(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069964
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】エリアマーケットデータ管理システムおよびエリアマーケットデータ管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20230511BHJP
G06Q 30/0283 20230101ALI20230511BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
G06Q30/02 490
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021192540
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】505244947
【氏名又は名称】株式会社パラダイムシフト
(72)【発明者】
【氏名】百田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】上中 かおり
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB01
(57)【要約】
【課題】エリア全体での各宿泊施設の売上最大化を効率的に図る。
【解決手段】エリアマーケットデータ管理システム100において、所定の宿泊施設が存在する所定エリアでの、各宿泊施設における宿泊需要の情報を保持する記憶装置101と、前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設及びその他の宿泊施設の、予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力する演算装置104を含む構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の宿泊施設が存在する所定エリアでの、各宿泊施設における宿泊需要の情報を保持する記憶装置と、
前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設及びその他の宿泊施設の、予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力する演算装置と、
を含むことを特徴とするエリアマーケットデータ管理システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、
前記宿泊需要の情報として、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの客室販売単価、稼働率、及びインデックスの各値を保持し、
前記演算装置は、
前記宿泊需要の情報である、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの稼働率及びインデックスの各値のうち、前記所定の宿泊施設とランクまたは施設形態が同じ宿泊施設たる前記その他の宿泊施設に関する値を抽出し、当該値に基づいて前記予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のエリアマーケットデータ管理システム。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記宿泊需要の情報が示す、前記所定の宿泊施設での予約キャンセル分のうち前記所定エリア内の他宿泊施設での予約となったものの情報に基づき、前記所定の宿泊施設の客室販売に影響を与える前記その他の宿泊施設を特定し、当該その他の宿泊施設に関して前記予約獲得スピードを算定するものである、
ことを特徴とする請求項2に記載のエリアマーケットデータ管理システム。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設における予約確度を算定し、当該予約確度により、前記所定の宿泊施設におけるリピーターを特定して、当該リピーターの情報を出力するものである、
ことを特徴とする請求項3に記載のエリアマーケットデータ管理システム。
【請求項5】
情報処理装置が、
所定の宿泊施設が存在する所定エリアでの、各宿泊施設における宿泊需要の情報を記憶装置で保持し、
前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設及びその他の宿泊施設の、予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力する、
ことを特徴とするエリアマーケットデータ管理方法。
【請求項6】
前記情報処理装置が、
前記記憶装置において、前記宿泊需要の情報として、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの客室販売単価、稼働率、及びインデックスの各値を保持し、
前記宿泊需要の情報である、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの稼働率及びインデックスの各値のうち、前記所定の宿泊施設とランクまたは施設形態が同じ宿泊施設たる前記その他の宿泊施設に関する値を抽出し、当該値に基づいて前記予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項5に記載のエリアマーケットデータ管理方法。
【請求項7】
前記情報処理装置が、
前記宿泊需要の情報が示す、前記所定の宿泊施設での予約キャンセル分のうち前記所定エリア内の他宿泊施設での予約となったものの情報に基づき、前記所定の宿泊施設の客室販売に影響を与える前記その他の宿泊施設を特定し、当該その他の宿泊施設に関して前記予約獲得スピードを算定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のエリアマーケットデータ管理方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、
前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設における予約確度を算定し、当該予約確度により、前記所定の宿泊施設におけるリピーターを特定して、当該リピーターの情報を出力する、
ことを特徴とする請求項7に記載のエリアマーケットデータ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリアマーケットデータ管理システムおよび業務支援供方法に関するものであり、具体的には、エリア全体での各宿泊施設の売上最大化を効率的に図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや旅館といった宿泊施設は、近隣の競合宿泊施設の客室販売価格をウォッチングし、その結果を自らの価格設定の参考にしている。こうした宿泊施設らは、温泉地や景勝地などの他、空港や駅、大型イベント施設の所在地区など、集客が見込める種々のエリアに集まる傾向がある。そのため、或るエリア内に所在する宿泊施設は、その価格動向を互いに監視し合い、価格設定に影響を及ぼし合っている。
【0003】
このような、宿泊施設の価格設定を取り扱う技術としては、例えば、イベントの開催スケジュール情報を格納した記憶装置と、所定の宿泊施設に関する、所定日から所定期間先までの各日の客室予約数の情報と、前記開催スケジュール情報とに基づき、前記宿泊施設において客室予約数が所定基準以上となっている日のうち、前記宿泊施設の所在エリアでのイベントの開催期間以外または開催前後期間以外の日を未知イベントの関連日と特定し、当該未知イベントの関連日の情報を、前記宿泊施設の端末に通知する処理を実行する演算装置を備える価格管理支援システム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0004】
また、ホテル毎に、ホテル評価が変動するパラメータを記憶したパラメータ記憶手段と、客先端末装置と通信接続し、この客先端末装置からホテル毎のホテル評価に関わるアンケート結果を検出すると、このアンケート結果に基づき、前記パラメータ記憶手段に記憶中の同ホテルに関わるパラメータを更新するパラメータ更新手段と、前記パラメータ記憶手段に記憶中の同ホテルに関わるパラメータに基づき、同ホテルを評価するホテル評価情報を作成する評価情報作成手段と、この評価情報作成手段にて作成したホテル評価情報をホテル毎に記憶する評価情報記憶手段と、この評価情報記憶手段に記憶中の同ホテルのホテル評価情報に基づき、同ホテルの客室料金を設定する最適客室料金設定手段とを有する最適客室料金設定システム(特許文献2参照)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-41426号公報
【特許文献2】特開2006-172082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
宿泊施設間で互いの客室販売価格を参考にし、自らの価格戦略を決定すると、多くの場合、競合宿泊施設よりも安値となるよう値決めを行う傾向にある。そうした傾向は、同じエリアに所在する全宿泊施設間で同様に生じうるため、状況によっては当該エリアでの過度な安売り競争に結びつくケースもある。
【0007】
安売り競争が起こると、限られた宿泊客をエリア内の宿泊施設間で奪い合うだけで、全体として低単価での消耗戦を継続することになる。すると当然ながら、エリア全体の市場規模(=客室単価×宿泊者数)も縮小しやすい。この市場規模縮小は、当該エリアのレストランや土産物店など、宿泊施設以外の事業者にも波及する可能性がある。そうなれば、宿泊施設のみならず、当該エリア全体の経済状況悪化につながる可能性もある。
【0008】
そこで本発明の目的は、エリア全体での各宿泊施設の売上最大化を効率的に図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明のエリアマーケットデータ管理システムは、所定の宿泊施設が存在する所定エリアでの、各宿泊施設における宿泊需要の情報を保持する記憶装置と、前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設及びその他の宿泊施設の、予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力する演算装置と、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のエリアマーケットデータ管理システムにおいて、前記記憶装置は、前記宿泊需要の情報として、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの客室販売単価、稼働率、及びインデックスの各値を保持し、前記演算装置は、前記宿泊需要の情報である、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの稼働率及びインデックスの各値のうち、前記所定の宿泊施設とランクまたは施設形態が同じ宿泊施設たる前記その他の宿泊施設に関する値を抽出し、当該値に基づいて前記予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力するものである、としてもよい。
【0011】
また、本発明のエリアマーケットデータ管理システムにおいて、前記演算装置は、前記宿泊需要の情報が示す、前記所定の宿泊施設での予約キャンセル分のうち前記所定エリア内の他宿泊施設での予約となったものの情報に基づき、前記所定の宿泊施設の客室販売に影響を与える前記その他の宿泊施設を特定し、当該その他の宿泊施設に関して前記予約獲得スピードを算定するものである、としてもよい。
【0012】
また、本発明のエリアマーケットデータ管理システムにおいて、前記演算装置は、前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設における予約確度を算定し、当該予約確度により、前記所定の宿泊施設におけるリピーターを特定して、当該リピーターの情報を出力するものである、としてもよい。
【0013】
また、本発明のエリアマーケットデータ管理方法は、情報処理装置が、所定の宿泊施設が存在する所定エリアでの、各宿泊施設における宿泊需要の情報を記憶装置で保持し、前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設及びその他の宿泊施設の、予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のエリアマーケットデータ管理方法において、前記情報処理装置が、前記記憶装置において、前記宿泊需要の情報として、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの客室販売単価、稼働率、及びインデックスの各値を保持し、前記宿泊需要の情報である、宿泊施設のランク別または施設形態別の、所定タイミングごとの稼働率及びインデックスの各値のうち、前記所定の宿泊施設とランクまたは施設形態が同じ宿泊施設たる前記その他の宿泊施設に関する値を抽出し、当該値に基づいて前記予約獲得スピードを算定し、前記その他の宿泊施設における予約獲得スピードが、前記所定の宿泊施設における予約獲得スピードよりも早い場合、前記所定の宿泊施設における客室販売単価のアップを示唆する情報を出力する、としてもよい。
【0015】
また、本発明のエリアマーケットデータ管理方法において、前記情報処理装置が、前記宿泊需要の情報が示す、前記所定の宿泊施設での予約キャンセル分のうち前記所定エリア内の他宿泊施設での予約となったものの情報に基づき、前記所定の宿泊施設の客室販売に影響を与える前記その他の宿泊施設を特定し、当該その他の宿泊施設に関して前記予約獲得スピードを算定する、としてもよい。
【0016】
また、本発明のエリアマーケットデータ管理方法において、前記情報処理装置が、前記宿泊需要の情報に基づき、前記所定の宿泊施設における予約確度を算定し、当該予約確度により、前記所定の宿泊施設におけるリピーターを特定して、当該リピーターの情報を出力する、としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、エリア全体での各宿泊施設の売上最大化を効率的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態のエリアマーケットデータ管理システムを含むネットワーク構成図である。
【
図2】本実施形態におけるエリアマーケットデータ管理システムのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態におけるネットエージェントサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態における宿泊施設端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態におけるPMSサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態の販売データDBのデータ構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態におけるエリアマーケットデータ管理方法のフロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
***全体構成***
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態のエリアマーケットデータ管理システム100を含むネットワーク構成図である。
図1に示すエリアマーケットデータ管理システム100は、エリア全体での各宿泊施設の売上最大化を効率的に図るコンピュータシステムである。
【0020】
より具体的には、エリアマーケットデータ管理システム100は、例えば、種々の宿泊施設と提携する所定の事業者や、或いは自治体など各種の公的機関が運用するサーバ装置を想定できるが、これに限定しない。例えば、宿泊施設の運営事業者やOTAの事業者、或いはサイトコントローラの事業者が運用する装置としてもよい。
【0021】
一方、本実施形態のエリアマーケットデータ管理システム100が、処理結果である情報を出力し提示する対象は、当該エリアマーケットデータ管理システム100によるサービス提供を享受すべく契約ないし登録した宿泊業者(の端末、すなわち宿泊施設端末200)、或いは当該情報の通知先として予め規定されている上述の公的機関のシステム、もしくはOTAやサイトコントローラの事業者の端末である。勿論、これに限定するものではなく、他の種々の事業者等の端末やシステムを情報の出力対象として想定することも可能である。
【0022】
また、エリアマーケットデータ管理システム100は、各宿泊施設に関して発生する販売データを得るべくPMSサーバ400と通信可能に結ばれている。ただし、当該宿泊施設が利用中のOTAのネットエージェントサーバ300から販売データを得るとしてもよく、データ取得先について限定しない。
【0023】
エリアマーケットデータ管理システム100は、インターネットなどの適宜なネットワーク10を介し、各宿泊業者の備える宿泊施設端末200、OTAのネットエージェントサーバ300、サイトコントローラのPMSサーバ400、および自治体システム500らと通信可能に接続されている。
【0024】
なお、上述の宿泊業者は、自宿泊施設の客室販売(宿泊プランの販売概念も含みうる)のため、複数のOTAすなわちネットエージェントとそれぞれ契約し、これらのネットエージェントに対して自宿泊施設の客室販売を委託しているものとする。ただし、宿泊業者が自らの自社サイトでも客室販売を行う形態も排除しない。
【0025】
また、あるエリアに所在する各宿泊業者は、上述のOTAらのネットエージェントサーバ300それぞれで提供される予約管理機能等について、それらを集約して一括管理するため、PMS事業者と契約しているものとする。
【0026】
一方、ネットエージェントサーバ300を運用する各事業者は、契約先の宿泊施設に対して、ネット上に開設している販売サイトを通じた集客や客室販売、および送客などのサービスを提供する事業者となる。この事業者は、当該サービスの顧客たる宿泊施設各々に関して、その客室販売実績すなわち販売データを例えば一定時間毎に観測し、これを販売データDB325(後述)にて管理している。
【0027】
こうしたネットエージェントサーバ300は、客室販売先である利用者の端末から、宿泊施設(やそのパッケージ商品等)の予約要求を受け付けて、当該宿泊施設に関する予約処理やそれに伴う在庫管理処理を実行する。また、当該予約要求の対象に関する、上述の支払額、予約者の国籍、旅行形態(例:家族連れか一人旅かといった同行者の属性、数)、キャンセル有無、キャンセル時期、といった情報を管理している。
【0028】
また、上述のPMSサーバ400を運用する各事業者は、あるエリアに所在する各宿泊施設(勿論、予め所定の契約を結んでいる)に対して、当該宿泊施設と契約中の上述の各OTAのネットエージェントサーバ300の管理機能を集約した形で提供する事業者となる。
【0029】
この事業者は、当該サービスの顧客たる宿泊施設各々に関して、各OTAでの客室販売実績すなわち販売データを例えば一定時間毎にネットエージェントサーバ300から取得し、これを販売データDB425(後述)にて管理している。
【0030】
また、本実施形態のエリアマーケットデータ管理システム100は、多くの宿泊業者が契約しているネットエージェントのWEBサイトでの、各宿泊業者の客室商品(すなわち宿泊施設)に関する販売実績の情報として、当該客室の客室カテゴリ、プラン内容、販売時期、および販売額(ネットエージェントのWEBサイトでの掲載額)、利用者の各種属性等といった情報を、一定時間毎にPMSサーバ400ないしネットエージェントサーバ300の少なくともいずれかから取得する。ここで得た情報は、当該エリアの宿泊施設における需要情報となる。
【0031】
エリアマーケットデータ管理システム100は、同様に、PMSサーバ400から、PMSサーバ400が集約管理しているネットエージェントサーバ300での管理情報すなわち、各宿泊業者の客室商品(すなわち宿泊施設)に関する販売実績の情報として、当該客室の客室カテゴリ、プラン内容、販売時期、および販売額(ネットエージェントのWEBサイトでの掲載額)、利用者の各種属性等といった情報を、一定時間毎に取得する。
【0032】
また、エリアマーケットデータ管理システム100は、上述のように得た需要情報を、本発明のエリアマーケットデータ管理方法によって処理し、その結果を宿泊施設端末200に通知する。なお、そうした通知は、該当宿泊施設の所在する自治体の自治体システムに対して行ってもよい。
【0033】
また、宿泊施設端末200は、宿泊施設を運営する宿泊業者が運用する端末である。この宿泊施設端末200は、エリアマーケットデータ管理システム100から、所在エリアにおける競合宿泊施設等の予約獲得スピードに関する情報提供を受け、これをディスプレイ等に出力させる端末となる。具体的には、PC、スマートフォン、タブレット端末、などネットワーク通信可能な一般的な情報処理端末を想定する。
【0034】
***各装置のハードウェア構成***
本実施形態のエリアマーケットデータ管理システム100のハードウェア構成は、
図2に示すごとくとなる。エリアマーケットデータ管理システム100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、および、通信装置105、を少なくとも備える。
【0035】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。また、メモリ103は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0036】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0037】
また、通信装置105は、インターネットなどの適宜なネットワーク10と接続し、宿泊施設端末200、ネットエージェントサーバ300、PMSサーバ400といった他装置との通信処理を担う、ネットワークインターフェイスカードを想定できる。
【0038】
なお、エリアマーケットデータ管理システム100は、上述の構成に加え、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付けるキーボードやマウスなどの入力装置、演算装置104での処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置も備えるとしてよい。
【0039】
なお、記憶装置101には、本実施形態のエリアマーケットデータ管理システムとして必要な機能を実装する為のプログラム102において、PMS連携プログラム111を少なくとも具備している。このPMS連携プログラム111は、エリアマーケットデータ管理システム100が、PMSサーバ400にアクセスし、そこで管理している販売データを需要情報として取得するプログラムである。
【0040】
また、記憶装置101は、上述のプログラム102に加えて、需要情報DB125が少なくとも記憶されている。この需要情報DB125の詳細については後述する。
【0041】
一方、本実施形態のネットエージェントサーバ300は、
図3に示すように、記憶装置301、メモリ303、演算装置304、および、通信装置305、を少なくとも備える。このうち記憶装置301は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。また、メモリ303は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0042】
また、演算装置304は、記憶装置301に保持されるプログラム302をメモリ303に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0043】
また、通信装置305は、インターネットなどの適宜なネットワーク10と接続し、宿泊施設端末200、エリアマーケットデータ管理システム100、およびPMSサーバ400といった他装置との通信処理を担う、ネットワークインターフェイスカードを想定できる。
【0044】
なお、ネットエージェントサーバ300は、上述の構成に加え、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付けるキーボードやマウスなどの入力装置、演算装置304での処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置も備えるとしてよい。
【0045】
なお、記憶装置301には、本実施形態のネットエージェントサーバとして必要な機能を実装する為のプログラム302の他に、販売データDB325が少なくとも記憶されている。ただし、販売データDB325の詳細については後述する。
【0046】
また、本実施形態の宿泊施設端末200は、
図4で例示するように、記憶装置401、メモリ403、演算装置404、入力装置405、出力装置406、および、通信装置407、を少なくとも備える。
【0047】
このうち記憶装置401は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。また、メモリ403は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0048】
また、演算装置404は、記憶装置401に保持されるプログラム402をメモリ403に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0049】
また、入力装置405は、ユーザたる宿泊施設の担当者からのキー入力や音声入力を受け付けるキーボードやマウス、マイクなどの装置である。また、出力装置406は、演算装置404での処理データの表示を行うディスプレイやスピーカー等の装置である。
【0050】
また、通信装置407は、インターネットなどの適宜なネットワーク10と接続し、エリアマーケットデータ管理システム100やネットエージェントサーバ300、PMSサーバ400といった他装置との通信処理を担う、ネットワークインターフェイスカードを想定できる。
【0051】
また、本実施形態のPMSサーバ400は、
図5に示すように、記憶装置401、メモリ403、演算装置404、および、通信装置407、を少なくとも備える。
【0052】
このうち記憶装置401は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。また、メモリ403は、RAMなど揮発性記憶素子で構成される。
【0053】
また、演算装置404は、記憶装置401に保持されるプログラム402をメモリ403に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPUである。
【0054】
また、通信装置405は、インターネットなどの適宜なネットワーク10と接続し、エリアマーケットデータ管理システム100や宿泊施設端末200、ネットエージェントサーバ300といった他装置との通信処理を担う、ネットワークインターフェイスカードを想定できる。
【0055】
なお、PMSサーバ400は、上述の構成に加え、ユーザからのキー入力や音声入力を受け付けるキーボードやマウスなどの入力装置、演算装置404での処理データの表示を行うディスプレイ等の出力装置を備えるとしてもよい。
【0056】
***データ構造例***
続いて、本実施形態のエリアマーケットデータ管理システム100が用いるデータベースについて説明する。
図6に、本実施形態における需要情報DB125の一例を示す。
【0057】
需要情報DB125は、所定エリア内の各宿泊施設における客室販売履歴をPMSサーバ400(ないし各ネットエージェントサーバ300)から取得・蓄積したデータベースである。
【0058】
そのデータ構造は、例えば、宿泊施設を一意に特定する施設IDをキーとして、当該宿泊施設の、所在エリア、種類、ランク、客室販売を請け負ったチャネル(OTAの識別情報)、販売日時(予約日時)、泊数、販売価格、利用者、食事、寝具利用、予約キャンセル有無、予約変更先といったデータを対応付けたレコードの集合体である。
【0059】
なお、上述の食事欄の値は、その販売実績が示す客室販売のプランで設定されている食事の有無やその料金を含むものとする。その値が「-」である場合、設定が無かったプランであることを指す。
【0060】
また、利用者欄の値は、その販売実績が示す客室販売のプランを購入した利用者とその総数に関する情報を含むものとする。また、寝具利用欄の値は、利用者それぞれの寝具利用有無の情報を含むものとする。
【0061】
また、予約キャンセル有無の値は、当該販売履歴が示す予約がキャンセルされたか否か示す。また、予約変更先の値は、予約キャンセルの後、当該利用者が同時期に関して新たに予約した宿泊施設を示す(宿泊施設横断的に予約情報を管理しているPMSサーバ400からの情報であるがゆえに、予約変更先が追跡できているとの前提)。
【0062】
なお、ネットエージェントサーバ300が保持する販売データDB325は、上述の需要情報DB125の含むレコードのうち、当該ネットエージェントサーバ300の識別情報が付与されたもののみからなるデータベースである。
【0063】
***フロー例***
以下、本実施形態におけるエリアマーケットデータ管理方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するエリアマーケットデータ管理方法に対応する各種動作は、エリアマーケットデータ管理システム100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0064】
図7は、本実施形態におけるエリアマーケットデータ管理方法のフロー例を示す図である。この場合、エリアマーケットデータ管理システム100は、宿泊施設端末200やPMSサーバ400(あるいはネットエージェントサーバ300)から、例えば予め指定された所定エリアの全宿泊施設に関する各販売データを取得し、これを需要情報として記憶装置101の需要情報DB125に格納する(s10)。
【0065】
続いて、エリアマーケットデータ管理システム100は、上述のs10で得た需要情報DB125における販売データのうち、例えばユーザから指定された宿泊施設Xと、所在エリアVと、ランク(例:三つ星)または施設形態(例:和風旅館)が同じ宿泊施設群Wの販売データを抽出する(s11)。ここで抽出した販売データは、例えば、一週間ごと、或いは一ヶ月毎、などといった所定タイミングごとの予約獲得数、稼働率及びインデックスのいずれかの各値を想定できる。
【0066】
なお、上述のs11の抽出処理に際し、エリアマーケットデータ管理システム100は、需要情報DB125の情報に基づき、宿泊施設Xでの予約キャンセル分のうち、エリアV内の他宿泊施設での予約となったものを判定し、宿泊施設Xの客室販売に影響を与える他宿泊施設Gを特定するとすれば好適である。
【0067】
エリアマーケットデータ管理システム100は、s11で抽出した宿泊施設群Wの販売データのうち、他宿泊施設Gに関するものをさらに抽出し、この販売データに基づいて予約獲得スピードを算定する。こうした対応を行うことで、宿泊施設Xにとって、最も考慮すべき競合宿泊施設を対象として、客室販売単価の設定戦略を検討することが可能となる。
【0068】
なお、エリアマーケットデータ管理システム100は、宿泊需要情報DB125に基づき、宿泊施設Xにおける予約確度を算定し、当該予約確度により、宿泊施設Xにおけるリピーターを特定して、当該リピーターや予約確度の情報を出力するとしてもよい。
【0069】
リピーターや予約確度の情報は、例えば、上述の競合宿泊施設の情報と併せて考慮すれば、客室販売単価の設定戦略をよりシビアに検討すべきか否か、の判断材料になりうる。リピーターが予約キャンセルし、競合宿泊施設に予約替えした、という傾向が見られる場合、客室販売単価の上下動に加えて、宿泊施設のサービスや設備の劣化や不具合などへの対処を考慮すべき、などと判断できる。
【0070】
また、エリアマーケットデータ管理システム100は、s11で得た値に基づいて、上述のエリアVにある宿泊施設群Wに関する予約獲得スピードを算定する(s12)。この予約獲得スピードの算定は、例えば、宿泊施設群Wが含む各宿泊施設に関して、単位期間(例:1週間、1ヶ月、或いは1日など)に獲得できた予約数の数をカウントし、これを宿泊施設間で平均した値(例:30室/日)を予約獲得スピードとする。或いは、単位期間中の稼働率やインデックスの上昇率(例:10%/週)を、予約獲得スピードとする。こうした予約獲得スピードの算定は、上述の宿泊施設Xについても同様に行うものとする。
【0071】
続いて、エリアマーケットデータ管理システム100は、上述の宿泊施設Xと、所在エリアVの宿泊施設群Wとの間で、予約獲得スピードを比較し、宿泊施設群Wにおける予約獲得スピード(の平均値)が、宿泊施設Xにおける予約獲得スピードよりも早いか判定する(s13)。
【0072】
上述の判定の結果、宿泊施設群Wにおける予約獲得スピード(の平均値)が、宿泊施設Xにおける予約獲得スピードよりも早くない場合(s13:N)、エリアマーケットデータ管理システム100は、所定のメッセージ(
図8の画面800参照)を宿泊施設Xの宿泊施設端末200に出力して(s14)処理を終了する。
【0073】
他方、宿泊施設群Wにおける予約獲得スピード(の平均値)が、宿泊施設Xにおける予約獲得スピードよりも早い場合(s13:Y)、エリアマーケットデータ管理システム100は、宿泊施設Xにおける客室販売単価のアップを示唆する情報(
図9の画面900参照)を、上述の宿泊施設Xの宿泊施設端末200に出力し(s15)、処理を終了する。
【0074】
宿泊施設Xの担当者は、この客室販売単価のアップを示唆する情報を閲覧し、自社の宿泊施設Xが無意味な安売り状態に陥っている(或いは陥りかけている)ことを認識し、客室販売単価のアップに関して必要な手続を実行することになる。
【0075】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
こうした本実施形態によれば、エリア全体での各宿泊施設の売上最大化を効率的に図ることができる。
【符号の説明】
【0076】
10 ネットワーク
100 エリアマーケットデータ管理システム
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 通信装置
111 PMS連携プログラム
125 需要情報DB
200 宿泊施設端末
201 記憶装置
202 プログラム
203 メモリ
204 演算装置
205 入力装置
206 出力装置
207 通信装置
300 ネットエージェントサーバ
301 記憶装置
302 プログラム
303 メモリ
304 演算装置
305 通信装置
325 販売データDB
400 PMSサーバ
401 記憶装置
402 プログラム
403 メモリ
404 演算装置
405 通信装置
425 販売データDB
500 自治体システム