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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069645
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】水の電気分解装置
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20230511BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20230511BHJP
   C25B 9/63 20210101ALI20230511BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20230511BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C02F1/461 A
C25B9/63
C25B1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181670
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】508364439
【氏名又は名称】小川電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂
【テーマコード(参考)】
4D061
4K021
【Fターム(参考)】
4D061DA01
4D061DB07
4D061EA02
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB14
4D061EB20
4D061EB33
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA02
4K021DA09
4K021DA15
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来にない作用効果を発揮する非常に実用的な水の電気分解装置を提供することを目的とする。
【解決手段】水の電気分解を行う電極部1を具備した水の電気分解装置であって、前記電極部1は、帯状陽極板2と帯状陰極板3が間隔Lを介して立設状態に対設され、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3との間に通電流することで水を電気分解する構成であり、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々は、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々が1枚ずつ立設状態で嵌合される凹部10aが間隔Lを介して並設された絶縁体10で保持される構成のものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の電気分解を行う電極部を具備した水の電気分解装置であって、前記電極部は、帯状陽極板と帯状陰極板が間隔を介して立設状態に対設され、前記帯状陽極板及び前記帯状陰極板との間に通電流することで水を電気分解する構成であり、前記帯状陽極板及び前記帯状陰極板夫々は、前記帯状陽極板及び前記帯状陰極板夫々が1枚ずつ立設状態で嵌合される凹部が間隔を介して並設された絶縁体で保持される構成であることを特徴とする水の電気分解装置。
【請求項2】
請求項1記載の水の電気分解装置において、前記帯状陽極板及び前記帯状陰極板夫々は、板幅方向が上下方向となる状態で前記絶縁体に立設状態で保持される構成であることを特徴とする水の電気分解装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記凹部の深さは前記帯状陽極板及び前記帯状陰極板夫々の板幅よりも浅い深さに設定されていることを特徴とする水の電気分解装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記凹部の深さは前記帯状陽極板及び前記帯状陰極板夫々の板幅の1/2以上2/3以下の範囲内であることを特徴とする水の電気分解装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記絶縁体は平面視方形状の板状体であり、前記凹部は前記絶縁体の長手方向に並設されていることを特徴とする水の電気分解装置。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記絶縁体は合成樹脂製であることを特徴とする水の電気分解装置。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記絶縁体は、前記帯状陽極板及び前記帯状陰極板夫々に対して絶縁性を有する固定用線材を巻回することで固定されていることを特徴とする水の電気分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の電気分解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水を電気分解して水素と酸素を得る装置として、例えば特許文献1に開示される水の電気分解装置(以下、「従来例」という。)が提案されている。
【0003】
この従来例は、水の電気分解を行う電極部を具備し、この電極部は、陽極板(酸素発生電極板)と陰極板(水素発生電極板)が間隔を介して立設状態に対設され、陽極板及び陰極板間に通電流することで水の電気分解が行われる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-50291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例は、電極部にて酸素と水素を良好に発生させる為には、陽極板と陰極板との間隔は、互いに接触しない程度に可及的に狭い間隔に設定する必要がある。そこで、陽極板と陰極板との間には短絡を防ぐ絶縁プレートが設けられているが、これら電極板の数が増えるほど絶縁プレートを間に介して連結する組み立て作業が困難となる。
【0006】
本発明は、前述した問題点を解消するもので、従来にない作用効果を発揮する非常に実用的な水の電気分解装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
水の電気分解を行う電極部1を具備した水の電気分解装置であって、前記電極部1は、帯状陽極板2と帯状陰極板3が間隔Lを介して立設状態に対設され、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3との間に通電流することで水を電気分解する構成であり、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々は、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々が1枚ずつ立設状態で嵌合される凹部10aが間隔Lを介して並設された絶縁体10で保持される構成であることを特徴とする水の電気分解装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の水の電気分解装置において、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々は、板幅方向が上下方向となる状態で前記絶縁体10に立設状態で保持される構成であることを特徴とする水の電気分解装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記凹部10aの深さHは前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々の板幅Tよりも浅い深さに設定されていることを特徴とする水の電気分解装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記凹部10aの深さHは前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々の板幅Tの1/2以上2/3以下の範囲内であることを特徴とする水の電気分解装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記絶縁体10は平面視方形状の板状体であり、前記凹部10aは前記絶縁体10の長手方向に並設されていることを特徴とする水の電気分解装置に係るものである。
【0013】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記絶縁体10は合成樹脂製であることを特徴とする水の電気分解装置に係るものである。
【0014】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の水の電気分解装置において、前記絶縁体10は、前記帯状陽極板2及び前記帯状陰極板3夫々に対して絶縁性を有する固定用線材11を巻回することで固定されていることを特徴とする水の電気分解装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、良好に水を電気分解する構造が簡易且つ確実に得られるなど、従来にない画期的な水の電気分解装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例の要部を説明する斜視図である。
図3】本実施例の要部を説明する分解斜視図である。
図4】本実施例の要部を説明する正面図である。
図5】本実施例の要部を説明する断面図である。
図6】本実施例の要部を説明する断面図である。
図7】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
電極部1を水中に配し、電極部1を構成する帯状陽極板2及び帯状陰極板3間に通電流すると、水が電気分解される。
【0019】
即ち、帯状陽極板2と帯状陰極板3とは間隔Lを介して立設状態に対設されており、帯状陽極板2及び帯状陰極板3間に通電流すると、帯状陽極部2には酸素が発生し、帯状陰極板3には水素が発生する。
【0020】
ところで、これら帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々は絶縁体10で保持される。
【0021】
具体的には、この絶縁体10は、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々が1枚ずつ立設状態で嵌合される凹部10aが間隔Lを介して並設されており、この絶縁体10の凹部10aに帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々を1枚ずつ嵌合配設するだけで、この帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々は適正な間隔Lを介した状態で確実に保持される。
【0022】
従って、本発明は、良好に水を電気分解する構造が簡易且つ確実に得られることになる。
【実施例0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、水の電気分解を行う電極部1を具備した水の電気分解装置Sであって、電極部1は、帯状陽極板2と帯状陰極板3が間隔Lを介して立設状態に対設され、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々に電圧を印加し、帯状陽極板2及び帯状陰極板3間に通電流することで水を電気分解するように構成したものである。
【0025】
具体的には、電極部1は、図1~4に図示したように適宜な導電性を有する金属製の部材(ステンレス)で形成された所定長を有する帯状の複数の電極板で構成されており、これら電極板のうち、電気回路50を構成する正極側導体50aを介して直流電源51(バッテリー)のプラス極(正極)に電極基端部2bが連設される電極板は帯状陽極板2として機能し、負極側導体50bを介して電源51(バッテリー)のマイナス極(負極)に電極基端部3bが連設される電極板は帯状陰極板3として機能する。
【0026】
また、この帯状の電極板(帯状陽極板2及び帯状陰極板3)は、電極基端部2b,3bと、この電極基端部2b,3bの先端側に連設され該電極基端部2b,3bよりも狭い板幅の水電気分解作用部2a,3aと、この水電気分解作用部2a,3aの先端側に連設され該水電気分解作用部2a,3aよりも広い板幅の電極先端部2c,3cを有する構成である。尚、電極基端部2b,3bと電極先端部2c,3cは同じ板幅であり、電極基端部2b,3bと水電気分解作用部2a,3aと電極先端部2c,3cは同じ板厚である。符号2b’,3b’,2c’,3c’は後述する連結部材(ボルト・ナット)を挿入連結するための連結孔である。
【0027】
また、この帯状陽極板2と帯状陰極板3とが水平方向に隣接対向状態となるように交互に並設されている。
【0028】
具体的には、図3に図示したように複数の帯状陽極板2の電極基端部2b同士間に導電スペーサー4を配した状態で正極側導体50aが連設される連結部材5(ボルト5a・ナット5b)を挿通止着することにより電気的接続して櫛歯状の陽極部が形成され、一方、複数の帯状陰極板3の電極基端部3b間に導電スペーサー4を配した状態で負極側導体50bが連設される連結部材5(ボルト5a・ナット5b)を挿通止着することにより電気的接続して櫛歯状の陰極部が形成され、図5に図示したようにこの陽極部と陰極部とが互いに触れない突き合わせ挿入させた状態において、隣接する電極基端部2b,3bと電極先端部2c,3cとの間に絶縁スペーサー6を配した状態で連結部材7(ボルト7a・ナット7b)が挿通止着される。
【0029】
また、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々は、水電気分解作用部2a,3aの中央部分において絶縁状態で連結されている。
【0030】
具体的には、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々は、この帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々が1枚ずつ長手方向が水平方向となるように横向き立設状態で嵌合される凹部10aが間隔Lを介して並設された櫛歯形状の絶縁体10で保持される構成である。
【0031】
この絶縁体10は、図1,2,6に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成された平面視長方形状の板状体であり、この絶縁体10の上面には水電気分解作用部2a,3aの板厚程度の幅を有する凹部10aが該絶縁体10の長手方向に間隔Lを介して多数並設されている。
【0032】
従って、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々は、板幅方向が上下方向(板厚方向が水平方向)となる横向き状態で絶縁体10に立設状態で保持される。
【0033】
また、絶縁体10の凹部10aの深さHは、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々の板幅Tよりも浅い深さに設定されており、具体的には、凹部10aの深さHは帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々の板幅Tの1/2以上2/3以下の範囲内が適しており、本実施例では、約1/2に設定されている。
【0034】
また、本実施例は、絶縁体10は、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々に対して絶縁性を有する固定用線材11を巻回することで固定されている。
【0035】
この固定用線材11は、図2に図示したように適宜な非導電性の合成樹脂製の部材で形成されたバンド形状体であり、バンド挿通孔内にバンド係止部が設けられるロック部11aと、このロック部11aから延設され、該ロック部11aのバンド挿通孔内でバンド係止部に係止する係合部が長手方向に並設されたバンド部11bとから成る結束バンドである。
【0036】
本実施例では、この固定用線材11を一対用意し、絶縁体10の凹部10aに水電気分解作用部2a,3aを嵌合された帯状陽極板2及び帯状陰極板3に、バンド部11bをX字状に交差巻回させた状態でロック部11aにバンド部11bを連結することで、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々に対して絶縁体10を固定している。
【0037】
本実施例は上述のように構成したから、電極部1を水W中に配し、電極部1を構成する帯状陽極板2及び帯状陰極板3間に通電流すると、水Wが電気分解される。
【0038】
即ち、帯状陽極板2と帯状陰極板3とは間隔Lを介して立設状態に対設されており、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々に電圧を印加し、帯状陽極板2及び帯状陰極板3間に通電流すると、帯状陽極部2には酸素が発生し、帯状陰極板3には水素が発生する(図7参照)。
【0039】
ところで、これら帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々は絶縁体10で保持される。
【0040】
具体的には、この絶縁体10は、帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々が1枚ずつ立設状態で嵌合される凹部10aが間隔Lを介して並設されており、この絶縁体10の凹部10aに帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々を1枚ずつ嵌合配設するだけで、この帯状陽極板2及び帯状陰極板3夫々は適正な間隔Lで保持される。
【0041】
従って、本実施例は、良好に水を電気分解する構造が簡易且つ確実に得られることになる。
【0042】
また、この水の電気分解装置Sから発生する酸素を、この酸素とともに水W中に発生する水素及びイオンと適宜な手段で分離して取り出し、この取り出した酸素だけを水棲生物(例えば魚)を育成する環境に付与することが考えられる。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0044】
L 間隔
H 深さ
T 板幅
1 電極部
2 帯状陽極板
3 帯状陰極板
10 絶縁体
10a 凹部
11 固定用線材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7