(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069895
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】マスク用ゴム入り織物及びマスク用ゴム入り織物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20230511BHJP
D03D 3/02 20060101ALI20230511BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20230511BHJP
D03D 15/33 20210101ALI20230511BHJP
D03D 15/56 20210101ALI20230511BHJP
D03D 27/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A41D13/11 H
D03D3/02
D03D1/00 Z
D03D15/33
D03D15/56
D03D27/00 Z
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182086
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】511079872
【氏名又は名称】北陸ウエブ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】飴谷 謙三
【テーマコード(参考)】
4L048
【Fターム(参考)】
4L048AA20
4L048AA26
4L048AA34
4L048AA35
4L048AA51
4L048AB07
4L048AB19
4L048AB21
4L048AC12
4L048BA13
4L048BA23
4L048BB04
4L048CA15
4L048DA22
(57)【要約】
【課題】 ふんわり感のあるタオル地のような肌触りのマスク用ゴム入り織物を得ることができるとともに、従来品に比べ吸水性や通気性を向上させたマスク用ゴム入り織物の製造方法を提供する。
【解決手段】 織物表面にパイルを形成する経糸3に、捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸を使用することを特徴とする。経糸に使用される極細マルチフィラメント加工糸は、チーズ染色によって捲縮性を失わせることが好ましく、また、断面が楕円形状又は、扁平形状となるように製織された袋織り2の両端部の複数個所を、経糸3が緯糸5に対して1回毎に浮き沈みする製織組織とし、かつ、緯密度(打込み回数)を13回/cm~16回/cmとすることが好ましい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋織りによって断面が楕円形状又は、扁平形状となり内部に複数の空間部を有する耳ゴムとして使用されるマスク用ゴム入り織物において、織物表面にパイルを形成する経糸に、捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸が使用されていることを特徴とするマスク用ゴム入り織物。
【請求項2】
断面が楕円形状又は、扁平形状となるように製織された袋織りの両端部の複数個所を、経糸が緯糸に対して1回毎に浮き沈みする製織組織とし、かつ、13回/cm~16回/cmの緯密度(打込み回数)に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスク用ゴム入り織物。
【請求項3】
経糸に捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸を含有する、断面が楕円形状又は扁平形状から形成されている複数の空間部を有する、マスク用ゴム入り織物。
【請求項4】
袋織りによって断面が楕円形状又は、扁平形状となり内部に複数の空間部を有する耳ゴムとして使用されるマスク用ゴム入り織物の製造方法において、織物表面にパイルを形成する経糸に、捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸を使用することを特徴とするマスク用ゴム入り織物の製造方法。
【請求項5】
前記経糸に使用される極細マルチフィラメント加工糸は、染色によって捲縮性を失わせることを特徴とする請求項4に記載のマスク用ゴム入り織物の製造方法。
【請求項6】
断面が楕円形状又は、扁平形状となるように製織された袋織りの両端部の複数個所を、経糸が緯糸に対して1回毎に浮き沈みする製織組織とし、かつ、緯密度(打込み回数)を13回/cm~16回/cmとすることを特徴とする請求項4又は5に記載のマスク用ゴム入り織物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口マスクの耳ゴムやアイマスクの耳ゴム・眼帯の耳ゴムとして使用されて好適なマスク用ゴム入り織物及びマスク用ゴム入り織物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平ゴム、織ゴム、編ゴム、エラスティックウェビングバンド(elastic webbing band)等と呼称され、ゴムが織り込まれた帯状のゴム入り織物が知られている。また、細幅織物と呼称され、その中でも、ゴム入り細幅織物やゴム入り織物とも称され(伸縮性を有するエラスティックウェビング等に用いられる幅の細い帯状織物)、身体の動きに合わせて伸縮する素材(ストレッチ素材)として、インナーのウエストゴムやブラジャーの肩紐部分などに使用されている。
【0003】
しかし、これらをそのまま、口マスクやアイマスクの耳ゴム・眼帯の耳ゴムなどに使用すると、耳が痛くなり長時間使用することが苦痛になる。また、インナーの肩紐や腰紐の収縮部分に使用すると、肌が痒くなったり赤くなったりするなどの問題を有する。このため、肌への接触に優しいゴム入り編み物が既に開示されている。
特許文献1は、「(請求項1)マスク本体部の左右に備えられるマスク用耳ゴムであって、複数のゴム紐が編み込まれてなり、前記ゴム紐の周囲を個々に巻回するように繊維状部材が巻かれていることを特徴とするマスク用耳ゴム。」が開示され、また、「(請求項2)マスク本体部の左右に備えられるマスク用耳ゴムであって、複数のゴム紐が束ねられて形成された組が、複数編み込まれてなることを特徴とするマスク用耳ゴム。」が開示されている。
特許文献2は、「(請求項1)長さ1cm当たりの糸の交点が10以下であり、かつ幅が0.5~10mmである、袋組織の織又は組紐であって、その中心に芯糸が入っていることを特徴とするニットヤーン。」であり、「(請求項2)芯糸の少なくとも一部に融着繊維が使用されていることを特徴とする請求項1のニットヤーン。」が開示されている。
特許文献3は、特許請求の範囲(1)「袋織物の外周面にパイル植毛させたことを特徴とするチューブ状パイル織物」と、同(2)「上層織物と下層織物との間に袋織物上層部と袋織物下層部とからなる袋織物を配置させ、そののちこれらの上層織物および袋織物上層部ならびに仮想織物と袋織物下層部間を各々パイル糸で連結させ、このときこれらの上層織物、下層織物および袋織物を同時に織り上げるとともに、パイル糸によるパイル植毛をこれらと同時に行い、次にまたこのパイル糸を所定位置で切断してこれらの上層織物および下層織物を除去させることを特徴とするチューブ状パイル織物の製造方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6404413号公報
【特許文献2】特開平5-98550号公報
【特許文献3】特開平2-139451号公報
【特許文献4】特開2021-55248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本願出願人は、様々な形状や大きさに変化して肌に優しく接触するとともに、十分に伸縮力を発揮することができるマスク用ゴム入り織物を提供している(特許文献4:特開2021-55248号)。これは、袋織りにより形成された織物内部の空間を複数に仕切るように連結糸を織り込むことにより、形状を安定させることと、肌に優しく接触する効果の両方を狙ったものである。
そして、前記特許出願では、「前記袋織りの表面と裏面の経糸として、捲縮を有する糸(ポリエステル糸、ナイロン糸やレーヨン糸)、及び/又はゴム糸(カバードヤーン)が使用されていることを特徴とする。」と記載して、「本発明によれば、前記袋織りの端部の間の複数個所を連結することにより、筒状内部を複数の部屋に区切ることができる(上記複数箇所を隔壁するように区切る複数の内部空隙を形成する)。また、前記袋織りの表面と裏面に上記カバードヤーンが使用されていることにより、袋織り表裏面の生地を密な状態にして、筒状空間の形状に変化が生じ難くすることができる。」と開示した。
【0006】
しかしながら、上記特許出願では、袋織りの生地を密な状態にして、筒状空間の形状に変化が生じ難くすることができるが、肌触りの面では、必ずしも十分なものとは言えず、タオル地のような肌触りを得ることはできなかった。すなわち、上記特許出願では、捲縮性を有する糸(ポリエステル糸、ナイロン糸やレーヨン糸)を使用することで、生地の表面が滑らかにはなるものの、表面にパイルを形成してもふんわり感のあるタオル地のようなパイルにはできなかった。
【0007】
そこで本発明の目的は、ふんわり感のあるタオル地のような肌触りのマスク用ゴム入り織物を得ることができるとともに、従来品に比べ吸水性や通気性を向上させたマスク用ゴム入り織物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、袋織りによって断面が楕円形状又は、扁平形状となり内部に複数の空間部を有する耳ゴムとして使用されるマスク用ゴム入り織物において、織物表面にパイルを形成する経糸に、捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸を使用することを特徴とする。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1] 袋織りによって断面が楕円形状又は、扁平形状となり内部に複数の空間部を有する耳ゴムとして使用されるマスク用ゴム入り織物において、織物表面にパイルを形成する経糸に、捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸が使用されていることを特徴とするマスク用ゴム入り織物。
[2] 断面が楕円形状又は、扁平形状となるように製織された袋織りの両端部の複数個所を、経糸が緯糸に対して1回毎に浮き沈みする製織組織とし、かつ、13回/cm~16回/cmの緯密度(打込み回数)に形成されていることを特徴とする[1]に記載のマスク用ゴム入り織物。
[3] 経糸に捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸を含有する、断面に楕円形状又は扁平形状からなる複数の空間部を有する、マスク用ゴム入り織物。
[4] 断面が楕円形状又は、扁平形状となり内部に複数の空間部を有する耳ゴムとして使用されるマスク用ゴム入り織物の製造方法において、織物表面にパイルを形成する経糸に、捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸を使用することを特徴とするマスク用ゴム入り織物の製造方法。
[5] 前記経糸に使用される極細マルチフィラメント加工糸は、染色によって捲縮性を失わせることを特徴とする[4]に記載のマスク用ゴム入り織物の製造方法。
[6] 断面が楕円形状又は、扁平形状となるように製織された袋織りの両端部の複数個所を、経糸が緯糸に対して1回毎に浮き沈みする製織組織とし、かつ、緯密度(打込み回数)を13回/cm~16回/cmとすることを特徴とする[4]又は[5]に記載のマスク用ゴム入り織物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ふんわり感のあるタオル地のような肌触りのマスク用ゴム入り織物を得ることができるとともに、従来品に比べ吸水性や通気性を向上させるマスク用ゴム入り織物を製造可能である。特に、内部中空の袋織りにより、織物にいたずらな形状変化が起きにくく、適正な高さのループが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態のマスク用ゴム入り織物を説明するための斜視図である。
【
図2】上記第1の実施形態のマスク用ゴム入り織物に関するゴム糸(カバードヤーン)を説明する斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のマスク用ゴム入り織物を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態のマスク用ゴム入り織物を示す画像である。
【
図5】本発明の実施形態と従来例とを比較して示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態における適切なパイルの状態とパイルが視認できない状態を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1(a)(b)は、本発明のマスク用ゴム入り織物1について、その袋織りの状態と、袋織りの複数個所を経糸3aで連結した状態を表した図であり、
図3はその概略を示す拡大図である。
図2は、本実施の形態において使用されるゴム糸(カバードヤーン)の例を示す図である。
【0013】
袋織り(袋組織)2は、二重織りの一つであり、布の両端が表裏接合され、筒状(円環状或いはパイプ状)になる織り方であり、袋状にすることにより、厚みと弾力が出る織り方である。袋織り2とはその織物がチューブ(円環或いは筒)状に織りあがるので、上下に2枚つなぎ合わせたような織りあがりになり、円環の周方向に耐張力の高い、継ぎ目のない織物が得られる。本発明の織り方としては、経糸3の上げ下げの動作を制御し同一の緯糸で表裏を交互に織る織り方で織ることができる。
【0014】
本発明のマスク用ゴム入り織物1は、袋織り部2の空間部を挟んで相対する部分を断面で見ると前記空間部を仕切るように連結糸3aで連結しているので、断面形状を一定形状に維持することができ、
図1(b)のような楕円形状、又は扁平形状を外部から力が加わっても維持することができる。
本実施の形態によれば、マスク用ゴム入り織物1自体が伸縮性を有しているので、皺が一か所に集中するようなことは起こらず、マスク用ゴム入り織物1が直接肌に触れても不快感がなく(言い換えると、ふんわり感があり)、また、袋織りの端部の間の複数個所を連結していることから、袋織り部2の空間部4を一定の空間に制御して、いたずらな形状変化が起きないようにしている。すなわち前記袋織りの端部の間の複数個所を連結して、全体が楕円形状、又は扁平形状にすることができるので、捩じれたり、潰れたりするような事態を防止する。
そして、外部からの接触によって(例えば、耳と頭部の間に差し込んだような場合)、その表面に形成されたパイルによって、ふんわり感のある吸水性と通気性の高い、そして肌に優しいマスク用ゴム入り織物1となる。
図4は、本実施の形態のマスク用ゴム入り織物1の実物の写真である。
【0015】
図5は、本発明のマスク用ゴム入り織物1とマスク用ゴム入り織物100を比較した写真である。
本発明のマスク用ゴム入り織物1と特許文献4に開示されたマスク用ゴム入り織物100は、ともに扁平形状に形成されている。その大きさは、横幅6mm程度であり、厚さ2~3mm程度である。また、ともに表裏にパイルを形成しているが、本実施の形態のマスク用ゴム入り織物1はパイルが立ち、より肌に優しく接触するようになっている。
【0016】
ここで、マスク用ゴム入り織物に使用される伸縮糸としては、芯糸にゴム系あるいはポリウレタン系の弾性糸を使用したゴム糸(カバードヤーン)が好ましい。
本発明によれば、パイルを形成する経糸に捲縮性を有しない極細マルチフィラメント加工糸を使用して伸縮糸とともに製織することにより、ふんわり感のあるタオル地のような肌触りを得ることができるとともに、従来品に比べ吸水性や通気性を向上させたマスク用ゴム入り織物を製造することができる。すなわち、従来品に比べ肌触りが向上し、伸縮糸による経方向への急激な伸びや急激な収縮も抑制されることとなる。
【0017】
経糸に使用される極細マルチフィラメント加工糸は、捲縮性が認められないことを特徴とする。生糸の状態で捲縮性が認められない糸や、捲縮性が認められるものに加工を施した糸を用いることができる。前記加工としては、加熱や染色があげられ、特にチーズ染色が好ましい。チーズ染色を施すことで、捲縮性が認められない糸を得られるだけでなく、パイルを形成する経糸を所望の色を付与し、見た目を向上させることができる。なお、綛染色では捲縮性を失わせることはできなかった。また、染料を付加することで、適度な硬さが付与され、パイルを形成した際に立ち上がりやすくすることができる。チーズ染色を施した糸は、タオル地のような肌触りを得ることができるとともに、従来品に比べ吸水性や通気性を向上したマスク用ゴム入り織物を提供することができる。染色する色としては、グレー系、パープル系、ブルー系、ネイビー系、グリーン系、イエロー系、ベージュ系、ピンク系、レッド系等の色が好ましい。
【0018】
極細マルチフィラメント加工糸の太さとしては、0.3~2デシテックスが好ましく、0.4~1.5デシテックスがさらに好ましく、0.5~1デシテックスが特に好ましい。2デシテックス以下とすることで、柔らかさを向上することができ、使用感の高いマスク用ゴム入り織物が得られる。また、0.3以上とすることで、製造時の糸切れを抑えることができる。
【0019】
本発明としては、断面が楕円形状又は、扁平形状となるように製織された袋織りの両端部の複数個所を、経糸が緯糸に対して1回毎に浮き沈みする製織組織とすることが望ましい。経糸が緯糸に対して1回毎に浮き沈みする製織組織の数としては2~4箇所が好ましく、3箇所がさらに好ましい。2~4箇所とすることで、当該袋織りの織物の両端の風合いを良好に製織することができる。
【0020】
本発明の緯密度(打込み回数)としては、13回/cm~16回/cmが好ましく、14.5回/cm~15回/cmがさらに好ましく、15回/cm~16回/cmが特に好ましい。捲縮性を有しない経糸によってパイルを形成すると、パイルの丈が高く(長く)なるため、製織組織の緯密度を制御することによりパイルの丈の高さ(長さ)を適正にする必要がある。打込み回数を13回/cm~16回/cmとすることでパイルをマスク用ゴム入り織物を作製した際、パイルを視認でき、見た目の柔らかさを向上させることができる。
【0021】
本願発明としては、製造性の観点から、当該袋織りの両端部の製織組織の一部を[1/1](経糸が緯糸に対し1回毎に浮き沈みする製織組織)とすることが望ましい。具体的には、両端部の[1/1]とする箇所は、2~4箇所/端部が好ましく、3~4/端部がさらに好ましい。3~4箇所/端部とすることで、当該袋織りの織物の両端の風合いを良好に製織することができる。
【実施例0022】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0023】
本実施の形態を実現するため、太さや捲縮の異なる糸を用いた織物を数種類製織した。
(1)経糸にポリエステル糸(捲縮のある、単糸繊度0.6デシテックスのマルチフィラメント加工糸)を39本と、ゴム糸(ポリウレタン糸をポリエステル糸によりカバリングした糸)をZ巻き8本、S巻き8本使用して、緯糸には、上記経糸と同じポリエステル糸を使用して製織した。
(特許文献4の本願出願人に係る本実施の形態のマスク用ゴム入り織物)
(2)上記(1)の作製において、糸の単糸繊度を2.3デシテックスとした以外は同様にして(2)を作製した。
(3)上記(2)の作製において、経糸及び緯糸にチーズ染色(ピンク系)を行った以外は同様にして(3)を作製した。
(4)上記(1)の作製において、経糸及び緯糸にチーズ染色(ピンク系)を行った以外は同様にして、(4)を作製した(本実施形態1)。
【0024】
上記(1)ないし(4)の柔らかさを官能評価(各例において、成人男性3名、女性3名)にて確認した結果を表1に示す。
【0025】
【0026】
上記結果から、単糸繊度が大きい糸を用いたマスク用ゴム入り織物は、チーズ染色の有無に関わらず、柔らかさが得られないことが確認された。単糸繊度が小さい糸を用いたマスク用ゴム入り織物は、チーズ染色の有無に関わらず、柔らかさが得られることが確認された。単糸繊度が小さい糸を用いマスク用ゴム入り織物を作成することで、良好な使用感を得ることができる。
【0027】
上記、良好な柔らかさが確認された(1)及び(4)のマスク用ゴム入り織物について、異なる打ち込み回数にて作製し、パイルの状態を評価した。
作製したマスク用ゴム入り織物のパイルが視認できるか、また、視認できた場合、パイルが倒れていないか、を評価した。
評価結果を表2に示す。
【0028】
【0029】
上記結果から、(1)においては、いずれの打ち込み回数においても、パイルを視認することができなかった。一方で、チーズ染色を施すことで捲縮性が失われた糸を用いた(4)においては、13.0~15.7回/cmの場合において、パイルを視認することができた。パイルを視認できることで、見た目に柔らかさを与えることができる。また、(4)のうち、特に、15.7回/cmの場合では、パイルが立ち上がった形状となった。すなわち、上記ふんわり感のあるタオル地のような肌触りを得られるとともに、(1)に比べ吸水性や通気性を向上させるものとなった。
【0030】
以上、上記実施の形態で示したように、本発明により、本願発明者が特許文献4で開示した形状の維持と保温性や吸湿性に優れた特徴を有するマスク用ゴム入り織物に、タオル地のように生地表面に形成されたパイルが立つことで、良好な肌触りとともに、より良い吸水性および通気性といった特徴を付与することが可能となった。