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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069556
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20230511BHJP
   F21S 41/20 20180101ALI20230511BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20230511BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALN20230511BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20230511BHJP
【FI】
G01S7/03 246
F21S41/20
F21S41/29
G01S7/03 240
B60R21/0134 312
F21W102:00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181494
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】桂田 善弘
(72)【発明者】
【氏名】古本 賢治
(72)【発明者】
【氏名】池野 英輔
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AF03
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】ミリ波レーダーが配置された車両用灯具において、アウターレンズを複雑な形状にすることなく、ミリ波レーダーおよびレーダーカバーをアウターレンズに固定可能な構成とする。
【解決手段】灯室16を覆うアウターレンズ14の外面14aに形成された凹部14a1に、ミリ波レーダー30が配置された構成とする。その際、ミリ波レーダー30を保持するための保持ブラケット40とミリ波レーダー30を覆うためのレーダーカバー50とを備えた構成とした上で、保持ブラケット40がミリ波レーダー30を保持した状態でアウターレンズ14に固定されるとともに、レーダーカバー50がミリ波レーダー30を覆った状態で保持ブラケット40に固定された構成とする。これにより、アウターレンズ14にミリ波レーダー30およびレーダーカバー50を固定するための構造を設ける必要をなくし、アウターレンズ14が複雑な形状にならないようにする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室を覆うアウターレンズの外面側にミリ波レーダーが配置された車両用灯具において、
上記ミリ波レーダーを保持するための保持ブラケットと、上記ミリ波レーダーを覆うためのレーダーカバーとを備えており、
上記保持ブラケットは、上記ミリ波レーダーを保持した状態で上記アウターレンズに固定されており、
上記レーダーカバーは、上記ミリ波レーダーを覆った状態で上記保持ブラケットに固定されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記アウターレンズの外面に凹部が形成されており、
上記ミリ波レーダーは上記凹部に収容されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記レーダーカバーの複数箇所に爪部が形成されており、
上記保持ブラケットの複数箇所に、上記爪部と係合する係合孔が形成されている、ことを特徴とする請求項1はたは2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記複数箇所の爪部のうち少なくとも1箇所の爪部の周囲に、上記係合孔と嵌合した状態で上記保持ブラケットに当接する立壁部が形成されている、ことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記保持ブラケットと上記アウターレンズとの固定位置よりも上記アウターレンズの外周側の位置に、上記レーダーカバーが上記アウターレンズから離れる方向へ変位するのを防止する変位防止構造が設けられている、ことを特徴とする請求項1~4いずれか記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記変位防止構造は、上記レーダーカバーと上記保持ブラケットとの係合および/または上記保持ブラケットと上記アウターレンズとの係合によって構成されている、ことを特徴とする請求項5記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ミリ波レーダーが配置された車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具の構成として、ミリ波レーダーが配置されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具において、その灯室を覆うアウターレンズの外面側にミリ波レーダーが配置されるとともに、このミリ波レーダーがレーダーカバーによって覆われた構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-91303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、アウターレンズに対してミリ波レーダーおよびレーダーカバーを固定するための構造が必要となるが、アウターレンズの成形品質を確保する観点から、アウターレンズが複雑な形状にならないようにすることが望まれる。
【0006】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ミリ波レーダーが配置された車両用灯具において、アウターレンズを複雑な形状にすることなく、ミリ波レーダーおよびレーダーカバーをアウターレンズに固定することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、所定の保持ブラケットを備えた構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0008】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
灯室を覆うアウターレンズの外面側にミリ波レーダーが配置された車両用灯具において、
上記ミリ波レーダーを保持するための保持ブラケットと、上記ミリ波レーダーを覆うためのレーダーカバーとを備えており、
上記保持ブラケットは、上記ミリ波レーダーを保持した状態で上記アウターレンズに固定されており、
上記レーダーカバーは、上記ミリ波レーダーを覆った状態で上記保持ブラケットに固定されている、ことを特徴とするものである。
【0009】
上記「ミリ波レーダー」は、アウターレンズの外面側に配置されていれば、その具体的な配置は特に限定されるものではない。
【0010】
上記「保持ブラケット」は、ミリ波レーダーを保持し得るように構成されたものであれば、その具体的な配置や形状等は特に限定されるものではなく、また、アウターレンズに対する具体的な固定構造についても特に限定されるものではない。
【0011】
上記「レーダーカバー」の具体的な配置や形状等は特に限定されるものではなく、また、保持ブラケットに対する具体的な固定構造についても特に限定されるものではない。その際、上記「レーダーカバー」は、車両用灯具の外部からミリ波レーダーが視認できない状態で配置されていれば、ミリ波レーダー全体を覆うように配置されていてもよいし、その一部を覆うように配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、保持ブラケットがアウターレンズに固定されるとともにレーダーカバーが保持ブラケットに固定された構成とすることにより、アウターレンズにミリ波レーダーおよびレーダーカバーを固定するための構造を設ける必要をなくすことができ、これによりアウターレンズが複雑な形状にならないようにすることができる。そしてこれによりアウターレンズの成形品質を確保することが容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を車両装着状態で示す正面図
図2図1のII部詳細図
図3図2のIII-III線断面図
図4図2のIV-IV線断面図
図5】上記車両用灯具の要部の組付けの様子を示す、図2と同様の図
図6】上記車両用灯具の要部の組付けの様子を示す、図3と同様の図
図7】(a)は図4のVIIa部を詳細に示す分解斜視図、(b)は図4のVIIb部を詳細に示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を車両装着状態で示す正面図であり、図2は、図1のII部詳細図である。また、図3は、図2のIII-III線断面図であり、図4は、図2のIV-IV線断面図である。
【0016】
これらの図において、Xで示す方向が「灯具前方」(および「車両前方」)であり、Yで示す方向が「灯具前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0017】
図1~4に示すように、車両用灯具10は、車両の右前端部に設けられるヘッドランプであって、ランプボディ(図示せず)とアウターレンズ14とで形成される灯室16内に灯具ユニット20が収容された構成となっている。また、車両用灯具10は、灯室16を灯具前方側から覆うアウターレンズ14の外面14a側にミリ波レーダー30が配置された構成となっている。なお、車両の左前端部に設けられる車両用灯具(図示せず)も車両用灯具10と略同様の構成を有している。
【0018】
図1に示すように、車両用灯具10の周囲には、フード102、フェンダー104およびバンパーカバー106が配置されている。フード102は、車両用灯具10の上方側において車幅方向内側寄りの位置に配置されており、車両用灯具10の車幅方向内側部の途中位置まで回り込むように形成されている。フェンダー104は、フード102の車幅方向外側において車両用灯具10の車幅方向外側部の途中位置まで回り込むように形成されている。バンパーカバー106は、車両用灯具10の下方側において車両用灯具10の車幅方向内側部および車幅方向外側部の途中位置まで回り込むように形成されている。
【0019】
アウターレンズ14は、車幅方向内側から車幅方向外側へ向けて灯具後方側に回り込むように形成されており、その外面14aはフード102およびフェンダー104の外面と面一で延びるように形成されている。
【0020】
アウターレンズ14は、灯具正面視において横長の外形形状を有しており、その下部領域はバンパーカバー106よりも灯具後方側に位置するように形成された状態でバンパーカバー106によって覆われている。
【0021】
アウターレンズ14の外面14aは、その右下コーナー部(灯具正面視では左下コーナー部)が他の一般領域に対して灯具後方側に凹んだ凹部14a1として形成されている。この凹部14a1はアウターレンズ14の下部領域の外面と連続的に形成されている。そして、ミリ波レーダー30は、その略上半部が凹部14a1に収容された状態で配置されている。
【0022】
ミリ波レーダー30は、車両正面方向に対して僅かに車幅方向外側を向いた状態で配置されており、車両前方へ向けてミリ波(例えば77Hz程度のミリ波)を照射することによって前走車や路面落下物等の障害物を検知するように構成されている。そしてこれにより車両の衝突回避および衝突時の衝撃緩和を図り得るようになっている。
【0023】
図2~4に示すように、車両用灯具10は、ミリ波レーダー30を保持するための保持ブラケット40と、ミリ波レーダー30を覆うためのレーダーカバー50とを備えている。
【0024】
保持ブラケット40は、ミリ波レーダー30を保持した状態でアウターレンズ14に固定されている。また、レーダーカバー50は、ミリ波レーダー30の大部分(すなわち下端部以外の部分)を覆った状態で保持ブラケット40に固定されている。
【0025】
レーダーカバー50は、その外面がアウターレンズ14の外面14aと面一で延びるように形成されている。また、レーダーカバー50の車幅方向外側の外周縁部50fにおいては、その外面がバンパーカバー106とも面一で延びている。ただし、レーダーカバー50の下部領域50aは、他の一般領域に対して灯具後方側に変位した状態で車幅方向に帯状に延びるように形成されており、バンパーカバー106によって覆われている。
【0026】
図1に示すように、レーダーカバー50は、灯具正面視において略平行四辺形の外形形状を有しており、車幅方向外側の外周縁部50fが車幅方向外側へ向けて斜め上後方へ向けて鋭角状に延びるように形成されている。また、レーダーカバー50の上端縁は、バンパーカバー106の上端縁と略同じ高さで車幅方向に延びている。
【0027】
アウターレンズ14は、無色透明の樹脂成形品として構成されている。一方、レーダーカバー50および保持ブラケット40は、不透明(例えば黒色)の樹脂成形品として構成されている。なお、レーダーカバー50については、その配置を分かりやすくするため、灯具正面視においてハッチングを施した状態で示している。
【0028】
次に、ミリ波レーダー30の取付構造ならびに保持ブラケット40およびレーダーカバー50の取付構造について説明する。
【0029】
図5、6は、車両用灯具10の要部の組付けの様子を示す、図2、3と同様の図である。
【0030】
図5、6にも示すように、ミリ波レーダー30は、縦長矩形状の外形形状を有しており、保持ブラケット40に形成されたレーダー保持部40aに収容された状態で、上部係止片40bおよび左右1対の下部係止片40cによって位置決め保持されている。
【0031】
保持ブラケット40には、レーダー保持部40aの3箇所(具体的には上部の左右2箇所および下部の中央1箇所)に、上向きに延びる弾性片40dが形成されている。各弾性片40dは、レーダー保持部40aの一部を灯具前方側へ切り起こすことによって形成されている。そして、これら3つの弾性片40dが、レーダー保持部40aに収容されたミリ波レーダー30の背面を弾性的に押圧することにより、上部係止片40bおよび左右1対の下部係止片40cによるミリ波レーダー30の位置決め保持が確実に行われる構成となっている。
【0032】
ミリ波レーダー30の保持ブラケット40への装着は、ミリ波レーダー30の上端部を保持ブラケット40の上部係止片40bに係止した後、ミリ波レーダー30の背面を3箇所の弾性片40dに押し当てるようにしてレーダー保持部40aに配置した状態で、ミリ波レーダー30の下端部を保持ブラケット40の左右1対の下部係止片40cに係止することによって行われるようになっている。
【0033】
保持ブラケット40は、アウターレンズ14に対して4箇所においてネジ締めによって固定されている。
【0034】
すなわち、保持ブラケット40には、レーダー保持部40aの周囲4箇所にネジ挿通孔40eが形成されており、アウターレンズ14には、上記4箇所に対応する位置にボス部14bが形成されている。そして、各ネジ挿通孔40eを介して各ボス部14bにネジ42が締め付けられることによって、保持ブラケット40がアウターレンズ14に固定されるようになっている。
【0035】
保持ブラケット40における車幅方向外側の側端部の上部には、灯具後方へ向けて延びるランス係合片40fが形成されている。このランス係合片40fは鉛直面に沿って延びており、その先端部は車幅方向内側に向けて突出している。一方、アウターレンズ14における車幅方向外側の側端部には、ランス係合片40fの先端部と係合するための突起部14cが形成されている。そして、保持ブラケット40がアウターレンズ14にネジ締め固定される際、ランス係合片40fの先端部が突起部14cと係合することによって、保持ブラケット40がアウターレンズ14から離れる方向(すなわち灯具前方側)へ変位するのを規制するようになっている。
【0036】
レーダーカバー50は、保持ブラケット40に対して4箇所においてランス係合によって固定されている。
【0037】
すなわち、レーダーカバー50には、保持ブラケット40のレーダー保持部40aの周囲に位置する4箇所に、灯具後方へ向けて延びる爪部50b、50cが形成されている。その際、下部2箇所の爪部50cは、レーダーカバー50の下部領域50aに形成されている。一方、保持ブラケット40には、上記4箇所に対応する位置に爪部50b、50cの先端部と係合する係合孔40g、40hが形成されている。
【0038】
4箇所の爪部50b、50cは、いずれも水平面に沿って延びるように形成されており、その先端部は下向きに形成されている。一方、4箇所の係合孔40g、40hは、いずれも横長矩形状に形成されている。
【0039】
4箇所の係合孔40g、40hのうち車幅方向内側の上部に位置する係合孔40gは、これと係合する爪部50bに対応した小さい横長矩形孔として形成されている。残り3箇所の係合孔40hは、これと係合する爪部50cよりもひと回り大きい横長矩形孔として形成されている。そして、レーダーカバー50における3箇所の爪部50cの周囲には、3箇所の係合孔40hと嵌合した状態で保持ブラケット40に当接する立壁部50dが形成されている。
【0040】
図7(a)は、図4のVIIa部を詳細に示す分解斜視図であり、図7(b)は、図4のVIIb部を詳細に示す分解斜視図である。
【0041】
図7(a)に示すように、係合孔40gは、これと係合する爪部50bよりも僅かに大きい左右幅で、かつ、爪部50bの最大上下幅よりも多少大きい上下幅で形成されている。
【0042】
レーダーカバー50は、その爪部50bが係合孔40gと係合したとき、その上端フランジ部50gが保持ブラケット40に当接するようになっており、これによりレーダーカバー50が保持ブラケット40に対して灯具前後方向に関して位置決めされるようになっている。
【0043】
図7(b)に示すように、係合孔40hは、係合孔40gと同じ上下幅でかつ係合孔40gよりも大きい左右幅で形成されている。
【0044】
立壁部50dは、爪部50cを灯具後方側および左右両側において囲むように形成されたガイド部50d1と、このガイド部50d1の左右両側部において係合孔40hよりも僅かに小さい上下幅で形成された第1壁部50d2と、この第1壁部50d2の灯具後方側において係合孔40hよりも大きい上下幅で形成された第2壁部50d3とで構成されている。そして、立壁部50dは、そのガイド部50d1が係合孔40hに挿入された状態で、左右1対の第1壁部50d2が係合孔40hと嵌合するとともに、左右1対の第2壁部50d3が係合孔40hの周辺領域において保持ブラケット40に当接することにより、レーダーカバー50が保持ブラケット40に対して全方向(すなわち灯具前後方向およびこれと直交する2方向)に関して位置決めされるようになっている。
【0045】
図3、5に示すように、レーダーカバー50における車幅方向外側の端部近傍部位の上端部(すなわちレーダーカバー50における保持ブラケット40とアウターレンズ14との固定位置よりもアウターレンズ14の外周側の位置)には、灯具後方へ向けて延びるランス係合片50eが形成されている。一方、保持ブラケット40における車幅方向外側の端部近傍部位の上端部には、ランス係合片50eの先端部と係合するランス係合孔40iが形成されている。このランス係合孔40iは、ランス係合片40fよりも車幅方向内側に位置しているが、ネジ挿通孔40eよりも車幅方向外側に位置している。そして、レーダーカバー50が保持ブラケット40に対して4箇所において係合固定される際、ランス係合片50eの先端部がランス係合孔40iと係合することにより、レーダーカバー50が保持ブラケット40から離れる方向(すなわち灯具前方側)へ変位するのを規制するようになっている。
【0046】
このように本実施形態においては、保持ブラケット40のランス係合片40fがアウターレンズ14の突起部14cと係合するとともに、レーダーカバー50のランス係合片50eが保持ブラケット40のランス係合孔40iと係合することにより、保持ブラケット40とアウターレンズ14との固定位置よりも車幅方向外側の位置に、レーダーカバー50がアウターレンズ14から離れる方向へ変位するのを防止する変位防止構造が設けられている。
【0047】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態に係る車両用灯具10は、灯室16を覆うアウターレンズ14の外面14a側(すなわち灯具前方側)にミリ波レーダー30が配置された構成となっているが、ミリ波レーダー30を保持するための保持ブラケット40とミリ波レーダー30を覆うためのレーダーカバー50とを備えた構成となっており、その上で、保持ブラケット40はミリ波レーダー30を保持した状態でアウターレンズ14に固定されており、かつ、レーダーカバー50はミリ波レーダー30を覆った状態で保持ブラケット40に固定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0049】
すなわち、保持ブラケット40がアウターレンズ14に固定されるとともにレーダーカバー50が保持ブラケット40に固定された構成とすることにより、アウターレンズ14にミリ波レーダー30およびレーダーカバー50を固定するための構造を設ける必要をなくすことができる。そしてこれによりアウターレンズ14が複雑な形状にならないようにすることができる。
【0050】
このように本実施形態によれば、ミリ波レーダー30が配置された車両用灯具10において、アウターレンズ14を複雑な形状にすることなく、ミリ波レーダー30およびレーダーカバー50をアウターレンズ14に固定することができる。そしてこれによりアウターレンズ14の成形品質を確保することが容易に可能となる。
【0051】
その際、本実施形態においては、アウターレンズ14の外面14aに凹部14a1が形成されており、この凹部14a1にミリ波レーダー30の一部が収容されることによって、レーダーカバー50はアウターレンズ14と面一で配置された構成となっているので、車両用灯具10の意匠性を十分に高めることができる。
【0052】
また本実施形態においては、レーダーカバー50の4箇所に爪部50b、50cが形成されるとともに、これらと係合する係合孔40g、40hが保持ブラケット40の4箇所に形成されているので、レーダーカバー50の構成を簡素化することができる。そしてこれにより車両用灯具10の組付作業を容易に行うことができ、また、ネジ締め等を採用した場合に比して車両用灯具10の意匠性を高めることができる。
【0053】
その際、4箇所の爪部50b、50cのうち3箇所の爪部50cの周囲には、係合孔40hと嵌合した状態で保持ブラケット40に当接する立壁部50dが形成されているので、レーダーカバー50の位置決めを確実に行うことができる。
【0054】
さらに本実施形態においては、保持ブラケット40とアウターレンズ14との固定位置よりも車幅方向外側(すなわちアウターレンズ14の外周側)の位置に、レーダーカバー50がアウターレンズ14から離れる方向へ変位するのを防止する変位防止構造として、レーダーカバー50と保持ブラケット40とが係合するとともに保持ブラケット40とアウターレンズ14とが係合する構成が設けられているので、レーダーカバー50の外周縁部50fが本来の位置から浮き上がってしまうのを未然に防止することができる。そしてこれにより、レーダーカバー50が、その外周縁部50fにおいてバンパーカバー106と面一で延びるように配置された状態を維持することができる。
【0055】
しかも本実施形態のように、レーダーカバー50と保持ブラケット40との係合および保持ブラケット40とアウターレンズ14との係合によって上記変位防止構造が構成されたものとすることにより、簡易かつ組付容易な構成によって、レーダーカバー50の外周縁部50fの浮き上がりを未然に防止することができる。
【0056】
上記実施形態においては、アウターレンズ14の凹部14a1がミリ波レーダー30の一部を収容するように形成されているものとして説明したが、ミリ波レーダー30の全体を収容するように形成されたものとすることも可能である。
【0057】
上記実施形態においては、レーダーカバー50の4箇所に爪部50b、50cが形成されるとともに保持ブラケット40の4箇所に係合孔40g、40hが形成されているものとして説明したが、これらが2箇所または3箇所あるいは5箇所以上に形成された構成とすることも可能である。
【0058】
上記実施形態においては、レーダーカバー50がアウターレンズ14から離れる方向へ変位するのを防止する変位防止構造が、レーダーカバー50と保持ブラケット40との係合および保持ブラケット40とアウターレンズ14との係合によって構成されているものとして説明したが、上記変位防止構造として、レーダーカバー50と保持ブラケット40との係合のみによって構成されたものとすること、あるいは、保持ブラケット40とアウターレンズ14との係合のみによって構成されたものとすることも可能である。このような構成を採用した場合においても、レーダーカバー50の外周縁部50fに浮き上がりが発生するのを規制することが可能である。
【0059】
その際、上記変位防止構造として、レーダーカバー50にランス係合片50eの代わりに灯具後方へ向けて延びるピンが形成されるとともに、保持ブラケット40にランス係合孔40iの代わりに上記ピンを挿通させるピン挿通孔が形成された構成とし、これによりレーダーカバー50の外周縁部50fが本来の位置から浮き上がろうとしたとき上記ピンが上記ピン挿通孔の内周面に当接することによって浮き上がりを規制する構成とすることも可能である。
【0060】
上記実施形態においては、レーダーカバー50と保持ブラケット40との固定が、4箇所において爪部50b、50cと係合孔40g、40hとを係合させることによって行われているものとして説明したが、これ以外の固定構造(例えばネジ締め固定やクリップ固定や接着固定等)を採用することも可能である。
【0061】
上記実施形態においては、車両用灯具10がヘッドランプであるものとして説明したが、これ以外の灯具(例えばリアコンビネーションランプ等)である場合においても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0062】
なお、上記実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0063】
また、本願発明は、上記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 車両用灯具
14 アウターレンズ
14a 外面
14a1 凹部
14b ボス部
14c 突起部
16 灯室
20 灯具ユニット
30 ミリ波レーダー
40 保持ブラケット
40a レーダー保持部
40b 上部係止片
40c 下部係止片
40d 弾性片
40e ネジ挿通孔
40f、50e ランス係合片
40g、40h 係合孔
40i ランス係合孔
42 ネジ
50 レーダーカバー
50a 下部領域
50b、50c 爪部
50d 立壁部
50d1 ガイド部
50d2 第1壁部
50d3 第2壁部
50f 外周縁部
50g 上端フランジ部
102 フード
104 フェンダー
106 バンパーカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7