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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069425
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
H01L21/90 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181263
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】萩原 琢也
(72)【発明者】
【氏名】丸山 卓也
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH09
5F033HH18
5F033HH19
5F033HH33
5F033JJ04
5F033KK09
5F033NN07
5F033PP06
5F033QQ09
5F033QQ11
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
5F033XX33
5F033XX34
(57)【要約】
【課題】第2コンタクトホールがポリシリコン膜を貫通することを抑制しつつ、第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成するための製造コストを削減することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、第1主面及び第2主面を有する半導体基板を準備する工程と、第1主面にリセスを形成し、リセスに絶縁膜を埋め込む工程と、絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、絶縁膜及びポリシリコン膜を覆うように第1主面上に層間絶縁膜を形成する工程と、第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成する工程とを備える。半導体基板は、第1主面に形成されている第1不純物拡散領域と、第1不純物拡散領域の第2主面側に接している第2不純物拡散領域とを有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1主面にリセスを形成し、前記リセスに絶縁膜を埋め込む工程と、
前記絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、
前記絶縁膜及び前記ポリシリコン膜を覆うように前記第1主面上に層間絶縁膜を形成する工程と、
第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成する工程とを備え、
前記半導体基板は、前記第1主面に形成されている第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域の前記第2主面側に接している第2不純物拡散領域とを有し、
前記第1コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を貫通して前記第1コンタクトホールから前記第2不純物拡散領域が露出するように形成されており、
前記第2コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を貫通して前記第2コンタクトホールから前記ポリシリコン膜が露出するように形成されており、
前記第1コンタクトホール及び前記第2コンタクトホールを形成する工程では、第1エッチング、第2エッチング及び第3エッチングが行われ、
前記第2エッチングは、前記第1エッチングの後に行われ、
前記第3エッチングは、前記第2エッチングの後に行われ、
前記第1エッチングが行われた後であって前記第2エッチングが行われる前において、前記第1コンタクトホールから前記第1主面が露出しているとともに、前記第2コンタクトホールの底面に前記層間絶縁膜が残存しており、
前記第2エッチングが行われた後であって前記第3エッチングが行われる前において、前記第1コンタクトホールから前記第2不純物拡散領域が露出しているとともに、前記第2コンタクトホールの底面に前記層間絶縁膜が残存しており、
前記第3エッチングが行われた後において、前記第2コンタクトホールから前記ポリシリコン膜が露出している、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
平面視における前記第2コンタクトホールの開口面積は、平面視における前記第1コンタクトホールの開口面積よりも大きく、
前記第1エッチングの条件は、平面視における前記第2コンタクトホールの開口面積が大きくなるにつれて前記第1エッチング中のデポジション量が多くなるように設定されている、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1エッチングに用いられるエッチングガスは、C/F比が0.50以上のフルオロカーボン系ガスであり、かつアルゴン及び酸素とともに用いられ、
前記第1エッチングが行われている際の前記半導体基板の温度は、20℃以下である、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1コンタクトホール及び前記第2コンタクトホールは、平面視において第1方向に延びており、
前記第1方向に直交する第2方向における前記第1コンタクトホールの幅は、前記第2方向における前記第2コンタクトホールの幅よりも大きく、
前記第1エッチングの条件は、前記第2方向における前記第1コンタクトホールの幅及び前記第2方向における前記第2コンタクトホールの幅が前記層間絶縁膜の上面から離れるにつれて小さくなるように設定されている、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1エッチングに用いられるエッチングガスは、フルオロカーボン系ガスであり、かつ水素を含有している、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1コンタクトホール及び前記第2コンタクトホールは、平面視において第1方向に延びており、
前記第1方向に直交する第2方向における前記第1コンタクトホールの幅は、前記第2方向における前記第2コンタクトホールの幅よりも大きく、
前記第1エッチングの条件は、前記第2方向における前記第2コンタクトホールの幅が小さくなるにつれてエッチングレートが小さくなるように設定されている、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1エッチングに用いられるエッチングガスは、フルオロカーボン系ガスであり、
前記第1エッチングが行われている際のチャンバ内の圧力は、50mTorr以上である、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
レジストを前記層間絶縁膜上に形成する工程と、
前記第1コンタクトホールに対応する位置にある第1開口及び前記第2コンタクトホールに対応する位置にある第2開口を有するように前記レジストをフォトリソグラフィによりパターンニングする工程とをさらに備え、
前記第1エッチングが行われる前において、前記第1開口から前記層間絶縁膜が露出しているとともに、前記第2開口の底面に前記レジストが残存しており、
前記第1エッチングの条件は、前記層間絶縁膜に対するエッチングレートが前記レジストに対するエッチングレートよりも大きくなるように設定されている、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記フォトリソグラフィにおいて、前記レジストは、第1透光部及び第2透光部を有するレチクルを用いて露光され、
前記第1開口及び前記第2開口が形成される前記レジストの部分は、それぞれ、前記第1透光部を透過した光及び前記第2透光部を透過した光により露光され、
前記第1透光部の透過率は、前記第2透光部の透過率よりも高い、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1エッチングに用いられるエッチングガスは、C/F比が0.5以上のフルオロカーボン系ガスであり、かつアルゴン及び酸素とともに用いられる、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2013-140885号公報(特許文献1)には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を有する半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、半導体基板と、層間絶縁膜とを有している。
【0003】
半導体基板は、第1主面と、第2主面とを有している。第2主面は、第1主面の反対面である。半導体基板は、ソース領域と、チャネル領域とを有している。ソース領域は、第1主面に配置されている。チャネル領域は、ソース領域の第2主面側に接して配置されている。層間絶縁膜は、第1主面上に配置されている。層間絶縁膜には、コンタクトホール(以下「第1コンタクトホール」とする)が形成されている。第1コンタクトホールは、層間絶縁膜を貫通しているとともに、チャネル領域に達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-140885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置は、IGBTに加えて、温度検知用又は電流検知用のダイオードをさらに有していることがある。特許文献1に記載の半導体装置がこのようなダイオードをさらに有する場合、第1主面上に配置されている絶縁膜及び絶縁膜上に形成されているポリシリコン膜がさらに形成されることになる。また、この場合、層間絶縁膜には、第1コンタクトホールとは別のコンタクトホール(以下「第2コンタクトホール」とする)がさらに形成されることになる。
【0006】
第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールは、例えば、以下の方法により形成される。第1に、第1主面上に層間絶縁膜が形成されるとともに、層間絶縁膜の上面がCMP(Chemical Mechanical Polishing)等により平坦化される。第2に、層間絶縁膜上に、第1レジストが形成される。第1レジストは、第1コンタクトホールに対応する位置が開口するようにパターンニングされている。第3に、層間絶縁膜は、第1レジストをマスクとして、第1主面が露出するまでエッチングされる。これにより、層間絶縁膜中に第1コンタクトホールが形成される。第4に、半導体基板の第1主面側が、第1レジスト及び層間絶縁膜をマスクとして、エッチングされる。このエッチングにより第1コンタクトホールが半導体基板中へと延び、第1コンタクトホールからチャネル領域が露出する。なお、この後、第1レジストは、除去される。
【0007】
第5に、層間絶縁膜上に、第2レジストが形成される。第2レジストは、第2コンタクトホールに対応する位置が開口するようにパターンニングされている。第6に、層間絶縁膜は、第2レジストをマスクとして、ポリシリコン膜が露出するまでエッチングされる。これにより、層間絶縁膜中に第2コンタクトホールが形成される。このように第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを別々に形成するのは、ソース領域上における層間絶縁膜の厚さとポリシリコン膜上における層間絶縁膜の厚さが大きく異なり、第1コンタクトホールをチャネル領域に達するように形成する必要があるため、第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを同時に形成すると、第2コンタクトホールがポリシリコン膜を貫通してしまうおそれがあるからである。
【0008】
上記の方法により第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成する場合、レジストの形成が2回必要になり、製造コストが増大してしまうことになる。
【0009】
本開示は、第2コンタクトホールがポリシリコン膜を貫通することを抑制しつつ、第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成するための製造コストを削減することが可能な半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0010】
その他の課題及び新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1主面及び第2主面を有する半導体基板を準備する工程と、第1主面にリセスを形成し、リセスに絶縁膜を埋め込む工程と、絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、絶縁膜及びポリシリコン膜を覆うように第1主面上に層間絶縁膜を形成する工程と、第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成する工程とを備えている。半導体基板は、第1主面に形成されている第1不純物拡散領域と、第1不純物拡散領域の第2主面側に接している第2不純物拡散領域とを有している。第1コンタクトホールは、層間絶縁膜を貫通して第1コンタクトホールから第2不純物拡散領域が露出するように形成されている。第2コンタクトホールは、層間絶縁膜を貫通して第2コンタクトホールからポリシリコン膜が露出するように形成されている。第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成する工程では、第1エッチング、第2エッチング及び第3エッチングが行われる。第2エッチングは、第1エッチングの後に行われる。第3エッチングは、第2エッチングの後に行われる。第1エッチングが行われた後であって第2エッチングが行われる前において、第1コンタクトホールから第1主面が露出しているとともに、第2コンタクトホールの底面に層間絶縁膜が残存している。第2エッチングが行われた後であって第3エッチングが行われる前において、第1コンタクトホールから第2不純物拡散領域が露出しているとともに、第2コンタクトホールの底面に層間絶縁膜が残存している。第3エッチングが行われた後において、第2コンタクトホールからポリシリコン膜が露出している。
【発明の効果】
【0012】
一実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、第2コンタクトホールがポリシリコン膜を貫通することを抑制しつつ、第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成するための製造コストを削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】半導体装置DEV1の断面図である。
図2】半導体装置DEV1の平面図である。
図3】半導体装置DEV1の製造方法を示す工程図である。
図4】準備工程S1を説明する断面図である。
図5】第1不純物拡散領域形成工程S2を説明する断面図である。
図6】絶縁膜形成工程S3を説明する断面図である。
図7】第1トレンチ形成工程S4を説明する断面図である。
図8】ゲート絶縁膜形成工程S5を説明する断面図である。
図9】第1ポリシリコン膜形成工程S6を説明する断面図である。
図10】第2ポリシリコン膜形成工程S7を説明する断面図である。
図11】第2不純物拡散領域形成工程S8を説明する断面図である。
図12】第3不純物拡散領域形成工程S9を説明する断面図である。
図13】層間絶縁膜形成工程S10を説明する断面図である。
図14A】レジスト形成工程S111を説明する断面図である。
図14B】レジストパターンニング工程S112を説明する第1断面図である。
図14C】レジストパターンニング工程S112を説明する第2断面図である。
図14D】第1エッチング工程S113を説明する断面図である。
図14E】第2エッチング工程S114を説明する断面図である。
図14F】第3エッチング工程S115を説明する断面図である。
図15】第4不純物拡散領域形成工程S12を説明する断面図である。
図16】コンタクトプラグ形成工程S13を説明する断面図である。
図17】配線形成工程S14を説明する断面図である。
図18】ポリイミド膜形成工程S15を説明する断面図である。
図19】第5不純物拡散領域形成工程S16を説明する断面図である。
図20】第6不純物拡散領域形成工程S17を説明する断面図である。
図21】半導体装置DEV1aの断面図である。
図22】半導体装置DEV1aの平面図である。
図23】半導体装置DEV1bの断面図である。
図24】半導体装置DEV1bの平面図である。
図25】半導体装置DEV1cの断面図である。
図26】半導体装置DEV1cの平面図である。
図27A】半導体装置DEV1cの製造方法のレジストパターンニング工程を説明する第1断面図である。
図27B】半導体装置DEV1cの製造方法のレジストパターンニング工程を説明する第2断面図である。
図28】半導体装置DEV2の断面図である。
図29】半導体装置DEV2の製造方法を示す工程図である。
図30】半導体装置DEV2の製造方法の第2トレンチ形成工程S19を説明する断面図である。
図31】半導体装置DEV2の製造方法の第2ポリシリコン膜形成工程S7を説明する断面図である。
図32】半導体装置DEV2の製造方法の第2不純物拡散領域形成工程S8を説明する断面図である。
図33】半導体装置DEV2の製造方法の第3不純物拡散領域形成工程S9を説明する断面図である。
図34】半導体装置DEV2の製造方法の層間絶縁膜形成工程S10を説明する断面図である。
図35A】半導体装置DEV2の製造方法の第1エッチング工程S113を説明する断面図である。
図35B】半導体装置DEV2の製造方法の第2エッチング工程S114を説明する断面図である。
図36】半導体装置DEV2aの断面図である。
図37】半導体装置DEV2aの製造方法を示す工程図である。
図38】半導体装置DEV2aの製造方法の第2トレンチ形成工程S19を説明する断面図である。
図39】半導体装置DEV2aの製造方法の第1トレンチ形成工程S4を説明する断面図である。
図40】半導体装置DEV2aの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6を説明する断面図である。
図41】半導体装置DEV2bの断面図である。
図42】半導体装置DEV2bの製造方法を示す工程図である。
図43】半導体装置DEV2bの製造方法の第2トレンチ形成工程S19を説明する断面図である。
図44】半導体装置DEV2bの製造方法の第1トレンチ形成工程S4を説明する断面図である。
図45】半導体装置DEV2bの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6を説明する断面図である。
図46】半導体装置DEV2bの製造方法の第2ポリシリコン膜形成工程S7を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る半導体装置を説明する。第1実施形態に係る半導体装置を、半導体装置DEV1とする。
【0016】
<半導体装置DEV1の構成>
以下に、半導体装置DEV1の構成を説明する。
【0017】
図1は、半導体装置DEV1の断面図である。図1に示されているように、半導体装置DEV1は、半導体基板SUBと、ゲート絶縁膜GIと、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5と、絶縁膜IFと、ポリシリコン膜PSF6と、層間絶縁膜ILDとを有している。半導体装置DEV1は、コンタクトプラグCP1、コンタクトプラグCP2、コンタクトプラグCP3、コンタクトプラグCP4及びコンタクトプラグCP5と、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4と、ポリイミド膜PFと、電極ELとを有している。
【0018】
半導体基板SUBは、第1主面MS1と、第2主面MS2とを有している。第1主面MS1及び第2主面MS2は、半導体基板SUBの厚さ方向における端面である。第2主面MS2は、第1主面MS1の反対面である。半導体基板SUBは、例えば、単結晶のシリコン(Si)により形成されている。
【0019】
第1主面MS1には、トレンチTR1と、トレンチTR2と、トレンチTR3と、トレンチTR4と、トレンチTR5とが形成されている。トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5は、第2主面MS2側に向かって延びている。トレンチTR1及びトレンチTR2は、隣り合っている。トレンチTR3及びトレンチTR4は、隣り合っている。トレンチTR3及びトレンチTR4は、トレンチTR2とトレンチTR5との間に配置されている。トレンチTR2は、トレンチTR1よりもトレンチTR3の近くにある。トレンチTR4は、トレンチTR3よりもトレンチTR5の近くにある。
【0020】
半導体基板SUBは、コレクタ領域CLRと、フィールドストップ領域FSRと、ドリフト領域DRと、チャネル領域CHRと、エミッタ領域EMRと、コンタクト領域CTRと、ホールバリア領域HBRと、ウェル領域WRとを有している。
【0021】
コレクタ領域CLRは、第2主面MS2に形成されている。フィールドストップ領域FSRは、コレクタ領域CLR上に配置されている。ドリフト領域DRは、フィールドストップ領域FSR上に配置されている。チャネル領域CHRは、第1主面MS1に形成されている。トレンチTR1とトレンチTR2との間では、第1主面MS1にエミッタ領域EMRが配置されており、エミッタ領域EMRの第2主面MS2側にチャネル領域CHRが接している。
【0022】
コンタクト領域CTRは、トレンチTR1とトレンチTR2との間にあるチャネル領域CHR中に配置されている。ホールバリア領域HBRは、トレンチTR1とトレンチTR2との間及びトレンチTR3及びトレンチTR4との間において、ドリフト領域DRとチャネル領域CHRとの間に配置されている。ウェル領域WRは、トレンチTR2とトレンチTR3との間において、ドリフト領域DRとチャネル領域CHRとの間に配置されている。ウェル領域WRは、トレンチTR5よりも外側(トレンチTR4と反対側)においても、ドリフト領域DRとチャネル領域CHRとの間に配置されている。
【0023】
フィールドストップ領域FSR、ドリフト領域DR、ホールバリア領域HBR及びエミッタ領域EMRの導電型は、n型である。コレクタ領域CLR、チャネル領域CHR、コンタクト領域CTR及びウェル領域WRの導電型は、p型である。エミッタ領域EMR中のドーパント濃度は、フィールドストップ領域FSR中のドーパント濃度よりも高くなっている。フィールドストップ領域FSR中のドーパント濃度は、ドリフト領域DR中のドーパント濃度よりも高くなっている。ホールバリア領域HBR中のドーパント濃度は、ドリフト領域DR中のドーパント濃度よりも高くなっている。コレクタ領域CLR中及びコンタクト領域CTR領域中のドーパント濃度は、チャネル領域CHR中のドーパント濃度よりも高くなっている。チャネル領域CHR中のドーパント濃度は、ウェル領域WR中のドーパント濃度よりも高くなっている。
【0024】
ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5は、それぞれ、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5に埋め込まれている。ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5は、n型のドーパントを含有するポリシリコンにより形成されている。
【0025】
ゲート絶縁膜GIは、ポリシリコン膜PSF1とトレンチTR1の側面及び底面との間に配置されている。同様に、ゲート絶縁膜GIは、ポリシリコン膜PSF2とトレンチTR2の側面及び底面との間、ポリシリコン膜PSF3とトレンチTR3の側面及び底面との間、ポリシリコン膜PSF4とトレンチTR4の側面及び底面との間、ポリシリコン膜PSF5とトレンチTR5の側面及び底面との間にも配置されている。ゲート絶縁膜GIは、例えば、酸化シリコン(SiO)により形成されている。
【0026】
トレンチTR1及びトレンチTR2の側面からは、エミッタ領域EMR、チャネル領域CHR及びホールバリア領域HBRが露出している。ポリシリコン膜PSF1及びポリシリコン膜PSF2は、ゲート絶縁膜GIを介在させて、エミッタ領域EMR及びホールバリア領域HBRに挟み込まれているチャネル領域CHRの部分と対向している。このことを別の観点から言えば、ポリシリコン膜PSF1及びポリシリコン膜PSF2は、IGBTのゲートになっている。図示されていないが、ポリシリコン膜PSF1及びポリシリコン膜PSF2は、ポリシリコン膜PSF5に接続されている。
【0027】
絶縁膜IFは、第1主面MS1上に配置されている。より具体的には、第1主面MS1には、リセスRCSが形成されている。第1主面MS1は、リセスRCSにおいて、第2主面MS2側に窪んでいる。絶縁膜IFは、リセスRCSに埋め込まれている。なお、リセスRCSは、トレンチTR5よりも外側に配置されている。すなわち、絶縁膜IFは、リセスLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)構造になっている。
【0028】
ポリシリコン膜PSF6は、絶縁膜IF上に配置されている。ポリシリコン膜PSF6は、ドーパントを含有しているポリシリコンにより形成されている。ポリシリコン膜PSF6は、第1部分PSF6aと、第2部分PSF6bとを有している。第1部分PSF6aはコンタクト部PSF6cを有しており、第2部分PSF6bはコンタクト部PSF6dを有している。
【0029】
第1部分PSF6a及び第2部分PSF6bは、互いに異なる導電型になっている。例えば、第1部分PSF6aの導電型はp型であり、第2部分PSF6bの導電型はn型である。そのため、第1部分PSF6aと第2部分PSF6bとはpn接合しており、ポリシリコン膜PSF6は、ダイオードになっている。
【0030】
コンタクト部PSF6c及びコンタクト部PSF6dは、それぞれ、第1部分PSF6aにあるポリシリコン膜PSF6の上面及び第2部分PSF6bにあるポリシリコン膜PSF6の上面にある。コンタクト部PSF6c中のドーパント濃度は、第1部分PSF6a中のドーパント濃度よりも高くなっている。コンタクト部PSF6cの導電型は、第1部分PSF6aの導電型と同一になっている。コンタクト部PSF6d中のドーパント濃度は、第2部分PSF6b中のドーパント濃度よりも高くなっている。コンタクト部PSF6dの導電型は、第2部分PSF6bの導電型と同一になっている。
【0031】
層間絶縁膜ILDは、絶縁膜IF及びポリシリコン膜PSF5を覆うように、第1主面MS1上に配置されている。層間絶縁膜ILDは、例えば、酸化シリコンにより形成されている。層間絶縁膜ILDの上面は、平坦化されている。層間絶縁膜ILDには、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が形成されている。
【0032】
コンタクトホールCH1は、層間絶縁膜ILDを貫通している。コンタクトホールCH1の下端は、トレンチTR1とトレンチTR2との間にあるチャネル領域CHRに達している。コンタクトホールCH2は、層間絶縁膜ILDを貫通している。コンタクトホールCH2の下端は、トレンチTR3とトレンチTR4との間にあるチャネル領域CHR及びポリシリコン膜PSF3に達している。
【0033】
コンタクトホールCH3は、層間絶縁膜ILDを貫通している。コンタクトホールCH3の下端は、ポリシリコン膜PSF5に達している。なお、コンタクトホールCH1の底面、コンタクトホールCH2の底面及びコンタクトホールCH3からは、コンタクト領域CTRが露出している。
【0034】
コンタクトホールCH4は、層間絶縁膜ILDを貫通している。コンタクトホールCH4からは、コンタクト部PSF6cが露出している。コンタクトホールCH5は、層間絶縁膜ILDを貫通している。コンタクトホールCH5からは、コンタクト部PSF6dが露出している。コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3及びコンタクトホールCH4の内壁面上には、図示しないバリアメタルが配置されていてもよい。このバリアメタルは、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)等により形成されている。
【0035】
図2は、半導体装置DEV1の平面図である。図2中では、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4並びにポリイミド膜PFの図示が省略されている。図2に示されているように、コンタクトホールCH1の数は複数であり、複数のコンタクトホールCH1の各々は、平面視において矩形状である。複数のコンタクトホールCH1の各々は、平面視において、第1方向D1に沿って列をなすように並んでいる。コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3についても、同様である。
【0036】
コンタクトホールCH4は、平面視において、第1方向D1に沿って延びている。平面視におけるコンタクトホールCH4の開口面積は、平面視におけるコンタクトホールCH1(コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3)の開口面積よりも大きい。コンタクトホールCH5についても、同様である。
【0037】
図1に示されているように、コンタクトプラグCP1は、コンタクトホールCH1に埋め込まれている。コンタクトプラグCP1の下端は、エミッタ領域EMR及びトレンチTR1とトレンチTR2との間にあるチャネル領域CHRに電気的に接続されている。コンタクトプラグCP2は、コンタクトホールCH2に埋め込まれている。コンタクトプラグCP2の下端は、トレンチTR3とトレンチTR4との間にあるチャネル領域CHR及びポリシリコン膜PSF3に電気的に接続されている。
【0038】
コンタクトプラグCP3は、コンタクトホールCH3に埋め込まれている。コンタクトプラグCP3の下端は、ポリシリコン膜PSF5に電気的に接続されている。コンタクトプラグCP4は、コンタクトホールCH4に埋め込まれている。コンタクトプラグCP5は、コンタクトホールCH5に埋め込まれている。コンタクトプラグCP4の下端及びコンタクトプラグCP5の下端は、それぞれ、第1部分PSF6a及び第2部分PSF6bに電気的に接続されている。すなわち、コンタクトプラグCP4の下端及びコンタクトプラグCP5の下端は、ダイオードに電気的に接続されている。コンタクトプラグCP1、コンタクトプラグCP2、コンタクトプラグCP3、コンタクトプラグCP4及びコンタクトプラグCP5は、例えば、タングステン(W)により形成されている。
【0039】
配線WL1は、層間絶縁膜ILD上に配置されている。配線WL1は、コンタクトプラグCP1の上端及びコンタクトプラグCP2の上端に電気的に接続されている。配線WL1は、エミッタ電位になっている。そのため、エミッタ領域EMR、トレンチTR1とトレンチTR2との間にあるチャネル領域CHR、トレンチTR3とトレンチTR4との間にあるチャネル領域CHR及びポリシリコン膜PSF3も、エミッタ電位になっている。
【0040】
配線WL2は、層間絶縁膜ILD上に配置されている。配線WL2は、コンタクトプラグCP3の上端に電気的に接続されている。配線WL2は、ゲート電位になっている。そのため、ポリシリコン膜PSF5、ポリシリコン膜PSF1及びポリシリコン膜PSF2も、ゲート電位になっている。配線WL3及び配線WL4は、層間絶縁膜ILD上に配置されている。配線WL3及び配線WL4は、それぞれ、コンタクトプラグCP4の上端及びコンタクトプラグCP5の上端に電気的に接続されている。配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4は、例えばアルミニウム(Al)合金により形成されている。
【0041】
ポリイミド膜PFは、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4を覆うように、層間絶縁膜ILD上に配置されている。図示されていないが、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4の各々は電極パッド部を有しており、ポリイミド膜PFにはそれらの電極パッド部を露出させる開口が形成されている。電極ELは、第2主面MS2上に配置されている。電極ELは、コレクタ領域CLRに電気的に接続されている。電極ELは、例えばアルミニウム合金より形成されている。
【0042】
<半導体装置DEV1の製造方法>
以下に、半導体装置DEV1の製造方法を説明する。
【0043】
図3は、半導体装置DEV1の製造方法を示す工程図である。図3に示されているように、半導体装置DEV1の製造方法は、準備工程S1と、第1不純物拡散領域形成工程S2と、絶縁膜形成工程S3と、第1トレンチ形成工程S4と、ゲート絶縁膜形成工程S5と、第1ポリシリコン膜形成工程S6と、第2ポリシリコン膜形成工程S7と、第2不純物拡散領域形成工程S8と、第3不純物拡散領域形成工程S9と、層間絶縁膜形成工程S10と、コンタクトホール形成工程S11と、第4不純物拡散領域形成工程S12と、コンタクトプラグ形成工程S13と、配線形成工程S14と、ポリイミド膜形成工程S15と、第5不純物拡散領域形成工程S16と、第6不純物拡散領域形成工程S17と、電極形成工程S18とを有している。
【0044】
図4は、準備工程S1を説明する断面図である。図4に示されているように、準備工程S1では、半導体基板SUBが準備される。図5は、第1不純物拡散領域形成工程S2を説明する断面図である。図5に示されているように、第1不純物拡散領域形成工程S2では、ホールバリア領域HBR及びウェル領域WRが形成される。第1不純物拡散領域形成工程S2では、第1に、ホールバリア領域HBRが形成される半導体基板SUBの部分の第1主面MS1側及びウェル領域WRが形成される半導体基板SUBの部分の第1主面MS1側に、イオン注入が行われる。このイオン注入の際、ホールバリア領域HBR及びウェル領域WRが形成されない半導体基板SUBの部分の第1主面MS1上には、レジストが配置される。このレジストは、上記のイオン注入が行われた後に除去される。第2に、半導体基板SUBに対して、熱処理が行われる。これにより、注入されたドーパントが第2主面MS2側に向かって拡散し、ホールバリア領域HBR及びウェル領域WRが形成される。
【0045】
図6は、絶縁膜形成工程S3を説明する断面図である。図6に示されているように、絶縁膜形成工程S3では、リセスRCSが形成されるとともに、リセスRCSに絶縁膜IFが埋め込まれる。絶縁膜形成工程S3では、第1に、半導体基板SUBの第1主面MS1側がエッチングされることにより、リセスRCSが形成される。このエッチングは、例えば、第1主面MS1上に配置されている酸化シリコン膜及び当該酸化シリコン膜上に配置されている窒化シリコン(SiN)膜により構成されているハードマスクを用いて行われる。このハードマスクは、リセスRCSが形成される部分に、第1主面MS1を露出させる開口が形成されている。第2に、半導体基板SUBの第1主面MS1側に対して熱酸化が行われることにより、リセスRCSが絶縁膜IFにより埋め込まれる。なお、絶縁膜IFが形成された後、上記のハードマスクは、除去される。
【0046】
図7は、第1トレンチ形成工程S4を説明する断面図である。図7に示されているように、第1トレンチ形成工程S4では、半導体基板SUBの第1主面MS1側がエッチングされることにより、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5が形成される。このエッチングは、例えば、第1主面MS1上に配置されている酸化シリコン膜及び当該酸化シリコン膜上に配置されている窒化シリコン膜により構成されているハードマスクを用いて行われる。このハードマスクは、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5が形成される部分に、第1主面MS1を露出させる開口が形成されている。なお、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5が形成された後、上記のハードマスクは、除去される。
【0047】
図8は、ゲート絶縁膜形成工程S5を説明する断面図である。図8に示されているように、ゲート絶縁膜形成工程S5では、半導体基板SUBの第1主面MS1側が熱酸化されることにより、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5の内壁面(側面、底面)上に、ゲート絶縁膜GIが形成される。
【0048】
図9は、第1ポリシリコン膜形成工程S6を説明する断面図である。図9に示されているように、第1ポリシリコン膜形成工程では、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5が形成される。第1ポリシリコン膜形成工程では、第1に、ポリシリコンが、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5内に埋め込まれる。このポリシリコンの埋め込みは、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)により行われる。このポリシリコンは、ドーパントを含有している。第2に、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5からはみ出したポリシリコンが、例えばCMPにより除去される。
【0049】
図10は、第2ポリシリコン膜形成工程S7を説明する断面図である。図10に示されているように、第2ポリシリコン膜形成工程S7では、絶縁膜IFを覆うように、第1主面MS1上にポリシリコン膜PSF6が形成される。この時点では、ポリシリコン膜PSF6はドーパントを含有していない。
【0050】
図11は、第2不純物拡散領域形成工程S8を説明する断面図である。図11に示されているように、第2不純物拡散領域形成工程S8では、第1に、イオン注入により、チャネル領域CHRが形成される。また、このイオン注入の際、ポリシリコン膜PSF6にもドーパントが注入される。第2に、ポリシリコン膜PSF6がパターンニングされる。このパターンニングは、フォトリソグラフィによりパターンニングされたレジストをマスクとするエッチングにより行われる。
【0051】
図12は、第3不純物拡散領域形成工程S9を説明する断面図である。図12に示されているように、第3不純物拡散領域形成工程S9では、イオン注入により、エミッタ領域EMRが形成される。このイオン注入の際、第2部分PSF6bとなるポリシリコン膜PSF6の部分にもドーパントが注入される。この際にドーパントが注入されなかったポリシリコン膜PSF6の部分が、第1部分PSF6aとなる。このイオン注入の際、エミッタ領域EMRが形成されない半導体基板SUBの部分の第1主面MS1上及び第2部分PSF6bが形成されないポリシリコン膜PSF6の部分上には、レジストが配置される。このレジストは、上記のイオン注入が行われた後に除去される。
【0052】
図13は、層間絶縁膜形成工程S10を説明する断面図である。図13に示されているように、層間絶縁膜形成工程S10では、層間絶縁膜ILDが形成される。層間絶縁膜形成工程S10では、第1に、層間絶縁膜ILDの構成材料(酸化シリコン)が、例えばCVDにより、ポリシリコン膜PSF6及び絶縁膜IFを覆うように第1主面MS1上に成膜される。第2に、成膜された酸化シリコンが、CMP等により平坦化される。
【0053】
コンタクトホール形成工程S11は、図3に示されているように、レジスト形成工程S111と、レジストパターンニング工程S112と、第1エッチング工程S113と、第2エッチング工程S114と、第3エッチング工程S115とを有している。
【0054】
図14Aは、レジスト形成工程S111を説明する断面図である。図14Aに示されているように、レジスト形成工程S111では、層間絶縁膜ILD上に、レジストPRが形成される。図14Bは、レジストパターンニング工程S112を説明する第1断面図である。図14Bに示されているように、レジストパターンニング工程S112では、レチクルRETを用いて、レジストPRが露光される。レチクルRETは、ガラス基板GSUBと、第1層FLと、第2層SLとを有している。第1層FLはガラス基板GSUB上に配置されており、第2層SLは第1層FL上に配置されている。第1層FL及び第2層SLは、それぞれ、珪化モリブデン(MoSi)及びクロム(Cr)により形成されている。レチクルRETは第1層FL及び第2層SLが除去されている部分を有しており、当該部分を透過した光により、レジストPRが露光される。
【0055】
図14Cは、レジストパターンニング工程S112を説明する第2断面図である。図14Cに示されているように、レジストパターンニング工程S112では、第2に、露光されたPRが、現像される。これにより、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5に対応する位置において開口するように、レジストPRがパターンニングされる。
【0056】
図14Dは、第1エッチング工程S113を説明する断面図である。図14Dに示されているように、第1エッチング工程S113では、層間絶縁膜ILD中にコンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3及びコンタクトホールCH4が形成される。第1エッチング工程S113のエッチング条件は、エッチングしようとするコンタクトホールの開口面積が大きくなるにつれてエッチング中のデポジション量が多くなるように設定される。そのため、第1エッチング工程S113が行われた後において、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3は層間絶縁膜ILDを貫通しているが、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5は層間絶縁膜ILDを貫通していない。
【0057】
より具体的には、このエッチングに用いられるエッチングガスは、フルオロカーボン系ガス(CF系ガス)である。このエッチングガスのC/F比は、0.5以上である。このエッチングガスは、例えば、ヘキサフルオロブタジエン(C)、オクタフルオロシクロブタン(C)又はオクタフルオロシクロペンテン(C)である。また、このエッチングガスは、アルゴン(Ar)及び酸素(O)とともに用いられる。第1エッチング工程S113が行われている際には、半導体基板SUBの温度は、20℃以下とされる。
【0058】
図14Eは、第2エッチング工程S114を説明する断面図である。図14Eに示されているように、第2エッチング工程S114では、コンタクトホールCH1が、トレンチTR1とトレンチTR2との間にあるチャネル領域CHRに達するように延びる。また、第2エッチング工程S114では、コンタクトホールCH2がトレンチTR3とトレンチTR4との間のチャネル領域CHR及びポリシリコン膜PSF3に達するように延びるとともに、コンタクトホールCH3がポリシリコン膜PSF5に達するように延びる。しかしながら、第2エッチング工程S114のエッチングは層間絶縁膜ILDに対する選択比の大きいエッチングガスが用いられるため、第2エッチング工程S114が行われた後において、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5は、層間絶縁膜ILDを貫通していない。上記のエッチングガスは、例えば、6フッ化硫黄(SF)である。
【0059】
図14Fは、第3エッチング工程S115を説明する断面図である。図14Fに示されているように、第3エッチング工程S115では、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が、ポリシリコン膜PSF6に向かって延び、層間絶縁膜ILDを貫通する。第3エッチング工程S115のエッチングガスには、エッチング中のデポジション性が低いエッチングガス、例えばテトラフルオロメタン(CF)が用いられる。このエッチングガスは、アルゴンとともに用いられる。
【0060】
図15は、第4不純物拡散領域形成工程S12を説明する断面図である。図15に示されているように、第4不純物拡散領域形成工程S12では、コンタクトホールCH1から露出しているチャネル領域CHRに、コンタクト領域CTRが形成される。コンタクト領域CTRは、コンタクトホールCH2から露出しているチャネル領域CHR及びポリシリコン膜PSF3並びにコンタクトホールCH3から露出しているポリシリコン膜PSF5にも形成される。また、第4不純物拡散領域形成工程S12では、コンタクト部PSF6c及びコンタクト部PSF6dも形成される。チャネル領域CHR、コンタクト部PSF6c及びコンタクト部PSF6dは、イオン注入により形成される。
【0061】
図16は、コンタクトプラグ形成工程S13を説明する断面図である。図16に示されているように、コンタクトプラグ形成工程S13では、コンタクトプラグCP1、コンタクトプラグCP2、コンタクトプラグCP3、コンタクトプラグCP4及びコンタクトプラグCP5が形成される。コンタクトプラグ形成工程S13では、コンタクトプラグCP1、コンタクトプラグCP2、コンタクトプラグCP3、コンタクトプラグCP4及びコンタクトプラグCP5の構成材料(タングステン)が、例えばCVDによりコンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5に埋め込まれる。第2に、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5からはみ出したタングステンが、例えばCMPにより除去される。
【0062】
図17は、配線形成工程S14を説明する断面図である。配線形成工程S14では、図17に示されているように、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4が形成される。配線形成工程S14では、第1に、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4の構成材料(アルミニウム合金)が、層間絶縁膜ILD上にスパッタリング等により成膜される。第2に、成膜されたアルミニウム合金が、フォトリソグラフィを用いて形成されたレジストをマスクとするエッチングにより、パターンニングされる。
【0063】
図18は、ポリイミド膜形成工程S15を説明する断面図である。図18に示されているように、ポリイミド膜形成工程S15では、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4を覆うように、層間絶縁膜ILD上にポリイミド膜PFが形成される。ポリイミド膜PFが形成された後、ポリイミド膜PFには、フォトリソグラフィを用いてパターンニングされることにより、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4の電極パッド部を露出させる開口が形成される。
【0064】
図19は、第5不純物拡散領域形成工程S16を説明する断面図である。図20は、第6不純物拡散領域形成工程S17を説明する断面図である。図19及び図20に示されているように、第5不純物拡散領域形成工程S16ではフィールドストップ領域FSRが第2主面MS2に形成され、第6不純物拡散領域形成工程S17ではコレクタ領域CLRが第2主面MS2に形成される。フィールドストップ領域FSR及びコレクタ領域CLRの形成は、第2主面MS2側からのイオン注入により行われる。
【0065】
電極形成工程S18では、第2主面MS2上に、電極ELが形成される。電極ELの形成は、例えばスパッタリングにより行われる。以上により、図1及び図2に示される構造の半導体装置DEV1が形成される。
【0066】
<半導体装置DEV1の製造方法の効果>
上記のとおり、半導体装置DEV1の製造方法では、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するためのレジストの形成は、1回のみである。そのため、半導体装置DEV1の製造方法によると、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0067】
また、半導体装置DEV1の製造方法では、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5からポリシリコン膜PSF6が露出していない状態で第2エッチング工程S114が行われ、その後に第3エッチング工程S115によりコンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5からポリシリコン膜PSF6が露出されるため、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5がポリシリコン膜PSF6を貫通することが抑制される。
【0068】
(変形例1)
変形例1に係る半導体装置DEV1を、半導体装置DEV1aとする。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0069】
<半導体装置DEV1aの構成>
以下に、半導体装置DEV1aの構成を説明する。
【0070】
図21は、半導体装置DEV1aの断面図である。図22は、半導体装置DEV1aの平面図である。図22中では、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4並びにポリイミド膜PFの図示が省略されている。図21及び図22に示されているように、半導体装置DEV1aでは、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が、平面視において第1方向D1に沿って延びている。
【0071】
半導体装置DEV1aでは、第2方向D2におけるコンタクトホールCH1の幅、第2方向D2におけるコンタクトホールCH2の幅及び第2方向D2におけるコンタクトホールCH3の幅は、第2方向D2におけるコンタクトホールCH4及び第2方向D2におけるコンタクトホールCH5の幅よりも大きい。第2方向D2は、第1方向D1に直交する方向である。
【0072】
第2方向D2におけるコンタクトホールCH1の幅、第2方向D2におけるコンタクトホールCH2の幅、第2方向D2におけるコンタクトホールCH3の幅、第2方向D2におけるコンタクトホールCH4の幅及び第2方向D2におけるコンタクトホールCH5の幅は、層間絶縁膜ILDの上面から離れるにつれて小さくなっている。すなわち、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5は、順テーパ状に形成されている。但し、層間絶縁膜ILDよりも下方にあるコンタクトホールCH1の部分、層間絶縁膜ILDよりも下方にあるコンタクトホールCH2の部分及び層間絶縁膜ILDよりも下方にあるコンタクトホールCH3の部分は、順テーパ状になっていなくてもよい。
【0073】
<半導体装置DEV1aの製造方法>
以下に、半導体装置DEV1aの製造方法を説明する。
【0074】
半導体装置DEV1aの製造方法では、第1エッチング工程S113のエッチング条件が、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が順テーパ状に形成されるように選択される。そのため、半導体装置DEV1aの製造方法では、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3よりも、第1エッチング工程S113が行われている途中で閉塞されやすい。その結果、半導体装置DEV1aの製造方法でも、第1エッチング工程S113が行われた後において、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3は層間絶縁膜ILDを貫通しているが、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5は層間絶縁膜ILDを貫通していない。
【0075】
より具体的には、半導体装置DEV1aの製造方法では、第1エッチング工程S113に用いられるエッチングガスが、水素を含むフルオロカーボン系ガスである。このエッチングガスは、例えばトリフルオロメタン(CHF)又はジフルオロメタン(CH)である。このようなエッチングガスが用いられる場合、エッチング中のデポジションの付着係数が低いことからコンタクトホールの側壁にデポジションが起こりやすくなり、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が順テーパ状に形成される。
【0076】
<半導体装置DEV1aの製造方法の効果>
半導体装置DEV1aの製造方法では、半導体装置DEV1の製造方法と同様に、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するためのレジストの形成が1回のみとなるため、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0077】
(変形例2)
変形例2に係る半導体装置DEV1を、半導体装置DEV1bとする。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0078】
<半導体装置DEV1bの構成>
以下に、半導体装置DEV1bの構成を説明する。
【0079】
図23は、半導体装置DEV1bの断面図である。図24は、半導体装置DEV1bの平面図である。図24中では、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4並びにポリイミド膜PFの図示が省略されている。図23及び図24に示されているように、半導体装置DEV1bでは、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が、平面視において第1方向D1に沿って延びている。
【0080】
半導体装置DEV1bでは、第2方向D2におけるコンタクトホールCH1の幅、第2方向D2におけるコンタクトホールCH2の幅及び第2方向D2におけるコンタクトホールCH3の幅は、第2方向D2におけるコンタクトホールCH4及び第2方向D2におけるコンタクトホールCH5の幅よりも大きい。
【0081】
<半導体装置DEV1bの製造方法>
以下に、半導体装置DEV1bの製造方法を説明する。
【0082】
半導体装置DEV1bの製造方法では、第1エッチング工程S113のエッチング条件が、第2方向D2におけるコンタクトホールCH1の幅(第2方向D2におけるコンタクトホールCH2の幅、第2方向D2におけるコンタクトホールCH3の幅、第2方向D2におけるコンタクトホールCH4、第2方向D2におけるコンタクトホールCH5の幅)が小さくなるにつれてエッチングレートが小さくなるように選択される。その結果、半導体装置DEV1bの製造方法でも、第1エッチング工程S113が行われた後において、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3は層間絶縁膜ILDを貫通しているが、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5は層間絶縁膜ILDを貫通していない。
【0083】
より具体的には、半導体装置DEV1bの製造方法では、第1エッチング工程S113に用いられるエッチングガスがフルオロカーボン系ガスであり、第1エッチング工程S113が行われている際のチャンバ内の圧力が50mTorr以上である。このエッチングガスは、例えば、フルオロメタンである。このようなエッチング条件が用いられると、第1エッチング工程S113が行われている際に、第2方向D2における幅が小さいコンタクトホールにエッチングガスが入り込みにくくなるため、第2方向D2における幅が小さいコンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5に対するエッチングレートが、第2方向D2における幅が大きいコンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3に対するエッチングレートよりも低くなる。
【0084】
<半導体装置DEV1bの製造方法の効果>
以下に、半導体装置DEV1bの製造方法の効果を説明する。
【0085】
半導体装置DEV1bの製造方法は、半導体装置DEV1の製造方法と同様に、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するためのレジストの形成が1回のみとなるため、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0086】
(変形例3)
変形例3に係る半導体装置DEV1を、半導体装置DEV1cとする。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0087】
<半導体装置DEV1cの構成>
以下に、半導体装置DEV1cの構成を説明する。
【0088】
図25は、半導体装置DEV1cの断面図である。図26は、半導体装置DEV1cの平面図である。図26中では、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4並びにポリイミド膜PFの図示が省略されている。図25及び図26に示されているように、半導体装置DEV1cでは、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が、平面視において第1方向D1に沿って延びている。但し、半導体装置DEV1cでは、平面視におけるコンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5の形状は、これに限られない。
【0089】
<半導体装置DEV1cの製造方法>
以下に、半導体装置DEV1cの製造方法を説明する。
【0090】
図27Aは、半導体装置DEV1cの製造方法のレジストパターンニング工程を説明する第1断面図である。半導体装置DEV1cの製造方法のレジストパターンニング工程S112に用いられるレチクルRETは、図27Aに示されているように、透光部RET1と、透光部RET2と、透光部RET3と、透光部RET4と、透光部RET5とを有している。コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5に対応する位置にあるレジストPRの部分は、それぞれ、透光部RET1、透光部RET2、透光部RET3、透光部RET4及び透光部RET5を透過した光により露光される。
【0091】
透光部RET1、透光部RET2及び透光部RET3における光の透過率は、透光部RET4及び透光部RET5における光の透過率よりも大きい。透光部RET1、透光部RET2及び透光部RET3における光の透過率は、例えば100パーセントである。他方で、透光部RET4及び透光部RET5における光の透過率は、例えば50パーセント以上80パーセント以下である。すなわち、透光部RET4及び透光部RET5では、レチクルRETが、ハーフトーンになっている。透光部RET1、透光部RET2及び透光部RET3では、第1層FL及び第2層SLが除去されている。他方で、透光部RET4及び透光部RET5では、第2層SLが除去されているが、第1層FLは残存している。
【0092】
図27Bは、半導体装置DEV1cの製造方法のレジストパターンニング工程を説明する第2断面図である。半導体装置DEV1cの製造方法のレジストパターンニング工程S112では、透光部RET1、透光部RET2及び透光部RET3における光の透過率が透光部RET4及び透光部RET5における光の透過率よりも大きくなっているため、露光後の現像が行われることにより、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3に対応する位置にあるレジストPRの部分に層間絶縁膜ILDを露出させる開口が形成されるが、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5に対応する位置にあるレジストPRの開口の底面にはレジストPRが残存する。
【0093】
半導体装置DEV1cの製造方法では、層間絶縁膜ILDに対するエッチングレートがレジストPRに対するエッチングレートよりも大きくなるように、第1エッチング工程S113のエッチング条件が設定される。その結果、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成する位置における層間絶縁膜ILDのエッチングがコンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3を形成する位置における層間絶縁膜ILDのエッチングよりも遅れることになり、半導体装置DEV1cの製造方法でも、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3が層間絶縁膜ILDを貫通した時点で、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5は、層間絶縁膜ILDを貫通していない。
【0094】
より具体的には、半導体装置DEV1cの製造方法では、第1エッチング工程S113に用いられるエッチングガスがフルオロカーボン系ガスであり、そのC/F比が、例えば0.5以上である。このエッチングガスは、酸素及びアルゴンとともに用いられる。このエッチングガスは、例えばオクタフルオロシクロブタン(C)である。
【0095】
<半導体装置DEV1cの製造方法の効果>
以下に、半導体装置DEV1cの製造方法の効果を説明する。
【0096】
半導体装置DEV1cの製造方法は、半導体装置DEV1の製造方法と同様に、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するためのレジストの形成が1回のみとなるため、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0097】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体装置を説明する。第2実施形態に係る半導体装置を、半導体装置DEV2とする。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0098】
<半導体装置DEV2の構成>
以下に、半導体装置DEV2の構成を説明する。
【0099】
図28は、半導体装置DEV2の断面図である。図28に示されているように、半導体装置DEV2は、半導体基板SUBと、ゲート絶縁膜GIと、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5と、絶縁膜IFと、ポリシリコン膜PSF6と、層間絶縁膜ILDとを有している。半導体装置DEV1は、さらに、コンタクトプラグCP1、コンタクトプラグCP2、コンタクトプラグCP3、コンタクトプラグCP4及びコンタクトプラグCP5と、配線WL1、配線WL2、配線WL3及び配線WL4と、ポリイミド膜PFと、電極ELとを有している。この点に関し、半導体装置DEV2の構成は、半導体装置DEV1の構成と共通している。
【0100】
半導体装置DEV2では、絶縁膜IFの上面に、トレンチTR6が形成されている。トレンチTR6は、絶縁膜IFの底面側に向かって延びている。トレンチTR6には、ポリシリコン膜PSF6が埋め込まれている。半導体装置DEV2では、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5の下端が、ポリシリコン膜PSF6まで達している。これらの点に関し、半導体装置DEV2の構成は、半導体装置DEV1の構成と異なっている。なお、半導体装置DEV2では、図示されていないが、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が、平面視において第1方向D1に沿って延びていてもよい。
【0101】
<半導体装置DEV2の製造方法>
以下に、半導体装置DEV2の製造方法を説明する。
【0102】
図29は、半導体装置DEV2の製造方法を示す工程図である。図29に示されているように、準備工程S1と、第1不純物拡散領域形成工程S2と、絶縁膜形成工程S3と、第1トレンチ形成工程S4と、ゲート絶縁膜形成工程S5と、第1ポリシリコン膜形成工程S6と、第2ポリシリコン膜形成工程S7と、第2不純物拡散領域形成工程S8と、第3不純物拡散領域形成工程S9と、層間絶縁膜形成工程S10と、コンタクトホール形成工程S11と、第4不純物拡散領域形成工程S12と、コンタクトプラグ形成工程S13とを有している。半導体装置DEV2の製造方法は、配線形成工程S14と、ポリイミド膜形成工程S15と、第5不純物拡散領域形成工程S16と、第6不純物拡散領域形成工程S17と、電極形成工程S18とをさらに有している。この点に関し、半導体装置DEV2の製造方法は、半導体装置DEV1の製造方法と共通している。
【0103】
半導体装置DEV2の製造方法は、第2トレンチ形成工程S19をさらに有している点が、半導体装置DEV1の製造方法と異なっている。半導体装置DEV2の製造方法は、第2ポリシリコン膜形成工程S7、第2不純物拡散領域形成工程S8、第3不純物拡散領域形成工程S9、層間絶縁膜形成工程S10及びコンタクトホール形成工程S11の詳細も、半導体装置DEV1の製造方法と異なっている。なお、第2トレンチ形成工程S19は、第1ポリシリコン膜形成工程S6の後であって第2ポリシリコン膜形成工程S7の前に行われる。
【0104】
図30は、半導体装置DEV2の製造方法の第2トレンチ形成工程S19を説明する断面図である。図30に示されているように、半導体装置DEV2の製造方法の第2トレンチ形成工程S19では、トレンチTR6が形成される。トレンチTR6は、第1主面MS1上に形成されているレジストをマスクとするエッチングにより形成される。なお、このレジストは、エッチング後に除去される。
【0105】
図31は、半導体装置DEV2の製造方法の第2ポリシリコン膜形成工程S7を説明する断面図である。図31に示されているように、第2ポリシリコン膜形成工程S7では、ポリシリコン膜PSF6が形成される。第2に、トレンチTR6を埋め込むように、第1主面MS1上にポリシリコン膜PSF6が形成される。この時点では、ポリシリコン膜PSF6はドーパントを含有していない。
【0106】
図32は、半導体装置DEV2の製造方法の第2不純物拡散領域形成工程S8を説明する断面図である。図32に示されているように、半導体装置DEV2の製造方法の第2不純物拡散領域形成工程S8では、第1に、イオン注入により、チャネル領域CHRが形成される。このイオン注入の際、ポリシリコン膜PSF6にも、ドーパントが注入される。第2に、トレンチTR6からはみ出しているポリシリコン膜PSF6が、例えばCMPにより除去される。
【0107】
図33は、半導体装置DEV2の製造方法の第3不純物拡散領域形成工程S9を説明する断面図である。図33に示されているように、半導体装置DEV2の製造方法の第3不純物拡散領域形成工程S9では、イオン注入により、エミッタ領域EMRが形成される。このイオン注入の際、第2部分PSF6bとなるポリシリコン膜PSF6の部分にもドーパントが注入される。この際にドーパントが注入されなかったポリシリコン膜PSF6の部分が、第1部分PSF6aとなる。このイオン注入の際、エミッタ領域EMRが形成されない半導体基板SUBの部分の第1主面MS1上及び第2部分PSF6bが形成されないポリシリコン膜PSF6の部分上には、レジストが配置される。このレジストは、上記のイオン注入が行われた後に除去される。
【0108】
図34は、半導体装置DEV2の製造方法の層間絶縁膜形成工程S10を説明する断面図である。図34に示されているように、半導体装置DEV2の製造方法の層間絶縁膜形成工程S10では、層間絶縁膜ILDが形成される。層間絶縁膜形成工程S10では、第1に、層間絶縁膜ILDの構成材料(酸化シリコン)が、ポリシリコン膜PSF6及び絶縁膜IFを覆うように、第1主面MS1上に成膜される。但し、層間絶縁膜ILDが成膜された後、層間絶縁膜ILDの上面は、CMP等により平坦化されなくてもよい。
【0109】
図35Aは、半導体装置DEV2の製造方法の第1エッチング工程S113を説明する断面図である。図35Aに示されているように、半導体装置DEV2の製造方法の第1エッチング工程S113では、層間絶縁膜ILD中にコンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が形成される。
【0110】
半導体装置DEV2の製造方法の第1エッチング工程S113では、第1エッチング工程S113が行われた後において、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3のみならず、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5も、層間絶縁膜ILDを貫通している。そのため、半導体装置DEV2の製造方法では、第3エッチング工程S115が不要となる。
【0111】
図35Bは、半導体装置DEV2の製造方法の第2エッチング工程S114を説明する断面図である。図35Bに示されているように、半導体装置DEV2の製造方法の第2エッチング工程S114では、コンタクトホールCH1が、トレンチTR1とトレンチTR2との間にあるチャネル領域CHRに達するように延びる。半導体装置DEV2の製造方法の第2エッチング工程S114では、コンタクトホールCH2がトレンチTR3とトレンチTR4との間のチャネル領域CHR及びポリシリコン膜PSF3に達するように延びるとともに、コンタクトホールCH3がポリシリコン膜PSF5に達するように延びる。
【0112】
さらに、半導体装置DEV2の製造方法の第2エッチング工程S114では、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5が、ポリシリコン膜PSF6に達するように延びる。
【0113】
<半導体装置DEV2の製造方法の効果>
以下に、半導体装置DEV2の製造方法の効果を説明する。
【0114】
上記のとおり、半導体装置DEV2の製造方法でも、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するためのレジストの形成は、1回のみである。そのため、半導体装置DEV2の製造方法によると、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0115】
また、半導体装置DEV2の製造方法では、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3が形成される部分における層間絶縁膜ILDの厚さがコンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH4が形成される部分における層間絶縁膜ILDの厚さと異ならないため、コンタクトホール形成工程S11が行われている際にポリシリコン膜PSF6がコンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5により貫通されることが抑制される。
【0116】
(変形例1)
変形例1に係る半導体装置DEV2を、半導体装置DEV2aとする。ここでは、半導体装置DEV2と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0117】
<半導体装置DEV2aの構成>
以下に、半導体装置DEV2aの構成を説明する。
【0118】
図36は、半導体装置DEV2aの断面図である。図36に示されているように、半導体装置DEV2aは、ハードマスクHM1をさらに有している。ハードマスクHM1は、第1主面MS1上及び絶縁膜IF上に配置されている。ハードマスクHM1上には、層間絶縁膜ILDが配置されている。トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5及びトレンチTR6は、ハードマスクHM1を貫通するように延びている。ハードマスクHM1は、例えば酸化シリコンにより形成されている。
【0119】
<半導体装置DEV2bの製造方法>
以下に、半導体装置DEV2aの製造方法を説明する。
【0120】
図37は、半導体装置DEV2aの製造方法を示す工程図である。図37に示されているように、半導体装置DEV2aの製造方法では、第2トレンチ形成工程S19が、絶縁膜形成工程S3の後であって第1トレンチ形成工程S4の前に行われる。半導体装置DEV2aの製造方法は、第2ポリシリコン膜形成工程S7を有していない。
【0121】
図38は、半導体装置DEV2aの製造方法の第2トレンチ形成工程S19を説明する断面図である。図38に示されているように、半導体装置DEV2aの製造方法の第2トレンチ形成工程S19では、ハードマスクHM1及びトレンチTR6が形成される。半導体装置DEV2aの製造方法の第2トレンチ形成工程S19では、第1に、第1主面MS1上に、ハードマスクHM1が形成される。
【0122】
第2に、ハードマスクHM1が、フォトリソグラフィを用いてパターンニングされたレジストをマスクとしてエッチングされる。エッチング後のハードマスクHM1は、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5に対応する位置に開口が形成される。また、このエッチングにより、ハードマスクHM1を貫通して絶縁膜IFにトレンチTR6が形成される。
【0123】
図39は、半導体装置DEV2aの製造方法の第1トレンチ形成工程S4を説明する断面図である。図39に示されているように、半導体装置DEV2aの製造方法の第1トレンチ形成工程S4では、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5が形成される。トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5は、ハードマスクHM1をマスクとするエッチングにより形成される。
【0124】
図40は、半導体装置DEV2aの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6を説明する断面図である。図40に示されるように、半導体装置DEV2aの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6では、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5に加え、ポリシリコン膜PSF6が形成される。半導体装置DEV2aの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6では、第1に、ポリシリコンが、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5及びトレンチTR6に埋め込まれる。このポリシリコンの埋め込みは、例えば、CVDにより行われる。このポリシリコンは、p型のドーパントを含有している。
【0125】
第2に、イオン注入が行われる。これにより、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5の上方にあるポリシリコンにn型のドーパントが注入される。このn型のドーパントは、イオン注入後の熱処理により、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5中に拡散し、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5の導電型がn型となる。第3に、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5及びトレンチTR6からはみ出したポリシリコンが、例えばCMPにより除去される。
【0126】
<半導体装置DEV2aの製造方法の効果>
以下に、半導体装置DEV2aの製造方法の効果を説明する。
【0127】
半導体装置DEV2aの製造方法は、半導体装置DEV2の製造方法と同様に、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するためのレジストの形成が1回のみとなるため、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0128】
半導体装置DEV2aの製造方法では、絶縁膜IF上にハードマスクHM1が形成されているため、絶縁膜IFの厚さを小さくしても、トレンチTR6の深さを確保することが可能となる。半導体装置DEV2aの製造方法では、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5及びトレンチTR6を形成するためのレジストの形成が1回のみとなるため、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5及びトレンチTR6を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0129】
また、半導体装置DEV2aの製造方法では、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4、ポリシリコン膜PSF5及びポリシリコン膜PSF6の埋め込みを1回の工程で行うことができるため、工程の簡略化が可能である。
【0130】
(変形例2)
変形例2に係る半導体装置DEV2を、半導体装置DEV2bとする。ここでは、半導体装置DEV2と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0131】
<半導体装置DEV2bの構成>
以下に、半導体装置DEV2bの構成を説明する。
【0132】
図41は、半導体装置DEV2bの断面図である。図41に示されているように、半導体装置DEV2bは、ハードマスクHM1と、ポリシリコン膜PSF7及びポリシリコン膜PSF8とをさらに有している。
【0133】
ハードマスクHM1は、第1主面MS1上及び絶縁膜IF上に配置されている。ハードマスクHM1上には、層間絶縁膜ILDが配置されている。半導体装置DEV2bでは、トレンチTR6に代えて、トレンチTR7及びトレンチTR8が形成されている。トレンチTR7及びトレンチTR8は、絶縁膜IFの上面に形成されており、絶縁膜IFの底面側に向かって延びている。トレンチTR7及びトレンチTR7は、それぞれ、平面視においてコンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5に重なる位置にある。
【0134】
トレンチTR7及びトレンチTR8には、それぞれ、ポリシリコン膜PSF7及びポリシリコン膜PSF8が埋め込まれている。トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5、トレンチTR7及びトレンチTR8は、ハードマスクHM1を貫通するように延びている。ポリシリコン膜PSF6は、ハードマスクHM1(ポリシリコン膜PSF7及びポリシリコン膜PSF8)上に配置されている。
【0135】
<半導体装置DEV2bの製造方法>
以下に、半導体装置DEV2bの製造方法を説明する。
【0136】
図42は、半導体装置DEV2bの製造方法を示す工程図である。図42に示されているように、半導体装置DEV2bの製造方法では、第2トレンチ形成工程S19が、絶縁膜形成工程S3の後であって第1トレンチ形成工程S4の前に行われる。
【0137】
図43は、半導体装置DEV2bの製造方法の第2トレンチ形成工程S19を説明する断面図である。図43に示されているように、半導体装置DEV2bの製造方法の第2トレンチ形成工程S19では、ハードマスクHM1、トレンチTR7及びトレンチTR8が形成される。半導体装置DEV2bの製造方法の第2トレンチ形成工程S19では、第1に、第1主面MS1上に、ハードマスクHM1が形成される。
【0138】
第2に、ハードマスクHM1が、フォトリソグラフィを用いてパターンニングされたレジストをマスクとしてエッチングされる。エッチング後のハードマスクHM1は、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5に対応する位置に、開口が形成される。また、このエッチングにより、ハードマスクHM1を貫通して絶縁膜IFにトレンチTR7及びTR8が形成される。
【0139】
図44は、半導体装置DEV2bの製造方法の第1トレンチ形成工程S4を説明する断面図である。図44に示されているように、半導体装置DEV2bの製造方法の第1トレンチ形成工程S4では、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5が形成される。トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4及びトレンチTR5は、ハードマスクHM1をマスクとするエッチングにより形成される。
【0140】
図45は、半導体装置DEV2bの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6を説明する断面図である。図45に示されるように、半導体装置DEV2bの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6では、ポリシリコン膜PSF1、ポリシリコン膜PSF2、ポリシリコン膜PSF3、ポリシリコン膜PSF4及びポリシリコン膜PSF5に加え、ポリシリコン膜PSF7及びポリシリコン膜PSF8が形成される。
【0141】
半導体装置DEV2bの製造方法の第1ポリシリコン膜形成工程S6では、第1に、ポリシリコンが、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5、トレンチTR7及びトレンチTR8に埋め込まれる。このポリシリコンの埋め込みは、例えば、CVDにより行われる。このポリシリコンは、n型のドーパントを含有している。第2に、トレンチTR1、トレンチTR2、トレンチTR3、トレンチTR4、トレンチTR5、トレンチTR7及びトレンチTR8からはみ出したポリシリコンが、例えばCMPにより除去される。
【0142】
図46は、半導体装置DEV2bの製造方法の第2ポリシリコン膜形成工程S7を説明する断面図である。図46に示されているように、半導体装置DEV2bの製造方法の第2ポリシリコン膜形成工程S7では、ポリシリコン膜PSF7及びポリシリコン膜PSF8を覆うように、ハードマスクHM1上にポリシリコン膜PSF6が配置される。
【0143】
なお、ポリシリコン膜PSF6は、半導体装置DEV2bの製造方法の第2不純物拡散領域形成工程S8において、p型のドーパンドがイオン注入されるとともに、フォトリソグラフィを用いてパターンニングされたレジストをマスクとするエッチングによりパターンニングされる。ポリシリコン膜PSF6は、半導体装置DEV2bの製造方法の第3不純物拡散領域形成工程S9においてn型のドーパントがイオン注入されることにより第2部分PSF6bが形成され、当該イオン注入が行われなかった部分が第1部分PSF6aとなる。半導体装置DEV2bの製造方法の層間絶縁膜形成工程S10では、層間絶縁膜ILDの上面が、例えばCMPにより平坦化される。
【0144】
<半導体装置DEV2bの製造方法の効果>
以下に、半導体装置DEV2bの製造方法の効果を説明する。
【0145】
半導体装置DEV2bの製造方法は、半導体装置DEV2の製造方法と同様に、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するためのレジストの形成が1回のみとなるため、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、コンタクトホールCH3、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5を形成するための製造コストを低減することが可能である。
【0146】
半導体装置DEV2bの製造方法では、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2及びコンタクトホールCH3が形成される部分における層間絶縁膜ILDの厚さがコンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH4が形成される部分における層間絶縁膜ILDの厚さと異なっている。しかしながら、半導体装置DEV2bの製造方法では、ポリシリコン膜PSF6の下方にポリシリコン膜PSF7及びポリシリコン膜PSF8があるため、コンタクトホール形成工程S11が行われている際に、コンタクトホールCH4によりポリシリコン膜PSF6及びポリシリコン膜PSF7が貫通されることが抑制されるとともに、コンタクトホールCH5によりポリシリコン膜PSF6及びポリシリコン膜PSF8が貫通されることが抑制される。
【0147】
第2実施形態に係る説明は、以下に付記する特徴を含む。
<付記1>
第1主面及び第2主面を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1主面上にリセスを形成し、前記リセスに絶縁膜を埋め込む工程と、
前記絶縁膜に第1トレンチを形成する工程と、
前記第1トレンチに第1ポリシリコン膜を埋め込む工程と、
前記絶縁膜及び前記第1ポリシリコン膜を覆うように前記第1主面上に層間絶縁膜を形成する工程と、
第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成する工程とを備え、
前記半導体基板は、前記第1主面に形成されている第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域の前記第2主面側に接している第2不純物拡散領域とを有し、
前記第1コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を貫通して前記第1コンタクトホールから前記第2不純物拡散領域が露出するように形成されており、
前記第2コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を貫通して前記第2コンタクトホールから前記第1ポリシリコン膜が露出するように形成されており、
前記第1コンタクトホール及び前記第2コンタクトホールを形成する工程では、第1エッチング及び第2エッチングが行われ、
前記第2エッチングは、前記第1エッチングの後に行われ、
前記第1エッチングが行われた後であって前記第2エッチングが行われる前において、前記第1コンタクトホールから前記第1主面が露出しているとともに前記第2コンタクトホールから前記第1ポリシリコン膜が露出している、半導体装置の製造方法。
【0148】
<付記2>
前記絶縁膜を覆うように前記第1主面上にハードマスクを形成する工程と、
前記第1主面に第2トレンチを形成する工程とをさらに備え、
前記絶縁膜に前記第1トレンチを形成する工程では、前記ハードマスクを用いたエッチングにより、前記ハードマスクを貫通して前記絶縁膜に前記第1トレンチが形成されるとともに、前記ハードマスクに前記ハードマスクを貫通する開口が形成され、
前記第1主面に前記第2トレンチを形成する工程では、前記ハードマスクを用いたエッチングにより、前記開口に対応する位置に前記第2トレンチが形成され、
前記第1トレンチに前記第1ポリシリコン膜を埋め込む工程では、前記第2トレンチに第2ポリシリコン膜がさらに埋め込まれ、
前記第1コンタクトホールは、前記層間絶縁膜及び前記ハードマスクを貫通して前記第1コンタクトホールから前記第2不純物拡散領域が露出するように形成されており、
前記第2コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を貫通して前記第2コンタクトホールから前記第1ポリシリコン膜が露出するように形成されている、付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0149】
<付記3>
第1主面及び第2主面を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1主面上にリセスを形成し、前記リセスに絶縁膜を埋め込む工程と、
前記絶縁膜を覆うように前記絶縁膜上にハードマスクを形成する工程と、
前記ハードマスクを貫通して前記絶縁膜に第1トレンチを形成するとともに、前記ハードマスクに前記ハードマスクを貫通する開口を形成する工程と、
前記第1主面に第2トレンチを形成する工程と、
前記第1トレンチ及び前記第2トレンチにそれぞれ第1ポリシリコン膜及び第2ポリシリコン膜を埋め込む工程と、
前記第1ポリシリコン膜を覆うように前記ハードマスク上に第3ポリシリコン膜を形成する工程と、
前記絶縁膜及び前記第3ポリシリコン膜を覆うように前記第1主面上に層間絶縁膜を形成する工程と、
第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを形成する工程とを備え、
前記半導体基板は、前記第1主面に形成されている第1不純物拡散領域と、前記第1不純物拡散領域の前記第2主面側に接している第2不純物拡散領域とを有し、
前記第2トレンチは、前記ハードマスクを用いたエッチングにより、前記開口に対応する位置に形成され、
前記第1コンタクトホールは、前記層間絶縁膜及び前記ハードマスクを貫通して前記第1コンタクトホールから前記第2不純物拡散領域が露出するように形成されており、
前記第2コンタクトホールは、前記層間絶縁膜を貫通して前記第2コンタクトホールから前記第3ポリシリコン膜が露出するように形成されており、
前記第1コンタクトホール及び前記第2コンタクトホールを形成する工程では、第1エッチング及び第2エッチングが行われ、
前記第2エッチングは、前記第1エッチングの後に行われ、
前記第1エッチングが行われた後であって前記第2エッチングが行われる前において、前記第1コンタクトホールから前記第1主面が露出しているとともに、前記第2コンタクトホールから前記第3ポリシリコン膜が露出している、半導体装置の製造方法。
【0150】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0151】
CH1,CH2,CH3,CH4,CH5 コンタクトホール、CP1,CP2,CP3,CP4,CP5 コンタクトプラグ、CTR コンタクト領域、CHR チャネル領域、CLR コレクタ領域、D1 第1方向、D2 第2方向、DEV1,DEV1a,DEV1b,DEV1c,DEV2,DEV2a,DEV2b 半導体装置、DR ドリフト領域、EL 電極、EMR エミッタ領域、FL 第1層、FSR フィールドストップ領域、GI ゲート絶縁膜、GSUB ガラス基板、HBR ホールバリア領域、HM1 ハードマスク、IF 絶縁膜、ILD 層間絶縁膜、MS1 第1主面、MS2 第2主面、PF ポリイミド膜、PR レジスト、PSF1,PSF2,PSF3,PSF4,PSF5,PSF6,PSF7,PSF8 ポリシリコン膜、PSF6c,PSF6d コンタクト部、PSF6a 第1部分、PSF6b 第2部分、RCS リセス、RET レチクル、RET1,RET2,RET3,RET4,RET5 透光部、S1 準備工程、S2 第1不純物拡散領域形成工程、S3 絶縁膜形成工程、S4 第1トレンチ形成工程、S5 ゲート絶縁膜形成工程、S6 第1ポリシリコン膜形成工程、S7 第2ポリシリコン膜形成工程、S8 第2不純物拡散領域形成工程、S9 第3不純物拡散領域形成工程、S10 層間絶縁膜形成工程、S11 コンタクトホール形成工程、S12 第4不純物拡散領域形成工程、S13 コンタクトプラグ形成工程、S14 配線形成工程、S15 ポリイミド膜形成工程、S16 第5不純物拡散領域形成工程、S17 第6不純物拡散領域形成工程、S18 電極形成工程、S19 第2トレンチ形成工程、S111 レジスト形成工程、S112 レジストパターンニング工程、S113 第1エッチング工程、S114 第2エッチング工程、S115 第3エッチング工程、SL 第2層、SUB 半導体基板、TR1,TR2,TR3,TR4,TR5,TR6,TR7,TR8 トレンチ、WL1,WL2,WL3,WL4 配線、WR ウェル領域。
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