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特開2023-69676センサホルダおよびこれを備えたセンサユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069676
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】センサホルダおよびこれを備えたセンサユニット
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20230511BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
C12M1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181731
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 将之
(72)【発明者】
【氏名】高下 雅博
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA07
4B029BB01
4B029FA02
4B029FA10
4B029GA06
4B029GB01
4B029GB02
4B029GB03
(57)【要約】
【課題】培養測定装置におけるコンタミネーションを低減し、培養環境を向上させることが可能なセンサホルダおよびこれを備えたセンサユニットを提供する。
【解決手段】センサホルダ10は、ベース12と、センサ部11と、ケーブル16とを備えている。ベース12は、培養容器20が載置される。センサ部11は、ベース12に取り付けられており培養容器20がベース12上に載置された状態で培養容器20に形成された貫通孔23を介して培地Lに接触するセンサ反応部11aと、センサ反応部11aと電気的に接続されたセンサ電極部11bと、センサ反応部11aとセンサ電極部11bとを連結する連結部11cと、を有する。ケーブル16は、培養容器20の外側においてセンサ部11と電気的に接続され、培地Lの成分を測定する測定装置に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を培養する培地の成分を測定するために培養容器に取り付けられるセンサホルダであって、
前記培養容器が載置されるベースと、
前記ベースに取り付けられており、前記培養容器が前記ベース上に載置された状態で、前記培養容器に形成された貫通孔を介して前記培地に接触するセンサ反応部と、前記センサ反応部と電気的に接続されたセンサ電極部と、前記センサ反応部と前記センサ電極部とを連結する連結部と、を有するセンサ部と、
前記培養容器の外側において前記センサ部と電気的に接続され、前記培地の成分を測定する測定装置に接続される配線と、
を備えているセンサホルダ。
【請求項2】
前記連結部は、略直角に折り曲げられた状態で、前記センサ反応部と前記センサ電極部とを連結する、
請求項1に記載のセンサホルダ。
【請求項3】
前記ベースに対して取り付けられ、前記センサ反応部を露出させる貫通穴と前記培養容器が載置される上面とを有するカバーと、をさらに備えている、
請求項1または2に記載のセンサホルダ。
【請求項4】
前記培養容器の底面と前記カバーの前記上面との間に設けられており、前記培地の漏れを封止する第1封止部材をさらに備えている、
請求項3に記載のセンサホルダ。
【請求項5】
前記第1封止部材は、前記カバーの前記上面側において、前記カバーの貫通穴を取り囲むように配置されている、
請求項4に記載のセンサホルダ。
【請求項6】
前記第1封止部材は、接着材料または熱溶着によって、前記カバーの前記上面に取り付けられている、
請求項4または5に記載のセンサホルダ。
【請求項7】
前記カバーは、前記上面の反対側の底面をさらに有し、
前記カバーの前記底面と前記センサ部の上面との間に設けられており、前記培地の漏れを封止する第2封止部材をさらに備えている、
請求項3から6のいずれか1項に記載のセンサホルダ。
【請求項8】
前記第2封止部材は、前記カバーの底面側において、前記センサ反応部の周囲を覆うように取り付けられている、
請求項7に記載のセンサホルダ。
【請求項9】
前記第2封止部材は、接着材料または熱溶着によって前記センサ部の上面に取り付けられている、
請求項7または8に記載のセンサホルダ。
【請求項10】
前記培養容器は、前記貫通孔が形成された底面を有している、
請求項1から9のいずれか1項に記載のセンサホルダ。
【請求項11】
前記ベースは、前記センサ部が取り付けられる凹部を有している、
請求項1から10のいずれか1項に記載のセンサホルダ。
【請求項12】
前記凹部は、前記センサ反応部に対して前記連結部を介して略直角に折り曲げられた前記センサ電極部を、前記ベースの側面において支持する、
請求項11に記載のセンサホルダ。
【請求項13】
前記凹部は、前記ベースの角の部分において前記連結部を支持する、
請求項11または12に記載のセンサホルダ。
【請求項14】
前記凹部は、前記ベースの角の部分に曲面を有している、
請求項13に記載のセンサホルダ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載のセンサホルダと、
前記センサホルダの上に載置された状態で前記培地の測定が行われるとともに、前記貫通孔を有する培養容器と、
を備えたセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞を培養する培地の成分を測定するために培養容器に取り付けられるセンサホルダおよびこれを備えたセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の培養測定装置は、培養のための培養物と培地とが入れられる容器を備えており、この容器の底面内には、光学式のセンサが設けられていた。そして、このセンサが光学的に読み取られ、培地内のCO(二酸化炭素)や、溶存酸素、pHが測定されていた(例えば、特許文献1参照)。
また、培地の状態をモニターする電気化学式センサが培養容器内に挿入され、そのセンサに設けられた電気的な接続端子に繋がれたリード配線が外部の制御部に接続されていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-205851号公報
【特許文献2】特開2004-113092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、培地環境へのコンタミネーションにより、培養環境が低下することであった。
すなわち、上記従来の構成においては、電気化学的に測定を行うセンサは、培養容器内の培地内に浸漬されたセンサの反応部と、培養容器外の測定装置とを電気的な配線を介して接続し、その配線を培地内に通す必要がある。このため、培地に対してコンタミネーションが生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、培養測定装置におけるコンタミネーションを低減し、培養環境を向上させることが可能なセンサホルダおよびこれを備えたセンサユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセンサホルダは、細胞を培養する培地の成分を測定するために培養容器に取り付けられるセンサホルダであって、ベースと、センサ部と、配線とを備えている。ベースは、培養容器が載置される。センサ部は、ベースに取り付けられており培養容器がベース上に載置された状態で培養容器に形成された貫通孔を介して培地に接触するセンサ反応部と、センサ反応部と電気的に接続されたセンサ電極部と、センサ反応部とセンサ電極部とを連結する連結部と、を有する。配線は、培養容器の外側においてセンサ部と電気的に接続され、培地の成分を測定する測定装置に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るセンサホルダによれば、培養測定装置におけるコンタミネーションを低減し、培養環境を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るセンサホルダを含むセンサユニットの構成を示す図。
図2図1においてセンサホルダの構成を透視した透視図。
図3図2のセンサユニットに含まれる培養容器の構成を示す斜視図。
図4図2のセンサホルダ上に培養容器が載置された状態を示す部分断面図。
図5図2のセンサホルダの詳細な構成を示す分解斜視図。
図6】(a)は、図2のセンサホルダに含まれるセンサ部およびカバーと培養容器設けられた貫通孔との位置関係を示す分解部分断面図。(b)は、(a)の組み立て図。
図7図2のセンサホルダ上に培養容器が載置された状態を示す断面図。
図8図6のA部分の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係るセンサホルダ10を備えたセンサユニット30について、図1図8を用いて説明すれば以下の通りである。
(1)センサユニット30の構成
本実施形態に係るセンサユニット30は、培養容器20に入れられた培地L(図7参照)に含まれる成分を測定するユニットであって、図1および図2に示すように、センサホルダ10と、培養容器20と、を備えている。
【0010】
センサホルダ10は、その上面(カバー13の上面13a)に培養容器20が載置された状態で使用され、培養容器20の底面21に形成された貫通孔23を介して、培養容器20に入れられた培地Lと接触して、培地Lに含まれる特定の成分の測定を行う。
なお、センサホルダ10の詳細な構成については、後段にて詳述する。
培養容器20は、培養される培養物と培地Lとが入れられる容器であって、図3に示すように、略円形の底面21と、略円筒状の側面22と、底面21に形成された貫通孔23と、を有している。
【0011】
略円形の底面21は、図3に示すように、略円形形状を有しており、その略中心付近に、底面21を貫通するように形成された貫通孔23が設けられている。
略円筒状の側面22は、図3に示すように、略円形の底面21の外縁に沿って立設された略円筒状の部分であって、底面21と側面22によって形成される内部空間に、培地Lが入れられる。
【0012】
貫通孔23は、図3に示すように、略円形の底面21の略中心部付近に形成されており、培養容器20がセンサホルダ10の上面に載置された状態において、センサホルダ10側のセンサ部11を露出させる。
これにより、貫通孔23を介して、センサ部11が培養容器20内の培地Lに接触することで、培地Lに含まれる特定の成分の測定を実施することができる。
【0013】
(2)センサホルダ10の構成
本実施形態のセンサホルダ10は、図示しない測定装置に対してケーブル16を介して接続されており、培養容器20内の培地Lに含まれる特定の成分を、センサ部11において検出し、測定を行う。また、センサホルダ10は、図4に示すように、センサ部11と、ベース12と、カバー13と、コンタクトロッド14(図5参照)と、コンタクト基板15と、ケーブル16と、ネジ17a,17bと、封止部材(第1封止部材)18および封止部材(第2封止部材)19と、を備えている。
【0014】
センサ部11は、導電性を有する金属材料によって形成されており、図5に示すように、ベース12の凹部12cの凹みに合わせて取り付けられている。センサ部11は、センサ反応部11aと、センサ電極部11bと、連結部11cと、を有している。
センサ反応部11aは、図5に示すように、培養容器20がベース12上に載置された状態で、培養容器20に形成された貫通孔23を介して露出する位置に配置されている。また、センサ反応部11aは、貫通孔23を介して培地Lに接触した状態で測定装置(図示せず)から電圧が印加されることで、培地Lに含まれる成分の測定を行う測定電極を含む。測定電極は、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属によって形成されており、その周囲が絶縁性の材料によって被覆されている。
【0015】
また、センサ反応部11aは、図6(a)および図6(b)に示すように、培養容器20の底面21に対して略平行になるように配置される。これにより、ケーブル16を介して測定装置(図示せず)から電圧が印加された際に、培養容器20内の培地Lからセンサ反応部11aが露出することに起因するセンサの故障を防ぐことができる。
センサ電極部11bは、センサ反応部11aと電気的に接続されており、図5に示すように、ベース12に形成された凹部12cによって位置決めされた状態で、ベース12の側面12bに取り付けられている。センサ電極部11bは、後述するコンタクトロッド14およびコンタクト基板15を介して、ケーブル16に電気的に接続されている。
【0016】
連結部11cは、略直角に折り曲げられており、センサ反応部11aとセンサ電極部11bとを連結する。これにより、センサ反応部11aとセンサ電極部11bとは、それぞれ、互いに略90度に交差する平面に沿って配置される。
これにより、センサ電極部11bは、センサ反応部11aとは異なる平面に配置されるため、センサ反応部11aとは異なる平面上においてコンタクトロッド14に電気的に接続される。
【0017】
ベース12は、例えば、樹脂または金属等によって成形されており、略直方体の形状を有している。ベース12は、図5に示すように、上面12aと、側面12bと、凹部12cと、ネジ穴12dと、曲面支持部12eとを有している。
上面12aは、センサ部11を挟み込むようにカバー13が取り付けられる面であって、培養容器20が載置される側の面を構成する。また、上面12aは、センサ部11のセンサ反応部11aが取り付けられる。
【0018】
側面12bは、図5に示すように、上面12aに対して略直角な面であって、培養容器20が載置された使用時の姿勢において略鉛直方向に沿って配置されている。側面12bには、センサ部11が取り付けられる凹部12cが形成されている。側面12bは、カバー13とともにセンサ部11のセンサ電極部11bを挟み込むように配置されている。
凹部12cは、図5に示すように、ベース12の側面12bから上面12aにかけて形成され、センサ部11のセンサ電極部11bおよび連結部11cの外形よりも若干大きい凹部として形成されている。センサ部11は、凹部12cに嵌め込まれるようにして取り付けられることで、ベース12に対して正確に位置決めされた状態で固定される。
【0019】
ネジ穴12dは、図5に示すように、側面12bにおける左右の端部付近に形成されており、後述するネジ17a,17aがそれぞれ螺合する。
曲面支持部12eは、ベース12の上面12aと側面12bとが交差する角部において凹部12cに連結された凹状の部分であって、センサ部11の連結部11cを下方から支持する曲面を有している(図8参照)。
【0020】
カバー13は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料(PP(Polypropylene),PE(Polyethylene)、テフロン(登録商標)等)によって成形された略L字状の部材(図6(a)および図6(b)参照)であって、図5に示すように、ベース12の上面12aと側面12bとを覆うように取り付けられている。カバー13は、培養容器20が載置される上面13aと、貫通穴13bと、垂下部13cと、ロッド穴13dと、ネジ穴13eおよびネジ穴13fと、曲面支持部13gと、を有している。
【0021】
上面13aは、図5に示すように、培養容器20が直接的に載置されるセンサホルダ10全体の上面を形成し、センサ部11のセンサ反応部11aおよび培養容器20の底面21に対して略平行に配置されている。
貫通穴13bは、上面13aの略中心付近に形成された貫通穴であって、センサ部11のセンサ反応部11aを、培養容器20側へ露出させる。これにより、培養容器20に形成された貫通孔23および貫通穴13bを介して、センサ部11のセンサ反応部11aが、培養容器20内の培地Lに浸漬された状態を形成することができる。
【0022】
垂下部13cは、図6(a)および図6(b)に示すように、上面13aに対して略直角な方向に沿って配置された肉厚の部分であって、図5に示すように、ベース12の側面12bとの間において、センサ部11のセンサ電極部11bを挟み込むように保持する。また、垂下部13cには、ロッド穴13d、ネジ穴13e,13fが形成されている。
ロッド穴13dは、垂下部13cを貫通するように形成されており、センサ部11のセンサ電極部11bとコンタクト基板15とを電気的に接続するコンタクトロッド14が挿入される。
【0023】
ネジ穴13eは、図5に示すように、垂下部13cの左右の両端に設けられており、それぞれネジ17aが挿入される。これにより、2本のネジ17a,17aを用いて、カバー13がベース12に対して固定される。
ネジ穴13fは、図5に示すように、ロッド穴13dの左右に隣接する位置に設けられており、ネジ17bが螺合する。これにより、2本のネジ17b,17bを用いて、コンタクト基板15を、カバー13の垂下部13cの側面に取り付けることができる。
【0024】
曲面支持部13gは、カバー13がベース12に対して取り付けられた状態において、ベース12側の曲面支持部12eに対向する位置に配置されており、センサ部11の連結部11cを、曲面支持部12eとともに挟み込むように配置されている(図8参照)。これにより、曲面支持部13gは、センサ部11の連結部11cを、上方から支持する。
コンタクトロッド14は、センサ部11のセンサ電極部11bとコンタクト基板15とを電気的に接続する棒状の部材であって、導電性を有する素材によって成形されている。コンタクトロッド14は、図5に示すように、4本用いられており、それぞれ垂下部13cに形成されたロッド穴13dに挿入された状態で使用される。
【0025】
コンタクト基板15は、ケーブル16をカバー13の垂下部13cに対して固定するための板状の部材であって、金属製の材料によって成形されている。また、コンタクト基板15は、ネジ17bが挿入されるネジ穴15aを有している。
ネジ穴15aは、コンタクト基板15の左右の両端にそれぞれ設けられており、それぞれネジ17b,17bが挿入され、ネジ穴13f,13fに螺合することで、コンタクト基板15を垂下部13cの側面に対して固定する。
【0026】
ケーブル(配線)16は、図5に示すように、コンタクト基板15の略中央付近から延伸するように設けられており、培養容器20の外側においてセンサ部11と電気的に接続されている。これにより、培地L内に配線等が介在することなく、センサ部11が培地Lの成分を測定する測定装置(図示せず)に電気的に接続される。
ネジ17a,17bは、図5に示すように、垂下部13cの側面に対して略垂直に挿入される。
【0027】
ネジ17aは、図5に示すように、垂下部13cの厚みよりも大きい長さを有しており、垂下部13cを貫通してベース12のネジ穴12dに螺合する。これにより、カバー13が、ベース12に側面12bに対して固定される。
ネジ17bは、図5に示すように、垂下部13cの厚みよりも小さい長さを有しており、垂下部13cに形成されたネジ穴13fに螺合する。これにより、コンタクト基板15が、カバー13の垂下部13cの側面に対して固定される。
【0028】
封止部材18,19は、培養容器20がセンサホルダ10上に載置された状態で、培養容器20に入れられた培地Lが、培養容器20とセンサホルダ10との接続部分において漏れ出すことがないように設けられている。
封止部材(第1封止部材)18は、図6(a)および図6(b)に示すように、培養容器20の底面21の裏面側とカバー13の上面13aとの間に設けられており、培養容器20とカバー13との間から培地Lが漏れ出すことを防止するために設けられている。封止部材18は、例えば、エラストマ系の樹脂、ゴム系の材料、あるいは接着剤、粘着テープ、カバー13の底面側の一部を溶着した溶着部等によって構成されている。また、封止部材18は、図6(a)および図6(b)に示すように、カバー13の上面13a側において、カバー13の貫通穴13bを取り囲むように配置されている。
【0029】
封止部材(第2封止部材)19は、図6(a)および図6(b)に示すように、封止部材18と同様に、例えば、エラストマ系の樹脂、ゴム系の材料、あるいは接着剤、粘着テープ、カバー13の底面側の一部を溶着した溶着部等によって構成されている。また、封止部材19は、カバー13の底面側において、カバー13の貫通穴13bを取り囲むように配置されている。つまり、封止部材19は、カバー13の底面とセンサ部11の上面との間における培地Lの漏れ出しを防止するために、図6(a)に示すように、センサ部11のセンサ反応部11aを取り囲むように設けられている。
【0030】
ここで、封止部材18,19による培地Lの漏れ出しを防止するシール構造について、図7および図8を用いて説明すれば以下の通りである。
本実施形態のセンサホルダ10は、培養容器20に入れられた培地Lの成分を測定する際に、図7に示すように、センサ部11を挟み込むように配置されたベース12およびカバー13の上面13a上に、培養容器20が載置される。
【0031】
このとき、センサ部11のセンサ反応部11aは、貫通孔23等を介して培養容器23の底面21から露出した状態となる。
よって、この状態において培養物を含む培地Lが培養容器20内に入れられると、図7に示すように、貫通孔23および貫通穴13bを介して、センサ反応部11aが培地Lに浸漬された状態となる。
【0032】
このとき、培養容器20の底面21の裏面側とカバー13の上面13aとの間には、図8に示すように、貫通孔23を取り囲むように、封止部材18が設けられている。
封止部材18は、培養容器20とカバー13との間から、貫通孔23の径方向外側に向かう培地Lの漏れ出しを効果的に抑制する。
また、カバー13の上面13aの裏面側とベース12の上面12aとの間には、図8に示すように、貫通穴13bを取り囲むように、封止部材19が設けられている。
【0033】
封止部材19は、センサ部11とカバー13との間から、貫通孔13bの径方向外側に向かう培地Lの漏れ出しを効果的に抑制する。
これにより、封止部材18,19によって、培養容器20内に入れられた培地Lが、培養容器20の底面21に形成された貫通孔23、カバー13に形成された貫通孔13b等から漏れ出してしまうことを効果的に抑制することができる。
【0034】
なお、封止部材18,19は、例えば、接着剤、溶着の一部であることがより好ましい。
この場合には、封止部材18,19としてゴム系の材料等を用いた場合と比較して、封止部材18,19の厚みが小さくなる。よって、センサ部11のセンサ反応部11aと培養容器20の底面21との距離をより小さくすることができる。
【0035】
また、このとき、センサ部11は、ベース12の側面12bとカバー13の垂下部13cの内面との間において、センサ部11のセンサ電極部11bを挟み込むように支持されている。さらに、センサ部11は、ベース12の曲面支持部12eと、カバー13側の曲面支持部13gとの間に、連結部11cの部分を挟み込むように支持されている。
これにより、センサ部11は、ベース12とカバー13との間において位置決めされた状態で支持される。よって、カバー13がベース12の外形に合わせて取り付けられた際に、カバー13の貫通穴13bがセンサ部11のセンサ反応部11aの位置に正確に位置合わせされる。
【0036】
よって、センサ部11のセンサ反応部11aが、カバー13の貫通穴13bを介して露出した状態を確実に形成することができる。
<主な特徴>
本実施形態のセンサホルダ10は、図2に示すように、ベース12と、センサ部11と、ケーブル16とを備えている。ベース12は、培養容器20が載置される。センサ部11は、ベース12に取り付けられており培養容器20がベース12上に載置された状態で培養容器20に形成された貫通孔23を介して培地Lに接触するセンサ反応部11aと、センサ反応部11aと電気的に接続されたセンサ電極部11bと、センサ反応部11aとセンサ電極部11bとを連結する連結部11cと、を有する。ケーブル16は、培養容器20の外側においてセンサ部11と電気的に接続され、培地Lの成分を測定する測定装置に接続される。
【0037】
これにより、センサ部11のセンサ反応部11aが、貫通孔23等を介して直接的に培養容器20内の培地Lに接触した状態で測定が行われることで、培地L内に配線等が介在する必要がない。
この結果、コンタミネーションの発生を効果的に抑止して、培養環境を向上させることができる。
【0038】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、ベース12に対して取り付けられたセンサ部11の上方から、ベース12の上面12aを覆うようにカバー13が配置された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
例えば、カバーを含まず、培養容器がベースの上面に直接配置される構成であってもよい。
(B)
上記実施形態では、センサホルダ10が、センサ反応部11aとセンサ電極部11bとが、略直角に折り曲げられた連結部11cを介して連結されたセンサ部11を含む例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
例えば、センサホルダが、センサ反応部とセンサ電極部とが同じ平面上に配置されるように連結されたセンサ部を含む構成であってもよい。
また、センサホルダの連結部は、略直角に折り曲げられた構成に限らず、90度未満、あるいは90度より大きい角度で折り曲げられた構成であってもよい。
(C)
上記実施形態では、培養容器20の底面21に貫通孔23が設けられており、この貫通孔23を介して、培養容器20内の培地Lがセンサ部11のセンサ反応部11aと接触する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
例えば、培地をセンサ反応部と接触させるための貫通孔は、培養容器の底面に設けられた構成に限らず、培養容器の側面に設けられた構成であってもよい。
また、貫通孔は、培養容器に底面の略中心付近ではなく、底面の端部に設けられていてもよい。あるいは、貫通孔は、培養容器の底面や側面において、複数のセンサ部に対応する位置に複数設けられていてもよい。
【0042】
(D)
上記実施形態では、ベース12が、センサ部11が取り付けられる凹部12cを有している例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、センサ部が取り付けられるベース部は、凹部のない構成であってもよい。
(E)
上記実施形態では、センサホルダ10を用いて、細胞を培養する培地の成分を連続的に測定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
例えば、センサホルダを用いた培地の成分の分析は、連続的に行われることに限らず、単発的に行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のセンサホルダは、培養測定装置におけるコンタミネーションを低減し、培養環境を向上させることができるという効果を奏することから、培養容器を用いて培地の成分の測定を行う各種測定装置に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 センサホルダ
11 センサ部
11a センサ反応部
11b センサ電極部
11c 連結部
12 ベース
12a 上面
12b 側面
12c 凹部
12d ネジ穴
12e 曲面支持部
13 カバー
13a 上面
13b 貫通穴
13c 垂下部
13d ロッド穴
13e ネジ穴
13f ネジ穴
13g 曲面支持部
14 コンタクトロッド
15 コンタクト基板
15a ネジ穴
16 ケーブル(配線)
17a ネジ
17b ネジ
18 封止部材(第1封止部材)
19 封止部材(第2封止部材)
20 培養容器
21 底面
22 側面
23 貫通孔
30 センサユニット
L 培地
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8