(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069747
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】スーツケース
(51)【国際特許分類】
A45C 5/03 20060101AFI20230511BHJP
A45C 5/14 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A45C5/03
A45C5/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181851
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】707001241
【氏名又は名称】アジア・ラゲージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【弁理士】
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 京子
(72)【発明者】
【氏名】金村 徳厚
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA02
3B045CE07
3B045EA03
3B045EB11
3B045FB02
3B045FC04
3B045FC06
3B045FC08
3B045GA01
3B045GB01
3B045GC01
3B045GD01
3B045GD03
(57)【要約】
【課題】 開閉部を容易に開閉することが可能なスーツケースを提供する。
【解決手段】スーツケース1は、開口部12を有する収納部10と、収納部10に設けられたロック機構30と、収納部10に開閉可能で取り付けられた開閉部40(41)と、開閉部40の周辺に沿って設けられ、開口部40に収納可能なフレーム42と、フレーム42に設けられ、ロック機構30と係合する係合部43とを具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する収納部と、
前記収納部に設けられたロック機構と、
前記収納部に開閉可能で取り付けられた開閉部と、
前記開閉部の周辺に沿って設けられ、前記開口部に収納可能なフレームと、
前記フレームに設けられ、前記ロック機構と係合する係合部と
を具備することを特徴とするスーツケース。
【請求項2】
前記係合部は、穴部を有し、
前記ロック機構は、フック部を有し、
前記開閉部を閉じる場合、前記フック部が前記穴部に引っ掛けられることを特徴とする請求項1に記載のスーツケース。
【請求項3】
前記開閉部を閉じた状態の場合、前記収納部の前記開口部側の面と前記開閉部の面が平坦であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスーツケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に開閉することが可能な開閉部を有するスーツケースに関する。
【背景技術】
【0002】
スーツケースは、キャスターによって重い荷物でも軽い力で運ぶことができるため、移動時に大変重宝されている。このようなスーツケースにおいて荷物を取り出す場合は、通常、スーツケース本体を横に寝かせて、ケースを広げる必要があり、大掛かりな作業となってしまう。
【0003】
そこで、特許文献1のような、スーツケースを直立させた状態で荷物の出し入れが可能なフロントオープン型のスーツケースが提案されている。フロントオープン型のスーツケースは、空港や狭い機内などで、場所を取らずにパソコンや小物など、前面のポケットからすぐに取り出すことが可能であり、非常に便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようなフロントオープン型のスーツケースでは、開口蓋3はファスナー5aで開閉される構造となっている。この場合、開口蓋3を開閉する場合、スーツケースを押さえながらファスナー5aをスライドさせるため、両手を使う必要が生じる。このため、開口蓋3を片手で容易に開閉することが難しい。
そこで、本発明は、開閉部を容易に開閉することが可能なスーツケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によるスーツケースは、開口部を有する収納部と、前記収納部に設けられたロック機構と、前記収納部に開閉可能で取り付けられた開閉部と、前記開閉部の周辺に沿って設けられ、前記開口部に収納可能なフレームと、前記フレームに設けられ、前記ロック機構と係合する係合部とを具備する。
【0007】
前記スーツケースにおいて、前記係合部は、穴部を有し、前記ロック機構は、フック部を有し、前記開閉部を閉じる場合、前記フック部が前記穴部に引っ掛けられてもよい。
【0008】
前記スーツケースにおいて、前記開閉部を閉じた状態の場合、前記収納部の前記開口部側の面と前記開閉部の面が平坦であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、開閉部を容易に開閉することが可能なスーツケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの開閉部が開いた状態の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの開閉部が閉じた状態の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの開閉部の分解図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの開閉部の分解図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの開閉部の一部拡大図を示す。
【
図6】
図6(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの可動部の分解図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの可動部、開閉部及びロック機構の分解図を示す。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係るスーツケースのロック機構の分解図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、共通する参照符号を付す。
【0012】
[1]スーツケース
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの斜視図を示す。
図1は、開閉部が開いた状態であり、
図2は、開閉部が閉じた状態である。以下、本実施形態に係るスーツケースの概略的な構成について説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るスーツケース1は、収納部10、20、ロック機構30、開閉部40、キャスター50、トップハンドル60、キャリーハンドル70を備えている。尚、スーツケース1の部品については、図示する部品に限定されず、適宜追加、変更等が可能である。
【0014】
収納部10、20は、所定容量の衣服類等の荷物を収納及び保管することができ、ファスナー11により開閉可能になっている。収納部10、20は、例えば、金属製、プラスチック製、布製等の箱型で形成されている。
【0015】
収納部10は、開口部12を有している。この開口部12から、荷物の出し入れが可能である。
収納部10は、ロック機構30を備えている。ロック機構30は、ファスナー11をロックする機能と後述する開閉部40の係合部43をロックする機能とを有している。
【0016】
開閉部40は、収納部10に開閉可能な状態で取り付けられている。開閉部40は、本体部41、フレーム42、係合部43を備えている。フレーム42は、本体部41の周辺に沿って設けられ、開口部12に収納可能である。係合部43は、フレーム42に設けられ、ロック機構30と係合する。この係合部43を用いて、開閉部40がワンタッチ式で開閉可能である。開閉部40を閉じた状態の場合(
図2)、収納部10の開口部12側の面と開閉部40の面が平坦な状態となる。開閉部40の詳細は、後述する。
【0017】
キャスター50は、収納部10、20の底面に取り付けられている。キャスター50が回転することで、スーツケース1を容易に移動させることができる。キャスター50は、収納部10、20の底面に合計4個設けられている。但し、本実施形態は、4輪キャスターに限定されず、例えば2輪キャスターでもよい。
【0018】
トップハンドル60は、収納部20の上面上に取り付けられている。キャリーハンドル70は、収納部20の上面側に設けられ、上下に伸縮可能なハンドル管(図示せず)に取り付けられている。
【0019】
尚、本実施形態のスーツケース1では、収納部10、20と開閉部40との収納スペースが一体になっていても、分離されていてもよい。前者の場合、開閉部40から収納部10、20内の荷物を取り出すことができ、後者の場合、開閉部40と収納部10、20の荷物が混ざらずに小分けにした収納が可能である。
【0020】
[2]開閉部
図3及び
図4は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの開閉部の分解図を示す。
図5は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの開閉部の一部拡大図を示す。以下、本実施形態に係る開閉部の構成について説明する。
【0021】
図3及び
図4に示すように、本実施形態に係る開閉部40は、本体部41、フレーム42、係合部43、本体フレーム44、可動部45を有している。
【0022】
本体部41は、例えば、収納部10、20と同じ材質で形成されている。本体フレーム44は、本体部41の周囲に形成されている。フレーム42は、本体部41及び本体フレーム44の周囲にはめ込み可能で設けられている。フレーム42及び本体フレーム44は、同じ材質で形成されても、異なる材質で形成されてもよい。
【0023】
フレーム42におけるトップハンドル60側には係合部43が設けられ、フレーム42におけるトップハンドル60と反対側には可動部45が設けられている。係合部43は、収納部10側に突出した凸部を有している。この係合部43の凸部の端部には、穴部43aが形成されている。尚、係合部43は、図示する形状に限定されず、種々変更可能である。
【0024】
可動部45の一端はフレーム42に取り付けられ、可動部45の他端は収納部10に取り付けられている。尚、可動部45は、図示する形状に限定されず、例えば、布製のもの等に種々変更可能である。
【0025】
図5に示すように、フレーム42は、凹部46を有している。本体フレーム44は、フレーム42の凹部46にはめ込まれる。開閉部40は、フレーム42及び本体フレーム44により、強固な構造となっている。但し、本実施形態の開閉部40において、フレーム42及び本体フレーム44の二重構造に限定されず、フレームは1つや3つ以上等適宜変更可能である。
【0026】
[3]可動部
図6(a)乃至(c)は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの可動部の分解図を示す。
図7は、本発明の一実施形態に係るスーツケースの可動部、開閉部及びロック機構の分解図を示す。以下、本実施形態に係る可動部の構成について説明する。
【0027】
図6(a)乃至(c)、
図7に示すように、本実施形態に係る可動部45は、本体部45a、連結部45b、連結棒45c、ねじ45d、45g、ばね45hを有している。連結棒45cは、ばね45hを介して、本体部45aの穴45e及び連結部45bの穴45fに差し込まれる。本体部45aは、ねじ45dによって収納部10に留められる。このように、本実施形態の可動部45は、開閉部40が開閉可能となるように可動構造となっている。
【0028】
[4]ロック機構
図8は、本発明の一実施形態に係るスーツケースのロック機構の分解図を示す。以下、本実施形態に係るロック機構の構造について説明する。
【0029】
図8に示すように、本実施形態に係るロック機構30は、収納部10のトップハンドル60側に設けられている。ロック機構30は、ロック部30a、ロック溝30b、ダイヤル30c、スライドボタン30d、枠30e、差込口30f、フック部30gを有している。
【0030】
ロック部30aにおいて、収納部10から外側に露出する面には、ロック溝30b、ダイヤル30c、スライドボタン30dが設けられている。ロック溝30bには、ファスナー11の引手が差し込まれる。ダイヤル30cは暗証番号が設定可能であり、ダイヤル33cを設定した暗証番号に合わせると、ロックが解除される。スライドボタン30dは、ファスナー11及び係合部43のロック解除の際にスライドして使用される。
【0031】
枠30eは、収納部10の内側に設けられている。この枠30eにロック部30aが収納されている。枠30eにおけるロック部30aと反対側に差込口30fが設けられている。開閉部40を閉じる際、差込口30fに係合部43が差し込まれる。
【0032】
フック部30gは、枠30e内に設けられ、ロック部30aに繋げられている。開閉部40を閉じる際、フック部30gが係合部43の穴部43aに引っ掛かることで、開閉部40がロックされる。
【0033】
[5]開閉部の開閉
図1及び
図8を用いて、本実施形態に係る開閉部の開閉について説明する。
図1及び
図8に示すように、本実施形態に係る開閉部40は、フレーム42を備え、このフレーム42に係合部43を有している。この係合部43を用いることで、ワンタッチ式で開閉部40の開閉が容易に可能となる。
【0034】
開閉部40を閉じる場合、開閉部40を収納部10側に押すことで、開閉部40の係合部43が、ロック機構30の差込口30fに差し込まれる。これにより、フック部30gが係合部43の穴部43aに引っ掛かり、さらに係合部43を押すことで、開閉部40はロックされる。
【0035】
開閉部40を開く場合、開閉部40の係合部43辺りを押す。これにより、係合部43に紙面に対して下方に力が加わり、穴部43aに引っ掛かったフック部30gが外れる。その結果、係合部43が差込口30fから抜け、開閉部40が開けられる。
【0036】
[6]効果
本実施形態に係るスーツケース1は、収納部10に開口部12及びロック機構30が設けられ、フロント部分に開閉部40を有している。開閉部40では、本体部41の周辺にフレーム42が設けられ、このフレーム42に係合部43が設けられている。フレーム42は例えば強固な材質で形成され、開口部12に収納可能となっている。ロック機構30では、係合部43を差し込むための差込口30fが設けられている。
【0037】
このようなスーツケース1では、開閉部40を閉じる場合、開閉部40を収納部10側に押すだけで、フレーム42が開口部12の位置に精確に導かれ、係合部43を差込口30fに差し込むことが可能である。一方、開閉部40を開ける場合も、開閉部40を収納部10側に押すだけで、係合部43が差込口30fから外れ、開閉部40を開くことができる。従って、本実施形態の開閉部40はワンタッチ式のため、片手で容易に開閉部40を開閉することが可能である。
【0038】
また、本実施形態の開閉部40はワンタッチ式であるため、従来のスーツケースのように開閉部40にファスナーを用いていない。このため、本実施形態に係るスーツケース1は、ファスナーに関する重量分、スーツケース1の軽量化を図ることができる。さらに、本実施形態に係るスーツケース1は、ファスナーを用いる従来と比べて、製造及び組み立ても容易となり、スーツケース1内への水の侵入を抑制することも可能である。
【0039】
また、本実施形態の開閉部40が閉じられている状態の場合、収納部10の開口部12側の面と開閉部40の面がフラットな状態となる。このため、本実施形態の開閉部40側の面を机として使用することも可能である。
【0040】
また、本実施形態の開閉部40では、フレーム42及び本体フレーム44がはめ込まれた構造となっている。このため、これらフレーム42及び本体フレーム44間に内装を挟み込めるため、内ポケット等の内装が付け易くなる。さらに、2重のフレーム42、44により、開閉部40の強度を向上させることができる。
【0041】
尚、上述した本実施形態のスーツケース1は、収納部10、20が開閉し、開閉部40も開閉するタイプであったが、これに限定されない。例えば、収納部10、20は開閉せずに一体となった箱型であり、開閉部40のみが開閉するタイプであってもよい。
【0042】
また、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1…スーツケース
10、20…収納部
11…ファスナー
12…開口部
30…ロック機構
30a…ロック部
30b…ロック溝
30c…ダイヤル
30d…スライドボタン
30e…枠
30f…差込口
30g…フック部
40…開閉部
41…本体部
42…フレーム
43…係合部
43a…穴部
44…本体フレーム
45…可動部
45a…本体部
45b…連結部
45c…連結棒
45d、45g…ねじ
45e、45f…穴
45h…ばね
46…凹部