(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069766
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20230511BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20230511BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20230511BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20230511BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20230511BHJP
【ＦＩ】
G01D11/24 K
G01M99/00 Z
G01H17/00 Z
H01M50/247
H01M50/271 B
H01M50/244 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2021181879
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード（参考）】
2G024
2G064
5H040
【Ｆターム（参考）】
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064DD02
5H040AA01
5H040AA07
5H040AS25
5H040AT01
5H040AY05
5H040CC06
5H040CC13
5H040CC20
5H040CC25
5H040CC33
5H040CC36
5H040CC38
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】サイズや重量の増加、および製造コストの上昇を抑えながら、大きな電池容量を確保し、且つ、収納された電池を筐体部内で確実に保持することが可能な計測装置を提供する。
【解決手段】筐体部におけるケースの裏面側には、円筒形電池を収納する電池収納部１０１ｍが設けられている。電池収納部は、円筒形電池を個別に収納する凹部を有する。電池収納部は、各凹部１０１ａにおいて、各円筒形電池１７の長手方向の両端部１７ｄ，１７ｅを凹部１０１ａの底面１０１ｌとの間で保持する端保持部１０１ｉ，１０１ｊを有する。
【選択図】図４
【解決手段】筐体部におけるケースの裏面側には、円筒形電池を収納する電池収納部１０１ｍが設けられている。電池収納部は、円筒形電池を個別に収納する凹部を有する。電池収納部は、各凹部１０１ａにおいて、各円筒形電池１７の長手方向の両端部１７ｄ，１７ｅを凹部１０１ａの底面１０１ｌとの間で保持する端保持部１０１ｉ，１０１ｊを有する。
【選択図】図４
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長尺な略直方体形状を有するとともに、複数の電池を収納する筐体部と、
前記筐体部における長手方向の一方の端面から突出形成され、先端が計測対象物に押し当てられることにより当該計測対象物の状態を計測する部位であって、棒状または筒状のプローブと、
を備え、
前記複数の電池は、それぞれが長尺柱状の外観形状を有し、
前記筐体部は、
前記複数の電池が収容されるとともに、一方の主面から厚み方向に凹入し、前記一方向の長さが当該一方向に対して直交する方向の長さに比べて長い開口部を有する電池収納部が設けられたケースと、
前記ケースの開口部を閉じる蓋と、
を有し、
前記電池収納部は、前記開口部の側において、前記複数の電池のそれぞれに対して当該電池の長手方向の両端部を当該電池収納部の底面との間で保持する端保持部を有する、
計測装置。
前記筐体部における長手方向の一方の端面から突出形成され、先端が計測対象物に押し当てられることにより当該計測対象物の状態を計測する部位であって、棒状または筒状のプローブと、
を備え、
前記複数の電池は、それぞれが長尺柱状の外観形状を有し、
前記筐体部は、
前記複数の電池が収容されるとともに、一方の主面から厚み方向に凹入し、前記一方向の長さが当該一方向に対して直交する方向の長さに比べて長い開口部を有する電池収納部が設けられたケースと、
前記ケースの開口部を閉じる蓋と、
を有し、
前記電池収納部は、前記開口部の側において、前記複数の電池のそれぞれに対して当該電池の長手方向の両端部を当該電池収納部の底面との間で保持する端保持部を有する、
計測装置。
【請求項2】
請求項１に記載の計測装置において、
前記電池収納部は、前記複数の電池のそれぞれが個別に収容される複数の凹部を有し、
前記端保持部は、前記凹部における開口部側の縁部から前記底面に沿うように突出形成されている、
計測装置。
前記電池収納部は、前記複数の電池のそれぞれが個別に収容される複数の凹部を有し、
前記端保持部は、前記凹部における開口部側の縁部から前記底面に沿うように突出形成されている、
計測装置。
【請求項3】
請求項２に記載の計測装置において、
前記複数の凹部のそれぞれには、当該凹部内に収納された電池をその長手方向の一方に向けて付勢する弾性部材が配設されている、
計測装置。
前記複数の凹部のそれぞれには、当該凹部内に収納された電池をその長手方向の一方に向けて付勢する弾性部材が配設されている、
計測装置。
【請求項4】
請求項１から請求項３の何れかに記載の計測装置において、
前記蓋は、前記一方向における一方の端部に、当該一方向の外向きに突出形成された係止片部を有し、
前記ケースは、前記電池収納部の周囲の内、前記一方向における前記蓋の一方の端部が配される部分に、前記係止片部が嵌入されることにより前記蓋を前記ケースに対して係合させる係止凹部を有し、
該計測装置は、前記蓋における前記一方向の他方の端部と前記ケースにおける前記電池収納部の周囲の部分とをネジ止めするネジをさらに備え、
前記蓋と前記ケースとは、前記係止凹部への前記係止片部の嵌入による係合と、前記ネジによるネジ止めとにより、互いに結合される、
計測装置。
前記蓋は、前記一方向における一方の端部に、当該一方向の外向きに突出形成された係止片部を有し、
前記ケースは、前記電池収納部の周囲の内、前記一方向における前記蓋の一方の端部が配される部分に、前記係止片部が嵌入されることにより前記蓋を前記ケースに対して係合させる係止凹部を有し、
該計測装置は、前記蓋における前記一方向の他方の端部と前記ケースにおける前記電池収納部の周囲の部分とをネジ止めするネジをさらに備え、
前記蓋と前記ケースとは、前記係止凹部への前記係止片部の嵌入による係合と、前記ネジによるネジ止めとにより、互いに結合される、
計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置に関し、電池が収納される筐体部を有し、作業者が携帯する可搬タイプの計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気が流通する配管設備から復水（ドレン）のみを排出する用途に用いられるスチームトラップが知られている。このようなスチームトラップは、各種プラントで数多く配設されている。
【0003】
また、スチームトラップやその入り口部分のスチーム配管の振動の強度および表面温度を計測し、それらの相互関係から蒸気漏れの有無を診断することが行われている。このような診断には、スチームトラップ等の振動の強度を計測するための振動プローブと、スチームトラップ等の表面温度を計測するための温度プローブとを備える計測装置が用いられる。計測装置としては、作業者が携帯してプラント内のスチームトラップ等を計測する可搬タイプのものと、スチームトラップ等に振動プローブおよび温度プローブが固定された設置タイプのものとがある。特許文献１には、可搬タイプの計測装置が開示されている。
【0004】
図６（ａ）に示すように、特許文献１に開示の計測装置９は、筐体部９０と、プローブ９１と、蓋９２とを備える。筐体部９０は、扁平薄型の直方体形状を有する。筐体部９０の裏面９０ａには、電池９３，９４を収納する凹部９０ｂが形成されている。プローブ９１は、筐体部９０におけるＹ方向の端面から外側に向けて突出形成されている。プローブ９１の先端部分には、振動プローブの先端と温度プローブの先端とが配設されている。
【0005】
蓋９２は、電池９３，９４が収納された凹部９０ｂの開口を塞ぐように配され、ネジ９５，９６で筐体部９０に取り付けられる。筐体部９０には、ネジ９５，９６が螺合されるネジ孔９０ｃ，９０ｄが形成されている。
【0006】
図６（ｂ）に示すように、特許文献１に開示の計測装置９において、筐体部９０には、凹部９０ｂの外周部分に上記ネジ孔９０ｃ，９０ｄの他に、係止凹部９０ｅ，９０ｆも形成されている。係止凹部９０ｅ，９０ｆには、蓋９２に形成された係止片部（図示を省略。）が嵌入される。なお、図６（ｂ）に示すように、ネジ孔９０ｃ，９０ｄと係止凹部９０ｅ，９０ｆとは、Ｙ方向において凹部９０ｂを挟んだ状態で設けられている。
【0007】
特許文献１に開示の計測装置９では、計測したデータを作業者が携帯するノートブック型パーソナルコンピュータ（以下、「ノートＰＣ」と記載する。）などに逐次または適時に送信するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開２０１８－８４４１９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、石油コンビナートのようなプラントにおいては、防爆に関する規制によりＬｉ－ｉｏｎ電池を内蔵するノートＰＣをプラント内に持ち込むことができない場合がある。このようなプラントで計測装置を用いた計測を行う場合には、計測したデータを計測装置のメモリ等に記憶させておき、作業者がプラントから出た後にパーソナルコンピュータなどにデータを転送することが必要となる。このため、石油コンビナート等のプラントで用いる計測装置では、大量のデータをメモリ等に記憶しておくために電池容量を大きなものとすることが必要となる。
【0010】
大きな電池容量を有する計測装置を実現する具体策としては、上記特許文献１に開示の計測装置９に対して、２本以上の電池を追加した構成が考えられる。ここで、図６（ａ）に示す筐体部９０において、Ｘ方向の幅を大きくすることは当該部分を作業者が把持することから難しいと考えられる。よって、電池本数を増やそうとする場合には、図６（ａ）に示す筐体部９０をＹ方向に長くして、凹部９０ｂもＹ方向に長くすることにより、Ｙ方向に複数本の電池が並ぶように構成することが考えられる。
【0011】
しかしながら、上記特許文献１に開示の計測装置９について、筐体部９０をＹ方向に伸ばした場合、蓋９２もＹ方向に長くすることが必要となり、蓋９２の強度について問題が生じることが考えられる。即ち、筐体部９０内に収納する電池の数を増やした場合には、合計での電池の重量も増加することとなり、可搬時などに蓋９２に対して付加される荷重が増加することになる。このように蓋９２に対して付加される荷重が増加した場合、蓋９２が撓んだり、筐体部９０から外れたりしてしまうことが考えられ、電池間や電池と端子との間の接続不良を生じ得ることとなってしまう。
【0012】
これに対して、蓋９２の撓みや筐体部９０から外れたりするのを防ごうとする場合には、蓋９２の板厚を厚くしたり、蓋９２の材質を高強度なものとしたりすることも考えられるが、このような方策を採用する場合には、計測装置９全体での厚みや重量の増加、さらには製造コストの上昇といった問題が生じ得る。
【0013】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、サイズや重量の増加、および製造コストの上昇を抑えながら、大きな電池容量を確保し、且つ、収納された電池を筐体部内で確実に保持することが可能な計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る計測装置は、筐体部とプローブとを備える。前記筐体部は、一方向に長尺な略直方体形状を有するとともに、複数の電池を収納する。前記プローブは、前記筐体部における長手方向の一方の端面から突出形成され、先端が計測対象物に押し当てられることにより当該計測対象物の状態を計測する部位であって、棒状または筒状の形状を有する。前記筐体部に収納される前記複数の電池は、それぞれが長尺柱状の外観形状を有する。
【0015】
本態様に係る計測装置において、前記筐体部は、ケースと蓋とを有する。前記ケースは、前記複数の電池が収容されるとともに、一方の主面から厚み方向に凹入し、前記一方向の長さが当該一方向に対して直交する方向の長さに比べて長い開口部を有する電池収納部が設けられた部材である。前記蓋は、前記ケースの開口部を閉じる部材である。前記電池収納部は、前記開口部の側において、前記複数の電池のそれぞれに対して当該電池の長手方向の両端部を当該電池収納部の底面との間で保持する端保持部を有する。
【0016】
上記態様に係る計測装置では、電池収納部に電池ごとに対応して端保持部が形成されているので、作業者が該計測装置を可搬することにより筐体部に収納された複数の電池に力が加わっても、電池が電池収納部から離脱したり、電池収納部内で電池が移動したりするのが抑制される。このため、上記態様に係る計測装置では、電池の収納数を多くすることに伴い蓋の大きさが大きくなったとしても、当該蓋の板厚を厚くしたり、蓋の材質を高強度なものとしたりしなくても収納される電池を確実に電池収納部内で保持することができる。
【0017】
上記態様に係る計測装置において、前記電池収納部は、前記複数の電池のそれぞれが個別に収容される複数の凹部を有してもよく、前記端保持部は、前記凹部における開口部側の縁部から前記底面に沿うように突出形成されてもよい。
【0018】
上記態様に係る計測装置では、電池収納部が電池ごとに対応して凹部を有し、端保持部も凹部ごとに形成されているので、電池が各凹部から離脱するのを抑制するのにより優位である。
【0019】
上記態様に係る計測装置において、前記複数の凹部のそれぞれには、当該凹部内に収納された電池をその長手方向の一方に向けて付勢する弾性部材が配設されてもよい。
【0020】
上記態様に係る計測装置では、凹部に収容された電池が弾性部材により長手方向の一方に向けて付勢されるようになっているので、凹部内で電池がその長手方向に移動し難くすることが可能である。よって、計測装置の外部から振動などが加わっても、電池の長手方向における両端部に対する端保持部による保持状態が維持される。
【0021】
上記態様に係る計測装置において、前記蓋は、前記一方向における一方の端部に、当該一方向の外向きに突出形成された係止片部を有してもよく、前記ケースは、前記電池収納部の周囲の内、前記一方向における前記蓋の一方の端部が配される部分に、前記係止片部が嵌入されることにより前記蓋を前記ケースに対して係合させる係止凹部を有してもよく、該計測装置は、前記蓋における前記一方向の他方の端部と前記ケースにおける前記電池収納部の周囲の部分とをネジ止めするネジをさらに備えてもよく、前記蓋と前記ケースとは、前記係止凹部への前記係止片部の嵌入による係合と、前記ネジによるネジ止めとにより、互いに結合されてもよい。
【0022】
上記態様に係る計測装置では、蓋とケースとの結合を、係止凹部への係止片部の嵌入による係合と、ネジによるネジ止めとにより行うが、上述のように、電池収納部が端保持部を有する構成を採用することにより複数の電池は電池収納部内で収納された状態が維持可能であるので、係止片部のサイズやネジのネジ径を大きくしなくても、蓋がケースから外れるようなことが抑制される。
【0023】
また、上記態様に係る計測装置では、ネジのネジ径を大きくしなくてもケースから蓋が不所望に外れるのを抑制することができるので、ケースの主面における蓋が結合された領域の周辺部分に定格銘板を貼付するための領域を確保するのに好適である。
【発明の効果】
【0024】
上記の各態様に係る計測装置では、サイズや重量の増加、および製造コストの上昇を抑えながら、大きな電池容量を確保し、且つ、収納された電池を筐体部内で確実に保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る計測装置の外観構成を示す正面図である。
【図2】筐体部を裏面側から示す背面図である。
【図3】電池収納部内における円筒形電池の配置形態と、ケースにおける電池収納部の周辺の構成を示す平面図である。
【図5】（ａ）から（ｃ）の順で、凹部内に円筒形電池を収納する手順を示す断面図である。
【図6】（ａ）は従来技術に係る計測装置を裏面側から見た背面図、（ｂ）はケースの凹部に収容された電池の配置形態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0027】
また、以下の説明で用いる図において、Ｘ方向は筐体部の短手方向、Ｙ方向は筐体部の長手方向であって「一方向」に該当する。
【0028】
【0029】
計測装置１は、例えば石油コンビナート等のプラントでも使用することができるように開発された装置であって、スチームトラップやスチームトラップの近傍のスチーム配管の振動の強度および表面温度を計測する装置である。また、本実施形態に係る計測装置１は、作業者が携帯する可搬タイプの装置である。
【0030】
図１および図２に示すように、計測装置１は、筐体部１０と、プローブ１１と、表示部１２と、回路基板１３と、操作スイッチ１４と、インジケータ１５と、ネジ１６とを備える。筐体部１０は、Ｙ方向に長尺であって、図１および図２の各紙面に垂直な方向に扁平な扁平略直方体形状を有する。計測装置１の使用時において、作業者は、筐体部１０におけるＸ方向の両側部を把持する。
【0031】
図１に示すように、筐体部１０のオモテ面１０ａには、プローブ１１が突出する側の部分に表示部１２が設けられ、プローブ１１が突出するのとは反対側の部分に複数の操作スイッチ１４およびインジケータ１５が設けられている。
【0032】
詳細な図示を省略するが、プローブ１１は、スチームトラップ等の計測対象物の振動の強度を検出するための振動プローブと、スチームトラップ等の表面温度を検出するための温度プローブとを有する。振動プローブは、金属材料から構成された筒形形状の探触棒と、探触棒に入力された振動の強度に応じて信号を出力する振動センサ（例えば、圧電型加速度センサ）とを有する。なお、振動センサは、金属材料からなる台座部を介して探触棒に固定されている。
【0033】
温度プローブは、振動プローブにおける探触棒の筒内中空部内に配置されている。温度プローブは、一対の熱電対素線を有する。一対の熱電対素線は、探触棒の筒開口付近で接合されている。
【0034】
表示部１２は、例えば、液晶ディスプレイパネル（ＬＣＤパネル）とその表面を保護する保護シートとで構成されており、計測結果（スチームトラップ等の振動の強度および表面温度）や、当該計測結果に基づく診断結果などの各種情報が表示される。
【0035】
操作スイッチ１４には、計測装置１の電源をＯＮ／ＯＦＦするための電源スイッチ、コマンドを選択／実行するためのコマンドスイッチ、データ表示などの送り／戻しを行うためのスクロールスイッチなどが含まれる。
【0036】
インジケータ１５は、電源ＯＮ時に点灯する電源インジケータである。なお、インジケータ１５から出射される光の色温度については、電池容量が所定容量よりも少なくなった場合に変化する構成を採用してもよい。
【0037】
筐体部１０の内部には、コントローラを構成する回路基板１３が内蔵されている。コントローラは、ＭＰＵ／ＣＰＵ、ＡＳＩＣ、ＲＯＭ、ＲＡＭ等を含むマイクロプロセッサと、比較的大容量のメモリとを有して構成されている。コントローラは、ＲＯＭ等に予め格納されたファームウェア等を実行することにより、プローブ１１での検出結果に基づいて振動の強度および表面温度を算出する。
【0038】
図２に示すように、筐体部１０は、ケース１０１と、蓋１０２と、ネジ１６とを有する。ケース１０１は、平面視において、Ｙ方向の長さがＸ方向の幅に比べて長い略直方体形状を有する。蓋１０２は、筐体部１０の裏面１０ｂ側において、ケース１０１に結合されている。
【0039】
ここで、蓋１０２は、２つの係止片部１０２ｂ，１０２ｃを有する。２つの係止片部１０２ｂ，１０２ｃは、蓋１０２における長方形状の蓋本体部１０２ａのＹ方向の一方側の端辺から外向きに突出形成されている。そして、係止片部１０２ｂと係止片部１０２ｃとは、Ｘ方向において、互いに間隔を空けて設けられている。蓋１０２は、係止片部１０２ｂ，１０２ｃによるケース１０１の係止凹部（図示を省略。）への嵌入による係合と、ネジ１６による螺合とによってケース１０１に結合されている。
【0040】
なお、筐体部１０の裏面１０ｂには、蓋１０２が配された領域と、プローブ１１が突出する端面との間の部分に、定格銘板を貼付するための銘板貼付領域１０ｃが設けられている。
【0041】
【0042】
図３に示すように、ケース１０１は、４本の円筒形電池１７～２０を収納する電池収納部１０１ｍを有する。そして、電池収納部１０１ｍには、Ｘ方向に２列、Ｙ方向に２行のマトリクス状に４つの凹部１０１ａ～１０１ｄが形成されている。各凹部１０１ａ～１０１ｄは、筐体部１０の裏面１０ｂ（図３の紙面手前側）から内方に向けて凹入した部分である。円筒形電池１７～２０のそれぞれは、凹部１０１ａ～１０１ｄに個別に収納される。
【0043】
ここで、各凹部１０１ａ～１０１ｄのそれぞれにおいて、Ｙ方向の開口長さは、円筒形電池１７～２０の長さよりも小さく設けられている。これについて、図４を用いて具体的に説明する。なお、図４では、凹部１０１ａと円筒形電池１７とを図示しているが、他の凹部１０１ｂ～１０１ｄと円筒形電池１８～２０とのサイズの関係についても同様である。
【0044】
図４に示すように、凹部１０１ａに対してＹ方向の一方に面する端部には端子２１が設けられ、もう一方の端部には端子バネ２２が設けられている。端子２１および端子バネ２２は、図１を用いて説明した回路基板１３に電気接続されている。凹部１０１ａに円筒形電池１７が収納された状態において、端子２１には円筒形電池１７の電池本体部１７ａから長手方向に突出形成された凸部（正極端子）１７ｂが電気接続され、端子バネ２２には、電池本体部１７ａの長手方向の端面部（負極端子）１７ｃが電気接続される。
【0045】
凹部１０１ａは、当該凹部１０１ａに円筒形電池１７を収納した際に電池本体部１７ａの周面が当接または近接する底面１０１ｌと、底面１０１ｌに対してＺ方向の反対側に形成され、円筒形電池１７を収納するための口部となる開口部１０１ｋとを有する。開口部１０１ｋのＹ方向での長さＬ４は、円筒形電池１７の全長Ｌ１および電池本体部１７ａの長さＬ２よりも短く設定されている。これは、凹部１０１ａにおける底面１０１ｌに対してＺ方向の反対側（筐体部１０の裏面１０ｂ側）に、当該凹部１０１ａのＹ方向における両端部の開口側縁部から底面１０１ｌに沿って突出形成された庇状の端保持部１０１ｉ，１０１ｊが設けられていることによる。開口部１０１ｋにおけるＹ方向での長さＬ４は、端保持部１０１ｉおよび端保持部１０１ｊのＹ方向での端辺同士の間の寸法である。
【0046】
図４に示すように、Ｙ方向における端子バネ２２が最大限圧縮された場合の端部から端保持部１０１ｉの端辺までの距離をＬ３とするとき、Ｌ１～Ｌ４は、次の関係を満たすように設定されている。
【0047】
Ｌ１≦Ｌ３ ・・（数１）
Ｌ２＞Ｌ４ ・・（数２）
上記の関係式１，２を満たすことにより、円筒形電池１７は、凹部１０１ａに収納された状態において、電池本体部１７ａにおけるＹ方向の一方の端部１７ｄが凹部１０１ａの底面１０１ｌと端保持部１０１ｉとの間で挟まれることにより保持され、もう一方の端部１７ｅが凹部１０１ａの底面１０１ｌと端保持部１０１ｊとの間で挟まれることにより保持される。
Ｌ２＞Ｌ４ ・・（数２）
上記の関係式１，２を満たすことにより、円筒形電池１７は、凹部１０１ａに収納された状態において、電池本体部１７ａにおけるＹ方向の一方の端部１７ｄが凹部１０１ａの底面１０１ｌと端保持部１０１ｉとの間で挟まれることにより保持され、もう一方の端部１７ｅが凹部１０１ａの底面１０１ｌと端保持部１０１ｊとの間で挟まれることにより保持される。
【0048】
なお、凹部１０１ａに収納された円筒形電池１７は、端子バネ２２によりＹ方向に付勢された状態となっているので、上記の関係式２を満たしていても端保持部１０１ｉ，１０１ｊと底面１０１ｌとによる円筒形電池１７の端部１７ｄ，１７ｅが保持された状態が維持される。
【0049】
図３に戻って、ケース１０１には、電池収容部１０１ｍの外周部に、蓋１０２を結合した際に当該蓋１０２の外周縁が当接する矩形環状の外縁棚部１０１ｅが設けられている。外縁棚部１０１ｅにおけるＹ方向の一方の部分には、ネジ１６が螺合するネジ孔１０１ｆが設けられている。また、ケース１０１には、外縁棚部１０１ｅにおけるＹ方向のネジ孔１０１ｆが設けられたのとは反対側の部分からＹ方向の外向きに２つの係止凹部１０１ｇ，１０１ｈが設けられている。係止凹部１０１ｇ，１０１ｈは、ケース１０１に蓋１０２を結合する際に、蓋１０２の係止片部１０２ｂ，１０２ｃがそれぞれ嵌入される凹部である。
【0050】
なお、本実施形態において、円筒形電池１７～２０のそれぞれは、ＡＡタイプのマンガン乾電池またはアルカリ乾電池である。ただし、電池の種類については、これに限定を受けるものではなく、例えば、ＤタイプやＣタイプ、さらにはＡＡＡタイプやＮタイプの乾電池を採用することも可能である。また、角形電池を採用することも可能である。
【0051】
３．凹部１０１ａ～１０１ｄへの円筒形電池１７～２０の収納方法
電池収納部１０１ｍにおける凹部１０１ａ～１０１ｄへの円筒形電池１７～２０の収納方法について、図５を用いて説明する。なお、図５では、凹部１０１ａへの円筒形電池１７の収納方法を一例として示すが、他の凹部１０１ｂ～１０１ｄへの円筒形電池１８～２０の収納方法についても同様である。
電池収納部１０１ｍにおける凹部１０１ａ～１０１ｄへの円筒形電池１７～２０の収納方法について、図５を用いて説明する。なお、図５では、凹部１０１ａへの円筒形電池１７の収納方法を一例として示すが、他の凹部１０１ｂ～１０１ｄへの円筒形電池１８～２０の収納方法についても同様である。
【0052】
図５（ａ）に示すように、凹部１０１ａへの円筒形電池１７の収納では、円筒形電池１７の端面部１７ｃを開口部１０１ｋから凹部１０１ａ内に収納して行く（矢印Ａ１）。凹部１０１ａへの円筒形電池１７の収納方向は、凹部１０１ａにおける端子バネ（弾性部材）２２が設けられた側に円筒形電池１７の端面部１７ｃが向く方向とする。なお、図５（ａ）に示すように、円筒形電池１７の電池本体部１７ａを開口部１０１ｋから凹部１０１ａ内に収納する際には、円筒形電池１７を斜め方向となる姿勢で行う。
【0053】
図５（ｂ）に示すように、凹部１０１ａ内に円筒形電池１７が収納された当初の段階では、端子バネ２２が圧縮された状態にある。そして、作業者が円筒形電池１７から手を離すことにより、端子バネ２２によるＹ方向への付勢力で凸部１７ｂが端子２１に当接するまで円筒形電池１７が底面１０１ｌに沿ってスライドする（矢印Ａ２）。
【0054】
図５（ｃ）に示すように、凹部１０１ａに設けられた端子２１に円筒形電池１７の凸部１７ｂが当接することにより円筒形電池１７のスライドが終了する。これにより、上述のように、円筒形電池１７の電池本体部１７ａにおける両端部１７ｄ，１７ｅが凹部１０１ａの底面１０１ｌと端保持部１０１ｉ，１０１ｊとの間に挟まれて保持される。
【0055】
４．効果
本実施形態に係る計測装置１では、ケース１０１における電池収納部１０１ｍに円筒形電池１７～２０ごとに対応して端保持部１０１ｉ，１０１ｊが形成されているので、作業者が該計測装置１を可搬することにより筐体部１０に収納された複数の円筒形電池１７～２０に力が加わっても、円筒形電池１７～２０が電池収納部１０１ｍから離脱したり、電池収納部１０１ｍ内で円筒形電池１７～２０が移動したりするのが抑制される。このため、計測装置１では、円筒形電池１７～２０の収納数を上記特許文献１の計測装置９よりも多くすることに伴い蓋１０２の大きさが大きくなったとしても、当該蓋１０２の板厚を厚くしたり、蓋１０２の材質を高強度なものとしたりしなくても収納される円筒形電池１７～２０を確実に電池収納部１０１ｍ内で保持することができる。
本実施形態に係る計測装置１では、ケース１０１における電池収納部１０１ｍに円筒形電池１７～２０ごとに対応して端保持部１０１ｉ，１０１ｊが形成されているので、作業者が該計測装置１を可搬することにより筐体部１０に収納された複数の円筒形電池１７～２０に力が加わっても、円筒形電池１７～２０が電池収納部１０１ｍから離脱したり、電池収納部１０１ｍ内で円筒形電池１７～２０が移動したりするのが抑制される。このため、計測装置１では、円筒形電池１７～２０の収納数を上記特許文献１の計測装置９よりも多くすることに伴い蓋１０２の大きさが大きくなったとしても、当該蓋１０２の板厚を厚くしたり、蓋１０２の材質を高強度なものとしたりしなくても収納される円筒形電池１７～２０を確実に電池収納部１０１ｍ内で保持することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る計測装置１では、ケース１０１の電池収納部１０１ｍが収納する円筒形電池１７～２０ごとに対応して凹部１０１ａ～１０１ｄを有し、端保持部１０１ｉ，１０１ｊも凹部１０１ａ～１０１ｄごとに形成されているので、円筒形電池１７～２０が各凹部１０１ａ～１０１ｄから離脱するのを抑制するのにより優位である。
【0057】
また、本実施形態に係る計測装置１では、凹部１０１ａ～１０１ｄに収容された円筒形電池１７～２０が端子バネ（弾性部材）２２により長手方向の一方に向けて付勢されるようになっているので、凹部１０１ａ～１０１ｄ内で円筒形電池１７～２０がその長手方向に移動し難くすることが可能である。よって、計測装置１の外部から振動などが加わっても、円筒形電池１７～２０の長手方向における両端部１７ｄ，１７ｅに対する端保持部１０１ｉ，１０１ｊによる保持状態が維持される。
【0058】
また、本実施形態に係る計測装置１では、蓋１０２とケース１０１との結合を、ケース１０１における係止凹部１０１ｇ，１０１ｈへの蓋１０２における係止片部１０２ｂ，１０２ｃの嵌入による係合と、ネジ１６によるネジ止めとにより行うが、上述のように、電池収納部１０１ｍが端保持部１０１ｉ，１０１ｊを有する構成を採用することにより複数の円筒形電池１７～２０は電池収納部１０１ｍ内で収納された状態が維持可能であるので、係止片部１０２ｂ，１０２ｃのサイズやネジ１６のネジ径を大きくしなくても、蓋１０２がケース１０１から外れるようなことが抑制される。
【0059】
また、計測装置１では、ネジ１６のネジ径を大きくしなくてもケース１０１から蓋１０２が不所望に外れるのを抑制することができるので、筐体部１０の裏面１０ｂにおいて、ケース１０１に蓋１０２が結合された領域の周辺部分に定格銘板を貼付するための銘板貼付領域１０ｃを確保するのに好適である。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る計測装置１では、サイズや重量の増加、および製造コストの上昇を抑えながら、大きな電池容量を確保し、且つ、収納された円筒形電池１７～２０を筐体部１０内で確実に保持することが可能である。
【0061】
［変形例］
上記実施形態では、筐体部１０内に内蔵される電池１７～２０として円筒形電池を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、角筒形電池を採用することも可能である。
上記実施形態では、筐体部１０内に内蔵される電池１７～２０として円筒形電池を採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、角筒形電池を採用することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、筐体部１０に４本の円筒形電池１７～２０が内蔵された形態を一例としたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、５本以上の電池を内蔵することとしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ケース１０１の電池収納部１０１ｍに、収納する電池１７～２０ごとに形成された４つの凹部１０１ａ～１０１ｄを有することとしたが、本発明は、これに限定されるものではなく、１つの凹部に複数の電池が収納される形態を採用することもできる。ただし、この場合においても、収納された状態で電池における電池本体部の両端部が保持するための端保持部をケースに設けることで上記同様の効果を得ることが可能となる。
【0064】
また、上記実施形態では、蓋１０２に２つの係止片部１０２ｂ，１０２ｃを設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、１つだけ係止片部を有する形態や、３つ以上の係止片部を有する形態などを採用することも可能である。
【0065】
また、上記実施形態では、ケース１０１への蓋１０２の結合において１つのネジ１６を用いることとしたが、本発明は、２つ以上のネジを用いることとしてもよい。また、ネジ止めする位置についても、図２などのＸ方向の位置とすることも可能である。さらに、ケースへの蓋の結合を、係止凹部への係止片部の嵌入による係合を用いず、Ｙ方向あるいはＸ方向の両側をネジ止めすることとしてもよい。
【0066】
なお、ケースと蓋との結合に用いるネジについては、１周以上回転させてネジ止めが完了するものであってもよいし、１週未満の回転でネジ止めが完了するものであってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、凹部１０１ａ内で円筒形電池１７を長手方向に付勢する弾性部材として端子バネ２２を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではなく、電池の端面部（負極）に当接する電極とは別に電池をその長手方向に付勢する弾性部材を備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
１ 計測装置
１０ 筐体部
１０ｂ 裏面
１０ｃ 銘板貼付領域
１１ プローブ
１７～２０ 円筒形電池
１７ａ 電池本体部
１７ｄ，１７ｅ 端部
２２ 端子バネ（弾性部材）
１０１ ケース
１０１ａ～１０１ｂ 凹部
１０１ｉ，１０１ｊ 端保持部
１０１ｋ 開口部
１０１ｌ 底面
１０１ｍ 電池収納部
１０ 筐体部
１０ｂ 裏面
１０ｃ 銘板貼付領域
１１ プローブ
１７～２０ 円筒形電池
１７ａ 電池本体部
１７ｄ，１７ｅ 端部
２２ 端子バネ（弾性部材）
１０１ ケース
１０１ａ～１０１ｂ 凹部
１０１ｉ，１０１ｊ 端保持部
１０１ｋ 開口部
１０１ｌ 底面
１０１ｍ 電池収納部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
