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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069948
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】報告書作成支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20230511BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20230511BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182209
(22)【出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】598119588
【氏名又は名称】株式会社コスモス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100205383
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 諭史
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】濱口 慶一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
5L049CC36
(57)【要約】
【課題】対象機器の性能評価に関する報告書の作成の効率化を図るとともに、品質の均一化を図ることができる報告書作成支援装置を提供する。
【解決手段】支援装置2は、機器の属性情報および該機器の評価試験の試験情報を含むデータテーブルを保存するデータベース5を備え、任意の対象機器の性能評価に関する報告書の作成を支援する装置であって、任意の対象機器の報告書の作成に必要なデータテーブルの項目への入力を受け付ける入力部3と、入力されたデータテーブルの項目に基づいて、所定の書式で報告書を出力する出力部6とを有しており、入力部3は、任意の対象機器の属性情報に基づいて必要な評価試験を選択して、データベース5内から評価試験に対応する試験情報を検索する検索部3aと、検索部3aによって評価試験に対応する試験情報が検索された場合に、その試験情報をデータテーブルの項目に反映させる反映部3bとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の属性情報および該機器の評価試験の試験情報を含むデータテーブルを保存するデータベースを備え、任意の対象機器の性能評価に関する報告書の作成を支援する報告書作成支援装置であって、
前記報告書作成支援装置は、前記任意の対象機器の前記報告書の作成に必要なデータテーブルの項目への入力を受け付ける入力部と、入力された前記データテーブルの項目に基づいて、所定の書式で報告書を出力する出力部とを有しており、
前記入力部は、前記任意の対象機器の属性情報に基づいて必要な評価試験を選択して、前記データベース内から前記評価試験に対応する試験情報を検索する検索部と、該検索部によって前記評価試験に対応する試験情報が検索された場合に、その試験情報を前記データテーブルの項目に反映させる反映部とを有することを特徴とする報告書作成支援装置。
【請求項2】
前記検索部によって前記評価試験に対応する試験情報が検索されない場合に、前記反映部は、試験装置から前記評価試験の試験情報を取得して、該試験情報を前記データテーブルの項目に反映させることを特徴とする請求項1記載の報告書作成支援装置。
【請求項3】
前記報告書作成支援装置は、前記任意の対象機器の画像データを取得するとともに、該画像データ内の対象機器の任意の部位に識別標識を付する画像取得部を有しており、
前記入力部は、前記画像取得部によって付された識別標識毎に前記データテーブルの項目への入力を受け付けることを特徴とする請求項1または請求項2記載の報告書作成支援装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記データテーブルの項目を順次表示する表示機能を有し、該表示機能は前記データテーブルの項目に入力された内容に応じて、その後に表示する項目を変更することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の報告書作成支援装置。
【請求項5】
前記報告書作成支援装置は、前記データテーブルの項目に入力された内容が所定の要件を満たしていない場合に、その旨をユーザに報知することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の報告書作成支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器等の性能評価に関する報告書の作成を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気機器等の安全性については、電気用品による危険及び障害の発生の防止を目的とする法律として、電気用品安全法が定められている。この法律では、特定電気用品を製造等する事業者は、登録検査機関において当該電気用品の型式区分ごとに適合性検査を受けることが義務付けられている。
【0003】
一般に、電気機器の開発や販売に際しては、当該電気機器の性能を評価するための評価試験が行われる。当該評価試験は、社内または外部の機関(試験機関など)で行われる。評価試験の報告書は、試験担当者または試験担当グループが個々の端末を用いて作成しているのが一般的である。近年では、作成された報告書データをデータベース化して、報告書の作成を円滑に進める試みも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-76676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、報告書データをデータベース化することで、報告書の作成の効率化が期待される。
ところで、評価試験の報告書の作成は、例えば、機器の属性の把握、当該機器において必要な試験の選定、試験の実施、試験結果の入力という流れで行われる。特に、機器の性能を評価する上では、試験結果はもちろんのこと、評価試験の選定も重要になる。しかしながら、評価試験の選定は、試験担当者の能力などによるところが多く、試験担当者によっては試験項目がばらつくことが考えられる。その結果、報告書の品質の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、対象機器の性能評価に関する報告書の作成の効率化を図るとともに、品質の均一化を図ることができる報告書作成支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の報告書作成支援装置(以下、単に支援装置ともいう)は、機器の属性情報および該機器の評価試験の試験情報を含むデータテーブルを保存するデータベースを備え、任意の対象機器の性能評価に関する報告書の作成を支援する装置であって、上記報告書作成支援装置は、上記任意の対象機器の上記報告書の作成に必要なデータテーブルの項目への入力を受け付ける入力部と、入力された上記データテーブルの項目に基づいて、所定の書式で報告書を出力する出力部とを有しており、上記入力部は、上記任意の対象機器の属性情報に基づいて必要な評価試験を選択して、上記データベース内から上記評価試験に対応する試験情報を検索する検索部と、該検索部によって上記評価試験に対応する試験情報が検索された場合に、その試験情報を上記データテーブルの項目に反映させる反映部とを有することを特徴とする。
【0008】
上記検索部によって上記評価試験に対応する試験情報が検索されない場合に、上記反映部は、試験装置から上記評価試験の試験情報を取得して、該試験情報を上記データテーブルの項目に反映させることを特徴とする。
【0009】
上記報告書作成支援装置は、上記任意の対象機器の画像データを取得するとともに、該画像データ内の対象機器の任意の部位に識別標識を付する画像取得部を有しており、上記入力部は、上記画像取得部によって付された識別標識毎に上記データテーブルの項目への入力を受け付けることを特徴とする。
【0010】
上記入力部は、上記データテーブルの項目を順次表示する表示機能を有し、該表示機能は上記データテーブルの項目に入力された内容に応じて、その後に表示する項目を変更することを特徴とする。
【0011】
上記報告書作成支援装置は、上記データテーブルの項目に入力された内容が所定の要件を満たしていない場合に、その旨をユーザに報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の支援装置は、任意の対象機器の報告書の作成に必要なデータテーブルの項目への入力を受け付ける入力部と、入力されたデータテーブルの項目に基づいて、所定の書式で報告書を出力する出力部とを有しており、入力部の検索部は、任意の対象機器の属性情報に基づいて必要な評価試験を選択して、データベース内から評価試験に対応する試験情報を検索するので、試験担当者間によって試験項目がバラつくことを防止でき、また、評価試験に対応する試験情報が検索された場合に、その試験情報をデータテーブルの項目に反映させることで、蓄積された試験情報を有効に利用することができる。これにより、対象機器の性能評価に関する報告書の作成の効率化を図るとともに、品質の均一化を図ることができる。
【0013】
入力部は、データテーブルの項目を順次表示する表示機能を有し、該表示機能はデータテーブルの項目に入力された内容に応じて、その後に表示する項目を変更するので、データテーブルの入力を円滑に行うことができ、入力ミスなどの発生を抑制することができる。
【0014】
報告書作成支援装置は、データテーブルの項目に入力された内容が所定の要件を満たしていない場合に、その旨をユーザに報知するので、報告書の質の向上に一層寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】報告書作成支援システムの全体構成を示す図である。
図2】対象機器の画像データの一例を示す図である。
図3】データテーブルの項目への入力の流れを説明するための図である。
図4】データテーブルが保存されるデータベースの概要図である。
図5】報告書作成支援装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】追加試験指示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】報告書の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の報告書作成支援システムの一例について、図1を用いて説明する。支援システム1は、対象機器の評価試験の報告書の作成を支援するシステムである。対象機器としては、例えば、電気用品安全法の対象となる電気用品(例えば特定電気用品など)や、電気用品安全法の対象外の電気機器などが挙げられる。
【0017】
報告書としては、例えば電気用品安全法の適合性検査の報告書やCBレポート(CB Test Report)などが挙げられる。なお、CBレポートは、IECEE 02(電気機器安全規格に基づく試験結果の認証に関するIECEE スキーム(CB スキーム)規定および施行規則)に基づき発行される試験レポートである。
【0018】
図1において、支援システム1は、支援装置2と、試験装置8と、ユーザ端末9とを備える。支援装置2と試験装置8は、ネットワークを介して通信可能に接続されており、例えば、試験依頼(テストオーダー)の送受信や試験情報の送受信が行われる。ネットワークは、インターネット回線などの電気通信回線で構成される。また、図1において、支援装置2は、ユーザ端末9とも通信可能に接続されており、例えば報告書の送受信や、ユーザ端末9を介したデータテーブルの入力操作などが行われる。ユーザ端末9は、パーソナルコンピュータや、タブレット端末、スマートフォンなどの情報処理装置である。
【0019】
支援システム1は、対象機器の評価試験を実施する試験機関(例えば、電気用品安全法に定められる登録検査機関)などに備えられ、その評価試験の報告書の作成に使用される。なお、支援システム1は、社内報告用の報告書の作成に使用されてもよい。
【0020】
支援装置2は、周知のCPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主体として構成される情報処理装置である。支援装置2は、記憶部に格納されたソフトウェアを実行することにより、各種機能部として動作する。図1において、支援装置2は、入力部3と、画像取得部4と、データベース5と、出力部6と、格納部7とを有する。支援装置2は、入力部3を介して入力された項目に基づいて、所定の書式で報告書を出力する装置である。
【0021】
入力部3は、任意の対象機器の評価試験の報告書の作成に必要なデータテーブルの項目への入力を受け付ける。データテーブルの項目に入力される情報としては、対象機器の属性情報や対象機器の試験情報などが含まれる。属性情報には、対象機器の品目や、材質、形状、寸法、使用態様などに関する情報が含まれる。試験情報には、試験条件や、試験結果(例えば測定値)、規格、試験機関などの試験に関する情報が含まれる。これらの情報は、後述するように、入力部3を介して、ユーザによる直接入力や、プルダウンメニューなどからの選択入力、自動入力などによって入力される。
【0022】
ここで、対象機器についてのデータテーブルの入力は、部位毎(部品毎も含む)などの必要箇所に対して行われる。例えば、図1の形態では、画像取得部4によって取得された画像データに基づいて、データテーブルへの入力が行われる。画像取得部4は、デジタルカメラなどの撮影手段から対象機器の画像データを取得する。図2には、取得された画像データの一例として、ACアダプターの画像データを示している。また、画像取得部4は、取得した画像データ内の対象機器の部位毎に識別標識を付する機能を有することが好ましい。図2では、ACアダプターの外郭に番号1が付され、刃に番号2が付されている。
【0023】
そして、ナンバリングされた部位毎にデータテーブルの項目への入力が行われる。例えば、図3には、図2の番号1(外郭)についてのデータテーブルの入力の流れを示す。図3(a)では、まず外郭の材質の分類(プラスチックまたは金属)が質問される。なお、図3(a)の状態では、その他の項目は表示されていない。例えば、回答することや空欄を埋めることで、項目が順次表示されるようにしてもよい。
【0024】
図3(a)の質問に対して、外郭の材質がプラスチックであると回答すると、データテーブル上に項目が更に表示される(図3(b)参照)。例えば、材料メーカー名、材料名、材料仕様などが表示される。これらの項目は、例えばプルダウンメニューの中から選択されて入力される。なお、プルダウンメニューに存在しない内容については、ユーザにより直接入力される。なお、直接入力された新たな内容は記憶され、次回以降、プルダウンメニューに表示されるようにしてもよい。
【0025】
データテーブルの入力において、項目を順次表示させることで、記入すべき項目が分かりやすく、例えば、経験の浅いユーザであっても入力を円滑に行うことができる。また、データテーブルの作成のフローを明示して明示されたガイド(画面)に従って作業を進めれば、必要なデータテーブルの入力が行えるようにしてもよい。
【0026】
また、入力部3の表示機能は、データテーブルの項目に入力された内容に応じて、その後に表示する項目を変更してもよい。例えば、図3で言うと、入力された材料メーカー名に応じて、材料名のプルダウンメニューの内容などを変更してもよい。
【0027】
ここで、本発明では、報告書の作成に際して、データベースに蓄積された試験情報を有効に利用することができる。具体的には、図1に示すように、入力部3は、検索部3aと反映部3bとを有しており、これらによって試験情報を有効利用している。検索部3aは、対象機器の属性情報に基づいて必要な評価試験を選択(ピックアップ)して、データベース5内からその評価試験に対応する試験情報を検索する。具体的には、まず検索部3aは、データテーブルに入力された属性情報に基づいて、必要な評価試験を選択する。例えば、ACアダプターの刃を保持している部位のボールプレッシャー試験を選択する。評価試験の選択は、例えば、支援装置2に予め記憶される対象機器(部位毎も含む)の属性情報と試験項目との対応関係に基づいて行われる。この対応関係は、データベース内に蓄積されていく対象機器の属性情報と試験項目との対応関係によって更新されてもよい。
【0028】
続いて、検索部3aは、選択された評価試験に対応する試験情報をデータベース5内から検索する。具体的には、選択した試験について、対象機器と同一または類似の属性情報を有する機器における試験情報を検索する。
【0029】
反映部3bは、検索部3aによって評価試験に対応する試験情報が検索された場合に、その試験情報をデータテーブルの項目に反映させる。例えば、図3(c)では、性能の項目における各種温度について、過去の試験情報を反映することで、試験情報が入力される。これにより、蓄積された試験情報を有効に利用でき、同様の試験を再度行う作業や時間を省くことができ、報告書作成の作業効率を向上させることができる。
【0030】
一方、検索部3aによって評価試験に対応する試験情報が検索されない場合には、実際に当該評価試験が実施される。具体的には、図1に示すように、支援装置2から試験装置8に対して試験依頼の通知が送信され、試験担当者はその通知に基づいて評価試験を実施する。なお、試験装置8は、試験の際に使用される情報処理装置であればよく、評価試験の際に測定等を行う測定装置や、試験を管理する管理装置、試験担当者の端末などであってもよい。試験により得られた生データは、試験装置8に永続的に保存されるようにすることが好ましい。試験により得られた試験情報は、自動または試験担当者の操作などによって支援装置2に送信される。この際、例えば反映部3bは、試験装置8からの試験情報を取得して、その試験情報をデータテーブルの項目に反映させる。
なお、検索部3aによって試験情報が検索された場合であっても、更に詳細な試験結果によっては、追加試験が実施されるようにしてもよい。この場合も、支援装置2から試験装置8に対して追加試験依頼の通知が送信され、試験担当者はその通知に基づいて追加試験を実施する。
【0031】
出力部6は、入力されたデータテーブルの項目に基づいて、所定の書式で報告書を出力する。報告書の書式は、例えば報告書の種類や提出先などに応じて複数記憶されてもよい。例えば、報告書の出力の際に書式を適宜選択できるようにしてもよい。
【0032】
格納部7は、出力部6が出力で用いたデータテーブルをデータベース5に格納する。なお、出力部6によって出力された報告書の報告書データをデータテーブルと紐づけてデータベース5に格納してもよい。
【0033】
図4に示すように、データベース5には、報告書の作成に必要な情報が全てデータテーブルとして保存される。データテーブルは、例えば対象機器毎に作成され、更に部位毎の属性情報や試験情報などの情報が含まれる。属性情報や試験情報は、顧客、カタログ、使用態様、設置環境、評価試験などから得られる。例えば、対象機器の仕様により、部品毎に変化してデータテーブルを作成することができる。
【0034】
例えば、本発明の報告書作成支援装置は、データテーブルの項目に入力された内容が所定の要件を満たしていない場合に、その旨をユーザに報知する報知機能を有していてもよい。例えば、規格値と試験による測定値を比較して、当該測定値が規格値を満たしていない場合には、表示画面にエラー表示するなどして、試験結果の整合を表示するようにしてもよい。
【0035】
図5は、本発明の報告書作成支援装置の処理の流れを示すフローチャートである。まず、対象機器の画像データを取得して、図2に示したように必要な部位に番号を付ける(ステップS11、12)。続いて、ステップS13において対象機器のデータテーブルを新たに作成する。ステップS14では、対象機器の属性情報を入力する。属性情報の入力は、例えば図3に示したような流れで順次入力が行われる。例えば、対象機器の番号が付された部位についての材料メーカー名および材料名が入力される。
【0036】
そして、入力された属性情報に基づいて、必要な評価試験を選択して、その評価試験に対応する試験情報がデータベース内にあるかを検索する(ステップS15)。検索した試験情報がある場合(ステップS15:Yes)、その試験情報がデータテーブルに入力される(ステップS16)。
【0037】
一方、検索した試験情報がない場合(ステップS15:No)、試験指示を行う。具体的には、試験装置に対して、試験項目が記載されたテストオーダシートを送信する。その後、試験担当者によって試験が実施されて、支援装置が試験情報を取得して(ステップS18)、その試験情報がデータテーブルに入力される(ステップS19)。この場合、試験装置からの試験情報の取得に応じて、自動で反映されてもよい。
【0038】
ここで、図5では、ステップ20として追加試験指示のステップが設けられてもよい。このステップは、既にデータベースに登録されていた試験情報や試験の実施により得られた試験情報の、更に詳細な試験結果に基づいて、追加試験を指示するステップである。当該ステップの具体的な処理の流れを図6に示す。
【0039】
図6は、B.P.温度が75℃でデータベースに登録されていた場合を想定しており、温度試験での当該部位の温度上昇値に基づいて追加試験の有無を判定している。例えば、ステップS22では、既存の温度試験において当該部位の温度上昇値が35K未満であるかを判定する。温度上昇値が35K未満である場合(ステップS22:Yes)、追加試験は不要として、図5の処理に戻る。
一方、温度上昇値が35K以上である場合(ステップS22:No)、追加試験の指示を行う(ステップS24)。具体的には、試験装置に対して、追加試験項目が記載されたテストオーダシートを送信する。その後、試験担当者によって追加試験が実施されて、支援装置が試験情報を取得して、その試験情報がデータテーブルに入力され(ステップS25)、図5の処理に戻る。
【0040】
図5に戻り、上述のステップによりデータテーブルへの入力が完了すると、所定の書式で報告書が出力される(ステップS21)。この場合、必要に応じて、格納部は、出力された報告書データをデータテーブルと紐づけて、データベースに格納する。
【0041】
図7には、報告書の一例として、電気用品安全法適合性検査成績書を示す。当該成績書は、複数頁にわたって構成されている。以下、一例として、各頁に記載されている事項を列挙する。
【0042】
1頁の記載事項
・成績書番号、発行日、試験サイト及びその住所、申請者及びその住所、評価規格、電気用品名、モデル名、定格、結果(適合/不適合)、試験担当者等のサイン等
【0043】
2頁~3頁の記載事項
[製品の使用用途、構造及び仕様]
[製品概要]
・電気用品の使用環境/使用場所/使用方法、電源の接続、アース構造、機器の重量、寸法等
[電気用品名の該当性]
・適用電気用品名の選定根拠を記載
[評価規格の適用根拠]
・適用規格の選定根拠を記載
[型式の区分]
・型式区分表を記載
【0044】
4頁~7頁の記載事項
[評価項目]
・試験項目名、項番(雑音含む全項目)、試験実施場所
[試験概要]
・設置環境、通常使用状態、試験品仕様、評価時の免責事項等詳細に記載
[試験期間]
・試験品を受け取った日付、試験開始日、終了日
[判定内容]
・適合、不適合、該当しない、の定義付け
【0045】
8頁の記載事項
[絶縁ブロック図]
・製品の絶縁仕様(基礎、付加、強化)の図示
【0046】
9頁の記載事項
[添付書類一覧]
・写真、ブロック図、回路図、パターン図、シルク図、構造仕様書図(トランス、インダクタ、ヒータ、モーター、サーモスタット等)、取扱説明書、設置説明書
【0047】
10頁以降の記載事項
・項番順に評価結果を記録
・定格ラベルは要求項頁に貼り付け、注意/警告表示も当該項に含む
・重要部品リストは最終頁に記載
次頁以降に添付書類を綴じる。
【0048】
以上、本発明の報告書作成支援装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0049】
一般に、評価試験に関する報告書の作成にあたっては、顧客などから得られる情報の入力、試験担当者などの経験に基づくノウハウ値の入力、評価に使用する規格書の要求値の入力、機器の部品などの材料から要求される追加項目の入力、リスク分析から追加として必要な要求事項の入力、評価試験の試験結果の入力、必要とした評価試験後の新たな評価要求事項の入力など、多岐の項目を入力する必要がある。上述したような本発明の報告書作成支援装置によれば、報告書の作成に必要な情報を全てデータテーブルとして保存し、これらを蓄積していくことで、いつ、だれが再度実行しても同じ結果が出せる完全なトレーサビリティの確保された形で報告書の作成を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の報告書作成支援装置は、対象機器の性能評価に関する報告書の作成の効率化を図るとともに、品質の均一化を図ることができるので、試験機関などにおける報告書の作成に際に有用なツールとなる。
【符号の説明】
【0051】
1 支援システム
2 支援装置(報告書作成支援装置)
3 入力部
3a 検索部
3b 反映部
4 画像取得部
5 データベース
6 出力部
7 格納部
8 試験装置
9 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7