(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023069993
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びデータ処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20230511BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023725
(22)【出願日】2022-02-18
(62)【分割の表示】P 2021566203の分割
【原出願日】2021-11-08
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】電子インボイスネットワーク上を伝送される証憑データが改ざんされていないことを確認できるようにする。
【解決手段】発行側会計処理装置3、発行側中継装置4、受領側中継装置5及び受領側会計処理装置6それぞれが受信した証憑データの証憑識別情報と、証憑データのハッシュ値と、を関連付けた送受信通知を取得する取得部131と、同一の証憑識別情報に関連付けられた、ハッシュ値が一致するかを判定する判定部132と、判定部132による判定結果に基づく通知情報を出力する出力部133と、を有するデータ処理装置1である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
証憑の電子データを発行する発行側会計処理装置、前記発行側会計処理装置から受信した前記電子データを中継する発行側中継装置、前記発行側中継装置から受信した前記電子データを中継する受領側中継装置、及び前記受領側中継装置から前記電子データを受領する受領側会計処理装置と通信可能に接続されたデータ処理装置であって、
前記発行側会計処理装置が送信した証憑の電子データである第1証憑データを識別する証憑識別情報と、前記第1証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第1送受信通知を取得し、前記発行側中継装置が前記受領側中継装置へ中継した証憑の電子データである第2証憑データの証憑識別情報と、前記第2証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第2送受信通知を取得し、前記受領側中継装置が前記受領側会計処理装置へ中継した証憑の電子データである第3証憑データの証憑識別情報と、前記第3証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第3送受信通知を取得し、前記受領側会計処理装置が受信した証憑の電子データである第4証憑データの証憑識別情報と、前記第4証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第4送受信通知を取得する取得部と、
同一の前記証憑識別情報に関連付けられた、前記第1送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第2送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第3送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第4送受信通知に含まれる前記ハッシュ値とが一致するかを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づく通知情報を出力する出力部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致する場合に、前記証憑識別情報に対応する証憑データに改ざんがないことを示す前記通知情報を送金指示サーバに送信する、
請求項1に記載するデータ処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致する場合に、前記証憑識別情報に関連付けられた証憑データに改ざんがないことを示す前記通知情報を前記受領側会計処理装置に送信する、
請求項1又は2に記載するデータ処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記第1送受信通知、前記第2送受信通知又は前記第3送受信通知に含まれる前記証憑データの送信先を識別する送信先識別情報に基づいて前記受領側会計処理装置を特定し、特定した前記受領側会計処理装置に前記通知情報を送信する、
請求項3に記載するデータ処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致する場合に、前記証憑識別情報に関連付けられた証憑データが前記受領側会計処理装置に到達したことを示す前記通知情報を前記発行側会計処理装置に送信する、
請求項1から4のいずれか1項に記載するデータ処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致しない場合に、前記発行側会計処理装置又は前記受領側会計処理装置に警告情報を送信する、
請求項1から5のいずれか1項に記載するデータ処理装置。
【請求項7】
前記第4証憑データが改ざんされていないかを確認する要求を会計処理装置又は送金指示サーバから受信する受信部をさらに有し、
前記出力部は、前記要求を受けたことに応じて前記通知情報を、前記要求を送信した前記会計処理装置又は送金指示サーバに送信する、
請求項1に記載するデータ処理装置。
【請求項8】
証憑の電子データを発行する発行側会計処理装置、前記発行側会計処理装置から受信した前記電子データを中継する発行側中継装置、前記発行側中継装置から受信した前記電子データを中継する受領側中継装置、及び前記受領側中継装置から前記電子データを受領する受領側会計処理装置と通信可能に接続されたデータ処理装置が実行する、
前記発行側会計処理装置が送信した証憑の電子データである第1証憑データを識別する証憑識別情報と、前記第1証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第1送受信通知を取得し、前記発行側中継装置が前記受領側中継装置へ中継した証憑の電子データである第2証憑データの証憑識別情報と、前記第2証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第2送受信通知を取得し、前記受領側中継装置が前記受領側会計処理装置へ中継した証憑の電子データである第3証憑データの証憑識別情報と、前記第3証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第3送受信通知を取得し、前記受領側会計処理装置が受信した証憑の電子データである第4証憑データの証憑識別情報と、前記第4証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第4送受信通知を取得するステップと、
同一の前記証憑識別情報に関連付けられた、前記第1送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第2送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第3送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第4送受信通知に含まれる前記ハッシュ値とが一致するかを判定するステップと、
前記判定するステップにおける判定結果に基づく通知情報を出力するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項9】
証憑の電子データを発行する発行側会計処理装置、前記発行側会計処理装置から受信した前記電子データを中継する発行側中継装置、前記発行側中継装置から受信した前記電子データを中継する受領側中継装置、及び前記受領側中継装置から前記電子データを受領する受領側会計処理装置と通信可能に接続されたデータ処理装置と、送金処理を行う送金処理サーバに送金の指示をする送金指示サーバと、を有するデータ処理システムであって、
前記データ処理装置は、
前記発行側会計処理装置が送信した証憑の電子データである第1証憑データを識別する証憑識別情報と、前記第1証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第1送受信通知を取得し、前記発行側中継装置が前記受領側中継装置へ中継した証憑の電子データである第2証憑データの証憑識別情報と、前記第2証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第2送受信通知を取得し、前記受領側中継装置が前記受領側会計処理装置へ中継した証憑の電子データである第3証憑データの証憑識別情報と、前記第3証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第3送受信通知を取得し、前記受領側会計処理装置が受信した証憑の電子データである第4証憑データの証憑識別情報と、前記第4証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第4送受信通知を取得する取得部と、
同一の前記証憑識別情報に関連付けられた、前記第1送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第2送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第3送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第4送受信通知に含まれる前記ハッシュ値とが一致するかを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づく通知情報を前記送金指示サーバへ出力する出力部と、を有し、
前記送金指示サーバは、
証憑についての支払の依頼を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた支払の依頼において特定された前記証憑識別情報に関連付けられた前記通知情報を受信している場合、前記証憑識別情報に対応する証憑についての送金を指示する送金指示を、前記送金処理サーバに送信する送信部と、を有する、
データ処理システム。
【請求項10】
前記受付部は、受領側事業者が支払期日より前に設定された所定の期間に支払うことに受諾することを示す早期支払通知を、支払の対象となる証憑データを特定する証憑識別情報と関連付けてさらに受信し、
前記送信部は、該証憑識別情報に関連付けられた前記通知情報を受信している場合、前記証憑データに含まれる請求額より割り引かれた金額を送金する送金指示を、前記送金処理サーバに送信する、
請求項9に記載するデータ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法及びデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求書をオンラインで送受信する請求書管理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、受発注や請求にかかる電子文書をネットワーク上でやり取りするための標準化が進められている。我が国においても、電子インボイスの新たな標準仕様であるPEPPOL(Pan-European Public Procurement Online)に準拠させることが発表されている。
【0005】
ところで、このような証憑を電子化した電子データである証憑データをネットワーク上でやり取りする電子インボイスネットワークにおいては、発行された証憑が中継装置を経由して受信側に到達する。そのため証憑が中継される経路において改ざんされるという問題が起こりうる。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電子インボイスネットワーク上を伝送される証憑データが改ざんされていないことを確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様のデータ処理装置においては、証憑の電子データを発行する発行側会計処理装置、前記発行側会計処理装置から受信した前記電子データを中継する発行側中継装置、前記発行側中継装置から受信した前記電子データを中継する受領側中継装置、及び前記受領側中継装置から前記電子データを受領する受領側会計処理装置と通信可能に接続されたデータ処理装置であって、前記発行側会計処理装置が送信した証憑の電子データである第1証憑データを識別する証憑識別情報と、前記第1証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第1送受信通知を取得し、前記発行側中継装置が前記受領側中継装置へ中継した証憑の電子データである第2証憑データの証憑識別情報と、前記第2証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第2送受信通知を取得し、前記受領側中継装置が前記受領側会計処理装置へ中継した証憑の電子データである第3証憑データの証憑識別情報と、前記第3証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第3送受信通知を取得し、前記受領側会計処理装置が受信した証憑の電子データである第4証憑データの証憑識別情報と、前記第4証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第4送受信通知を取得する取得部と、同一の前記証憑識別情報に関連付けられた、前記第1送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第2送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第3送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第4送受信通知に含まれる前記ハッシュ値とが一致するかを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づく通知情報を出力する出力部と、を有する。
【0008】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致する場合に、前記証憑識別情報に対応する証憑データに改ざんがないことを示す前記通知情報を送金指示サーバに送信してもよい。
【0009】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致する場合に、前記証憑識別情報に関連付けられた証憑データに改ざんがないことを示す前記通知情報を前記受領側会計処理装置に送信してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記第1送受信通知、前記第2送受信通知又は前記第3送受信通知に含まれる前記証憑データの送信先を識別する送信先識別情報に基づいて前記受領側会計処理装置を特定し、特定した前記受領側会計処理装置に前記通知情報を送信してもよい。
【0011】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致する場合に、前記証憑識別情報に関連付けられた証憑データが前記受領側会計処理装置に到達したことを示す前記通知情報を前記発行側会計処理装置に送信してもよい。
【0012】
前記出力部は、同一の前記証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれる前記ハッシュ値が一致しない場合に、前記発行側会計処理装置又は前記受領側会計処理装置に警告情報を送信してもよい。
【0013】
前記第4証憑データが改ざんされていないかを確認する要求を会計処理装置又は送金指示サーバから受信する受信部をさらに有し、前記出力部は、前記要求を受けたことに応じて前記通知情報を、前記要求を送信した前記会計処理装置又は送金指示サーバに送信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様のデータ処理方法においては、証憑の電子データを発行する発行側会計処理装置、前記発行側会計処理装置から受信した前記電子データを中継する発行側中継装置、前記発行側中継装置から受信した前記電子データを中継する受領側中継装置、及び前記受領側中継装置から前記電子データを受領する受領側会計処理装置と通信可能に接続されたデータ処理装置が実行する、前記発行側会計処理装置が送信した証憑の電子データである第1証憑データを識別する証憑識別情報と、前記第1証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第1送受信通知を取得し、前記発行側中継装置が前記受領側中継装置へ中継した証憑の電子データである第2証憑データの証憑識別情報と、前記第2証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第2送受信通知を取得し、前記受領側中継装置が前記受領側会計処理装置へ中継した証憑の電子データである第3証憑データの証憑識別情報と、前記第3証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第3送受信通知を取得し、前記受領側会計処理装置が受信した証憑の電子データである第4証憑データの証憑識別情報と、前記第4証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第4送受信通知を取得するステップと、同一の前記証憑識別情報に関連付けられた、前記第1送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第2送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第3送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第4送受信通知に含まれる前記ハッシュ値とが一致するかを判定するステップと、前記判定するステップにおける判定結果に基づく通知情報を出力するステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様のデータ処理システムにおいては、証憑の電子データを発行する発行側会計処理装置、前記発行側会計処理装置から受信した前記電子データを中継する発行側中継装置、前記発行側中継装置から受信した前記電子データを中継する受領側中継装置、及び前記受領側中継装置から前記電子データを受領する受領側会計処理装置と通信可能に接続されたデータ処理装置と、送金処理を行う送金処理サーバに送金の指示をする送金指示サーバと、を有するデータ処理システムであって、前記データ処理装置は、前記発行側会計処理装置が送信した証憑の電子データである第1証憑データを識別する証憑識別情報と、前記第1証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第1送受信通知を取得し、前記発行側中継装置が前記受領側中継装置へ中継した証憑の電子データである第2証憑データの証憑識別情報と、前記第2証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第2送受信通知を取得し、前記受領側中継装置が前記受領側会計処理装置へ中継した証憑の電子データである第3証憑データの証憑識別情報と、前記第3証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第3送受信通知を取得し、前記受領側会計処理装置が受信した証憑の電子データである第4証憑データの証憑識別情報と、前記第4証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第4送受信通知を取得する取得部と、同一の前記証憑識別情報に関連付けられた、前記第1送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第2送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第3送受信通知に含まれる前記ハッシュ値と前記第4送受信通知に含まれる前記ハッシュ値とが一致するかを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づく通知情報を前記送金指示サーバへ出力する出力部と、を有し、前記送金指示サーバは、証憑についての支払の依頼を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた支払の依頼において特定された前記証憑識別情報に関連付けられた前記通知情報を受信している場合、前記証憑識別情報に対応する証憑についての送金を指示する送金指示を、前記送金処理サーバに送信する送信部と、を有する。
【0016】
前記受付部は、受領側事業者が支払期日より前に設定された所定の期間に支払うことに受諾することを示す早期支払通知を、支払の対象となる証憑データを特定する証憑識別情報と関連付けてさらに受信し、前記送信部は、該証憑識別情報に関連付けられた前記通知情報を受信している場合、前記証憑データに含まれる請求額より割り引かれた金額を送金する送金指示を、前記送金処理サーバに送信してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子インボイスネットワーク上を伝送される証憑データが改ざんされていないことを確認できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】データ処理システムSの概要を説明する図である。
【
図2】データ処理システムSにおいて早期支払割引による支払いの流れを説明する図である。
【
図3】データ処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図4】記憶部12が記憶する送受信記録データのデータ構造を示す図である。
【
図5】データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】送金指示サーバ2の構成を示すブロック図である。
【
図7】変形例1にかかるデータ処理システムSAの概要を説明する図である。
【
図8】変形例2にかかるデータ処理システムSBの概要を説明する図である。
【
図9】変形例2にかかるデータ処理装置1Bの構成を示すブロック図である。
【
図10】データ処理装置1Bにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】データ処理装置1Bにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第2の実施形態にかかるデータ処理システムSCにおけるハッシュ値の生成の概要を説明する図である。
【
図13】第2の実施形態にかかるデータ処理装置1Cにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
[データ処理装置1の概要]
図1は、データ処理システムSの概要を説明する図である。データ処理システムSは、電子インボイスネットワークNに参加する利用者同士で証憑データをオンラインで授受し、受領した証憑データを処理し、受領した証憑データに基づいて支払を行うためのシステムである。電子インボイスネットワークNは、例えばPEPPOLの仕様に準拠した証憑データを授受するためのネットワークである。電子インボイスネットワークNは、インターネット又はイントラネット等、他のネットワークを含んでもよい。
【0020】
データ処理システムSは、データ処理装置1、送金指示サーバ2、発行側会計処理装置3、発行側中継装置4、受領側中継装置5、受領側会計処理装置6及び送金処理サーバ7を有する。
【0021】
ところで、証憑データを受領した事業者は、インボイスネットワークNを経由して受領した証憑データが、インボイスネットワークNを経由して到達していること及び経路上で改ざんを受けていないことを確認し、安全に取引を行いたい。そこで、データ処理システムSにおいては、データ処理装置1が、証憑を発行する発行側会計処理装置3、証憑を中継する発行側中継装置4及び受領側中継装置5並びに証憑を受領する受領側会計処理装置6が発行、中継又は受領した証憑データが同一であることを判定する。そして、中継された証憑データが同一であるか否かの判定結果に基づいて支払処理を行うことで、インボイスネットワークNに参加する利用者同士が、安全に取引することができる。
【0022】
データ処理装置1は、インボイスネットワークNに参加するそれぞれの装置が送信又は受信する証憑データの内容が同一であるかを判定するための装置である。データ処理装置1は、例えばサーバである。
【0023】
送金指示サーバ2は、送金処理サーバ7に支払処理を依頼するサーバである。送金指示サーバ2は、証憑データを受領した受領側会計処理装置6から支払の指図を受け付ける。そして、送金指示サーバ2は、データ処理装置1が受領した証憑データの内容が同一と判定している場合に、送金処理サーバ7に支払処理を依頼する。なお、送金指示サーバ2は、受領側会計処理装置6と一体に構成されてもよい。また、送金指示サーバ2はデータ処理装置1の一部として構成されてもよい。送金処理サーバ7は、例えば金融機関が提供するサーバであり、支払処理を行うためのサーバである。
【0024】
発行側会計処理装置3は、証憑を発行する装置である。発行側会計処理装置3は、発行した証憑の証憑データを発行側中継装置4に送信する。発行側会計処理装置3は、例えば、サーバやパーソナルコンピュータである。
【0025】
発行側中継装置4は、発行側会計処理装置3が送信した証憑データを、証憑の宛先の事業者が利用する受領側会計処理装置6と通信可能に接続された受領側中継装置5へ送信する装置である。受領側中継装置5は、発行側中継装置4と同等の機能を有する装置である。受領側中継装置5は、発行側中継装置4から受信した証憑データを受領側会計処理装置6に送信する。発行側中継装置4及び。受領側中継装置5は、例えばPEPPOL AP(Access Point)の機能を持つサーバである。
【0026】
受領側会計処理装置6は、証憑データを受領する装置である。受領側会計処理装置6は、受領した証憑の支払指図を送金指示サーバに送信する。受領側会計処理装置6は受領した証憑データに基づいて仕訳処理等の会計処理を行うよう構成されてもよい。
【0027】
データ処理システムSにおける処理の概要について説明する。発行側会計処理装置3は、証憑データを発行側中継装置4に送信する(
図1における(1))。発行側会計処理装置3は、証憑データを送信又は受信したことを示す送受信通知をデータ処理装置1に送信する(
図1における(2))。送受信通知は、送信又は受信した証憑データを識別する証憑識別情報と当該証憑データのハッシュ値とを含む。
【0028】
発行側中継装置4は、発行側会計処理装置3から受信した証憑データを受領側中継装置5に送信する(
図1における(3))。発行側中継装置4は、送受信通知をデータ処理装置1に送信する(
図1における(4))。
【0029】
受領側中継装置5は、発行側中継装置4から受信した証憑データを受領側会計処理装置6に送信する(
図1における(5))。受領側中継装置5は、送受信通知をデータ処理装置1に送信する(
図1における(6))。そして、受領側会計処理装置6は、証憑データを受信すると、送受信通知をデータ処理装置1に送信する(
図1における(7))。
【0030】
データ処理装置1は、証憑データが通過したことを判定する(
図1における(8))。具体的には、データ処理装置1は、同一の証憑識別情報に関連付けて発行側会計処理装置3、発行側中継装置4、受領側中継装置5及び受領側会計処理装置6から取得した送受信通知に含まれるハッシュ値を比較する。そして、同一の証憑識別情報を含む4つの送受信通知に含まれるハッシュ値が同一である場合、データ処理装置1は、証憑データが改ざんされることなくインボイスネットワークNを通過したと判定する。データ処理装置1は、通知情報を送金指示サーバ2に送信する(
図1における(9))。なお、通知情報には、証憑識別情報が含まれる。
【0031】
受領側会計処理装置6は、受領した証憑についての送金指図を送金指示サーバ2に送信する(
図1における(10))。送金指図は送金を依頼するメッセージである。送金指示サーバ2は、送金指図に含まれる証憑識別情報を含む、証憑データが通過したことを示す通知情報をデータ処理装置1から受信している場合、送金指示を送金処理サーバ7に送信する(
図1における(11))。送金指示サーバ2は、送金指図に含まれる証憑識別情報を含む、証憑データが通過したことを示す通知情報をデータ処理装置1から受信していない場合、受領側会計処理装置6にエラーメッセージを送信してもよい。
【0032】
データ処理システムSがこのように構成されることで、発行側会計処理装置3が発行した証憑がインボイスネットワークNを通過する過程で改ざんを受けずに、受領側会計処理装置6に到達したことを保証することができる。その結果、インボイスネットワークNに参加する利用者同士が、安全に取引することができる。
【0033】
一例として、データ処理システムSにおいては、証憑データがインボイスネットワークNを通過したことを条件として早期支払割引による支払を許可してもよい。早期支払割引は、支払期日より前に設定された所定の期間に支払うことで請求額を割り引く取引である。
【0034】
図2は、データ処理システムSにおいて早期支払割引による支払いの流れを説明する図である。
図2は、証憑データが受領側会計処理装置6に到達しており、データ処理装置1は、それぞれの装置から送受信通知を受信済みである(
図1における(1)~(8))ことを前提としている。
【0035】
データ処理装置1は、通知情報を送金指示サーバ2に送信する(
図2における(1))。発行側会計処理装置3は早期割引通知を送金指示サーバ2に送信する(
図2における(2))。早期割引通知は、早期支払割引に対応可能な証憑であることを示すメッセージである。早期割引通知は、証憑識別情報及び割引条件を含む。割引条件は、支払時期と適用される割引率の関係を示す情報である。発行側会計処理装置3は、早期割引通知を受領側会計処理装置6に送信する(
図2における(3))。なお、発行側会計処理装置3は、証憑データを送信する際に早期割引通知を送信してもよい。
【0036】
証憑データを受領する受領側事業者のユーザは、受領側会計処理装置6を操作し、支払日を指定し、早期支払いを受諾する操作を行う。受領側会計処理装置6は、指定された支払日と、早期割引通知に含まれる割引条件と、証憑データに含まれる請求金額と、から支払額を算定する。受領側会計処理装置6は、送金指示サーバ2に早期支払通知を送信する(
図2における(4))。早期支払通知は受領側事業者が早期支払いを受諾することを示すメッセージである。早期支払通知は、ユーザが指定した支払日及び算定された支払額を含む。送金指示サーバ2は、証憑データがインボイスネットワークNを通過したと判定したことを示す通知情報をデータ処理装置1から受信している場合、早期支払通知に示された支払額を送金する送金指示を送金処理サーバ7に送信する(
図2における(5))。
【0037】
[データ処理装置1の構成]
図3は、データ処理装置1の構成を示すブロック図である。データ処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、取得部131、判定部132及び出力部133を有する。
【0038】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置と通信するための通信インターフェースである。記憶部12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶媒体である。記憶部12は、制御部13を機能させるための各種のプログラムを記憶する。
【0039】
図4は、記憶部12が記憶する送受信記録データのデータ構造を示す図である。送受信記録データは、データ処理装置1が同一の証憑識別情報に関連付けて受信した送受信通知を記録したテーブルである。
【0040】
送受信記録データは、証憑ID(Identification)、第1送受信通知、第2送受信通知、第3送受信通知及び第4送受信通知を含む。第1送受信通知、第2送受信通知、第3送受信通知及び第4送受信通知はそれぞれ、発行側会計処理装置3、発行側中継装置4、受領側中継装置5、受領側会計処理装置6から受信した送受信通知である。それぞれの送受信通知は、送受信通知を送信した装置の装置IDと当該送受信通知に含まれる証憑データのハッシュ値を含む。なお、証憑IDは証憑識別情報の一例であり、証憑データを識別する識別情報である。証憑IDは例えば、証憑番号である。
【0041】
図4に示す送受信記録データにおいては、証憑ID「T001」及び「T002」の証憑データについては、4つの送受信通知を受信したことが記憶されている。証憑ID「T003」の証憑データについては、第1送受信通知、第3送受信通知及び第4送受信通知が受信済みであり、第2送受信通知が未受信であることが記憶されている。また、証憑ID「T004」の証憑データについては、第1送受信通知が受信済みで、第2送受信通知、第3送受信通知及び第4送受信通知が未受信であることが記憶されている。
【0042】
送受信記録データは、証憑IDに関連付けて発行元ID及び宛先IDをさらに記憶してもよい。発行元IDは、証憑を発行した事業者を識別する事業者IDである。宛先IDは証憑を受領する事業者を識別する事業者IDである。記憶部12は事業者IDと当該事業者が使用する会計処理装置とを対応付けて記憶してもよい。記憶部12は事業者IDと当該事業者が使用する送金指示サーバとを対応付けて記憶してもよい。
【0043】
図3に戻り、制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行することにより、取得部131、判定部132及び出力部133として機能する。
【0044】
取得部131は、発行側会計処理装置3、受領側会計処理装置6、発行側中継装置4又は受領側中継装置5から送信又は受領した証憑データの証憑識別情報と証憑データのハッシュ値とを関連付けた送受信通知を取得する。証憑識別情報は会計処理装置を利用する企業の企業IDと該企業が発行する証憑の証憑IDとを組み合わせて生成された情報であってもよい。
【0045】
取得部131は、発行側会計処理装置3が送信した証憑の電子データである第1証憑データを識別する証憑識別情報と、第1証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第1送受信通知を取得する。また、取得部131は、発行側中継装置4が受領側中継装置5へ中継した証憑の電子データである第2証憑データの証憑識別情報と、第2証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第2送受信通知を取得する。また、取得部131は、受領側中継装置5が受領側会計処理装置6へ中継した証憑の電子データである第3証憑データの証憑識別情報と、第3証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第3送受信通知を取得する。さらに、取得部131は、受領側会計処理装置6が受信した証憑の電子データである第4証憑データの証憑識別情報と、第4証憑データのハッシュ値と、を関連付けた第4送受信通知を取得する。
【0046】
判定部132は、同一の証憑識別情報に関連付けられた、第1送受信通知に含まれるハッシュ値と第2送受信通知に含まれるハッシュ値と第3送受信通知に含まれるハッシュ値と第4送受信通知に含まれるハッシュ値とが一致するかを判定する。一例として、判定部132は、送受信通知を受信すると、記憶部12が記憶する送受信記録データを参照し、受信した送受信通知に含まれる証憑識別情報と関連付けられた他の送受信通知に含まれるハッシュ値を取得する。そして、判定部132は、受信した送受信通知に含まれるハッシュ値と記憶部12から取得した他の送受信通知に含まれるハッシュ値とを比較する。判定部132は、ハッシュ値が一致する場合に、取得した送受信通知を送受信記録データに記憶させる。また、ハッシュ値が一致しない場合、出力部133は、警告情報を出力してもよい。
【0047】
判定部132は、受信した送受信通知に証憑識別情報に対応する送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されているかを判定する。所定の数は、証憑データが伝送される過程で経由する装置の数に基づいて定められる。所定の数は、例えば4である。そして、判定部132は、所定の数の送受信通知が記憶されている場合、当該証憑識別情報に対応する証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したと判定する。
【0048】
出力部133は、判定部132による判定結果に基づく通知情報を出力する。一例として、出力部133は、同一の証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれるハッシュ値が一致する場合に、証憑識別情報に対応する証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を送金指示サーバ2に送信する。出力部133は、証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したと判定した場合、通知情報を送信する送金指示サーバを特定する。一例として、記憶部12が記憶する送受信記録データに含まれる宛先IDに対応する送金指示サーバ2を特定する。そして、出力部133は、証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を特定した送金指示サーバ2に送信する。
【0049】
出力部133は、同一の証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれるハッシュ値が一致しない場合に、発行側会計処理装置3又は受領側会計処理装置6に警告情報を送信する。出力部133は、判定部132が受領した送受信通知のハッシュ値が一致しないと判定した場合、記憶部12に記憶されている送受信記録データを参照し、発行側会計処理装置3又は受領側会計処理装置6を特定する。そして、出力部133は、ハッシュ値が一致しないことを示す警告情報を特定した発行側会計処理装置3又は受領側会計処理装置6に送信する。
【0050】
データ処理装置1がこのように構成されることで、証憑データに問題があることを通知することができる。この結果、発行側会計処理装置3においては、証憑を発行した事業者のユーザが、別の方法で証憑データを送信するよう対応することができる。また、受領側会計処理装置6においては、受領した証憑データの処理を中止する等の対応をすることができる。
【0051】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図5は、データ処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、送受信通知を取得する時点から開始している。
【0052】
取得部131は、送受信通知を取得する(S01)。判定部132は、取得した送受信通知に含まれる証憑識別情報と同一の証憑識別情報が記憶部12に記憶された送受信記録データに存在するかを判定する(S02)。同一の証憑識別情報が送受信記録データに存在しない場合(S02におけるN)、判定部132は、送受信通知に含まれる証憑識別情報とハッシュ値とを送受信記録データに記憶させる(S03)。
【0053】
同一の証憑識別情報が送受信記録データに存在する場合(S02におけるY)、データ処理装置1は、取得した送受信通知に含まれるハッシュ値と送受信記録データに含まれる他の送受信通知のハッシュ値とが一致するかを判定する(S04)。ハッシュ値が一致する場合(S04におけるY)、判定部132は、送受信通知に含まれるハッシュ値を送受信記録データに記憶させる(S05)。ハッシュ値が一致しない場合(S04におけるN)、出力部133は、ハッシュ値が一致しないことを示す警告情報を発行側会計処理装置3又は受領側会計処理装置6に送信し(S06)、データ処理装置1は処理を終了する。
【0054】
判定部132は、ハッシュ値を記憶させると、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されているかを判定する(S07)。判定部132は、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されている場合(S07におけるY)、証憑データがインボイスネットワークNを通過したと判定する(S08)。
【0055】
出力部133は、通知情報を送信する(S09)。具体的には、出力部133は、証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を送信する。そしてデータ処理装置1は処理を終了する。また、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されていない場合(S07におけるN)、データ処理装置1は処理を終了する。
【0056】
[データ処理装置1による効果]
以上説明したように、データ処理装置1は、発行側会計処理装置3、発行側中継装置4、受領側中継装置5及び受領側会計処理装置6それぞれが送信又は受信した証憑データの証憑識別情報と、証憑データのハッシュ値と、を関連付けた送受信通知を取得する取得部131と、同一の証憑識別情報に関連付けられた、ハッシュ値が一致するかを判定する判定部132と、判定部132による判定結果に基づく通知情報を出力する出力部133と、を有する。データ処理装置1がこのように構成されることで、電子インボイスネットワーク上を伝送される証憑データが改ざんされていないことを確認することができる情報を提供することができる。
【0057】
[送金指示サーバ2の構成]
図6は、送金指示サーバ2の構成を示すブロック図である。送金指示サーバ2は、通信部21、記憶部22及び制御部23を有する。制御部23は、受付部231、送信部232及び受信部233を有する。
【0058】
通信部21はネットワークを介してデータ処理装置1又は送金処理サーバ7と通信するための通信インターフェースである。記憶部22は、例えば、ROM、RAM、SSD、ハードディスク等の記憶媒体である。記憶部22は、制御部23を機能させるための各種のプログラムを記憶する。
【0059】
制御部23は、例えばCPUである。制御部23は、記憶部22に記憶されている制御プログラムを実行することにより、受付部231、送信部232及び受信部233として機能する。
【0060】
受付部231は、証憑についての支払の依頼を受け付ける。一例として、受付部231は、受領側会計処理装置6から支払の対象となる証憑の証憑識別情報を含む支払指図を受信する。
【0061】
受付部231は、受領側事業者が支払期日より前に設定された所定の期間に支払うことに受諾することを示す早期支払通知を、支払の対象となる証憑データを特定する証憑識別情報と関連付けてさらに受信する。受付部231は、発行側会計処理装置3から早期割引通知を受信する。早期割引通知は、証憑識別情報及び割引条件を含む。
【0062】
送信部232は、受付部231が受け付けた支払の依頼において特定された証憑識別情報に関連付けられた通知情報を受信している場合、証憑識別情報に対応する証憑についての送金を指示する送金指示を、送金処理サーバ7に送信する。また、送信部232は、判定要求をデータ処理装置1に送信してもよい。
【0063】
送信部232は、該証憑識別情報に関連付けられた通知情報を受信している場合、証憑データに含まれる請求額より割り引かれた金額を送金する送金指示を、送金処理サーバに送信する。具体的には、送信部232は、早期支払通知を受信すると、証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を早期支払通知に含まれる証憑識別情報に関連付けて受信しているかどうかを判定する。そして、証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を受信している場合、早期支払通知に示された支払額を送金する送金指示を送金処理サーバ7に送信する。
【0064】
受信部233は、通知情報をデータ処理装置1から受信する。受信部233は、受信した通知情報を送信部232に入力する。
【0065】
なお、データ処理装置1から受信した通知情報が、判定に失敗したことを示す通知情報である場合、送信部232は、受領側会計処理装置6にエラーメッセージを送信してもよい。
【0066】
<変形例1>
ところで、通知情報は送金指示サーバ2のみではなく、通知情報が発行側会計処理装置3及び受領側会計処理装置6に送信されると、取引の関係者が発行又は受領した証憑データに問題が無いことを早期に知ることができる。
【0067】
図7は変形例1にかかるデータ処理システムSAの概要を示す図である。変形例1にかかるデータ処理装置1Aは、証憑データが通過したことを判定した場合に通知情報を発行側会計処理装置3及び受領側会計処理装置6に送信する点で
図1に示すデータ処理装置1と相違する。以下では既に説明した内容については省略し、
図1に示すデータ処理装置1と異なる部分を中心に説明する。
【0068】
データ処理装置1Aは、証憑データの通過を判定した場合、受領側会計処理装置6に証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を受領側会計処理装置6に送信する(
図7における(9))。さらに、データ処理装置1Aは証憑データが受領側会計処理装置6に到達したことを示す通知情報を発行側会計処理装置3に送信する(
図7における(10))。
【0069】
出力部133は、同一の証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれるハッシュ値が一致する場合に、証憑識別情報に関連付けられた証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を受領側会計処理装置6に送信する。データ処理装置1が受領側会計処理装置6に通知情報を送信するよう構成されることで、受領側事業者のユーザが受領した証憑データに問題が無いことを早期に知ることができる。
【0070】
ここで、受領側会計処理装置6に通知情報を送信するための送信先を特定する必要がある。そこで、受領側会計処理装置6は、送受信通知に含まれる送信先識別情報に基づいて受領側会計処理装置6を特定するよう構成されてもよい。この場合、各装置が送信する送受信通知は、一例として証憑データの宛先IPアドレスを含む。
【0071】
出力部133は、第1送受信通知、第2送受信通知又は第3送受信通知に含まれる証憑データの送信先を識別する送信先識別情報に基づいて受領側会計処理装置6を特定し、特定した受領側会計処理装置6に通知情報を送信する。出力部133は、第1送受信通知、第2送受信通知又は第3送受信通知に含まれる証憑データの宛先IPアドレスにより受領側会計処理装置6を特定する。なお、出力部133は、第4送受信通知の送信元IPアドレスに基づいて受領側会計処理装置6を特定してもよい。
【0072】
出力部133は、同一の証憑識別情報に関連付けられたそれぞれの送受信通知に含まれるハッシュ値が一致する場合に、証憑識別情報に関連付けられた証憑データが受領側会計処理装置6に到達したことを示す通知情報を発行側会計処理装置3に送信する。データ処理装置1が受領側会計処理装置6に通知情報を送信するよう構成されることで、受領側事業者のユーザが受領した証憑データが問題なく発行先に到達したことを早期に知ることができる。
【0073】
<変形例2>
送金指示サーバ2や受領側会計処理装置6から問い合わせを受けた際に証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したことの判定を行うようにデータ処理装置1が構成されると利便性が高い。
図8は変形例2にかかるデータ処理システムSBの概要を示す図である。変形例2にかかるデータ処理装置1Bは、送金指示サーバ2より証憑データの判定要求を受信し、判定結果に応じた通知情報を送金指示サーバ2に送信する点で
図1に示すデータ処理装置1と相違する。以下では既に説明した内容については省略し、
図1に示すデータ処理装置1と異なる部分を中心に説明する。
【0074】
送金指示サーバ2は証憑データを受信した受領側会計処理装置6から送金指図を受信する(
図8における(8))。送金指示サーバ2は、送金指図を受信すると、判定要求をデータ処理装置1に送信する(
図8における(9))。判定要求は、証憑データが改ざんされていないかを確認することを要求するメッセージである。判定要求は、判定対象の証憑を示す証憑識別情報を含む。
【0075】
データ処理装置1Bは、記憶部12を参照し、判定要求に含まれる証憑識別情報に対応する送受信記録データ取得し、証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したことの判定を行う(
図8における(10))。判定結果に応じた通知情報を送金指示サーバ2に送信する(
図8における(11))。送金指示サーバ2は、通知情報が証憑データに改ざんが無いことを示す場合に、送金指示を送金処理サーバ7に送信する(
図8における(12))。
【0076】
なお、データ処理装置1は、判定要求を発行側会計処理装置3又は受領側会計処理装置6から受信してもよい。この場合、データ処理装置1は、判定要求を送信した装置に判定結果に応じた通知情報を送信する。
【0077】
[データ処理装置1Bの構成]
図9は変形例2にかかるデータ処理装置1Bの装置構成を示すブロック図である。データ処理装置1Bは受信部134をさらに有する。受信部134は、証憑データが改ざんされていないかを確認する要求を会計処理装置又は送金指示サーバ2から受信する。受信部134は、受領側会計処理装置6又は送金指示サーバ2から判定要求を受信する。
【0078】
出力部133は、判定要求を受けたことに応じて通知情報を、判定要求を送信した会計処理装置又は送金指示サーバ2に送信する。具体的には、判定部132は、受信部134が判定要求を受信すると、記憶部12を参照し、判定要求に含まれる証憑識別情報に対応する送受信記録データを取得する。そして、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されているかを判定する。出力部133は、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されている場合、証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したことを示す通知情報を送金指示サーバ2に送信する。
【0079】
出力部133は、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されていない場合、証憑データに問題がある可能性があることを示す通知情報を送金指示サーバ2に送信する。なお、送受信通知の送信が遅延していることにより送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されていない場合も存在する。そこで、判定部132は、所定の期間待機した後再度判定を行う処理を所定の回数繰り返し、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されていない場合に証憑データに問題がある可能性があることを示す通知情報を送金指示サーバ2に送信してもよい。所定の期間及び所定の回数はサーバやネットワークにおける遅延時間を考慮して定められるパラメータである。所定の期間は例えば30分であり、所定の回数は例えば3回である。
【0080】
[データ処理装置1Bにおける処理の流れ]
図10及び
図11は、データ処理装置1Bにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図10及び
図11に示すフローチャートはそれぞれ、取得した送受信通知を記憶する処理とデータ処理装置1が判定要求を受信した場合に判定結果に応じた通知情報を送信する処理を示す。
【0081】
図10におけるS101からS106に示す処理はそれぞれ、
図5におけるS01からS06に示す処理に対応する処理である。
図11に示すフローチャートは、送金指示サーバ2が判定要求をデータ処理装置1に送信する時点から開始している。
【0082】
受信部134は、判定要求を送金指示サーバ2から受信する(S201)。判定部132は、記憶部12を参照し、判定要求に含まれる証憑識別情報に対応する送受信記録データを取得する。そして、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されているかを判定する(S202)。送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されている場合(S202におけるY)、証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したと判定する(S203)。そして、出力部133は、通知情報を送金指示サーバ2に送信する(S204)。
【0083】
出力部133は、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されていない場合(S202におけるN)、証憑データに問題がある可能性があることを示す警告情報を送金指示サーバ2に送信する(S205)。そして、データ処理装置1Bは処理を終了する。
【0084】
変形例2にかかるデータ処理装置1Bは、送金指示サーバ2や受領側会計処理装置6から問い合わせを受けた際に証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したことの判定をするように構成される。この結果、データ処理システムSBを構成するそれぞれの装置から任意のタイミングで証憑データの判定結果を得ることが可能となり、取引に参加する事業者の利便性を高めることができる。
【0085】
<第2の実施形態>
ところで、ハッシュチェーンにより証憑データのハッシュ値を生成することでより安全に取引を行うことができる。
図12は第2の実施形態にかかるデータ処理システムSCにおけるハッシュ値の生成の概要を説明する図である。
【0086】
発行側会計処理装置3は発行した証憑データからハッシュ値(Ha)を生成する。発行側会計処理装置3は、生成したハッシュ値(Ha)と証憑識別情報と証憑データとを含む送受信通知をデータ処理装置1Cに送信する(
図12における(1))。データ処理装置1Cは、受信したハッシュ値(Ha)と証憑識別情報と証憑データとを送受信記録データに記憶させる。そして、発行側会計処理装置3は発行した証憑データとハッシュ値(Ha)とを発行側中継装置4に送信する(
図12における(2))。
【0087】
発行側中継装置4は受信したハッシュ値(Ha)と証憑データとに基づいてハッシュ値(Hb)を算出する。発行側中継装置4は、生成したハッシュ値(Hb)と証憑識別情報とを含む送受信通知をデータ処理装置1Cに送信する(
図12における(3))。データ処理装置1Cは、送受信記録データを参照し、送受信通知に含まれる証憑識別情報に対応する証憑データとハッシュ値(Ha)とに基づいて、ハッシュ値(Hb)を算出し、受信したハッシュ値と一致するかを判定する。ハッシュ値が一致する場合、データ処理装置1Cは、送受信通知に対する応答を発行側中継装置4に送信する。そして、データ処理装置1Cは受信したハッシュ値(Hb)と証憑識別情報と証憑データとを送受信記録データに記憶させる。発行側中継装置4は応答を受信すると、証憑データとハッシュ値(Hb)とを受領側中継装置5に送信する(
図12における(4))。
【0088】
受領側中継装置5は受信したハッシュ値(Hb)と証憑データとに基づいてハッシュ値(Hc)を算出する。受領側中継装置5は、生成したハッシュ値(Hc)と証憑識別情報とを含む送受信通知をデータ処理装置1Cに送信する(
図12における(5))。データ処理装置1Cは、送受信記録データを参照し、送受信通知に含まれる証憑識別情報に対応する証憑データとハッシュ値(Hb)とに基づいて、ハッシュ値(Hc)を算出し、受信したハッシュ値と一致するかを判定する。ハッシュ値が一致する場合、データ処理装置1Cは、送受信通知に対する応答を受領側中継装置5に送信する。そして、データ処理装置1Cは受信したハッシュ値(Hc)と証憑識別情報と証憑データとを送受信記録データに記憶させる。受領側中継装置5は、応答を受信すると、証憑データとハッシュ値(Hc)とを受領側会計処理装置6に送信する(
図12における(6))。
【0089】
受領側会計処理装置6は受信したハッシュ値(Hc)と証憑データとに基づいてハッシュ値(Hd)を算出する。受領側会計処理装置6は、生成したハッシュ値(Hd)と証憑識別情報とを含む送受信通知をデータ処理装置1Cに送信する(
図12における(7))。データ処理装置1Cは、送受信記録データを参照し、送受信通知に含まれる証憑識別情報に対応する証憑データとハッシュ値(Hc)とに基づいて、ハッシュ値(Hd)を算出し、受信したハッシュ値と一致するかを判定する。ハッシュ値が一致する場合、データ処理装置1は、送受信通知に対する応答を受領側会計処理装置6に送信する。データ処理装置1Cは受信したハッシュ値(Hd)と証憑識別情報と証憑データとを送受信記録データに記憶させる。
【0090】
そして、データ処理装置1Cは判定結果に基づく通知情報を出力する。一例として、データ処理装置1Cは、送金指示サーバ2に証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したことを示す通知情報を送信する。第1の実施例で説明したようにデータ処理装置1Cは発行側会計処理装置3又は受領側会計処理装置6に通知情報を送信してもよい。
【0091】
また、発行側会計処理装置3、発行側中継装置4、受領側中継装置5及び受領側会計処理装置6はナンスを生成し、受信したハッシュ値と証憑データに加え、生成したナンスを用いてハッシュ値を算出してもよい。ナンスは一時的に用いられるランダムな数値である。この場合、送受信通知にはハッシュ値の算出に用いたナンスが含まれる。データ処理装置1Cは送受信記録データを参照して取得した証憑データとハッシュ値に加え、受信したナンスに基づいてハッシュ値を算出する。
【0092】
[データ処理装置1Cにおける処理の流れ]
図13は、データ処理装置1Cにおける処理の流れを示すフローチャートである。
図13に示すフローチャートは、データ処理装置1Cが送受信通知を取得する時点から開始している。
【0093】
取得部131は、送受信通知を取得する(S301)。判定部132は、取得した送受信通知に含まれる証憑識別情報と同一の証憑識別情報が記憶部12に記憶された送受信記録データに存在するかを判定する(S302)。同一の証憑識別情報が送受信記録データに存在しない場合(S302におけるN)、出力部133は、送受信通知に対する応答を送信する(S303)。そして、判定部132は、送受信通知に含まれる証憑識別情報とハッシュ値とを送受信記録データに記憶させる(S304)。
【0094】
同一の証憑識別情報が送受信記録データに存在する場合(S302におけるY)、判定部132は、送受信記録データを参照し、送受信通知に含まれる証憑識別情報に対応する証憑データとハッシュ値とに基づいて、ハッシュ値を算出する(S305)。判定部132は、算出したハッシュ値と受信したハッシュ値とが一致するかを判定する(S306)。ハッシュ値が一致する場合(S306におけるY)、データ処理装置1は、送受信通知に対する応答を送信する(S307)。そして、判定部132は、送受信通知に含まれるハッシュ値を送受信記録データに記憶させる(S308)。なお、ハッシュ値が一致しない場合(S306におけるN)、出力部133は、ハッシュ値が一致しないことを示す警告情報を発行側会計処理装置3又は受領側会計処理装置6に出力し(S312)、データ処理装置1は処理を終了する。
【0095】
判定部132は、ハッシュ値を記憶させると、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されているかを判定する(S309)。送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されていない場合(S309におけるN)、データ処理装置1Cは処理を終了する。判定部132は、送受信記録データに所定の数の送受信通知が記憶されている場合(S309におけるY)、証憑データが改ざんを受けずにインボイスネットワークNを通過したと判定する(S310)。
【0096】
出力部133は、通知情報を出力する(S311)。具体的には、出力部133は、証憑データに改ざんがないことを示す通知情報を送信する。そしてデータ処理装置1は処理を終了する。
【0097】
[第2の実施形態による効果]
第2の実施形態にかかるデータ処理装置1Cは、ハッシュチェーンにより生成した証憑データのハッシュ値を用いて証憑データが経路上で改ざんされていないかを判定するよう構成される。この結果、第2の実施形態にかかるデータ処理装置1Cは、より改ざんに強い判定結果を提供することができ、取引に参加する事業者の安全性を高めることができる。
【0098】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0099】
1 データ処理装置
2 送金指示サーバ
3 発行側会計処理装置
4 発行側中継装置
5 受領側中継装置
6 受領側会計処理装置
7 送金処理サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 取得部
132 判定部
133 出力部
134 受信部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 受付部
232 送信部
233 受信部