(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069982
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】露光方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021203746
(22)【出願日】2021-11-05
(71)【出願人】
【識別番号】000181538
【氏名又は名称】篠原 康子
(72)【発明者】
【氏名】篠原 克彦
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA12
2H197DB27
2H197DB28
2H197HA03
2H197JA12
(57)【要約】
【課題】安価で集積度が高い回路を製作する露光方法。
【解決手段】フオトレジスを保護するカバーをフオトレジストにかけ、フオトレジストとカバーの間隙を固体で埋めて、フオトレジストの垂直方向、水平方向の圧力によるフオトレジストの変形が生じ難く、カつフオトレジストと固体の相互作用のしみ出しを少なくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホトレジストとそのカバーの間に固体を満たして露光する露光方法。
【請求項2】
ホトレジストのカバーの外から液浸露光する請求項1記載の露光方法。
【請求項3】
ホトレジストのカバーとしてグラフェン又はグラファイトを使用し、その上にマスクを密着して露光する請求項1記載の露光方法。
【請求項4】
マスクの回路パターンにグラフェン又はグラファイトのカバーをかけて露光する請求項3記載の露光方法。
【請求項5】
グラフェン又はグラファイト間に回路パターンを挟んでできたマスクを密着して露光する請求項3記載の露光方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は集積回路を製造する露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路を高密度化すれば、高精能となるため、今まで高密度化の努力が続けられてきた。
【0003】
そこで集積回路の製作の要である露光について安価でランニングコストが安く微細パターンを得る露光方法が求められていた。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-184051
【非特許文献1】日経XTECH プロセス製造技術総覧 出典:2006年2~11月号 日経マイクロデバイス
【非特許文献2】2-メチル-2-プロパノール Wikipedia
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液浸露光は水を使用し高度に進化したが、水よりも高光屈折率の液体を使用時、使用している液体にフオトレジストの微粒子の混入、フオトレジスト成分のしみ出し、又使用している液体の露光光による分解等の問題があった。
【0006】
高密度回路パターン結像には、短波長光源と高精度光学系が必要であり、非常に高額で又高輝度短波長の光源が必要にて、ランニングコストも増大していた。
【0007】
本発明露光方法は、この様な従来の問題を解決しようとするものであり、高密度回路パターンを安価の装置で又ランニングコストも安い露光方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして本発明方法は、上記目的を達成するために、フオトレジストにカバーをかけ、フオトレジストとそのカバーを密着しその間のわずかな空間を液体で満たし、その液体を冷却して固体化して露光している。
【本発明の効果】
【0009】
本発明露光方法は、上記のような方法をとっているので、フオトレジストとそのカバーとの間のわずかな空間を固体化した物質で埋めていて、カバーに垂直方向又水平方向にかかる圧力によるフオトレジスト変形、又温度変化による微小気体の発生を防いでいる。
【0010】
又フオトレジストとそのカバーとの間隙を液体を固体化して埋めているので、その固体にフオトレジストからのしみ出しや、反対に固体からフオトレジストへのしみ込みもほとんどない。そのため高屈折率のアルコールや油の使用が可能となった。
【0011】
フオトレジストのカバー上にて液浸露光することで、光の高屈折率の油系を使用しても、フオトレジストからの微細分離物が混入しない効果がある。
【0012】
フオトレジストのカバーとしてグラフェン又はグラファイトを使用して密着露光すると、フオトレジスが剥れる心配もない。
【0013】
この時、マスクの回路パターンにグラフェン又はグラファイトのカバーをかけるとマスクの回路パターンの保護や微粒子の付着の心配がなくなる。
【0014】
又グラフェン又グラファイト間に回路を挟んだマスクを使用すると、マスクが立体構造となり、マスクの前後方向、平面方向の振動が少なくなり又マスクの残留応力もほとんどなく、又マスクの回路パターンを有するグラフェン又はグラファイトをフオトレジスト方向に凸に電気力で張り出させると、フオトレジストを均一で極めて弱い圧力にてマスクに密着することができ、かつマスクの回路パターンを拡大、縮小してフオトレジスと位置合せができ、EUV光源による露光が可能となる。
【0015】
EUV露光時、フオトレジストとそのカバーであるグラフェン又はグラファイト間に水を満たし、氷とすることで、氷の微粒子が飛散しても周囲が真空であるので、直に昇華して消滅してしまう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】フオトレジスのカバーとマスクの回路パターンにグラフェン又はグラファイトを使用した本発明露光方法の密着露光説明図
【実施例0017】
フオトレジストとそのカバーの間隙を非特許文献2に示されている融点25.69℃沸点82.4℃の2-メチル-2-プロパノールの液体で埋め、直に融点以下に冷却し露光すると、液体の時にはフオトレジストのカバーに圧力がかかると、液体の移動によりフオトレジストの変形が生じるが、固体だとフオトレジストに均一に圧力がかかり、変形が少ない。
【0018】
又固体であると、フオトレジストの成分が浸入しずらく、温度変化により生じる気泡も成長して大きくならない。
【0019】
液浸露光に使用すると、フオトレジストとそのカバーである石英ガラス板との間隙は非常に狭く、ほぼ石英ガラスの光屈折率の物質で満たしているのと同じ効果がある。
【0020】
フオトレジストのカバーガラスと対物レンズの間を油浸光学顕微鏡で使用している融点-37℃、沸点154℃のアニソールを使用すると、全体で石英ガラスとほぼ同じ光屈折率の液体を使用した液浸露光が得られる。
【0021】
露光が終って、フオトレジストからカバーを外す時は、2-メチル-2-プロパノールの沸点82.4℃以上に熱して、2-メチル-2-プロパノールを気化してその蒸気圧で、フオトレジストからそのカバーを外すと、フオトレジストの剥れがなく、形成された回路パターンを障害しない。
【0022】
密着露光時、フオトレジストのカバーとしてグラフェン又はグラファイトを使用しマスクの石英ガラス又は蛍石の基板に作った回路パターンを直接密着するか又マスクの回路パターンをグラフェン又はグラファイトで覆ってカバーとし、このカバーとフオトレジストのカバーであるグラフェン又はグラファイトと密着し位置合わせ時も密着したままで実施する。こうすることで微粒子の発生も少ない。マスクにかけたグラフェン又グラファイトのカバーとマスク本体は静電力によって密着さしている。
【0023】
EUV光にて露光するには、
図1に示す様に、フオトレジスト1にグラフェン又はグラファイトのカバー2をかけ、その間隙を氷でできた固体3で埋め2枚のグラフェン又はグラファイト4で挾んだ回路パターン5でできたマスク6を外枠7に取りつけ、カバー2に密着して露光する。この時2枚のグラフェン又はグラファイト4間に静電力を働かせて回路パターン5を保持している。
【0024】
外枠7の内側に設置した電極8とグラフェン又はグラファイト製のマスク6に反発する静電位をかけ、マスク6をほんの少し外側に膨らましてフオトレジストのカバー2と密着さすと、マスク6を均一で非常に小さい圧力にて密着することが可能となり、又マスク6の外側に膨らます程度を加減することによりウエハーの反り等による歪による位置合せ時の補正も可能となっている。
【0025】
密着露光であるのでEUV光の反射光学系が必要なく、弱いEUV光源で露光でき、かつ波長の選択性はなくより短波長のEUV光が使用可能となり、より微細パターンが得られる。
【0026】
フオレジスト1は氷でできた固体3で覆われているので、フオトレジスト1からのアウトガスも外部に漏れず、マスク6の内部は外部としや断されているので汚染もない。又マスク6はナノインプラント法にて予備品が多数用意でき交換して洗争できる。
【0027】
露光時に照射光により発生した熱も、グラフェン又はグラファイト4の熱伝導率が良いので、直ちにフオトレジスト1側に逃げて温度上昇も少ない。
【0028】
フオトレジスト1のカバー2であるグラフェン又はグラファイト4を各電気的に結合さすと、静電チャツクでウエハを吸着した時、グラフェン又はグラファイト4が導体であるので、固体3に強く吸着される。この時グラフェン又はグラファイト4と固体3の間隙は極めて小さいので、分子間力が働き強く吸着され、マスク6のグラフェン又はグラファイト4とカバー2のグラフェン又はグラファイト4を軽く密着して位置合わせを行っても、カバー2は剥れない。