(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069675
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/60 20100101AFI20230511BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230511BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230511BHJP
【FI】
H01L33/60
F21S2/00 310
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181729
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【弁理士】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 敏伸
(72)【発明者】
【氏名】栗城 新吾
(72)【発明者】
【氏名】荻原 健
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA13
5F142BA02
5F142BA32
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE03
5F142CE06
5F142CE13
5F142CE16
5F142CE17
5F142CE32
5F142GA21
5F142GA31
5F142HA03
(57)【要約】
【課題】照射領域の照度を均一化させることを可能とする発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置は、開口部の外側近傍に照射領域を形成するための発光装置であって、長方形の基板と、基板に配置された発光素子と、基板の長手方向に延伸して発光素子を挟んで対向する一対の第1反射面、および基板の短手方向に延伸して発光素子を挟んで対向する一対の第2反射面により発光素子を囲み、かつ、発光素子からの光を外部に出射する開口部の外縁を形成する反射枠と、第1反射面から発光素子の中央に向かって突出する突出部と、を有し、第1反射面は、基板から開口部に向かって広がるように傾斜し、かつ、基板の側に凸の曲面を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の外側近傍に照射領域を形成するための発光装置であって、
長方形の基板と、
前記基板に配置された発光素子と、
前記基板の長手方向に延伸して前記発光素子を挟んで対向する一対の第1反射面、および前記基板の短手方向に延伸して前記発光素子を挟んで対向する一対の第2反射面により前記発光素子を囲み、かつ、前記発光素子からの光を外部に出射する前記開口部の外縁を形成する反射枠と、
前記第1反射面から前記発光素子の中央に向かって突出する突出部と、を有し、
前記第1反射面は、前記基板から前記開口部に向かって広がるように傾斜し、かつ、前記基板の側に凸の曲面を有する、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第2反射面は、前記基板から前記開口部に向かって広がるように傾斜し、かつ、前記開口部の側に凸の放物線状の断面形状を有する、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記基板に平行な三角形状の上面と、前記基板に垂直な側面とを有する、
請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記突出部の上面の前記発光素子に対向する頂点は、前記発光素子と前記第1反射面の上端とを結ぶ線分上、または当該線分から下方に0.5mm以内の範囲に位置する、
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1反射面から上方に延出した形状を有する、
請求項1-4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2反射面の下端部と前記基板とがなす角の角度は、40度以上50度以下である、
請求項1-5のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子としてLED(Light Emitting Diode)を用いた発光装置が知られている。このような発光装置においては、発光素子から出射された光を金属等の反射板(リフレクタ)により所望の照射方向に反射させることにより、照射方向における輝度を向上させることがなされている。
【0003】
このような発光装置においては、輝度の向上だけではなく、照射面における輝度むらを低減させることも求められている。特許文献1には、発光装置の反射面を発光素子に向かって突出させることにより、輝度むらを低減させる発光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような発光装置において、照射領域における照度をさらに均一化させることが求められている。特に、発光素子として紫外光を出射するLEDを用いた殺菌用途の発光装置においては、所望の殺菌効果を得るため、照射領域が発光装置に近い場合でも十分に照度を均一化させることが求められている。
【0006】
本発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、照射領域における照度を均一化させることを可能とする発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、開口部の外側近傍に照射領域を形成するための発光装置であって、長方形の基板と、基板に配置された発光素子と、基板の長手方向に延伸して発光素子を挟んで対向する一対の第1反射面、および基板の短手方向に延伸して発光素子を挟んで対向する一対の第2反射面により発光素子を囲み、かつ、発光素子からの光を外部に出射する開口部の外縁を形成する反射枠と、第1反射面から発光素子の中央に向かって突出する突出部と、を有し、第1反射面は、基板から開口部に向かって広がるように傾斜し、かつ、基板の側に凸の曲面を有する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る発光装置において、第2反射面は、前記基板から前記開口部に向かって広がるように傾斜し、かつ、開口部の側に凸の放物線状の断面形状を有する、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る発光装置において、突出部は、基板に平行な三角形状の上面と、基板に垂直な側面とを有する、ことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る発光装置において、突出部の上面の発光素子に対向する頂点は、発光素子と第1反射面の上端とを結ぶ線分上、または線分から下方に0.5mm以内の範囲に位置する、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る発光装置において、突出部は、第1反射面から上方に延出した形状を有する、ことが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る発光装置において、第2反射面の下端部と基板とがなす角の角度は、40度以上50度以下である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る発光装置は、照射領域における照度を均一化させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図7】実施例および比較例の照度分布を示す図である。
【
図8】実施例および比較例の照度分布画像を示す図である。
【
図9】実施例および比較例の照度分布画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
図1は、実施形態に係る発光装置1の平面図であり、
図2は、
図1のII-II断面における発光装置1の断面図であり、
図3は、
図1のIII-III断面における発光装置1の断面図である。なお、
図2および
図3においては、断面から奥に見える構成が破線により図示されている。発光装置1は、基板11と、配線パターン12と、電極13と、発光素子14と、反射枠15と、突出部16とを有する。
【0017】
基板11は、絶縁性のセラミック又は樹脂により形成される矩形の平板状の部材である。セラミックとしては、窒化アルミ、酸化アルミ(アルミナ)又はLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)等が用いられる。樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等が用いられる。基板11には、上下を貫通する二つの貫通孔111が形成される。
【0018】
配線パターン12は、いずれも導電性の第1配線121および第2配線122を有する。第1配線121および第2配線122は、相互に離間して、かつ、二つの貫通孔111の上部をそれぞれ被覆するように、基板11の上面に配置される。配線パターン12は、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等により形成されるが、発光素子14からの光を反射しやすい銀、アルミニウム等で表面を形成することが好ましい。
【0019】
電極13は、いずれも導電性の第1電極131および第2電極132を有する。第1電極131および第2電極132は、相互に離間して、かつ、二つの貫通孔111の下部をそれぞれ被覆するように、基板11の下面に配置される。第1電極131は、貫通孔111を介して第1配線121と電気的に接続される。第2電極132は、貫通孔111を介して第2配線122と電気的に接続される。
【0020】
発光素子14は、LEDである。発光素子14の下面には、アノード電極及びカソード電極が配置される。発光素子14は、アノード電極およびカソード電極が第1配線121および第2配線122とそれぞれ接合されるように、基板11に配置される。発光素子14は、アノード電極およびカソード電極、第1配線121および第2配線122を介して、電極13に接続された外部電源から電流を供給されることにより、200nm-380nmの波長帯の紫外光を出射する。
【0021】
反射枠15は、発光素子14から出射された紫外光を上方に反射するための部材であり、絶縁性のセラミック又は樹脂により形成される。反射枠15は、基板11の長手方向に延伸し、発光素子14を挟んで対向する一対の第1反射面151と、基板11の短手方向に延伸し、発光素子14を挟んで対向する一対の第2反射面152とにより、発光素子14を囲むように基板11に配置される。また、反射枠15は、第1反射面151および第2反射面152により、開口部Sの外縁を形成する。開口部Sは、
図2および
図3において破線で図示されるように、第1反射面151および第2反射面152の上端により形成される矩形の内側をいう。
【0022】
第1反射面151および第2反射面152は、上方に向かって広がるように(すなわち、上方に向かうに伴って発光素子14から離間する方向に)傾斜する。
図2に示すように、第1反射面151は、基板11の側に凸の曲面である。好ましくは、第1反射面151は、基板11の側に凸の放物線状の断面形状を有する。
図3に示すように、第2反射面152は、上方に凸の曲面である。好ましくは、第2反射面152は、上方に凸の放物線状の断面形状を有する。なお、第2反射面152は、上方に向かって広がるように傾斜する平面であってもよい。
【0023】
突出部16は、一対の第1反射面151のそれぞれに形成される、発光素子14の中央に向かって突出する部材である。突出部16は、基板11に平行な三角形状の上面161と、基板11に垂直な側面162とを有し、三角柱の下部が第1反射面151に埋め込まれたような形状を有する。突出部16が上述した形状を有することにより、側面162は、発光素子14から出射された光を第2反射面152の方向に反射させるように、発光素子14に対して傾斜して配置される。また、突出部16は平面視したときに上面161の発光素子14に対向する頂点163が第1反射面151の下端部と重なるような位置に形成される。すなわち、突出部16は、基板11からではなく第1反射面151から上方に延出した形状を有し、突出部16の下端部は、全周が第1反射面151に接続する。また、突出部16は、第2反射面152とは離間して形成される。なお、
図2では突出部16は第1反射面151と別体として図示されているが、一体として形成されてもよい。
【0024】
第1反射面151、第2反射面152および突出部16の表面は、銀又はアルミニウム等による膜が形成される。これにより、反射枠15の紫外光に対する反射率が向上する。
【0025】
発光素子14から出射された光は、直接に、または反射枠15、突出部16若しくは配線パターン12等により反射され、開口部Sから出射され、発光装置1の上方の照射領域Tに到達する。一般に、
図2及び
図3に一点鎖線で示すように、開口部Sの直上に加えて、反射枠15の直上を含む領域が照射領域Tとして設定される。そして、発光装置1においては、そのような照射領域Tにおける照度を均一化させることが求められている。
【0026】
図4-
図6は、発光素子14から出射された光の経路を説明するための発光装置1の模式図である。
図4は
図1に、
図5は
図2に、
図6は
図3にそれぞれ対応する図であるが、見やすさのため、一部の構成の図示が省略されている。
【0027】
図4において破線で図示される、発光素子14から突出部16の側面162に向かって出射された光L1(L1a、L1bおよびL1c)は、側面162で反射される。側面162の頂部163に近い部分で反射される光L1aは、第2反射面152の短手方向の端部のうち、発光素子14を挟んで、反射点である側面162と反対側の端部で上方に反射されて照射領域Tに到達する。側面162の中央付近で反射される光L1bは、第2反射面152の中央付近で上方に反射されて照射領域Tに到達する。側面162の第1反射面151に近い部分で反射される光L1cは、第2反射面152の短手方向の端部のうち、発光素子14に対して、反射点である側面162と同じ側の端部で上方に反射されて照射領域Tに到達する。このように、発光素子14から側面162に向かう光L1a、L1bおよびL1cは、第2反射面152の全体に分散されるため、長手方向の端部の照度を均一に増加させる。
【0028】
一般に、反射枠(リフレクタ)を用いた発光装置においては、発光素子が配置されている位置に対応する照射領域Tの中央部の照度が大きくなり、照射領域Tの端部の照度が小さくなる。したがって、照射領域Tにおける照度を均一化させるためには、照射領域Tの端部の照度を増加させる必要がある。また、照射領域Tが矩形状である場合には、照射領域Tの長手方向の端部の照度が特に小さくなるため、長手方向の端部の照度を増加させることが照度を均一化させるために重要である。
【0029】
発光装置1は、発光素子14の方向に向かって突出する突出部16と、上方に向かって反射枠の内周が広がるように傾斜する第2反射面152とを有する。これにより、発光素子14から長手方向の中央部に向かって出射された光L1が長手方向の端部から出射され、照射領域Tの長手方向の端部に到達するようになるため、照度が均一化される。
【0030】
なお、光L1は、側面162および第2反射面152でそれぞれ反射されるものとしたが、光L1の発光素子14からの出射角度が大きい場合には、これらの光は第2反射面152で反射されることなく直接に照射領域Tに到達する。これらの光は、第2反射面152で反射されることにより減衰することがないため、長手方向の端部における照度をより増加させ、照射領域Tの照度を均一化させる。
【0031】
図4において一点鎖線で図示される、発光素子14から第1反射面151に向かって出射された光L2(L2a、L2b)は、突出部16に接触することなく第1反射面151で上方に反射され、照射領域Tに到達する。このとき、発光装置1において、突出部16が第2反射面152と離間していることにより、発光素子14から長手方向の端部に向かって出射された光L2aは、突出部16において反射されることはない。光L2aは、第1反射面151が基板11の側に凸の曲面であることにより、第1反射面151で1回反射されて照射領域Tの長手方向の端部に到達する。これにより、長手方向の端部に向かって出射された光が受ける反射減衰の影響が最小限となるため、照射領域Tの長手方向の端部の照度が増加して、照度が均一化される。
【0032】
また、発光装置1において、第1反射面151は上方に広がるように傾斜し、かつ、突出部16は、平面視したときに頂点163が第1反射面151の下端部と重なるように位置する。これにより、突出部16は第1反射面151から上方に延出した形状を有し、第1反射面151は突出部16よりも発光素子14の側に回り込んだ領域U(
図4においてハッチングで図示)を有する。第1反射面151が領域Uを有することにより、発光素子14から略短手方向に出射された光のうち、水平方向に出射された光L2bが、第1反射面151の領域Uで上方に反射され、照射領域Tの短手方向の端部にそのまま到達する。
【0033】
仮に、第1反射面151が基板11に対して垂直であり、領域Uが存在しないとすると、発光素子14から略短手方向に出射された光は、すべてが光L1のように突出部16で反射され、第2反射面152に向かうこととなる。この場合、突出部16の上方に相当する、照射領域Tの長手方向の中央部、かつ短手方向の端部の照度が著しく減少し、照度の均一性が低下する。第1反射面151が領域Uを有することにより、発光素子14から略短手方向に出射された光が、光L1のように長手方向の端部に向かう光と、光L2bのように長手方向の中央部、かつ短手方向の端部に向かう光とに分散され、照度が均一化される。
【0034】
図4において二点鎖線で図示される、発光素子14から第2反射面152に向かって出射された光L3は、第2反射面152で上方に反射されて、発光装置1の外部に出射される。すなわち、発光装置1において、第2反射面152が上方に向かって広がるように傾斜することにより、光L3は第2反射面152で1回反射されて照射領域Tに到達する。これにより、長手方向の端部に向かって出射された光が受ける反射減衰の影響が最小限となるため、照射領域Tの長手方向の端部の照度が増加して、照度が均一化される。
【0035】
図5においては、発光素子14から第1反射面151に向かって出射された光L2の経路が破線で図示されている。発光装置1において、第1反射面151が基板11の側に凸の曲面であることにより、反射後の光L2は、基板11に垂直な方向に反射されやすくなる。すなわち、反射後の光L2は、第1反射面151の上方である、照射領域Tの短手方向の端部に集光される。したがって、照射領域Tの短手方向の端部の照度が増加して照度が均一化される。また、第1反射面151が基板11の側に凸の放物線状の断面形状を有する場合には、光L2は基板11に垂直な方向に特に反射されやすくなる。
【0036】
また、突出部16の側面162の、上端における短手方向の幅X1に対する、発光素子14の上面の高さにおける短手方向の幅X2の比は0.5以下であり、好ましくは0.25以下である。幅X1と幅X2との比がこのようになるような傾斜を第1反射面151が有することにより、光L2が基板11に垂直な方向に特に反射されやすくなる。
【0037】
また、
図5に示すように、突出部16の上面の発光素子14に対向する頂点163は、発光素子14と第1反射面151の上端とを結ぶ線分A上に位置する。線分Aは、例えば、発光素子14の上面の、第1反射面151から遠い辺141と第1反射面151の上端とを結ぶ線分である。これにより、発光素子14から線分Aよりも上方に出射された光は、突出部16によって反射されることなく発光装置1の外部に出射される。そして、発光素子14から線分Aよりも下方に出射され、突出部16がなかったとすれば、第1反射面151で反射され、長手方向の中央部から出射されていたはずの光が突出部16の側面162で反射され、長手方向の端部から出射される。すなわち、発光装置1において、突出部16の上面161の発光素子14に対向する頂点が線分A上に位置することにより、反射減衰を受けない光がそのまま上方に出射されるとともに、反射減衰を受ける光がすべて長手方向の端部から出射されることとなる。発光素子14から出射された光は、突出部16の側面162または第1反射面151で反射されることによって、他の反射面に向かうことなく、発光装置1の外部に出射される。これにより、照射領域Tの中央部の照度の減少を最小限としながら照度が均一化される。
【0038】
なお、突出部16の頂点163は、線分Aよりも下方に位置してもよい。この場合も、発光面の中央部の照度の減少を最小限としながら照度が均一化される。ただし、頂点163が線分A上に位置することにより、突出部16がなかったとすれば第1反射面151で反射されていたはずの光がすべて突出部16の側面162で反射されるようになるため、最も照度が均一化される。なお、突出部16の頂点163は、第1反射面151から離間している。
【0039】
図6においては、発光素子14から第2反射面152に向かって出射された光L3の経路が破線で図示されている。発光装置1において、第2反射面152が上方に凸の曲面であることにより、出射角度(光の進行方向の基板11に対する角度をいう。)の低い光L3aは、第1反射面151で基板11に対して垂直な方向に反射されやすくなる。また、出射角度の高い光L3bは、第1反射面151で発光素子14から離間する方向に反射されやすくなる。したがって、光L3bは、照射領域Tのうち、開口部Sの直上よりも外側の領域に到達しやすくなり、照射領域Tの長手方向の端部における照度が増加する。なお、光L3aを基板11に対して垂直な方向に反射させやすくするため、第2反射面152の下端部と基板11とがなす角の角度θは、40度以上50度以下であることが好ましく、45度であることがより好ましい。
【0040】
以上説明したように、発光装置1は、基板11に配置された発光素子と、第1反射面151および第2反射面152により発光素子14を囲む反射枠15と、を有する。また、第1反射面151および第2反射面152は、上方に向かって反射枠の内周が広がるように傾斜し、第1反射面151には、発光素子の中央に向かって突出する突出部16が形成される。これにより、発光装置1は、照度を均一化することを可能とする。
【0041】
上述した説明では、発光素子14は紫外光を出射するLEDであるものとしたが、このような例に限られない。発光素子14は、可視光又は赤外光等を出射するLEDであってもよい。
【0042】
上述した説明では、突出部16は、平面視したときに上面162の発光素子14に対向する頂点163が第1反射面151の下端部と重なるように位置するものとしたが、このような例に限られない。突出部16の頂点163は、第1反射面151の下端部よりも発光素子14の側に位置してもよい。すなわち、突出部16は、一部が第1反射面151から、残部が基板11から上方に延出した形状を有してもよい。また、突出部16の頂点163は、第1反射面151の下端部よりも発光素子14から遠い側に位置してもよい。
【0043】
上述した説明では、突出部16は、三角柱の下部が第1反射面151に埋め込まれたような形状を有するものとしたが、このような例に限られない。突出部162は、側面162が発光素子14からの光を第2反射面152の方向に反射するように発光素子14に対して傾斜して配置されるような他の形状を有してもよい。例えば、上面161は、三角形ではなく、台形や五角形等の形状であってもよい。
【0044】
また、突出部16の側面162は、基板11に垂直であり、かつ第1反射面151の側に凸の湾曲面であってもよい。このようにすることで、側面162が平面の場合と比較して、発光素子14から側面162で反射されるまでの光路長が長くなるため、発光素子14から水平方向より上方に出射された光の反射点の位置が高くなる。したがって、側面162で反射された後に第2反射面152でさらに反射されて照射領域Tに到達する光の割合が小さくなり、側面162で反射された後に直接に照射領域Tに到達する光の割合が大きくなる。側面162で反射された後に直接に照射領域Tに到達する光は、反射による減衰の影響を一度しか受けないため、このような光の割合が大きくなることにより、発光装置1の全体としての光の取出し効率が向上する。
【0045】
上述した説明では、発光装置1は一つの発光素子14および反射枠15を有するものとしたが、このような例に限られない。発光装置1は、長手方向又は短手方向に複数の反射枠15が連結され、各反射枠15に発光素子14が囲まれる線状発光装置または面状発光装置であってもよい。発光装置1の照射領域Tは、開口部Sの上方に加えて反射枠15の上方を含むため、複数の反射枠15が連結されたとしても、連結部分の上方の照度が低下することはない。すなわち、発光装置1は、上述したような構成を有することにより、線状発光装置または面状発光装置として利用される場合でも、照度を均一化することができる。
【0046】
以下では、発光装置1の照度分布をシミュレーションにより計算した結果について説明する。
【0047】
まず、突出部16の有無による照度分布の変化を確かめるために、実施例1および比較例1を用意した。実施例1は、第1反射面151が基板11の側に凸の放物線状の断面形状を有し、第2反射面152が開口部Sの側に凸の放物線状の断面形状を有し、かつ、突出部16の上面161の発光素子14に対向する頂点163が、発光素子14と第1反射面151の上端とを結ぶ線分A上に位置する発光装置とした。比較例1は、実施例1と同じ形状の第1反射面151および第2反射面152を有するが、突出部16を有しない発光装置とした。また、シミュレーションにおいて、発光素子14から出射された光は、鉛直上方を光軸とするランバーシアン配光分布を有するものとした。
【0048】
図7は、実施例1および比較例1の、照射領域Tの長手方向における照度分布を示す図である。
図7のグラフの横軸は発光素子14からの距離Dであり、縦軸は長手方向の中央から距離Dの位置における光の照度Eである。破線で示す比較例1においては、発光素子の鉛直上方である中央部における放射強度が最も大きく、端部に向かって放射強度が単調に小さくなっている。これに対し、実線で示す実施例1においては、中央部から端部にわたって放射強度が一定の範囲に保たれている。また、実施例1の端部における放射強度は比較例1の端部における放射強度よりも大きい。したがって、発光装置1が突出部16を有することにより、突出部16を有しない場合と比較して照射領域Tの長手方向の端部における放射強度が増加し、照射領域Tの照度が均一化されているといえる。
【0049】
次に、第1反射面151および第2反射面152の形状による照度分布の変化を確かめるために、実施例2および比較例2をさらに用意した。実施例2は、実施例1を、第2反射面152が基板11の側に凸の放物線の断面形状を有するように変更した発光装置とした。比較例2は、実施例1を、第1反射面151が開口部Sの側に凸の放物線状の断面形状を有するように変更した発光装置とした。
【0050】
図8は、実施例1、実施例2および比較例2の照度分布画像を示す図である。
図8の画像は、照射領域Tを平面視したときの照度の大きさをヒートマップにより示したものであり、白色に近い部分の照度が大きく、黒色に近い部分の照度が小さいことを示す。
図8のヒートマップにおいて、照射領域Tは実施例および比較例の反射枠の上面に近接している、上面から3.0mmの位置に設定した。また、
図8に示す均一性は、ヒートマップにおける各点の照度のうち、最大の照度に対する最小の照度の比をパーセント表示したものである。
【0051】
図8に示すように、比較例2の照度分布は、実施例1および2の照度分布と比較してむらがあり、均一性も小さかった。これは、第1反射面151を上方に凸の曲面とすることにより突出部16の側面162の面積が小さくなり、突出部16で反射されて長手方向の端部で出射される光の割合が小さくなったためと考えられる。
【0052】
これに対し、実施例1および2は、80%以上という高い均一性を有しており、照度が均一化されているといえる。しかしながら、実施例2の照度分布は、実施例1の照度分布と比較して、第2反射面152の下端部に相当する、長手方向の端部と中央部の中間付近の位置における照度が小さく、均一性がわずかに小さかった。これは、第2反射面152を下方に凸の曲面とすることにより第2反射面152の下端部の傾斜が小さくなり、下端部で反射された光が基板11に垂直な方向に反射されにくくなったためと考えられる。
【0053】
したがって、発光装置1において、第1反射面151が基板11の側に凸の放物線状の断面形状を有することにより、照射領域Tの照度が均一化されるといえる。さらに、第2反射面152が開口部Sの側に凸の放物線状の断面形状を有することにより、照射領域Tの照度がより均一化されるといえる。
【0054】
次に、突出部16の上面161の発光素子14に対向する頂点163の位置による照度分布の変化を確かめるために、実施例3および比較例3を準備した。実施例3は、実施例1において、頂点163が発光素子14と第1反射面151の上端とを結ぶ線分Aよりも下方に0.5mmの位置となるように、突出部16の上面161を低くした発光装置とした。比較例3は、実施例1において、頂点163が発光素子14と第1反射面151の上端とを結ぶ線分Aよりも上方に1.0mmの位置となるように、突出部16の上面161を高くした発光装置とした。なお、実施例1において、頂点163の基板11に対する高さは7.0mmであった。
【0055】
図9は、実施例1、実施例3および比較例3の照度分布画像を示す図である。
図9に示すように、比較例3の照度分布は、実施例1および3の照度分布と比較して、短手方向の端部における照度が小さく、均一性も小さかった。これは、突出部16の上面を上方にしたことにより、発光素子14から短手方向に向かって出射され、照射領域Tに直接到達するはずだった光が、突出部16で反射され、第2反射面152に向かったためと考えられる。
【0056】
これに対し、実施例1および3は、80%以上という高い均一性を有していた。しかしながら、実施例3の照度分布は、実施例1の照度分布と比較して、長手方向の端部、および、第2反射面152の下端部に相当する、長手方向の端部と中央部の中間付近の位置におけるにおける照度が小さく、均一性も小さかった。これは、突出部16の上面を下方にしたことにより突出部16の側面162の面積が小さくなり、突出部16で反射されて長手方向の端部で出射される光の割合が小さくなったためと考えられる。
【0057】
したがって、発光装置1において、突出部16の上面161の発光素子14に対向する頂点163が発光素子14と第1反射面151の上端とを結ぶ線分A上、または線分Aよりも下方に位置することにより、照射領域Tの照度が均一化されるといえる。頂点163が線分Aから下方に0.5mm以内の範囲に位置するときに、概ね80パーセント以上の均一性が得られた。したがって、頂点163が線分A上、または線分Aから下方に0.5mm以内の範囲に位置することにより、照射領域Tの照度が良好に均一化されるといえる。
【0058】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 発光装置
11 基板
14 発光素子
15 反射枠
151 第1反射面
152 第2反射面
16 突出部
161 上面
162 側面