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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000698
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】視点位置回復装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/14 20060101AFI20221222BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20221222BHJP
【FI】
G06F3/14 380A
G06F3/0346 426
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101671
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大城 巧
(72)【発明者】
【氏名】太田 偉喜
(72)【発明者】
【氏名】坂田 全弘
【テーマコード(参考)】
5B069
5B087
【Fターム(参考)】
5B069DD02
5B069HA05
5B087AA09
5B087AB05
5B087BC05
5B087BC32
5B087CC33
5B087DD03
5B087DE07
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、表示面を映し出す表示手段を要せずして、紙ベースなどの表示面であっても対応でき、見る者の頭部に搭載できるほど小型で簡単な構成のみで、不明になる前に見ていた光点位置を回復できる視点位置回復装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の視点位置回復装置は、現在の光点位置が不明になる前に見ていた光点位置である参照光点位置に回復するために現在の光点を移動させるための少なくとも回復方向を含む指示をし、回復移動量Δが、参照光点位置を中心とした所望の範囲内に入ったかを判断する回復指示手段を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段と、前記制御手段に制御される、
紙か電子表示かを問わない表示面の上に見る者の視点又はその付近を示す光点を与える光点付与手段と、前記光点が与えられた前記表示面を撮影する表示面撮影手段と、前記表示面の上の前記光点の位置を算出する表示面内光点位置算出手段と、前記見る者が前記表示面の中でどの位置を見ていたか不明となる前において、前記算出された前記光点の位置を参照光点位置のデータとして記憶する光点位置メモリと、前記不明になる前に見ていた前記参照光点位置に現在の光点の位置を回復させる動作を起動させるための回復動作起動手段と、前記見る者が前記表示面の中でどの位置を見ていたか不明となった後において、前記回復動作起動手段の起動により、前記表示面撮影手段での撮影と、前記表示面内光点位置算出手段での算出により求めた前記現在の光点の位置と前記参照光点位置との差である回復移動量Δ及び回復方向を求める回復方向・回復移動量算出手段と、前記回復方向と前記回復移動量Δに基づき、前記現在の光点位置が前記参照光点位置に回復するために前記現在の光点を移動させるための少なくとも回復方向を含む指示をし、前記回復移動量Δが、前記参照光点位置を中心とした所望の範囲内に入ったかを判断する回復指示手段と、を備えていることを特徴とする視点位置回復装置。
【請求項2】
前記回復指示手段は、前記少なくとも回復方向を含む指示をするための表現機能を前記現在の光点に持たせたことを特徴とする請求項1の視点位置回復装置。
【請求項3】
前記少なくとも回復方向を含む指示をする場合の前記現在の光点の前記表現機能を前記光点付与手段が有することを特徴とする請求項2の視点位置回復装置。
【請求項4】
前記表現機能を持つ前記現在の光点は、前記回復方向を含む指示をする場合に、
複数の光点の集合体であって、配列順に点灯又は点滅を移動するものであるか、
又は、複数の光点の集合体であって、配列順に明暗付を行ったものであるか、
又は、前記現在の光点の位置から見て前記回復方向側に前記現在の光点とは区別できる光点を配置したものであるか、
又は、前記参照光点位置に近づく方向では、点滅の速さが変わるものであるか、
光源から投光した光が透過して表示面に形成した方向マークによるものか、
いずれかであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の視点位置回復装置。
【請求項5】
前記回復指示手段は、音声により行うことを特徴とする請求項1記載の視点位置回復装置。
【請求項6】
前記表示面内光点位置算出手段は、前記表示面の外枠又は中心点に対して前記光点の相対的位置を算出したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【請求項7】
前記回復動作起動手段は、前記見る者の人為的動作である起動スイッチの駆動で、前記起動されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【請求項8】
前記回復動作起動手段は、前記見る者の人為的動作である、前記現在の光点を前記表示面の外に出して、再び前記表示面内に入れたことを前記表示面撮影手段で撮影・検出した信号による駆動で、前記起動されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【請求項9】
前記現在の光点を前記表示面の外に出して、再び前記表示面内に入れることを複数回繰り返したことを前記表示面撮影手段で撮影・検出した信号による駆動で、前記起動されることを特徴とする請求項8記載の視点位置回復装置。
【請求項10】
前記回復動作起動手段は、前記見る者の人為的動作である、前記現在の光点を前記表示面の外に出して、再び前記表示面内に入れた行動として、前記表示面の横方向又は上方向に逸脱し、戻したことを判定基準に設定可能としたことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の視点位置回復装置。
【請求項11】
回復時間を現在時刻又は、指定の時刻から所望の時間前、又は、所望の時間幅を指定可能とする指定手段を有することで、前記指定の時刻又時間に対応する前記参照光点位置のデータを前記回復方向・回復移動量算出手段の算出に使用可能としたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【請求項12】
回復位置が前記表示面の下の最下位置に判定された場合は、前記最下位置でない上の光点位置を前記参照光点位置として前記回復方向・回復移動量算出手段の算出に基づいて前記回復指示手段に指示させることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【請求項13】
前記回復させるまでの時間の長短に関わらず対応するもので、
回復スイッチを設けることで、前記見る者による前記光点が前記表示面を離れ、戻った時に、前記表示面を離れるときに、前記回復スイッチが稼動されていることで、前記離れるときの時点の前記参照光点位置に前記回復するための前記指示がなされることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【請求項14】
録音再生手段を設けることで、前記見る者が、見ることを止めるときに、前記参照光点位置に関連した前記表示面を識別して伝える録音をし、前記回復のため復帰時に、前記録音内容を再生させて、前記見る者が、前記表示面を識別し確定する録音表示面確定モードを備えたことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【請求項15】
少なくとも前記光点付与手段と前記表示面撮影手段を一体に備えた頭部搭載手段を有することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1つに記載の視点位置回復装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被視対象面上で視点或いはその近辺位置が、見る者において不明になった場合 に、視点位置を回復することが可能な視点位置回復装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行特許文献1では、「注視点」という言葉が使われているが、本願の視点位置とは意味が異なり、カメラの焦点検出領域に対して撮影者が注目している領域の意味であり、本 願の論旨に類似点或いは接点はない。特許文献2では、視点検出装置であるが、操作者がタッチパネルでタッチ操作を行う場合、目画像がタッチ位置を見ているとの仮定のもとに 、目画像を撮影して、タッチ位置を視点位置の補正に利用するものである。視点位置等の単語が出てくるが、本願の主旨とは無関係で示唆を受ける内容はない。同様なものとしては、特許文献3がある。特許文献4では、視点位置の推定に眼球運動を検出していて、そこから求めた視点位置を画面に表示するようなポインティングデバイスについて記述している。これも本願の主旨とは無関係で示唆を受ける内容はない。 更に特許文献4に似ているものとして、特許文献5では、首の動きに追従する光源をマウントし、ディスプレイ上で光点を光電素子のフィルタで最も明るい位置を検出し、そこに対応する位置にカーソルを表示するものである。これも本願の主旨とは無関係で示唆を受ける記述内容はない。
特許文献6は、以上の先願を考慮した中で出願した本出願人による出願であったが、構成の中に視点位置の不明性を回復する為に表示手段を有して、表示面に表示された不明な視点位置を見て回復処理を行うものであった。良い効果をもたらすものと思うが、それでも解決できないこともあった。即ち、表示手段以外の構成手段は頭部に搭載できるほど小さいという有利であること比べて、表示手段は、表示面に対応してそれなりの大きな面積の表示面と筐体を有するため大きく、ヘッドマウントディスプレー(HMD)以外では、頭部等に付けることはできないという性格をもっていた。さらに、利用状態において、表示手段として、例えば、スマーフォンなどが常に身の周りにあるとは限らず、例えば、特に紙ベースの書面を見る場合には、視点位置を回復する表示をする電子的な表示手段は、わざわざ別に用意しないとこの要求は達成されなかった。このような応用に対して、視点位置の回復を表示手段に寄らずに出来れば頭部に搭載できるほど小規模な手段のみで実行できることも有効であるとの感慨に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開H4-149413
【特許文献2】特開2015-46111
【特許文献3】特開H9-44310
【特許文献4】特開H4-323715
【特許文献5】特開H2-110622
【特許文献6】特開2020-154907
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、被視対象面上で視点或いはその近辺位置が、見る者において不明になった 場合に、その前まで保存された視点位置に視点に対応する光点を誘導して視点を回復することが可能な視点位置回復装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、視点位置回復装置であって、
制御手段と、前記制御手段に制御される、
紙か電子表示かを問わない表示面の上に見る者の視点又はその付近を示す光点を与える光点付与手段と、前記光点が与えられた前記表示面を撮影する表示面撮影手段と、前記表示面の上の前記光点の位置を算出する表示面内光点位置算出手段と、前記見る者が前記表示面の中でどの位置を見ていたか不明となる前において、前記算出された前記光点の位置を参照光点位置のデータとして記憶する光点位置メモリと、前記不明になる前に見ていた前記参照光点位置に現在の光点の位置を回復させる動作を起動させるための回復動作起動手段と、前記見る者が前記表示面の中でどの位置を見ていたか不明となった後において、前記回復動作起動手段の起動により、前記表示面撮影手段での撮影と、前記表示面内光点位置算出手段での算出により求めた前記現在の光点の位置と前記参照光点位置との差である回復移動量Δ及び回復方向を求める回復方向・回復移動量算出手段と、前記回復方向と前記回復移動量Δに基づき、前記現在の光点位置が前記参照光点位置に回復するために前記現在の光点を移動させるための少なくとも回復方向を含む指示をし、前記回復移動量Δが、前記参照光点位置を中心とした所望の範囲内に入ったかを判断する回復指示手段と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1の視点位置回復装置において、
前記回復指示手段は、前記少なくとも回復方向を含む指示をするための表現機能を前記現在の光点に持たせたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2の視点位置回復装置において、前記少なくとも回復方向を含む指示をする場合の前記現在の光点の前記表現機能を前記光点付与手段が有することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の視点位置回復装置において、
前記表現機能を持つ前記現在の光点は、前記回復方向を含む指示をする場合に、
複数の光点の集合体であって、配列順に点灯又は点滅を移動するものであるか、
又は、複数の光点の集合体であって、配列順に明暗付を行ったものであるか、
又は、前記現在の光点の位置から見て前記回復方向側に前記現在の光点とは区別できる光点を配置したものであるか、
又は、前記参照光点位置に近づく方向では、点滅の速さが変わるものであるか、
光源から投光した光が透過して表示面に形成した方向マークによるものか、
いずれかであることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の視点位置回復装置において、前記回復指示手段は、音声により行うことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、前記表示面内光点位置算出手段は、前記表示面の外枠又は中心点に対して前記光点の相対的位置を算出したことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、前記回復動作起動手段は、前記見る者の人為的動作である起動スイッチの駆動で、前記起動されることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、前記回復動作起動手段は、前記見る者の人為的動作である、前記現在の光点を前記表示面の外に出して、再び前記表示面内に入れたことを前記表示面撮影手段で撮影・検出した信号による駆動で、前記起動されることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の視点位置回復装置において、
前記現在の光点を前記表示面の外に出して、再び前記表示面内に入れることを複数回繰り返したことを前記表示面撮影手段で撮影・検出した信号による駆動で、前記起動されることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の視点位置回復装置において、
前記回復動作起動手段は、前記見る者の人為的動作である、前記現在の光点を前記表示面の外に出して、再び前記表示面内に入れた行動として、前記表示面の横方向又は上方向に逸脱し、戻したことを判定基準に設定可能としたことを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、回復時間を現在時刻又は、指定の時刻から所望の時間前、又は、所望の時間幅を指定可能とする指定手段を有することで、前記指定の時刻又時間に対応する前記参照光点位置のデータを前記回復方向・回復移動量算出手段の算出に使用可能としたことを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、回復位置が前記表示面の下の最下位置に判定された場合は、前記最下位置でない上の光点位置を前記参照光点位置として前記回復方向・回復移動量算出手段の算出に基づいて前記回復指示手段に指示させることを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の発明は、請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、前記回復させるまでの時間の長短に関わらず対応するもので、
回復スイッチを設けることで、前記見る者による前記光点が前記表示面を離れ、戻った時に、前記表示面を離れるときに、前記回復スイッチが稼動されていることで、前記離れるときの時点の前記参照光点位置に前記回復するための前記指示がなされることを特徴とする。
【0018】
請求項14記載の発明は、請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、録音再生手段を設けることで、前記見る者が、見ることを止めるときに、前記参照光点位置に関連した前記表示面を識別して伝える録音をし、前記回復のため復帰時に、前記録音内容を再生させて、前記見る者が、前記表示面を識別し確定する録音表示面確定モードを備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項15記載の発明は、請求項1から請求項14のいずれか1つに記載の視点位置回復装置において、少なくとも前記光点付与手段と前記表示面撮影手段を一体に備えた頭部搭載手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上の様に構成されているので、本発明による視点位置回復装置では、表示面を映し出す表示手段を要せずして、紙ベースなどの表示面であっても対応でき、見る者の頭部に搭載できるほど小型で簡単な構成のみで、不明になる前に見ていた光点位置を回復できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明にかかる視点位置回復装置の構成の一実施態様を示す図である。
図2】本発明にかかる視点位置回復装置の動作フローの一実施態様を示す図である。
図3】本発明にかかる視点位置回復装置の光点による回復指示動作の一実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明にかかる視点位置回復装置の構成の一実施態様を示す図である。
視点位置回復装置100は、制御手段110と、制御手段110に制御される、紙か電子表示かを問わない表示面上で見る者の視点又はその付近を示す光点を与える光点付与手段120と、光点が与えられた表示面を撮影する表示面撮影手段130と、表示面上の光点位置を算出する(表示面の外枠や中心点などに対して光点の相対的位置を算出することで、記憶するデータ量は、極めて少なくてよい)表示面内光点位置算出手段140と、見る者が表示面の中でどの位置を見ていたか不明となる前において、算出された光点の位置を参照光点位置(算出された光点位置を後に回復方向・回復移動量算出手段170において、参照する故に、請求の範囲では、参照光点位置と記述する)データとして記憶する光点位置メモリ150と、不明になる前に見ていた参照光点位置(参照光点位置となる不明になる前に見ていた光点位置は、不明になった後において、見る者にはどこにも見ることが出来ない状態である)に現在の光点の位置を回復させる動作を起動させるための回復動作起動手段160と、見る者が表示面の中でどの位置を見ていたか不明となった後において、回復動作起動手段160の起動により、表示面撮影手段130での撮影と、表示面内光点位置算出手段140での算出により求めた現在の光点の位置と参照光点位置との差である回復移動量Δ及び回復方向を求める回復方向・回復移動量算出手段170と、前記回復方向と前記回復移動量Δに基づき、現在の光点位置が参照光点位置に回復するために現在の光点を移動させるための少なくとも回復方向を含む指示をし、回復移動量Δが、参照光点位置を中心とした所望の範囲内に入ったかを判断する回復指示手段180と、を備えている。
更に、少なくとも光点付与手段120と表示面撮影手段130は、メガネツル、帯、帽子等の頭部搭載手段190に搭載されることが望ましい。光点付与手段120と表示面撮影手段130以外の各手段も規模が小さいので、頭部搭載手段190に全部が一体化も可能である。尚、表示面撮影手段130は、カメラである。
表示面撮影手段130は、装置の動作電源投入、又は、電源投入後のスタート動作により、通常状態として、所望の時間間隔で、表示面を撮影して、取得された光点の位置データが光点位置データメモリに格納されていく。回復動作起動手段160の起動ではじめて、現在の光点位置と参照光点位置とにより回復動作がなされる。回復がなされると、通常の状態に戻る。
【0023】
回復動作起動手段160としては、見る者が操作できる起動スイッチ(接点スイッチ、近接スイッチなどで起動)でも良いし、音や振動等でも起動が可能である。見る者が一旦光点を表示面の外に出して再び表示面内に入れたことを表示面撮影手段130で撮影して、これを起動信号として用いるなども可能である。
回復動作について、考慮する。光点位置が不明になった原因が居眠りの場合は、ほとんど、顔面従って光点が下側にガクンと落ちるのが多い。この対応をしないと回復位置が下端面に行きそうな場合も想定される。
その場合に対応する1つ目の手段として、回復時間を何分前、何分前から所望の時間幅で等、の指定を可能とする機能を備えるとよい。このためには、回復方向・回復移動量算出手段170では、光点位置メモリ150に格納された参照光点位置のデータを算出に用いるが、その場合、参照光点位置のデータとしては、回復時間を現在時刻又は、指定の時刻から所望の時間前、又は、所望の時間幅を指定可能とすることが好ましい。指定に基づいて、指定の時刻又時間に対応する参照光点位置のデータを回復方向・回復移動量算出手段170における算出に使用可能となる。
勿論、この指定の機能は、回復方向・回復移動量算出手段170以外の手段、例えば、光点位置データメモリ150のインタフェース等が持ってもよいし、新たな手段として有してもよい。
なお、回復位置が表示面の下になる場合は、位置判定で分かるので、最下位置に判定された場合は、1つ目の手段で対応が望ましい。そうすれば、最下位置でない少し上(時間的に前の)の光点位置が参照光点位置として(回復方向・回復移動量算出手段170の算出に基づいて)回復指示手段180により指示される。
【0024】
2つ目の手段として、居眠りによる表示面逸脱と起動のための表示面逸脱を区別する手段として、光点の動き速さや特に方向を変えることで区別が可能である。居眠りは圧倒的に下方向が多いことを考慮すると、起動のための行動として表示面の横方向又は上方向に逸脱し、戻すことを判定基準に回復動作起動手段160の設定をするか、又は、表示面逸脱をしないで起動スイッチで起動も可能である。動き速さについては、居眠りでの動きは様々なので、余程差がある速さを選ぶことになるが、居眠りの特徴として、頭部がガクンと落ちるのは速いが、戻りまでの時間が長いこと、入眠によりゆっくりと頭部が船漕ぎ状態もあることを考慮すると、速い往復動作を起動のための表示面逸脱の動作とすることが区別のために望ましい。
【0025】
更に、起動のための表示面逸脱について、上記でも十分であるが、例えば、「イ)表示面を見ていて、休憩で一旦離れて1時間後に回復したい、或いは、ロ)一旦、装置の稼動を終了して、翌日に回復したい」等の要求では、ややもすると、戻った時点からの回復までの時間が長すぎて、1つ目の手段では、指定していた時間を超過して対応が出来ない場合もあり得る。このような場合には、安心して回復できるための仕掛けが必要であり、
イ)対応では、例えば、2回等複数回連続で逸脱を繰り返す動作を信号にするとか、「長時間回復」用の回復スイッチを設けるとかし、表示面を離れる前に回復スイッチを稼動することで、戻った時には、一旦離れるときに、この動作が信号として検出或いは、回復スイッチが稼動されているかで、一旦離れるときの時点の参照光点位置に回復指示がなされるようにすることが可能である。このようにして、回復させるまでの時間の長短に関わらず対応することができる。
更に、ロ)対応では、電源を切っても、前回の参照光点位置が光点位置メモリ150に格納されているのでイ)の対応があれば、ロ)の対応も同時に可能である。
従って、1つの表示面が定まっていれば、参照光点位置の回復動作に問題はないと言える。
しかしながら、少し要求を拡大して、例えば、「ハ)表示面を見ていて、離れ、又は、一旦動作を終了して回復したい場合で、表示面が複数ある場合への対応を考える。どの表示面に回復するのかという課題がある。
例えば、紙ベースの文書のページに対応する複数の表示面や、電子文書で1画面内の複数のファイルなどの場合にも対応できることは望ましいことである。
しかしながら、主に、光点付与手段120と表示面撮影手段130の簡素な構成により、このような場合に対応して、ページ等、どの表示面であったかを示すのは容易ではない。
このような場合に対応する手段として備えて好ましいことは、更に録音再生手段を設けることで、次の様な録音表示面確定モードを動作させることである。
録音表示面確定モードでは、見る者が、見ることを止めるときに、「何という本の15ページ」など表示面を識別できる録音をして、回復のため復帰時に、録音された内容を再生して、見る者が、ページ等の表示面を識別し確定することで、後は、今までの説明の如く、参照光点位置への回復指示がなされることが可能となる。更に、録音では、「15ページの3行目など」の詳細も録音できるので、回復も確かなものとなる。
尚、録音において、録音内容と参照光点データとの関連付けをする場合と関連付けをしない場合のいずれも可能である。なぜなら、表示面の識別ができさえすれば、光点位置データメモリ内の参照光点データにより回復指示ができるからである。
【0026】
回復動作起動手段160を起動する場合の現在の光点位置は、当然、見る者は、表示面内に光点を入れてから回復移動行動をするので、その場合で現在の光点位置と言っているのは、カメラで撮った光点位置が表示面外にあるのではなく、表示面内の枠(位置の基準)内に入っていることを前提にして回復することが望ましい。表示面枠外の位置はデータから除外することも可能である。
【0027】
尚、使用状態について触れると、表示面の真ん中を見ている状態では、光点も真ん中にあるように装置が頭部に装着されているので、光点に視点を置いて、主に顔面の回転によって光点を移動しながら、むしろ表示面上で移動させる光点に視点を合わせて読み進む状態になる。実際には、光点は文字列の下にもって来る(視点が光点の少し上にある)とか、使用者の随意にできる。
更に、本願の主旨では、「眠ってなくとも、どこを見ていたか不明になる」ことも多くある現実への対応も含めて、眠っているかどうかにかかわらず、「どこを見ていたか分からなくなった」と見る者本人が感知した現実に対応して、本人動作により回復動作起動手段160を起動させ、回復動作を行わせることが可能となる。
尚、使用状態で光点を表示面内で所望の位置にして、「クリア」ボタンを押すなどの手段により、いつでも所望の位置を開始点にして、本願の装置を初めから機能させることが可能な初期状態開始機能を備えることも望ましい。特に、装置動作が所望の状態が得られない場合には、初期状態から開始した方がよい場合もあるからである。
【0028】
図2は、本発明にかかる視点位置回復装置の動作フローの一実施態様を示す図である。
2-Aには、表示面を順調に見ているときの「見る」通常フローであり、
(a1)表示面撮影を行い、(a2)表示面内光点位置算出を行う。表示面枠や、中心位置に対する相対的座標で光点位置データとするのが望ましい。
(a3)光点位置データメモリに格納をする。尚、古くなったデータは、上書きでなくなってもよいので、メモリ容量は小さくてよい。
(a4)表示面を見る者が読み進む場合、人為的光点移動がある。
以上のフローが適当な時間間隔で繰り返される。
2-Bには、瞬時の入眠等によって、見る者がどの位置を見ていたか不明となった場合に、不明になる前に見ていた光点位置(参照光点位置)に光点を回復させる場合の回復動作フローである。
(b0)回復動作起動を行うと、(b1)表示面撮影 (b2)表示面内光点位置算出
が行われる。(b3)の回復移動量算出では、どの位置を見ていたか不明になった後の現在の光点位置と不明になる前に見ていた参照光点位置の差である回復移動量Δと移動の向きを求める。
移動の向きと回復移動量Δを基に(b4)回復指示を出す。(b5)回復完了判断を行う。回復移動量Δが、参照光点位置を中心位置に所望の範囲内に入れば、通常フローへ復帰し、入らなければ、(b6)回復指示をもとに見る者が光点を移動し(b1)へ戻り繰り返す。
【0029】
図3は、本発明にかかる視点位置回復装置の光点による回復指示動作の一実施態様を示す図である。2-Bの(b4)回復指示を行う回復指示手段180の動作として、例えば、「右へ5ステップ、上に8ステップ移動してください」という音声で指示し、範囲内に移動したら、「OKです」ということも可能である。図3では、音声ではなく、種々の光点による回復指示動作例を示す。
3-Aでは、複数光点集合による例(5個集合)を示す。ここでは、□枠で1個の光点(例えばLED1個による光点)を示し、縦横に3個並べて5個の光点集合としている。個数が多ければ、表現力が高くなるが、この例では、縦横の最小限の構成にしてある。例1から例3では、見る者に対して、参照光点位置が右方向と上方向にあることを指示し、その方向に光点を移動するように促している。指示に応じて、見る者は、光点を指示された方向に移動する。移動するにつれ、参照光点位置に近づくので、回復移動量Δは小さくなり、参照光点位置を中心とした所望の範囲内に入ったかを判断し、範囲に入るまで各位置に対応して指示をしてくれる。例1では、例えば、移動方向が右への指示は、光点が、1→2→3→1→2→3と順に点灯(点滅)/消灯の移動繰り返しをする。例2では、移動方向が右への指示は、光点が、1、2、3の順に明暗付をしている。この場合は、例えば、明るい方向へ向かわせる定義をしたい場合は、光点3側を明るくする。見る者は、明るい側に光点を移動する。例3では、例えば、移動方向が右への指示は、光点2を緑とし、光点3を赤か(緑点滅)で指示する。見る者は、赤か緑点滅側に移動する。これは、現在の光点位置から見て回復方向側に現在の光点とは区別できる光点を配置したものであると言える。
尚、図では、回復移動量Δが参照光点位置の所望の範囲内に入ると、2だけが点灯になると記述したが、これも例であり、通常の状態の光点に戻る。更に、各例とも例であり、どうのように決めるかは、随意である。例えば、例2で、暗い方向に移動と定義してもよいし、例3で、緑と赤が反対でもよいし、別の色でもよく、定義により見る者が区別して指示通り光点を回復する移動が出来ればよい。
【0030】
3-B 2色光点による例を示す。例4では、1を緑(横方向)、2を赤(縦方向)と定義してあり、方向は不明のように見えるが、以下の仕掛けによって、方向を間接的に与える。即ち、光点を動かすと、参照光点位置に近づく方向では、点滅が速くなり、回復移動量Δが参照光点位置の所望の範囲内に入ると、点滅でなく点灯になる。従って、見る者は、点滅が速くなる方向に移動すれば良いということで方向付が行われている。この例でも、色の定義や色の代わりに明るさの違い(この場合には、光点は1個でよくなるが、明るさでは明確な判断がやや難しい)を用いてもよいし、近づく方向では、点滅が遅くなると決めてもよいがその代り、点滅が遅すぎると見る者の判断待ちの時間に影響がでないよう定義する必要がある。尚、上記では、二つの違う光点を用いたが、これは1つでも可能である。
尚、3-A、3-Bで光点のみで回復のための移動の方向指示を行う場合に、光点付与手段120にその機能を持つように構成することも可能であり、又、光点付与手段120とは別に構成することも可能である。尚、1を緑(横方向)、2を赤(縦方向)の例では、二つの光点を用いたが、1つ光点でも可能である、理由は、近づいたことが点滅速さで分かるので、縦横の区別は必須ではないからである。
【0031】
3-A、3-Bでは、光点のみで回復のための移動の方向指示を行ったが、3-Cでは、1個の光源と方向マークによる例(透過光と方向マーク)により行う例である。ここでは、方向マークを表すだけの小さな液晶表示板(LCD)と投光光源を用いて、方向マークにより光点を表示面に形成している。方向マークや方向性のないマークは、任意の形状に電子的に形成される。尚、機械的に方向マークを角度を変えて与えることも可能であるが、方向マークの形を変えることは切り替えする機械手段が必要であり得策ではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように本発明にかかる視点位置回復装置は、表示面を映し出す表示手段を要せずして、紙ベースなどの表示面であっても対応でき、見る者の頭部に搭載できるほど小型で簡単な構成のみで、不明になる前に見ていた光点位置を回復できるので、産業上利用して極めて好都合である。
【0033】
100 視点位置回復装置
110 制御手段
120 光点付与手段
130 表示面撮影手段
140 表示面内光点位置算出手段
150 光点位置メモリ
160 回復動作起動手段
170 回復方向・回復移動量算出手段
180 回復指示手段
190 頭部搭載手段
図1
図2
図3