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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069707
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/641 20060101AFI20230511BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01R13/641
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181777
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC06
5E021FC38
5E021HB03
5E021HB04
5E021HB05
5E021JA05
5E021KA02
(57)【要約】
【課題】レバー式コネクタが相手コネクタと正規嵌合されたことを確実に検知・記録することができるレバー式コネクタを提供する。
【解決手段】レバー式コネクタ1は、相手コネクタ60と嵌合可能であって、組付面16Aを有するハウジング本体11と、組付面16Aに配され、車体パネル70と係合するレール受部21と、を備えるコネクタハウジング10と、コード配置面43Cを有し、コネクタハウジング10に対して嵌合開始位置から嵌合完了位置まで回動可能に組み付けられるレバー30と、コード配置面43Cに配される二次元コード50と、を備え、コード配置面43Cが、レバー30が嵌合開始位置にあるときと嵌合完了位置にあるときの双方において外部に臨む面であって、レバー30が嵌合開始位置にあるときには組付面16Aと同じ側を向き、レバー30が嵌合完了位置にあるときには組付面16Aとは異なる側を向く面である。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタと嵌合可能であって、組付面を有するハウジング本体と、前記組付面に配され、外部部材と係合する組付部と、を備えるコネクタハウジングと、
コード配置面を有し、前記コネクタハウジングに対して嵌合開始位置から嵌合完了位置まで回動可能に組み付けられるレバーと、
前記コード配置面に配される識別子と、を備え、
前記コード配置面が、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときと前記嵌合完了位置にあるときの双方において外部に臨む面であって、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときには前記組付面と同じ側を向き、前記レバーが前記嵌合完了位置にあるときには前記組付面とは異なる側を向く面である、レバー式コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジング本体が、前記組付面と異なる側を向くとともに、電線を導出するための電線導出口が開口された電線導出面を有しており、
前記コード配置面が、前記レバーが前記嵌合完了位置にあるときに前記電線導出面と同じ側を向く面である、請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記レバーがコード配置凹部を有しており、前記コード配置面が前記コード配置凹部の内部空間に面している、請求項1または請求項2に記載のレバー式コネクタ。
【請求項4】
前記コード配置凹部が前記レバーにおいて前記コネクタハウジングと対向する対向面に配されている、請求項3に記載のレバー式コネクタ。
【請求項5】
前記コネクタハウジングが、前記レバーに向かって突出し、前記レバーが嵌合完了位置にあるときには前記コード配置面からずれて配置されるが、前記レバーが嵌合開始位置と嵌合完了位置との間にあるときには前記コード配置面を前記組付面とは異なる側から覆う遮蔽突起を備えている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレバー式コネクタ。
【請求項6】
前記コード配置面が、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときに前記組付面に対して傾いて配されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
雄ハウジングと雌ハウジングとが正規嵌合されているか否かを検知する嵌合検知機能を備えたコネクタが知られている。このようなコネクタは、例えば、コネクタハウジングと、コネクタハウジングの表面に配された識別子と、コネクタハウジングと相手コネクタとの嵌合を補助するレバーと、レバーが嵌合完了位置にあるときに解放位置から係合位置へ変位可能な位置保証ロックと、を備えている。識別子は、位置保証ロックが解放位置にあるときには位置保証ロックによって覆われており、位置保証ロックが係合位置にあるときには位置保証ロックから露出されて、検出装置等によってアクセス可能となる。露出された識別子にアクセスすることで、コネクタハウジングと相手コネクタとの嵌合が完了したことが検知され、記録される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-162797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、位置保証ロックが識別子を覆う解放位置から識別子を開放する係合位置まで変位する際に、位置保証ロックが識別子と擦れ合うことで、識別子が傷ついて読み取り不能となってしまうことが懸念される。また、レバーが嵌合完了位置にないときには、識別子が位置保障ロックにより覆われているため、識別子が正常に読み取り可能な状態であるか否かを確認することができない。このため、コネクタと相手コネクタとの嵌合完了後に識別子を正常に読み取ることができず、コネクタが相手コネクタと正規嵌合されたことを検知・記録することができなくなってしまうことが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示されるレバー式コネクタは、相手コネクタと嵌合可能であって、組付面を有するハウジング本体と、前記組付面に配され、外部部材と係合する組付部と、を備えるコネクタハウジングと、コード配置面を有し、前記コネクタハウジングに対して嵌合開始位置から嵌合完了位置まで回動可能に組み付けられるレバーと、前記コード配置面に配される識別子と、を備え、前記コード配置面が、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときと前記嵌合完了位置にあるときの双方において外部に臨む面であって、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときには前記組付面と同じ側を向き、前記レバーが前記嵌合完了位置にあるときには前記組付面とは異なる側を向く面である。
【発明の効果】
【0006】
本明細書によって開示されるレバー式コネクタによれば、レバー式コネクタが相手コネクタと正規嵌合されたことを確実に検知・記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態のレバー式コネクタの斜視図である。
図2図2は、実施形態のコネクタハウジングの斜視図である。
図3図3は、実施形態のコネクタハウジングを図2とは異なる方向から示す斜視図である。
図4図4は、実施形態のコネクタハウジングの正面図である。
図5図5は、実施形態のレバーの斜視図である。
図6図6は、実施形態のレバーにおける一方のカム板を拡大して示す拡大斜視図である。
図7図7は、実施形態のレバー式コネクタにおいて、レバーが嵌合開始位置にある状態を示す底面図である。
図8図8は、図7のコード配置凹部周辺を拡大して示す拡大底面図である。
図9図9は、実施形態のレバー式コネクタが車体パネルに取り付けられ、かつ、相手側コネクタとの嵌合初期の状態を示す側面図である。
図10図10は、実施形態のレバー式コネクタが車体パネルに取り付けられ、かつ、相手側コネクタとの嵌合初期の状態を示す背面図である。
図11図11は、実施形態のレバー式コネクタが車体パネルに取り付けられ、かつ、相手側コネクタとの嵌合途中の状態を示す側面図である。
図12図12は、実施形態のレバー式コネクタが車体パネルに取り付けられ、かつ、相手側コネクタとの嵌合途中の状態を示す背面図である。
図13図13は、実施形態のレバー式コネクタが車体パネルに取り付けられ、かつ、相手側コネクタとの嵌合が完了した状態を示す側面図である。
図14図14は、実施形態のレバー式コネクタが車体パネルに取り付けられ、かつ、相手側コネクタとの嵌合が完了した状態を示す背面図である。
図15図15は、図14のコード配置凹部周辺を拡大して示す拡大背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
(1)本明細書によって開示されるレバー式コネクタは、相手コネクタと嵌合可能であって、組付面を有するハウジング本体と、前記組付面に配され、外部部材と係合する組付部と、を備えるコネクタハウジングと、コード配置面を有し、前記コネクタハウジングに対して嵌合開始位置から嵌合完了位置まで回動可能に組み付けられるレバーと、前記コード配置面に配される識別子と、を備え、前記コード配置面が、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときと前記嵌合完了位置にあるときの双方において外部に臨む面であって、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときには前記組付面と同じ側を向き、前記レバーが前記嵌合完了位置にあるときには前記組付面とは異なる側を向く面である。
なお、「組付面と同じ側を向き」とは、コード配置面が組付面と平行に配されている場合のみを含むものではなく、コード配置面が組付面側から視認可能な範囲で組付面に対して傾いている場合も含む意である。
【0009】
上記の構成によれば、コード配置面が、レバーが嵌合開始位置にあるときと嵌合完了位置にあるときの双方において外部に臨む面であるから、レバー式コネクタの相手コネクタへの組み付け動作中に識別子が他の部材に擦れ合い、識別子が傷ついて読み取り不能となってしまうことを回避できる。また、レバー式コネクタが外部部材に組み付けられていない単体の状態では、識別子を容易に検出できるため、組み付け作業の前に、識別子が傷ついて検出不能となっていないかを容易に確認することができる。一方、レバー式コネクタが外部部材に組み付けられた状態では、レバーが嵌合開始位置にあるときには識別子を検出することができず、レバーが嵌合完了位置にあるときに識別子が検出可能となる。以上より、レバー式コネクタが相手コネクタと正規嵌合されたことを確実に検知・記録することができる。
【0010】
(2)上記(1)のレバー式コネクタにおいて、前記ハウジング本体が、前記組付面と異なる側を向くとともに、電線を導出するための電線導出口が開口された電線導出面を有しており、前記コード配置面が、前記レバーが前記嵌合完了位置にあるときに前記電線導出面と同じ側を向く面であっても構わない。
なお、「電線導出面と同じ側を向き」とは、コード配置面が電線導出面と平行に配されている場合のみを含むものではなく、コード配置面が電線導出面側から視認可能な範囲で電線導出面に対して傾いている場合も含む意である。
【0011】
このような構成によれば、電線導出面の近傍には、電線導出面から導出された電線を配するために、ある程度広いスペースを必要とするため、他の部品が配置されにくく、検出装置を近づけるスペースを確保しやすい。これにより、レバーが嵌合完了位置にあるときに識別子が確実に検出可能となる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)のレバー式コネクタにおいて、前記レバーがコード配置凹部を有しており、前記コード配置面が前記コード配置凹部の内部空間に面していても構わない。
【0013】
このような構成によれば、コード配置面がコネクタハウジングの外面や外部部材の表面とは接触しないようになっている。このため、コード配置面に配された識別子が、レバーの回動に伴ってコネクタハウジングや外部部材によって損傷されることが確実に回避される。また、コード配置面が、レバーにおけるコード配置凹部の周囲部分によって外部空間から隔てられることとなるため、レバーが嵌合完了位置にないのに、意図する方向とは異なる方向から誤って識別子が検出されることを回避できる。
【0014】
(4)上記(3)のレバー式コネクタにおいて、前記コード配置凹部が前記レバーにおいて前記コネクタハウジングと対向する対向面に配されていても構わない。
【0015】
このような構成によれば、コード配置面が、レバーにおけるコード配置凹部の周囲部分と、コネクタハウジングとによって囲まれることとなるため、レバーが嵌合完了位置にないのに、意図する方向とは異なる方向から誤って識別子が検出されることを確実に回避できる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のうちいずれかに記載のレバー式コネクタにおいて、前記コネクタハウジングが、前記レバーに向かって突出し、前記レバーが嵌合完了位置にあるときには前記コード配置面からずれて配置されるが、前記レバーが嵌合開始位置と嵌合完了位置との間にあるときには前記コード配置面を前記組付面とは異なる側から覆う遮蔽突起を備えていても構わない。
【0017】
このような構成によれば、レバーが回動途中にある状態では、識別子が遮蔽突起によって覆われるから、レバー式コネクタと相手コネクタとの嵌合が完了していないのに誤って識別子が読み取られてしまうことを回避できる。
【0018】
(5)上記(1)から(4)のうちいずれかに記載のレバー式コネクタにおいて、前記コード配置面が、前記レバーが前記嵌合開始位置にあるときに前記組付面に対して傾いて配されていても構わない。
【0019】
このような構成によれば、レバーが回動途中にある状態において、コード配置面が、組付面とは異なる側から識別子を検出装置によって検出しにくい角度に保たれる。これにより、レバー式コネクタと相手コネクタとの嵌合が完了していないのに誤って識別子が読み取られてしまうことを回避できる。
【0020】
[実施形態の詳細]
本明細書によって開示される技術の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
[レバー式コネクタ1の全体構成]
本実施形態のレバー式コネクタ1は、車体パネル70(外部部材の一例)に組み付けられて、カムフォロア62を有する相手コネクタ60と嵌合するコネクタであって、図1に示すように、車体パネル70に組み付けられるレール受部21を備えるコネクタハウジング10と、このコネクタハウジング10に組み付けられるレバー30と、を備えている。
【0022】
[コネクタハウジング10]
コネクタハウジング10は、合成樹脂製であって、図2図3および図4に示すように、ハウジング本体11と、2つの回動軸18と、2つのレール受部21と、ハウジング本体11から外側に突出する遮蔽突起19と、を備えている。ハウジング本体11は、端子金具を保持するブロック状の端子保持部12と、この端子保持部12を囲んで配置され、相手コネクタ60を内部に受け入れる角筒状のフード部14と、を備えている。
【0023】
端子保持部12は、図2に示すように、電線導出面12Aを有するとともに、電線導出面12Aに開口部(電線挿入口13A)を有する複数のキャビティ13を有している。各キャビティ13の内部には、雌端子金具と、雌端子金具に接続された電線の端末部とが保持される。
【0024】
フード部14は、両端に開口を有する筒状をなしている。フード部14の2つの開口のうち一方は、図2に示すように、電線導出口14Aとなっており、電線導出口14Aからは電線導出面12Aが外部に臨んでいる。2つの開口のうち他方は、図3に示すように、相手コネクタ60の進入を許容する嵌合口14Bとなっている。フード部14は、電線導出面12Aに対して垂直な2つのレバー取付壁15と、2つのレバー取付壁15を接続する組付壁16とを備えている。2つのレバー取付壁15は、それぞれ、嵌合口14Bの口縁から延び、相手コネクタ60のカムフォロア64が挿通される受入溝17を有している。2つの回動軸18のそれぞれは、略円柱状をなし、2つのレバー取付壁15の外表面にそれぞれ配されている。
【0025】
2つのレール受部21は、図3および図4に示すように、組付壁16の外表面(組付面16A)に、互いに平行に配されている。各レール受部21は、相手側のレール受部21に対向する面に配された装着溝22を有している。
【0026】
遮蔽突起19は、図2に示すように、一方のレバー取付壁15から外側に突出する突起であって、電線導出口14Aの開口縁に隣接して配されている。
【0027】
[レバー30]
レバー30は、てこの原理によって相手コネクタ60との嵌合および離脱を補助するための部材である。レバー30は、合成樹脂製であって、図5に示すように、2つのカム板32、33と、2つのカム板32、33を連結する回動操作部34とを備えた、略U字形の部材である。
【0028】
一方のカム板32は、図5および図6に示すように、厚みのある板状をなし、表裏両面のうち一面は、レバー取付壁15と対向する対向面32Aとなっている。カム板32は、回動軸18を受け入れる軸孔35と、対向面32Aに配され、カムフォロア64を受け入れるカム溝36とを有している。軸孔35は、カム板32を貫通する略円形の孔である。カム溝36は、カム板32の一縁にカム進入口36Aを有し、このカム進入口36Aから奥方に向かって延びている。カム溝36は、カム進入口36Aから奥方に向かうにつれて次第にカム板32の回動中心である軸孔35に接近するような略弧状をなしている。他方のカム板33についても同様である。
【0029】
レバー30は、図1および図7に示すように、コネクタハウジング10を跨ぐようにして取り付けられ、2つのカム板32、33がそれぞれレバー取付壁15に沿って配置され、回動軸18が軸孔35に嵌合される。レバー30は、回動軸18を回動中心として、嵌合開始位置(図1図7および図9に示す位置)と、コネクタハウジング10に対して相手コネクタ60が正嵌合位置に嵌合された状態となる嵌合完了位置(図13に示す位置)との間で回動可能に軸支されている。カム板32の外周面は、レバー30が嵌合開始位置にある状態で組付面16Aと同じ側を向く第1外周面32B(図9参照)と、レバー30が完了にある状態で組付面16Aと同じ側を向く第2外周面32C(図13参照)とを有している。
【0030】
一方のカム板32は、対向面32Aに配されるコード配置凹部41を有している。コード配置凹部41は、図6図7および図8に示すように、レバー取付壁15と対向する段差面42と、段差面42の周囲に配され、段差面42と対向面32Aとを繋ぐ第1側壁面43A、第2側壁面43B、コード配置面43Cとで定義される凹部であって、対向面32Aと第1外周面32Bとに開口している。第1側壁面43A、第2側壁面43B、およびコード配置面43Cは、第2外周面32Cに近い側からこの順に並んで配されている。第1側壁面43Aは、第1外周面32Bから延び、第2外周面32Cから離れるほど第1外周面32Bから離れるように傾斜している。コード配置面43Cは、第2外周面32Cから離れるほど第1外周面32Bに近づくように傾斜し、第1外周面32Bに接続されている。コード配置面43Cの傾斜角度は、第1外周面32Bに対して概ね45°となっている。コード配置面43Cは、レバー30が嵌合開始位置にある状態では組付面16Aと同じ側を向き、レバー30が嵌合完了位置にある状態では電線導出面12Aと同じ側を向くようになっている(図9および図13参照)。コード配置面43Cは、コード配置凹部41の第1外周面32B側の開口から外部に臨んでいる。コード配置面43Cは、コード配置凹部41の内部空間に面しており、コネクタハウジング10の外面や車体パネル70の表面とは接触しないようになっている。
【0031】
カム板32において、段差面42と、カム板32において対向面32Aとは反対側の外面とで挟まれた部位は、コード配置面43Cをコード配置凹部41の外部空間から隔てる隔壁44となっている。
【0032】
[二次元コード50]
コード配置面43Cには、図6図7および図8に示すように、二次元コード50(識別子の一例)が配されている。二次元コード50は、例えば、コード配置面43Cにレーザ印刷を行うことにより形成することができる。二次元コード50には、例えば、「嵌合完了」や「ロットナンバー」等の情報が記録されている。この二次元コード50をコードリーダー等の検出装置を用いて検出し、記録された情報を読み取ることができる。検出装置によって読み取られた情報は記録装置に記録される。
【0033】
[相手コネクタ60]
相手コネクタ60は、合成樹脂製であって、図9に示すように、フード部14の内部に収容されるとともに端子保持部12を内部に受け入れる相手ハウジング61と、相手ハウジング61の外表面に配された2つのカムフォロア62とを備える。図9図11および図13には、一方のカム板32に配されたカム溝36に対応する1つのカムフォロア62のみを示すが、2つのカムフォロア62は、2つのカム板32、33が有する2つのカム溝36に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0034】
[レバー式コネクタ1の製造工程]
レバー式コネクタ1を製造する際には、まず、レバー30のコード配置面43Cに二次元コード50が印字される。その後、レバー30がコネクタハウジング10に組み付けられ、嵌合開始位置にセットされる。
【0035】
製造工程完了後、組付工程に進む前のレバー式コネクタ1に対して、二次元コード50が正常に検出可能か否かの確認が行われる。この確認工程は、例えば、検出装置によって二次元コード50を読み取ることができるか否かをテストすることによって行うことができる。
【0036】
レバー式コネクタ1が車体パネル70に組み付けられておらず、かつ、相手コネクタ60と嵌合されていない状態(レバー30が嵌合開始位置にある状態)では、コード配置面43C、およびここに配されている二次元コード50は、外部から視認可能であり、かつ、検出装置によって検出可能となっている。より具体的には、図7に示すように、コード配置面43Cが組付面16Aと同じ側を向いており、コード配置面43Cに配置される二次元コード50は、組付面16A側から視認可能かつ検出装置によって検出可能となっている。これにより、確認工程をスムーズに行うことができる。
【0037】
二次元コード50が正常に検出可能であることが確認されたレバー式コネクタ1は、次の組付工程に進む。
【0038】
[レバー式コネクタ1の組付工程]
レバー式コネクタ1は、レバー30が嵌合開始位置に配された状態で、車体パネル70に組み付けられる。車体パネル70は、図10に示すように、パネル本体71と、パネル本体71の表面に配され、2つのレール受部21にそれぞれ係合する2つのレール72とを備えている。各レール72は、パネル本体71の表面から突出する縦レール73と、縦レール73の延出端から他方の縦レール73とは反対方向に延びる横レール74とを備えている。横レール74が装着溝22に進入してレール受部21に係合することで、レバー式コネクタ1が車体パネル70に固定される。
【0039】
レバー式コネクタ1が車体パネル70に組み付けられた状態では、図9に示すように、組付面16Aがパネル本体71に対向して配されている。レバー30が嵌合開始位置に配されているので、コード配置面43Cは組付壁16と同じ側、つまり、車体パネル70の方を向いて配されている。したがって、コード配置面43Cに配された二次元コード50が車体パネル70に隠されているか、完全に隠されていないとしても、車体パネル70が邪魔になるために検出装置を二次元コード50に近づけることができず、二次元コード50を検出装置によって読み取ることができない。これにより、相手コネクタ60が嵌合されていないのに誤って二次元コード50が読み取られてしまうことを回避できる。
【0040】
なお、図10に示すように、コード配置面43Cおよびここに配された二次元コード50は、電線導出面12A側からは視認不能かつ検出装置によって検出不能となっている。
【0041】
次に、相手コネクタ60がレバー式コネクタ1に嵌合される。レバー30は、嵌合開始位置から嵌合完了位置まで回動されるのに伴って、カム溝36とカムフォロア62とのカム作用によって相手コネクタ60をコネクタハウジング10に対して相対的に引き寄せることで、相手コネクタ60との嵌合操作を補助する。
【0042】
まず、相手ハウジング61が嵌合口14Bからフード部14の内部に進入し、レバー式コネクタ1が相手コネクタ60に浅く嵌合される。カムフォロア62がカム溝36に進入する。
【0043】
次に、レバー30が嵌合開始位置から嵌合完了位置に向けて回動される。レバー30の回動に伴って、カムフォロア62とカム溝36との係合に基づくカム作用によって、コネクタハウジング10が相手コネクタ60に相対的に引き寄せられる。ここで、コード配置面43Cは、コード配置凹部41の内部空間に面しており、コネクタハウジング10の外面、および車体パネル70の表面とは接触しないようになっている。このため、コード配置面43Cに配された二次元コード50が、レバー30の回動に伴ってコネクタハウジング10や車体パネル70に接触して損傷されることが回避される。
【0044】
レバー30は、嵌合完了位置に近づくにつれて、第1外周面32Bが電線導出面12Aと同じ側を向くように姿勢を変化させる。これに伴って、コード配置面43Cも、電線導出面12Aと同じ側を向くように姿勢を変化させる。しかし、コード配置面43Cは、第1外周面32Bに対して傾いているので、レバー30が回動途中にある状態では、図11に示すように、電線導出面12A側(図11の左側)からは検出装置によって検出しにくい角度が保たれる。さらに、コネクタハウジング10が遮蔽突起19を備えている。この遮蔽突起19は、図12に示すように、レバー30が嵌合開始位置から嵌合完了位置に回動される途中の位置にあるときに、コード配置面43Cとここに配されている二次元コード50とを電線導出面12A側から覆って読み取りを妨げる。これらにより、レバー式コネクタ1と相手コネクタ60との嵌合が完了していないのに誤って二次元コード50が読み取られてしまうことを回避できる。
【0045】
レバー30が嵌合完了位置に達した状態では、図13に示すように、コード配置面43Cが電線導出面12Aと同じ側を向いて配置される。また、遮蔽突起19がコード配置面43Cよりも組付面16Aに近い側にずれて配置され、遮蔽突起19による二次元コード50の遮蔽が解除される。これにより、検出装置を電線導出面12A側から二次元コード50に近づけ、二次元コード50を検出することが可能となる。ここで、コード配置面43Cは、コード配置凹部41の内部空間に面して配されており、隔壁44とレバー取付壁15とが、コード配置面43Cを外部空間から隔てている。これにより、第1外周面32B側からしかコード配置面43Cに配置された二次元コード50にアクセスできないようになっており、レバー30が嵌合完了位置にないのに、意図する方向とは異なる方向から誤って二次元コード50が検出されることを回避できる。
【0046】
二次元コード50が検出装置によって検出された場合には、コネクタハウジング10が相手コネクタ60に対して嵌合完了位置に至っていると判断され、二次元コード50に含まれる情報が記録装置に記録される。
【0047】
[作用効果]
以上のように本実施形態によれば、レバー式コネクタ1は、相手コネクタ60と嵌合可能であって、組付面16Aを有するハウジング本体11と、組付面16Aに配され、車体パネル70と係合するレール受部21と、を備えるコネクタハウジング10と、コード配置面43Cを有し、コネクタハウジング10に対して嵌合開始位置から嵌合完了位置まで回動可能に組み付けられるレバー30と、コード配置面43Cに配される二次元コード50と、を備え、コード配置面43Cが、レバー30が嵌合開始位置にあるときと嵌合完了位置にあるときの双方において外部に臨む面であって、レバー30が嵌合開始位置にあるときには組付面16Aと同じ側を向き、レバー30が嵌合完了位置にあるときには組付面16Aとは異なる側を向く面である。
【0048】
上記の構成によれば、コード配置面43Cが、レバー30が嵌合開始位置にあるときと嵌合完了位置にあるときの双方において外部に臨む面であるから、レバー式コネクタ1の相手コネクタ60への組み付け動作中に二次元コード50が他の部材に擦れ合い、二次元コード50が傷ついて読み取り不能となってしまうことを回避できる。また、レバー式コネクタ1が外部部材に組み付けられていない単体の状態では、二次元コード50を容易に検出できるため、組み付け作業の前に、二次元コード50が傷ついて検出不能となっていないかを容易に確認することができる。一方、レバー式コネクタ1が車体パネル70に組み付けられた状態では、レバー30が嵌合開始位置にあるときには二次元コード50を検出することができず、レバー30が嵌合完了位置にあるときに二次元コード50が検出可能となる。以上より、レバー式コネクタ1が相手コネクタ60と正規嵌合されたことを確実に検知・記録することができる。
【0049】
また、ハウジング本体11が、組付面16Aと異なる側を向くとともに、電線を導出するための電線導出口14Aが開口された電線導出面12Aを有しており、コード配置面43Cが、レバー30が嵌合完了位置にあるときに電線導出面12Aと同じ側を向く面である。
【0050】
このような構成によれば、電線導出面12Aの近傍には、電線導出面12Aから導出された電線を配するために、ある程度広いスペースを必要とするため、他の部品が配置されにくく、検出装置を近づけるスペースを確保しやすい。これにより、レバー30が嵌合完了位置にあるときに二次元コード50が確実に検出可能となる。
【0051】
また、レバー30がコード配置凹部41を有しており、コード配置面43Cがコード配置凹部41の内部空間に面している。
【0052】
このような構成によれば、コード配置面43Cがコネクタハウジング10の外面や車体パネル70の表面とは接触しないようになっている。このため、コード配置面43Cに配された二次元コード50が、レバー30の回動に伴ってコネクタハウジング10や車体パネル70によって損傷されることが確実に回避される。また、コード配置面43Cが、レバー30におけるコード配置凹部41の周囲部分(具体的には隔壁44)によって外部空間から隔てられることとなるため、レバー30が嵌合完了位置にないのに、意図する方向とは異なる方向から誤って二次元コード50が検出されることを回避できる。
【0053】
また、コード配置凹部41がカム板32においてコネクタハウジング10と対向面に配されていても構わない。
【0054】
このような構成によれば、コード配置面43Cが、カム板32におけるコード配置凹部41の周囲部分(具体的には隔壁44)と、コネクタハウジング10とによって囲まれることとなるため、レバー30が嵌合完了位置にないのに、意図する方向とは異なる方向から誤って二次元コード50が検出されることを確実に回避できる。
【0055】
また、コネクタハウジング10が、レバー30に向かって突出し、レバー30が嵌合完了位置にあるときにはコード配置面43Cからずれて配置されるが、レバー30が嵌合開始位置と嵌合完了位置との間にあるときにはコード配置面43Cを組付面16Aとは異なる側から覆う遮蔽突起19を備えている。
【0056】
このような構成によれば、レバー30が回動途中にある状態では、二次元コード50が遮蔽突起19によって覆われるから、レバー式コネクタ1と相手コネクタ60との嵌合が完了していないのに誤って二次元コード50が読み取られてしまうことを回避できる。
【0057】
また、コード配置面43Cが、組付面16Aに対して傾いて配されている。
【0058】
このような構成によれば、レバー30が回動途中にある状態では、コード配置面43Cは、組付面16Aとは異なる側から二次元コード50を検出装置によって検出しにくい角度に保たれる。これにより、レバー式コネクタ1と相手コネクタ60との嵌合が完了していないのに誤って二次元コード50が読み取られてしまうことを回避できる。
【0059】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、識別子が二次元コードであったが、識別子は、例えばバーコード等の一次元コード、文字、数字、図柄、凹凸、またはこれらの組み合わせであっても構わない。
(2)上記実施形態では、相手部材が車体パネル70であったが、相手部材の種類には特に制限はなく、車体パネル以外の部材であっても構わない。
(3)上記実施形態では、レバーが嵌合完了位置にあるときに、コード配置面43Cが電線導出面12Aと同じ側を向くようになっていたが、レバーが嵌合完了位置にあるときの識別子の検出方向は上記実施形態に限るものではなく、例えば嵌合面側であっても構わない。
(4)上記実施形態では、二次元コードが一方のカム板32に配置されていたが、例えば、識別子が2つのカム板の双方に配置されていても構わない。このような構成によれば、コネクタハウジングから導出された電線によって一方のカム板が隠された場合でも、他方のカム板に配された識別子を読み取ることが可能となり、電線の配索方向の自由度が高まる。
(5)上記実施形態では、コード配置面43Cが、レバー30が嵌合開始位置にある状態において組付面16Aに対して概ね45°傾いていたが、コード配置面の傾斜角度は上記実施形態の限りではなく、コード配置面に配された識別子が、レバーが嵌合開始位置にある状態において組付面側から視認可能かつ検出可能であり、レバーが嵌合完了位置にある状態において組付面とは異なる側から視認可能かつ検出可能となる範囲内で任意である。あるいは、コード配置面が、レバーが嵌合開始位置にある状態において組付面に対して平行であっても構わない。
【符号の説明】
【0060】
1:レバー式コネクタ
10:コネクタハウジング
11:ハウジング本体
12:端子保持部
12A:電線導出面
13:キャビティ
13A:電線挿入口
14:フード部
14A:電線導出口
14B:嵌合口
15:レバー取付壁
16:組付壁
16A:組付面
17:受入溝
18:回動軸
19:遮蔽突起
21:レール受部
22:装着溝
30:レバー
32、33:カム板
32A:対向面
32B:第1外周面
32C:第2外周面
34:回動操作部
35:軸孔
36:カム溝
36A:カム進入口
41:コード配置凹部
42:段差面
43A:第1側壁面
43B:第2側壁面
43C:コード配置面
44:隔壁
50:二次元コード(識別子)
60:相手コネクタ
61:相手ハウジング
62:カムフォロア
70:車体パネル(外部部材)
71:パネル本体
72:レール
73:縦レール
74:横レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15