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特開2023-69856化粧料容器用キャップ及びこれを備えた化粧料容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069856
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】化粧料容器用キャップ及びこれを備えた化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20230511BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A45D34/00 510A
B65D83/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182028
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】植村 友貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】熊井 南王
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014PC03
3E014PC06
3E014PC12
3E014PE15
3E014PE25
3E014PE30
(57)【要約】
【課題】異なる色のインクカートリッジに交換しても、キャップ内で異なる色が混ざることがなく、かつ、外装を継続して使用できる化粧料容器用キャップ及び化粧料容器を提供する。
【解決手段】内周の少なくとも一部に雌螺子溝を有する外装キャップと外周の少なくとも一部に雄螺子溝を有する内側キャップを備え、前記外装キャップと前記内側キャップとが両螺子溝によって取り外し可能に螺合されてなる化粧料容器用キャップ及びこれを備えた化粧料容器。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周の少なくとも一部に雌螺子溝を有する外装キャップと外周の少なくとも一部に雄螺子溝を有する内側キャップを備え、前記外装キャップと前記内側キャップとが両螺子溝によって取り外し可能に螺合されてなる化粧料容器用キャップ。
【請求項2】
前記内側キャップが、開口端に2以上の凹部を有する請求項1記載の化粧料容器用キャップ。
【請求項3】
前記内側キャップが、開口端に鍔部を有する請求項1又は2記載の化粧料容器用キャップ。
【請求項4】
前記内側キャップの内側に、弾性体を介して可動式のインナーキャップを有する請求項1~3いずれか1項記載の化粧料容器用キャップ。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項記載の化粧料容器用キャップが装着された化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装キャップと内側キャップとが取り外し可能に接合されてなる化粧料容器用キャップ及びこれを備えた化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧具や筆記具のための化粧料容器は、その色材がなくなったときや使用する色材の種類を変えたいときなどに、色材が内蔵されている内部インクカートリッジ等を交換することが行われる。その際、色材の色がそれまで使用した色と異なる色になる場合が多い。
一方、化粧料容器の外装は、使用者の嗜好に合わせて意匠性を有して作成されることがある。この場合、使用者には、内部インクカートリッジ等を交換しても化粧料容器の外装を継続して使用したいという要求がある。
【0003】
しかしながら、化粧料容器のキャップ内面には、それまでの使用により付着した色材が残留している場合がしばしばある。その場合、化粧料容器の外装を継続して使用しつつ、内部インクカートリッジ等を交換して新しい色を使用する際、キャップ内面に塗布体が接触してそれ以前の色材が新しい色材に混じり込むことが避けられない。
【0004】
特許文献1には、外装用キャップの装着時、外装用キャップの環状リブと周状に当接する外壁部を有する、外装体に対して着脱可能に取り付けられる、インキ内蔵型の筆記具カ-トリッジ;に装着されるキャップ(サブキャップ)であって、筆記具カ-トリッジに装着時、筆記具カ-トリッジに対して周状に当接する環状リブを、前記筆記具カ-トリッジの前記外装用キャップとの当接部を設けた外壁部と同じ外壁部に当接する位置に、しかも、前記外装用キャップとの当接部よりも後部において当接する位置に設けてなる筆記具カ-トリッジのキャップ(サブキャップ)を要旨とする考案が開示されている。
特許文献1には、外装用キャップとサブキャップは、環状リブによって着脱可能に固定されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録公報第2595858号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、外装用キャップとサブキャップは、環状リブによって着脱可能と記載されているが、実際には、着脱可能に固定するための環状リブ同士の間隙の調整が難しい。すなわち、外装用キャップの環状リブとサブキャップの環状リブの間隙が小さすぎると、サブキャップを外装用キャップに固定するのに多大な力を必要とする。また、外装用キャップの環状リブとサブキャップの環状リブの間隙が大きすぎると、環状リブによる固定が弱くなり、キャップをカ-トリッジから着脱する際に、外装用キャップからサブキャップが思いがけず脱落してしまうことがある。
【0007】
さらに、繰り返し着脱操作されることにより、摩擦によって外装用キャップ内面の拡径又はサブキャップ外面の縮径を受ける傾向にあるため、経時的に環状リブの噛み合いが緩くなって外装用キャップからサブキャップが脱落しやすくなる。
【0008】
本発明の課題は、使用者がインク内蔵カートリッジを交換する際、内側キャップも同時に交換することができ、かつ、キャップを先軸から着脱操作する際に外装用キャップが脱離するおそれのないキャップ及びこれを備えた容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、キャップを外装キャップと内側キャップとの別個の部品にし、それらを着脱可能に構成したものである。
具体的には、内周の少なくとも一部に雌螺子溝を有する外装キャップと外周の少なくとも一部に雄螺子溝を有する内側キャップを備え、前記外装キャップと前記内側キャップとが両螺子溝によって取り外し可能に螺合されてなる化粧料容器用キャップに関する。
また、本発明は、前記化粧料容器キャップを備えた化粧料容器に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化粧料容器によれば、使用者が別の色のインクカートリッジに交換する際、古いインクが付着した内側キャップも同時に新品に交換することができるので、塗布具がキャップ内で内側キャップに接触しても、それまでのインクが新しいインクに混ざることがない。
【0011】
さらに、外装キャップと内側キャップとは螺子溝によって螺合されるので、容易かつ確実に両者を接合することができる。さらに、外装キャップと内側キャップの固定と取り外しを繰り返しても、外装キャップが内側キャップから脱落しやすくなるといった事態を防止できる。外装キャップと内側キャップの固定が環状リブによる場合には、環状リブの変形のために、キャップを先軸から解放する際に外装キャップが内側キャップから意図せずに脱離するおそれがあるが、外装キャップと内側キャップを螺合によって固定することにより脱離するおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る化粧料容器の全体図であって、(a)が正面図、(b)が(a)の断面図である。
図2】化粧料容器のキャップのみの平面図であって、(a)が正面図、(b)が上面図、(c)が先端側側面図、(d)が(a)のM-M線に沿う断面図、(e)が開口側側面図である。
図3】化粧料容器のキャップのみの斜視図で、(a)及び(b)が後方斜視図、(c)が前面側からの先方斜視図である。
図4】化粧料容器を構成する部品の展開図の斜視図である。
図5】外装キャップを構成する継ぎ手のみの図であって、(a)が斜視図、(b)が上面図、(c)が側面図、(d)が(b)のN-Nに沿う断面図である。
図6】継ぎ手が外装キャップに結合している図であって、(a)が正面図、(b)が(a)のR-R線に沿う断面図、(c)が(a)のP-P線に沿う断面図である。
図7】化粧料容器において、内軸末端に形成された「-」形状の螺子回し部(2種類)を内側キャップの凹部に適用し、回旋操作により外装キャップに固定又は外装キャップから取り外す操作の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。
本発明のキャップは、外装キャップ21と内側キャップ20を備える。また、本発明の化粧料容器は、本発明のキャップ、並びに、先軸11、12及び後軸16を含む軸体からなる。後軸16は、外装軸17で覆われる。外装キャップ21及び外装軸17は、表面に意匠性を有するものを使用することができる。
【0014】
本発明のキャップを構成する外装キャップ21の内周には、その少なくとも一部に雌螺子溝が設けられる。好ましくは、外装キャップ21の内周終端(開口端と反対側)に結合された継ぎ手22の内周に雌螺子溝が設けられる。ここで、継ぎ手22は、その外周に複数のリブを有し、当該リブが外装キャップ21の内周に設けられた外壁リブ22cに嵌合することによって外装キャップ21と一体化された部材である。継ぎ手22は、接着剤を使用して外装キャップ21に接着しても良い。本発明においては、外装キャップ21に結合された継ぎ手22の内周に雌螺子溝が設けられている場合を含めて、外装キャップ21の内周に設けられた雌螺子溝という。
【0015】
さらに、継ぎ手22と内側キャップ20の当接面には、発泡ゴム等のクッション性材料からなる弾性構造体23を挟むことが、内側キャップ20が緩んでガタついたり外装キャップ21から脱落することを防止するので、好ましい。そのため、継ぎ手22の内側キャップ20との当接面には、溝部22bを設け、リング状の弾性構造体23を該溝部22bに収めて安定化することが好ましい。また、継ぎ手22の外装キャップ21終端との当接面にも溝部22bを設けて、外装キャップ21との接着時の余剰の接着剤を収めるための空間としても良い。
【0016】
本発明のカートリッジ用キャップを構成する外装キャップ21としては、キャップとしての機能を有するものであればいずれも使用できるが、外側表面に意匠性を有するものが好ましく使用される。外装キャップ21は、金属、セラミック、樹脂、木地、紙材などの素材のみから形成しても良いが、安定性の観点から、樹脂等からなる構造材の上に前記した素材を接着又は篏合により被覆したものが好適に使用される。意匠を前記した構造材の上に印刷又は塗装したものも使用できる。
【0017】
本発明のキャップを構成する内側キャップ20の外周の少なくとも一部には、雄螺子溝20dが設けられる。内側キャップ20の外周に設けられた雄螺子溝20dは、外装キャップ21の内周に設けられた雌螺子溝22aと螺合される。雄螺子溝20dを内側キャップ20の先端部に設けて、前記継ぎ手22と螺合させても良い。両螺子溝同士の螺合によって内側キャップ20は外装キャップ21に安定して固定される。
【0018】
内側キャップ20を形成する材料は、外周面に雄螺子溝を安定に形成できる材料であれば良く、生産性の観点から樹脂が好適に使用される。内側キャップ20はキャップ内部に位置し、外装キャップ21のような意匠性を求められないので、樹脂のみで形成することができる。用いられる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンに例示される熱可塑性樹脂が好ましい。
【0019】
外装キャップ21と内側キャップ20とは、互いに螺合する際とは逆方向に回転させることにより取り外すことができる。内側キャップが後述のインナーキャップを有する場合、内側キャップとインナーキャップ(介在する弾性体を含む)を一体として取り外すことが可能である。内側キャップのみを新品と交換することで、外装用キャップを継続して使用でき、かつ、異なる色のインクカートリッジに交換した場合であっても、キャップ内で異なる色同士が混ざり合うことがない。
【0020】
外装キャップから内側キャップを外す際のために、内側キャップ20は、外装キャップ21と螺合された際の開口端に2以上の凹部20bを有することが好ましい。内側キャップの凹部20bにネジ回しやヘラ等の工具類を適用し、これを回旋させる操作により、容易に内側キャップ20を外装キャップ21から取り外すことができる。内側キャップ20の開口端に設けられる凹部20bは、工具又は後述の化粧料容器に付属する螺子回し部の適用に適した数及び形状にすることが好ましい。
【0021】
本発明の化粧料容器は、内側キャップ20の開口端に設けられた凹部20bに適用することが可能な螺子回し部15aを備えることが、使用者が内側キャップ20を取り外す操作をいつでも行うことができるので、好ましい。当該螺子回し部15aは、設けられた凹部20bの数及び形状に合わせて、「-」形状、「+」形状、「*」形状、三角形状もしくはそれ以上の多角形状を有する末端を有するものが使用できる。
【0022】
螺子回し部15aは、独立した部品として構成されてもよいが、後軸16の内部又は後軸16周辺の収納位置から操作により現れる付属品であることが好ましい。例えば、図1のように螺子回し部15aが内軸15の末端に形成され、これを覆う後軸16を外すことによって、図7のように使用できる形態が好ましい。後軸16と内軸15を螺合する螺旋と、外装キャップ21と内側キャップ20を螺合する螺旋とを向き又はピッチにおいて互いに異ならせることが、それぞれを個別に着脱する上で好ましい。
【0023】
内側キャップ20は、外装キャップ21に固定された際の開口端周縁部に鍔部20aを有することが好ましい。鍔部20aは、内側キャップ20の開口部の径方向側に出っ張るように設けられ、外装キャップ21の鍔を形成する。鍔部20aは、内側キャップ20を外装キャップ21に螺合する際、内側キャップの位置を決めて内側キャップ20が外装キャップ21の奥に入りすぎることを防止する。また、螺合した後に外装キャップ21と内側キャップ20の間で生じるガタを無くすことができる。
【0024】
内側キャップ20は、その内側に可動式のインナーキャップ19をさらに設けることが好ましい。インナーキャップ19は、内側キャップ20とインナーキャップ19の間に設けられた伸縮性の弾性体18を介して内側キャップ20内部において前後可動に接合される。弾性体18としては、コイル状バネが好適に使用される。
【0025】
インナーキャップ19は、キャップが軸体に装着されている間は、軸体によって押されて内側キャップ20内に収容され、先軸11、12が挿入される。その際、インナーキャップ19と内側キャップ20の間に設けられている弾性体18は収縮している。装着されたキャップを軸体から外す際、弾性体18はその反発力により伸長し、インナーキャップ19を介してキャップが軸体から解放されるのを助勢する。キャップが軸体から解放された状態において、インナーキャップ19の開口端部は、外装キャップ21の端部よりも軸体方向に露出していることが好適である。
【0026】
後軸16は回転させることによって、内軸15を残して先軸11、12から外すことができる。後軸16の外表面は、外装軸17で覆われることが好ましい。外装軸17の外表面は、外装キャップ21の外表面と意匠上の関連性を有することが好ましい。
【0027】
本発明のキャップは、異なる色のインクカートリッジないし塗布具に交換しても、内側キャップを更新することによりキャップ内で以前の色が新しい色に混じることがない。
【0028】
本発明の化粧料容器は、金属光沢その他の意匠が施された外装を有する化粧具や筆記具のための容器として、インクカートリッジないし塗布具を交換しながら、継続して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のキャップを備えた容器は、アイライナー、アイブロウ、ネイルカラーなどの化粧具の容器又はサインペンなどの筆記具の軸体として利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 塗布体
11 先軸(1次側)
12 先軸(2次側)
13 中継芯
14 コレクター
15 内軸
15a 螺子回し部
16 後軸
17 外装軸
18 弾性体
19 インナーキャップ
20 内側キャップ
20a 鍔部
20b 凹部
20c 等配リブ
20d 雄螺子溝
21 外装キャップ
22 継ぎ手
22a 雌螺子溝
22b 溝部
22c 外壁リブ
23 弾性構造体
24 攪拌棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7