(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069433
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/176 20210101AFI20230511BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20230511BHJP
【FI】
H01M50/176
H01M50/55 101
H01M50/188
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/193
H01M50/557
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181276
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕輝
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011AA09
5H011BB03
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH02
5H043AA05
5H043BA11
5H043CA04
5H043DA09
5H043JA01D
5H043JA02D
5H043JA09D
5H043KA22D
5H043KA45D
5H043LA21D
(57)【要約】
【課題】小型化しながら蓋部材と電極端子との間の絶縁性を確保できる二次電池を提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、二次電池1において、電極端子13の上部13aは、蓋部材12の上面12aの面方向について、凹部22が形成される範囲内に収まるようにして配置されており、電極端子13の上部13aと凹部22との間には樹脂部材15が配置され、蓋部材12の上面12aには、当該上面12aの面方向における天面部21と凹部22との間の位置にて、蓋部材12の板厚方向について天面部21と凹部22との間の位置に形成される中間部24が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備え、電極体を収容するケースと、
前記開口部を封止する板状の蓋部材と、
前記蓋部材に設けられ、前記電極体に接続する電極端子と、
を有し、
前記蓋部材は、前記蓋部材の板厚方向の一方側の面である第1面と、前記蓋部材の板厚方向の他方側の面である第2面と、を備え、
前記蓋部材の前記第1面には、天面部と、前記蓋部材の板厚方向について前記天面部よりも前記第2面側の位置に形成される凹部と、が形成されており、
前記電極端子は、前記蓋部材にて前記凹部の位置に形成される貫通穴を通って、前記蓋部材に対して前記第1面側から前記第2面側に亘って配置されている二次電池において、
前記電極端子における前記蓋部材に対して前記第1面側に配置される部分は、前記第1面の面方向について、前記凹部が形成される範囲内に収まるようにして配置されており、
前記電極端子における前記蓋部材に対して前記第1面側に配置される部分と前記凹部との間には樹脂部材が配置され、
前記蓋部材の前記第1面には、前記第1面の面方向における前記天面部と前記凹部との間の位置にて、前記蓋部材の板厚方向について前記天面部と前記凹部との間の位置に形成される中間部が形成されていること、
を特徴とする二次電池。
【請求項2】
請求項1の二次電池において、
前記凹部と前記中間部との境界部分に、テーパ形状部または面取り形状部が形成されていること、
を特徴とする二次電池。
【請求項3】
請求項1または2の二次電池において、
前記中間部は、前記凹部の外周の周方向について全周に亘って形成されていること、
を特徴とする二次電池。
【請求項4】
請求項1または2の二次電池において、
前記中間部は、前記凹部の外周の周方向について一部に形成されていること、
を特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、特許文献1に開示される二次電池では、容器本体の開口部を封止する蓋部材にて、その凹部の位置に電極端子が設けられている。そして、蓋部材と電極端子との間にガスケットが設けられており、蓋部材と電極端子との間の絶縁性を確保しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される二次電池では、蓋部材の上面の面方向について電極端子が凹部の範囲外まで形成されており、蓋部材や電極端子が大きくなってしまうため、二次電池が大型化してしまう。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、小型化しながら蓋部材と電極端子との間の絶縁性を確保できる二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、開口部を備え、電極体を収容するケースと、前記開口部を封止する板状の蓋部材と、前記蓋部材に設けられ、前記電極体に接続する電極端子と、を有し、前記蓋部材は、前記蓋部材の板厚方向の一方側の面である第1面と、前記蓋部材の板厚方向の他方側の面である第2面と、を備え、前記蓋部材の前記第1面には、天面部と、前記蓋部材の板厚方向について前記天面部よりも前記第2面側の位置に形成される凹部と、が形成されており、前記電極端子は、前記蓋部材にて前記凹部の位置に形成される貫通穴を通って、前記蓋部材に対して前記第1面側から前記第2面側に亘って配置されている二次電池において、前記電極端子における前記蓋部材に対して前記第1面側に配置される部分は、前記第1面の面方向について、前記凹部が形成される範囲内に収まるようにして配置されており、前記電極端子における前記蓋部材に対して前記第1面側に配置される部分と前記凹部との間には樹脂部材が配置され、前記蓋部材の前記第1面には、前記第1面の面方向における前記天面部と前記凹部との間の位置にて、前記蓋部材の板厚方向について前記天面部と前記凹部との間の位置に形成される中間部が形成されていること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、蓋部材の第1面の面方向について電極端子が凹部の範囲内に収まるように配置されているので、蓋部材や電極端子を小型化して、二次電池を小型化できる。
【0008】
また、蓋部材において天面部と凹部との間に中間部が形成されているので、蓋部材の天面部と電極端子との間の距離や、蓋部材の中間部と電極端子との間の距離を長くすることができる。そのため、蓋部材と電極端子との間の絶縁性を確保できる。
【0009】
さらに、蓋部材を例えばプレス加工で成形するときに、蓋部材に作用する応力が中間部にも分散して凹部に集中し難くなるので、凹部における割れの発生を抑制でき、また、蓋部材の寸法精度を向上させることができる。
【0010】
上記の態様においては、前記凹部と前記中間部との境界部分に、テーパ形状部または面取り形状部が形成されていること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、面取り形状部またはテーパ形状部が形成されている分、蓋部材と電極端子との間の距離を長くすることができるので、蓋部材と電極端子との間の絶縁性をより確保できる。
【0012】
上記の態様においては、前記中間部は、前記凹部の外周の周方向について全周に亘って形成されていること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、凹部の周囲に全周に亘って蓋部材と電極端子との間の距離を長くすることができるので、より効果的に、蓋部材と電極端子との間の絶縁性を確保できる。
【0014】
上記の態様においては、前記中間部は、前記凹部の外周の周方向について一部に形成されていること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、凹部の周囲の一部にだけ中間部を形成すればよいので、蓋部材の成形の負担や工数を減らして、二次電池の生産性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の二次電池によれば、小型化しながら蓋部材と電極端子との間の絶縁性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本実施形態の電極端子とその周辺部分の断面図である。
【
図3】凹部と中間部との境界部分に面取り形状部が形成される例を示す図である。
【
図4】凹部と中間部との境界部分にテーパ形状部が形成される例を示す図である。
【
図8】従来技術の電極端子とその周辺部分の断面図である。
【
図9】従来技術の電極端子とその周辺部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の二次電池の実施形態について説明する。
【0019】
<二次電池の全体概要について>
図1に示すように、本実施形態の二次電池1は、開口部11aを備えるケース11と、開口部11aを封止する蓋部材12とを有する。ケース11と蓋部材12は、金属(例えば、アルミニウム)により形成されている。
【0020】
蓋部材12は、板状(例えば、長方形の板状)に形成されている。そして、
図1と
図2に示すように、蓋部材12は、蓋部材12の板厚方向(すなわち、
図2の上下方向)の一方側の面である上面12aと、蓋部材12の板厚方向の他方側の面である下面12bと、を備えている。なお、上面12aは本開示の「第1面」の一例であり、下面12bは本開示の「第2面」の一例である。
【0021】
また、
図1に示すように、蓋部材12には、2つの電極端子13が設けられている。この2つの電極端子13のうち、一方の電極端子13が正極端子であり、他方の電極端子13が負極端子である。2つの電極端子13は、ケース11内に収容される電極体14に接続している。
【0022】
図2に示すように、蓋部材12の上面12aには、天面部21と、凹部22とが形成されている。凹部22は、上面12aにて下方に凹んだ部分であり、すなわち、蓋部材12の板厚方向について天面部21よりも下面12b側の位置に形成される部分である。そして、電極端子13は、凹部22の位置に形成される貫通穴23を通って、蓋部材12に対して上面12a側から下面12b側に亘って配置されている。
【0023】
また、電極端子13の上部13aと蓋部材12の凹部22との間には、樹脂部材15が配置されている。ここで、電極端子13の上部13aとは、電極端子13において蓋部材12に対して上面12a側に配置される部分である。そして、樹脂部材15は、蓋部材12の凹部22と電極端子13の上部13aとの間を絶縁している。なお、樹脂部材15は、底壁部15aと側壁部15bとを備え、底壁部15aに貫通穴15cが形成されている。そして、底壁部15aと側壁部15bは電極端子13の上部13aを収容し、貫通穴15cの中に電極端子13が通されている。
【0024】
また、蓋部材12の下面12bと電極端子13の下部13bとの間には、樹脂部材16が配置されている。ここで、電極端子13の下部13bとは、電極端子13における蓋部材12に対して下面12b側に配置される部分である。
【0025】
<二次電池の小型化と、蓋部材と電極端子との間の絶縁性の確保について>
本実施形態では、
図2に示すように、電極端子13の上部13aは、蓋部材12の上面12aの面方向(すなわち、
図2の左右方向)について、凹部22が形成される範囲内に収まるようにして配置されている。このようにして、凹部22よりも電極端子13と樹脂部材15を小さくすることにより、電極端子13の上部13aの高さを抑えることができ、二次電池1を小型化できる。
【0026】
ここで、従来技術では、
図8に示すように、蓋部材12の上面12aにおいて、電極端子13の近くまで天面部21が形成され、天面部21と電極端子13との間の距離Lが短いため、蓋部材12と電極端子13との間の絶縁性を確保できないおそれがあった。また、蓋部材12を例えばプレス加工で成形する際に、凹部22の外周縁部22a、すなわち、天面部21と凹部22との境界部分にある隅部に、応力が集中して作用し易いので、凹部22に割れが生じるおそれもあった。
【0027】
そこで、従来技術として、
図9に示すように、蓋部材12の凹部22を広げることにより、天面部21を電極端子13から遠ざけて、天面部21と電極端子13との間の距離Lを長くする場合も考えられた。しかしながら、この場合であっても、蓋部材12を例えばプレス加工で成形する際に、凹部22の外周縁部22aに応力が集中し易いので、凹部22に割れが生じるおそれがあった。また、天面部21の領域が狭くなる分、蓋部材12の強度が低下するおそれもあった。
【0028】
これに対し、本実施形態では、
図2に示すように、蓋部材12の上面12aには、天面部21と凹部22の他に、中間部24が形成されている。この中間部24は、上面12aの面方向における天面部21と凹部22との間の位置にて形成されている。そして、中間部24は、蓋部材12の板厚方向について天面部21と凹部22との間の位置に形成されている。このようにして、天面部21と凹部22の間の高さの位置に中間部24が形成されており、天面部21と凹部22との間に段差形状の中間部24が形成されている。
【0029】
本実施形態では、このように蓋部材12の上面12aに中間部24が形成されていることにより、蓋部材12の天面部21と電極端子13との距離L1を、
図8に示す従来技術の場合よりも、長くすることができる。また、蓋部材12の中間部24と電極端子13との間の距離L2を、天面部21と中間部24との間の段差分、長くすることができる。そのため、蓋部材12と電極端子13との間の絶縁性を確保できる。
【0030】
また、蓋部材12を例えばプレス加工で成形する際に、蓋部材12に作用する応力が中間部24にも分散して凹部22の外周縁部22aに集中し難くなる。そのため、凹部22における割れの発生を抑制でき、また、蓋部材12の寸法精度を向上させることができる。
【0031】
また、
図3に示すように、凹部22と中間部24との境界部分に、面取り形状部25が形成されている。この面取り形状部25は、凹部22と中間部24との境界部分における中間部24側の端部の角部にて面取りがなされた形状の部分である。
【0032】
あるいは、
図4に示すように、凹部22と中間部24との境界部分に、面取り形状部25の代わりに、テーパ形状部26が形成されていてもよい。このテーパ形状部26は、凹部22と中間部24とに接続するテーパ形状の部分(すなわち、傾斜形状部)である。
【0033】
このようにして、本実施形態では、凹部22と中間部24との境界部分に面取り形状部25またはテーパ形状部26が形成されている分、蓋部材12と電極端子13との間の距離を長くすることができるので、蓋部材12と電極端子13との間の絶縁性をさらに確保できる。また、蓋部材12をプレス加工するときにメタルフロー(金属の流れ)の適正化を図ることにより、蓋部材12の寸法精度の向上や生産性を向上させることができる。
【0034】
また、
図5に示すように、中間部24は、蓋部材12の上面12aを上方向から見たときに、凹部22の外周の周方向について全周に亘って形成されている。
【0035】
これにより、凹部22の周囲に全周に亘って蓋部材12と電極端子13との間の距離を長くすることができるので、より効果的に、蓋部材12と電極端子13との間の絶縁性を確保できる。
【0036】
なお、変形例として、中間部24は、蓋部材12の上面12aを上方向から見たときに、凹部22の外周の周方向について一部に形成されていてもよい。例えば、
図6に示すように、蓋部材12の上面12aを上方向から見たときに、中間部24は、略長方形に形成される凹部22の外周の長辺部分に沿って形成されていてもよい。あるいは、例えば、
図7に示すように、蓋部材12の上面12aを上方向から見たときに、中間部24は、略長方形に形成される凹部22の外周の短辺部分に沿って形成されていてもよい。
【0037】
このようにして、凹部22の周囲の一部にだけ中間部24を形成すればよいので、蓋部材12を成形する負担や工数を減らして、二次電池1の生産性を向上できる。
【0038】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0039】
1 二次電池
11 ケース
11a 開口部
12 蓋部材
12a 上面
12b 下面
13 電極端子
13a 上部
13b 下部
14 電極体
15 樹脂部材
15a 底壁部
15b 側壁部
15c 貫通穴
16 樹脂部材
21 天面部
22 凹部
22a 外周縁部
23 貫通穴
24 中間部
25 面取り形状部
26 テーパ形状部
L,L1,L2 距離