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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069427
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】美容装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/18 20060101AFI20230511BHJP
   A61N 1/30 20060101ALI20230511BHJP
   A61N 1/06 20060101ALI20230511BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A61N1/18
A61N1/30
A61N1/06
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181266
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 くるみ
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敬介
(72)【発明者】
【氏名】岡村 武則
(72)【発明者】
【氏名】舞田 剛
(72)【発明者】
【氏名】西山 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】吉川 佐葉子
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053FF10
4C053HH02
4C053JJ24
4C053JJ32
(57)【要約】
【課題】 使用者の皮膚へ通電による刺激を付与するにあたり、電極部が移動せず皮膚に対し止まった状況に際し、最低限の通電を継続して、温熱付与の効率を高め、美容に係る効果を最大限得られるようにする美容装置を提供する。
【解決手段】 美容に係る刺激を皮膚に与える刺激付与部として、通電で刺激を与える電極部13、14が配設されると共に、制御部による通電制御が行われ、電極部の移動状態を取得した場合における第一の出力での通電とは別に、電極部の停止状態に、制御部が第一の出力より小さい第二の出力で通電を行い、停止状態でも通電を継続することで、この停止状態でも通電に伴い皮膚で熱が発生する状態をわずかながら維持でき、移動状態で一旦温めた皮膚の温度を停止状態で低下させず、新たに移動状態となって通電で皮膚を温める際に、皮膚を短時間で適切な温度に到達させられ、効率よく温熱を加えられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容に係る所定の刺激を使用者の皮膚に付与可能な刺激付与部を備える美容装置において、
少なくとも導電性を有する材質で形成され、使用者の皮膚に接触可能な状態として配設される、刺激付与部としての複数の電極部と、
前記電極部に電気的に接続され、刺激付与に係る各電極部間での使用者の身体を介した通電状態を少なくとも制御可能とされる制御部とを備え、
前記制御部が、電極部の移動状態を取得した場合には、所定の第一の出力で通電を行う一方、移動状態を取得できない場合には、前記第一の出力より小さい所定の第二の出力で通電を行うことを
特徴とする美容装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の美容装置において、
少なくとも前記電極部の移動に伴う物理量変化を検出可能な移動検出手段と、
当該移動検出手段の検出内容に基づいて電極部の移動状態を判定する判定部とを備え、
前記制御部が、前記判定部の判定結果から電極部の移動状態を取得することを
特徴とする美容装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載の美容装置において、
前記判定部が、移動状態の判定として、前記物理量変化に応じて大きさが変わる移動検出手段の出力を受け取り、出力があらかじめ設定された条件を満たす場合は移動状態と判定する一方、条件を満たさない場合は移動状態ではないと判定することを
特徴とする美容装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の美容装置において、
前記移動検出手段が、加速度を検出する加速度センサであり、
前記判定部が、移動検出手段から加速度に対応した出力を受け取り、移動状態を判定することを
特徴とする美容装置。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の美容装置において、
前記制御部が、前記電極部への全ての通電について累計時間を取得し、累計時間が所定の限界時間を超えると、通電出力を下げる制御を実行することを
特徴とする美容装置。
【請求項6】
前記請求項5に記載の美容装置において、
前記制御部が、前記電極部に対し通電出力を下げる場合に、電極部の移動状態に対応する前記第一の出力からの出力低下の度合いに対し、電極部が移動していない状態に対応する前記第二の出力からの出力低下の度合いを小さくするよう制御を行うことを
特徴とする美容装置。
【請求項7】
前記請求項5又は6に記載の美容装置において、
前記制御部が、前記累計時間として、最初の通電開始以降の、前記第一の出力以上の通電状態にある時間を積算した、総有効通電時間を取得することを
特徴とする美容装置。
【請求項8】
前記請求項2ないし4のいずれかに記載の美容装置において、
前記制御部が、前記判定部で所定の制限時間以上連続して移動状態にあると判定されている場合には、通電出力を前記第二の出力まで下げることを
特徴とする美容装置。
【請求項9】
前記請求項2ないし4のいずれかに記載の美容装置において、
前記制御部が、前記判定部で所定の制限時間以上連続して移動状態にあると判定されている場合には、判定部の異常についての警告に係る所定の報知を報知手段に行わせることを
特徴とする美容装置。
【請求項10】
前記請求項8又は9に記載の美容装置において、
前記制御部が、自動又は手動操作により一旦電源OFF状態とされてから、新たに電源ON状態に移行した際に、前記判定部で、前記電源OFFの時点で所定の制限時間以上連続して移動状態にあると判定されており、且つ電源ON状態に移行してからも判定部で依然移動状態にあると判定されている場合には、電源ONから所定時間経過の後に電源OFF状態に自動で移行することを
特徴とする美容装置。
【請求項11】
前記請求項1ないし10のいずれかに記載の美容装置において、
前記電極部の皮膚への接触の有無を検出可能な接触センサ、及び当該接触センサの出力から電極部と皮膚が接触しているか否かを判定する接触判定部を備え、
前記制御部が、所定の判定対象期間内で、前記接触判定部で電極部と皮膚が接触していると判定される状態と、接触していないと判定される状態とが切替わる中、切替わる回数が所定の基準値を上回る場合、又は、電極部と皮膚が接触していると判定される時間の累計が所定の基準値を下回る場合に、判定部の移動判定結果に関わりなく、電極部への通電出力を前記第一の出力とすることを
特徴とする美容装置。
【請求項12】
前記請求項2ないし4のいずれかに記載の美容装置において、
前記移動検出手段が、直交する三方向の各加速度を検出可能な三軸加速度センサとされ、少なくとも電極部の皮膚との接触面に対する法線方向の加速度を検出可能とするように配設され、
前記制御部が、電極部の皮膚との接触面と平行な向きへの加速度が所定の基準値を上回り、且つ、電極部の皮膚との接触面に対する法線方向の加速度も所定の基準値を上回って、電極部が移動状態にあると前記判定部で判定された場合に、電極部への通電出力を上げることを
特徴とする美容装置。
【請求項13】
前記請求項1ないし12のいずれかに記載の美容装置において、
前記制御部が、電極部間にラジオ波の帯域の通電出力を可能とされ、電極部の移動状態の取得に伴って通電を開始させた直後の所定時間の間、電極部への通電出力を上げることを
特徴とする美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の皮膚に対し所定の美容に係る効果を与える美容装置に関する。
なお、本発明で美容効果を与える対象としての「皮膚」と共に用いる「肌」の語は、体表面のみでなく皮下脂肪等の皮下組織を含む体表層の「皮膚」と同義のものとして扱っている。
【0002】
また、本発明で皮膚に刺激を付与する「刺激付与部」は、接触などの、皮膚において一般的な意味での刺激を与えるものを指す他、微弱電流の皮膚への通電のように、外部から付与されても人が自覚できない強度の皮膚への作用、を生じさせるものも、皮膚に対し意図的に与える機構を伴うものであれば、「刺激付与部」に含まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
使用者の顔等の肌(皮膚)に対し所定の美容・美肌に係る各種動作を実行する美容装置は、家庭で用いられる簡易な単機能、低出力のものから、業務用として用いられる多機能、高出力のものまで、様々な種類のものが利用されている。
【0004】
こうした美容装置のうち、皮膚に接した電極から高周波あるいはラジオ波(RF;Radio Frequency)と呼称される周波数帯域の電流を皮膚に供給し、この電流による発熱作用で皮膚など身体の一部を局所的に温め、美容効果を得ようとするものが近年注目されている。
このような従来の美容装置の一例として、特開2014-87687号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-87687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の美容装置は前記特許文献に示される構成となっており、こうした装置の使用の際には、通常、装置本体部から突出した通電用の電極を、顔など美容対象の皮膚に当てた上で、皮膚に対し通電する操作を使用者が行うことで、皮膚に通電による温熱刺激を与えることができた。
【0007】
こうした従来の装置で、電極を皮膚に当接させ、皮膚に通電を行う時に、装置を動かさず、皮膚の一定箇所に継続して通電を行うと、電流による刺激が過度に加わったり、通電された箇所が過度に熱を帯びることで、使用者の不快感を招くおそれがあった。このため、装置の移動状態を検出するセンサを設けて、装置が停止した状態を判別し、停止の際には通電を中断するようにしていた。
【0008】
しかし、こうしたセンサの検出に基づいて、装置が移動しない停止状態で通電を止めると、皮膚で熱が発生しない状態となることから、温熱による効果が得られないことに加え、一旦温めた皮膚の温度が低下し、再度移動状態となって通電を再開した際に皮膚が温まるまで時間がかかり、効率よく温熱を加えられないという課題を有していた。
【0009】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、使用者の皮膚へ通電による刺激を付与するにあたり、電極部が移動せず皮膚に対し止まった状況に際し、最低限の通電を継続して、温熱等の刺激付与の効率を高め、美容に係る効果を最大限得られるようにする美容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の開示に係る美容装置は、美容に係る所定の刺激を使用者の皮膚に付与可能な刺激付与部を備える美容装置において、少なくとも導電性を有する材質で形成され、使用者の皮膚に接触可能な状態として配設される、刺激付与部としての複数の電極部と、前記電極部に電気的に接続され、刺激付与に係る各電極部間での使用者の身体を介した通電状態を少なくとも制御可能とされる制御部とを備え、前記制御部が、電極部の移動状態を取得した場合には、所定の第一の出力で通電を行う一方、移動状態を取得できない場合には、前記第一の出力より小さい所定の第二の出力で通電を行うものである。
【0011】
このように本発明の開示によれば、美容に係る刺激を皮膚に与える刺激付与部として、通電で刺激を与える電極部が配設されると共に、制御部による通電制御が行われ、電極部の移動状態を取得した場合における第一の出力での通電とは別に、電極部の移動状態を取得できない停止状態に、制御部が第一の出力より小さい第二の出力で通電を行い、電極部が移動状態から停止状態に移行しても通電を継続することにより、電極部の停止状態でも、通電に伴い皮膚へ刺激が付与される状態をわずかながら維持でき、特に温熱刺激付与の場合、電極部の移動状態で一旦温めた皮膚の温度を停止状態で低下させず、新たに移動状態となってあらためて第一の出力で通電して皮膚を温める際に、皮膚を短時間で適切な温度に到達させることができ、効率よく温熱を加えられる。
【0012】
また、通電中に電極部を皮膚に接触したまま停止させた場合でも、制御部が通電出力を第二の出力まで下げることで、皮膚を安全な状態に維持することができ、誤って通電がそのまま第一の出力で継続されて使用者に電流の刺激や過度の発熱等による不快感を与えるような事態を防ぎつつ、刺激付与による美容効果が得られる可能性を残せることとなる。
【0013】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、少なくとも前記電極部の移動に伴う物理量変化を検出可能な移動検出手段と、当該移動検出手段の検出内容に基づいて電極部の移動状態を判定する判定部とを備え、前記制御部が、前記判定部の判定結果から電極部の移動状態を取得するものである。
【0014】
このように本発明の開示によれば、電極部の移動に起因する物理量変化を検出する移動検出手段と共に、この移動検出手段の検出を基に電極部の移動状態を判定する判定部が設けられ、制御部による電極部の移動状態の取得が判定部の判定に基づくものとされ、移動検出手段で電極部の移動に係る変化を検出すると、一旦判定部でそれを移動状態と見なせるか否かを判定することにより、移動検出手段で検出された移動に係る検出内容について、判定部で条件に基づいてフィルタリングして、移動状態とみなすべきでない、例えば電極部のほぼ停止状態に近いわずかな動きをそのまま移動状態として取り扱うようなことを排除でき、移動から停止へ又はその逆への頻繁な切替わりと、それに伴って通電が中断を挟んで小刻みになされる事態を防止でき、適切に通電を連続させて効率よく刺激を付与可能とすると共に、電極部がわずかに動くのみで実質停止した状態での移動検出による皮膚の同じ部位への連続通電を回避でき、通電の安全性を高められる。
【0015】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記判定部が、移動状態の判定として、前記物理量変化に応じて大きさが変わる移動検出手段の出力を受け取り、出力があらかじめ設定された条件を満たす場合は移動状態と判定する一方、条件を満たさない場合は移動状態ではないと判定するものである。
【0016】
このように本発明の開示によれば、判定部で移動検出手段の検出内容から電極部の移動状態を判定するにあたり、電極部の移動を示す物理量の変化の大きさに応じて大きさが変わる移動検出手段の出力について、あらかじめ設定された所定の条件を満たした場合のみを移動状態と判定し、この判定結果に基づいて制御部で通電状態が制御されることにより、移動検出手段の出力の変化が満たすべき条件について、適切な移動に相当する動きのみを抽出できる条件を設定すれば、電極部がわずかに動く程度であれば移動状態とは判定しないようにして、電極部がほとんど移動しない実質停止状態での連続通電を回避でき、例えば使用者の身体の微少な動きに合わせて皮膚に接触させた電極部も動くことで、電極部が皮膚に対し相対的に停止状態にあっても移動検出手段での検出がなされる場合に、判定部で移動状態として判定しないようにすることができ、実質停止状態での通電実行を防いで安全性を向上させられる。
【0017】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記移動検出手段が、加速度を検出する加速度センサであり、前記判定部が、移動検出手段から加速度に対応した出力を受け取り、移動状態を判定するものである。
【0018】
このように本発明の開示によれば、電極部の移動が加速度の変化として検出される加速度センサとしての移動検出手段の出力に対し、判定部があらかじめ設定された所定の条件を満たした場合のみを移動状態と判定することにより、移動検出手段の出力の変化が満たすべき条件について、適切な移動に相当する動き、例えば所定時間内で加速度が所定の基準値以上となる回数や時間が、設定された最低値を上回る場合、を抽出できるようにすれば、電極部がほぼ移動しないものの微少な加速度変化を生じさせる状態で、判定部が移動状態と判定することを防止でき、通電をより安全に実行できる。
【0019】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記制御部が、前記電極部への全ての通電について累計時間を取得し、累計時間が所定の限界時間を超えると、通電出力を下げる制御を実行するものである。
【0020】
このように本発明の開示によれば、制御部で電極部に通電した累計時間を取得して、この累計時間があらかじめ設定された限界値の時間を超えた場合には、制御部で通電状態における通電出力を下げる制御を行い、電極部の移動状態や停止状態に関わりなく通電を抑えることにより、使用が長くなるのに伴い通電出力を下げて、連続通電による皮膚への影響の蓄積を抑えられることとなり、皮膚の過熱等の不快感に繋がる事態を防いで安全性をより一層高められる。また、使用時間が長くなり刺激を付与された時間も長くなった皮膚への、さらなる通電による負担を減らせると共に、電力消費を抑えられる。
【0021】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記制御部が、前記累計時間として、最初の通電開始以降の、前記所定出力での通電状態にある時間を積算した、総有効通電時間を取得するものである。
【0022】
このように本発明の開示によれば、制御部で取得する累計時間を、所定出力での通電状態にある時間を積算した総有効通電時間とし、制御を行うにあたり、皮膚に対し実際に所定出力で通電を行った時間の合計値を用いて実行判断することにより、通電による皮膚への負担をより正確に評価して、時間制限や出力調整等の通電に係る制御を実行でき、使用時間が長くなった状況での皮膚への負担軽減を適切なタイミングで実現できる。
【0023】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記制御部が、前記電極部に対し通電出力を下げる場合に、電極部の移動状態に対応する前記第一の出力からの出力低下の度合いに対し、電極部が移動していない状態に対応する前記第二の出力からの出力低下の度合いを小さくするよう制御を行うものである。
【0024】
このように本発明の開示によれば、制御部で通電状態における通電出力を下げるにあたり、電極部の移動状態で出力を低下させる度合いより、電極部の停止状態で出力を低下させる度合いを小さくして、電極部の停止状態における最低限の通電を確保することにより、移動状態の通電については第一の出力から十分出力を下げて、通電の安全性を高める一方、停止状態では通電出力の下げ幅を抑え、刺激付与による皮膚への美容効果がわずかでも発揮される状態を維持して、通電出力の過度の低下で効果が期待できない状態に陥ることを防止できる。
【0025】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記制御部が、前記判定部で所定の制限時間以上連続して移動状態にあると判定されている場合には、通電出力を前記第二の出力まで下げるものである。
【0026】
このように本発明の開示によれば、判定部が移動状態にあると判定している状態があらかじめ設定された制限時間以上続いていると、これを制御部が異常と認定して通電を抑えることにより、仮に電極部が停止状態であっても判定部で移動状態と誤って判定して、制御部で通電を実行している場合でも、制御部で通電を抑えて安全性を確保でき、使用者に過度の刺激が加わって不快感を与えることを防止できる。
【0027】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記制御部が、前記判定部で所定の制限時間以上連続して移動状態にあると判定されている場合には、判定部の異常についての警告に係る所定の報知を報知手段に行わせるものである。
【0028】
このように本発明の開示によれば、判定部が移動状態にあると判定している状態があらかじめ設定された制限時間以上続いていると、これを制御部が異常と認定して警告に係る報知を報知手段に行わせ、使用者が異常状態に対し注意を向けやすくすることにより、使用者が報知を通じて異常を認識して何らかの対応を取りやすくなり、装置を安全に使用できる。
【0029】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記制御部が、自動又は手動操作により一旦電源OFF状態とされてから、新たに電源ON状態に移行した際に、前記判定部で、前記電源OFFの時点で所定の制限時間以上連続して移動状態にあると判定されており、且つ電源ON状態に移行してからも判定部で依然移動状態にあると判定されている場合には、電源ONから所定時間経過の後に電源OFF状態に自動で移行するものである。
【0030】
このように本発明の開示によれば、制御部が使用状態にあった装置を自動で電源OFF状態に移行させるか、又は使用者の操作で電源OFFとされた後、新たに電源ONとなった状態で、判定部が電源OFF時点に引き続いて電極部が移動状態にあると判定している場合には、制御部が最終的に電源OFF状態に移行させることにより、使用者は装置の強制的なOFF状態への移行を受けて異常を強く認識して何らかの対応を取ることができ、装置を安全に使用できる。また、電源ONとして通電を行おうとした場合でも、電源OFF状態に自動移行させて、判定部の異常が疑われる状態で移動時に相当する通電を実行させないようにすることで、使用者に通電に基づく不快感を生じさせないなど、安全を確保できる。
【0031】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記電極部の皮膚への接触の有無を検出可能な接触センサ、及び当該接触センサの出力から電極部と皮膚が接触しているか否かを判定する接触判定部を備え、前記制御部が、所定の判定対象期間内で、前記接触判定部で電極部と皮膚が接触していると判定される状態と、接触していないと判定される状態とが切替わる中、切替わる回数が所定の基準値を上回る場合、又は、電極部と皮膚が接触していると判定される時間の累計が所定の基準値を下回る場合に、判定部の移動判定結果に関わりなく、電極部への通電出力を前記第一の出力とするものである。
【0032】
このように本発明の開示によれば、接触センサで電極部の皮膚への接触の有無を検出し、センサ出力に基づいて接触判定部で電極部と皮膚が接触しているか否かを判定し、所定の判定対象期間内で、電極部と皮膚が接触していると判定される状態と接触していないと判定される状態との切替わりが基準を超える頻度で生じたり、電極部と皮膚が接触していると判定される時間の累計が基準より少ない場合、制御部は電極部に第一の出力で通電を行わせ、皮膚に通電による刺激を付与可能とすることにより、電極部の皮膚への適切な範囲での連続した接触が認められない状況では、電極部の移動状態に関わりなく通電出力を第一の出力とし、通電の影響をできるだけ皮膚各部位に及ぼせるようにして、通電による効果を効率よく付与できる。一方、電極部が皮膚に接触して停止する状態は連続しないと見なせることから、第一の出力で通電がなされても皮膚の安全は確保できる。
【0033】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記移動検出手段が、直交する三方向の各加速度を検出可能な三軸加速度センサとされ、少なくとも電極部の皮膚との接触面に対する法線方向の加速度を検出可能とするように配設され、前記制御部が、電極部の皮膚との接触面と平行な向きへの加速度が所定の基準値を上回り、且つ、電極部の皮膚との接触面に対する法線方向の加速度も所定の基準値を上回って、電極部が移動状態にあると前記判定部で判定された場合に、電極部への通電出力を上げるものである。
【0034】
このように本発明の開示によれば、移動検出手段としての三軸加速度センサで、電極部の皮膚との接触面に対する法線方向の加速度と、電極部の皮膚との接触面と平行な向きへの加速度をそれぞれ検出し、電極部の皮膚との接触面と平行な向きへの加速度が所定の基準値を上回り、且つ、電極部の皮膚との接触面に対する法線方向の加速度も所定の基準値を上回ることで、判定部が電極部の移動状態にあると判定すると、制御部が電極部への通電出力を上げて、通電による皮膚への影響を強めることにより、検出された加速度から電極部の皮膚に沿った移動と、皮膚に対し近付けたり離したりする移動が頻繁に生じる状況で、こうした頻繁な移動に伴い相対的に弱まる皮膚各部位への通電の影響を出力上昇で補うことができ、安全性を確保しつつ通電による効果を効率よく付与できる。
【0035】
また、本発明の開示に係る美容装置は必要に応じて、前記制御部が、電極部間にラジオ波の帯域の通電出力を可能とされ、電極部の移動状態の取得に伴って通電を開始させた直後の所定時間の間、電極部への通電出力を上げるものである。
【0036】
このように本発明の開示によれば、制御部での電極部の移動状態の取得に伴ってラジオ波の帯域の通電が開始した直後の所定時間に、通電出力を上げ、通電による皮膚の加熱作用を強化することにより、通電の初期段階で急速に皮膚の温度を高められ、短時間に効率よく熱を付与して温熱刺激の効果を向上させられる
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態に係る美容装置の正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る美容装置の背面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る美容装置の平面図である。
図4図3のA-A断面要部拡大図である。
図5】本発明の一実施形態に係る美容装置の右側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る美容装置のブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係る美容装置における制御状態説明図である。
図8】本発明の一実施形態に係る美容装置における判定部の移動判定状態説明図である。
図9】本発明の一実施形態に係る美容装置における通電出力のスイッチング制御でのデューティ比変更による調整概念説明図である。
図10】本発明の一実施形態に係る美容装置における第一限界時間経過後の通電出力調整及び当該調整に係るスイッチング制御でのデューティ比変更状態の説明図である。
図11】本発明の一実施形態に係る美容装置における三軸加速度センサ検出値に基づく通電出力調整及び当該調整に係るスイッチング制御でのデューティ比変更状態の説明図である。
図12】本発明の一実施形態に係る美容装置における接触判定状態変化に伴う通電制御状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態に係る美容装置を前記図1ないし図12に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る美容装置1は、使用者により保持される本体部10と、この本体部10に配設されて皮膚に接触可能とされるヘッド部11と、このヘッド部11に所定の間隔で取付けられる刺激付与部としての二つの電極部13、14と、これら電極部13、14への通電状態等を制御する制御部19とを備える構成である。
【0039】
前記本体部10は、中空の略筒状体として形成され、ヘッド部11が一端に配設される一方、他端側所定長さ範囲を使用者が使用時に手で把持して装置全体を保持可能な所定太さの把持部10aとされる構成である。この本体部10の内部には、制御部19等の電気回路や電源としての電池(図示を省略)が配設される。
【0040】
本体部10における、把持部10aの一部には、使用者の入力操作を受けて美容に係る作動のON、OFFや作動の種類、強弱等を切換えるための操作部15と、作動状態を表示する報知手段としての表示部16が配設される。一方、把持部10aの背面側には、導電性部材からなり制御部19と接続された補助電極部10bが配設され、使用者が把持部10aを手で把持するとその手と補助電極部10bとが接触することとなる。この補助電極部10bも、後述するイオン導入などの施術内容によっては、一種の刺激付与部となる。なお、補助電極部10bを設ける代わりに、本体部10の把持部10aを導体製とし、制御部19と電気的に接続して一種の電極部として使用可能とすることもできる。
【0041】
操作部15には、電源スイッチ15aと、作動モードを切替えるモード切替スイッチ15bとが設けられている。また、表示部16は、操作部15のある箇所の本体部表面に設けられ、通電出力の強度に応じて点灯状態を変化させる仕組みである。
【0042】
ヘッド部11やその近傍の本体部10は、イオン導入の実行の際など必要に応じてコットンパフ等の多孔質被覆体(図示を省略)をヘッド部11に沿うように保持できる構造とすることもできる。
【0043】
また、本体部10の内部には、本体部10の移動により変化する加速度を検出することで、本体部10と一体に動く電極部13、14の移動を検出可能とする、移動検出手段としての加速度センサ17が設けられる。
【0044】
加速度センサ17は、直交する三方向の各加速度を検出可能な公知の三軸加速度センサであり、電極部13、14の皮膚との接触面と平行な向き(X軸方向、Y軸方向)への加速度、及び、電極部13、14の皮膚との接触面に対する法線方向(Z軸方向)の加速度をそれぞれ検出可能とされる構成である。
【0045】
前記ヘッド部11は、電極部13、14を一部露出させた状態で本体部10の一端に取り付けられるカバー部11aと、本体部10に取り付けられて電極部13、14を本体部10内から支持する基部11bと、電極部13、14と基部11bとの間に配設されるパッキン11cと、電極部13、14の皮膚への接触の有無を検出可能な接触センサ18とを備える構成である。
【0046】
前記カバー部11aは、樹脂等の絶縁体製とされ、電極部13、14に対応する開口部11dが設けられるものである。開口部11dは各電極部の外形よりわずかに大きい貫通孔である。
【0047】
前記基部11bは、樹脂等の絶縁体製とされ、本体部10に取り付けられる板状部分から各電極部13、14を裏から支える柱状部分が突出した形状として形成される構成である。
この基部11bに対し、制御部19に接続されて本体部10内部から延出する導線が、基部11bを貫通して、電極部13、14に電気的に接続されることとなる。
【0048】
前記パッキン11cは、カバー部11a及び基部11bよりも弾性変形しやすいゴム等の軟質材で形成され、カバー部11a及び電極部13、14と基部11bとの間に介在するよう配設される構成である。
【0049】
パッキン11cは、カバー部11aの取り付け状態で、基部11b及び本体部10とカバー部11aに挟持されて圧縮力を受けており、パッキン表面は基部11b及び本体部10とカバー部11a、電極部13、14に密着し、カバー部11aと基部11bとの間、並びに、カバー部11aと本体部10との間を封止して、汗や化粧水等の水分や異物の内部への侵入を防止できる。
【0050】
前記接触センサ18は、本体部10内部の制御部19と接続されて、ヘッド部11の所定箇所に配設され、電極部13、14の皮膚への接触の有無を検出するものである。この接触センサ18としては、公知の静電容量形近接センサなどを用いることができる。なお、接触センサを設ける他に、電極部に流れる電流が皮膚との接触前後で大きく変化することを利用して、電極部の電流値の変化から接触の有無を検知するようにしてもよい。
【0051】
前記電極部13、14は、金属等の導電性を有する材質からなり、略C字状に湾曲した形状とされ、カバー部11aの中心に対して対称関係となるように並べて対向配置され、皮膚に面接触可能となるようにカバー部11aの表面からわずかに突出させて配設される構成である。電極部13、14は、金属等の導体で形成するほか、プラスチック等の絶縁材の表面に金属等の導体製シートや薄膜を固定して形成する構成とすることもできる。
【0052】
電極部13、14は、本体部10内で制御部19と電気的に接続されており、皮膚と接触している状態では、制御部19により電極部13、14間を皮膚を介した通電状態とすることができる。
【0053】
これら電極部13、14間において皮膚を介した通電状態とすると、皮膚を流れる高周波電流の作用で熱を発生させ、皮膚を温めてその温度を上昇させることで、皮膚に温熱の刺激を付与可能である。
【0054】
また、電極部13、14は、把持部10aにある補助電極部10bとの間でも、使用者の体を介して通電可能とされる。電極部13、14と補助電極部10b間での通電の場合は、電極部13、14の接する皮膚への通電に伴って、イオン性の有効成分を通電に基づくイオン移動によって皮膚内部に導入するイオントフォレーシス(イオン導入)を実行したり、逆に、帯電した老廃物等の汚れ成分を通電により皮膚側から電極部13、14側に移行させるクレンジング(イオン導出)を行うことができる。
【0055】
電極部13、14及び補助電極部10aを用いて皮膚に対する通電(イオン導入等)を行う場合には、使用者が把持部10aを持って使用者の掌や手の指等と補助電極部10bとを接触させ、また制御部19により電極部13、14と補助電極部10b間に電圧が加えられて通電が起こり得る状態とされた上で、使用者がヘッド部11を直接、又は、電解質成分を含む化粧水等の液剤が含浸した多孔質被覆体を介して、顔等の皮膚に接触させる。これにより、電極部13、14と補助電極部10bとを使用者の体を介して電気的接続状態とすることができ、電極部13、14の接する皮膚への通電が生じる。
【0056】
こうした電極部13、14の接する皮膚への通電に伴って、あらかじめ皮膚表面に塗布したか、多孔質被覆体に染込ませたかした化粧水等の液剤中に含まれるイオン性の有効成分を、制御部19からの電流に基づくイオン移動によって皮膚内部に導入するイオン導入(イオントフォレーシス)を実行できる。また、皮膚のクレンジング(イオン導出)として、帯電した老廃物等の汚れ成分を通電により皮膚側から電極部13側に移行させ、ヘッド部表面に保持した多孔質被覆体に取込む状態を得ることもできる。こうしたイオン導入やクレンジングの手法自体は公知のものであり、詳細な説明を省略する。
【0057】
なお、こうしたイオン導入等のための通電の場合には、ヘッド部11における二つの電極部13、14の使用は必須ではなく、いずれか一方の電極部と補助電極部10bとの間で通電状態とする、すなわち、対をなす電極部13と補助電極部10bとの間で通電状態とする、又は、対をなす電極部14と補助電極部10bとの間で通電状態とする構成としてもかまわない。
【0058】
前記制御部19は、本体部10に内蔵され、使用者の操作部15への入力操作を受けたり、センサ出力等に基づく状態変化を取得して、対をなす電極部13、14間の通電を制御し、皮膚への通電状態を調整可能とするものである。ただし、電極部13、14間に流れる高周波の電流は高周波出力部20から出力される仕組みであり、制御部19は高周波出力部20を通じて電極部13、14への通電状態を制御することとなる。
【0059】
制御部19は、美容用途ごとに各部の作動モードを設定しており、本実施形態においては、皮膚を温めて活性化する温熱モード、皮膚の深部に化粧水等のイオン性有効成分を浸透させ、しっとり感を高めるイオン導入モード、及び、皮膚に蓄積している有害成分や老廃物を除去するクレンジングモード、の三つがある。
【0060】
前記作動モードのうち、温熱モードでは、対をなす電極部13、14間を通電状態とする。イオン導入モードとクレンジングモードでは、電極部13及び電極部14の少なくとも一方と補助電極部10bとが対をなし、制御部19はこれら電極部と補助電極部10b間を通電状態とする。
【0061】
制御部19における作動モードの切替えは、操作部15のモード切替スイッチ15bに対する使用者の入力操作に基づいて行われる。使用者がモード切替スイッチ15bを操作することで、制御部19は、温熱モード、イオン導入モード、及びクレンジングモードを切り替えて、各モードのいずれかを実行可能な状態とする制御を行うこととなる。
【0062】
なお、操作部15にさらに通電の強弱切替用のスイッチを設け、制御部19が操作部15で選択された各作動モードに対応して、電極部13、14間、又は電極部13、14と補助電極部10b間をそれぞれ通電状態とする場合に、この強弱切替用のスイッチ操作を受けて、通電により使用者の皮膚を流れる電流の強さの調整制御を行うようにすることもできる。この場合、制御部19は、強弱切替用のスイッチに対する使用者の入力操作に応じて、通電の強弱を複数段階に切り替えられるようにするのが望ましい。
【0063】
また、制御部19は、加速度センサ17の出力から電極部13、14が移動状態にあるか否かを判定する判定部19aと、接触センサ18の出力から電極部13、14と皮膚が接触しているか否かを判定する接触判定部19bを備える。
【0064】
判定部19aは、加速度センサ17の出力を受け、センサ出力値(加速度)があらかじめ設定された条件を満たす場合は、電極部13、14は移動状態と判定する(H出力;図7参照)一方、条件を満たさない場合は移動状態ではないと判定する(L出力;図7参照)ものである。
【0065】
判定部19aは、より具体的には、得られた加速度とあらかじめ設定された基準値との関係が所定の条件、例えば、所定の判定対象時間(例えば、0.5秒)内に加速度の値があらかじめ設定された基準値を超えた頻度(回数)又は割合(前記判定対象時間に対して加速度の値が基準値を超えた時間の占める比率)を計測し、これが設定された下限値を上回ること、を満たす場合は、移動状態と判定する一方、前記基準値との関係が前記条件を満たさない場合は移動状態ではないと判定する(図8参照)。
【0066】
移動検出手段が加速度センサ17の場合、ヘッド部11の皮膚に対する相対移動がない状態でも、皮膚の方が動いている場合には、これに接触するヘッド部11及び電極部13、14も合わせて動くことで、この動きに応じたセンサ出力がなされることもある。しかし、こうした動きは総じて小さいことから、判定部19aで適切に基準値を設定して移動として判定しないようにすれば、実質停止状態にもかかわらず通電を実行してしまう事態を防止できる。
【0067】
接触判定部19bは、接触センサ18から接触有りを示す出力がなされた場合は、電極部13、14と皮膚とが接触状態にあると判定するなど、接触センサ18の出力に従って判定を行うものである。
【0068】
制御部19は、判定部19aの判定結果から電極部13、14の移動状態を取得する。
そして、制御部19は、移動状態の取得状況に応じて、電極部13、14や補助電極部10bへの通電出力を増大又は減少させる、例えば、電極部13、14や補助電極部10bへの通電状態を、第一の出力で通電を行う状態と、この第一の出力より小さい第二の出力で通電を行う状態とのいずれかに切替える、ようにしたり、表示部16(報知手段)に所定の報知を行わせる、といった各種制御を実行可能とされる。
合わせて、制御部19は、判定部19aでの移動判定が続くと、判定部19aを異常状態と認定して所定の制御を実行する機能も有する。
【0069】
さらに、制御部19は、タイマー機能による計時を、電源ONや所定の作動開始に合わせて開始し、経過時間があらかじめ設定された所定時間に達すると、所定の制御を実行可能とされる。
例えば、制御部19は、電極部13、14への全ての通電について累計時間を取得し、累計時間が所定の限界値を超えると、通電出力を下げる制御を行う。
【0070】
この他、制御部19は、接触判定部19bの判定結果から電極部13、14の皮膚との接触状態を取得可能とされる。そして、この取得した接触状態に対応して、制御部19は、電極部13、14や補助電極部10bへの通電状態を通常の通電と通電出力を下げた又は止めた状態のいずれかに切り替えたり、電極部13、14や補助電極部10bへの通電出力を増大又は減少させたり、タイマー機能による計時を停止しあるいは新規開始する制御を実行する仕組みである。
【0071】
次に、本実施形態に係る美容装置の作動状態について説明する。前提として、使用者が美容装置1の把持部10aを持ってヘッド部11を、使用したい皮膚の部位に向けられる状態にあるものとする。そして、美容装置1の電源部(電池)は十分な容量を有して、操作部15の各スイッチでモードを選択入力されれば、各モードの作動をあらかじめ設定された期間の終了まで無理なく継続できる状態であるものとする。
【0072】
皮膚への温熱付与を行う場合には、使用者はヘッド部11の電極部13、14が皮膚に当接可能な状態とする。同時に、通電対象の皮膚、例えば、顔の頬や額などの皮膚、に乳液やクリーム、化粧水等の美容用液剤を付けてなじませた状態とする。
【0073】
使用者が操作部15の電源スイッチ15aを操作して、電源ONとし、さらに使用者がモード切替スイッチ15bを操作して、温熱モードを選択すると、制御部19は対をなす電極部13、14間にラジオ波(RF)、例えば、周波数が1MHzの、正弦波の交流電流を流す通電状態の開始を可能とする。ただし、電極部13、14を皮膚から離している状態では、電極部13、14間が皮膚(肌)を介して閉じた回路となっていないため、通電はない。また、制御部19は、表示部16を通電出力の設定強度に応じた点灯状態で点灯開始させる。
【0074】
電極部13、14を皮膚に接触させると、電極部13、14間において皮膚を介した通電状態となり、皮膚を流れる高周波電流の作用で熱が発生し、皮膚を温めてその温度を上昇させ、皮膚に温熱の刺激を付与することができる。
【0075】
また、皮膚が温められることで、皮膚の血行や代謝を促せると共に、皮膚は乳液やクリームにおける有効成分が浸透しやすい状態に変化して、こうした各種有効成分が皮膚に無理なく浸透して確実に美容効果を与えられる。
【0076】
電極部13、14を皮膚に当接させたまま皮膚上で少しずつ移動させると、通電の対象位置を変えることができ、使用者は、例えば頬や額などの皮膚に対し、電極部13、14のあるヘッド部11を皮膚表面に沿って滑らせて移動させながら、各部に通電による温熱刺激を付与していく。
【0077】
電極部13、14を皮膚に当接させたまましばらく停止させた場合、皮膚の過熱防止のため、制御部19が通電出力を第二の出力まで下げることで、通電による温熱刺激の付与は最小限に抑えられる。この他、電極部13、14を皮膚から離した場合や、自動停止を設定された所定時間が経過した場合には、通電による温熱刺激の付与は停止する。
【0078】
皮膚への通電を終える場合は、使用者が操作部15のモード切替スイッチ15bを操作して他の作動モードに切替えるか、電源スイッチ15aを操作して電源OFF状態に切替えるようにすれば、電極部13、14間の通電が停止し、通電による皮膚への温熱付与も終了する。なお、電源OFFの際の出力レベルを制御部19で記録保持し、次回の皮膚への通電の際に同じ出力レベルで通電を実行できるようにしてもかまわない。
【0079】
この他、皮膚に対しクレンジングやイオン導入を行う場合には、使用者はあらかじめ電極部13、14のあるヘッド部11を皮膚の正面に位置させ、ヘッド部11を皮膚に当接可能としておく。そして、クレンジングの場合は電解質成分を含んだふき取り用化粧水等を、イオン導入の場合は電解質成分を含んだ保護化粧水等を、直接皮膚に塗布するか、コットンパフ等の多孔質被覆体に染みこませてヘッド部11上にこの多孔質被覆体を保持した状態とする。
【0080】
使用者が、操作部15のモード切替スイッチ15bを操作して、クレンジングモード又はイオン導入モードを選択すると、制御部19は、ヘッド部11の電極部13、14と補助電極部10b間に微弱電流を流す通電状態の開始を可能とする。ただし、ヘッド部11を皮膚から離している状態では、電極部13、14と補助電極部10b間が体を介して閉じた回路となっていないため、通電はない。
【0081】
使用者が、保持する美容装置10を動かし、ヘッド部11を直接、又は多孔質被覆体を介して皮膚に接触させると、電極部13、14と補助電極部10bとが、使用者の体と、あらかじめ皮膚表面に塗布したか、多孔質被覆体に染込ませたかした化粧水を介した通電状態となる。クレンジングの場合には皮膚表面や内部の帯電した微細な汚れ成分を皮膚側から多孔質被覆体側に移行させて皮膚の汚れを除去できる。また、イオン導入の場合には化粧水中のイオン性の有効成分を皮膚側へ移行させて皮膚内への有効成分浸透が図れる。
【0082】
使用者が電極部13、14を皮膚に当接させたまま皮膚上で少しずつ移動させると、通電状態のままクレンジングやイオン導入の対象位置を変えられる。ただし、電極部13、14を皮膚から離すと、直ちに通電は中断する。クレンジングやイオン導入を完全に終える場合は、使用者が操作部15のモード切替スイッチ15bを操作して他の作動モードに切替えるか、電源スイッチ15aを操作して電源OFF状態に移行させるようにすればよい。この他、クレンジングやイオン導入としてあらかじめ設定された時間が過ぎると、制御部19が通電を停止させるようにしてもよい。これらのモードの終了後、使用者は、多孔質被覆体を用いた場合はこれをヘッド部11から取り除いた上で、電極部13、14を含むヘッド部11表面を清浄化し、次の使用に備えるようにするのが望ましい。
【0083】
続いて、通電に係る制御部の制御について、より詳細に説明する。なお、通電出力の上げ下げについては、リニア制御を採用している場合は、出力電圧(電流)を増減させ、PWM制御やVFM制御などのスイッチング制御を採用している場合は、出力におけるデューティ比を増減させて行うものとする。
【0084】
制御部19は、電源ONと共に、全ての通電についての累計時間を取得するために、タイマー機能による使用時間の計時を開始する。この場合、累計時間として、電源ONからの装置の総使用時間を計時取得することとなる。
【0085】
この電源ONの後、判定部19aで加速度センサ17の出力に基づいて移動状態が判定され、且つ、接触判定部19bで接触センサ18の出力に基づいて電極部13、14の皮膚への接触が判定されて、制御部19が移動状態と接触状態を取得すると、電極部13、14間、又は、電極部13、14と補助電極部10bとの間での通電を開始させる。
【0086】
また、制御部19は、通電開始時からあらかじめ設定された所定期間を、通電始期として、電極部への通電出力を一時的に増大させる(図7図8図9参照)。この通電始期は、この最初の移動判定に基づく通電開始時に限られず、一旦通電出力を下げた後、あらためて移動判定により通電を開始する際にも設定される。こうして通電始期に通電出力を増大させることで、特に温熱モードの場合、通電による熱の発生度合いを大きくし、温度上昇速度を高められ、効率よく温熱刺激を付与できる。通電始期の後、制御部19は通電出力を下げ、移動状態に対応した通常の通電として、あらかじめ設定された所定の第一の出力H1で通電を続けて実行させる。
【0087】
第一の出力H1で通電を行う状態では、皮膚への適切な且つ十分な出力での通電により、皮膚を温めて皮膚に温熱刺激を付与したり、帯電した汚れ成分を皮膚から除去したり、イオン性の有効成分を皮膚へ導入することができる。
【0088】
制御部19は、通電開始後も、判定部19aでの加速度センサ17からの出力に基づく移動状態の判定結果と、接触判定部19bでの接触センサ18からの出力に基づく接触状態の判定結果を、随時取得している。
【0089】
このうち、判定部19aの判定結果から、制御部19は、電極部13、14の移動状態を取得した場合には、第一の出力H1での通電を継続して実行させる。一方、判定部19aの判定結果から、移動状態を取得できない場合、すなわち、電極部13、14が停止状態にあるとみなせる場合には、制御部19は、通電出力を前記第一の出力H1より小さい第二の出力L1に下げ、この第二の出力L1で通電する状態を、判定部19aから新たに移動状態を取得するまで継続させる(図7図8参照)。
【0090】
通電に係る第二の出力L1は、特に温熱モードの場合、電極部13、14の停止状態で皮膚への通電を継続しても、使用者に電流の刺激や発熱等による不快感を与えない程度に抑えられる一方、通電による皮膚への温熱等の美容に係る刺激付与がわずかにでも期待できるものに設定されている。このため、第二の出力L1で通電を行う状態では、電極部13、14の停止状態でも、使用者に不快感を与えない程度に、通電に伴い皮膚で熱が発生する状態を維持して、電極部13、14の移動状態で一旦温めた皮膚の温度を低下させずに、新たに移動状態となるまで待機する状態になると共に、通電に伴う刺激付与により若干の美容効果が得られることとなる。
【0091】
使用者が装置を継続的に移動させて、判定部19aが移動状態を判定するごとに、第一の出力での通電状態が繰り返されるが、制御部19における総使用時間の計時で、あらかじめ設定された第一限界時間(例えば、1分30秒)が経過すると、制御部19は、少なくとも通電状態にある場合には、制御部19が通電出力を下げる制御を実行する。
【0092】
この場合、特に温熱モードにおいて、それまでの通電の継続で十分温まった皮膚に対して、限界時間経過以降は第一の出力から出力を下げて通電を行うことで、皮膚の過熱が生じにくい、さらに安全な状態を確保できる。また、制御部19で移動状態を取得できない場合の、第二の出力で通電を行うようにしている場合には、前記第一限界時間の経過でさらに通電出力を下げることで、消費電力を抑えることができる。
【0093】
こうして制御部19が通電出力を下げる制御を行うにあたっては、電極部13、14や補助電極部10bに対し通電出力を下げる場合に、電極部13、14の移動状態に対応する第一の出力からの出力低下の度合いに対し、電極部13、14が移動していない停止状態に対応する第二の出力からの出力低下の度合いを小さくするようにされる。これにより、移動状態の通電については第一の出力から十分出力を下げて、通電の安全性を高められる一方、停止状態では通電出力の下げ幅を抑え、刺激付与による皮膚への美容効果がわずかでも発揮される状態を維持して、通電出力の過度の低下で効果が期待できない状態に陥ることを防止できる。
【0094】
最終的に、制御部19における総使用時間の計時で、あらかじめ設定された第二限界時間(例えば、3分)が経過すると、制御部19は通電を自動停止し、そのまま電源OFF状態に移行する。
【0095】
なお、この制御部19が通電を自動停止させる、第二限界時間が経過するまでや、制御部19が通電出力を下げる、第一限界時間が経過するまでの、通電の累計時間の取得に係る計時として、総使用時間の計時を実行し、通電出力の上げ下げごとに対応した計時の中断や再開を省略することで制御部19での計時に係る処理を簡便にしているが、これに代えて、最初の通電開始以降の、電極部への第一の出力以上の通電状態にある時間を積算して、通電出力を下げて第二の出力で通電を行った期間が含まれない総有効通電時間を計時し、これを累計時間として取得する構成とすることもできる。この場合、制御部で制御を行うにあたり、皮膚に対し実際に刺激付与に係る通電を行った正味の通電時間の合計を用いて実行判断することで、通電による皮膚への負担の度合いをより正確に評価して、時間制限や出力調整等の通電に係る制御を実行でき、使用時間が長くなった状況での皮膚への負担軽減を適切なタイミングで実現できる。
【0096】
また、使用者が電極部13、14を皮膚に接触させつつ、装置を継続的に移動させる中で、判定部19aにおいて、加速度センサ17の出力から、電極部13、14の皮膚との接触面と平行な向きへの加速度(X-Y成分)が所定の条件(例えば、所定の判定対象時間内で加速度が基準値を超える頻度又は割合が設定値を上回る)を満たし、且つ、電極部13、14の皮膚との接触面に対する法線方向の加速度(Z成分)も所定の条件を満たして、電極部13、14が移動状態にあると判定された場合には、制御部19は、電極部13、14への通電出力、又は、電極部13、14と補助電極部10bへの通電出力を、第1の出力より大きい所定出力まで上げる(図11参照)。特に温熱モードの場合、電極部13、14の皮膚に対する動きが大きく、熱が分散しやすい状況であっても、通電出力を上げて皮膚で熱が発生しやすくすることで、効率よく皮膚を温められる。
【0097】
さらに、制御部19は、通電を実行する中、接触判定部19bでの接触センサ18からの出力に基づく接触状態の判定結果を随時取得しているが、所定の判定対象期間(例えば、0.5秒)内で、接触判定部19bで電極部13、14と皮膚が接触していると判定される状態と、接触していないと判定される状態との切替わる回数が、所定の基準値(例えば、2回)を上回る場合には、制御部19は、判定部19aの移動判定結果に関わりなく、電極部13、14や補助電極部10bへの通電出力を第一の出力とする(図12参照)。
【0098】
このように、電極部13、14の皮膚への適切な範囲での連続した接触が認められない状況では、電極部13、14の移動状態に関わりなく通電出力を第一の出力とし、通電の影響をできるだけ皮膚各部位に及ぼせるようにして、通電による効果を効率よく付与できる。一方、こうした状況では、電極部13、14が皮膚に接触して停止する状態は連続しないと見なせることから、第一の出力で通電がなされても皮膚の安全は確保できる。
【0099】
この後、前記同様の判定対象期間内における、接触判定部19bで電極部13、14と皮膚が接触していると判定される状態と、接触していないと判定される状態とが切替わる回数について、前記基準値以下となった場合には、所定の待機時間(例えば、0.5秒)を経て、制御部19が電極部13、14の移動状態を取得していれば、第一の出力での通電を継続実行させ、また、制御部19が電極部13、14の移動状態を取得できなければ、通電出力を第一の出力から下げて第二の出力とする。
【0100】
この他、制御部19は、判定部19aで、移動していない停止状態を挟まずに、電極部13、14があらかじめ設定された所定の制限時間以上連続して移動状態にあると判定されている場合には、判定部19aの異常状態とみなして、通電出力を第二の出力まで下げる又は止めると共に、報知手段としての表示部16に、判定部19aの異常についての警告に係る所定の表示(例えば、通常の出力レベル表示とは異なる点灯や点滅)を行わせる。この判定部19aの異常についての警告に係る報知は、表示部16による表示に限られるものではなく、他の表示手段を用いて画像表示等による報知を行わせたり、判定部19aの異常についての警告に係る所定の音、振動などによる報知を、別途設けた他の報知手段に行わせるようにしてもよい。
【0101】
これと同様に、制御部19が、判定部19aで電極部13、14が停止状態を挟まずに前記制限時間以上連続して移動状態にあると判定されている状況を取得した後に、全体使用時間の計時で第二限界時間が経過したことや、使用者の操作によって、一旦電源OFF状態に移行した場合も、制御部19で異常状態に対応した制御がなされる。
【0102】
詳細には、電源OFF状態から、新たに電源ON状態となった際に、先の電源OFFの時点で前記制限時間以上連続して移動状態にあると判定されていることを前提として、なおも判定部19aで電極部13、14が移動状態にあると判定されている場合には、制御部19は、電源ONから所定時間経過の後に、電源OFF状態に自動で移行する。
【0103】
以上の通電に係る各制御については、温熱付与における電極部13、14間での通電に限らず、クレンジングやイオン導入における電極部13、14の少なくとも一方と補助電極部10b間での通電にも適用される。
【0104】
クレンジングやイオン導入における電極部13、14と補助電極部10b間での通電も、直流として通電される点や、対をなす電極の一方の役割が補助電極部10bに置き換わる点以外は、温熱付与における電極部13、14間での通電と同様に、制御部19で移動状態や接触状態の判定に基づいて、第一の出力又は第二の出力での通電状態とされると共に、時間の経過に応じて通電出力を調整するように、通電制御が行われることとなる。
【0105】
このように、本実施形態に係る美容装置は、美容に係る刺激を皮膚に与える刺激付与部として、通電されて刺激を与える電極部13、14や補助電極部10bが配設されると共に、制御部19による通電制御が行われ、電極部13、14の移動状態を取得した場合における第一の出力での通電とは別に、電極部13、14の移動状態を取得できない停止状態に、制御部19が第一の出力より小さい第二の出力で通電を行い、電極部13、14が移動状態から停止状態に移行しても通電を継続することから、電極部13、14の停止状態でも、通電に伴い皮膚へ刺激が付与される状態をわずかながら維持でき、特に温熱刺激付与の場合、電極部13、14の移動状態で一旦温めた皮膚の温度を停止状態で低下させず、新たに移動状態となってあらためて第一の出力で通電して皮膚を温める際に、皮膚を短時間で適切な温度に到達させることができ、効率よく温熱を加えられる。
【0106】
また、通電中に電極部13、14を皮膚に接触したまま停止させた場合でも、制御部19が通電出力を第二の出力まで下げることで、皮膚を安全な状態に維持することができ、誤って通電がそのまま第一の出力で継続されて使用者に電流の刺激や過度の発熱等による不快感を与えるような事態を防ぎつつ、刺激付与による美容効果が得られる可能性を残せることとなる。
【0107】
なお、前記実施形態に係る美容装置において、ヘッド部11に二つの電極部13、14を設け、制御部19が、温熱モードでは対をなす電極部13、14間で皮膚を介した通電状態とし、イオン導入モード等では電極部13、14の少なくとも一方と補助電極部10bとの間で通電状態とする構成としているが、これに限らず、ヘッド部に二つ以上の電極部を設け、ヘッド部の対をなす組の電極部間、又は、ヘッド部の電極部の一又は複数と補助電極部との間で、前記同様に制御部が通電を実行する構成とすることもできる。また、通電で高周波電流を用いる温熱モードを、選択可能な機能として採用しない場合には、ヘッド部に電極部を一つのみ設け、これと対をなす補助電極部との間で通電状態として、イオン導入等を実行可能な構成としてもかまわない。
【0108】
また、前記実施形態に係る美容装置において、制御部19は、通電を実行する中、前記判定対象期間内で、接触判定部19bで電極部13、14と皮膚が接触していると判定される状態と、接触していないと判定される状態とが切替わる回数が、所定の基準値を上回る場合に、電極部13、14や補助電極部10bへの通電出力を第一の出力としているが、この他、前記判定対象期間内で、接触判定部で電極部と皮膚が接触していると判定される状態と、接触していないと判定される状態とが切替わる中、電極部と皮膚が接触していると判定される時間の累計が所定の基準値を下回る場合に、判定部の移動判定結果に関わりなく、電極部への通電出力を前記第一の出力とする構成とすることもできる。
【0109】
そしてこの後、前記同様の判定対象期間内における、電極部と皮膚が接触していると判定される時間の累計が、前記基準値以上となった場合には、所定の待機時間(例えば、0.5秒)を経て、制御部19が電極部13、14の移動状態を取得していれば、第一の出力での通電を継続実行させ、また、制御部19が電極部13、14の移動状態を取得できなければ、通電出力を第一の出力から下げて第二の出力とする。
【0110】
この場合も、前記実施形態同様、電極部の皮膚への適切な範囲での連続した接触が認められない状況で、電極部の移動状態に関わりなく通電出力を第一の出力とし、通電の影響をできるだけ皮膚各部位に及ぼせるようにして、通電による効果を効率よく付与できる。
【0111】
また、前記実施形態に係る美容装置においては、制御部19で電極部13、14が移動状態にあることを取得するにあたり、判定部19aと共に用いる移動検出手段として、加速度センサを用いる構成としているが、これに限られるものではなく、他の検出手段、例えば、皮膚に対する移動に伴う変位を、皮膚に接して転動するボールやホイールの回転変位に変換し、これをロータリエンコーダで取得することで皮膚に対する移動状態を検出するタイプや、皮膚に対し光を照射すると共に、皮膚表面における光が照射された範囲をイメージセンサで読み取る動作を繰り返し、読み取りごとのイメージのずれを認識して移動状態を検出するタイプのものを用いる構成とすることもできる。
【0112】
これらの場合、検出手段で検出される移動速度(単位時間あたりの移動距離)の値が基準値を超えた場合を、判定部で移動状態と判定するようにすれば、前記実施形態同様、判定部は電極部がわずかに動く程度であれば移動状態とは判定せず、電極部がほとんど移動しない実質停止状態での連続通電を回避でき、安全性を向上させられる。
【0113】
また、前記実施形態に係る美容装置においては、報知手段としての表示部16を通電出力の強度表示や警告表示に用いる構成としているが、この他、こうした報知手段で、電極部間での通電と計時を開始させる際や、通電開始から前記継続時間が経過した際、前記第二限界時間(最大使用時間)に達して自動的に電源OFFとする際などに、必要に応じて使用者に装置状況に係る報知(表示や音声出力)を行わせるようにしてもよい。
【0114】
さらに、前記実施形態に係る美容装置においては、美容に係る刺激付与として、電極部13、14や補助電極部10bを用いて皮膚への通電を実行し、通電で熱を発生させて皮膚を温める温熱刺激付与等を利用可能とする構成としているが、この他、ヘッド部内に圧電素子等による超音波発生機構を設け、電極部に超音波の振動が伝わるようにして、皮膚への通電に代えて、又は通電と同時に、皮膚に超音波振動の刺激を付与可能とする構成としてもかまわない。
【0115】
また、ヘッド部における電極部に代えて所定の振動付与部を設け、これに超音波発生機構から超音波振動を伝えて、振動付与部から皮膚に超音波振動の刺激を専ら付与可能とする構成とすることもできる。この場合、本発明の通電出力制御を超音波振動の出力制御に置き換えた形で適用でき、皮膚に対し移動と停止が度々繰り返されるように装置を動かしたとしても、継続時間の間は振動付与を行え、移動から停止へ又はその逆への切り替わりに合わせて、振動付与が中断を挟んで小刻みになされる事態とはならず、適切に振動付与を連続させて効率よく刺激を付与することができる。加えて、連続振動による刺激付与状態と装置停止に対応して振動出力を下げる又は止める状態とを両立でき、誤って停止状態に振動出力が継続して使用者に過度の振動刺激付与による不快感を与えるようなことを防止できる。
【符号の説明】
【0116】
1 美容装置
10 本体部
10a 把持部
10b 補助電極部
11 ヘッド部
11a カバー部
11b 基部
11c パッキン
11d 開口部
13、14 電極部
15 操作部
15a 電源スイッチ
15b モード切替スイッチ
16 表示部
17 加速度センサ
18 接触センサ
19 制御部
19a 判定部
19b 接触判定部
20 高周波出力部
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