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特開2023-69962植物の成長や発芽を抑制する陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤を配合させた防草処理剤および防草処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069962
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】植物の成長や発芽を抑制する陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤を配合させた防草処理剤および防草処理方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/00 20060101AFI20230511BHJP
   E01C 7/30 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
A01M21/00 Z
E01C7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021192538
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】508181504
【氏名又は名称】株式会社サンエイジ
(71)【出願人】
【識別番号】512168962
【氏名又は名称】有限会社グリーンワークス
(72)【発明者】
【氏名】野村 英司
【テーマコード(参考)】
2B121
2D051
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CC27
2B121EA25
2B121FA01
2B121FA15
2B121FA16
2D051AF01
2D051AF14
2D051EA06
(57)【要約】
【課題】 従来、除草や防草処理では、化学的な薬品での処理が主流で、土壌の汚染を起こし、また人体や動植物にも悪影響を与えるものであった。植物の発芽や成長を抑制する方式での安全な防草処理剤や防草処理の方法が強く求められていた。
【解決手段】 植物の成長や発芽に必要とする栄養分を吸着・除去することによって防草処理を行うものあり、防草処理剤に陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤を配合させたことを特徴する防草処理剤を提供するものである。また、陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤を配合させた防草処理剤を使用することを特徴する防草処理の方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の成長や発芽に必要とする栄養分を吸着する陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤の両者を配合させたことを特徴する防草処理剤。
【請求項2】
陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤の両者を配合させた請求項1の防草処理剤において、 陽イオン成分としてアンモニア、カリウムなどの吸着に優れた吸着剤として、ゼライト、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、陽イオン交換樹脂から少なくとも1種を配合し、更に陰イオン成分としてリン酸、硝酸、亜硝酸などの吸着に優れた吸着剤として、水酸化マグネシウム、酸化マグネシム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、陰陽イオン交換樹脂から少なくとも1種を配合したことを特徴する請求項1の防草処理剤。
【請求項3】
植物の成長や発芽に必要とする栄養分を吸着する陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤を配合させた防草処理剤を用いることを特徴する土壌の防草処理、発芽抑制の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の発芽抑制、成長抑制、防草処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでは、植物を根こそぎ枯らす除草剤は広く販売され、使用されてきたが、周囲の植物にもダメージを与えるものであり、また、散布した土壌や人体、動植物にも悪影響を及ぼし、地球環境を悪化させるものであった。このため、人体や地球環境に優しい除草剤、防草処理剤が強く望まれていた。本発明の防草処理剤及び防草処理法は、植物を枯らすのではなく、植物の発芽や成長を抑制する方式での防草処理である。このため植物の栄養成分(窒素、リン酸、カリウムなど)を土壌に固定化させて植物の発芽や成長を抑制させることを目的とした防草処理剤、および防草処理方法である。これまで、除草や防草の処理方法は、強力な薬剤で植物を枯死させる方式が一般な手法であり、人体、動植物や環境に対して負荷が大きいものであった、。本発明の防草処理剤ならびに防草処理法は、環境に優しく、人体や動物に安全な方式での防草処理剤や防草処理の方法である。本発明に関連するものとして、提防草処理法案について一部分の提案がなされているが、長期間に亘って有効的に防草機能を発揮する防草処理剤ならびに防草処理法は技術的に確立されていなかった。本発明に係わる防草処理の先行事例としては、下記の特許文献の雑草防止舗装材などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-53288号公報
【特許文献2】特開2018-188812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
雑草防止技術に求められる条件は、土壌や樹木などの周囲の自然環境に悪影響を及ぼすことなく地盤表層の雑草の繁茂を確実に防止することができること、施工が容易であること、低施工コストでなどあるが、これらの条件を十分に満たす雑草防止技術は未だ見出されていないのが実状である。
【0005】
この現状に鑑み、本発明は、施工が容易で、土壌や樹木などの周囲の自然環境や人体や動物に悪影響を及ぼすことなく、地盤表層の雑草の繁茂を確実に防止することができる、防草処理剤、および防草処理方法及び防草舗装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、植物の成長や発芽に必要な土壌中の栄養成分を吸着、不溶化、固定化させて、植物の成長・繁茂を抑制することを目的として、陽イオン吸着、陰イオン吸着剤を配合することを特徴する防草剤である。
【0007】
本発明の第2は、植物栄養成分として、陽イオン成分には、アンモニア、カリウム、マグネシウムなどがあり、また陰イオン成分には、硝酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸などがある。これらの土壌中の栄養成分を吸着、不溶化、固定化して、植物の成長・繁茂を抑制するために、陽イオン成分の吸着に優れた吸着剤として、ゼライト、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、陽イオン交換樹脂から少なくとも1種を配合し、更に陰イオン成分の吸着に優れた吸着剤として、水酸化マグネシム、酸化マグネシム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト、陰陽イオン交換樹脂から少なくとも1種を配合したことを特徴する防草処理剤である。
【0008】
本発明の第3は、植物の成長や発芽に必要とする栄養分を吸着する陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤を配合させた防草処理剤を用いることにより、土壌の防草処理、発芽抑制の処理を環境に優しく、人体や動物に安全に防草処理を行うことを特徴とする防草処理法である。
【0009】
次に、本発明に係る防草舗装構造は、前述した防草処理剤と、真砂土・砂利・施工対象場所の既存土のうちの少なくとも1以上と、を含む防草用材料の硬化物が施工対象場所の地盤上の表層を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、防草施工が容易で、土壌や樹木などの周囲の自然環境や人体・動物に悪影響を及ぼすことなく地盤表層の雑草の繁茂を確実に防止することができる防草処理剤、防草処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の防草処理剤は、植物を枯死させるのでは、植物の栄養・成長成分で、吸着・不溶化・固定化させるものでありこのために、陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤の両者を配合させることを特徴とする防草処理剤である。
【0012】
植物の栄養成分の内、陽イオン成分としては、アンモニア、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などがあり、この陽イオン成分の吸着・固定化に優れた吸着剤としては、ゼライト、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、陽イオン交換樹脂などがある。これらの陽イオン吸着剤の内、陽イオン成分の吸着・不溶化・固定化が特に優れているのは、ゼライト、陽イオン交換樹脂であり、これらを配合することが好ましい。
【0013】
また、植物の栄養成分の内、陰イオン成分としては、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜リン酸イオンなどがある。この陰イオン成分の吸着・不溶化・固定化に優れた吸着剤としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシム、ハイドロタルサイト、陰イオン交換樹脂などである。これらの陰イオン吸着剤の内、陰イオン成分の吸着・不溶化・固定化が特に優れているのは、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、陰イオン交換樹脂であり、これらを配合することが好ましい。
本発明の防草処理剤では、上記の陽イオン吸着剤と陰イオン吸着剤をそれぞれにおいて、少なくとも1種を配合したことを特徴としている。
【実施例0014】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0015】
防草処理剤の配合例1を示す。
水酸化マムネシウム 30重量%
水酸化カルシウム 10重量%
ゼオライト 30重量%
真砂土 20重量%
川砂 10重量%
【実施例0016】
防草処理剤の配合例2を示す。
水酸化マムネシウム 20重量%
水酸化カルシウム 10重量%
ハイドロタルサイト 10重量%
ゼオライト 20重量%
真砂土 20重量%
川砂 10重量%
【実施例0017】
防草処理剤の配合例3を示す。
水酸化マムネシウム 20重量%
水酸化カルシウム 10重量%
陽イオン交換樹脂 5量%
陰イオン交換樹脂 5重量%
ゼオライト 20重量%
真砂土 30重量%
川砂 10重量%
【0018】
次に、上記の防草処理剤1~3について、対象の施工場所の土壌に対する防草処理方法について説明する。施工に当たっては、先ず対象の施工場所において、除草作業を行う。刈り取った草や枯れ草などを除去する。防草処理剤の施工は、対象場所の土壌表面から約10cmの部分とし、1m当たりで、処理する土壌重量としては約180kgになる。この対象土壌に対して、本発明の防草処理剤:9kgを加える。土壌と防草処理剤の混合は、コンクリートミキサー、混合機を使用するが、対象土壌の表面で混合を実施する場合は、耕運機、バックホウなどを使用して行うことが出来る。
【0019】
対象土壌と防草処理剤を混合した後は、施工対象場所に約10cmの厚みに施して、出来る限り厚みが均一な表層を形成する。その後、転圧機を使用して、対象土壌の表面部を加圧(転圧)する(粗転圧)。粗転圧が終わったら、防草処理剤の混合層の厚みや水平レベルが均一になるように調整を行う。その後、更に転圧機を使用して前記表層の仕上げ転圧を行う。
【0020】
仕上げ転圧が完了したら、表層土壌に散水する。散水量は表層土壌が全体に均一に湿る程度とする。厳寒時期は水が凍結することあるので、気温5℃以下の場合は施工を中止することが望ましい。
【0021】
本実施形態に係る防草処理剤には、表層土壌に含まれる植物の三大養分(チッソ、リン、カリウム)を不溶化・固定化する作用を有してので、雑草の発芽や成長が抑制されるため、地盤表層での雑草の生育や繁茂を確実に防止することができる。
【0022】
また、本発明の防草処理剤は、セメント系固化材を含んでいないので、土壌を硬く固化することなく、また周囲の植栽や樹木を枯死させたりすることはなく、人体や動物に対しても防草処理を安全に行うことが出来る。また、施工後の5年以上の長期間を過ぎれば、施工に使用した防草処理剤は、徐々に自然土壌に戻る。また、前記防草処理の土壌構造は、適当な空隙と保水成分を有しているため、降雨を一時的に蓄積し、徐々に発散する機能を有している。このため、夏場の高温時には、土壌に含有・保持している水分が徐々に蒸散するため、周囲の急激な温度上昇や太陽光の照り返しを緩和する性質を有しているおり、ヒートアイランド現象の抑制にも有効である。
【0023】
本発明の防草処理剤を使用して防草処理施工を行う場合、対象現場において、本発明の防草処理剤のみを対象土壌に添加し、新な土壌や薬剤・資材を使用しないで施工が可能であり、また、施工方法も容易であるので、防草処理の施工コストを大幅に低減することができる。
【0024】
なお、前述した防草処理剤、防草処理方法及び防草舗装構造は、本発明に係る防草処理剤、防草処理方法及び防草舗装構造の一例を示すものであり、本発明に係る防草処理剤、および防草処理方法及は前述した実施例の形態のみには限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る防草処理剤、および防草処理方法は、公園、道路、河川、堤防などの土木建設業の分野と留まらず、個人住宅、学校、営業企業など分野においても、環境に優しく、人体・動物に安全な防草処理の手段として、幅広く利用することができる。