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特開2023-6985複合樹脂成形品の成形方法及び成形金型
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006985
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】複合樹脂成形品の成形方法及び成形金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20230111BHJP
   B29C 45/80 20060101ALI20230111BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20230111BHJP
   B29C 45/33 20060101ALI20230111BHJP
   B29C 33/44 20060101ALI20230111BHJP
   B29C 45/37 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/80
B29C45/26
B29C45/33
B29C33/44
B29C45/37
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109914
(22)【出願日】2021-07-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】505225108
【氏名又は名称】深尾 均
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】深尾 均
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AH17
4F202AP10
4F202AR11
4F202CA11
4F202CA30
4F202CB01
4F202CB22
4F202CK02
4F202CK32
4F202CK54
4F206AH17
4F206AP10
4F206AR11
4F206AR20
4F206JA07
4F206JB23
4F206JQ81
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】二次成形樹脂材料を一次成形部材の貫通孔を貫通させて注入するため、貫通孔の閉鎖工程が別途必要になる。
【解決手段】固定側に固定金型1を、可動側にスライド金型2及び可動金型3が位置し、固定金型1に一次成形凸型6及び二次成形凸型7を、スライド金型2に割型ユニット9を固定金型1、一次成形凸型6及び割型ユニット9で形成された一次成形用キャビティ15で一次成形部材W1が成形され、固定金型1、二次成形凸型7及び割型ユニット9にセット状態の一次成形部材W1で形成された二次成形用キャビティ16で二次成形部材W2を成形して 複合樹脂成形品Wとすることで、二次成形用キャビティ16が一次成形部材W1に対し固定金型1に形成されて、固定金型1から二次成形用キャビティ16内に二次成形樹脂材料を射出可能とする。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティングラインに対し固定側に位置する固定金型と、可動側に位置する、第1位置と第2位置とを往復スライド可能なスライド金型及び可動金型により構成した成形金型による複合樹脂成形品の成形方法であって、
前記固定金型、進退ユニットの係合により割型ユニットが型締め状態の前記スライド金型及び前記可動金型を型締めし、前記固定金型と、前記固定金型における一次成形凸型と、型締め状態の前記第1位置のスライド金型の割型ユニットとにより形成される一次成形用のキャビティ内に一次成形樹脂材料を、前記固定金型に形成された一次成形樹脂流路内を通し射出して、アンダーカット部を有する一次成形部材を成形する第1工程と、
前記固定金型及び前記第1工程により成形した前記一次成形部材が型締め状態の前記割型ユニットにセット状態のままの前記スライド金型の相互間を離間させた後、前記進退ユニットが前記割型ユニットに係合状態のままのスライド金型を前記第2位置へスライドさせる第2工程と、
前記進退ユニットを前記可動金型に固定する第3工程と、
前記固定金型、前記一次成形部材をセット状態のスライド金型及び前記可動金型を型締めし、前記固定金型と、前記固定金型における二次成形凸型と、前記第2位置のスライド金型の型締め状態の割型ユニットにセット状態のままの一次成形部材とで形成される二次成形用のキャビティ内に前記一次成形樹脂材料と異なる二次成形樹脂材料を、前記固定金型に形成された二次成形樹脂流路を通して射出し二次成形部材を成形して、先に成形した前記一次成形部材と一体化した複合樹脂成形品を成形する第4工程と、
前記固定金型、前記スライド金型及び前記進退ユニットが固定状態の前記可動金型の相互間を離間させ、前記進退ユニットの離脱により型開き状態となった前記割型ユニットからアンダーカット部を有する前記複合樹脂成形品を取り出す第5工程と、
前記可動金型に対し前記スライド金型を型締めして進退ユニットの係合により割型ユニットを型締め状態とした後に前記スライド金型を前記第1位置へスライドさせる第6工程と、
前記進退ユニットの可動金型に対する固定状態を解除する第7工程と、
を1サイクルとして、前記複合樹脂成形品を連続成形可能にしたことを特徴とする複合樹脂成形品の成形方法。
【請求項2】
パーティングラインに対し固定側に位置する固定金型と、可動側に位置する、第1位置と第2位置とを往復スライド可能なスライド金型及び可動金型により構成した成形金型による複合樹脂成形品の成形方法であって、
前記固定金型、前記スライド金型及び前記可動金型の相互間を離間させた状態で、且つ前記スライド金型は第1位置で2つの割型ユニットの一方に2つの進退ユニットの一方が、2つの割型ユニットの他方に2つの進退ユニットの他方が係合し各割型ユニットにおける複数個の割型ブロックが前進状態で両方の割型ユニットが型締め状態となり、他方の割型ユニットに、後述する第5工程で成形された、アンダーカット部を有する一次成形部材がセット状態となり、前記固定金型、前記スライド金型及び前記可動金型を型締めし、他方の割型ユニットに係合状態の他方の進退ユニットを前記可動金型に固定し、前記固定金型における2箇所の一次成形凸型の一方と、前記スライド金型の型締め状態の一方の割型ユニットとにより形成される一次成形部材のキャビティに一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材を成形すると共に、前記固定金型と、2箇所の一次成形凸型の間に位置する二次成形凸型と、前記スライド金型の他方の割型ユニットにセット状態の一次成形部材とで形成される二次成形部材のキャビティに、二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材を成形して、該二次成形部材と先に成形された一次成形部材とを一体化した複合樹脂成形品を成形する第1工程と、
前記固定金型、前記スライド金型及び前記可動金型の相互間を離間させて、前記可動金型に固定された他方の進退ユニットを他方の割型ユニットから離脱させ前記割型ブロックを後退状態として他方の割型ユニットを型開き状態とした後、前記第1工程により成形し前記スライド金型にセット状態の複合樹脂成形品を他方の割型ユニットから取り出す第2工程と、
前記可動金型に対し前記スライド金型を型締めすると共に、前記第1工程により成形した一次成形部材を保持した状態で、全ての進退ユニットが全ての割型ユニットに係合状態のスライド金型を前記可動金型に対して第2位置へスライドさせる第3工程と、
他方の割型ユニットに係合させ割型ユニットを型締めさせた他方の進退ユニットの前記可動金型に対する固定状態を解除すると共に、一方の割型ユニットに係合状態の一方の進退ユニットを前記可動金型に固定する第4工程と、
前記固定金型、前記スライド金型及び前記可動金型を型締めし、前記固定金型における2箇所の一次成形凸型の他方と、前記スライド金型の型締め状態の他方の割型ユニットとにより形成される一次成形部材のキャビティに一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材を成形すると共に、前記固定金型と、2箇所の一次成形凸型の間に位置する二次成形凸型と、前記スライド金型の一方の割型ユニットにセット状態の、第1工程で成形された一次成形部材とで形成される二次成形部材のキャビティに、二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材を成形して、該二次成形部材と先に成形された一次成形部材とを一体化した複合樹脂成形品を成形する第5工程と、
前記固定金型、前記スライド金型及び前記可動金型の相互間を離間させて、前記可動金型に固定された一方の進退ユニットを一方の割型ユニットから離脱させ前記割型ブロックを型開き方向にスライド後退状態として一方の割型ユニットを型開き状態とした後、前記第5工程により成形し前記スライド金型にセット状態の複合樹脂成形品を一方の割型ユニットから取り出す第6工程と、
前記可動金型に対し前記スライド金型を型締めすると共に、前記第5工程により成形した一次成形部材を保持した状態で、全ての進退ユニットが全ての割型ユニットに係合状態の前記スライド金型を前記可動金型に対して第1位置へスライドさせる第7工程と、
一方の割型ユニットに係合させ割型ユニットを型締めさせた一方の進退ユニットの前記可動金型に対する固定状態を解除すると共に、他方の割型ユニットに係合状態の他方の進退ユニットを前記可動金型に固定する第8工程と、
を1サイクルとして一次成形部材及び複合樹脂成形品を連続成形する様にしたことを特徴とする複合樹脂成形品の成形方法。
【請求項3】
一次成形部材と、該一次成形部材の内側に成形される二次成形部材とを一体化した複合樹脂成形品を成形する金型で、パーティングラインに対し固定側に位置する固定金型と、可動側に位置する、第1位置と第2位置とを往復スライド可能なスライド金型及び可動金型により構成した成形金型であって、
前記固定金型に少なくとも1箇所の一次成形凸型及び1箇所の二次成形凸型を、前記一次成形凸型と前記二次成形凸型が隣接する様に、前記スライド金型のスライド方向に列設し、前記可動金型に対し接離自在な前記スライド金型は、前記一次成形凸型と同数箇所に、複数の割型ブロックを有する割型ユニットを設置し、該割型ユニットは、型締め時に割型ユニットに係合して前記割型ブロックを前進させ、型開き時に前記割型ユニットから離脱して前記割型ブロックを後退させる進退ユニットを有し、前記可動金型に、前記二次成形凸型がセットされた状態の前記割型ユニットに係合状態の進退ユニットの固定手段を設けて、前記複合樹脂成形品の取出し時における前記スライド金型と前記可動金型の離間時に、前記可動金型に固定された前記進退ユニットを前記割型ユニットから離脱可能とし、前記固定金型と、前記一次成形凸型と、型締め状態の前記割型ユニットとにより一次成形用キャビティを形成すると共に、前記固定金型と、前記二次成形凸型と、型締め状態の前記割型ユニットにセット状態の前記一次成形部材とにより二次成形用キャビティを形成し、前記スライド金型が前記一次成形用キャビティを形成する位置で連通状態となる一次成形用のキャビティへの一次成形樹脂材料の流路と、前記スライド金型が前記二次成形用キャビティを形成する位置で連通状態となる二次成形用のキャビティへの二次成形樹脂材料の流路とを前記固定金型に形成したことを特徴とする複合樹脂成形品の成形金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周部にアンダーカット部を有する合成樹脂製の一次成形部材の内側に合成樹脂製の二次成形部材が一体形成された複合樹脂成形品、具体的には燃料タンクの開口部(図示せず)を閉鎖する接続部品の様なキャップ状複合樹脂成形品の成形方法及び成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かかる複合樹脂成形品の成形方法として、本願出願人は、パーティングラインに対し固定側に位置する固定金型及びスライド金型と、可動側に位置する可動金型の相互間を離間させた状態で、且つスライド金型は第1位置で2つの割型ユニットの一方に2つの進退ユニットの一方を、2つの割型ユニットの他方に2つの進退ユニットの他方を係合させて型締め状態とし、固定金型、スライド金型及び可動金型を型締めし、他方の割型ユニットに係合状態の他方の進退ユニットを固定金型に固定し、前記可動金型における2つの一次成形中子の一方と、前記スライド金型側の型締め状態の一方の割型ユニットとにより形成される一次成形用のキャビティに一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材を成形すると共に、前記可動金型と、2つの一次成形中子の間に位置する二次成形中子と、前記スライド金型の他方の割型ユニットにセット状態の成形済一次成形部材とで形成される二次成形用のキャビティに、二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材を成形して、該二次成形部材と先に成形された一次成形部材とを一体化した複合樹脂成形品を成形する第1工程と、固定金型、スライド金型及び可動金型の相互間を離間させて、他方の進退ユニットを固定金型に移行させて他方の割型ユニットを型開き状態とした後、前記第1工程により成形し可動金型にセット状態の複合樹脂成形品を取り出す第2工程と、固定金型に対しスライド金型を型締めすると共に、他方の進退ユニットの固定金型に対する固定状態を解除した後、固定金型に対しスライド金型を型開きして、他方の進退ユニットをスライド金型側に移行させ他方の割型ユニットを型締めする第3工程と、前記第1工程により成形した一次成形部材を保持した状態で、2つの進退ユニットが係合状態で2つの割型ユニットが型締め状態の前記スライド金型を前記可動金型に対して第2位置へスライドさせた後に型締めし、一方の割型ユニットに係合状態の一方の進退ユニットを固定金型に固定して、前記可動金型における2つの一次成形中子の他方と、前記スライド金型側の型締め状態の他方の割型ユニットととにより形成される一次成形用のキャビティに一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材を成形すると共に、前記可動金型と、前記二次成形中子と、前記スライド金型の一方の割型ユニットにセット状態の成形済一次成形部材とで形成される二次成形用のキャビティに、二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材を成形して、該二次成形部材と先に成形された一次成形部材とを一体化した複合樹脂成形品を成形する第4工程と、固定金型、スライド金型及び可動金型の相互間を離間させて、一方の進退ユニットを固定金型に移行させて、一方の割型ユニットを型開き状態とした後、前記第4工程により成形し可動金型にセット状態の複合樹脂成形品を取り出す第5工程と、固定金型に対しスライド金型を型締めすると共に、一方の進退ユニットの固定金型に対する固定状態を解除した後、固定金型に対しスライド金型を型開きして、一方の進退ユニットをスライド金型側に移行させ一方の割型ユニットを型締めする第6工程と、前記第4工程により成形した一次成形部材を保持した状態で前記スライド金型を前記可動金型に対して第1位置へスライドさせた後に、前記第1工程と同様の成形工程を行うことを繰り返して一次成形部材及び複合樹脂成形品を連続成形する様にした複合樹脂成形品の成形方法を開発した(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この発明によれば、複合樹脂成形品成形後の型開き時に、複合樹脂成形品を成形する2個の割型ユニットのどちらか一方の進退ユニットを割型ユニットから離脱させて該割型ユニットを型開き状態とする様にしているので、一次成形部材にアンダーカット部が形成されていたとしても、複合樹脂成形品が可動金型にセットされた状態で型開きすることが出来るため、複合樹脂成形品を確実に取り出すことが出来る。
而も、複合樹脂成形品取り出し後に、固定金型に対しスライド金型を型締めすると共に、進退ユニットの固定金型に対する固定状態を解除した後、固定金型に対しスライド金型を型開きして、進退ユニットをスライド金型に移行させた後、スライド金型をスライドさせる様にしているので、外側の一次成形部材の部位にアンダーカット部が形成された複合樹脂成形品の連続成形を可能にすることが出来る。
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の発明は、複合樹脂成形品が連続形成可能で、一次成形部材におけるスライド金型側で成形される部分にアンダーカット部があっても、型開き状態において、複合樹脂成形品が可動金型に残って確実に取り出すことが出来る点で非常に優れた発明であるが、二次成形用キャビティが一次成形部材より可動金型に位置してしまって隠れてしまうことから、複合樹脂成形品の形状によっては、可動金型にサブマリンゲート(トンネルゲート)を形成し、一次成形部材を迂回して内側から二次成形樹脂を注入しなければならないことが有り得る。
【0005】
そこで、本願出願人は、パーティングラインに対し固定側に位置する固定板及びスライド金型と、可動側に位置する可動金型による成形方法であって、前記スライド金型と前記可動金型を離間させた状態で、前記固定板、進退ユニットの係合により割型ユニットが型締め状態となった前記スライド金型及び前記可動金型を型締めし、前記可動金型と、前記可動金型における一次成形中子と、前記スライド金型の型締め状態の割型ユニットとにより形成される一次成形用のキャビティ内に一次成形樹脂材料を、一次成形樹脂流路内を通し射出して、貫通孔及びアンダーカット部を有する一次成形部材を成形する第1工程と、前記固定板、前記第1工程により成形した前記一次成形部材が型締め状態の前記割型ユニットにセット状態のままの前記スライド金型及び前記可動金型の相互間を離間させる第2工程と、前記スライド金型を往動スライドさせて前記割型ユニットに係合状態の前記進退ユニットを前記固定金型に固定した後に前記固定板、前記スライド金型及び前記可動金型を型締めし、前記可動金型と、前記可動金型における二次成形中子と、前記スライド金型の型締め状態の割型ユニットにセット状態のままの成形済一次成形部材とで形成される二次成形用のキャビティ内に前記一次成形樹脂材料と異なる二次成形樹脂材料を、二次成形樹脂流路及び前記一次成形部材の貫通孔を通して射出し二次成形部材を成形して、先に成形した前記一次成形部材と一体化した仕上げ前の複合樹脂成形品を成形する第3工程と、前記進退ユニットが固定状態の前記固定板、前記スライド金型及び前記可動金型の相互間を離間させ、前記進退ユニットの離脱により型開き状態となった前記割型ユニットから離型されて可動金型にセット状態のままとなった前記仕上げ前の複合樹脂成形品を、完全に型開きされた状態で前記可動金型から取り出す第4工程と、前記固定金型に対し前記スライド金型を型締めして進退ユニットの係合により割型ユニットを型締め状態とすると共に、前記スライド金型を復動スライドさせて、前記進退ユニットの前記固定金型に対する固定状態を解除した後に前記第1工程と同様の成形工程を行うことを繰り返して、前記仕上げ前の複合樹脂成形品を連続成形し、成形された前記仕上げ前の複合樹脂成形品における前記貫通孔を塞いで複合樹脂成形品を完成させる様にした複合樹脂成形品の成形方法を開発した(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この発明によれば、固定板、スライド金型及び可動金型の型締め・型開きと、スライド金型の第1、2位置へのスライドと、一次・二次成形用キャビティへの一次・二次成形樹脂材料の射出という簡単な工程だけで、一次成形部材の内側に二次成形部材を有する仕上げ前の複合樹脂成形品を成形出来、更に二次成形樹脂を一次成形部材を貫通させて注入する形態であっても、二次成形部材の一部を一次成形部材に形成された貫通孔を閉鎖することで外部露出させない複合樹脂成形品を成形することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6109285号公報
【特許文献2】特許第6402157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献2に記載の発明にあっては、固定側にスライド金型があることから、特に燃料タンクの開口部を閉鎖するキャップ状の接続部品を成形する場合、一次・二次成形樹脂材料の流路の一部をスライド金型における割型ユニット及び進退ユニットに形成せねばならず、割型ユニット及び進退ユニットの複雑化を招来する可能性があり、而も成形された仕上げ前の複合樹脂成形品における貫通孔を塞ぐ工程が別途必要になるなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記従来技術に基づく、複合樹脂成形品の形状によっては割型ユニット及び進退ユニットが複雑化してしまう課題、及び仕上げ前の複合樹脂成形品における貫通孔の閉鎖工程が別途必要になる課題に鑑み、請求項1~3に係る発明とすることによって、一次・二次成形樹脂材料の流路は固定金型に形成されて、可動側の割型ユニット及び進退ユニットには形成不要とし、而も複合樹脂成形品の内側の方向から二次成形樹脂材料が射出されることによって、複合樹脂成形品への貫通孔の形成が不要となって、型締め・型開き工程、一次・二次成形樹脂材料の射出工程及びスライド金型のスライド工程だけで完成された複合樹脂成形品を成形可能として、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
要するに請求項1~3に係る発明は、複合樹脂成形品成形後の型開き時に、複合樹脂成形品を成形する進退ユニットが割型ユニットから離脱して該割型ユニットを型開き状態とする様にしているので、一次成形部材の外周部にアンダーカット部が形成されていたとしても、型開きされた割型ユニットから複合樹脂成形品を確実に取り出すことが出来、而も複合樹脂成形品を連続成形可能とすることが出来、特に請求項2に係る発明では、一次成形部材と複合樹脂成形品を同時に成形することが出来る。
加えて、二次成形用キャビティを一次成形部材に対し固定金型に位置させることが出来るため、二次成形用キャビティ内に二次成形樹脂材料を、可動金型にサブマリンゲート(トンネルゲート)等を形成せずに、而も一次成形部材に貫通孔を形成せずに固定金型から射出することが出来る。
更に、一次・二次成形樹脂流路を固定金型にだけに形成することが出来るため、割型ユニット及び進退ユニットの複雑化を防止することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る複合樹脂成形品の成形金型で、スライド金型が第1位置での型締め状態を示す縦断面図である。
図2】型締め後の状態で一次成形樹脂及び二次成形樹脂を射出した状態を示す縦断面図である。
図3図2の状態から型開き状態を示す縦断面図である。
図4図3の状態から他方の割形ユニットの型開き状態を示す縦断面図である。
図5図4の状態から型締め過程の状態を示す断面図である。
図6図5の状態から型締め過程でスライド金型を第2位置とした状態を示す縦断面図である。
図7図6の状態から完全に型締めした状態を示す縦断面図である。
図8】型締め後の状態で一次成形樹脂及び二次成形樹脂を射出した状態を示す縦断面図である。
図9図8の状態から型開き状態を示す縦断面図である。
図10図9の状態から一方の割形ユニットの型開き状態を示す縦断面図である。
図11図10の状態から型締め過程の状態を示す縦断面図である。
図12図11の状態から型締め過程でスライド金型を第1位置とした状態を示す縦断面図である。
図13】型締め状態を示す一次成形部材キャビティでの横断面図である。
図14】型開き状態を示す一次成形部材キャビティでの横断面図である。
図15】型締め状態を示す二次成形部材キャビティでの横断面図である。
図16】型開き状態を示す二次成形部材キャビティでの横断面図である。
図17】第1位置での一次成形部材キャビティの断面の要部拡大図である。
図18】第2位置での一次成形部材キャビティの断面の要部拡大図である。
図19】二次成形部材キャビティの断面の要部拡大図である。
図20(a)】一次成形部材の断面図である。
図20(b)】複合樹脂成形品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る複合樹脂成形品の成形金型にあっては、外周部にアンダーカット部W1cを有する一次成形部材W1の内側に二次成形部材W2を一体成形して複合樹脂成形品Wとする金型であって、パーティングラインに対し固定側に位置する固定金型1と、可動側に位置するスライド金型2及び可動金型3により構成すると共に、可動金型3に対しスライド金型2を接離自在と成している。
【0013】
固定金型1は、少なくとも1箇所に一次成形凸型6、1箇所に二次成形凸型7を、一次成形凸型6と二次成形凸型7が隣接する様に、スライド金型2のスライド方向に列設している。
【0014】
スライド金型2は、一次成形凸型6と同数箇所に割型ユニット9を設置し、該割型ユニット9は凹型で一次成形部材W1の外面を形成し、アンダーカット部W1cの形成部位10を形成している。
【0015】
割型ユニット9は、一対の割型ブロック12、12a を有しており、スライド金型2に貫通形成された開口部11に収容されている。
【0016】
割型ユニット9は、割型ブロック12、12a の進退ユニット13により型締め・型開き可能としている。
そして、この進退ユニット13により型締め状態の割型ユニット9と、固定金型1及びスライド金型2が型締め状態での一次成形凸型6との間に隙間を形成可能とし、且つ進退ユニット13が可動金型3に移行し後退して型開き状態の割型ユニット9から複合樹脂成形品Wを、アンダーカット部W1cが引っ掛からずに引き抜き可能としている。
【0017】
可動金型3は、二次成形部材W2を成形する位置の割型ユニット9に対応する進退ユニット13を固定する手段14を有し、該固定手段14は、可動金型3に対するスライド金型2の型開き時に、二次成形部材W2を成形する位置の割型ユニット9に対応する進退ユニット13が可動金型3に固定されて後退し対応する割型ユニット9が型開き状態となり、一次成形部材W1を成形する位置の割型ユニット9に対応する進退ユニット13は可動金型3に固定されず対応する割型ユニット9が、スライド金型2と可動金型3とが離間しても型締め状態のままとなる様にしている。
【0018】
一次成形部材W1のキャビティ15は、固定金型1と、一次成形凸型6と、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9とにより形成し、一次成形用キャビティ15への一次成形樹脂流路20を固定金型1に形成している。
【0019】
二次成形部材W2のキャビティ16は、固定金型1と、二次成形凸型7と、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9にセット状態の一次成形部材W1とにより形成され、二次成形用キャビティ16への二次成形樹脂流路21を固定金型1に形成している。
【0020】
尚、スライド金型2は、型締め時に、使用されていない一次成形凸型6又は二次成形凸型7に当たらない様に形成されている。
【0021】
そして、下記第1~7工程を1サイクルとして、複合樹脂成形品Wを連続成形する。
【0022】
〔第1工程〕
固定金型1、進退ユニット13の係合により割型ユニット9を型締め状態とした第1位置のスライド金型2、及び可動金型3を型締めし、一次成形用キャビティ15内に、一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材W1を成形する。
〔第2工程〕
固定金型1と、進退ユニット13が可動金型3に固定されず型締め状態のままの割型ユニット9に前記第1工程により成形した一次成形部材W1が残った状態のスライド金型2との間を離間させた後に、スライド金型2を第2位置へスライドさせる。
〔第3工程〕
固定手段14により進退ユニット13を可動金型3に固定する。
〔第4工程〕
固定金型1、スライド金型2及び可動金型3を型締めし、二次成形用キャビティ16内に、一次成形樹脂材料と異なる二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材W2を形成して、先に成形した一次成形部材W1と一体化した複合樹脂成形品Wを成形する。
〔第5工程〕
固定金型1、スライド金型2及び進退ユニット13が固定状態の可動金型3との間を離間させて、可動金型3に固定された進退ユニット13が離脱して割型ユニット9を型開き状態とし、完全に型開きされた割型ユニット9から複合樹脂成形品Wを取り出す。
〔第6工程〕
可動金型3に対しスライド金型2を型締めして、進退ユニット13を進行させ割型ユニット9を型締め状態とした後に、スライド金型2を第1位置にスライドさせる。
〔第7工程〕
固定手段14による可動金型3に対する進退ユニット13の固定状態を解除する。
【実施例0023】
図20(b)に示す様に、複合樹脂成形品である接続部品Wは、タンク本体の開口部(図示せず)を閉鎖する蓋部Waと該蓋部Waの側部より突出する接続パイプ部Wbとを有し、一次成形部材である外側部位W1と、二次成形部材で外側部位W1の内面を覆う内側部位W2で構成されており、蓋部Waの外周部にアンダーカット部W3を形成している。
【0024】
固定金型1は、図1~19に示す様に、基本的に、固定側取付板17と固定金型本体18とを有し、望ましくは固定側取付板17と固定金型本体18との間にランナストリッパプレート18a を有している。
【0025】
固定側取付板17は、移動せず固定状態で、固定側取付板17とランナストリッパプレート18a との間、ランナストリッパプレート18a と固定金型本体18との間を離間可能としている。
そして、下記〔第2工程〕及び〔第6工程〕時に、固定側取付板17とランナストリッパプレート18a との間を離間させて、後述する一次成形樹脂流路20、20a 内で形成されたランナR1及び二次成形樹脂流路21内で形成されたランナR2を除去可能としている。
【0026】
固定金型本体18は、1箇所に1個の一次成形凸型6と、もう1箇所に1個の一次成形凸型6aと、一次成形凸型6、6a間に配した1箇所に1個の二次成形凸型7とを有し、基本的に、固定側型板19と、一方の一次成形凸型6と、他方の一次成形凸型6aと、1個の二次成形凸型7で構成されていることで、2つの一次成形部材用キャビティ15、15a 及び2つの二次成形部材用キャビティ16、16a を形成可能としている。
【0027】
図17、18に示す様に、一方の一次成形部材用キャビティ15は、固定金型1と、一次成形凸型6aと、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9とにより、他方の一次成形部材用キャビティ15a は、固定金型1と、一次成形凸型6aと、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9aとにより形成され、これらキャビティ15、15a への一次成形樹脂流路20、20a を、固定側型板19と一次成形凸型6、6aを直線状に貫通する様に固定金型1に形成している。
【0028】
図19に示す様に、一方の二次成形部材用キャビティ16は、固定金型1と、二次成形凸型7と、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9にセット状態の一次成形部材W1とにより、他方の二次成形部材用キャビティ16a は、固定金型1と、二次成形凸型7と、スライド金型2の型締め状態の割型ユニット9aにセット状態の一次成形部材W1とにより形成され、これら二次成形部材用キャビティ16、16a への二次成形樹脂流路21を、固定側型板19と二次成形凸型7を直線状に貫通する様に固定金型1に形成している。
【0029】
スライド金型2は、図1~19に示す様に、1箇所に1個の割型ユニット9を、もう1箇所に1個の割型ユニット9aを設置し、これら割型ユニット9、9aは開口部11、11a に収容され、可動金型3に対し接離自在なベース22における固定金型1との対向面に形成した矩形状の開口部23内に往復スライド可能に収容され、ベース22とスライド金型2の固定金型1との対向面を面一とし、ベース22の端面部に配設したシリンダー24のロッド25の先端部をスライド金型2の端面に固設している。
そして、下記〔第7工程〕時に、シリンダー24のロッド25の後退により第2位置のスライド金型2を第1位置に、下記〔第3工程〕時に、ロッド25の進行により第1位置のスライド金型2を第2位置にスライドさせている。
【0030】
図17~19に示す様に、割型ユニット9、9aの夫々は、2個の割型ブロック12、12a を有し、割型ブロック12、12a の背面に外側且つ下方への傾斜面26、26a を形成している。
【0031】
各進退ユニット13、13a は、スライド金型2の開口部11、11a と割型ユニット9、9aの割型ブロック12、12a との間に挟入される一対の楔27、27a を有し、該楔27、27a の夫々の先端内面を、割型ブロック12、12a の傾斜面26、26a に合致する様に形成し、該傾斜面26、26a に蟻28、28a を、楔27、27a の傾斜面26、26a との対応面に蟻溝29、29a を形成して、型締め過程において、進退ユニット13、13a が前進し楔27、27a の蟻溝29、29a に割型ブロック12、12a の蟻28、28a が入り込み開口部11、11a と割型ブロック12、12a との間に徐々に挟入されることで、割型ブロック12、12a を型締め方向にスライド可能にし、型開き過程において、進退ユニット13、13a が後退し開口部11、11a と割型ブロック12、12a との間から徐々に引き抜かれることで、割型ブロック12、12a を型開き方向にスライドさせて、蟻28、28a が蟻溝29、29a から外れる。
【0032】
ベース22は、割型ユニット9、9aの貫通部位30が形成され、該貫通部位30はスライド金型2のスライド方向に長く、貫通部位30を貫通した各進退ユニット13、13a の楔27、27a の先端部が、割型ユニット9、9aに係合可能と成っている。
【0033】
可動金型3は、図1~19に示す様に、基本的に、可動側取付板31と進退ユニット13、13a の固定手段14である離脱プレート32とを有している。
図17~19に示す様に、離脱用プレート32は、スライド金型2が第1位置で進退ユニット13a を、第2位置では進退ユニット13を固定状態とする機能を有し、具体的にはスライド金型2側の面に、進退ユニット13、13a におけるベース22から突出した、断面T字状の係止突起33、33a を収容する溝部34を形成し、該溝部34はスライド金型2のスライド方向に長く、第1位置での進退ユニット13a の係止突起33a 、第2位置での進退ユニット13の係止突起33に係合する突条35、35a を形成し、該突条35、35a は溝部34の内壁面中央より内方突出し、長さを溝部34の約1/3として、進退ユニット13、13a の係止突起33、33a を貫通部位30内に位置させたままスライド金型2をスライド可能にすることで、スライド金型2に対する離脱用プレート32の移動量をなるべく少量に抑えている。
そして、スライド金型2が第1位置の場合に、進退ユニット13の係止突起33は溝部34における突条35、35a の無い部位に収容状態で離脱用プレート32に対し未固定状態となると共に、進退ユニット13a の係止突起33a は溝部34における突条35、35a に係合状態で離脱用プレート32に対し固定状態となり、スライド金型2が第2位置の場合に、進退ユニット13a の係止突起33a は溝部34における突条35、35a の無い部位に収容状態で離脱用プレート32に対し未固定状態となると共に、進退ユニット13の係止突起33は溝部34における突条35、35a に係合状態で離脱用プレート32に対し固定状態となる様にしている。
【0034】
スライド金型2における割型ユニット9、9aよりシリンダー24側に、第2位置の一方の一次成形凸型6の逃がし凹部36を形成し、スライド金型2の長さは、先端が、第1位置における他方の一次成形凸型6aがスライド金型2に衝突しない様に設定されている。
【0035】
図13~16に示す様に。ベース22の側部に、接続部品Wにおける接続パイプ部Wbを形成するための一次成形用サイドコア40、40a 及び二次成形用サイドコア41を配置し、該サイドコア40、40a 及び二次成形用サイドコア41は丸棒状で、一次成形用サイドコア40、40a の方を大径とし、割型ユニット9、9a内に対し出没自在にすべくシリンダにより往復スライド可能にし、一次成形用サイドコア40、40a 及び二次成形用サイドコア41の先端を型締め時に、ベース22、スライド金型2及び割型ユニット9、9aを貫通して、一次成形凸型6、6a及び二次成形凸型7の側面に当接可能としている。
そして、一次成形用サイドコア40、40a と割型ユニット9、9aとの間に接続パイプ部Wbの外側部位Wb1を、二次成形用サイドコア41と外側部位Wb1間に接続パイプ部Wbの内側部位Wb2を成形可能にしている。
【0036】
次に、実施例1における複合樹脂成形品Wの製造方法としては、下記第1~8工程を1サイクルとして、一次成形部材W1及び複合樹脂成形品Wを同時に連続成形する。
【0037】
先ず、スライド金型2の第2成型部位8aにおける型締め状態の割型ユニット9aに、予め成形された一次成形部材W1がセットされ、固定金型1、スライド金型2、可動金型3の相互間を離間させた状態を初期状態として説明する。
【0038】
〔第1工程〕
型開き状態の固定金型1、全ての割型ユニット9、9aが進退ユニット13、13a の進行により型締め状態の第1位置のスライド金型2、及び可動金型3を型締めし(図1参照)、一次成形樹脂流路20から一方の一次成形用キャビティ15内に一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材W1を成形し、二次成形樹脂流路21から他方の二次成形用キャビティ16a 内に一次成形樹脂材料と異なる二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材W2を形成して、後述する第5工程で成形された一次成形部材W1と一体化した複合樹脂成形品Wを成形する(図2参照)。
〔第2工程〕
固定金型1と前記第1工程により成形した一次成形部材W1及び複合樹脂成形品Wが残ったスライド金型2との間を離間させ(図3参照)、スライド金型2と、固定手段14による一方の進退ユニット13の固定状態が解除され且つ固定手段14により他方の進退ユニット13a を固定状態とした可動金型3との間を離間させると、一方の進退ユニット13がスライド金型2に残り、他方の進退ユニット13a は可動金型3に固定され後退して他方の割型ユニット9aを型開き状態とし、完全に型開きされた他方の割型ユニット9aから複合樹脂成形品Wを取り出す(図4参照)。
〔第3工程〕
可動金型3に対しスライド金型2を型締めして、他方の進退ユニット13a を進行させ2つの割型ユニット9、9aを型締め状態とし(図5参照)、その後スライド金型2を第2位置へスライドさせる(図6参照)。
〔第4工程〕
他方の割型ユニット9aに係合させ割型ユニット9aを型締めさせた他方の進退ユニット13a の可動金型3に対する固定手段14による固定状態を解除すると共に、一方の割型ユニット9に係合状態の一方の進退ユニット13を固定手段14により可動金型3に固定する。
〔第5工程〕
固定金型1、スライド金型2及び可動金型3を型締めし(図7参照)、一次成形樹脂流路20a から他方の一次成形用キャビティ15a 内に一次成形樹脂材料を射出して一次成形部材W1を成形し、二次成形樹脂流路21から一方の二次成形用キャビティ16内に、一次成形樹脂材料と異なる二次成形樹脂材料を射出し二次成形部材W2を形成して、先に成形した一次成形部材W1と一体化した複合樹脂成形品Wを成形する(図8参照)。
〔第6工程〕
固定金型1と前記第5工程により成形した一次成形部材W1及び複合樹脂成形品Wが残ったスライド金型2との間を離間させ(図9参照)、スライド金型2と、固定手段14による他方の進退ユニット13a の固定状態が解除され且つ固定手段14により一方の進退ユニット13を固定状態とした可動金型3との間を離間させると、他方の進退ユニット13a がスライド金型2に残り、一方の進退ユニット13は可動金型3に固定され後退して一方の割型ユニット9を型開き状態とし、完全に型開きされた一方の割型ユニット9から複合樹脂成形品Wを取り出す(図10参照)。
〔第7工程〕
可動金型3に対しスライド金型2を型締めして、一方の進退ユニット13を進行させ2つの割型ユニット9、9aを型締め状態とし(図11参照)、その後スライド金型2を第1位置にスライドさせる(図12参照)。
〔第8工程〕
一方の割型ユニット9に係合させ割型ユニット9を型締めした一方の進退ユニット13の可動金型3に対する固定手段14による固定状態を解除すると共に、他方の割型ユニット9aに係合状態の他方の進退ユニット13a を可動金型3に固定する。
【0039】
尚、固定金型1には1箇所に1個の一次成形凸型6と、もう1箇所に1個の一次成形凸型6aと、一次成形凸型6、6aの間の1箇所に1個の二次成形凸型7が、スライド金型2には1箇所に1個の割型ユニット9と、もう1箇所に1個の割型ユニット9aが配置されているが、一次成形凸型6、一次成形凸型6a、二次成形凸型7、割型ユニット9、割型ユニット9aの個数は、同数であれば複数個であっても良い。
又、固定金型1は1箇所の一次成形凸型6と1箇所の二次成形凸型7だけを、スライド金型2は1箇所の割型ユニット9だけを配置しても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 固定金型
2 スライド金型
3 可動金型
6 一次成形凸型
7 二次成形凸型
9 割型ユニット
13 進退ユニット
15 一次成形用キャビティ
16 二次成形用キャビティ
W 複合樹脂成形品
W1 一次成形部材
W2 二次成形部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20(a)】
図20(b)】
【手続補正書】
【提出日】2021-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
一次成形部材と、該一次成形部材の内側に成形される二次成形部材とを一体化した複合樹脂成形品を成形する金型で、パーティングラインに対し固定側に位置する固定金型と、可動側に位置する、第1位置と第2位置とを往復スライド可能なスライド金型及び可動金型により構成した成形金型であって、
前記固定金型に少なくとも1箇所の一次成形凸型1箇所の二次成形凸型とを、前記一次成形凸型と前記二次成形凸型が隣接する様に、前記スライド金型のスライド方向に列設し、前記可動金型に対し接離自在な前記スライド金型は、前記一次成形凸型と同数箇所に、複数の割型ブロックを有する割型ユニットを設置し、該割型ユニットは、型締め時に割型ユニットに係合して前記割型ブロックを前進させ、型開き時に前記割型ユニットから離脱して前記割型ブロックを後退させる進退ユニットを有し、前記可動金型に、前記二次成形凸型がセットされた状態の前記割型ユニットに係合状態の進退ユニットの固定手段を設けて、前記複合樹脂成形品の取出し時における前記スライド金型と前記可動金型の離間時に、前記可動金型に固定された前記進退ユニットを前記割型ユニットから離脱可能とし、前記固定金型と、前記一次成形凸型と、型締め状態の前記割型ユニットとにより一次成形用キャビティを形成すると共に、前記固定金型と、前記二次成形凸型と、型締め状態の前記割型ユニットにセット状態の前記一次成形部材とにより二次成形用キャビティを形成し、前記スライド金型が前記一次成形用キャビティを形成する位置で連通状態となる一次成形用のキャビティへの一次成形樹脂材料の流路と、前記スライド金型が前記二次成形用キャビティを形成する位置で連通状態となる二次成形用のキャビティへの二次成形樹脂材料の流路とを前記固定金型に形成したことを特徴とする複合樹脂成形品の成形金型。