(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069582
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】急速冷却かき氷製造装置
(51)【国際特許分類】
F25C 1/142 20180101AFI20230511BHJP
A23G 9/04 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
F25C1/142 A
A23G9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181572
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】518018768
【氏名又は名称】株式会社一
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】生田 一誠
【テーマコード(参考)】
4B014
【Fターム(参考)】
4B014GG18
4B014GQ17
4B014GT00
(57)【要約】
【課題】振動により、急速冷却手段が微妙に揺れないようにすることである。第2の目的は、特許文献1及び特許文献2の問題点を解消すること。
【解決手段】水供給ラインから供給される濾過水を「かき氷用水」として受け入れる水貯留部と、筐体に設けられた左右の軸受部材と、軸受部材の間に水平状態に位置し、駆動モータの駆動力によって回転すると共に、かき氷用水を利用して氷層を形成する氷層形成回転ドラムと、氷層形成回転ドラムの一側壁を貫通し、該氷層形成回転ドラムの内部に冷媒を噴射すると共に、冷媒供給循環ラインに接続する細長状の内外の円筒管を含む急速冷却手段と、氷層形成回転ドラムの外周面に形成された膜状氷層を削ぎ取る削ぎ取り刃を備える急速冷却かき氷製造装置に於いて、急速冷却手段の外の円筒管は、氷層形成回転ドラムの左右の側壁を貫通すると共に、左右の側壁の外に位置する左右の軸受部材に支持されていること。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水供給ラインから供給される濾過水を「かき氷用水」として受け入れる水貯留部と、筐体に設けられた左右の軸受部材と、前記軸受部材の間に水平状態に位置し、駆動モータの駆動力によって回転すると共に、かき氷用水を利用して氷層を形成する氷層形成回転ドラムと、前記氷層形成回転ドラムの一側壁を貫通し、該氷層形成回転ドラムの内部に冷媒を噴射すると共に、冷媒供給循環ラインに接続する細長状の内外の円筒管を含む急速冷却手段と、前記氷層形成回転ドラムの外周面に形成された膜状氷層を削ぎ取る削ぎ取り刃を備える急速冷却かき氷製造装置に於いて、
前記急速冷却手段の外の円筒管は、前記氷層形成回転ドラムの左右の側壁を貫通すると共に、前記左右の側壁の外に位置する左右の軸受部材に支持されている急速冷却かき氷製造装置。
【請求項2】
請求項1の急速冷却かき氷製造装置に於いて、前記急速冷却手段の外の円筒管は、前記氷層形成回転ドラムに一体的に設けられた左右の水平回転軸を介して前記左右の軸受部材に支持されていることを特徴とする急速冷却かき氷製造装置。
【請求項3】
請求項1の急速冷却かき氷製造装置に於いて、前記急速冷却手段は、細長状の外の円筒管と、外端部が前記外の円筒管の一端部側に位置すると共に、前記外の円筒管に挿入され、冷媒を噴出する内端部が前記氷層形成回転ドラムの内部空間に対して突出する細長状の内の円筒管とから成ることを特徴とする急速冷却かき氷製造装置。
【請求項4】
請求項1の急速冷却かき氷製造装置に於いて、氷層形成回転ドラムの左右の垂直側壁には左右のパッキン部材がそれぞれ固定的に設けられ、前記左右のパッキン部材に左右の水平回転軸がそれぞれ連結されていることを特徴とする急速冷却かき氷製造装置。
【請求項5】
請求項1の急速冷却かき氷製造装置に於いて、水貯留部は、蓋体を有し、前記氷層形成回転ドラムの上方に所要空間を有して配設され、該水貯留部の略水平状態の底部から前記水供給ラインに設けられた濾過手段によって濾過された濾過水が散布状態に前記氷層形成回転ドラムの外周面に落下することを特徴とする急速冷却かき氷製造装置。
【請求項6】
請求項5の急速冷却かき氷製造装置に於いて、前記氷層形成回転ドラムの下方には、落下した水を受ける上端開口の水受け皿が配設されていることを特徴とする急速冷却かき氷製造装置。
【請求項7】
請求項1の急速冷却かき氷製造装置に於いて、急速冷却手段に保持筒が設けられ、この保持筒は、小径の内の円筒管に支持された状態で軸芯方向に大径の外の円筒管の内周面をスライドすることができることを特徴とする急速冷却かき氷製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、氷層形成回転ドラムを利用した急速冷却かき氷製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、同じ技術分野の急速冷却かき氷製造装置である(以下、「特許文献1」という)。この特許文献1には、「筐体1に設けられ、かつ、水原60としての水道水の蛇口に接続する水供給ラインLと、この水供給ラインに設けられ、水道水用入口部及び濾過水出口部を有する濾過タンク及びこの濾過タンクに内装され、水道水に含まれている残留塩素及び一般細菌を除去する濾過部材を有する濾過手段(61, 62)と、前記水供給ラインから供給される濾過水を「かき氷用水」として一時的に受け入れる上端開口の水貯留トレイ25と、前記筐体に軸受部材7を介して水平状態に設けられ、かつ、駆動モータ21の駆動力により回転すると共に、前記かき氷用水を利用して氷層を形成する氷層形成回転ドラム5と、この氷層形成回転ドラムの一側壁をその一部が貫通する中空棒状部材を含む急速冷却手段11と、前記氷層形成回転ドラムの外周面に形成された膜状氷層を削ぎ取る削ぎ取り刃47と、前記削ぎ取り刃よりも下方の位置に設けられ、該削ぎ取り刃によって削り取られた雪状のかき氷を受け取ることができる容器10を載置することができると共に、第1の回転機構の駆動力により回転する第1ターンテーブル72を備えること」、が記載されている(符号は特許文献1のもの)。
【0003】
また
図10は特許文献1の
図5に相当する。特許文献1には、前記
図5と共に、次のような事項が記載されている。
【0004】
「(段落0035)次に、
図5を参照にして左右の軸受部材7及び氷層形成回転ドラム5を他の部材と共に説明する。この
図5は本発明の主要部を読み取ることができるように、回転ドラム用の駆動モータ21、動力伝達手段19、かき氷用水Wを収納した水供給部6と接続すると共に、自動(実施形態)の第1の開閉バルブ22を有する水導入路23、この水導入路に取り外し可能に接続するパイプ状の流量制御部材(仮想線)24、氷層形成回転ドラム5の下方に配設された水貯留トレイ(仮想線)25等を便宜上の模式的に示したものである。
【0005】
(段落0036)この
図5に於いて、27は左右の突出支持部3bの内壁面に固定的に設けられた一対の金属製の垂直支持板、7は前記垂直支持板27に固定的に設けられ、かつ、内周面に玉軸受7aを有する左右一対の軸受部材、5は前記軸受部材7に回転自在に支承された中空円筒形の氷層形成回転ドラム、28、29は急速冷却手段11を構成する内外の細長状円筒管、30は前記氷層形成回転ドラム5の一側壁(図面では左側壁)に設けられた筒状突起部、31は前記筒状突起部に固定的に設けられたグランドパッキンである。そして、前記内外の細長状円筒管28、29の突出外端部(図面では左側)には二方向継手32を介して他方の冷媒供給管33の一端部と気化ガスを戻すための戻し管34の一端部がそれぞれ接続する(符号は特許文献1のもの)。」
そこで、特許文献1の構成と、以下に説明する本願発明との相違点を明らかにするために、注目すべき主な構成を列挙する。
(a)急速冷却手段11を構成する内外の細長状の円筒管28、29は、氷層形成回転ドラム5の一方の側壁(図面では左側壁)のみ貫通し、他方の側壁(図面では右側壁)を貫通していない。
(b)前記内外の細長状の円筒管28、29の構成に関して、小径の内の円筒管28の挿入内端部は、大径の外の円筒管29の外周面から氷層形成回転ドラム5の内部空間に突出していない。
(c)前記(b)の構成を採用しているために、特許文献1の段落0048には、「この交換手段13によって熱交換された冷媒は、他方の冷媒供給管33及び二方向継手32を介して外の細長状円筒管29に送られる。外の細長状円筒管29に送られた冷媒は、小さな噴射孔29aを介して氷層形成回転ドラム5の内部空間に勢い良く噴出され、これにより氷層形成回転ドラム5の外周面が、例えばマイナス14度程度に冷やされる。氷層形成回転ドラム5の内部空間に勢い良く噴出され、発生熱を奪われた気化ガスは、吸引口28aから内の円筒管に入り込み、前記二方向継手32及び戻し管34を介して圧縮機に循環的に戻される旨」と記載されている。
(d)前記(a)の構成を採用しているので、入力軸としての水平回転軸16は、氷層形成回転ドラム5の他方の側壁(図面では右側壁)に直接固定され、急速冷却手段11に外嵌合していない。
(e)したがって、パッキン部材の一例としてのグランドパッキン31は、氷層形成回転ドラム5の一方の側壁(図面では左側壁)のみに固定されている。
(f)上端開口の水貯留トレイ25は、氷層形成回転ドラム5の下部位置に水平状態に配設され、該水貯留トレイ25には、筐体の上面に設置された水供給部6から垂直パイプ状の流量制御部材24を介してかき氷用水が流れて行く。
(g)前記(f)の構成を採用しているために、氷層形成回転ドラムの外周面の下部側が常に前記水貯留トレイ25内のかき氷用水に接触し、氷層形成回転ドラムは前記かき氷用水を利用して氷層を形成する。
【0006】
しかして、前記(a)乃至(g)の構成を有する特許文献1に記載の発明は、多くの利点があるものの、幾つか改良すべき点がある。例えば前記(a)構成の如く、急速冷却手段11が氷層形成回転ドラム5を貫通していない場合には、振動により、急速冷却手段11の内端部が揺れる可能性がある。前記(b)の構成により、冷媒は急速冷却手段11の小さな噴射孔29aを介して氷層形成回転ドラム5の内部空間に勢い良く噴出されるものの、前記噴射孔29aと氷層形成回転ドラム5の内壁面との距離がそれなりにあるので、氷層形成回転ドラム5の冷却能力を、より一層高めることができない。その他、前記(f)の構成を採用しているために、上端開口の水貯留トレイ25内に空気中に浮遊しているゴミが入り込はむ恐れがある。
【0007】
出願人は、上記問題点を克服するために改良案を提案する。なお、特許文献2は特許文献1と同一の技術内容である。また特許文献3と特許文献4は特許文献1に関連する技術内容である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開W02020/031223号公報
【特許文献2】国際公開W02020/044423号公報
【特許文献3】特開2021-388996号公報
【特許文献4】特開2021-42916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主たる課題は、特許文献1及び特許文献2の問題点に鑑み、振動により、急速冷却手段が微妙に揺れないようにすることである。第2の目的は、特許文献1及び特許文献2の問題点を解消することで、例えば氷層形成回転ドラムの冷却能力を、より一層高めることである。その他の目的は、従属項によって特定される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の急速冷却かき氷製造装置は、水供給ラインから供給される濾過水を「かき氷用水」として受け入れる水貯留部と、筐体に設けられた左右の軸受部材と、前記軸受部材の間に水平状態に位置し、駆動モータの駆動力によって回転すると共に、かき氷用水を利用して氷層を形成する氷層形成回転ドラムと、前記氷層形成回転ドラムの一側壁を貫通し、該氷層形成回転ドラムの内部に冷媒を噴射すると共に、冷媒供給循環ラインに接続する細長状の内外の円筒管を含む急速冷却手段と、前記氷層形成回転ドラムの外周面に形成された膜状氷層を削ぎ取る削ぎ取り刃を備える急速冷却かき氷製造装置に於いて、前記急速冷却手段の外の円筒管は、前記氷層形成回転ドラムの左右の側壁を貫通すると共に、前記左右の側壁の外に位置する左右の軸受部材に支持されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成に於いて、前記急速冷却手段の外の円筒管は、前記氷層形成回転ドラムに一体的に設けられた左右の水平回転軸を介して前記左右の軸受部材に支持されていることを特徴とする。また前記急速冷却手段は、細長状の外の円筒管と、外端部が前記外の円筒管の一端部側に位置すると共に、前記外の円筒管に挿入され、冷媒を噴出する内端部が前記氷層形成回転ドラムの内部空間に対して突出する細長状の内の円筒管とから成ることを特徴とする。また氷層形成回転ドラムの左右の垂直側壁には左右のパッキン部材がそれぞれ固定的に設けられ、前記左右のパッキン部材に左右の水平回転軸がそれぞれ連結されていることを特徴とする。また水貯留部は、蓋体を有し、前記氷層形成回転ドラムの上方に所要空間を有して配設され、該水貯留部の略水平状態の底部から前記水供給ラインに設けられた濾過手段によって濾過された濾過水が散布状態に前記氷層形成回転ドラムの外周面に落下することを特徴とする。さらに、前記氷層形成回転ドラムの下方には、落下した水を受ける上端開口の水受け皿が配設されていることを特徴とする。
【0012】
加えて、急速冷却手段に保持筒が設けられ、この保持筒は、小径の内の円筒管に支持された状態で軸芯方向に大径の外の円筒管の内周面をスライドすることができることを特徴とする。
【0013】
ここで「筐体F」には基台も含まれる。したがって、筐体Fの下部に位置する単数又は複数の支持台の上面に左右の軸受部材が設けられた実施形態、又は筐体Fの上端部に取付け用空間部分を有して突出形成された左右一対の突出部の内部又は外部に左右の軸受部材を設置した実施形態の場合も、筐体Fに設けられたことになる。
【発明の効果】
【0014】
(a)請求項1に記載の発明は、振動により、急速冷却手段が微妙に揺れない。
(b)請求項2に記載の発明は、急速冷却手段の左右の端部側が安定的な状態に支持される。
(c)請求項3に記載の発明は、細長状の内の円筒管突出内端部が冷却対象面により接近するので、氷層形成回転ドラムの冷却能力を、冷却効率を高めることができる。
(d)請求項4に記載の発明は、パッキン部材の取付けが容易であると共に、気密性を十分に保持することができる。
(e)請求項5に記載の発明は、空気中に浮遊しているゴミが入り込はむ恐れが少ない。
(f)請求項6に記載の発明は、基台が水で汚れない。
(G)請求項7に記載の発明は、細長状の内の円筒管が微妙に振動しないように安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1乃至
図7は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
【
図5】左右一対の軸と軸受、急速冷却手段と氷層形成回転ドラムの組み合わせを説明する要部の斜視からの概略説明図。
【
図6】急速冷却手段の冷媒の噴射構造と発生熱が奪われた気化ガスを吸引する構造の概略説明図。
【
図8】左右一対の水平回転軸の固定構造の他の例を示す説明図。
【
図9】筐体Fの上方の左右一対の突出部の内部に左右一対の軸受部材を設置した他の例を示す説明図。
【
図10】特許文献1の
図5に相当する従来例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至
図7は、本発明の第1実施形態の急速冷却かき氷製造装置X(以下、「装置X」ともいう)の各説明図である。
図1は正面視からの概略説明図である。装置Xの筐体Fの基本的な外観構成は、特許文献1、特許文献2等のそれと変わらない。したがって、筐体Fは、その基台10の前部に容器15を支持する第1ターンテーブル13が回転可能に設けられている。前記容器15の斜め後方の上方には、取付け用空間部分97が設けられ、この取付け用空間部分97内に、後述する氷層形成回転ドラム7(以下、「回転ドラム7」ともいう)が配設されている。筐体Fは前記取付け用空間部分97を介して突出形成された左右一対の板状の突出部98、98を有している。そして、前記板状の突出部98、98のいずれか一方には、図示しない電源用ボタン、駆動モータ用起動ボタン等を有する操作パネルが設けられている。操作パネルからの指示信号を入力する制御部4は筐体Fの内部に適宜に設けられている。
【0017】
さらに、特に図示しないが、特許文献1、特許文献2等と同様に筐体Fの支持台10の前方部、具体的には容器15の前方側には、外に弧状の透明開閉扉が所定量回転可能に設けられている(特許文献1の
図26と同様)。透明の開閉扉はべた付きかない(直ぐ融けない)ふんわりした雪状のかき氷を製造中は閉じ、製造後は自動的に開く。
【0018】
ここでは、まず、
図4を参照にして装置Xの構成部材を説明する。
図4は好ましい実施形態を概略的に示したものである。なお、装置Xの基本的な構成部材及び技術的原理は、特許文献1、特許文献2等と同一なので、同一の構成部材で周知技術と認められるものは、簡単に説明する。また、「左右」及び「上下」の用語は
図4を基準にする。
【0019】
まず、
図4の図面上方に水原としての水道水1を示す。2は濾過手段、3は流量制御弁(例えば電磁弁)で、前記水道水1は蛇口から得ることができる。したがって、前記濾過手段2及び流量制御弁3は、蛇口に接続する水供給ラインLに設けられている。また前記濾過手段2は、特許文献1と同様に、水道水1に含まれる遊離残留塩素、有機物、不純物等を吸着して除去することができる。
【0020】
好ましい濾過手段には、粒状のイオン交換樹脂層、束状の中空糸膜、UF膜等が含まれる。塩素、雑菌等が除去された綺麗な濾過水は、「かき氷用水W」として水貯留部5に流れ込む。流量制御弁3は、図面下方に記載した制御部4の制御信号aによって制御され、好ましい実施形態としては、前記流量制御弁3の開閉により、必要な流量だけが、水貯留部5に流れ込む。
【0021】
なお、前記制御部4は、マイクロコンピュータを主体として構成し、タイマーを含む計時部、制御プログラムを格納した記憶部、図示しない操作パネルから指示信号を入力する入力部、前記制御プログラムにより処理された信号を流量制御弁、駆動モータ等に出力する出力部等を有している。
【0022】
水貯留部5は、上端開口の容器本体5aと蓋体5bとから成り、例えば筐体Fに固定された複数の支持部材6によって適宜に支持される。しかして、前記容器本体5aの底部は微細孔が略全面に亘って形成されている。
【0023】
したがって、実施形態では、水貯留部5は、蓋体5bを有し、氷層形成回転ドラム7の上方に所要空間を有して配設され、該水貯留部5の略水平状態の底部から前記水供給ラインLに設けられた濾過手段2によって濾過された濾過水(かき氷用水)Wが散布状態に前記回転ドラム7の外周面に落下する(請求項5)。そこで、前記回転ドラム7の下方には、落下した水を受ける上端開口の水受け皿8が、例えば回転ドラム7の左右の側壁の外側に位置する左右一対の軸受9の柱部分に適宜に取付け又は配設されている(請求項6)。
【0024】
次に、
図4の図面下方に筐体Fの基台10を示す。基台10の用語は筐体Fの概念に含まれる。例えばこの基台10の上面の左側には第1支持台11が設けられ、一方、基台10の上面の右側には第2支持台12が設けられている。そして、前記第1支持台11と第2支持台12の基台10の略中央部には、特許文献1と同様に、第1ターンテーブル13が回転自在に設けられている。この第1ターンテーブル13には、滑り台状のガイド14を滑り落ちる雪状のかき氷wを収納する容器15を載置することができる。
【0025】
次に、前述した左右一対の軸受部材9は、第1支持台11と第2支持台12に所要間隔を有して対設される。この場合、左右一対の軸受部材9の設置個所は、筐体Fの内部又は筐体Fの外部のいずれであっても良い。
【0026】
また回転ドラム7は、前記軸受部材9、9の間に水平状態に位置し、かつ該軸受部材に回転自在に軸支された左右一対の水平回転軸21、21及びパッキン部材22、22を介して回転自在に設けられている。
【0027】
前記左右一対のパッキン部材22、22の各内端部は回転ドラム7の左右の側壁にそれぞれ固定具を介して固定されている。また前記水平回転軸21、21は、実施形態では前記パッキン部材22、22の外端部に適宜に固定されている。
【0028】
したがって、水平回転軸21とパッキン部材22と回転ドラム7は一体である。なお、実施形態では前記左側の水平回転軸21には、動力伝達手段25を構成する従動プーリ25cが一体的に設けられているので、入力軸に相当する。またパッキン部材22は、特許文献1と同様にグランドパッキンを採用するのが望ましい。
【0029】
次に、図面左側の第1支持台11には駆動モータ25が固定的に設置されている。動力伝達手段26は、水平回転軸21の一方(例えば左側)と駆動モータ25の出力軸とを連結する。この動力伝達手段26は駆動モータ25の出力軸に設けた駆動歯車と、前記水平回転軸21の一方に固定した従動歯車とで構成しても良いが、実施形態では駆動プーリ26a、伝動ベルト26b及び従動プーリ26cを採用している。
【0030】
次に、急速冷却手段30は、回転ドラム7の一側壁を貫通し、該回転ドラムの内部に冷媒を噴射すると共に、冷媒供給循環ラインL1に接続する細長状の内の円筒管31と、この内の円筒管31の外周面側に空間を有して組み合わせられた細長状の外の円筒管32とを含み、前記内の円筒管31の水平部位31aに連続する直角方向の内端部31bは、前記外の円筒管32の中央部を貫通して該円筒管32の外周面から若干突出している(特徴)。
【0031】
また前記外の円筒管32は回転ドラム7、左右のパッキン部材22及び左右の水平回転軸21を貫通している。付言すると、前記外の円筒管32は、回転ドラム7の左右の側壁を貫通すると共に、前記左右の側壁の外に位置する左右の軸受に支持されていることから、いわば「中心固定軸」であり、これにより振動により微妙に揺れない(特徴)。
【0032】
ところで、
図4では、急速冷却手段30の突出両端部には、左右の継手33、33が適宜に取付けられている。また急速冷却手段30の内の円筒管31の水平部位31aには保持筒34がスライド自在に設けられ、この保持筒34は内の円筒管31に支持された状態で軸芯方向に外の円筒管32の内周面をスライドすることができる。
【0033】
しかして、この保持筒34は、急速冷却手段30の一端部(図面右側)に継手33を取付ける前に、内の円筒管31の内端部31bを外の円筒管32の嵌合小孔を貫通させた後、前記一端部側から急速冷却手段30の内部に挿入し、適宜箇所、例えば内端部31bの付近に位置付けるのが好ましい(
図6参照)。
【0034】
次に、冷媒供給循環ラインL1を構成するコンプレッサー(圧縮機)41、圧送ポンプ42、駆動モータを有する冷却ファン43、蛇行式の熱交換手段44に関しては、例えば特許文献1の
図15、段落0047、段落0048等に記載されて、公知或いは周知技術なので、ここでは簡単に説明する。
【0035】
さて、冷却ファン43で冷却され、かつ蛇行式の熱交換手段44を通過した冷媒は、一方の継手33(図面右側)を介して内の円筒管31の水平部位31aへと入り込む。前記水平部位31aへと入り込んだ冷媒は、内端部31bから回転ドラム7の内部空間に勢いよく噴出され、これにより前記回転ドラム7は急速に冷却される。この時、回転ドラム7の外周面は、マイナス30度乃至41程度に冷やされる。そして、前記内部空間内で発生熱を奪われた気化ガスは、外の円筒管32の適宜箇所に形成された吸引口32aから該外の円筒管32の内部へと入り込む。しかして、外の円筒管32の内部へと入り込んだ気化ガスは、他方の継手(図面左側)を介してコンプレッサー(圧縮機)41に循環的に戻される。なお、コンプレッサー(圧縮機)の上流側にも冷却手段を設けるのが望ましい。また、コンプレッサー(圧縮機)の構造は、同様の機能を有する他の機構や装置に置換し得る事項である。
【0036】
なお、上記構成に於いて、水供給ラインLの流量制御弁3に対する制御信号a、駆動モータ25に対する制御信号b、圧送ポンプ42に対する制御信号c、冷却ファン43に対する制御信号d、その他図示しない制御弁などに対する制御信号は、制御部4によって監視される。また、各種のスイッチは筐体Fの前面に設けられている。
【0037】
特許文献1、特許文献2等と同様に、削ぎ取り刃51は、氷層形成回転ドラムの外周面の下部側に適宜に配設され、回転ドラムの外周面に形成された膜状氷層を削ぎ取る。そして、前記外周面から削ぎ取られた雪状のかき氷wは、容器15に落下する。この時、第1ターンテーブル13は回転し、所定量の雪状のかき氷wが容器15に入ると、制御部4の制御信号により停止する。それと同時に、前述した流量制御弁3、駆動モータ25も制御部4の制御信号によって制御(閉、起動停止など)される。
【0038】
したがって、
図4で示した急速冷却かき氷製造装置Xは、水道水1の蛇口に接続された水供給ラインLから供給される濾過水を「かき氷用水W」として受け入れる水貯留部5と、基台10に設けられた左右一対の軸受部材9と、前記軸受部材の間に水平状態に位置し、かつ該軸受部材に回転自在に軸支された左右一対の水平回転軸21の各内端部に直接又は間接的に連結され、前記かき氷用水を利用して氷層を形成する氷層形成回転ドラム7と、前記水平回転軸21の一方の入力軸と駆動モー25タの出力軸とを連結する動力伝達手段26と、前記水平回転軸9及び前記氷層形成回転ドラム7を貫通し、かつ中心固定軸となる細長状の外の円筒管32と、外端部が前記外の円筒管32の一端部側に位置すると共に、該外の円筒管に挿入され、冷媒を噴出する内端部31bが前記氷層形成回転ドラム7の内部空間に対して突出する細長状の内の円筒管31と、前記内の円筒管31の一端部に前記冷媒を供給する供給端部が接続し、一方、前記外の円筒管の他端部に前記冷媒を放流する放流端部が接続する冷媒供給循環ラインL1と、この冷媒供給循環ラインに配設された圧縮機41及び空冷式駆動手段43によって冷却される熱交換手段44と、前記氷層形成回転ドラム7の外周面に形成された膜状氷層を削ぎ取る削ぎ取り刃51を備えるものである。
【0039】
しかして、本発明の特徴は、特許文献1又は特許文献2と対比すると、急速冷却かき氷製造装置Xは、水供給ラインLから供給される濾過水を「かき氷用水W」として受け入れる水貯留部5と、基台10に設けられた左右の軸受部材9と、前記軸受部材の間に水平状態に位置し、駆動モータ25の駆動力によって回転すると共に、かき氷用水Wを利用して氷層を形成する氷層形成回転ドラム7と、前記氷層形成回転ドラムの一側壁を貫通し、該氷層形成回転ドラム7の内部に冷媒を噴射すると共に、冷媒供給循環ラインL1に接続する細長状の内外の円筒管(31、32)を含む急速冷却手段30と、前記氷層形成回転ドラム7の外周面に形成された膜状氷層を削ぎ取る削ぎ取り刃51を備える急速冷却かき氷製造装置に於いて、前記急速冷却手段30の外の円筒管32は、前記氷層形成回転ドラム7の左右の側壁を貫通すると共に、前記左右の側壁の外に位置する左右の軸受9に支持されていることを特徴とする(請求項1)。
【0040】
上記構成に於いて、前記左右の軸受9、9は、支持台、筐体Fの上部側の内部、又は筐体Fの上部側の外部等、適宜箇所に設けることができる。また、左右一対の水平回転軸21、21は左右のパッキン部材22、22を介して間接的に回転ドラム7に連結しても良いし、又は転ドラム7の左右の側壁にそれぞれ直接連結しても良い。
【実施例0041】
第1実施形態の左右一対の水平回転軸21、21は、左右のパッキン部材22、22にそれぞれ突き合わせるように連結されているが、例えば
図8で示すように、入力軸側に相当する左側の水平回転軸21を、左側のパッキン部材22に、パイプの小径軸部に連続する筒状の大径部を外嵌合させ、かつその内端部を氷層形成回転ドラム7の左側の側壁に固定しても良い。なお、前記パイプの小径軸部は外の円筒管32の外周面に回転自在に外嵌合する。
【0042】
そして、入力軸としての水平回転軸21の大径嵌合部の内周面と左側のパッキン部材22の外周面との間には、玉軸受を介在させても良い。この点、第1実施形態にも言えることであるが、固定中心軸としての外の円筒管32(急速冷却手段30)の他方の端部の外周面と、この外周面に嵌合する入力軸側の水平回転軸21の内周面との間にも玉軸受を介在させても良い。
【0043】
<付記1>
本発明の実施形態では、例えば水貯留部5は、蓋体5bを有し、氷層形成回転ドラム7の上方に所要空間を有して配設され、該水貯留部5の略水平状態の底部から水供給ラインLに設けられた濾過手段2によって濾過された濾過水Wが散布状態に前記氷層形成回転ドラム7の外周面に落下する。しかし、この実施形態の二次的な発明の課題によるものであるから、特許文献1、特許文献等のように、上端開口のやや浅い水貯留トレイを層形成回転ドラム7の下部側に配設させても良い。その他の従属項の実施形態も、同様に特許文献1、特許文献等のように構成しても良い。
【0044】
<付記2>
図9は、筐体Fの上方の左右一対の突出部98、98の内部に左右一対の軸受部材9、9を設置或いは取付けた他の例を示す説明図である。この実施形態の場合、突出部98、98の内部に左右一対の軸受部材9、9を設けたが、突出部98、98の外部に設けても良い。付言すると、
図9では軸受部材9、9を突出部98、98の内部にそれぞれ配設したが、特許文献1と同様に左右一対の突出部98、98の対向する内壁面部に一体的に固定しても良い。
【0045】
このように構成した場合には、第1実施形態の如く、基台10の上面に軸受部材9用の支持台11、12を設ける必要はない。また軸受部材9の脚部を短くすることができる。また前記左右の突出部98、98は、箱状ではなく、第1実施形態の如く、左右一対の対向板98、98に形成しても良い。