(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069588
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ヒータ制御システム、及びヒータ制御方法
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20230511BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20230511BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20230511BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20230511BHJP
B60N 5/00 20060101ALI20230511BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
B60H1/00 101Z
B60N2/56
A47C27/00 F
B60N3/00 Z
B60N5/00
B60H1/22 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181581
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 孔
(72)【発明者】
【氏名】平澤 敦基
(72)【発明者】
【氏名】日置 一昭
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
3B096
3L211
【Fターム(参考)】
3B087DE08
3B087DE09
3B088CA09
3B088QA05
3B096AC14
3L211BA08
3L211DA50
(57)【要約】
【課題】ユーザの快適性を向上すること。
【解決手段】ヒータ制御システム100は、1以上の回動部用ヒータ3と、位置検知部11と、制御部14と、を備える。1以上の回動部用ヒータ3は、移動体の座席4に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部5に設置される。位置検知部11は、回動部5の位置を検知する。制御部14は、1以上の回動部用ヒータ3を制御する。1以上の回動部用ヒータ3は、少なくとも回動部5が未使用位置にある状態において、発する熱が座席4に着座したユーザへ向かうように設置される。制御部14は、第1出力、及び第1出力よりも大きい第2出力のうち少なくとも第2出力で1以上の回動部用ヒータ3を制御可能である。制御部14は、回動部5の位置が未使用位置である場合、第2出力で1以上の回動部用ヒータ3のうちの少なくとも1つの回動部用ヒータ3を動作させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の座席に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部に設置される1以上の回動部用ヒータと、
前記回動部の位置を検知する位置検知部と、
前記1以上の回動部用ヒータを制御する制御部と、を備え、
前記1以上の回動部用ヒータは、少なくとも前記回動部が前記未使用位置にある状態において、発する熱が前記座席に着座したユーザへ向かうように設置され、
前記制御部は、第1出力、及び前記第1出力よりも大きい第2出力のうち少なくとも前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータを制御可能であって、
前記制御部は、前記回動部の位置が前記未使用位置である場合、前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータのうちの少なくとも1つの回動部用ヒータを動作させる、
ヒータ制御システム。
【請求項2】
前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有し、
前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備え、
前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記天面とは反対側の裏面に設置される裏面ヒータを有し、
前記制御部は、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記天面ヒータを停止させる、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、かつ、前記第2出力で前記裏面ヒータを動作させる、
請求項2に記載のヒータ制御システム。
【請求項4】
前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有し、
前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備え、
前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記ユーザと相対する側面に設置される側面ヒータを有し、
前記制御部は、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記天面ヒータを停止させる、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、かつ、前記第2出力で前記側面ヒータを動作させる、
請求項4に記載のヒータ制御システム。
【請求項6】
前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有し、
前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備え、
前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記天面とは反対側の裏面に設置される裏面ヒータと、前記アームレストにおいて前記ユーザと相対する側面に設置される側面ヒータと、を有し、
前記制御部は、
前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、かつ、前記第2出力で前記側面ヒータを動作させ、かつ、前記裏面ヒータを停止させ、
前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記第2出力で前記裏面ヒータを動作させ、かつ、前記天面ヒータ及び前記側面ヒータを停止させる、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項7】
前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有し、
前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備え、
前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記天面とは反対側の裏面に設置される裏面ヒータと、前記アームレストにおいて前記ユーザと相対する側面に設置される側面ヒータと、を有し、
前記制御部は、
前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記天面ヒータを停止させ、
制御を開始してからの経過期間、及び前記移動体の内部空間の温度のうちの少なくとも一方に基づいて、前記1以上の回動部用ヒータを制御する、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が動作する第1状態、前記裏面ヒータが動作して前記側面ヒータが停止する第2状態、前記裏面ヒータが停止して前記側面ヒータが動作する第3状態、並びに前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が停止する第4状態の順に、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータを制御する、
請求項7に記載のヒータ制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が動作する第1状態、前記裏面ヒータが停止して前記側面ヒータが動作する第3状態、前記裏面ヒータが動作して前記側面ヒータが停止する第2状態、並びに前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が停止する第4状態の順に、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータを制御する、
請求項7に記載のヒータ制御システム。
【請求項10】
前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有し、
前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に対して傾斜し、前記アームレストが前記未使用位置にある場合においても前記ユーザと相対するように設置される傾斜ヒータを有し、
前記制御部は、前記アームレストの位置に依らず、前記第2出力で前記傾斜ヒータを動作させる、
請求項1に記載のヒータ制御システム。
【請求項11】
前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの脚を支持するオットマンを有し、
前記1以上の回動部用ヒータは、前記オットマンに設置されるオットマンヒータを有し、
前記制御部は、前記オットマンの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記オットマンヒータを動作させ、前記オットマンの位置が前記未使用位置である場合、前記第2出力で前記オットマンヒータを動作させる、
請求項1~10のいずれか1項に記載のヒータ制御システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記移動体の内部空間の温度が所定温度を下回る場合、前記1以上の回動部用ヒータを動作させる、
請求項1~11のいずれか1項に記載のヒータ制御システム。
【請求項13】
移動体の座席に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部に設置される1以上の回動部用ヒータを制御するヒータ制御方法であって、
前記1以上の回動部用ヒータは、少なくとも前記回動部が前記未使用位置にある状態において、発する熱が前記座席に着座したユーザへ向かうように設置され、
前記回動部の位置を検知し、
前記回動部の位置が前記未使用位置である場合、第1出力及び前記第1出力よりも大きい第2出力のうち、前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータのうちの少なくとも1つの回動部用ヒータを動作させる、
ヒータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるヒータを制御するヒータ制御システム、及びヒータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用アームレストを開示している。特許文献1においては、着座乗員の前腕を支持するアームレストは、着座乗員の前腕を支持する上面領域を温めるアームレストヒータを備えている。また、車両のドア本体に設置されたドアトリムは、ドアトリムと前腕とが接触する接触領域を温めるドアトリムヒータを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、ヒータ(アームレストヒータ及びドアトリムヒータ)の設置場所にユーザ(着座乗員)が接触している場合にユーザを温めることはできるが、ヒータの設置場所からユーザが離れている場合には、ユーザを十分に温めることができない。このため、特許文献1に開示の技術では、ヒータによりユーザを十分に温めるためには、ヒータの設置場所に対するユーザの姿勢を固定しなければならず、ユーザの快適性が損なわれ得る、という課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、ユーザの快適性を向上することのできるヒータ制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るヒータ制御システムは、1以上の回動部用ヒータと、位置検知部と、制御部と、を備える。前記1以上の回動部用ヒータは、移動体の座席に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部に設置される。前記位置検知部は、前記回動部の位置を検知する。前記制御部は、前記1以上の回動部用ヒータを制御する。前記1以上の回動部用ヒータは、少なくとも前記回動部が前記未使用位置にある状態において、発する熱が前記座席に着座したユーザへ向かうように設置される。前記制御部は、第1出力、及び前記第1出力よりも大きい第2出力のうち少なくとも前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータを制御可能である。前記制御部は、前記回動部の位置が前記未使用位置である場合、前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータのうちの少なくとも1つの回動部用ヒータを動作させる。
【0007】
本開示の一態様に係るヒータ制御方法は、移動体の座席に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部に設置される1以上の回動部用ヒータを制御するヒータ制御方法である。前記1以上の回動部用ヒータは、少なくとも前記回動部が前記未使用位置にある状態において、発する熱が前記座席に着座したユーザへ向かうように設置される。前記ヒータ制御方法では、前記回動部の位置を検知し、前記回動部の位置が前記未使用位置である場合、第1出力及び前記第1出力よりも大きい第2出力のうち、前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータのうちの少なくとも1つの回動部用ヒータを動作させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示のヒータ制御システム等では、ユーザの快適性を向上することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるヒータ制御システムの概要を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態におけるヒータ制御システムを搭載した座席の第1例であって、アームレスト及びオットマンが使用位置にある場合の概要を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態におけるヒータ制御システムを搭載した座席の第1例であって、アームレスト及びオットマンが未使用位置にある場合の概要を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態におけるヒータ制御システムを搭載した座席の第2例であって、アームレスト及びオットマンが使用位置にある場合の概要を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態におけるヒータ制御システムを搭載した座席の第2例であって、アームレスト及びオットマンが未使用位置にある場合の概要を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態におけるヒータ制御システムの第1動作例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態におけるヒータ制御システムの第2動作例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態におけるヒータ制御システムの第3動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、アームレストが使用位置にある場合の裏面ヒータ及び側面ヒータの動作例の説明図である。
【
図10】
図10は、アームレストが未使用位置にある場合の裏面ヒータ及び側面ヒータの動作例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係るヒータ制御システムは、1以上の回動部用ヒータと、位置検知部と、制御部と、を備える。前記1以上の回動部用ヒータは、移動体の座席に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部に設置される。前記位置検知部は、前記回動部の位置を検知する。前記制御部は、前記1以上の回動部用ヒータを制御する。前記1以上の回動部用ヒータは、少なくとも前記回動部が前記未使用位置にある状態において、発する熱が前記座席に着座したユーザへ向かうように設置される。前記制御部は、第1出力、及び前記第1出力よりも大きい第2出力のうち少なくとも前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータを制御可能である。前記制御部は、前記回動部の位置が前記未使用位置である場合、前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータのうちの少なくとも1つの回動部用ヒータを動作させる。
【0011】
これによれば、回動部が未使用位置であって、座席に着座したユーザが回動部用ヒータの設置箇所から離れていたとしても、回動部用ヒータを比較的大きい出力で動作させることで、回動部用ヒータの発する輻射熱によりユーザを温めることができる。したがって、回動部用ヒータの設置箇所に対してユーザが姿勢を固定する必要がなく、ユーザが自由な姿勢をとりながらも回動部用ヒータによりユーザを十分に温めることができるので、ユーザの快適性を向上することができる、という利点がある。
【0012】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有する。前記ヒータ制御システムは、前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備える。前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記天面とは反対側の裏面に設置される裏面ヒータを有する。前記制御部は、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記天面ヒータを停止させる。
【0013】
これによれば、アームレストが未使用位置にある場合に、裏面ヒータのみで座席に着座したユーザの肩及び上腕を温めることができる、という利点がある。また、これによれば、アームレストが未使用位置にある場合に、座席に着座したユーザの加温に寄与しづらい天面ヒータを停止させることで、電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0014】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、かつ、前記第2出力で前記裏面ヒータを動作させる。
【0015】
これによれば、アームレストが使用位置にある場合に、天面ヒータにより座席に着座したユーザの前腕を温めつつ、裏面ヒータからの輻射熱によりユーザの大腿部を温めることができるので、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0016】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有する。前記ヒータ制御システムは、前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備える。前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記ユーザと相対する側面に設置される側面ヒータを有する。前記制御部は、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記天面ヒータを停止させる。
【0017】
これによれば、アームレストが未使用位置にある場合に、側面ヒータのみで座席に着座したユーザの肩及び上腕、特に肩を温めることができる、という利点がある。また、これによれば、アームレストが未使用位置にある場合に、座席に着座したユーザの加温に寄与しづらい天面ヒータを停止させることで、電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0018】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、かつ、前記第2出力で前記側面ヒータを動作させる。
【0019】
これによれば、天面ヒータにより座席に着座したユーザの前腕を温めつつ、側面ヒータからの輻射熱によりユーザの腰及び大腿部を温めることができるので、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0020】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有する。前記ヒータ制御システムは、前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備える。前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記天面とは反対側の裏面に設置される裏面ヒータと、前記アームレストにおいて前記ユーザと相対する側面に設置される側面ヒータと、を有する。前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、かつ、前記第2出力で前記側面ヒータを動作させ、かつ、前記裏面ヒータを停止させる。前記制御部は、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記第2出力で前記裏面ヒータを動作させ、かつ、前記天面ヒータ及び前記側面ヒータを停止させる。
【0021】
これによれば、アームレストの位置に応じて天面ヒータ、裏面ヒータ、及び側面ヒータを動作させたり停止させたりすることで、アームレストの位置に依らず、座席に着座したユーザを温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0022】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有する。前記ヒータ制御システムは、前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に設置される天面ヒータを更に備える。前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記天面とは反対側の裏面に設置される裏面ヒータと、前記アームレストにおいて前記ユーザと相対する側面に設置される側面ヒータと、を有する。前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記天面ヒータを動作させ、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記天面ヒータを停止させる。前記制御部は、制御を開始してからの経過期間、及び前記移動体の内部空間の温度のうちの少なくとも一方に基づいて、前記1以上の回動部用ヒータを制御する。
【0023】
これによれば、経過期間、及び移動体の内部空間の温度のうちの少なくとも一方の時系列変化に応じて回動部用ヒータを制御することで、座席に着座したユーザを状況に応じて適切に温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0024】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記アームレストの位置が前記使用位置である場合、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が動作する第1状態、前記裏面ヒータが動作して前記側面ヒータが停止する第2状態、前記裏面ヒータが停止して前記側面ヒータが動作する第3状態、並びに前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が停止する第4状態の順に、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータを制御する。
【0025】
これによれば、例えば移動体の内部空間の温度が比較的低い状況では、座席に着座したユーザを積極的に温め、移動体の内部空間の温度が温まってくると段階的に裏面ヒータ及び側面ヒータによる加温を抑えるように制御することで、ユーザの快適性を損なうことなく電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0026】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記アームレストの位置が前記未使用位置である場合、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が動作する第1状態、前記裏面ヒータが停止して前記側面ヒータが動作する第3状態、前記裏面ヒータが動作して前記側面ヒータが停止する第2状態、並びに前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータの両方が停止する第4状態の順に、前記裏面ヒータ及び前記側面ヒータを制御する。
【0027】
これによれば、例えば移動体の内部空間の温度が比較的低い状況では、座席に着座したユーザを積極的に温め、移動体の内部空間の温度が温まってくると段階的に裏面ヒータ及び側面ヒータによる加温を抑えるように制御することで、ユーザの快適性を損なうことなく電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0028】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの腕を支持するアームレストを有する。前記1以上の回動部用ヒータは、前記アームレストにおいて前記腕が載せ置かれる天面に対して傾斜し、前記アームレストが前記未使用位置にある場合においてもユーザと相対するように設置される傾斜ヒータを有する。前記制御部は、前記アームレストの位置に依らず、前記第2出力で前記傾斜ヒータを動作させる。
【0029】
これによれば、アームレストの位置に依らず、座席に着座したユーザを温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0030】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記回動部は、前記座席に着座した前記ユーザの脚を支持するオットマンを有する。前記1以上の回動部用ヒータは、前記オットマンに設置されるオットマンヒータを有する。前記制御部は、前記オットマンの位置が前記使用位置である場合、前記第1出力で前記オットマンヒータを動作させ、前記オットマンの位置が前記未使用位置である場合、前記第2出力で前記オットマンヒータを動作させる。
【0031】
これによれば、オットマンの位置に依らず、座席に着座したユーザを温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0032】
本開示の他の態様に係るヒータ制御システムでは、前記制御部は、前記移動体の内部空間の温度が所定温度を下回る場合、前記1以上の回動部用ヒータを動作させる。
【0033】
これによれば、移動体の内部空間の温度が高い状況下では1以上の回動部用ヒータを動作させずに済むので、不要な電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0034】
本開示の一態様に係るヒータ制御方法は、移動体の座席に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部に設置される1以上の回動部用ヒータを制御するヒータ制御方法である。前記1以上の回動部用ヒータは、少なくとも前記回動部が前記未使用位置にある状態において、発する熱が前記座席に着座したユーザへ向かうように設置される。前記ヒータ制御方法では、前記回動部の位置を検知し、前記回動部の位置が前記未使用位置である場合、第1出力及び前記第1出力よりも大きい第2出力のうち、前記第2出力で前記1以上の回動部用ヒータのうちの少なくとも1つの回動部用ヒータを動作させる。
【0035】
これによれば、回動部が未使用位置であって、座席に着座したユーザが回動部用ヒータの設置箇所から離れていたとしても、回動部用ヒータを比較的大きい出力で動作させることで、回動部用ヒータの発する輻射熱によりユーザを温めることができる。したがって、回動部用ヒータの設置箇所に対してユーザが姿勢を固定する必要がなく、ユーザが自由な姿勢をとりながらも回動部用ヒータによりユーザを十分に温めることができるので、ユーザの快適性を向上することができる、という利点がある。
【0036】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0037】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0038】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略矩形等の表現を用いている。例えば、略平行は、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0039】
(実施の形態)
<構成>
図1は、実施の形態におけるヒータ制御システム100の概要を示すブロック図である。ヒータ制御システム100は、移動体の座席4(
図2参照)に設けられている。移動体は、例えば自動車であるが、例えば飛行機又は船舶等の他の移動体であってもよい。座席4は、一例として、自動車の助手席又は後部座席である。
【0040】
<座席>
図2は、実施の形態におけるヒータ制御システム100を搭載した座席4の第1例であって、アームレスト51及びオットマン52が使用位置にある場合の概要を示す図である。
図3は、実施の形態におけるヒータ制御システム100を搭載した座席4の第1例であって、アームレスト51及びオットマン52が未使用位置にある場合の概要を示す図である。
図4は、実施の形態におけるヒータ制御システム100を搭載した座席4の第2例であって、アームレスト51及びオットマン52が使用位置にある場合の概要を示す図である。
図5は、実施の形態におけるヒータ制御システム100を搭載した座席4の第2例であって、アームレスト51及びオットマンが未使用位置にある場合の概要を示す図である。
【0041】
座席4は、例えば
図2に示すように、シートクッション41と、シートバック42と、ヘッドレスト43と、回動部5としての一対のアームレスト51(図示では1つ)と、回動部5としてのオットマン52と、を備えている。シートクッション41は、座席4に着座するユーザの臀部及び大腿部を支持する座席4の座部である。シートバック42は、座席4に着座するユーザの背部を支持する背もたれ部である。ヘッドレスト43は、座席4に着座するユーザの頭部を支持する枕状の部位である。なお、アームレスト51は一対を備える構成に限定されず、座席4の左右一方のみに備えられていてもよい。
【0042】
アームレスト51は、座席4に着座するユーザの腕の一部(前腕)を支持する部位である。実施の形態では、座席4の左右両側に設置された一対のアームレスト51のうち右側のアームレスト51がユーザの右腕の前腕を支持し、左側のアームレスト51がユーザの左腕の前腕を支持する。オットマン52は、座席4に着座するユーザの脚の一部(ふくらはぎ)を支持する部位である。実施の形態では、オットマン52は、ユーザの両脚のふくらはぎを支持する。
【0043】
ここで、
図2及び
図3に示す第1例の座席4と、
図4及び
図5に示す第2例の座席4とは、以下の点を除いて共通の構成である。すなわち、第1例の座席4では、一対のアームレスト51は、座席4に着座したユーザの腕が載せ置かれる天面511がシートクッション41の座面と略垂直になるまで回動可能に構成されている。一方、第2例の座席4では、一対のアームレスト51は、その天面511がシートクッション41の座面に対して所定の角度(例えば、45度)までしか回動できないように構成されている。
【0044】
また、第1例の座席4では、一対のアームレスト51の各々には、天面ヒータ23及び裏面ヒータ31が設置されている。一方、第2例の座席4では、一対のアームレスト51の各々には、天面ヒータ23及び側面ヒータ32が設置されている。天面ヒータ23、裏面ヒータ31、及び側面ヒータ32については、後述する<ヒータ制御システム>にて詳細に説明する。
【0045】
回動部5は、移動体の座席4に属する部材であって、使用位置と未使用位置との間で回動可能な部材である。実施の形態では、回動部5は、既に述べたように、一対のアームレスト51と、オットマン52と、を有している。使用位置は、座席4に着座したユーザの身体の一部を回動部5が支持可能な位置である。未使用位置は、使用位置以外の位置である。具体的には、未使用位置は、回動部5が収納される位置、又は回動部5が完全には収納されていないが、ユーザの身体の一部を支持できない位置である。
【0046】
例えば、回動部5がアームレスト51である場合、使用位置は、アームレスト51の天面511がシートクッション41の座面と略平行となるまで回動した位置であり、ユーザの腕の一部(前腕)を支持可能な位置である(
図2参照)。一方、未使用位置は、アームレスト51の天面511がシートクッション41の座面と略垂直になるまで回動した収納位置(
図3参照)、又はシートクッション41の座面に対して所定の角度(例えば、45度)以上回動した位置であって、ユーザが腕の一部を載せ置くことができない位置である(
図5参照)。なお、アームレスト51が使用位置である場合以外は、すべて未使用位置であると定義してもよい。
【0047】
また、例えば、回動部5がオットマン52である場合、使用位置は、オットマン52の天面521がシートクッション41の座面に対して所定の角度(例えば、45度)となるまで回動した位置であって、ユーザの脚の一部(ふくらはぎ)を支持可能な位置である(
図2参照)。一方、未使用位置は、オットマン52の天面521がシートクッション41の座面と略垂直になるまで回動した収納位置であって、ユーザが脚の一部を載せ置くことができない位置である(
図3参照)。なお、オットマン52が未使用位置である場合以外は、すべて使用位置であると定義してもよい。
【0048】
<ヒータ制御システム>
ヒータ制御システム100は、座席4に装備され、ユーザが座席4に着座した際に、後述するクッションヒータ21、バックヒータ22、天面ヒータ23、及び1以上の回動部用ヒータ3の発熱により、ユーザの身体の少なくとも一部を温めるためのシステムである。第1例の座席4では、1以上の回動部用ヒータ3は、後述する裏面ヒータ31と、オットマンヒータ33と、を有している。一方、第2例の座席4では、1以上の回動部用ヒータ3は、後述する側面ヒータ32と、オットマンヒータ33と、を有している。
【0049】
ヒータ制御システム100は、クッションヒータ21と、バックヒータ22と、天面ヒータ23と、オットマンヒータ33と、位置検知部11と、着座検知部12と、温度検知部13と、制御部14と、を備えている。また、第1例の座席4に装備されるヒータ制御システム100は、裏面ヒータ31を更に備えている。一方、第2例の座席4に装備されるヒータ制御システム100は、側面ヒータ32を更に備えている。
【0050】
なお、実施の形態では、ヒータ制御システム100は、クッションヒータ21及びバックヒータ22を構成要素として備えているが、クッションヒータ21及びバックヒータ22を構成要素として備えていなくてもよい。また、実施の形態では、ヒータ制御システム100は、着座検知部12及び温度検知部13を構成要素として備えているが、着座検知部12及び温度検知部13を構成要素として備えていなくてもよい。
【0051】
クッションヒータ21は、シートクッション41に設置されるヒータである。具体的には、クッションヒータ21は、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。クッションヒータ21は、制御部14によって電力が供給されることで発熱し、シートクッション41を介して座席4に着座したユーザの臀部及び大腿部を主として温める。
【0052】
バックヒータ22は、シートバック42に設置されるヒータである。具体的には、バックヒータ22は、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。バックヒータ22は、制御部14によって電力が供給されることで発熱し、シートバック42を介して座席4に着座したユーザの背部を主として温める。
【0053】
天面ヒータ23は、一対のアームレスト51の各々の天面511に設置されるヒータである。具体的には、天面ヒータ23は、アームレスト51の天面511側の部位において、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。天面ヒータ23は、制御部14によって電力が供給されることで発熱し、アームレスト51を介して座席4に着座したユーザの前腕を主として温める。
【0054】
裏面ヒータ31は、第1例の座席4において、一対のアームレスト51の各々の天面511とは反対側の裏面512に設置されるヒータである。具体的には、裏面ヒータ31は、アームレスト51の裏面512側の部位において、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。裏面ヒータ31は、制御部14によって電力が供給されることで発熱し、座席4に着座したユーザの身体の一部を輻射熱により温める。
【0055】
側面ヒータ32は、第2例の座席4において、一対のアームレスト51の各々におけるユーザと相対する側面(内側面)に設置されるヒータである。具体的には、側面ヒータ32は、アームレスト51の内側面側の部位において、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。側面ヒータ32は、制御部14によって電力が供給されることで発熱し、座席4に着座したユーザの身体の一部を輻射熱により温める。
【0056】
オットマンヒータ33は、オットマン52に設置されるヒータである。具体的には、オットマンヒータ33は、オットマン52の天面521側の部位において、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。オットマンヒータ33は、制御部14によって電力が供給されることで発熱し、オットマン52を介して座席4に着座したユーザの両脚のふくらはぎを主として温める。
【0057】
ここで、1以上の回動部用ヒータ3である裏面ヒータ31、側面ヒータ32、及びオットマンヒータ33は、いずれも少なくとも回動部5が未使用位置にある状態において、発する熱が座席4に着座したユーザへ向かうように設置されている。
【0058】
具体的には、裏面ヒータ31は、アームレスト51が未使用位置にある状態において、裏面ヒータ31の発する輻射熱が座席4に着座したユーザの肩及び腕へ主として向かうように設置されている。また、側面ヒータ32は、アームレスト51が未使用位置にある状態において、側面ヒータ32の発する輻射熱が座席4に着座したユーザの肩及び腕へ主として向かうように設置されている。また、オットマンヒータ33は、オットマン52が未使用位置にある状態において、オットマンヒータ33の発する輻射熱が座席4に着座したユーザのふくらはぎへ主として向かうように設置されている。
【0059】
なお、天面ヒータ23は、回動部5であるアームレスト51に設置されているが、アームレスト51が未使用位置にある状態において、天面ヒータ23の発する熱が座席4に着座したユーザへと向かわない位置に設置されている。このため、天面ヒータ23は、1以上の回動部用ヒータ3には含まれていない。
【0060】
クッションヒータ21、バックヒータ22、天面ヒータ23、裏面ヒータ31、側面ヒータ32、及びオットマンヒータ33は、いずれも基材と、ヒータ線と、縫製糸と、を有する。基材は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によってシート状に形成された布状のウレタン等の発泡性樹脂からなる。なお、基材は、不織布であってもよい。ヒータ線は、制御部14と電気的に接続され、制御部14から電流が流されることによって、発熱することが可能な導電線である。
【0061】
ヒータ線は、ヒータ線に電力を供給するためのハーネスから基材の各部分を通ってそのハーネスに戻るように基材の一面に縫い付けられている。ヒータ線は、銅等の金属線であって、例えばポリエステル繊維の糸を縫製糸として用いて、基材の一面に縫い付けられている。縫製糸は、ヒータ線を基材に固定するために、ヒータ線の延在方向に沿ってヒータ線を基材に縫い付ける糸である。なお、ヒータ線は、縫製糸以外の手段として、接着等の手段で基材に固定されていてもよい。
【0062】
位置検知部11は、回動部5の位置を検知する。実施の形態では、位置検知部11は、ポテンショメータ(特に、ロータリポテンショメータ)であって、一対のアームレスト51の各々の回動軸、及びオットマン52の回動軸に取り付けられている。位置検知部11は、一対のアームレスト51の各々の回転角度を検知することにより、一対のアームレスト51の各々の位置を検知する。また、位置検知部11は、オットマン52の回転角度を検知することにより、オットマン52の位置を検知する。位置検知部11の検知結果は、位置検知部11に電気的に接続されている制御部14に与えられる。
【0063】
なお、位置検知部11はポテンショメータに限定されず、位置検知スイッチであってもよい。この場合、例えば位置検知スイッチは、アームレスト51が使用位置である場合にオン、それ以外の未使用位置である場合にオフになるように構成されていてもよい。また、例えば位置検知スイッチは、オットマン52が未使用位置である場合にオン、それ以外の使用位置である場合にオフになるように構成されていてもよい。
【0064】
着座検知部12は、ユーザが座席4に着座したか否かを検知する。実施の形態では、着座検知部12は、重量センサであって、座席4のシートクッション41に取り付けられている。着座検知部12は、所定値以上の重量を検知すると、座席4にユーザが着座したと検知し、所定値未満の重量を検知すると、座席4にユーザが着座していないと検知する。
【0065】
なお、着座検知部12は、例えば座席4に取り付けられた赤外線センサであってもよい。この場合、着座検知部12は、所定値以上の大きさの赤外光を検知すると、座席4にユーザが着座していると検知し、所定値未満の大きさの赤外光を検知すると、座席4にユーザが着座していないと検知する。また、着座検知部12は、例えば座席4に備え付けられたシートベルトのバックル(差込部)に内蔵されたスイッチであってもよい。この場合、着座検知部12は、バックルにタング(金具)が差し込まれることでスイッチがオンすると、座席4にユーザが着座したと検知し、バックルへのタングの差し込みが解除されてスイッチがオフすると、座席4にユーザが着座していないと検知する。着座検知部12の検知結果は、着座検知部12に電気的に接続されている制御部14に与えられる。
【0066】
温度検知部13は、移動体の内部空間(つまり、車室空間)の温度を検知する。実施の形態では、温度検知部13は、サーミスタであって、例えば車室の天井等に取り付けられている。なお、温度検知部13は、車載用エアーコンディショナに用いられる既存の温度センサで兼用されてもよい。この場合、温度検知部13は、当該温度センサで検知された温度に基づいて、移動体の内部空間の温度を検知する。温度検知部13の検知結果は、温度検知部13に電気的に接続されている制御部14に与えられる。
【0067】
制御部14は、第1例の座席4では、クッションヒータ21、バックヒータ22、天面ヒータ23、裏面ヒータ31、及びオットマンヒータ33に電気的に接続され、各ヒータを個別に制御する。また、制御部14は、第2例の座席4では、クッションヒータ21、バックヒータ22、天面ヒータ23、側面ヒータ32、及びオットマンヒータ33に電気的に接続され、各ヒータを個別に制御する。つまり、制御部14は、各ヒータへの電力の供給及び停止を個別に制御する。
【0068】
実施の形態では、制御部14は、クッションヒータ21、バックヒータ22、及び天面ヒータ23の各々については、第1出力で制御可能である。一方、制御部14は、裏面ヒータ31又は側面ヒータ32については、第1出力よりも大きい第2出力で制御可能である。また、制御部14は、オットマンヒータ33については、第1出力及び第2出力の両方で制御可能である。つまり、制御部14は、第1出力及び第2出力のうち少なくとも第2出力で1以上の回動部用ヒータ3を制御可能である。
【0069】
ここで、第1出力は、座席4に着座したユーザがヒータの設置箇所に接触、又は近接している状態で、ヒータの発する熱によりユーザを温めることができる程度の出力である。また、第1出力は、座席4に着座したユーザがヒータの設置箇所から離れている状態では、ヒータの発する輻射熱ではユーザを温めることができない程度の出力である。一方、第2出力は、第1出力よりも大きい出力であって、座席4に着座したユーザがヒータの設置箇所から離れている状態で、ヒータの発する輻射熱によりユーザを温めることができる程度の出力である。つまり、第1出力が通常の出力であれば、第2出力は、通常の出力よりも大きい出力である。言い換えれば、第2出力が通常の出力であれば、第1出力は、通常の出力よりも小さい出力である。
【0070】
なお、実施の形態において、第1出力は、第1出力を出力可能な各ヒータで共通の出力であってもよいし、ヒータごとに異なる出力であってもよい。同様に、第2出力は、第2出力を出力可能な各ヒータで共通の出力であってもよいし、ヒータごとに異なる出力であってもよい。
【0071】
<動作>
以下、実施の形態におけるヒータ制御システム100の動作について図面を参照して説明する。以下では、ヒータ制御システム100による第1動作例、第2動作例、及び第3動作例の3つの動作例について説明する。
【0072】
第1動作例は、第1例の座席4でのヒータ制御システム100の動作例であって、1以上の回動部用ヒータ3が裏面ヒータ31及びオットマンヒータ33を有する場合の動作例である。第2動作例は、第2例の座席4でのヒータ制御システム100の動作例であって、1以上の回動部用ヒータ3が側面ヒータ32及びオットマンヒータ33を有する場合の動作例である。第3動作例は、一対のアームレスト51の各々に裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の両方が設置された第2例の座席4でのヒータ制御システム100の動作例であって、1以上の回動部用ヒータ3が裏面ヒータ31、側面ヒータ32、及びオットマンヒータ33を有する場合の動作例である。
【0073】
<第1動作例>
まず、ヒータ制御システム100による第1動作例について
図6を参照して説明する。
図6は、実施の形態におけるヒータ制御システム100の第1動作例を示すフローチャートである。
図6に示すように、制御部14は、まず着座検知部12の検知結果に基づいて、座席4にユーザが着座しているか否かを判断する(ステップS101)。座席4にユーザが着座している場合(ステップS101:Yes)、制御部14は、次に温度検知部13の検知結果に基づいて、移動体の内部空間の温度が所定温度を下回るか否かを判断する(ステップS102)。なお、ここでいう「所定温度を下回る」は、所定温度未満の意味であってもよいし、所定温度以下の意味であってもよい。
【0074】
一方、座席4にユーザが着座していない場合(ステップS101:No)、制御部14は、既に各ヒータを動作させている場合は全てのヒータを停止させ、各ヒータが既に停止している場合は、その状態を維持する(ステップS103)。
【0075】
移動体の内部空間の温度が所定温度を下回る場合(ステップS102:Yes)、制御部14は、位置検知部11の検知結果に基づいて、一対のアームレスト51の位置が使用位置であるか未使用位置であるかを判断する(ステップS104)。なお、制御部14は、この時点でクッションヒータ21及びバックヒータ22を動作させてもよい。
【0076】
一方、移動体の内部空間の温度が所定温度を下回っていない場合(ステップS102:No)、制御部14は、既に各ヒータを動作させている場合は全てのヒータを停止させ、各ヒータが既に停止している場合は、その状態を維持する(ステップS103)。
【0077】
一対のアームレスト51の位置が使用位置である場合(ステップS104:Yes)、制御部14は、第1出力で天面ヒータ23を動作させる(ステップS105)。また、制御部14は、裏面ヒータ31を停止させる(ステップS106)。したがって、一対のアームレスト51の位置が使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両腕の前腕が、天面ヒータ23により直接的に温められる。
【0078】
一方、一対のアームレスト51の位置が未使用位置である場合(ステップS104:No)、制御部14は、天面ヒータ23の動作を停止させる(ステップS107)。また、制御部14は、第2出力で裏面ヒータ31を動作させる(ステップS108)。したがって、一対のアームレスト51の位置が未使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両腕の上腕及び両肩が、裏面ヒータ31の発する輻射熱により温められる。
【0079】
上記のステップS104~S108と並行して、制御部14は、位置検知部11の検知結果に基づいて、オットマン52の位置が使用位置であるか未使用位置であるかを判断する(ステップS109)。オットマン52の位置が未使用位置である場合(ステップS109:Yes)、制御部14は、第2出力でオットマンヒータ33を動作させる(ステップS110)。したがって、オットマン52が未使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両脚のふくらはぎが、オットマンヒータ33が発する輻射熱により温められる。
【0080】
一方、オットマン52の位置が使用位置である場合(ステップS109:No)、制御部14は、第1出力でオットマンヒータ33を動作させる(ステップS111)。したがって、オットマン52が使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両端のふくらはぎが、オットマンヒータ33により直接的に温められる。
【0081】
なお、一対のアームレスト51が使用位置にある場合(ステップS104:Yes)、裏面ヒータ31を停止させる代わりに、第2出力で裏面ヒータ31を動作させてもよい。この場合、裏面ヒータ31が発する輻射熱により、座席4に着座したユーザの両脚の大腿部を主として温めることができる。つまり、一対のアームレスト51の位置に依らず、第2出力で裏面ヒータ31を動作させてもよい。
【0082】
<第2動作例>
次に、ヒータ制御システム100による第2動作例について
図7を参照して説明する。
図7は、実施の形態におけるヒータ制御システム100の第2動作例を示すフローチャートである。
図7に示すように、制御部14は、まず着座検知部12の検知結果に基づいて、座席4にユーザが着座しているか否かを判断する(ステップS201)。座席4にユーザが着座している場合(ステップS201:Yes)、制御部14は、次に温度検知部13の検知結果に基づいて、移動体の内部空間の温度が所定温度を下回るか否かを判断する(ステップS202)。
【0083】
一方、座席4にユーザが着座していない場合(ステップS201:No)、制御部14は、既に各ヒータを動作させている場合は全てのヒータを停止させ、各ヒータが既に停止している場合は、その状態を維持する(ステップS203)。
【0084】
移動体の内部空間の温度が所定温度を下回る場合(ステップS202:Yes)、制御部14は、位置検知部11の検知結果に基づいて、一対のアームレスト51の位置が使用位置であるか未使用位置であるかを判断する(ステップS204)。なお、制御部14は、この時点でクッションヒータ21及びバックヒータ22を動作させてもよい。
【0085】
一方、移動体の内部空間の温度が所定温度を下回っていない場合(ステップS202:No)、制御部14は、既に各ヒータを動作させている場合は全てのヒータを停止させ、各ヒータが既に停止している場合は、その状態を維持する(ステップS203)。
【0086】
一対のアームレスト51の位置が使用位置である場合(ステップS204:Yes)、制御部14は、第1出力で天面ヒータ23を動作させる(ステップS205)。また、制御部14は、側面ヒータ32を停止させる(ステップS206)。したがって、一対のアームレスト51の位置が使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両腕の前腕が、天面ヒータ23により直接的に温められる。
【0087】
一方、一対のアームレスト51の位置が未使用位置である場合(ステップS204:No)、制御部14は、天面ヒータ23の動作を停止させる(ステップS207)。また、制御部14は、第2出力で側面ヒータ32を動作させる(ステップS208)。したがって、一対のアームレスト51の位置が未使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両腕の上腕及び両肩が、側面ヒータ32の発する輻射熱により温められる。
【0088】
上記のステップS204~S208と並行して、制御部14は、位置検知部11の検知結果に基づいて、オットマン52の位置が使用位置であるか未使用位置であるかを判断する(ステップS209)。オットマン52の位置が未使用位置である場合(ステップS209:Yes)、制御部14は、第2出力でオットマンヒータ33を動作させる(ステップS210)。したがって、オットマン52が未使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両脚のふくらはぎが、オットマンヒータ33が発する輻射熱により温められる。
【0089】
一方、オットマン52の位置が使用位置である場合(ステップS209:No)、制御部14は、第1出力でオットマンヒータ33を動作させる(ステップS211)。したがって、オットマン52が使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両端のふくらはぎが、オットマンヒータ33により直接的に温められる。
【0090】
なお、一対のアームレスト51が使用位置にある場合(ステップS204:Yes)、側面ヒータ32を停止させる代わりに、第2出力で側面ヒータ32を動作させてもよい。この場合、側面ヒータ32が発する輻射熱により、座席4に着座したユーザの腰及び両脚の大腿部を主として温めることができる。つまり、一対のアームレスト51の位置に依らず、第2出力で側面ヒータ32を動作させてもよい。
【0091】
<第3動作例>
次に、ヒータ制御システム100による第3動作例について
図8を参照して説明する。
図8は、実施の形態におけるヒータ制御システム100の第3動作例を示すフローチャートである。
図8に示すように、制御部14は、まず着座検知部12の検知結果に基づいて、座席4にユーザが着座しているか否かを判断する(ステップS301)。座席4にユーザが着座している場合(ステップS301:Yes)、制御部14は、次に温度検知部13の検知結果に基づいて、移動体の内部空間の温度が所定温度を下回るか否かを判断する(ステップS302)。
【0092】
一方、座席4にユーザが着座していない場合(ステップS301:No)、制御部14は、既に各ヒータを動作させている場合は全てのヒータを停止させ、各ヒータが既に停止している場合は、その状態を維持する(ステップS303)。
【0093】
移動体の内部空間の温度が所定温度を下回る場合(ステップS302:Yes)、制御部14は、位置検知部11の検知結果に基づいて、一対のアームレスト51の位置が使用位置であるか未使用位置であるかを判断する(ステップS304)。なお、制御部14は、この時点でクッションヒータ21及びバックヒータ22を動作させてもよい。
【0094】
一方、移動体の内部空間の温度が所定温度を下回っていない場合(ステップS302:No)、制御部14は、既に各ヒータを動作させている場合は全てのヒータを停止させ、各ヒータが既に停止している場合は、その状態を維持する(ステップS303)。
【0095】
一対のアームレスト51の位置が使用位置である場合(ステップS304:Yes)、制御部14は、第1出力で天面ヒータ23を動作させる(ステップS305)。また、制御部14は、第2出力で側面ヒータ32を動作させ、かつ、裏面ヒータ31を停止させる(ステップS306)。したがって、一対のアームレスト51の位置が使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両腕の前腕が、天面ヒータ23により直接的に温められる。また、この場合、座席4に着座したユーザの腰及び両脚の大腿部が、側面ヒータ32の発する輻射熱により温められる。
【0096】
一方、一対のアームレスト51の位置が未使用位置である場合(ステップS304:No)、制御部14は、天面ヒータ23の動作を停止させる(ステップS307)。また、制御部14は、第2出力で裏面ヒータ31を動作させ、かつ、側面ヒータ32を停止させる(ステップS308)。したがって、一対のアームレスト51の位置が未使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両腕の上腕及び両肩が、裏面ヒータ31の発する輻射熱により温められる。
【0097】
上記のステップS304~S308と並行して、制御部14は、位置検知部11の検知結果に基づいて、オットマン52の位置が使用位置であるか未使用位置であるかを判断する(ステップS309)。オットマン52の位置が未使用位置である場合(ステップS309:Yes)、制御部14は、第2出力でオットマンヒータ33を動作させる(ステップS310)。したがって、オットマン52が未使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両脚のふくらはぎが、オットマンヒータ33が発する輻射熱により温められる。
【0098】
一方、オットマン52の位置が使用位置である場合(ステップS309:No)、制御部14は、第1出力でオットマンヒータ33を動作させる(ステップS311)。したがって、オットマン52が使用位置にある場合、座席4に着座したユーザの両端のふくらはぎが、オットマンヒータ33により直接的に温められる。
【0099】
なお、一対のアームレスト51が使用位置にある場合(ステップS304:Yes)、制御部14は、ステップS306に代えて、例えば
図9に示す4つの状態を遷移するように、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御してもよい。
図9は、アームレスト51が使用位置にある場合の裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の動作例の説明図である。
【0100】
図9において、第1状態は、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の両方が動作する状態である。この状態では、座席4に着座したユーザの腰及び両脚の大腿部、特には両脚の大腿部を強く温めることができる。第2状態は、裏面ヒータ31が動作して側面ヒータ32が停止する状態である。この状態では、座席4に着座したユーザの腰及び両脚の大腿部を温めることができる。第3状態は、裏面ヒータ31が停止して側面ヒータ32が動作する状態である。この状態では、座席に着座したユーザの両脚の大腿部を温めることができる。第4状態は、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の両方が停止する状態である。この状態では、座席4に着座したユーザを温めることはできないが、電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0101】
例えば、制御部14は、温度検知部13の検知結果に基づいて、移動体の内部空間の温度が極めて低い場合、第1状態での制御を開始する。その後、制御部14は、制御を開始してからの経過期間、及び移動体の内部空間の温度のうちの少なくとも一方に基づいて、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32(つまり、1以上の回動部用ヒータ3)を制御する。例えば、制御部14は、10分ごとに、第1状態、第2状態、第3状態、及び第4状態の順に遷移するように、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御する。また、例えば、制御部14は、移動体の内部空間の温度が摂氏0度未満であれば第1状態、摂氏0度以上9度未満であれば第2状態、摂氏10度以上20度未満であれば第3状態、摂氏20度以上であれば第4状態で裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御してもよい。
【0102】
また、一対のアームレスト51が未使用位置にある場合(ステップS304:No)、制御部14は、ステップS308に代えて、例えば
図10に示す4つの状態を遷移するように、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御してもよい。
図10は、アームレスト51が未使用位置にある場合の裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の動作例の説明図である。
【0103】
図10における第1状態~第4状態は、それぞれ
図9に示す第1状態~第4状態と同じであるため、説明を省略する。なお、
図10に示すように、一対のアームレスト51が未使用位置にある場合の各状態の効果は、一対のアームレスト51が使用位置にある場合の各状態の効果と異なる。具体的には、第1状態では、座席4に着座したユーザの両肩及び両腕の上腕を強く温めることができる。第2状態では、座席4に着座したユーザの両肩及び両腕の上腕を温めることができる。第3状態では、座席4に着座したユーザの両肩及び両腕の上腕を、第2状態よりも強く温めることができる。第4状態では、電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0104】
例えば、制御部14は、温度検知部13の検知結果に基づいて、移動体の内部空間の温度が極めて低い場合、第1状態での制御を開始する。その後、制御部14は、制御を開始してからの経過期間、及び移動体の内部空間の温度のうちの少なくとも一方に基づいて、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32(つまり、1以上の回動部用ヒータ3)を制御する。例えば、制御部14は、10分ごとに、第1状態、第3状態、第2状態、及び第4状態の順に遷移するように、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御する。また、例えば、制御部14は、移動体の内部空間の温度が摂氏0度未満であれば第1状態、摂氏0度以上9度未満であれば第3状態、摂氏10度以上20度未満であれば第2状態、摂氏20度以上であれば第4状態で裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御してもよい。
【0105】
なお、第3動作例は、第2例の座席4での動作を想定しているが、第1例の座席4でも適用可能である。この場合、一対のアームレスト51が未使用位置(つまり、一対のアームレスト51の天面511がシートクッション41の座面と略垂直になるまで回動した収納位置)であれば、制御部14は、ステップS308の代わりに第2状態で裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御し、その後、第4状態で裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御してもよい。
【0106】
<作用効果>
以上のように、実施の形態におけるヒータ制御システム100は、1以上の回動部用ヒータ3と、位置検知部11と、制御部14と、を備える。1以上の回動部用ヒータ3は、移動体の座席4に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部5に設置される。位置検知部11は、回動部5の位置を検知する。制御部14は、1以上の回動部用ヒータ3を制御する。1以上の回動部用ヒータ3は、少なくとも回動部5が未使用位置にある状態において、発する熱が座席4に着座したユーザへ向かうように設置される。制御部14は、第1出力、及び第1出力よりも大きい第2出力のうち少なくとも第2出力で1以上の回動部用ヒータ3を制御可能である。制御部14は、回動部5の位置が未使用位置である場合、第2出力で1以上の回動部用ヒータ3のうちの少なくとも1つの回動部用ヒータ3を動作させる。
【0107】
これによれば、回動部5が未使用位置であって、座席4に着座したユーザが回動部用ヒータ3の設置箇所から離れていたとしても、回動部用ヒータ3を比較的大きい出力で動作させることで、回動部用ヒータ3の発する輻射熱によりユーザを温めることができる。したがって、回動部用ヒータ3の設置箇所に対してユーザが姿勢を固定する必要がなく、ユーザが自由な姿勢をとりながらも回動部用ヒータ3によりユーザを十分に温めることができるので、ユーザの快適性を向上することができる、という利点がある。
【0108】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、回動部5は、座席4に着座したユーザの腕を支持するアームレスト51を有する。ヒータ制御システム100は、アームレスト51において腕が載せ置かれる天面511に設置される天面ヒータ23を更に備える。1以上の回動部用ヒータ3は、アームレスト51において天面511とは反対側の裏面512に設置される裏面ヒータ31を有する。制御部14は、アームレスト51の位置が未使用位置である場合、天面ヒータ23を停止させる。
【0109】
これによれば、アームレスト51が未使用位置にある場合に、裏面ヒータ31のみで座席4に着座したユーザの肩及び上腕を温めることができる、という利点がある。また、これによれば、アームレスト51が未使用位置にある場合に、座席4に着座したユーザの加温に寄与しづらい天面ヒータ23を停止させることで、電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0110】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、制御部14は、アームレスト51の位置が使用位置である場合、第1出力で天面ヒータ23を動作させ、かつ、第2出力で裏面ヒータ31を動作させる。
【0111】
これによれば、アームレスト51が使用位置にある場合に、天面ヒータ23により座席4に着座したユーザの前腕を温めつつ、裏面ヒータ31からの輻射熱によりユーザの大腿部を温めることができるので、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0112】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、回動部5は、座席4に着座したユーザの腕を支持するアームレスト51を有する。ヒータ制御システム100は、アームレスト51において腕が載せ置かれる天面511に設置される天面ヒータ23を更に備える。1以上の回動部用ヒータ3は、アームレスト51においてユーザと相対する側面に設置される側面ヒータ32を有する。制御部14は、アームレスト51の位置が未使用位置である場合、天面ヒータ23を停止させる。
【0113】
これによれば、アームレスト51が未使用位置にある場合に、側面ヒータ32のみで座席4に着座したユーザの肩及び上腕、特に肩を温めることができる、という利点がある。また、これによれば、アームレスト51が未使用位置にある場合に、座席4に着座したユーザの加温に寄与しづらい天面ヒータ23を停止させることで、電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0114】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、制御部14は、アームレスト51の位置が使用位置である場合、第1出力で天面ヒータ23を動作させ、かつ、第2出力で側面ヒータ32を動作させる。
【0115】
これによれば、天面ヒータ23により座席4に着座したユーザの前腕を温めつつ、側面ヒータ32からの輻射熱によりユーザの腰及び大腿部を温めることができるので、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0116】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、回動部5は、座席4に着座したユーザの腕を支持するアームレスト51を有する。ヒータ制御システム100は、アームレスト51において腕が載せ置かれる天面511に設置される天面ヒータ23を更に備える。1以上の回動部用ヒータ3は、アームレスト51において天面511とは反対側の裏面512に設置される裏面ヒータ31と、アームレスト51においてユーザと相対する側面に設置される側面ヒータ32と、を有する。制御部14は、アームレスト51の位置が使用位置である場合、第1出力で天面ヒータ23を動作させ、かつ、第2出力で側面ヒータ32を動作させ、かつ、裏面ヒータ31を停止させる。制御部14は、アームレスト51の位置が未使用位置である場合、第2出力で裏面ヒータ31を動作させ、かつ、天面ヒータ23及び側面ヒータ32を停止させる。
【0117】
これによれば、アームレスト51の位置に応じて天面ヒータ23、裏面ヒータ31、及び側面ヒータ32を動作させたり停止させたりすることで、アームレスト51の位置に依らず、座席4に着座したユーザを温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0118】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、回動部5は、座席4に着座したユーザの腕を支持するアームレスト51を有する。ヒータ制御システム100は、アームレスト51において腕が載せ置かれる天面511に設置される天面ヒータ23を更に備える。1以上の回動部用ヒータ3は、アームレスト51において天面511とは反対側の裏面512に設置される裏面ヒータ31と、アームレスト51においてユーザと相対する側面に設置される側面ヒータ32と、を有する。制御部14は、アームレスト51の位置が使用位置である場合、第1出力で天面ヒータ23を動作させ、アームレスト51の位置が未使用位置である場合、天面ヒータ23を停止させる。制御部14は、制御を開始してからの経過期間、及び移動体の内部空間の温度のうちの少なくとも一方に基づいて、1以上の回動部用ヒータ3を制御する。
【0119】
これによれば、経過期間、及び移動体の内部空間の温度のうちの少なくとも一方の時系列変化に応じて回動部用ヒータ3を制御することで、座席4に着座したユーザを状況に応じて適切に温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0120】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、制御部14は、アームレスト51の位置が使用位置である場合、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の両方が動作する第1状態、裏面ヒータ31が動作して側面ヒータ32が停止する第2状態、裏面ヒータ31が停止して側面ヒータ32が動作する第3状態、並びに裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の両方が停止する第4状態の順に、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御する。
【0121】
これによれば、例えば移動体の内部空間の温度が比較的低い状況では、座席4に着座したユーザを積極的に温め、移動体の内部空間の温度が温まってくると段階的に裏面ヒータ31及び側面ヒータ32による加温を抑えるように制御することで、ユーザの快適性を損なうことなく電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0122】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、制御部14は、アームレスト51の位置が未使用位置である場合、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の両方が動作する第1状態、裏面ヒータ31が停止して側面ヒータ32が動作する第3状態、裏面ヒータ31が動作して側面ヒータ32が停止する第2状態、並びに裏面ヒータ31及び側面ヒータ32の両方が停止する第4状態の順に、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32を制御する。
【0123】
これによれば、例えば移動体の内部空間の温度が比較的低い状況では、座席4に着座したユーザを積極的に温め、移動体の内部空間の温度が温まってくると段階的に裏面ヒータ31及び側面ヒータ32による加温を抑えるように制御することで、ユーザの快適性を損なうことなく電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0124】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、回動部5は、座席4に着座したユーザの脚を支持するオットマン52を有する。1以上の回動部用ヒータ3は、オットマン52に設置されるオットマンヒータ33を有する。制御部14は、オットマン52の位置が使用位置である場合、第1出力でオットマンヒータ33を動作させ、オットマン52の位置が未使用位置である場合、第2出力でオットマンヒータ33を動作させる。
【0125】
これによれば、オットマン52の位置に依らず、座席4に着座したユーザを温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0126】
また、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、制御部14は、移動体の内部空間の温度が所定温度を下回る場合、1以上の回動部用ヒータ3を動作させる。
【0127】
これによれば、移動体の内部空間の温度が高い状況下では1以上の回動部用ヒータ3を動作させずに済むので、不要な電力消費を低減することができ、省エネルギー化を図ることができる、という利点がある。
【0128】
また、実施の形態におけるヒータ制御方法は、移動体の座席4に属する部材であって使用位置と未使用位置との間で回動可能な回動部5に設置される1以上の回動部用ヒータ3を制御するヒータ制御方法である。1以上の回動部用ヒータ3は、少なくとも回動部5が未使用位置にある状態において、発する熱が座席4に着座したユーザへ向かうように設置される。ヒータ制御方法では、回動部5の位置を検知し、回動部5の位置が未使用位置である場合、第1出力及び第1出力よりも大きい第2出力のうち、第2出力で1以上の回動部用ヒータ3のうちの少なくとも1つの回動部用ヒータ3を動作させる。
【0129】
これによれば、回動部5が未使用位置であって、座席4に着座したユーザが回動部用ヒータ3の設置箇所から離れていたとしても、回動部用ヒータ3を比較的大きい出力で動作させることで、回動部用ヒータ3の発する輻射熱によりユーザを温めることができる。したがって、回動部用ヒータ3の設置箇所に対してユーザが姿勢を固定する必要がなく、ユーザが自由な姿勢をとりながらも回動部用ヒータ3によりユーザを十分に温めることができるので、ユーザの快適性を向上することができる、という利点がある。
【0130】
(変形例)
以下、実施の形態におけるヒータ制御システム100の変形例について列挙する。
【0131】
実施の形態では、一対のアームレスト51の各々には、裏面ヒータ31又は側面ヒータ32が1以上の回動部用ヒータ3として設置されていたが、これに限られない。例えば、一対のアームレスト51の各々には、
図11に示すように、裏面ヒータ31及び側面ヒータ32に代えて、傾斜ヒータ34が設置されていてもよい。
図11は、アームレスト51の長手方向断面から見た傾斜ヒータ34の設置例を示す図である。
【0132】
傾斜ヒータ34は、第1例又は第2例の座席4において、一対のアームレスト51の各々におけるユーザと相対する側面(内側面)側に、天面511に対して傾斜するように設置されるヒータである。
図11においては、右側の側面が内側面に相当する。具体的には、傾斜ヒータ34は、アームレスト51の内側面側の部位において、クッション材に相当するパッドと、当該パッドを覆うカバーとの間に設置されている。傾斜ヒータ34は、制御部14によって電力が供給されることで発熱し、座席4に着座したユーザの身体の一部を輻射熱により温める。
【0133】
ここで、傾斜ヒータ34は、一対のアームレスト51が使用位置にある場合、及び未使用位置にある場合のいずれの場合においても、発する熱が座席4に着座したユーザへ向かうように設置されている。このため、制御部14は、一対のアームレスト51の位置に依らず、第2出力で傾斜ヒータ34を動作させれば、傾斜ヒータ34の発する輻射熱により座席4に着座したユーザを温めることができる。例えば、一対のアームレスト51が使用位置にある場合、傾斜ヒータ34は、座席4に着座したユーザの腰を主として温めることができる。また、例えば、一対のアームレスト51が未使用位置にある場合、傾斜ヒータ34は、座席4に着座したユーザの両肩及び両腕の上腕を主として温めることができる。
【0134】
このように、実施の形態におけるヒータ制御システム100では、回動部5は、座席4に着座したユーザの腕を支持するアームレスト51を有する。1以上の回動部用ヒータ3は、アームレスト51において腕が載せ置かれる天面511に対して傾斜し、アームレスト51が未使用位置にある場合においてもユーザと相対するように設置される傾斜ヒータ34を有していてもよい。制御部14は、アームレスト51の位置に依らず、第2出力で傾斜ヒータ34を動作させてもよい。
【0135】
これによれば、アームレスト51の位置に依らず、座席4に着座したユーザを温めることができ、ユーザの快適性を更に向上することができる、という利点がある。
【0136】
なお、
図11に示す例では、一対のアームレスト51の断面は、内側面が天面511に対して傾斜するような形状、つまり傾斜ヒータ34の熱放射面と内側面との間の距離が極力短くなるような形状となっているが、これに限られない。例えば、一対のアームレスト51の断面は、内側面が天面511に対して略垂直となる形状であってもよい。つまり、傾斜ヒータ34をアームレスト51に設置するに当たり、アームレスト51の形状を変更しなくてもよい。
【0137】
また、実施の形態において、オットマン52は、
図12に示すような構造であってもよい。
図12は、オットマン52の他の構造例を示す図である。
図12において、オットマン52は、主部522と、一対の側部523と、で構成されている。主部522には、座席4に着座したユーザの両脚のふくらはぎの底部が載せ置かれる。一対の側部523は、主部522の左右両側において立ち上がっており、座席4に着座したユーザの両脚のふくらはぎの側部を覆う。なお、一対の側部523は、ユーザが座席4に着座した状態において、ユーザの両脚のふくらはぎとは接触しない。
【0138】
そして、
図12に示すオットマン52においては、オットマンヒータ33は、主部522に設置される第1ヒータ331と、一対の側部523にそれぞれ設置される一対の第2ヒータ332と、を有している。第1ヒータ331におけるヒータ線の密度は、一対の第2ヒータ332におけるヒータ線の密度よりも疎になっている。
【0139】
ここで、第1ヒータ331及び一対の第2ヒータ332は、1本のヒータ線により構成されていてもよいし、互いに異なるヒータ線により構成されていてもよい。前者の場合、制御部14は、第1ヒータ331及び一対の第2ヒータ332を構成する1本のヒータ線に電流を供給することで一括して制御する。後者の場合、制御部14は、第1ヒータ331及び一対の第2ヒータ332のそれぞれのヒータ線に個別に電流を供給することで個別に制御する。
【0140】
したがって、
図12に示すオットマンヒータ33は、一対の第2ヒータ332の発する輻射熱によりユーザの両脚のふくらはぎの側部を温めつつ、第1ヒータ331の発する熱により当該ふくらはぎの底部を温めることができる。これにより、
図12に示すオットマンヒータ33では、座席4に着座したユーザの快適性の更なる向上を図ることができる。この構成の場合、オットマン52が未使用位置にあるときに、制御部14は、第1ヒータ331及び第2ヒータ332の両方から輻射熱を発生するように制御してもよい。これにより、オットマン52を未使用の場合でもユーザの両脚のふくらはぎを温めることができるので、ユーザの快適性の更なる向上を図ることができる。
【0141】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本開示は、例えば車両等に装備されている座席等を温めるヒータの制御に利用可能である。
【符号の説明】
【0143】
100 ヒータ制御システム
11 位置検知部
12 着座検知部
13 温度検知部
14 制御部
21 クッションヒータ
22 バックヒータ
23 天面ヒータ
3 回動部用ヒータ
31 裏面ヒータ
32 側面ヒータ
33 オットマンヒータ
331 第1ヒータ
332 第2ヒータ
34 傾斜ヒータ
4 座席
41 シートクッション
42 シートバック
43 ヘッドレスト
5 回動部
51 アームレスト
511 天面
512 裏面
52 オットマン
521 天面
522 主部
523 側部