(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069834
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】配電盤
(51)【国際特許分類】
H02B 1/56 20060101AFI20230511BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20230511BHJP
H02B 1/30 20060101ALI20230511BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H02B1/56 Z
H02B3/00 K
H02B1/30 F
H05K7/20 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181994
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 正典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 深大
【テーマコード(参考)】
5E322
5G016
【Fターム(参考)】
5E322CA03
5E322EA11
5G016AA04
5G016CB01
5G016CG17
(57)【要約】
【課題】
太陽の輻射による外面からの熱侵入を低減しつつ、より効率的に温度上昇対策を行うことができる配電盤を提供する。
【解決手段】
受変電設備を収納する箱体10と、前記箱体に設けた扉20と、前記箱体の側部に設けた側板40と、前記扉および前記側板に取り付けた、直射日光を防ぐ遮光板22,42と、を備える配電盤であって、前記遮光板22,42は、下部に比べて上部において壁面との間隔が広がるように、傾斜して取り付けられていることにより、上部方向への空気の流れを促進する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受変電設備を収納する箱体と、前記箱体に設けた扉と、前記箱体の側部に設けた側板と、前記扉および前記側板に取り付けた、直射日光を防ぐ遮光板と、を備える配電盤であって、
前記遮光板は、下部に比べて上部において壁面との間隔が広がるように、傾斜して取り付けられていることを特徴とする配電盤。
【請求項2】
請求項1に記載の配電盤において、
前記遮光板は、一方の面を直角に曲げ、他方の面を直角より大きい角度で、次第に間隔が広がるように曲げた略コ字状の取付金具、或いは、一端は直角とし、他端は傾斜した面とするスタッドまたはポールで前記扉または前記側板に取り付けたことを特徴とする配電盤。
【請求項3】
請求項1に記載の配電盤において、
前記箱体上に屋根を備え、
前記側板上に屋根カバーを備え、
前記扉に取り付けた遮光板を覆うように前記屋根を前後方向に広げ、前記側板に取り付けた遮光板を覆うように前記屋根カバーを左右方向に広げたことを特徴とする配電盤。
【請求項4】
請求項1に記載の配電盤において、
前記箱体上に屋根を備え、
前記側板上に屋根カバーを備え、
前記扉に取り付けた遮光板を覆うように前記屋根を前後方向に広げ、前記側板に取り付けた遮光板を覆うように前記屋根カバーに側板庇を取り付けたことを特徴とする配電盤。
【請求項5】
請求項1に記載の配電盤において、
前記箱体および前記扉から構成される盤を2つ以上横方向に並べて配置し、
2つ以上横方向に並べて配置した盤の両側に側板を設け、
前記扉および前記側板に前記遮光板を取り付けたことを特徴とする配電盤。
【請求項6】
請求項5に記載の配電盤において、
前記扉の横幅に比べて前記扉に取り付ける遮光板の横幅を短くし、両側に隙間ができるように前記遮光板を取り付けたことを特徴とする配電盤。
【請求項7】
請求項6に記載の配電盤において、
扉ハンドル側および扉ヒンジ側に一定幅の隙間ができるように、前記遮光板を取り付けたことを特徴とする配電盤。
【請求項8】
請求項6に記載の配電盤において、
隣接する盤の扉ハンドル側に設ける隙間が、該当する盤の扉に取り付けた遮光板の取付角度に応じた片側台形形状としたことを特徴とする配電盤。
【請求項9】
請求項5に記載の配電盤において、
前記扉に取り付けた遮光板に、隣接する盤の遮光板の取付角度に応じた、壁面方向の曲げを形成したことを特徴とする配電盤。
【請求項10】
請求項5に記載の配電盤において、
前記側板を取り外し可能とし、前記側板を取り外して増設する盤を取り付け可能としたことを特徴とする配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤に関し、特に配電盤の放熱技術に関する。
【背景技術】
【0002】
配電盤は、電力会社から高圧の電気を受電するための受変電設備で、受電遮断設備、変電設備、配電設備、および各電力を計測するための計測機器などを箱体に収納したものである。配電盤は、受電電圧に応じて、スイッチギアやキュービクルと呼ばれることがある。屋外に設置される配電盤においては、太陽の輻射による外面からの熱侵入から、箱体内の温度上昇を防ぐ対策が必要となる。
【0003】
図13に、直射日光等の外部からの輻射熱を避けるようにした、従来の電気機器収納用箱の一例を示す(特許文献1参照)。電気機器収納用箱の本体1の側面や扉2には、ボススタッド4により側面や扉の遮光板3aが取り付けられ、壁面との間に空気流通用の間隙が形成されている。また、箱の本体1の上部にも、ボススタッド4により屋根の遮光板3bが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋外に設置される配電盤においては、日射からの受熱による配電盤内の温度上昇により、内蔵する、特に電子機器の寿命低下の問題がある。
【0006】
特許文献1には、直射日光等の外部からの輻射熱を避けるために、箱体の側面や扉に遮光板を取り付けた電気機器収納用箱が開示されているが、遮光板は壁面に平行に取り付けられている。そのため、箱や扉の壁面と遮光板との間に、温まった空気が滞留し、その滞留熱により箱内の温度が上昇してしまう。
【0007】
本発明の目的は、太陽の輻射による外面からの熱侵入を低減しつつ、より効率的に温度上昇対策を行うことができる配電盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の配電盤においては、箱体の側面や扉に取り付けた遮光板を、下部よりも上部において壁面との間隔が広がるように、傾斜して取り付け、上部方向への空気の流れを促進する。
【0009】
本発明の「配電盤」の一例を挙げるならば、
受変電設備を収納する箱体と、前記箱体に設けた扉と、前記箱体の側部に設けた側板と、前記扉および前記側板に取り付けた、直射日光を防ぐ遮光板と、を備える配電盤であって、
前記遮光板は、下部に比べて上部において壁面との間隔が広がるように、傾斜して取り付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、太陽の輻射による外面からの熱侵入を低減し、壁面と遮光板との間の上部方向への空気の流れを促進し、温まった空気の滞留を防ぐことができる。そして、効率的に配電盤の温度上昇を防ぐことができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】盤を2つ並べて配置した配電盤を示す図である。
【
図4】盤を複数並べて配置した場合の、課題を示す図である。
【
図8】遮光板を傾斜して取り付けた場合の、課題を示す図である。
【
図10】本発明の実施例6の配電盤を示す図である。
【
図11】本発明の実施例7の配電盤を示す図である。
【
図13】従来の遮光板を取り付けた電気機器収納用箱の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし主旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
また、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
【実施例0014】
図1に、本発明の実施例1の配電盤を示し、
図1(a)はその正面図、
図1(b)はその左側側面図である。実施例1は、配電盤を1つの箱体で構成したものである。
【0015】
図1の配電盤は、鋼板製材料から成る箱体10と、箱体10の前後に取り付けた扉20と、箱体10の上部に設けた屋根30とで構成されている。箱体10の両側には側板40が取り付けられており、側板40には側板取付遮光板42が取り付けられている。扉ハンドル24を備える前後の扉20には、それぞれ扉取付遮光板22が取り付けられている。屋根30には、両側に屋根カバー32が設けられており、また、屋根の上部には換気口34を備えている。
【0016】
本実施例の特徴構成として、前後の扉20に取り付けた扉取付遮光板22は、扉20との間隔が、下部に比べて上部が広くなるように、傾斜して取り付けられている。また、側板40に取り付けた側板取付遮光板42は、壁面との間隔が、下部に比べて上部が広くなるように、傾斜して取り付けられている。すなわち、盤の正面や背面、および側面に取り付ける遮光板22,42が、下部に比べて上部が広くなるように角度がつけられている。この構成により、壁面と遮光板との間の上部方向への空気の流れを促進し、温まった空気の滞留を防ぐことができる。
【0017】
図2に、遮光板22,42を扉20や側板40に傾斜して取り付ける取付構造を示す。
図2(a)は、略コ字状の取付金具44を用いるもので、一方の面を直角に曲げ、他方の面を直角より大きい角度で、次第に間隔が広がるように曲げる。取付金具44は、直角に曲げた面を扉20または側板40に取り付け、他方の面を遮光板22,42に取り付ける。取り付けは、ボルト、ねじ、溶接等で行えばよい。
図2(b)は、スタッドやポール45を用いるもので、スタッドやポール45の一端は直角とし、他端は傾斜した面とする。スタッドやポール45は、直角の面を扉20または側板40に取り付け、傾斜した他方の面を遮光板22,42に取り付ける。取り付けは、ボルト、ねじ、溶接等で行えばよい。
【0018】
本実施例によれば、側板や扉に取り付ける遮光板を、下部よりも上部において壁面との間隔が広がるように、傾斜して取り付けることにより、上部方向への空気の流れを促進する。そして、温まった空気の滞留を防ぎ、効率的に配電盤の温度上昇を防ぐことができる。
図に示すように、扉20の横幅に比べて扉取付遮光板22の横幅を短くし、扉ハンドル24側および扉ヒンジ26側に隙間ができるように、扉取付遮光板22を取り付ける。図の例では、左側の該当盤の扉を開いたときに、扉取付遮光板22が干渉しないように、右側の隣接盤に設ける扉取付遮光板22の幅を短くし、隙間を設ける。また、左側の該当盤に設けた扉取付遮光板22が右側の隣接盤の扉20に当たらないように、隙間を設ける。実施例2において、その他の構成は、実施例1と同様である。
本実施例によれば、実施例1と同様に、壁面と遮光板との間の温まった空気の滞留を防ぎ、効率的に配電盤の温度上昇を防ぐとともに、盤を複数並べて配置した場合の、扉の開閉に伴う隣接盤の扉や遮光板との干渉を防ぎ、扉を十分に開くことができる。