IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコエレクトロニクスジャパン合同会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069442
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】電気コネクタ・ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6581 20110101AFI20230511BHJP
【FI】
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181287
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 伸浩
(72)【発明者】
【氏名】李 致彦
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FB10
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA15
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】ケーブルおよびケーブルに接続された端子を電気的に遮蔽するための、より好適な電磁シールドの構成を備えた電気コネクタ・ユニットを提供すること。
【解決手段】コネクタおよび該コネクタに接続されるケーブルを有して成る電気コネクタ・ユニットが提供される。ケーブルは、複数の内部ケーブルから構成される内部ケーブル束、および該内部ケーブル束を包囲するケーブル・シールドを備える。コネクタは、端子ハウジングおよび該端子ハウジングに取り付けられるシェルを備えている。端子ハウジングは開口部を備え、シェルは、前記開口部に挿入可能なシールド固定部を備える。ケーブル・シールドの少なくとも一部およびシールド固定部は、前記開口部に挿入され、該開口部にて互いに電気的に接続される。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタおよび該コネクタに接続されるケーブルを有して成る電気コネクタ・ユニットであって、
前記ケーブルが、複数の内部ケーブルから構成される内部ケーブル束、および該内部ケーブル束を包囲するケーブル・シールドを備え、
前記コネクタが、端子ハウジングおよび該端子ハウジングに取り付けられるシェルを備えており、
前記端子ハウジングが開口部を備え、前記シェルは、前記開口部に挿入可能なシールド固定部を備えており、
前記ケーブル・シールドの少なくとも一部およびシールド固定部は、前記開口部に挿入され、該開口部にて互いに電気的に接続される、電気コネクタ・ユニット。
【請求項2】
前記ケーブル・シールドの導電性部材の少なくとも一部が前記開口部と前記シールド固定部との間に挟まれる、請求項1に記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項3】
前記開口部が前記端子ハウジングの外側側面に備えられており、前記シールド固定部は前記外側側面に沿って前記開口部に挿入される、請求項1または2に記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項4】
前記シールド固定部が板ばねであって、前記開口部に挿通された前記ケーブル・シールドは、前記板ばねの弾性力に起因して固定される、請求項1~3のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項5】
前記シェルが舌片を更に備え、該舌片は、前記端子ハウジングに収容されている接地端子と電気的に接続される、請求項1~4のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項6】
前記開口部が切り欠き部を有し、前記挿通された前記ケーブル・シールドは、前記切り欠き部において折り返される、請求項1~5のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項7】
前記開口部が内壁面にテーパ面を少なくとも1つ有する、請求項1~6のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項8】
前記テーパ面が、前記開口部の内部側に向かって漸次傾斜している、請求項7に記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項9】
前記開口部が、該開口部の内部にて、前記端子ハウジングの側面に沿って延在するスライド溝を少なくとも1つ備える、請求項1~8のいずれかに記載の電気コネクタ・ユニット。
【請求項10】
前記開口部が内壁面にガイド面を備え、該ガイド面は、前記スライド溝のいずれか一方の端部に向かって漸次傾斜している、請求項9に記載の電気コネクタ・ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気コネクタ・ユニットに関する。特に、本開示は、電気的に接続されるケーブルを有する電気コネクタ・ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多芯ケーブルを電気装置へ接続するための、多極のL型コネクタが開示されている。
【0003】
かかるコネクタでは、電気装置へ送達される信号による電磁波の外部への放射、または外部からの電磁波の侵入を抑制するため、コネクタに取り付けられたケーブルと、コネクタに設けられた端子とを電気的に遮蔽する電磁シールド構造が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-45835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、従来のコネクタの電磁シールドの構造に克服すべき課題があることに気づき、そのための対策をとる必要性を見出した。具体的には、以下の課題があることを見出した。
【0006】
例えば、特許文献1に記載のコネクタでは、内部ケーブルの外周側を包囲する外部導体と、内部に端子を備えるコネクタ・ハウジングに設けられたシールド部材とが電気的に接続される。接続に際して、外部導体の外周を覆う絶縁皮膜の端部を除去して外部導体の端部を全体的に外側へ折り返し、折り返された部分に銅テープを巻き付けることで、ケーブルの端末処理が為される。このような端末処理部分に対してシールド部材を圧着または押圧することによって、外部導体とシールド部材とが電気的に接続される。
【0007】
かかる端末処理では、ケーブルの折り返された外部導体が絶縁皮膜上に直接的に位置付けられており、シールド部材は、ケーブル外周の絶縁皮膜上において圧着または押圧される。しかしながら、一般に、絶縁皮膜は温度上昇に伴って収縮する熱収縮性の材料から形成されるため、電気装置の作動・運転に伴う発熱などに起因して、ケーブルの外径は減寸し得る。したがって、絶縁皮膜上の外部導体を押圧する上述の接続では、絶縁皮膜の経年劣化などによるケーブルの外径の変化によって接触不良が発生し得、電磁シールドの機能が損なわれる懸念がある。
【0008】
本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示の主たる目的は、ケーブルおよびケーブルに接続された端子を電気的に遮蔽するための、より好適な電磁シールドの構成を備えた電気コネクタ・ユニットを供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示では、コネクタおよび該コネクタに接続されるケーブルを有して成る電気コネクタ・ユニットであって、前記ケーブルが、複数の内部ケーブルから構成される内部ケーブル束、および該内部ケーブル束を包囲するケーブル・シールドを備え、前記コネクタが、端子ハウジングおよび該端子ハウジングに取り付けられるシェルを備えており、前記端子ハウジングが開口部を備え、前記シェルは、前記開口部に挿入可能なシールド固定部を備えており、前記ケーブル・シールドの少なくとも一部およびシールド固定部は、前記開口部に挿入され、該開口部にて互いに電気的に接続される電気コネクタ・ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る電気コネクタ・ユニットは、ケーブルおよびケーブルに接続された端子を電気的に遮蔽するための、より好適な電磁シールドの構成を実現する。
【0011】
より具体的には、本開示に係る電気コネクタ・ユニットは、電磁シールドの構成において、ケーブルを電気的に遮蔽するケーブル・シールドと、端子ハウジングに収容される端子を電気的に遮蔽するシェルとのより好適な接続を実現する。かかる接続は、ケーブル・シールドの少なくとも一部が、端子ハウジングに設けられた開口部に挿通され、当該開口部に挿入されたシェルのシールド固定部と開口部の内壁との間に挟まれることで達成され得る。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、コネクタの端子ハウジングの開口部において、ケーブルに備えられたケーブル・シールドと端子ハウジングに取り付けられるシェルとが電気的に接続される。すなわち、ケーブル・シールドとシェルとの接続は、ケーブルの絶縁皮膜に直接的に関与せず実施されており、絶縁皮膜の経年劣化に起因する接続不良の発生がより好適に防止され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係るケーブルを模式的に示す断面図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットを模式的に示す分解斜視図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットのシェルを模式的に示す斜視図である。
図5図5は、図4のシェルのA-A断面を矢印方向に見た模式的断面図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットの端子ハウジングを模式的に示す斜視図である。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットの端子ハウジングを模式的に示す上面図である。
図8図8は、図7の端子ハウジングのB-B断面を矢印方向に見た模式的断面図である。
図9図9は、図7の端子ハウジングのC-C断面を矢印方向に見た模式的断面図である。
図10図10は、図7の端子ハウジングのD-D断面を矢印方向に見た模式的断面図である。
図11図11は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットの端子ハウジングとシェルとの組付け前の状態を模式的に示す斜視図である。
図12図12は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットの端子ハウジングとシェルとの組付け後の状態を模式的に示す斜視図である。
図13図13は、図12に示す組付け後の端子ハウジングおよびシェルのE-E断面を矢印方向に見た模式的断面図である。
図14図14は、図13に示す端子ハウジングおよびシェルにおいて、ケーブル・シールドとシェルとの接続を説明する模式的断面図である。
図15A図15Aは、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットにおけるケーブル・シールドとシェルとの接続を説明する模式図である。
図15B図15Bは、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットにおけるケーブル・シールドとシェルとの接続を説明する模式図である。
図15C図15Cは、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットにおけるケーブル・シールドとシェルとの接続を説明する模式図である。
図15D図15Dは、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットにおけるケーブル・シールドとシェルとの接続を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットをより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本開示の説明のために模式的かつ例示的に示したに過ぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0014】
さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面の同一符号の部分は、同一または同等の部分を指す。
【0015】
また、本開示の例示態様の説明は、添付の図面(記載された説明全体の一部とみなされる図面)に関連して読まれることを意図している。本願明細書で開示される本開示の態様に関する説明において、方向または向きに関する言及は、単に説明の便宜上であり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「頂」、「底」などの相対的な用語、ならびに、その派生用語、「水平に」、「下方に」、「上方に」などは、記載された如くまたは図示される如くの方向に言及すると解されるべきである。かかる相対的な用語は説明の便宜のためのみであり、特に明示的な説明がされない限り、特定の方向に装置が構成または操作されていることを要するものではない。また、「取り付けられた」、「付加された」、「接続された」、「結合された」および「相互接続された」などの用語、ならびに、同様の用語は、別途で明示的に説明されない限り、介在物によって構造物同士が互いに直接的または間接的に固定または取り付けられている関係や、双方が可動もしくは剛性の取り付けまたはその関係であることを述べている。さらに、本開示の特徴または利益は、好ましい態様を参照することによって例示されている。このような態様は十分に詳細に説明されており、当業者が本開示を実施できるようになっている。また、他の態様も利用することができ、プロセス、電気的もしくは機械的な変更が本開示の範囲を逸脱せずに可能であることを理解されたい。したがって、本開示は、考えられる特徴の非制限的な組合せを例示する好ましい態様(単独または他の特徴と組み合わされた態様)に明示的に限定されない。
【0016】
また、本明細書でいう「略垂直」とは、必ずしも完全な「垂直」でなくてよく、それから僅かにずれた態様(例えば、巻回軸と成す角度が、90°±20°の範囲、例えば90°±10°までの範囲)を含んでいる。
【0017】
また、本明細書でいう「略平行」とは、必ずしも完全な「平行」でなくてよく、それから僅かにずれた態様(例えば、完全な平行から±20°の範囲、例えば±10°までの範囲)を含んでいる。
【0018】
本開示の特徴は、電気コネクタ・ユニットにおける電磁シールドの構造に関係する。ただし、ここでは、電気コネクタ・ユニットの全体の把握のため、図面を参照して、以下に電気コネクタ・ユニットの概要を説明する。
【0019】
図1は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。電気コネクタ・ユニット1000は、主たる構成要素として、コネクタ100と、コネクタ100に接続されるケーブル200とを備える。また、電気コネクタ・ユニット1000は、デバイスに設けられるデバイス・コネクタ300をさらに有して成る。デバイス・コネクタ300は、デバイス(図示せず)上に設置され、コネクタ100と互いに組み合わされるように構成される。
【0020】
以下の説明においては、コネクタ100とデバイス・コネクタ300との組み合わせ方向を「上下方向」とし、その上下方向における下方位置に配置されたデバイス・コネクタ300の上方位置にコネクタ100が配置される。
【0021】
なお、本開示における「ユニット」は、複数の構成要素を有して成る複合品または組合せ品などに相当する。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニット1000は、ケーブル200と、ケーブル200の端部に取り付けられたコネクタ100と、コネクタ100と互いに組み合わされるデバイス・コネクタ300とを少なくとも有して成る電気コネクタ複合品または電気コネクタ組合せ品に相当し得る。
【0022】
図2に、本開示の一実施形態に係るケーブル200の断面図を模式的に示す。ケーブル200は、複数の内部ケーブル230から構成される内部ケーブル束240、ケーブル・シールド220、ならびに内部ケーブル束240およびケーブル・シールド220を包囲する絶縁性の被覆部材210(または被覆材)を備える。図示されるように、複数の内部ケーブル230の各々は、導線231の外周を絶縁性の内部ケーブル皮膜232によって被覆されることで形成され得る。複数の内部ケーブル230は内部ケーブル束240を構成し、内部ケーブル束240の外周は導電性のケーブル・シールド220によって包囲される。被覆部材210はケーブル・シールド220の外周を覆い、ケーブル200の外周を規定する。かかる被覆部材210は、ケーブル・ジャケットとも称され得る。
【0023】
被覆部材210は絶縁性の材料によって形成され、ケーブルの配策における優位性を重視すると、可撓性の絶縁性材料であることが好ましい。例えば、被覆部材210は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ポリエチレンおよび/またはそれらと同種のものといったポリマーなどから形成されてよい。また、導線231は、いずれの導電性材料から形成されてもよく、例えば、純銅線または錫めっき銅線などであってよい。
【0024】
図3は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニット1000を模式的に示す分解斜視図である。コネクタ100は、内部ケーブルと電気的に接続する端子140、端子140を収容する端子ハウジング130、端子ハウジング130の外周を包囲するシェル120、およびこれら全てを収容する筐体ハウジング110を備える。本開示のコネクタにおいて、筐体ハウジング110はコネクタ100の外側を規定するハウジングであり、端子ハウジング130は筐体ハウジング110内に配置される。したがって、筐体ハウジング110および端子ハウジング130は、これらの相対的な配置関係から、それぞれアウタ・ハウジングおよびインナ・ハウジングとも称され得る。
【0025】
筐体ハウジング110は略箱状の形状を有する絶縁性の部材であり、デバイス・コネクタ300側に開口している。また、筐体ハウジング110の少なくとも1つの側面には、ケーブル200が貫通可能な挿通口111が形成されていてよい。本開示の電気コネクタ・ユニット1000において、コネクタ100と組み合わされたケーブル200は、挿通口111を通って筐体ハウジング110から外部に延出する(図1参照)。挿通口111は、筐体ハウジング110の外側に向かって筒状に突出した形状を有していてよい。また、挿通口111の外周には、スクリュー・キャップ150と螺合させるための螺子が切られ、スクリュー・キャップ150を締めることで挿通口111とケーブル200との隙間が封止されてよい。図示されていないものの、スクリュー・キャップ150と挿通口111との間は、シール材および/またはクランプなどを用いて止水されてよい。筐体ハウジング110に挿通されたケーブル200の一方の端部は、筐体ハウジング110内に収容される。筐体ハウジング110内において、ケーブル200の端部から所定長さの内部ケーブル束(図示せず)はデバイス・コネクタとの嵌合方向D1(図1参照)に向かって延び、内部ケーブル束の先端が端子140と電気的に接続される。より詳細には、内部ケーブル束の先端から延出する導線と端子140とが導通することによって、内部ケーブルと端子140との接続が為される。つまり、筐体ハウジング110の側面から挿通されたケーブル200は、ケーブル200の端部から端子140に向かって延在する所定長さの内部ケーブル束を有する。
【0026】
内部ケーブルに接続された端子140は、端子ハウジング130に収容されてよい。端子ハウジング130は、後述するデバイス・コネクタ300と組み合わされるように構成される。さらに、端子ハウジング130は、内部ケーブルに接続された端子140を支持するように構成されている。デバイス・コネクタ300がコネクタ100と組み合わされた状態において、端子ハウジング130内の端子140の各々は、デバイス・コネクタ300に備えられた端子(図示せず)の各々と電気的に接続される。
【0027】
本開示の一実施形態において、デバイス・コネクタ300は、デバイスに設けられるコネクタであり、ヘッダー・コネクタとも称され得る。本開示のデバイス・コネクタは、各種電子デバイス、例えば産業機械または産業用ロボットに用いられるモータなどのデバイスに適用され得る。デバイス・コネクタ300は、主たる構成要素として、基部320と、絶縁性ハウジング310と、絶縁性ハウジング310内に設置される端子とを備える。絶縁性ハウジング310は、デバイスの筐体(図示せず)の表面に設置される基部320上に設けられていてよい。例えば、絶縁性ハウジング310が端子ハウジング130を包囲するように、絶縁性ハウジング310と端子ハウジング130とを組み合わせることによって、コネクタ100がデバイス・コネクタ300に装着されてよい。絶縁性ハウジングの内部にはデバイス・コネクタの端子が設置され、当該端子は、コネクタ100と嵌合した状態において、端子ハウジング130の端子140の各々と電気的に接続される。つまり、絶縁性ハウジング310と端子ハウジング130とを組み合わせることで、内部ケーブルの先端の端子140と、絶縁性ハウジング310に収容された端子とが互いに電気的に接続される。
【0028】
また、コネクタの筐体ハウジング110は、デバイス・コネクタ300との嵌合において、絶縁性ハウジング310を包囲するように組み合わされる。本開示の一実施形態において、デバイス・コネクタ300は、外部からの水の侵入を防止するためのパッキンを有してよい。パッキンは、例えば、コネクタ100と組み合わされる絶縁性ハウジング310の外周、および/または基部320とデバイスとの接合箇所に設けられ得る。これにより、コネクタ、デバイス・コネクタ、およびデバイスの組合せ箇所に生じ得る隙間が埋められ、内部ケーブルおよび端子などの電気的要素が適切に防水され得る。
【0029】
図示されていないものの、コネクタ100とデバイス・コネクタ300との嵌合には、ロック・レバーが用いられてもよい。本開示の一実施形態において、ロック・レバーは、筐体ハウジング110を跨ぐように湾曲または屈曲して延在してよい。ロック・レバーは、コネクタ100とデバイス・コネクタ300とが嵌合した状態で、挿通口111と対向する方向から筐体ハウジングの側面に組み合わされ、嵌合状態を維持するように構成されていてよい。
【0030】
本開示において、筐体ハウジング110、端子ハウジング130、絶縁性ハウジング310などの絶縁性の部材は、絶縁性の非導電性材料から形成されてよい。これらの絶縁性の部材は、絶縁性を有する樹脂材を含み得る。特に限定されないものの、かかる絶縁性の部材は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含み得る。また、互いに異なる部材は、それぞれ異なる樹脂材を含んで成ってもよい。
【0031】
本開示の電気コネクタ・ユニットは、ケーブルと、ケーブルに接続された端子とを電気的に遮蔽するためのシールド構造に特徴を有する。特に、本開示の電気コネクタ・ユニットは、ケーブルの被覆部材に直接的に関与しないシールドの構成において特徴を有する。以下に、本開示の電気コネクタ・ユニットにおけるシールド構造について説明する。
【0032】
図4は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットのシェル120を模式的に示す斜視図である。また、図12は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットの端子ハウジング130とシェル120との組付け後の状態を模式的に示す斜視図である。本開示の一実施形態において、シェル120は、端子を収容する端子ハウジング130に対して取り付けられる。シェル120は、内部ケーブル(図示せず)の先端に接続される端子のためのシールド要素として機能するように設置される。さらに、シェル120は、内部ケーブルおよびその先端に接続される端子に対してシールド性を確保するためにも用いられ得る。図12に示されるように、シェル120は、端子ハウジング130の全周を少なくとも部分的に囲うように設けられていてよい。つまり、シェル120は、端子ハウジング130の側面に沿って屈曲する形状を有し、端子ハウジング130の外周を少なくとも部分的に覆うように配置されてよい。換言すれば、本開示のシェル120は、必ずしも端子ハウジング130の全周囲を囲むように形成されていなくてよい。また、本開示の電気コネクタ・ユニットにおいて、シェル120は、コネクタの端子ハウジング130の内部に収容される電気的要素の電磁シールドとして機能するところ、コネクタ・シールドと称すことも可能である。
【0033】
シェルは、金属または軟磁性体の導電性材料、またはめっき加工などによって表面に導電性を有する材料によって形成されてよい。限定されないものの、シェルは導電性の板状部材から形成され得、例えば金属薄板を打ち抜き加工および/または曲げ加工することによって形成されてよい。
【0034】
図5は、図4に示すシェル120のA-A断面を矢印方向に見た模式的断面図である。図4および図5に示されるように、本開示の一実施形態において、シェル120の側面にはシールド固定部121が配設されている。シールド固定部121は、後述する端子ハウジング130の開口部131(図12参照)において、ケーブル・シールド220(図2参照)の少なくとも一部と導通することによって、端子ハウジング130内の内部ケーブルおよび端子を電気的に遮蔽する。シールド固定部121の形状は、端子ハウジング130の開口部131に挿入可能であり、当該開口部131に挿通されるケーブル・シールドとの導通が達成される限り、特に限定されない。例えば、図5に示されるように、シールド固定部121は、シェル120の側面から延在し、折り返すように屈曲した形状を有していてよい。本開示における「屈曲」は、湾曲または撓曲も包含する。このような屈曲形状は、図5に示す断面視において、例えば「折り返し形状」、「略U字形状」、「略V字形状」、「略J字形状」または「極大点を有する曲線形状」などと称すことも可能である。シールド固定部121は導電性であり、例えば、シェル120を構成する金属薄板を折り曲げることによって形成されてよい。すなわち、本開示の一実施形態において、シェルとシールド固定部とは、単一の導電性板材から形成されてよい。これは、シェルとシールド固定部とが、互いに一体化された一体化物であってよいことを意味する。
【0035】
図6は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットの端子ハウジング130を模式的に示す斜視図である。また、図7は端子ハウジング130を模式的に示す上面図である。図示されるように、端子ハウジング130は、内部ケーブルに接続される端子を個別に収容する端子収容部136を備えていてよい。端子収容部136は、端子に接続された内部ケーブルが延出する方向に開口していてよい。また、端子収容部136の底部には、デバイス・コネクタの端子(例えば、コンタクト・ピン)が貫通できる貫通孔136aが形成されていてよい。コネクタとデバイス・コネクタとの嵌合状態において、貫通孔136aを挿通したデバイス・コネクタの端子は、内部ケーブルに接続された端子と端子収容部136の内部で電気的に接続される。つまり、デバイス・コネクタの端子の各々と導通する端子の各々は、端子収容部136に差し込まれることによって支持されていてよい。
【0036】
本開示の一実施形態において、端子ハウジング130に収容される端子は、接地電位に接続される接地端子140aと、信号を伝送するための信号端子140bとから構成されている。例えば、端子ハウジングの複数の端子収容部136には、1つの接地端子140aおよび複数の信号端子140bがそれぞれ収容されていてよい。コネクタとデバイス・コネクタとが嵌合した状態において、端子ハウジングの接地端子および信号端子は、それぞれ、デバイス・コネクタの絶縁性ハウジングに設置された接地端子および信号端子と電気的に接続される。すなわち、コネクタの接地端子はデバイス・コネクタの接地端子と導通し、コネクタの信号端子は、デバイス・コネクタの信号端子とそれぞれ導通するように構成されてよい。
【0037】
また、図6および図7に示すように、本開示の端子ハウジングは、開口部131を備えている。開口部131は、端子ハウジング130の側面に位置付けられていてよい。本開示の一実施形態において、開口部131は端子収容部136と同じ方向に向かって開口し得る。開口部131は、デバイス・コネクタとの嵌合方向D1に沿って貫通する形状を有していてよい。つまり、本開示の一実施形態に係る開口部131は、図6に示す上下方向に沿って貫通した形状を有し得る。また、図7に示す上面視において、開口部131の形状は、例えば略矩形形状であってよい。より詳細には、開口部131は、上面視において、端子ハウジング130の側面に沿って長く延在する略矩形形状の空間を有していてよい。また、開口部131は、必ずしも全周が囲われていなくてもよい。つまり、本開示の一実施形態において、開口部131は、上面視において、全周が閉じていない不連続な形状を有していてもよい。
【0038】
開口部を備える端子ハウジングは、絶縁性を有する樹脂材から形成されてよい。すなわち、端子ハウジングおよび開口部は、絶縁性の樹脂材を射出成形することによって、一体的に形成されてよい。これは、端子ハウジングと開口部とが、互いに一体化された一体化物であってよいことを意味する。特に限定されないものの、絶縁性の樹脂材は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含み得る。
【0039】
図11は、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットの端子ハウジング130とシェル120との組付け前の状態を模式的に示す斜視図である。図12は、図11に示す端子ハウジング130とシェル120との組付け後の状態を模式的に示す斜視図である。上述したように、シェル120は、内部ケーブル(図示せず)の先端に接続される端子140(140a、140b)が収容された端子ハウジング130に対して取り付けられ得る。より具体的には、シェル120は、端子ハウジング130内に配置された端子および端子に接続された内部ケーブルを囲うように、端子ハウジング130の側面に沿って配置され得る。図11および図12に図示されるように、シェル120と端子ハウジング130とは、端子ハウジング130の開口部131にシールド固定部121が挿入されるように組み合わせられる。つまり、シェル120と端子ハウジング130とが組付けられた状態において、シールド固定部121は、開口部131内に位置付けられてよい。シールド固定部121は、組付け後の状態において、開口部131内で屈曲する形状を有してよい。図13は、図12に示す組付け後の端子ハウジング130およびシェル120のE-E断面を矢印方向に見た模式的断面図である。図示されるように、折り返すように屈曲した形状を有するシールド固定部121が開口部131内に収容されるように、シェル120と端子ハウジング130とが互いに組み合わされていてよい。
【0040】
また、図11および図12に示すように、端子ハウジング130は、シェル120を固定するためのラッチ137を少なくとも1つ有していてよい。ラッチ137は、端子ハウジング130の側面において外側に突出していてよい。また、シェル120は、ラッチ137と係合されるラッチ受け部123を有してよい。かかる構造により、端子ハウジング130に組み合わされたシェル120が係止され、シェル120の意図しない脱離がより好適に防止され得る。さらに、端子ハウジング130は、側面において、端子ハウジング130の外側に向かって隆起し、嵌合方向D1に沿って延在するガイド部138を少なくとも1つ備えてよい。また、シェル120は、かかるガイド部138に対応して、シェル120を組付け完了位置にまで案内する被ガイド部124を有してよい。被ガイド部124がガイド部138に沿うように端子ハウジング130とシェル120とが組み合わされることによって、シェルの誤装着、ならびにシェルおよび端子ハウジングのガタ付きがより好適に防止され得る。
【0041】
図14は、本開示の電気コネクタ・ユニットにおけるシェル120とケーブル・シールド220とが互いに接続された状態を模式的に示す断面図である。図示されるように、本開示の一実施形態において、ケーブル・シールド(例えば、後述する導電性部材221)の少なくとも一部は、端子ハウジング130の開口部131に向かって延在し、当該開口部131に挿通される。つまり、ケーブル・シールド220の少なくとも一部は、ケーブル200の一方の端部から絶縁性の被覆部材210の外部に露出し、開口部131に挿通されていてよい。換言すれば、ケーブル・シールドの少なくとも一部は、端子ハウジング130の開口部131を通って延出していてよい。開口部131に挿通されたケーブル・シールドは、端子ハウジング130と組み合わされたシェル120のシールド固定部121と電気的に接続される。すなわち、ケーブル・シールドの少なくとも一部は、開口部131の内部においてシールド固定部121と導通してよい。より詳細には、ケーブル・シールドの少なくとも一部は、開口部131の内壁面とシールド固定部121との間に挿通され、シールド固定部121と電気的に接続されてよい。これは、開口部131の内壁とシールド固定部121との間には、ケーブル・シールドの少なくとも一部が挿通し得る隙間が存在し得ることを意味する。つまり、開口部131は、シールド固定部121およびケーブル・シールドの少なくとも一部を挿通させ、互いに導通させるための空間を有していてよい。上述の構成により、ケーブル・シールド220とシェル120との電気的な接続は、端子ハウジング130の開口部131において実施され得る。これは、ケーブル・シールド220とシェル120とが、被覆部材210の外表面上に位置付けられることなく電気的に接続されることを意味する。すなわち、上述の構成は、ケーブルの被覆部材210および外径に直接的に関与することなく、ケーブル・シールド220とシェル120との接続を可能とする。そのため、被覆部材の経年劣化およびケーブルの外径寸法の変化に起因する接続不良の発生がより好適に防止され得る。さらに、上述の構造では、ケーブル・シールド220とシェル120との間に、銅箔または圧着端子などの別の部材を介在させることなく、ケーブル・シールド220とシェル120とを導通させることが可能となる。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、ケーブルおよびコネクタにおけるシールド要素同士の接続に際してさらなる接続用部材を必要としない、より好適な電磁シールドの構成が実現され得る。
【0042】
本開示の電気コネクタ・ユニットにおいて、ケーブル・シールド220は、内部ケーブル束を電気的に遮蔽するため、導電性部材から構成される。図14に示すように、本開示の一実施形態では、ケーブル・シールド220を構成する導電性部材221の少なくとも一部が、端子ハウジングの開口部131とシェルのシールド固定部121との間に挟まれる。ケーブル・シールド220を成す導電性部材221の少なくとも一部とシールド固定部121とが開口部131の内部において導通することで、シェル120とケーブル・シールド220との電気的な接続が達成され得る。つまり、ケーブル・シールド220を成す導電性部材221の少なくとも一部が、開口部131と、開口部131に挿入されたシールド固定部121との間に挟まれることによって、ケーブル・シールド220とシールド固定部121とが導通してよい。ケーブル・シールド220を構成する導電性部材221の少なくとも一部は、ケーブル・シールド220とシールド固定部121との間を架橋するように、開口部131に向かって延出していてよい。つまり、導電性部材221は、ケーブル・シールド220の端部からケーブル200のより外側に延出され、端子ハウジングの開口部131においてシールド固定部121と導通する。また、延出する導電性部材は単線に限らず、複数の導電性部材から成る束、撚り線、編み線、または捻じり線などによって構成されてもよい。上述の構成により、ケーブルの被覆部材210および外径に直接的に関与することのない、より好適な電磁シールドが実現され得る。さらに、ケーブル・シールド220とシェル120とは、ケーブル・シールドから引き出された導電性部材221と、シェルのシールド固定部121との直接的な接触によって電気的に接続される。すなわち、本開示に用いられるケーブルは、ケーブル・シールドとは別個のドレイン部材が設けられていない、ドレイン部材非設置型のケーブルであると捉えることも可能である。以上のことから、本開示の電気コネクタ・ユニットでは、ケーブル・シールドとシェルとの接続に際してさらなる部材を必ずしも必要としない、より好適な電磁シールドの構成が達成され得る。
【0043】
ケーブル・シールド220に用いられる導電性部材221は、狭い空間に配置された機器などへの配索における優位性から、柔軟性を有する導電性の材料であることが好ましい。特に、耐久性および可撓性に優れる点を重視すると、導電性部材221は、軟銅線、銀線、ニッケル線、合金線、または金属化合物などの導電性素線であることがより好ましい。また、部材表面には、酸化や錆の発生を防止するため、スズめっき、ニッケルめっきまたは銀めっきなどの導電性めっき層が形成されていてよい。導電性素線は、導電性を有する細線であるところ、例えば導電性ファイバー、導電性フィラメント、または導電性ワイヤなどと称すこともできる。ケーブル・シールド220は、複数の導電性部材を編組または螺旋巻(または横巻)することで形成されてよい。例えば、ケーブル・シールド220は、複数の導電性部材を編み込むことで形成された編組であってよい。あるいは、導電性部材221をケーブル長手方向に沿って螺旋状に巻き付けることによって、ケーブル・シールド220が形成されてよい。また、代替的には、複数の導電性部材を互いに撚り合わせて成る撚り線を編組または螺旋巻して、ケーブル・シールド220が形成されてもよい。
【0044】
例えば、ケーブル・シールド220が編組または螺旋巻された導電性部材221によって構成されている場合、ケーブル・シールド220を成す導電性部材221をほぐし、一部を取り出して撚り合わせることによって形成された撚り線が、開口部131に挿通されてよい。代替的には、開口部131に挿通される導電性部材221は、ケーブル・シールド220を成す導電性部材221の少なくとも一部から成る非撚り線であってよい。あるいは、ケーブル・シールド220は、導電性部材221の一部が延出するように構成されていてよく、かかる一部の導電性部材221をケーブル200の端部から引き出し、開口部131に挿通してよい。上述のように、ケーブル・シールドとして編組を用いることで、ケーブル・シールドの少なくとも一部を、より容易に開口部に挿通することが可能となり得る。
【0045】
※シェルとケーブル・シールドとの接続について(応用例)
また、代替的には、ケーブル・シールド220を構成する導電性部材は、例えば線状、長尺状、シート状、またはテープ状の形状を有していてもよい。導電性部材は、平面視において、例えば直線状または曲線状の形態を有するものであってよく、その太さは必ずしも一定でなくてよい。例えば、ケーブル・シールド220は、金属箔、積層金属、金属積層ポリイミド、導電性ポリマー層、導電性の連続的な(例えば、シート状)材料、および/またはそれらと同種のものから形成されていてもよい。また、導電性部材は、絶縁性材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどの樹脂部材)による被覆を必ずしも必要としない。
【0046】
一実施形態においては、ケーブル・シールド220と電気的に接続された別個のシールド部材が開口部に挿通されてよい。つまり、開口部ではシールド固定部と当該シールド部材とが互いに当接し、ケーブル・シールドとシールド固定部とは、シールド部材を介して電気的に接続されてよい。かかるシールド部材は、開口部にて、シールド固定部と開口部との間に挿入可能である限り特に限定されないものの、例えばケーブル・シールドの端部から開口部内にまで延びる、細長い形状のシールド部材であってよい。したがって、シールド部材は、例えば導電性の長尺状部材、長尺シート状部材、またはストリップ線状部材であってよい。シールド部材は、平面視において、例えば直線状または曲線状の形態を有するものであってよく、その太さは必ずしも一定でなくてよい。さらに、シールド部材は単線に限らず、複数の導電性要素から成る束、撚り線、編み線、または捻じり線などによって構成されてもよい。また、シールド部材は、絶縁性材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどの樹脂部材)による被覆を必ずしも必要としない。
【0047】
また、ケーブル・シールドの少なくとも一部(例えば、導電性部材)およびシールド固定部が挿入される端子ハウジングの開口部131は、図6および図7に示すように、端子ハウジング130の外側側面に配置されていてよい。すなわち、開口部131は、端子ハウジング130の側面において、外側に突出するように形成されてよい。例えば、開口部131は、端子ハウジング130の外側側面と、図7に示す上面視にて略C字型形状の側壁とによって、端子ハウジング130の外側に空間を形成するように配設されてよい。かかる構造において、シェル120のシールド固定部121は、端子ハウジング130の外側側面に沿って開口部131に挿入される。すなわち、図14に示すように、開口部131に挿入されるシールド固定部121は、端子ハウジング130の外側側面に沿ってコネクタとデバイス・コネクタとの嵌合方向D1に向かって延在し、開口部131内において折り返すように屈曲する形状を有してよい。より詳細には、シールド固定部121は、端子ハウジング130の外側側面に沿って延びた後、当該側面に対向する内壁面に向かって折り返すように屈曲していてよい。かかる構造において、開口部131に挿通されるケーブル・シールド(例えば、導電性部材221)は、折り返したシールド固定部121と導通するように、端子ハウジング130の外側側面と対向する内壁面に沿って挿通されてよい。このような構造において、開口部131を有する端子ハウジング130の外側側面は、シールド固定部121を構成する導電性部材によってより広範囲に覆われ得る。したがって、端子ハウジング内に配置される内部ケーブルおよび端子をより好適に電気的に遮蔽することが可能となり得る。さらに、ケーブル・シールドおよびシールド固定部が端子ハウジングの外側に位置付けられることで、端子ハウジングの内部に配置される電気的要素とシールド要素とが端子ハウジングの側壁によって隔離されるため、要素同士の誤接触がより好適に防止され得る。
【0048】
本発明の一実施形態において、シールド固定部121は板ばねであってよい。より詳細には、図4および図5に示すように、シールド固定部121は、シェル120の側面において片持ちで支持されている板ばねであってよい。かかる板ばねは、シェル120から離れる方向(すなわち、図5における方向X)に作用する力(例えば、弾性力または弾性付勢力)を有する。かかる方向Xは、例えば、図5に示すように、嵌合方向D1に対して略垂直な方向であってよい。図14に示すように、開口部131にケーブル・シールド(例えば、導電性部材221)およびシールド固定部121が挿入された状態において、板ばねであるシールド固定部121の弾性力は、挿通されたケーブル・シールドに向かって作用する。換言すれば、端子ハウジング130の開口部131に挿通されたケーブル・シールド220は、板ばねであるシールド固定部121の弾性力に起因して固定され得る。すなわち、シールド固定部121は、開口部131に挿入された際、開口部131の内壁面および当該開口部131に挿通されているケーブル・シールドと干渉して弾性変形し、開口部131の内部でケーブル・シールドと密着するように構成されてよい。これは、シールド固定部121が開口部131の内壁面に向かってケーブル・シールドを押圧することで、当該ケーブル・シールドが開口部131内でより好適に挟持され得ることを意味する。つまり、板ばねであるシールド固定部121は、開口部131に挿通されたケーブル・シールドと弾性的に接触することで、より確実で安定した電気的接続を供し得る。
【0049】
図14に示されるように、本開示の一実施形態において、開口部131に挿通されたケーブル・シールド(例えば、導電性部材221)は、開口部131を通過した後、折り返されていてよい。より詳細には、ケーブル・シールドの少なくとも一部は開口部131を貫通し、貫通したケーブル・シールドの端部は、開口部131の外壁面に沿って折り返すように屈曲していてよい。つまり、図14に示されるように、嵌合方向D1に向かって開口部131に挿入されたケーブル・シールドは、開口部131を通過した後に屈曲し、ケーブル・シールドの端部は方向D1と略対向する方向(図中の上方向)に向かって延在していてよい。かかる折り返しは、開口部131からケーブル・シールドが意図せず抜けて、シールド固定部121との導通が損なわれることを防止することに寄与し得る。
【0050】
また、本開示の一実施形態において、開口部131が切り欠き部132を備え、開口部131に挿通されたケーブル・シールド(例えば、図14に示す導電性部材221)は切り欠き部132において折り返されていてよい。つまり、開口部131は、挿通されたケーブル・シールド220が延出する箇所において、切り欠き部132を有していてよい。換言すれば、開口部131は、端子ハウジング130の側面と対向する側壁の一部が切り欠かれた形状を有していてよい。例えば、図6に示す端子ハウジング130において、ケーブル・シールドは、開口部131の上方の開口から下方向に向かって挿通され、開口部131の側壁の下端の中央に形成された切り欠き部132にて上方向に折り返されていてよい。かかる構造により、開口部131に挿通されたケーブル・シールドは切り欠き部132に集められ、開口部131から延出した部分が折り返される。切り欠き部132を用いることで、開口部131内において切り欠き部132を有する側壁の内壁面にケーブル・シールドが集められるため、シールド固定部と内壁面との間でより確実にケーブル・シールドを挟持することが可能となり得る。したがって、切り欠き部132においてケーブル・シールドが折り返された構造は、シールド固定部とケーブル・シールドとをより確実かつ安定に導通させることに寄与し得る。さらに、切り欠き部132は、ケーブル・シールドの折り返しに際して切り欠き部132を有する側面にケーブル・シールドが纏められることで、後述するケーブル・シールドとシェルとの接続操作において、シールド固定部の開口部への挿入をより容易にすることにも助力し得る。
【0051】
また、図13に示されるように、本開示の一実施形態において、シェル120は、接地端子140aと電気的に接続される舌片122をさらに備える。本開示の一実施形態において、シェル120が端子ハウジング130と互いに組み合わされると、シェル120の舌片122は、端子ハウジング130内の接地端子140aに電気的に接続される。すなわち、シェル120と端子ハウジング130とが組み合わされた状態において、舌片122は、端子収容部136内に配置された接地端子140aと接触し、導通するように形成されてよい。さらに、既述のとおり、端子ハウジング130内の接地端子140aは、電気コネクタ・ユニットの嵌合状態においてデバイス・コネクタの接地端子と電気的に接続するように構成されている。そのため、舌片122と端子ハウジング130内の接地端子140aとが電気的に接続されることで、シェル120の接地が為される。すなわち、シェル120と端子ハウジング130とを組み合わせる操作によって、シェル120と接地端子140aとが電気的に導通される。さらに、コネクタとデバイス・コネクタとを嵌合させることによって、シェル120とデバイス・コネクタの接地端子とが導通し、コネクタ内の端子のシールド性が確保され得る。これは、ケーブル・シールド、シェル、およびデバイス・コネクタの接地端子が電気的に接続され、電気コネクタ・ユニット内の電気的要素(例えば、内部ケーブルの導線および信号端子140b)が電気的に遮蔽されることを意味する。上述の構造により、シェル120と端子ハウジング130との組合せ操作、およびコネクタとデバイス・コネクタとの嵌合操作によって、より容易に電気コネクタ・ユニットの電磁シールドを構成することが可能となり得る。すなわち、本開示の電気コネクタ・ユニットは、ケーブル・シールド、シェル、および接地端子から成るシールド要素間の接続のための別途の煩雑な操作(例えば、銅テープなどによるケーブルの端末処理、圧着、溶接など)を必要とせずに、より簡易に電磁シールドを形成することを可能とし得る。
【0052】
舌片122は、導電性部材であり、例えばシェル120と単一の金属板材を折り曲げ加工することによって形成されてよい。つまり、シェルと舌片とは、互いに一体化された一体化物であってよい。図4および図13に示すように、本開示の一実施形態において、舌片122は、シェル120の側面から端子収容部136の内部に向かって折り返すように延在する、長尺状の形状を有していてよい。舌片122は、端子収容部136の開口から端子収容部136内に設置された接地端子140aに向かって延び、かかる接地端子140aと電気的に接続されるように形成されていてよい。換言すれば、舌片122は、複数の端子収容部136の少なくとも1つの内部に向かって延在し、接地端子140aは、舌片122が延在している端子収容部136に設置されてよい。舌片122は、シェル120の側面において片持ちで支持されることによって、弾性付勢力を有していてよい。すなわち、舌片122は片持ちの板ばねの構造を有していてよい。舌片122を片持ち状の板ばねとすることで、端子収容部136に設置された接地端子140aと舌片122とが弾性的に接触し、より確実で安定した電気的接続が実現され得る。
【0053】
続いて、本開示の電気コネクタ・ユニットにおけるケーブル・シールドとシェルとの接続について、順を追って以下に説明する。図15A図15Dは、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットにおけるケーブル・シールドとシェルとの接続手順を示す模式図である。
【0054】
シェル120とケーブル・シールド220との接続に際して、まず、ケーブル・シールド220の少なくとも一部が、端子ハウジング130の開口部に挿通される(図15A参照)。例えば、ケーブル・シールド220が導電性部材から成る場合、ケーブル・シールド220から引き出された複数本の形態を有する導電性部材221が、端子ハウジング130の開口部131に挿通されてよい。挿通されたケーブル・シールドは、開口部131を通過し、デバイス・コネクタとの嵌合方向に向かって延出していてよい。
【0055】
続いて、図15Bに示すように、開口部131を通過したケーブル・シールドの端部は、挿通方向と略対向する方向に向かって折り返されてよい。すなわち、ケーブル・シールド(例えば、導電性部材221)の少なくとも一部の端部は、開口部131を通過した後、開口部131の外壁面に沿って折り返すように曲げられてよい。また、ケーブル・シールド220の折り返しは、開口部131に形成された切り欠き部132において為されてよい。すなわち、開口部131に挿通したケーブル・シールドは、切り欠き部132に集めてから折り返すように屈曲させてよい。かかる折り返しは、挿通されたケーブル・シールドの抜け防止に寄与し得る。さらに、切り欠き部132にてケーブル・シールドを集めてから折り返すことで、続くシールド固定部121の挿入がより容易になり得る。
【0056】
次に、シェル120を端子ハウジング130に組み付ける。図15Cに示すように、シェル120は、ケーブル・シールド(例えば、導電性部材221)の挿通方向と同じ方向から、端子ハウジング130の側面に沿って組付けられてよい。シェル120を端子ハウジング130に組付けることによって、シールド固定部121が開口部131に挿入される(図14および図15D参照)。シールド固定部121は、開口部131の内壁面との間にケーブル・シールドを挟むように挿入されてよい。本開示の一実施形態において、シールド固定部121は、開口部131における切り欠き部132を有する内壁面に集められたケーブル・シールドと干渉しながら挿入され、弾性変形することで、開口部131内においてケーブル・シールドと密着してよい。以上の手順により、ケーブル・シールド220とシェル120とが電気的に接続される。
【0057】
また、図14に示されるように、端子ハウジング130がシェル120に取り付けられるに際して、端子ハウジング130の複数の端子収容部136の少なくとも1つの内部にシェル120の舌片122が挿入されてよい。舌片122が挿入されている端子収容部136に接地端子140aを配置することで、接地端子140aと舌片122とが導通される。つまり、上述の手順によって端子ハウジング130に組付けられたシェル120は、舌片122を介して接地端子140aと電気的に接続される。コネクタとデバイス・コネクタとの嵌合状態において、かかる接地端子140aは、デバイス・コネクタの接地端子と電気的に接続される。つまり、コネクタとデバイス・コネクタとの嵌合操作により、舌片および接地端子140aを介して、シェル120とデバイス・コネクタの接地端子とが電気的に接続される。
【0058】
上述の構成により、本開示のコネクタとデバイス・コネクタとが組み合わされた状態において、本開示のケーブル・シールド220は、シェル120を介してデバイス・コネクタの接地端子に電気的に接続される。すなわち、コネクタおよびデバイス・コネクタの嵌合状態において、ケーブル・シールド220、シェル120、およびデバイス・コネクタの接地端子は互いに導通される。これは、本開示のケーブル、コネクタ、およびデバイス・コネクタに備えられるシールド要素が、嵌合状態において適切に接地され得ることを意味する。したがって、本開示の電気コネクタ・ユニットは、上述の構造によって、ケーブルおよびコネクタ内の端子をより適切に電気的に遮蔽し得る、より好適な電磁シールドの構成を供し得る。
【0059】
また、本開示の一実施形態において、端子ハウジング130の開口部131は、内壁面にテーパ面133を少なくとも1つ有してよい。図8は、図7に示す端子ハウジング130のB-B断面を矢印方向に見た模式的断面図である。図示されるように、開口部131の内壁面の少なくとも一部は、テーパ面133であってよい。ここで、テーパ面とは、開口部131の内部に向かって漸次傾斜している、開口部131の内壁面の少なくとも一部を指す。換言すれば、開口部131の内壁面の少なくとも一部は、シールド固定部およびケーブル・シールドの挿入方向に対して角度を成すように傾斜していてよい。かかる挿入方向は、端子ハウジング130のデバイス・コネクタに対する嵌合方向D1に対して略平行であるところ、開口部のテーパ面は、嵌合方向D1に対して角度を成すように傾斜していると解することもできる。
【0060】
図9は、図7に示す端子ハウジング130のC-C断面を矢印方向に見た模式的断面図である。図示されるように、開口部131のテーパ面133は、開口部131の内部側に向かって漸次傾斜していてよい。つまり、開口部131は、少なくとも一部において開口部131の内側の空間が漸次狭くなるように、内壁面の少なくとも一部が傾斜していてよい。より具体的には、ケーブル・シールドおよび/またはシールド固定部が挿入される開口部131の端部において、内壁面にテーパ面133が形成されていてよい。換言すれば、ケーブル・シールドおよび/またはシールド固定部は、テーパ面133を有する端部から開口部131に挿入されてよい。かかるテーパ面133により、開口部131に挿通されたケーブル・シールドは、テーパ面133の傾斜に従って開口部の内部側に誘導され得る。開口部131が上述のテーパ面133を有することにより、開口部131内においてケーブル・シールドが開口部131の中央に集められ得る。特に、開口部131に挿通されるケーブル・シールドが複数の導電性部材221(図14参照)である場合、複数の導電性部材221がテーパ面133によって中央に集められることで、続くシールド固定部の挿入がより容易に実施可能となり得る。さらに、挿入されたシールド固定部とケーブル・シールドとをより確実に電気的に接続させることが可能となり、より好適な電磁シールドの構成が実現され得る。
【0061】
図9に示す断面視において、テーパ面が嵌合方向D1と成す傾斜角度は、ケーブル・シールドの挿入に際して上述の効果が得られる限り特に限定されない。例えば、傾斜角度は、5°以上85°以下であってよく、例えば10°以上70°以下、または20°以上70°以下であることができる。
【0062】
図10は、図7に示す端子ハウジング130のD-D断面を矢印方向に見た模式的断面図である。図7および図10に図示されるように、端子ハウジング130は、開口部131の内部において、スライド溝134を備えていてよい。より詳細には、開口部131は、端子ハウジング130の側面に沿って延在するスライド溝134を有していてよい。スライド溝134は、端子ハウジング130の側面に接している開口部131の側壁に形成されていてよい。つまり、スライド溝134は、開口部131の側壁と端子ハウジング130の外側側面との間に少なくとも1つ形成されてよい。換言すれば、開口部131の側壁は、端子ハウジング130の外側側面と接する部分において、凹状のスライド溝134を少なくとも1つ有していてよい。例えば、図7に示されるように、スライド溝134は、端子ハウジング130の側面に接している開口部131の内側角部に設けられていてよい。つまり、スライド溝は、端子ハウジング130の側面と開口部の内側角部に設けられた凹部によって規定されてよい。かかるスライド溝134は、シェルと端子ハウジングとの組付けに際して、シールド固定部を開口部131の内部に案内することに助力し得る。つまり、シールド固定部は、かかるスライド溝134に沿って開口部131の内部に挿入されてよい。開口部131にスライド溝134が形成されることで、開口部131内におけるシールド固定部のガタ付きがより好適に抑制され、ケーブル・シールドとの接触不良の発生がより好適に防止され得る。すなわち、スライド溝134は、シールド固定部とケーブル・シールドとのより確実で安定した電気的接続を供することで、より好適な電磁シールドの構成を実現し得る。
【0063】
また、図10に示されるように、開口部131は、その内壁面にガイド面135を備えていてよい。本明細書において、ガイド面135とは、スライド溝134の端部に形成されたテーパ形状を有する面を指す。一実施形態において、スライド溝134を備える開口部131の内壁面には、ガイド面135が形成され、かかるガイド面135はスライド溝134に向かって漸次傾斜していてよい。ガイド面135は、端子ハウジング130の側面と角度を成すように、端子ハウジング130の内部側に向かって漸次傾斜していてよい。つまり、ガイド面135は、シールド固定部の挿入方向(すなわち、嵌合方向D1)に向かって漸次低くなるように傾斜していてよい。これは、スライド溝134が、いずれか一方の端部において、嵌合方向D1に向かって漸次狭くなる構造を有し得ることを意味する。シールド固定部は、かかるガイド面135を有する端部から開口部131に挿入される。つまり、ガイド面135は、スライド溝134におけるシールド固定部の挿入口側において形成されてよい。スライド溝134に向かって傾斜するガイド面135は、シールド固定部をスライド溝134に誘導し、シールド固定部の挿入時における物理的干渉の抑制に寄与し得る。したがって、かかる構造は、シールド要素の組付け操作をより容易にすることで、より好適な電磁シールドの構成を提供し得る。
【0064】
図10に示す断面視において、ガイド面135が端子ハウジング130の側面と成す傾斜角度は、シールド固定部121の挿入に際して上述の効果が得られる限り特に限定されない。例えば、傾斜角度は、5°以上85°以下であってよく、例えば10°以上70°以下、または20°以上70°以下であることができる。
【0065】
また、本開示の一実施形態において、デバイス・コネクタ300(図3参照)は、モータ・デバイスに設けられるモータ側コネクタであってよい。例えば、本開示の電気コネクタ・ユニットは、産業用機械または産業用ロボットなどのモータ・デバイスに適用されてよい。本開示の一実施形態において、かかるモータ・デバイスに適用される電気コネクタ・ユニットは、デバイスを駆動または制動する電源電圧を供給するための内部ケーブル、およびデバイスに搭載されたセンサなどの装置からの信号を送達するための内部ケーブルを備えた、電源・信号の複合電気コネクタ・ユニットであってよい。
【0066】
このような電源・信号の複合電気コネクタ・ユニットにおいては、信号の送達のための端子および電源電圧の供給のための端子が隣り合って配置され得、デバイスの作動に際して端子間の相互干渉が存在し得る。そのため、信号の送達のための端子と電源の供給のための端子とをそれぞれ別個の端子ハウジングに収容し、少なくとも一方の端子ハウジングに対して本開示の電磁シールドの構成を適用してよい。例えば、信号の送達に関わる端子を収容する端子ハウジングに対して開口部を設け、本開示の電磁シールドの構成を適用することにより、相互干渉が低減または除去され得る。なお、本開示の一実施形態に係る電気コネクタ・ユニットでは、電源用内部ケーブル束および信号用内部ケーブル束の各々がケーブル・シールド220および被覆部材210を備えたケーブル200を構成し、筐体ハウジング110に設けられた2つの挿通口111から別個に挿入されてよい(図1および図3参照)。また、さらなる実施形態においては、電源用ケーブルと信号用ケーブルとを束ねた複合ケーブルを構成し、かかる複合ケーブルが筐体ハウジングに挿通されてもよい。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、上記構成を組み合わせるなど、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、シールド固定部および/またはケーブル・シールドの開口部への挿入方向は、図面に示された方向と逆であってもよい。すなわち、図面(例えば、図14)において、シールド固定部121およびケーブル・シールド220(例えば、導電性部材221)は、開口部131の上から下方向に向かって挿入されているところ、開口部131の下から上方向に向かって挿入されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示の電磁シールド構成を備えた電気コネクタ・ユニットは、電気的接続を要する各種技術分野で好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1000 電気コネクタ・ユニット
100 コネクタ
110 筐体ハウジング
111 挿通口
112 開口領域
120 シェル
121 シールド固定部
122 舌片
123 ラッチ受け部
124 被ガイド部
130 端子ハウジング
131 開口部
132 切り欠き部
133 テーパ面
134 スライド溝
135 ガイド面
136 端子収容部
136a 貫通孔
137 ラッチ
138 ガイド部
140 端子
140a 接地端子
140b 信号端子
150 スクリュー・キャップ
200 ケーブル
210 被覆部材
220 ケーブル・シールド
221 導電性部材
230 内部ケーブル
231 導線
232 内部ケーブル皮膜
240 内部ケーブル束
300 デバイス・コネクタ
310 絶縁性ハウジング
320 基部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D