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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069871
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】水系液体化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230511BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20230511BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230511BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/10
A61Q1/02
A61K8/88
A61K8/85
A61K8/24
A61K8/81
A61K8/02
A61K8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182049
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤(若林) 萌
(72)【発明者】
【氏名】井上 賢亮
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB132
4C083AB222
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB281
4C083AC101
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC792
4C083AC842
4C083AC862
4C083AC902
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD352
4C083AD411
4C083AD412
4C083CC14
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD47
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
(57)【要約】
【課題】酸化鉄顔料のような無機顔料のみからなる色材を含む構成としても色材同士の凝集及び沈降が起こることなく、描線の濃度向上を高度に両立でき、更に、定着性の向上もできるアイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な水系液体化粧料を提供する。
【解決手段】本発明の水系液体化粧料は、塗布部に穂筆を有するペンタイプの塗布具に収容される化粧料であって、少なくとも酸化鉄顔料と、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩と、アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子と、ノニオン系界面活性剤と、水系溶剤とを含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布部に穂筆を有するペンタイプの塗布具に収容される化粧料であって、
少なくとも酸化鉄顔料と、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩と、アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子と、ノニオン系界面活性剤と、水系溶剤とを含むことを特徴とする水系液体化粧料。
【請求項2】
前記ポリ有機酸が、下記A群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の水系液体化粧料。
A群:ポリアスパラギン酸、ポリ乳酸、ポリリン酸、ポリアクリル酸
【請求項3】
前記アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子がコア-シェル型のエマルション粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系液体化粧料。
【請求項4】
前記水系溶剤が水、炭素数5以下の低級アルコール、多価アルコールから選ばれることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の水系液体化粧料。
【請求項5】
更に、酸化鉄顔料以外の無機顔料を含むことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の水系液体化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化鉄顔料のような無機顔料のみからなる色材を含む構成としても色材同士の凝集及び沈降が起こることなく、描線の濃度向上を両立でき、更に、定着性の向上もできる、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な水系液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、アイライナーに好適な化粧料の組成として、例えば、特許文献1には、スルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウム、無機着色顔料、水溶性分散剤、及び皮膜形成性ポリマーエマルションを含有する水系液状化粧料であって、前記スルホコハク酸ジエチルヘキシルナトリウムの含有量が化粧料全量基準で0.01~1質量%であり、前記無機着色顔料の含有量が化粧料全量基準で3~20質量%であり、前記無機着色顔料がカーボンブラックを含む、水系液状化粧料が開示され、皮膜形成性ポリマーエマルションがコア-シェル型のアクリル酸アルキル共重合体エマルションを含み、いわゆるコレクター式と呼ばれる塗布具に収納される低粘度の組成が開示されている。
この特許文献1は、顔料の半分以上の重量をカーボンブラックとすることにより、水溶性樹脂により分散を十分に行い描線の濃さに優れ、化粧膜を均一性よく形成させることが記載されているが、酸化鉄顔料よりも比重の軽いカーボンブラックの比率を多くすることにより、少しでも顔料の沈降を抑制しようとしていることが覗える。この場合、他の比重の大きい(酸化鉄などの)無機顔料を併用すると、いわゆる色別れの課題が起きやすく、均一な描線が引けるとは言えなくなるものであり、更なる改善が望まれていた。
【0003】
また、アイライナーなどのメイクアップ化粧料において、中でも光輝性の描線を得るため、光輝性顔料の再分散性を良好にするため、特許文献2には、(A)ポリアスパラギン酸ナトリウム、(B)下記B1群:金属若しくは金属酸化物被覆ガラス末、アルミニウム粉、下記B2群:金属被覆フィルム末)から選択される少なくとも1種の光輝性粉体、(C)水溶性分散剤、及び(D)下記D1群(黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄、二酸化チタン、酸窒化チタン)及び下記D2群(紺青)から選択される少なくとも1種の金属酸化物を含有し、分散剤として別途水溶性ポリマーが加えられている。しかしながら、この特許文献2における、「定着性良好」とは擦過による汚れが推定20%超であるところを10%台に抑制させるものであり、未だ充分とは言えないなどの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-70259号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開2020-132619(特許請求の範囲、実施例明等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来技術の課題、現状等に鑑み、これらを解消しようとするものであり、酸化鉄顔料のような無機顔料のみからなる色材を含む構成としても色材同士の凝集及び沈降が起こることなく、描線の濃度向上を両立でき、更に、定着性の向上もできるアイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な水系液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、塗布部に穂筆を有するペンタイプの塗布具に収容される化粧料であって、少なくとも酸化鉄顔料と、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩と、特定のエマルション粒子と、特定の界面活性剤と、水系溶剤とを含む組成の水系液体化粧料とすることにより、上記目的の水系液体化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0007】
すなわち、本発明の水系液体化粧料は、塗布部に穂筆を有するペンタイプの塗布具に収容される化粧料であって、少なくとも酸化鉄顔料と、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩と、アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子と、ノニオン系界面活性剤と、水系溶剤とを含むことを特徴とする。
前記ポリ有機酸は、下記A群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
A群:ポリアスパラギン酸、ポリ乳酸、ポリリン酸、ポリアクリル酸
前記アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子は、コア-シェル型のエマルション粒子であることが好ましい。
前記水系溶剤は、水、炭素数5以下の低級アルコール、多価アルコールから選ばれることが好ましい。
更に、酸化鉄顔料以外の無機顔料を含むことが好ましい。
本明細書において、「水系」というのは、水及び/又は水溶性有機溶剤を主溶剤とする単一系(W/Oエマルション、O/Wエマルション等ではない)の組成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酸化鉄顔料のような無機顔料のみからなる色材を含む構成としても色材同士の凝集及び沈降が起こることなく、描線の濃度向上を両立でき、更に、定着性の向上もできるアイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどのメイクアップ化粧料などに好適な水系液体化粧料が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の水系液体化粧料を収容する液体化粧料塗布具の一例を示す部分断面図である。図1の機構は、回転式繰出タイプのものの一例である。
図2】本発明の水系液体化粧料を収容する液体化粧料塗布具の他の例を示す部分断面図である。図2の機構は、化粧料内蔵型塗布具タイプのものの一例である。
図3】(a)は、本発明の水系液体化粧料を収容する液体化粧料塗布具の更に他の例を示す斜視図であり、(b)は、(a)と同一の液体化粧料塗布具の部分断面図である。(a)及び(b)の液体化粧料塗布具の機構は、コレクター式塗布具タイプのものの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識(設計事項、自明事項を含む)に基づいて実施することができる。
【0011】
本発明の水系液体化粧料は、塗布部に穂筆を有するペンタイプの塗布具に収容される化粧料であって、少なくとも酸化鉄顔料と、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩と、アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子と、ノニオン系界面活性剤と、水系溶剤とを含むことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に用いる酸化鉄顔料としては、例えば、黒酸化鉄、べんがら(赤酸化鉄)、黄酸化鉄等の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
が挙げられる。これらの酸化鉄顔料の粒子形状は、球状、粒状、棒状、針状、板状、不定形など特に制限されず、いずれの形状も用いることができる。
また、用いることができる酸化鉄顔料(粒子)の分散前(配合時)の平均粒子径は、酸化鉄顔料種により変動するものであるが、例えば、べんがら、黒酸化鉄、黄酸化鉄では、平均粒子径が2000nm以下のもの、好ましくは、100~1000nmのものを用いることができる。
本発明では、上記酸化鉄顔料の中でも、高比重であり、茶色系のアイライナーなどの目元化粧料等に有用な色材となるべんがらを用いても、分散性に優れ、色別れもない目的の効果を奏するものとなる。
本発明(実施例を含む)において、「平均粒子径」は、動的光散乱法〔粒径アナライザー FPAR-1000、大塚電子社製〕により測定し算出した値をいう。
【0013】
これらの酸化鉄顔料の含有量は、化粧料組成物全量に対して、0.3~20質量%が好ましく、更に好ましくは、0.3~15質量%が望ましい。
この酸化鉄顔料の含有量が0.3質量%未満では、発色が不十分であり、また、隠ぺい力も不足し、一方、20質量%を超えて含有すると、粘度が高くなり、また、筆記に支障を来すこととなり、好ましくない。
【0014】
酸化鉄顔料以外の無機顔料としては、カーボンブラックや、紺青、酸化チタン、チタンブラック、酸化亜鉛、タルク、酸化クロム、酸化コバルト、酸化亜鉛、雲母チタン、赤色226号、オキシ塩化ビスマス、群青、コンジョウなどの少なくとも1種を用いることができる。
これらの無機顔料は、色材として用いるものであり、カーボンブラックを選択した場合は,上記酸化鉄顔料との併用により、黒色系や茶色系に調色することができる。用いることができるカーボンブラックを含む上記無機顔料は、液体化粧料に用いられているものであれば、特に限定されずに用いることができる。これらの無機顔料も平均粒子径が2000nm以下のもの、好ましくは、100~1000nmのものを用いることができる。
これらの酸化鉄顔料以外の無機顔料の含有量は、化粧料組成物全量に対して、0~15質量%が好ましく、酸化チタンを用いないで上記酸化鉄顔料との併用により茶色系、黒色系などの各色に調色する場合などには、0.1~3質量%程度である。
【0015】
本発明に用いるポリ有機酸及びポリ有機酸塩は、色材となる酸化鉄顔料の分散性を向上させるものであり、例えば、下記A群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
A群:ポリアスパラギン酸、ポリ乳酸、ポリリン酸、ポリアクリル酸
用いるポリ有機酸塩は、上記A群のポリアスパラギン酸、ポリ乳酸、ポリリン酸、ポリアクリル酸の各塩が挙げられ、これらの塩のうち一種以上のいずれかを少なくとも含んでいればよい。これらの塩の種類としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩が特に好ましい。
これらのポリ有機酸又はポリ有機酸塩の中で、特に、ポリアスパラギン酸又はその塩は分散安定性が優れており、特に好ましくは、ポリアスパラギン酸ナトリウムが望ましい。
【0016】
これらのポリ有機酸、ポリ有機酸塩の(合計)含有量は、液体化粧料全量に対して、0.2~2.0質量%が好ましく、更に好ましくは、0.4~1.85質量%である。
これらのポリ有機酸、ポリ有機酸塩の含有量が0.2質量%以上とすることにより、色材であるベンガラなどの酸化鉄顔料の分散安定性が良好となり、一方、2.0質量%以下とすることにより、良好な粘度域となり、分散安定性の向上が図られる。
【0017】
本発明に用いるエマルション粒子は、皮膜形成性ポリマーエマルション粒子であり、アクリレーツコポリマーを含むものであり、水に不溶性の高分子の水分散物などを用いることができる。
用いることができるエマルション粒子としては、例えば、スチレン・アクリル酸アルキル共重合体エマルション、スチレン・メタクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらの(C~C及びC)アルキルエステルの成分からなる共重合体エマルション等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和カルボン酸系モノマーとスチレン系モノマーのコポリマーと他の重合体および/または共重合体からなるコア-シェル型ポリマーエマルションのような複合型ポリマーのエマルションであってもよい。
【0018】
上記スチレン・アクリル酸アルキル共重合体エマルションの具体例としては、(スチレン/アクリレーツ)コポリマーを挙げることができ、このポリマーの市販品としては、ヨドゾールGH41F(アクゾノーベル社製)、ダイトゾール5000STY(大東化成工業社製)等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和カルボン酸系モノマーとスチレン系モノマーのコポリマーと他の重合体および/または共重合体からなるコア-シェル型ポリマーエマルションのエマルションの具体例としては、アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸コポリマー〔(アクリレーツ/メチルスチレン/スチレン)コポリマーアンモニウム〕のコア-シェル型共重合体のエマルションであるエマポリーCE-119N(岐阜セラック社製)が挙げられる。
好ましくは、造膜性、描線の固着性の点から、アクリレーツコポリマーを含むものが好ましく、更に好ましくは、上記コア-シェル型ポリマーエマルションの使用が望ましい。
【0019】
これらのエマルション粒子は、通常、樹脂分が水性成分中に固形分として20~60質量%の濃度で微細に分散しているものである。その配合量は固形分換算濃度で液体化粧料全体に対し、1~30質量%であり、好ましくは、5~15質量%であり、より好ましくは、5~15質量%である。
このエマルション粒子の含有量が1質量%未満であると、固着性、耐水固着性が低下し、逆に、30質量%を超えると、液体化粧料の粘度が上昇し、塗布することが難しくなる。
【0020】
本発明に用いるノニオン系界面活性剤としては、特に、ポリオキシエチレン(POE)と有機酸、グリセリン、高級アルコール等がエーテル結合したもの、更に好ましくは、ラウレス(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)類、セテス(ポリオキシエチレンセチルエーテル)類、ステアレス(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)類、ベヘネス類(ポリオキシエチレンベヘニルエーテル)等のポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル類などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることできる。
これらの中でも、その分子構造および親水性の点から、POE(20)セチルエーテル(セテス-20)、POE(30)ベヘニルエーテル(ベヘネス-30)、POE(20)ステアリルエーテル、POE(10)オレイルエーテルの使用が好ましい。
【0021】
用いるノニオン系界面活性剤の含有量は、皮膚への過剰な浸透(所謂スパイダー)防止の点、更には酸化鉄顔料の分散安定性の点から、液体化粧料全量に対して、好ましくは、0.01~1質量%、更に好ましくは、0.03~0.5質量%とすることが望ましい。
【0022】
本発明に用いる水系溶剤は、液体化粧料の溶媒として用いるものであり、水、炭素数5以下の低級アルコール、多価アルコールの少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
炭素数5以下の低級アルコールとしては、具体的には、メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の少なくとも1種挙げられる。
また、多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エリトリトール、トレイトール、アラビニトール、キシリトール、リビトール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
特に、安全性、取り扱い性などの点から、エチルアルコール(エタノール)の使用が望ましい。
【0023】
用いる水系溶剤の合計含有量は、安定性の点、酸化鉄顔料の分散安定性、特に、低温時の安定性の点から、液体化粧料全量に対して、好ましくは、45~85質量%、更に好ましくは、50~80質量%とすることが望ましい。
この水系溶剤の含有量を45質量%以上とすることにより、滑かな書き味と保湿性とを発揮でき、また、僅かではあるが防腐効果が発揮されることとなり、一方、85質量%以下とすることにより、分散安定性が更に良好となる。
本発明に用いる溶媒となる水としては、蒸溜水、イオン交換水、精製水、純水、超純水などを用いることができ、経時安定性、酸化鉄顔料の分散性を更に良好とする点から、水系溶剤(水+水以外の溶剤)に対する比率は、70~100質量%(50~80質量%)とすることが好ましく、特に好ましくは、80~90質量%とすることが望ましい。
【0024】
更に、本発明の水系液体化粧料には、前記各成分の他に、通常の液体化粧料に用いられる任意成分などを含有せしめることができる。具体的には、防腐剤、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、保湿剤、美容成分、香料、粘度・粘性調整剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどの他の分散剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。また、上記酸化鉄顔料以外の無機顔料の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、有機顔料、水溶性染料、樹脂粒子顔料などの他の色材を含有することができる。
【0025】
本発明の水系液体化粧料は、粘度を15mPa・s以下とすることが好ましく、好ましくは、10mPa・s以下、更に好ましくは、2~8mPa・sとすることが望ましい。
この粘度が15mPa・sを超えると、水系液体化粧料の流出性が著しく低下するため、好ましくない。
上記粘度範囲の調整は、用いる酸化鉄顔料種及びその平均粒子径、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩、アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子と、ノニオン系界面活性剤、水系溶剤などの各原料を好適に組み合せると共に、各含有量を好適な範囲に組み合わせること、好適な分散方法などにより行うことができる。
なお、本発明において粘度測定条件(後述する実施例等も含む)は、具体的には、得られた化粧料組成物を東機産業社製、ELD型粘度計、標準ローター:50rpm(ずり速度:192〔s-1])、温度25℃で測定した。
また、本発明の水系液体化粧料は、溶解性の向上、皮膚刺激性を抑える点などから、ガラス電極を用いてpH(25℃)を測定した際のpHが6~9の範囲であることが好ましい。pHの調整は、上述のpH調整剤などを用いて調整される。
【0026】
本発明の水系液体化粧料は、上記酸化鉄顔料、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩、アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子と、ノニオン系界面活性剤、水系溶剤、その他の成分を、例えば、ホモミキサー、サンドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどの分散機などを用いて好適な分散条件で調製することにより、化粧料中(分散後)の酸化鉄顔料の平均粒子径を300nm以下に調製することができる。
好ましくは、分散機として(多連式)超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーを用いる場合、分散条件として、例えば、超音波ホモジナイザーの場合は、周波数20~30KHzとし、高圧ホモジナイザーの場合は、圧力150~245MPaとすることにより化粧料中(分散後)の酸化鉄顔料の平均粒子径を300nm以下に調製することができる。
【0027】
得られた水系液体化粧料は、塗布部に穂筆を有するペンタイプの塗布具に収容することができ、例えば、塗布部として筆穂又はペン芯を有するペンタイプの液体化粧料塗布具(容器)に収容(充填)して使用に供することができる。
用いることができる液体化粧料塗布具としては、例えば、アイライナー用又はアイブロウ用である筆穂又はペン芯を備えた液体化粧料塗布具であれば、特に限定されない。
好ましくは、塗布手段としてアイライナー用又はアイブロウ用である筆穂(筆ペン)や、ペン芯や、並びに、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体から構成される塗布手段となる塗布体を具備し、液体化粧料を充填する容器を有する塗布具が挙げられる。
【0028】
具体的には、図1図2図3(a)及び図3(b)に示すとおり、機構がそれぞれ、回転式繰出タイプ、化粧料内蔵型塗布具タイプ及びコレクター式塗布具タイプとなる使用性、簡便性、塗布性に優れる液体化粧料塗布具の使用が望ましい。
回転式繰出タイプの液体化粧料塗布具は、図1に示すように、液押圧機構10により、液押圧機構10の前方に内蔵された本発明の液体化粧料(以下、単に「液体化粧料」という」)を吐出させる貯留部となる化粧料内蔵容器11の前方に具備された、筆穂(筆ペン)で形成した塗布部30を有するものである。
液押圧機構10は、軸本体12後端部に配設された繰り出し部材13を軸本体12に対して周方向に相対回転させることにより容器(貯留部)11内の液体化粧料を繰り出すことにより塗布部30に供給される構成となっている。
【0029】
この塗布具の液押圧機構10は、軸本体12の後端に回転可能に嵌合された繰り出し部材13と、使用者による繰り出し部材13の回転の力をネジ棒14に伝える駆動筒15と、軸本体12に固定してネジ棒14が螺合するネジ体16と、先端にピストン体17が回転可能に係合したネジ棒14と、軸本体12の貯留部11内を摺動するピストン体17とを有する。前記駆動筒15を介して繰り出し部材13の回転をネジ棒14に伝え、該ネジ棒14の回転によってナット状のネジ体16の雌ネジを介して該ネジ棒14及びピストン体17が前進して貯留部11内から前記液体化粧料を塗布部30へ繰出す構造になっている。
【0030】
繰り出し部材13は、図1に示すように、後端に天冠13aが嵌入することによって閉じられた筒状を呈する操作部が軸本体12後端部に回動可能に嵌め込まれかつ露出しているものである。駆動筒15が繰り出し部材13内に嵌入して回転方向に固定されており、この駆動筒15内に回転方向固定かつ軸方向への相対移動可能にネジ体16が装着されている。13bは、スプリング部材であり、回転体となる繰り出し部材13を後方側に付勢するものである。
この塗布具において、軸本体12の前端部12aには、シール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30が嵌入により取り付けられる。軸本体12の貯留部11には、液体化粧料が収容され、その貯留部11から繰出された液体化粧料は継手部材19内の流路を通り塗布部30に吐出されて塗布可能になる。また、使用後にキャップ40を塗布部30及び先軸20を覆うように先軸20に装着できるよう形成されている。
【0031】
また、図1において、図示符号21は、貯留部11内の液体化粧料を往復動によって攪拌する攪拌ボール、22はシールボールである。また、41はキャップ40内のインナーキャップ、42はインナーキャップ後方付勢用のスプリングである。なお、攪拌ボール21省略してもよい。
更に、図示符号23は、未使用時における塗布部30に向かう液体化粧料の流通路を閉鎖する位置にシール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30を位置させるため、前記先軸20後端と軸本体12前端部12aの段状箇所前面との間にリング状部が装着されたストッパーである。このストッパー23は、リング状部の一部が切り離され、その切り
離された箇所の反対側に摘み片が一体形成され、摘み片を引くことによって、リング状部が切り離し箇所から拡径して前記先軸20後端と軸本体12の前端部12aとの間から取り外せるものになっている。
【0032】
図1に示すように、未使用時ではシールボール22がシールボール受け部となるシール部18の内径部に嵌入して密封しており塗布部30側に液体化粧料が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部がシールボール22に突き当たってシールボール22がシール部18の内径部から外されて前記貯留部11内に入り込み、当該貯留部11内の液体化粧料が継手部材19の内径部から塗布部30の液流路内に流入して、塗布部30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になる。
【0033】
化粧料内蔵型塗布具タイプの液体化粧料塗布具は、図2に示すように、化粧料を中綿126に含浸して内蔵した軸筒110と、軸筒先端部110aに設けられ化粧料を対象物に塗布するための塗布部114と、その塗布部114の先端部114aを残して塗布部114の軸筒110側(基部側)外周を覆う保持部材116とを有して、塗布部114に軸筒110内部の化粧料を供給する構造の化粧料内蔵型塗布具であって、その塗布部114および保持部材116を覆うために軸筒先端部110aに着脱自在に構成したキャップ112を有しているものである。
【0034】
塗布部114は、その先端部114aが先鋭化されている。また、塗布部114は、繊維を束ねた筆状である。具体的には、塗布部114は複数本の樹脂製繊維束(具体例:繊維の材質がポリブチレンテレフタレート(PBT)製、繊維太さが0.1~0.15mm)を先端部114aが先細になるように揃えて(先鋭化して)筆状にし、後端部を加熱溶着によって一体化しかつフランジ状に拡径したものである。なお、塗布部114は、その他、繊維を固めたものでもよい。
なお、この実施形態の化粧料内蔵型塗布具では、図2に示すように、軸筒110内の中央部から先端部110aにかけてインク吸蔵体の中綿126を収容しており、中綿126は軸筒110の後端から嵌入された尾栓128によって封止かつ支持されている。
【0035】
軸筒先端部110aの開口には、連続気泡体からなるインク中継芯130が配置されている。この中継芯130は、尾端が中綿126先端部中に嵌入し、一方、先端が塗布部114の尾端部に嵌入して、中綿126に吸蔵されているインクを塗布部114に誘導する。また、中継芯130は、本体とは段付きで少し小径になった(キャップ112の厚み分小径になった)軸筒先端部110a内に概略筒状の支持体132を介して装着され、その支持体132外周と軸筒先端部110a内周との間には保持部材116の筒状の後端部が嵌入している。
保持部材116の先端部は軸筒先端部110aよりも先方に位置して塗布部114の外周面114bを覆い、保持部材外周面116aが円錐側面形状またはテーパ状に先細になっている。
【0036】
コレクター式塗布具タイプの液体化粧料塗布具は、図3(a)に示すように、先軸210と該先軸210の後部側の軸本体212とが嵌合する軸体214とを有し、図3(b)に示すように、軸体214の前部に枚葉部が軸方向に複数配列された態様の櫛歯状に形成されたコレクター216が配置され、軸体214内の後部の収容空間214a内に塗布液が収容されるタイプの塗布具である。
【0037】
前記軸体214の後部の軸本体212は、内部が連通し前後に開口したパイプ状に形成されている。前記軸体の後部でもある軸本体212の後部には、尾栓214bが嵌合して軸本体212の後部が閉鎖されており、該尾栓214bの前端とコレクター216後端と
で挟まれた軸体214内空間(軸本体212内空間でもある)が収容空間214aになっている。
この収容空間214a内には、中綿等の含浸体を配置せず、直接塗布液が収容されており、また、該塗布液の攪拌をするための攪拌体(ボール等)214cが配置されている。
【0038】
先軸210、軸本体212、コレクター216、キャップ等は樹脂成形品とすることができる。また、攪拌体214cは、金属製、樹脂製等のボール材を用いることができる。
前記コレクター216は、先軸210及び軸本体212によって覆われて保持される構造である。
そして、先軸210の前端部の開口から、先細のテーパ状を呈した筆体からなる筆記部218が突出しており、その筆記部218を覆うキャップが前記先軸210に着脱自在に嵌合する構造である。前記先軸210はほぼ円錐側面形状を呈して先細く形成されており、該先軸210の先端角度は、筆記部218の先端角度と略同角度に形成することが望ましい。
【0039】
筆記部218は、樹脂繊維、天然繊維束、樹脂製多孔質体からなる先細の筆体である。筆記部218は、後端部がフランジ状に拡径しており、この拡径した箇所が先軸210内に係合して抜け止めされている。なお、筆記部218は、筆体が好適であるが、その他、塗布液を塗布する各種塗布体を使用することができる。
キャップ内には、筆記部218の気密性を高めるため覆うカップ状のインナーキャップが前後動可能に配置され、このインナーキャップを後方に付勢するスプリングが配置されている。
【0040】
中空の先細く形成された先軸210の内部には、筆記部218の後方に蛇腹状のコレクター216が配設されており、このコレクター216の中空部内に中芯222が貫通して配置されている。中芯222は、樹脂繊維束、天然繊維束、樹脂製多孔質体等の毛管部材から構成できる。
中芯222においては、コレクター216の後端部から軸体214の収容空間214a内に中芯222が突出していない(図3(b)参照)。コレクター216の後端面に中芯222の後端面がほぼ一致している。中芯222を一致させることで、収容空間214a内に中芯222の後端が突出することがなく、収容空間214a内の容積を確保することができる。また、収容空間214a内に中芯222の後端が突出することがないので、攪拌体214cを収容空間214a内に設けた場合、攪拌体214cが収容空間214a内で動いても中芯222に衝突せず中芯222を変形させることないので、十分に塗布液を浸透することができる。中芯の気孔率による顔料の上下濃度差の違いに触れる。
【0041】
上記形態の液体化粧料塗布具では、本発明の水系液体化粧料となる化粧料組成物であるリキッドアイライナーやリキッドアイシャドの液体化粧料塗布具を例にして説明したが、これに限られるものではなく、眉毛にラインを描くアイブロー塗布具、肌にラインを描くことにも適用することができる。
また、上記形態の液体化粧料塗布具の液押圧機構として、図1に示す、回転式繰出タイプとなる塗布具を用いたが、ノック式繰出タイプとなる液体化粧料塗布具を用いても良いものである。
【0042】
このように構成される本発明の水系液体化粧料では、塗布部に穂筆を有するペンタイプの塗布具に収容される化粧料であって、少なくとも酸化鉄顔料と、ポリ有機酸又はポリ有機酸塩と、アクリレーツコポリマーを含むエマルション粒子と、ノニオン系界面活性剤と、水系溶剤などの各原料を好適に組み合せることなどにより、べんがらなどの高比重の酸化鉄顔料を液体化粧料の色材として用いても、撹拌体により内部の液体化粧料中の酸化鉄顔料が再分散されるため、液体化粧料中(分散後)の酸化鉄顔料の凝集による沈降、また中芯や筆記部による調整により筆記時の色別れもなく、分散性、経時安定性に優れたものとなる。そのため、使用に供する液体化粧料塗布具などの容器に本発明の化粧料組成物を長期に収容しても、容器内での分散性、経時安定性は長期に亘って維持されるため、例えば、上記図1に示すような、塗布体に穂筆30を用いたアイライナーの塗布具容器でも、穂筆の先端等で色別れの起きにくいアイライナー液などの液体化粧料に好適な水系液体化粧料が得られるものとなる。
また、製造時、液を軸に充填するときの液の撹拌が不要である。更に、図1又は図3に示すような塗布具容器の場合、夫々撹拌体が備わっているものの、ユーザーが撹拌する必要もなく、また、塗布したときの色変化もない。
【実施例0043】
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により限定されるものではない。
【0044】
〔実施例1~12及び比較例1~4〕
下記表1に示す配合処方の水系液体化粧料となる化粧料組成物(配合単位:質量%、全量100質量%)を下記方法により調製し、上述の測定方法により、各液体化粧料の粘度値、pH、下記評価方法により、発色性、固着性、耐皮脂性、耐水固着性、乾燥性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。なお、実施例1~12及び比較例1~4の水系液体化粧料中(分散後)の酸化鉄顔料を含む顔料(色材)の平均粒子径を300nm以下であることを確認した。
【0045】
(水系液体化粧料の調製方法)
下記表1に示す配合処方の水性の液体化粧料となる化粧料組成物を従来用いられてきた手順、即ち、ベヒクルである精製水に、色材である酸化鉄顔料と、分散剤であるポリ有機酸とを加え、分散機としてラボスター(アシザワ・ファインテック社製)を用いて分散させた後にその他の成分を添加して、混合することにより調製した。
【0046】
(pHの測定方法)
得られた各水系液液体化粧料をガラス電極pH計にて、25℃におけるpHを測定した。
(粘度の測定方法)
上記方法で得られた各水系液体化粧料について、25℃での東機産業社製、ELD型粘度計、標準ローター:50rpm(ずり速度:192〔s-1])により粘度を測定した。
【0047】
(発色性の評価方法)
図1の直液式アイライナーに、得られた水系液体化粧料を充填し、肌に塗布して、下記評価基準で発色性の評価を行った。
評価基準:
◎:とても発色が良い。
○:発色が良い。
△:あまり発色が良くない。
×:発色が悪い。
【0048】
(固着性の評価方法)
図1の直液式アイライナーに、得られた水系液体化粧料を充填し、肌に塗布後、塗布面を指の腹で擦過して、下記評価基準で固着性の評価を行った。
評価基準:
◎:指の腹での擦過による描線変化なし。
○:指の腹での擦過により、描線にわずかな変化が認められる。
△:指の腹での擦過により、描線に変化が認められる。
【0049】
(耐皮脂性の評価方法)
図1の直液式アイライナーに、得られた水系液体化粧料を充填し、肌に塗布後、人工皮脂をつけ、指の腹で擦過して、下記評価基準で耐皮脂性の評価を行った。
評価基準:
◎:指の腹での擦過による描線変化なし。
○:指の腹での擦過により、描線にわずかな変化がみられる。
△:指の腹での擦過により、描線に変化が認められる。
【0050】
(耐水固着性の評価方法)
図1の直液式アイライナーに、得られた水系液体化粧料を充填し、肌に塗布後流水し、指の腹で擦過して、下記評価基準で耐水固着性の評価を行った。
評価基準:
◎:指の腹での擦過による描線変化なし。
○:指の腹での擦過により、描線にわずかな変化がみられる。
△:指の腹での擦過により、描線に変化が認められる。
×:指の腹での擦過により描線が消去された。
【0051】
(乾燥性の評価方法)
図1の直液式アイライナーに、得られた水系液体化粧料を充填し、肌に塗布して一定時間経過後にティッシュで描線をおさえて、下記評価基準で乾燥性の評価を行った。
評価基準:
◎:ティッシュに液が付かない。
○:ティッシュに液が少し付く。
△:ティッシュに液が付く。
×:ティッシュに液の殆どが沁みて移ってしまった。
【0052】
【表1】
【0053】
上記表1中の*1~*8は、下記のとおりある。
*1:TALOX ABL-412HP/R-516Pチタン工業社製
*2:CR-50、大東化成社製
*3:上記CR-50に含まれる、大東化成社製
*4:DK BLACK No.2、大東化成社製
*5:エマポリーCE-119N、岐阜セラツク社製
*6:アクアデュウSPA-30B、味の素社製
*7:DD-P10、日光ケミカルズ社製
*8:ヨドゾールGH34F、アクゾノーベル社製
【0054】
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1~12の水系液体化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1~4に較べて、発色性、固着性、耐皮脂性、耐水固着性、乾燥性に優れた水系液体化粧料であることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0055】
酸化鉄顔料のような無機顔料のみからなる色材を含む構成としても色材同士の凝集及び沈降が起こることなく、描線の濃度向上を高度に両立でき、更に、定着性の向上もできるアイシャドウ、アイライナー、アイブロー、マスカラなどに好適な液体化粧料塗布具に収容される水系液体化粧料が得られる。
【符号の説明】
【0056】
10 液押圧機構
12 軸本体
13 繰り出し部材
17 ピストン体
18 シール部
19 継手部材
20 先軸
30 塗布部(穂筆)
図1
図2
図3