(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069689
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】カードエッジ型プリント配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
H05K1/11 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181750
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000231822
【氏名又は名称】日本端子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594000778
【氏名又は名称】株式会社京写
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 真也
(72)【発明者】
【氏名】西村 紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孔一
(72)【発明者】
【氏名】佐分 大輔
【テーマコード(参考)】
5E317
【Fターム(参考)】
5E317AA04
5E317AA06
5E317AA07
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB05
5E317BB12
5E317CD23
5E317GG09
(57)【要約】
【課題】端子部の基板端縁側の終端と基板の端縁との間の電気絶縁層がコネクタ端子の摺接によって削られることを回避し、絶縁不良および導通不良の発生を抑制すること。
【解決手段】ベース層30の端縁の近傍に至るように設けられた端子部26を含むカードエッジ型プリント配線基板において、端子部26の基板端縁23側の終端部26Aと基板端縁23との間における電気絶縁層22の部分の上に金属製の耐摩耗層28が設けられ、耐摩耗層28は端子部26の終端部26Aに対して間隔G2をおいて位置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のベース層と、前記ベース層の一方の面に積層された電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に形成された導電パターンとを有し、前記導電パターンは、コネクタ端子が導通接触するべく、前記ベース層の端縁の近傍に至るように設けられた端子部を含むカードエッジ型プリント配線基板であって、
前記端子部の前記端縁側の終端部と前記ベース層の前記端縁との間における前記電気絶縁層の部分の上に金属製の耐摩耗層が設けられ、前記耐摩耗層が前記端子部の前記終端部に対して間隔をおいて位置するカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項2】
前記耐摩耗層は前記端縁に至るまで延在している請求項1に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項3】
前記耐摩耗層は前記ベース層の前記端縁に対して間隔をおいて終息している請求項1に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項4】
前記耐摩耗層は前記端子部と同一の導電材をもって略同一厚さを有する請求項1から3の何れか一項に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項5】
前記端子部が左右に配列された複数の端子部を含み、前記耐摩耗層が、前記複数の端子部に対して共通に設けられた、前記左右方向に延在する帯状部分をなす請求項1から4の何れか一項に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項6】
前記耐摩耗層を覆う電気絶縁性の保護層を有する請求項1から5の何れか一項に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項7】
前記保護層は前記端子部の前記終端部近傍の部分を覆う部分を含む請求項6に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項8】
前記保護層は前記ベース層の前記端縁側における前記耐摩耗層の端面を覆う部分を含む請求項6又は7に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項9】
金属製のベース層と、前記ベース層の一方の面に積層された電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に形成された導電パターンとを有し、前記導電パターンは、コネクタ端子が導通接触するべく、前記ベース層の端縁の近傍に至るように設けられた端子部を含むカードエッジ型プリント配線基板であって、
少なくとも前記端子部の前記端縁側の終端部と前記ベース層の前記端縁との間における前記電気絶縁層の部分の上に電気絶縁性の保護層が設けられたカードエッジ型プリント配線基板。
【請求項10】
前記保護層は前記端子部の前記終端部近傍の部分を覆う部分を含む請求項9に記載のカードエッジ型プリント配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードエッジ型プリント配線基板に関し、更に詳細には、金属板ベースのカードエッジ型プリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム等の金属製のベース層と、ベース層の一方の面に積層された樹脂等による電気絶縁層と、電気絶縁層上に形成された銅箔等による導電パターンとを有する金属板ベースのプリント配線基板が知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
金属製のベース層は、樹脂製のものよりも放熱性よい反面、線膨張係数が比較的大きく、熱膨張・収縮が繰り返されると、はんだづけ部分等にストレスがかかる。このため、電気絶縁層を柔らかく形成し、熱膨張・収縮によるストレスを緩和する必要がある。
【0004】
金属板ベースのプリント配線基板をカードエッジ型プリント配線基板に適用した場合、導電パターンは、接続対象のコネクタ端子が導通接触するべく、基板(ベース層及び電気絶縁層)の端縁近傍に至るように設けられた端子部を含む構成になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2011-507235号公報
【特許文献2】特開2018-81985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
端子部が基板の端縁に至るように設けられると、端子部の基板端縁側の終端と基板の端縁に露呈しているベース層の端面との離間距離が電気絶縁層の層厚に相当する短い距離になり、端子部とベース層との間において沿面放電による絶縁破壊が生じ易くなる。この絶縁破壊を回避するために、端子部は基板の端縁近傍(端縁の手前)において終息し、端子部の基板端縁側の終端とベース層の端面との離間距離を大きく設定することが考えられる。
【0007】
端子部が基板の端縁近傍において終息すると、端子部の基板端縁側の終端と基板の端縁との間に電気絶縁層が露呈する。このため、コネクタ取り付けに際してコネクタ端子が基板端縁から端子部に向けて移動する時及びコネクタ取り外しに際してコネクタ端子が端子部から基板端縁に向けて移動する時に、コネクタ端子が端子部の基板端縁側の終端と基板の端縁との間の電気絶縁層に摺接し、電気絶縁層が削られる現象が生じる。このことは、電気絶縁層が柔らかく形成されている基板において顕著なものになる。
【0008】
電気絶縁層が削られると、ベース層が外部に露呈し、絶縁不良が生じる虞がある。また、電気絶縁層の削り屑が端子部とコネクタ端子との間に侵入し、端子部とコネクタ端子との間の導通不良を生じる原因になる。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑み、金属板ベースのカードエッジ型プリント配線基板において、コネクタ端子が導通接触する導電パターンの端子部と基板の端縁との間の電気絶縁層がコネクタ端子の摺接によって削られることを回避し、絶縁不良および導通不良の発生を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、金属製のベース層(20)と、前記ベース層の一方の面に積層された電気絶縁層(22)と、前記電気絶縁層上に形成された導電パターン(24)とを有し、前記導電パターンは、コネクタ端子(52)が導通接触するべく、前記ベース層の端縁(20A)の近傍に至るように設けられた端子部(26)を含むカードエッジ型プリント配線基板(10)であって、前記端子部の前記端縁側の終端部26Aと前記ベース層の前記端縁との間における前記電気絶縁層の部分の上に金属製の耐摩耗層(28)が設けられ、前記耐摩耗層が前記端子部の前記終端部に対して間隔(G2)をおいて位置する。
【0011】
この態様によれば、耐摩耗層により、端子部の基板端縁側の終端と基板の端縁との間の電気絶縁層がコネクタ端子の摺接によって削られることが回避され、絶縁不良および導通不良の発生が抑制される。
【0012】
上記の態様において、好ましくは、前記耐摩耗層は前記端縁に至るまで延在している。
【0013】
この態様によれば、電気絶縁層がコネクタ端子の摺接によって削られることが電気絶縁層の端縁側の部分を含んで確実に回避される。
【0014】
上記の態様において、好ましくは、前記耐摩耗層は前記ベース層の前記端縁に対して間隔をおいて終息している。
【0015】
この態様によれば、ベース層と耐摩耗層との電気絶縁性が向上する。
【0016】
上記の態様において、好ましくは、前記耐摩耗層は前記端子部と同一の導電材をもって略同一厚さを有する。
【0017】
この態様によれば、耐摩耗層を設けるための別工程が不要になると共に、端子部の上面と耐摩耗層の上面とが面一になる。
【0018】
上記の態様において、好ましくは、前記端子部が左右に配列された複数の端子部を含み、前記耐摩耗層が、前記複数の端子部に対して共通に設けられた、前記左右方向に延在する帯状部分をなす。
【0019】
この態様によれば、耐摩耗層が電気絶縁層から剥離し難くなる。
【0020】
上記の態様において、好ましくは、前記耐摩耗層を覆う電気絶縁性の保護層を有する。
【0021】
この態様によれば、耐摩耗層の電気絶縁性が向上する。
【0022】
上記の態様において、好ましくは、前記保護層は前記端子部の前記終端部近傍部分を覆う部分を含む。
【0023】
この態様によれば、端子部の終端部と保護層との間に空隙が生じることがなく、電気絶縁層の保護が確実に行われる。
【0024】
上記の態様において、好ましくは、前記保護層は前記ベース層の前記端縁側における前記耐摩耗層の端面を覆う部分を含む。
【0025】
この態様によれば、ベース層に対する耐摩耗層の電気絶縁性が向上する。
【0026】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、金属製のベース層と、前記ベース層の一方の面に積層された電気絶縁層と、前記電気絶縁層上に形成された導電パターンとを有し、前記導電パターンは、コネクタ端子が導通接触するべく、前記ベース層の端縁の近傍に至るように設けられた端子部を含むカードエッジ型プリント配線基板であって、少なくとも前記端子部の前記端縁側の終端部と前記ベース層の前記端縁との間における前記電気絶縁層の部分の上に電気絶縁性の保護層が設けられている。
【0027】
この態様によれば、保護層により、端子部の基板端縁側の終端と基板の端縁との間の電気絶縁層がコネクタ端子の摺接によって削られることが回避され、絶縁不良および導通不良の発生が抑制される。
【0028】
上記の態様において、好ましくは、前記保護層は前記端子部の前記終端部近傍部分を覆う部分を含む。
【0029】
この態様によれば、端子部の終端部と保護層との間に空隙が生じることがなく、電気絶縁層の保護が確実に行われる。
【発明の効果】
【0030】
以上の態様によれば、端子部の基板端縁側の終端コネクタ端子が導通接触する導電パターンの端子部の基板端縁側の終端と基板の端縁との間の電気絶縁層がコネクタ端子の摺接によって削られることが回避され、絶縁不良および導通不良の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明によるカードエッジ型プリント配線基板及びそれに接続されるコネクタの概要を示す斜視図
【
図2】実施形態1のカードエッジ型プリント配線基板の要部の拡大底面図
【
図4】実施形態2のカードエッジ型プリント配線基板の要部の拡大底面図
【
図6】実施形態3のカードエッジ型プリント配線基板の要部の拡大底面図
【
図7】実施形態4のカードエッジ型プリント配線基板の要部の拡大底面図
【
図9】実施形態5のカードエッジ型プリント配線基板の要部の断面図
【
図10】実施形態6のカードエッジ型プリント配線基板の要部の拡大底面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明に係るカードエッジ型プリント配線基板の実施形態について説明する。
【0033】
(実施形態1)
カードエッジ型プリント配線基板の実施形態1及びそれに接続されるカードエッジ用コネクタを、
図1~
図3を参照して説明する。
【0034】
図1は、カードエッジ型プリント配線基板10(以下、配線基板10と略称)及びその配線基板10のエッジ部12に抜き差し可能に装着されるカードエッジ用コネクタ50(コネクタ50と略称)を示している。
図2は、下側から見たカードエッジ型プリント配線基板10の要部の拡大底面図を示している。
図3は、
図2のIII-IIIに沿った断面図を示している。
【0035】
配線基板10は、
図3に示されているように、ベース層20と、ベース層20の一方の面に積層された電気絶縁層22と、電気絶縁層22上に形成された導電パターン24とを有する。
【0036】
ベース層20は、所要の厚さを有するアルミニウム板、銅板、鉄系金属板等による金属製である。ベース層20は、好ましくは1~2mm程度の厚さを有している。
【0037】
電気絶縁層22は、ベース層20の一方の面の全面に亘って積層され、その周縁は、ベース層20のエッジ部12側の端縁20Aに至る。これにより、電気絶縁層22の端縁20Aと電気絶縁層22のエッジ部12側の端縁22Aとは実質的に面一になっている。電気絶縁層22の端縁20A及びエッジ部12側の端縁22Aを一括して基板端縁23と称する。電気絶縁層22は、ポリイミドやエポキシ等の電気絶縁性を有する樹脂により構成され、好ましくは100μm程度の一様の層厚を有する。電気絶縁層22は、貯蔵弾性率が1GPa程度以下を示す相当の硬度を有しており、好ましくは、貯蔵弾性率が0.3GPa以下を示す相当の硬度を有する。
【0038】
導電パターン24は、エッチングによって所定の配線パターンに形成された銅箔等により構成される。導電パターン24は、コネクタ50のコネクタ端子52が導通接触するべく設けられた複数の端子部26を含む。各端子部26は、平面視で前後方向(エッジ部12に対する抜き差し方向)に長い矩形をなし、左右に所定の間隔をおいて配列されている。
【0039】
各端子部26は、エッジ部12における基板端縁23の近傍に至る。電気絶縁層22上において端子部26の基板端縁23側の終端部26Aと基板端縁23との間には、前後方向の間隔G1(
図2参照)が存在する。各端子部26の終端部26Aと基板端縁23との間の離間距離(間隔G1)は、導電パターン24と金属製のベース層20との間の絶縁性の確保と、各端子部26とコネクタ端子52との導通接触の確保とを適切に実現可能な範囲内で変更され得る。
【0040】
各端子部26の終端部26Aと基板端縁23との間における電気絶縁層22上には金属製の耐摩耗層28が設けられている。各耐摩耗層28は、対応する端子部26の終端部26Aに対して間隔G2をおいて位置し、端子部26の終端部26A側の端縁28Aから前後方向に基板端縁23に至るまで延在する矩形をなす。これにより、耐摩耗層28の基板端縁23側の端縁28Bと基板端縁23とは実質的に面一になっている。
【0041】
間隔G2は、耐摩耗層28の端縁28Aと端子部26の終端部26Aとの間に存在し、端子部26と耐摩耗層28とを電気的に切り離すため絶縁ギャップを設定する。間隔G2は、耐電圧の仕様に応じて定められ、好ましくは0.2~0.5mm程度であってよい。耐摩耗層28は、アース接続されるベース層20に対しても電気的に切り離される。
【0042】
耐摩耗層28は、導電パターン24と同一の導電材により構成される。耐摩耗層28は、ベース層20に積層された銅箔等のエッチングによって導電パターン24とともに形成される。これにより、耐摩耗層28を設けるための別工程が不要になる。また、耐摩耗層28は、導電パターン24と略同一の厚さを有する。これにより、端子部26の上面と耐摩耗層28の上面とが面一になり、耐摩耗層28から端子部26に到るコネクタ端子52の摺動が滑らかに行われる。
【0043】
配線基板10は、更に、電気絶縁性の保護層30を有する。保護層30は、耐摩耗層28と、間隔G2において外部に露呈する電気絶縁層22の部分と、各端子部26の終端部26Aの近傍部分とを連続的に覆う。保護層30は、樹脂製のソルダーレジスト等により構成される。保護層30は、
図2に示されているように、複数の端子部26に対して共通に設けられ、それら端子部26の配列方向(左右方向)に延在する帯状をなす。保護層30は、電気絶縁層22よりも高硬度で、電気絶縁層22よりも耐摩耗性や耐切削性に優れているものにより構成されていることが好ましい。
【0044】
保護層30は、成層(塗布)工程の都合上、
図3に示されているように、端子部26及び耐摩耗層28の端縁角部(コーナ部)Cに対応する部分が薄くなる傾向がある。保護層30は、端縁角部Cを起点した層厚が最も薄くなる部分において、5μm程度以上の層厚を有していればよい。
【0045】
保護層30が、端子部26の終端部26A側を覆い、端子部26の終端部26A側とオーバラップする部分を含むことにより、間隔G2において電気絶縁層22が外部に露呈することが確実に回避される。つまり、各耐摩耗層28と対応する端子部26の終端部26Aとの間隔G2は、保護層30によって確実に埋められる。また、保護層30が端子部26とオーバラップする部分を含むことにより、端子部26の終端部26Aが電気絶縁層22から剥離することを抑制する。保護層30が、端子部26の全体を覆うと、端子部26とコネクタ端子52との導通接続の障害になるから、保護層30は端子部26の終端部26Aの近傍部分のみを覆う。
【0046】
耐摩耗層28及び保護層30により、配線基板10に対するコネクタ50の抜き差しにおいて、コネクタ端子52が電気絶縁層22に対して摺接することがない。
【0047】
これにより、各端子部26の終端部26Aと基板端縁23との間の電気絶縁層22がコネクタ端子52の摺接によって削られることが回避される。その結果、電気絶縁層22が削られることに起因する絶縁不良および電気絶縁層22の削り屑に起因する導通不良の発生が抑制される。
【0048】
耐摩耗層28は電気絶縁層22が摩損等の機械的損傷を受けることを抑制すべく電気絶縁層22を機械的に保護する。保護層30は耐摩耗層28と共に電気絶縁層22を機械的に2重に保護する。保護層30は、特に、間隔G2において外部に露呈する部分の電気絶縁層22がコネクタ端子52との摺接によって機械的損傷を受けることを抑制する。
【0049】
保護層30は、更に、耐摩耗層28とベース層20等の他の部分との電気的な短絡現象が生じることを回避する電気的な保護層としても機能する。
【0050】
(実施形態2)
カードエッジ型プリント配線基板の実施形態2を、
図4及び
図5を参照して説明する。なお、
図4及び
図5において、
図2及び
図3に対応する部分は、
図2及び
図3に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0051】
実施形態2では、各端子部26の終端部26Aと基板端縁23との間に延在する各耐摩耗層28が、基板端縁23に対して前後方向に間隔G3をおいて終息している。保護層30は、耐摩耗層28及び間隔G2において外部に露呈する電気絶縁層22の部分を覆う部分と、端子部26の終端部26Aの近傍部分とを覆う部分とに加えて耐摩耗層28の基板端縁23側の端縁28B(端面)を覆う部分を含む。
【0052】
実施形態2では、間隔G3があること、保護層30が耐摩耗層28の基板端縁23側の端縁28Bを覆う部分を含むことにより、ベース層20に対する耐摩耗層28の電気的な切り離しが、より一層確実なものになる。
【0053】
(実施形態3)
カードエッジ型プリント配線基板の実施形態3を、
図6を参照して説明する。なお、
図6において、
図2に対応する部分は、
図2に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0054】
実施形態3では、保護層30が省略されている。実施形態3でも、実施形態1の耐摩耗層28と同等の耐摩耗層28が設けられているから、各端子部26の終端部26Aと基板端縁23との間の電気絶縁層22がコネクタ端子52の摺接によって削られることが回避される。このことにより、実施形態3でも、電気絶縁層22が削られことに起因する絶縁不良および電気絶縁層22の削り屑に起因する導通不良の発生が抑制される。
【0055】
(実施形態4)
カードエッジ型プリント配線基板の実施形態4を、
図7及び
図8を参照して説明する。なお、
図7及び
図8において、
図2及び
図3に対応する部分は、
図2及び
図3に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0056】
実施形態3では、耐摩耗層28が省略されている。実施形態4でも、実施形態1の保護層30と同等の保護層30が設けられている。保護層30は、基板端縁23から端子部26の終端部26Aの近傍部分を覆う部分にまで連続して延在している。
【0057】
保護層30は、各端子部26の終端部26Aと基板端縁23との間の電気絶縁層22がコネクタ端子52の摺接によって削られることを抑制する。このことにより、実施形態3でも、電気絶縁層22が削られることに起因する絶縁不良および電気絶縁層22の削り屑に起因する導通不良の発生が抑制される。
【0058】
(実施形態5)
カードエッジ型プリント配線基板の実施形態5を、
図9を参照して説明する。なお、
図9において、
図3に対応する部分は、
図3に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0059】
実施形態5では、保護層30が、耐摩耗層28及び間隔G2において外部に露呈する部分の電気絶縁層22の全体を覆う部分と、端子部26の終端部26Aの近傍部分とを覆う部分とに加えて、耐摩耗層28の基板端縁23側の端縁28Bの端面、電気絶縁層22の基板端縁23側の端縁22Aの端面及びベース層20の基板端縁23側の端縁20Aの端面を連続して覆う延長部32を含む。
【0060】
実施形態5では、延長部32により、ベース層20と耐摩耗層28との電気的な絶縁性が向上する。これにより、耐摩耗層28がベース層20と導通状態になることが、より一層確実に回避される。
【0061】
(実施形態6)
カードエッジ型プリント配線基板の実施形態6を、
図10を参照して説明する。なお、
図10において、
図2に対応する部分は、
図2に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0062】
実施形態6では、耐摩耗層28が、複数の端子部26の配列方向(左右方向)に延在する帯状部分をなし、複数の端子部26に対して共通に設けられている。
【0063】
実施形態6では、各端子部26の終端部26Aと基板端縁23との間の電気絶縁層22がコネクタ端子52の摺接によって削られることが回避される。このことにより、実施形態6でも、電気絶縁層22が削られことに起因する絶縁不良および電気絶縁層22の削り屑に起因する導通不良の発生が抑制される。耐摩耗層28が複数の端子部26毎に個別に設けられていないから、端子部26毎の個別の場合に比して耐摩耗層28が電気絶縁層22から剥離し難くなる。
【0064】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、当業者であれば容易に理解できるように、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。配線基板10は、ベース層20の表裏両面に電気絶縁層22及び導電パターン24を有する両面配線基板であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 :カードエッジ型プリント配線基板(配線基板)
12 :エッジ部
20 :ベース層
20A :端縁
22 :電気絶縁層
22A :端縁
23 :基板端縁
24 :導電パターン
26 :端子部
26A :終端部
28 :耐摩耗層
28A :端縁
28B :端縁
30 :保護層
32 :延長部
50 :カードエッジ用コネクタ(コネクタ)
52 :コネクタ端子