コンクリート配管17に固定エルボ管18を接続するとともに、第2支持部材54によって固定エルボ管18および可動エルボ管19を支持する。このようにブームアタッチメント5を第4ブーム134に装着することで、可動エルボ管19を通じてコンクリートを打設することが可能となる。
【0105】
[コンクリート分配装置の別実施形態]
図16に示すコンクリートディストリビュータDは、本発明に係るコンクリート分配装置の別実施形態である。コンクリートディストリビュータDは、ベース装置70と、マスト装置80と、ブーム装置Bとを備えている。
【0106】
ベース装置70は、ベース本体71と、ベース本体71に回動可能に支持されるアウトリガ72とを有している。アウトリガ72は、回動することにより、ベース本体71内に格納される格納位置と、ベース本体71から外方に張り出す展開位置との間で移動可能である。コンクリートディストリビュータDは、例えばビルの建設現場において構築された床スラブFS上に、展開位置に移動したベース装置70のアウトリガ72を設置することにより据え付けられる。
【0107】
マスト装置80は、ベース装置70のベース本体71上に起立状態で支持され、かつ互いに縦列状態で結合される複数のマスト81を有しており、ベース装置70から上方へ延出している。
【0108】
ブーム装置Bは、マスト装置80の上端部に支持されている。ブーム装置Bの旋回台11は、最上方に位置するマスト81の上端部に固定されており、ブーム装置Bの支柱12およびブーム13は、マスト装置80の上方において旋回可能に構成されている。
マスト装置80は、ブーム装置を支持する支持部の一例である。
【0109】
このように、コンクリートディストリビュータDは、ブームアタッチメント5、ブームアタッチメント5が着脱可能に装着されるブーム13、ならびにブーム13に沿って配置されるコンクリート配管16および延長コンクリート配管17を有するブーム装置Bと、ブーム装置Bを支持するマスト装置80とを備えている。
【0110】
コンクリートディストリビュータDのブーム装置Bにおいても、ブーム13からブームアタッチメント5を取り外して、ブーム13にホースガイド6等の他の仕様のアタッチメントを取り付けることが可能となっている。これにより、ブーム装置Bを備えたコンクリートディストリビュータDを、コンクリートの打設状況や打設場所に応じた打設仕様とすることができる。
【符号の説明】
【0111】
5 ブームアタッチメント
13 ブーム
16 コンクリート配管
17 延長コンクリート配管
18 固定エルボ管
19 可動エルボ管
51 本体部
52 固定部材
53 第1支持部材
54 第2支持部材
134 第4ブーム
134b 先端部
191 可動側ストッパ
521 固定ピン
522 ピンカバー
523 ボルト
561 本体側ストッパ
B ブーム装置
D コンクリートディストリビュータ
P コンクリートポンプ
S サブフレーム
V コンクリートポンプ車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16