(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069445
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】エンドファイア指向性を有するアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 15/14 20060101AFI20230511BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01Q15/14 Z
H01Q9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181290
(22)【出願日】2021-11-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年9月7日掲載のウェブサイトのアドレス 内田 光則、長 敬三、井上 祐樹、井原 泰介が、2021年電子情報通信学会ソサイエティ大会のウェブサイトにて、長 敬三、井上 祐樹、木村 泰子が発明したエンドファイア指向性を有するアンテナ装置について公開した。 (2)令和3年9月7日、2021年電子情報通信学会ソサイエティ大会 通信講演論文集 講演番号B-1-58 内田 光則、長 敬三、井上 祐樹、井原 泰介が、2021年電子情報通信学会ソサイエティ大会 通信講演論文集_講演番号B-1-58にて、長 敬三、井上 祐樹、木村 泰子が発明したエンドファイア指向性を有するアンテナ装置について公開した。 (3)令和3年9月14日~令和3年9月17日開催の2021年電子情報通信学会ソサイエティ大会にて、内田 光則、長 敬三、井上 祐樹、井原 泰介が、長 敬三、井上 祐樹、木村 泰子が発明したエンドファイア指向性を有するアンテナ装置について公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(71)【出願人】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰子
(72)【発明者】
【氏名】長 敬三
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA01
5J020BA04
5J020BA06
5J020BB01
5J020BC09
5J020BD03
5J020BD04
5J020DA03
5J020DA04
(57)【要約】
【課題】メタサーフェス構造を用いつつ、低姿勢であり、エンドファイア指向性を有するアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置10は、誘電体基板20の一方の平面に複数の導体素子200が配置されるメタサーフェス構造15と、当該平面から離隔して所定距離内に設けられるアンテナ励振素子100とを備える。複数の導体素子200は、誘電体基板20の平面視において、アンテナ励振素子100に対して対称に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板の一方の平面に複数の導体素子が配置されるメタサーフェス構造と、
前記平面から離隔して所定距離内に設けられるアンテナ励振素子と
を備え、
前記複数の導体素子は、前記誘電体基板の平面視において、前記アンテナ励振素子に対して対称に配置されるアンテナ装置。
【請求項2】
前記導体素子は、前記誘電体基板の平面視において、長方形である請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記導体素子の長手方向は、前記アンテナ励振素子の長手方向と平行に配置される請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記誘電体基板から前記アンテナ励振素子までの距離は、前記アンテナ装置が対応する波長の1/4の長さである請求項1乃至3の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数の導体素子は、前記誘電体基板の平面視において、前記アンテナ励振素子の長手方向に直交する直交方向において、異なる長さを有する請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナ励振素子は、2つのエレメントを有するダイポールアンテナであり、
前記複数の導体素子は、前記誘電体基板の平面視において、前記エレメントに対してそれぞれ対称に配置される請求項1乃至5の何れか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の天井などに設置できるメタサーフェス構造を用いたアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内の天井などに設置される無線基地局向けのアンテナ装置では、天地方向のサイズを抑えつつ、天井と平行な方向に電波を放射する性能(エンドファイア指向性)が求められる。
【0003】
また、近年、周期的な構造を用い、電波の反射方向を任意に設定できるメタサーフェス反射板が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなメタサーフェス構造によれば、電波の反射方向を任意に設定できるが、天地方向のサイズを抑えつつ、エンドファイア指向性を確保することは容易ではない。
【0006】
具体的には、一般的な屋内向けアンテナ装置では、天井面側に金属反射板を設け、天井面からの放射の影響を抑える。しかしながら、このような構造では、金属反射板からアンテナまでの距離を十分確保する必要があり、天地方向のサイズが小さい、つまり、低姿勢なアンテナ装置を実現することが難しい。
【0007】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、メタサーフェス構造を用いつつ、低姿勢であり、エンドファイア指向性を有するアンテナ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、誘電体基板(例えば、誘電体基板20)の一方の平面に複数の導体素子(例えば、導体素子200)が配置されるメタサーフェス構造(メタサーフェス構造15)と、前記平面から離隔して所定距離内に設けられるアンテナ励振素子(アンテナ励振素子100)とを備え、前記複数の導体素子は、前記誘電体基板の平面視において、前記アンテナ励振素子に対して対称に配置されるアンテナ装置(例えば、アンテナ装置10)である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、アンテナ装置10の平面図であり、
図1(b)は、アンテナ装置10の側面図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、アンテナ装置10の素子長l
1に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す図である。
【
図3】
図3は、アンテナ装置10の設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、アンテナ装置10Aの平面図であり、
図4(b)は、アンテナ装置10Aの側面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、アンテナ装置10Aの素子長l
2に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す図である。
【
図6】
図6は、アンテナ装置10Aの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す図である。
【
図7】
図7は、アンテナ装置10Bの平面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、アンテナ装置10Bの素子長l
3に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す図である。
【
図9】
図9は、アンテナ装置10Bの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、アンテナ装置10Cの素子長l
4に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す図である。
【
図12】
図12は、アンテナ装置10Cの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す図である。
【
図14】
図14は、アンテナ装置10Dの素子長l
5に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す図である。
【
図15】
図15は、アンテナ装置10Dの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す図である。
【
図17】
図17(a)及び
図17(b)は、アンテナ装置10Eの素子長l
6に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す図である。
【
図18】
図18は、アンテナ装置10Eの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0011】
[第1実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図1(a)は、アンテナ装置10の平面図であり、
図1(b)は、アンテナ装置10の側面図である。
【0012】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、アンテナ装置10は、メタサーフェス構造15と、アンテナ励振素子100とを備える。
【0013】
メタサーフェス構造15は、誘電体基板20、導体板30及び複数の導体素子200によって構成される。なお、導体板30(地板、金属反射板と呼ばれてもよい)は、必ずしも必須ではない。アンテナ装置10の設置場所などによっては、導体板30は備えられなくてもよい。
【0014】
アンテナ装置10は、屋内の天井などに好適に設置できる。アンテナ装置10は、天地方向(z軸方向)のサイズが抑えられており、低姿勢であることが特徴である。誘電体基板20側が天井面に配置されてよい。
【0015】
メタサーフェス構造15では、誘電体基板20の一方の平面に複数の導体素子200が配置される。具体的には、メタサーフェス構造15では、両エンドファイア方向に放射するように2つの導体素子200によって構成される1つのユニットが、アンテナ励振素子100に対して対称、具体的には、アンテナ励振素子100を基準として線対称となるように配置される。
【0016】
本実施形態では、導体素子200は、誘電体基板20の平面視(x-y面)において、長方形である。具体的には、導体素子200は、xy平面において、y軸方向がx軸方向よりも長い長方形形状である。導体素子200の長手方向は、アンテナ励振素子100の長手方向と平行に配置される。
【0017】
本実施形態では、アンテナ励振素子100は、2つのエレメントを有するダイポールアンテナであり、図中の矢印は、給電点を示す。複数の導体素子200は、誘電体基板20の平面視において、ダイポールアンテナのエレメントに対してそれぞれ対称に配置される。具体的には、2つの導体素子200によって構成される1つのユニットが、当該エレメントに対して対称、具体的には、当該エレメントを基準として線対称となるように配置される。
【0018】
誘電体基板20は、長さl = 0.53λ、幅w =0.53λ、高さh = 0.06λ、比誘電率εr= 6.5である。導体板30は、誘電体基板20と同サイズでよい。導体板30は、アンテナ励振素子100と反対側の誘電体基板20の平面に配置される。
【0019】
導体素子200は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λである。また、導体素子200の配置間隔(x軸方向及びy軸方向、中心基準)は、0.27λである(以下同)。本実施形態では、アンテナ装置10の対応する周波数(設計周波数f0)は、28GHzとしている(以下同)。
【0020】
アンテナ励振素子100は、誘電体基板20の一方の平面から離隔して設けられる。具体的には、アンテナ励振素子100は、誘電体基板20の一方の平面から所定距離内に設けられる。所定距離は、アンテナ装置10が対応する波長λを基準として規定されてよい。
【0021】
なお、アンテナ励振素子100を誘電体基板20から離隔して設ける方法は、特に限定されない。例えば、アンテナ励振素子100は、誘電体基板20から延びる支柱(ブラケット)、或いは図示しないケースから延びる支柱(ブラケット)などによって、誘電体基板20の一方の平面から所定距離内に設けられてよい。
【0022】
複数の導体素子200は、誘電体基板20の平面視において、アンテナ励振素子100に対して対称に配置される。具体的には、アンテナ励振素子100は、x軸方向において、誘電体基板20のほぼ中央に配置されてよい。但し、複数の導体素子200がアンテナ励振素子100に対して対称に配置できれば、アンテナ励振素子100は、必ずしもx軸方向において、誘電体基板20のほぼ中央に配置されていなくても構わない。
【0023】
アンテナ励振素子100は、長さla= 0.45λ、幅wa= 0.1λである。アンテナ励振素子100は、メタサーフェス構造15の表面から高さh1=λ/4 (= 0.25λ)の位置に設けられる。つまり、誘電体基板20(の表面)からアンテナ励振素子100までの距離は、アンテナ装置10が対応する波長λの1/4の長さとしてよい。
【0024】
(2)アンテナ装置の性能
図2(a)及び
図2(b)は、アンテナ装置10の素子長l
1に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す。
【0025】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、l
1= 0.174λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利得が最大化し、2.78dBiとなる。なお、誘電体基板20の幅方向(x軸方向)が、90度及び270度と対応する(以下同)。
【0026】
図3は、アンテナ装置10の設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す。従来構造は、メタサーフェス構造15ではなく金属反射板を用いた構造ある(以下同)。
【0027】
従来構造のアンテナの場合、メインローブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10では、x軸方向であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利得が従来構造のアンテナと比較して、約4dB改善されている。
【0028】
[第2実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図4(a)は、アンテナ装置10Aの平面図であり、
図4(b)は、アンテナ装置10Aの側面図である。以下、第1実施形態に係るアンテナ装置10と相違する部分について主に説明する(以下同)。
【0029】
アンテナ装置10Aの誘電体基板20Aは、長さl = 0.53λ、幅w =1.1λ、高さh = 0.06λ、比誘電率εr= 6.5である。誘電体基板20Aは、x軸方向のサイズ(幅)が誘電体基板20よりも大きい。
【0030】
誘電体基板20Aには、2つの導体素子210によって構成されるユニット(ユニット1と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0031】
また、導体素子210によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子220によって構成されるユニット(ユニット2と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0032】
導体素子210は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λである。導体素子210は、導体素子200と同じサイズである。導体素子220は、l2= 0.175λ、w2= 0.08λである。
【0033】
このように、アンテナ装置10Aでは、複数の導体素子210及び導体素子220は、誘電体基板20Aの平面視において、アンテナ励振素子100の長手方向(y軸方向)に直交する直交方向(x軸方向)において、異なる長さを有する。アンテナ装置10Aでは、長さが異なる長方形状の2つの導体素子ユニット(ユニット1,2)が、アンテナ励振素子100に対してそれぞれ対称に配置されることによって、より高いエンドファイア指向性を実現し得る。
【0034】
(2)アンテナ装置の性能
図5(a)及び
図5(b)は、アンテナ装置10Aの素子長l
2に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す。
【0035】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、l
2= 0.175λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利得が最大化し、5.73dBiとなる。
【0036】
図6は、アンテナ装置10Aの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す。
【0037】
従来構造のアンテナの場合、メインローブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10Aでは、x軸方向であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利得が従来構造のアンテナと比較して、約10dB改善されている。
【0038】
[第3実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図7は、アンテナ装置10Bの平面図である。以下、側面図を省略するが、第2実施形態に係るアンテナ装置10Aと同様に、アンテナ励振素子100が誘電体基板20Bの一方の平面から離隔して設けられる。
【0039】
アンテナ装置10Bの誘電体基板20Bは、長さl = 0.53λ、幅w =1.6λ、高さh = 0.06λ、比誘電率εr= 6.5である。誘電体基板20Bは、x軸方向のサイズ(幅)が誘電体基板20Aよりも大きい。
【0040】
誘電体基板20Bには、2つの導体素子210によって構成されるユニット(ユニット1と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0041】
導体素子210によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子220によって構成されるユニット(ユニット2と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0042】
また、導体素子220によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子230によって構成されるユニット(ユニット3と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0043】
導体素子210は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λである。導体素子220は、l2= 0.175λ、w2= 0.08λである。導体素子230は、l3= 0.177λ、w3= 0.08λである。
【0044】
(2)アンテナ装置の性能
図8(a)及び
図8(b)は、アンテナ装置10Bの素子長l
3に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す。
【0045】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、l
3= 0.177λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利得が最大化し、3.35dBiとなる。
【0046】
図9は、アンテナ装置10Bの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す。
【0047】
従来構造のアンテナの場合、メインローブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10Bでは、x軸方向であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利得が従来構造のアンテナと比較して、約7dB改善されている。
【0048】
[第4実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図10は、アンテナ装置10Cの平面図である。アンテナ装置10Cの誘電体基板20Cは、長さl = 0.53λ、幅w =2.13λ、高さh = 0.06λ、比誘電率ε
r= 6.5である。誘電体基板20Cは、x軸方向のサイズ(幅)が誘電体基板20Bよりも大きい。
【0049】
誘電体基板20Cには、2つの導体素子210によって構成されるユニット(ユニット1と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0050】
導体素子210によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子220によって構成されるユニット(ユニット2と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0051】
導体素子220によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子230によって構成されるユニット(ユニット3と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0052】
また、導体素子230によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子240によって構成されるユニット(ユニット4と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0053】
導体素子210は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λである。導体素子220は、l2= 0.175λ、w2= 0.08λである。導体素子230は、l3= 0.177λ、w3= 0.08λである。導体素子240は、l4= 0.174λ、w4= 0.08λである。
【0054】
アンテナ装置10Cでは、複数の導体素子210、導体素子220及び導体素子230は、誘電体基板20Cの平面視において、アンテナ励振素子100の長手方向(y軸方向)に直交する直交方向(x軸方向)において、異なる長さを有する。一方、導体素子240は、導体素子210と同じサイズである。つまり、複数の導体素子の少なくとも一部は、誘電体基板20Cの平面視において、アンテナ励振素子100の長手方向に直交する直交方向において、異なる長さを有していればよい。
【0055】
(2)アンテナ装置の性能
図11(a)及び
図11(b)は、アンテナ装置10Cの素子長l
4に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す。
【0056】
図11(a)及び
図11(b)に示すように、l
4= 0.174λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利得が最大化し、6.77dBiとなる。
【0057】
図12は、アンテナ装置10Cの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す。
【0058】
従来構造のアンテナの場合、メインローブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10Cでは、x軸方向であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利得が従来構造のアンテナと比較して、約8dB改善されている。
【0059】
[第5実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図13は、アンテナ装置10Dの平面図である。アンテナ装置10Dの誘電体基板20Dは、長さl = 0.53λ、幅w =2.66λ、高さh = 0.06λ、比誘電率ε
r= 6.5である。誘電体基板20Dは、x軸方向のサイズ(幅)が誘電体基板20Cよりも大きい。
【0060】
誘電体基板20Dには、2つの導体素子210によって構成されるユニット(ユニット1と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0061】
導体素子210によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子220によって構成されるユニット(ユニット2と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0062】
導体素子220によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子230によって構成されるユニット(ユニット3と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0063】
導体素子230によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子240によって構成されるユニット(ユニット4と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0064】
また、導体素子240によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子250によって構成されるユニット(ユニット5と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0065】
導体素子210は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λである。導体素子220は、l2= 0.175λ、w2= 0.08λである。導体素子230は、l3= 0.177λ、w3= 0.08λである。導体素子240は、l4= 0.174λ、w4= 0.08λである。導体素子250は、l5= 0.093λ、w5= 0.08λである。
【0066】
(2)アンテナ装置の性能
図14は、アンテナ装置10Dの素子長l
5に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す。
【0067】
図14に示すように、l
5= 0.093λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利得が最大化し、4.53dBiとなる。
【0068】
図15は、アンテナ装置10Dの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す。
【0069】
従来構造のアンテナの場合、メインローブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10Cでは、x軸方向であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利得が従来構造のアンテナと比較して、約6dB改善されている。
【0070】
[第6実施形態]
(1)アンテナ装置の構成
図16は、アンテナ装置10Eの平面図である。アンテナ装置10Eの誘電体基板20Eは、長さl = 0.53λ、幅w =3.19λ、高さh = 0.06λ、比誘電率ε
r= 6.5である。誘電体基板20Eは、x軸方向のサイズ(幅)が誘電体基板20Dよりも大きい。
【0071】
誘電体基板20Eには、2つの導体素子210によって構成されるユニット(ユニット1と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0072】
導体素子210によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子220によって構成されるユニット(ユニット2と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0073】
導体素子220によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子230によって構成されるユニット(ユニット3と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0074】
導体素子230によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子240によって構成されるユニット(ユニット4と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0075】
導体素子240によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子250によって構成されるユニット(ユニット5と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0076】
また、導体素子250によって構成されるユニットの外側(x軸方向)には、2つの導体素子260によって構成されるユニット(ユニット6と呼ばれてもよい)が、アンテナ励振素子100(ダイポールアンテナのエレメント)に対して対称に配置される。
【0077】
導体素子210は、l1= 0.174λ、w1= 0.08λである。導体素子220は、l2= 0.175λ、w2= 0.08λである。導体素子230は、l3= 0.177λ、w3= 0.08λである。導体素子240は、l4= 0.174λ、w4= 0.08λである。導体素子250は、l5= 0.093λ、w5= 0.08λである。導体素子260は、l6= 0.175λ、w6= 0.08λである。
【0078】
(2)アンテナ装置の性能
図17(a)及び
図17(b)は、アンテナ装置10Eの素子長l
6に対する放射方向と当該放射方向の利得、及びエンドファイア方向(θ=90度)の利得の関係を示す。
【0079】
図17(a)及び
図17(b)に示すように、l
6= 0.175λにおいて、エンドファイア方向(θ=90度付近)の利得が最大化し、6.42dBiとなる。
【0080】
図18は、アンテナ装置10Eの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)、及び従来構造のアンテナの設計周波数f
0における放射指向性(z-x面)を示す。
【0081】
従来構造のアンテナの場合、メインローブの放射方向はz軸方向であるが、アンテナ装置10Eでは、x軸方向であるエンドファイア(θ=90度)方向へ強く放射し、水平方向の利得が従来構造のアンテナと比較して、約7dB改善されている。
【0082】
[作用・効果]
上述した第1実施形態~第6実施形態によれば、メタサーフェス構造を用いつつ、低姿勢であり、エンドファイア指向性を有するアンテナ装置を提供できる。
【0083】
具体的には、上述したアンテナ装置によれば、従来構造のアンテナ(金属板使用)と比較して、水平方向の利得を約4dB~10dB改善でき、エンドファイア指向性を向上できる。これにより、天地方向のサイズを抑えつつ、屋内の天井などに好適に設置できるアンテナ装置を提供できる。
【0084】
また、導体素子のユニット数を増やすこと、及び/またはユニット毎の導体素子長さを変えることによって、所望の指向特性及び利得を容易に実現し得る。
【0085】
[その他の実施形態]
以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0086】
例えば、上述した実施形態では、アンテナ励振素子100として、ダイポールアンテナが用いられていたが、双指向性を有する他のアンテナ素子、例えば八木・宇田アンテナが用いられてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、導体素子は、長方形形状であったが、必ずしも長方形形状に限定されない。例えば正方形状や十字状でも構わない。
【0088】
また、本開示において説明した各態様/実施形態は、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4th generation mobile communication system(4G)、5th generation mobile communication system(5G)、Future Radio Access(FRA)、New Radio(NR)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、Ultra-WideBand(UWB)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
【0089】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0090】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0091】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0092】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0093】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0094】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0095】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
【0096】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0097】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。従って、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0098】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0099】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0100】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)したことを「判断」「決定」したとみなすことなどを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)したことを「判断」「決定」したとみなすことなどを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などしたことを「判断」「決定」したとみなすことを含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなすことを含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0101】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0102】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0103】
10, 10A~10E アンテナ装置
15 メタサーフェス構造
20, 20A~20E 誘電体基板
30 導体板
100 アンテナ励振素子
200, 210, 220, 230, 240, 250, 260 導体素子