(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070073
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】表面調整剤及び熱硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/06 20060101AFI20230511BHJP
C09D 7/47 20180101ALI20230511BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230511BHJP
C08F 220/18 20060101ALI20230511BHJP
C08F 216/12 20060101ALI20230511BHJP
C08F 220/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
C09D201/06
C09D7/47
C09D7/63
C08F220/18
C08F216/12
C08F220/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159372
(22)【出願日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2021181716
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162076
【氏名又は名称】共栄社化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 英宏
(72)【発明者】
【氏名】高木 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】呑海 克
【テーマコード(参考)】
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J038CG042
4J038CG141
4J038CG142
4J038GA02
4J038GA11
4J038JC38
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA09
4J038MA14
4J100AL03Q
4J100AL04P
4J100AL05P
4J100AL08R
4J100AL08S
4J100AL08T
4J100BA03T
4J100BA15T
4J100BA76R
4J100BA76S
4J100CA03
4J100DA01
4J100DA39
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA30
4J100JA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各種熱硬化性樹脂組成物において、樹脂成分と反応することで、効果を好適に発揮することができる表面調整剤及びこれを配合した塗料組成物を提供する。
【解決手段】炭素数1~24のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(A-1)及びアルキル基の炭素数が1~24であるアルキルビニルエーテル(A-2)からなる群より選択される少なくとも1の単量体に由来する構成単位(A)及び下記一般式(4)
で表される単量体に由来する構成単位(B)を必須成分とし、溶解度パラメータが7.6~12.0であり、重量平均分子量3000~500000であることを特徴とする表面調整剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1は、炭素数1~24のアルキル基を表す。
R
2は、水素又はメチル基を表す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル(A-1)及びアルキル基の炭素数が1~24であるアルキルビニルエーテル(A-2)からなる群より選択される少なくとも1の単量体に由来する構成単位(A)及び下記一般式(4)
【化2】
n
1:1~10
(式中、R
4、R
5,R
6は、同一又は異なって、水素、アルキル基、カルボキシル基、
アルキルエステル基又は下記R
7-[COOR
8]n
1で表される構造。
R
7は、主鎖の原子数が50以下であり、主鎖中にエステル基、エーテル基、アミド基、
ウレタンからなる群より選択される1又は2以上の官能基を有していてもよく、側鎖を有していてもよい脂肪族、脂環族又は芳香族アルキレン基。
R
8は、炭素数50以下のアルキル基。
上記一般式(4)で表される化合物は、R
7-[COOR
8]n
1基が下記一般式(4-1)のラクトン構造であってもよい。)
【化3】
(Rxは、分岐鎖を有していてもよい炭素数2~10の炭化水素基)
で表される単量体に由来する構成単位(B)を必須成分とし、
溶解度パラメータが7.6~12.0であり、
重量平均分子量3000~500000であることを特徴とする表面調整剤。
【請求項2】
水酸基を有する樹脂又は樹脂組成物(X)
請求項1又は2記載の表面調整剤及び
エステル交換触媒(Z)
を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
樹脂又は樹脂組成物(X)と表面調整剤の溶解度パラメータは表面調整剤の方が小さく、その差が3.0以下である請求項2記載の熱硬化性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面調整剤及び熱硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、本出願人はエステル交換反応を硬化反応として使用する熱硬化性樹脂組成物の検討を行っている(特許文献1~3)。このような検討において、容易にエステル交換反応を生じるような化合物について、多くの検討を行ってきた。
【0003】
一方、特許文献4においては、各種塗料組成物に対して、塗料組成物との反応を生じるような官能基を有する単量体を使用して得られた重合体である塗料添加剤が記載されている。このような塗料添加剤は、塗料組成物の基材樹脂と反応をすることで、塗料組成物を硬化させた被膜での耐水性等の特性を低下させない。このような塗料添加剤において、エステル交換反応を利用することについては記載されていない。
【0004】
特許文献5には、エステル硬化反応を硬化反応として使用する熱硬化性樹脂組成物に公知の一般的な添加剤を配合することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6398026号公報
【特許文献2】国際公開第2019/069783号
【特許文献3】国際公開第2019/139069号
【特許文献4】特開2007-320993号公報
【特許文献5】特開2020-132710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑み、各種熱硬化性樹脂組成物において、樹脂成分と反応することで、効果を好適に発揮することができる表面調整剤及びこれを配合した塗料組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
下記一般式(1)
【化1】
(式中、R
1は、炭素数1~24のアルキル基を表す。
R
2は、水素又はメチル基を表す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル(A-1)及びアルキル基の炭素数が1~24であるアルキルビニルエーテル(A-2)からなる群より選択される少なくとも1の単量体に由来する構成単位(A)及び下記一般式(4)
【化2】
n
1:1~10
(式中、R
4、R
5,R
6は、同一又は異なって、水素、アルキル基、カルボキシル基、アルキルエステル基又は下記R
7-[COOR
8]n
1で表される構造。
R
7は、主鎖の原子数が50以下であり、主鎖中にエステル基、エーテル基、アミド基、
ウレタンからなる群より選択される1又は2以上の官能基を有していてもよく、側鎖を有していてもよい脂肪族、脂環族又は芳香族アルキレン基。
R
8は、炭素数50以下のアルキル基。
上記一般式(4)で表される化合物は、R
7-[COOR
8]n
1基が下記一般式(4-1)のラクトン構造であってもよい。)
【化3】
(Rxは、分岐鎖を有していてもよい炭素数2~10の炭化水素基)
で表される単量体に由来する構成単位(B)を必須成分とし、
溶解度パラメータが7.6~12.0であり、
重量平均分子量3000~500000であることを特徴とする表面調整剤である。
【0008】
本発明は、水酸基を有する樹脂又は樹脂組成物(X)
上述した表面調整剤及び
エステル交換触媒(Z)
を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物でもある。
【0009】
上記熱硬化性樹脂組成物は、樹脂又は樹脂組成物(X)と表面調整剤の溶解度パラメータは表面調整剤の方が小さく、その差が3.0以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表面調整剤は、熱硬化性樹脂組成物において使用したときに、熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分と反応をすることで、良好な効果を有し、その効果を長期にわたって維持することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の表面調整剤は、エステル交換反応を生じるようなエステル基を有するものである。これを表面調整剤として使用することによって、熱硬化性樹脂組成物によって塗膜形成を行った場合の表面状態の改善を図ることができる。さらに、このエステル基が塗料中の水酸基と反応することで、添加剤としての良好な効果を発現することができる。
【0012】
本発明の表面調整剤は、表面調整剤として使用されるものである。このため、熱硬化性樹脂組成物を加熱して硬化させる際に、基材樹脂と分離して表面に偏在することが好ましい。このような性質を有する樹脂とするためには、溶解度パラメータが7.6~12.0である。
このような溶解度パラメータのものとすることで、表面調整剤としての好適な機能を発揮することができる。
【0013】
上記溶解度パラメータの範囲は、レベリング剤では8.0~12.0であることがより好ましく、消泡剤では7.6~8.0であることがあることがより好ましい。
なお、本発明において、溶解度パラメータは、ノルマルヘキサントレランス法によるSP値の算出方法は公知のものであり、テトラヒドロフランにて溶解した樹脂固形分を2つ用意し、その樹脂溶液に、1つにはイオン交換水を滴下し、もう1つにはノルマルヘキサンを滴下して、樹脂溶液が濁りだすイオン交換水とノルマルヘキサンの滴下容量から算出される。
【0014】
以下、構成単位(A)及び構成単位(B)について詳述する。
(構成単位(A))
構成単位(A)は、下記一般式(1)
【0015】
【化4】
(式中、R
1は、炭素数1~24のアルキル基を表す。
R
2は、水素又はメチル基を表す)
で表される(メタ)アクリル酸エステル(A-1)及びアルキルビニルエーテル(A-2)からなる群より選択される少なくとも1の単量体に由来する構成単位である。
【0016】
本発明においては、このような目的を達成するために、上記(A-1)及び(A-2)からなる群より選択される少なくとも1の単量体を必須とするものである。
【0017】
上記(A-1)で表される単量体は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルである。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ
)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、等を挙げることができる。
【0018】
上記アルキルビニルエーテル(A-2)は、特に限定されず、ビニル基とアルキル基とのエーテル化合物であり、当該アルキル基は、炭素数が1~24の脂肪族、脂環族又は芳香族短観水素である。このような単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、n-ペンチルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、n-オクチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデ
シルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、クロロメチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテルもしくはフェニルエチルビニルエーテルのような、種々のアルキルビニルエーテルないしは置換アルキルビニルエーテル類;
シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルもしくはメチルシクロヘキシルビニルエーテルのような、種々のシクロアルキルビニルエーテル類等を挙げることができる。
【0019】
(メタ)アクリル酸エステル(A-1)及びアルキルビニルエーテル(A-2)は、上述した表面調整剤が機能するために必要とされる成分であることから、その目的に応じた構造を選択することが好ましい。特に、上述した溶解度パラメータを満たすものとなるように、使用する成分及び組成を調整することが好ましい。
【0020】
表面調整剤としては、表面の塗膜欠陥を改善するために使用されるレベリング剤及び塗料の製造工程、塗装工程での泡沫の巻き込みを少なくし、特に小さい微泡沫が入らないようにする消泡剤が一般的なものとして知られている。このようなレベリング剤に使用する際、特に好ましい(メタ)アクリル酸エステル(A-1)としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうち、複数を組み合わせて使用するものであってもよい。
【0021】
本発明の表面調整剤を消泡剤として使用する場合、上記(A-1)で表される単量体は、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のように、R1が炭素数4~24のであることが好ましい。炭素数の下限は、12であることがより好ましい。このような長鎖脂肪族炭化水素であることで、良好な消泡性能を発揮することができる。
【0022】
(構成単位(B))
本発明の表面調整剤において、構成単位(B)は、エステル交換反応を容易に生じさせるようなアルキルエステル基を有する単量体に由来するものである。
構成単位(B)は、以下一般式(4)で表される構造を有する化合物である。
【化5】
n
1:1~10
(式中、R
4、R
5,R
6は、同一又は異なって、水素、アルキル基、カルボキシル基、アルキルエステル基又は下記R
7-[COOR
8]n
1で表される構造。
R
7は、主鎖の原子数が50以下であり、主鎖中にエステル基、エーテル基、アミド基、ウレタンからなる群より選択される1又は2以上の官能基を有していてもよく、側鎖を有していてもよい脂肪族、脂環族又は芳香族アルキレン基。
R
8は、炭素数50以下のアルキル基。
上記一般式(4)で表される化合物は、R
7-[COOR
8]n
1基が下記一般式(4-1)のラクトン構造であってもよい。)
【0023】
【化6】
(Rxは、分岐鎖を有していてもよい炭素数2~10の炭化水素基)
【0024】
上記一般式(4)で表される単量体を使用して得られる重合体は、エステル交換反応性において特に優れるものとすることができる。このため、硬化開始温度が130℃以下であり、150℃30分焼付という条件で硬化させたときのゲル分率が80%以上という樹脂組成物を得る上では、特に好ましいものである。
【0025】
上記一般式(4)で表される単量体は、R8が1級又は2級アルキルエステルを有するものであることがより好ましい。このような単量体に由来する1級又は2級アルキルエステル基は、水酸基との反応を生じやすく、このため本発明の目的を充分に達成することができる。
【0026】
このような化合物は、不飽和結合による重合反応によって重合体を得ることができる。このようにして得られた重合体は、エステル交換反応を硬化反応とする熱硬化型樹脂組成物に使用した場合、不飽和結合の重合に基づいて形成された主鎖と、アルキルエステル基とが連結基を介して離れて存在している。このため、アルキルエステル基が比較的自由に動くことができる。このため、アルキルエステル基と水酸基とが近づきやすくなり、エステル交換の反応性が向上することが本発明者らによって見いだされた。このようにエステル交換反応の反応性が向上することで、短時間硬化や硬化温度の低下を実現することができ、エステル交換反応による熱硬化型樹脂組成物の有用性を高めることができる。
【0027】
上記アルキルエステル基としては特に限定されず、メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、n-プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n-ブチルエステル基、イソブチルエステル基、sec-ブチルエステル基等の、公知のエステル基を有するものを使用することができる。なお、アルキル基は炭素数50以下のものとすることが好ましい。上記アルキル基は、エステル交換反応中にアルコールとして生成され、揮散することが好ましいため、アルキル基としては炭素数が20以下のものであることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。また、硬化反応において揮発するアルコールの沸点が300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることが更に好ましい。
【0028】
上記アルキルエステル基におけるアルキル基(すなわち、上記一般式(4)におけるR8)は、炭素数が50以下のアルキル基であるが、より好ましくは炭素数1~20の範囲内であり、更に好ましくは、1~10の範囲内であり、更に好ましくは、1~6の範囲内である。最も好ましくは、1~4の範囲内である。このような範囲内とすることで、硬化反応を好適に進行させることができる点で好ましいものである。
【0029】
また、上記アルキルエステル基がラクトン基となる場合も本発明に包含される。このようなラクトン基のエステル基も本発明のエステル交換反応を生じることができ、硬化反応に利用することができる。このような化合物は上記(4-1)の化学構造を有するものである。
【0030】
上記一般式(4)で表される化合物としてより具体的には、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0031】
【化7】
n
2:1~10
(式中、R
9は、H又はメチル基。
R
10は、主鎖の原子数が48以下であり、主鎖中にエステル基、エーテル基及び/又はアミド基を有していてもよく、側鎖を有していてもよいアルキレン基。
R
11は、炭素数50以下のアルキル基。)
で表されるものが例示できる。このような化合物は(メタ)アクリル酸の誘導体であり、(メタ)アクリル酸又はその誘導体を原料として使用する公知の合成方法によって得ることができる。
【0032】
上記R10の主鎖の原子数は、40以下であることがより好ましく、30以下であることが更に好ましく、20以下であることが更に好ましい。R10の主鎖に含まれてもよい原子としては特に限定されず、炭素原子のほかに酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子等を有するものであってもよい。更に具体的には、R10の主鎖中には、アルキル基のほかにエーテル基、エステル基、アミノ基、アミド基、チオエーテル基、スルホン酸エステル基、チオエステル基、シロキサン基等を有するものであってもよい。
【0033】
上記一般式(5)で表される構造として更に具体的には、例えば、下記一般式(12)で表される化合物等を挙げることができる。
【0034】
【化8】
(式中、R
20は、炭素数1~50のアルキル基。
R
21は、主鎖の原子数が44以下であり、主鎖中にエステル基、エーテル基及び/又はアミド基を有していてもよく、側鎖を有していてもよいアルキレン基。
R
22は、H又はメチル基。
R
23は、炭素数50以下のアルキル基。
R
24は、H又はメチル基。
n
7は、0又は1。
n
8は、1又は2。)
【0035】
上記一般式(12)で表される化合物は、分子中に不飽和結合を有するマロン酸エステルやアセト酢酸エステル等の活性アニオンを生じる化合物と、アルキルエステル基を有する不飽和化合物との反応によって合成された化合物である。
【0036】
すなわち、マロン酸エステルやアセト酢酸エステルは、カルボキシ炭素に挟まれたメチレン基を有しており、このメチレン基はアニオン化されやすく、アニオン反応を容易に生じるものとして広く知られている。このようなマロン酸エステルやアセト酢酸エステルのアルキル基中に不飽和結合を有する化合物(例えば、マロン酸やアセト酢酸と、以下で「水酸基含有単量体」として詳述する水酸基を有する不飽和単量体とのエステル化合物)を、不飽和基を有するアルキルエステル化合物と反応させることによって、不飽和基とアルキルエステル基の両方を有する化合物を合成することができる。
【0037】
このような化合物の製造方法は、国際公開2019/139069等に記載された方法に従って行うことができる。
【0038】
上記一般式(4)で表される化合物は、下記一般式(31)で表される官能基及び不飽和基を有する化合物であってもよい。
【0039】
【0040】
n=0~20
R1は、炭素数50以下のアルキル基。
R3は、水素又は炭素数10以下のアルキル基。
【0041】
すなわち、一般式(4)で表される化合物において、COOR8基が上記一般式(31)で表されるような構造を有するものであってもよい。
【0042】
上記一般式(31)で表されるエステル基は、理由は不明であるが、エステル交換反応の反応性が高い。このため、当該官能基を有するエステル化合物を樹脂成分の一部又は全部として使用することで、従来以上に優れた硬化性能を有する熱硬化性樹脂組成物とすることができる。
このため、硬化開始温度が130℃以下であり、150℃30分焼付という条件で硬化させたときのゲル分率が80%以上を満たす熱硬化性樹脂組成物を得るための樹脂として好適に使用することができる。
【0043】
このような化合物としてより具体的には、下記一般式(36)で表される化合物を挙げることができる。
【化10】
(式中、R
1は、炭素数50以下のアルキル基。
R
2は、水素又はメチル基。
R
3は、水素又は炭素数10以下のアルキル基。
nは、0~20)
【0044】
(一般式(31)の構造について)
上記一般式(31)の構造は、α置換カルボン酸エステル骨格を基本とするものである。
一般式(31)において、nは0~20である。
nの下限は、1であることがより好ましい。nの上限は5であることがより好ましい。
更に、上記一般式(31)においてnの値が異なる複数の成分の混合物であってもよい。
この場合nの平均値navは、0~5であることが好ましい。navの下限は、1であることがより好ましい。navの上限は3であることがより好ましい。navの測定は、NMR分析によって行うことができる。さらに、nの値についてもNMR分析によって測定することができる。
【0045】
nは、0であってもよいが、0を超える値であるほうが、より反応性が高い熱硬化性樹脂
組成物を得ることができる点で好ましい。
すなわち、nが1以上であるほうが、より低い温度での硬化を図ることができ、これによって本発明の効果をより好適に発揮することができる。
【0046】
上記一般式(31)において、R1としては炭素数50以下の任意のアルキル基を使用することができ、1級、2級、3級のいずれであってもよい。
【0047】
上記アルキルエステル基におけるアルキル基(すなわち、上記一般式におけるR1)は、炭素数が50以下のアルキル基であるが、より好ましくは炭素数1~20の範囲内であり、更に好ましくは、1~10の範囲内であり、更に好ましくは、1~6の範囲内である。最も好ましくは、1~4の範囲内である。このような範囲内とすることで、硬化反応を好適に進行させることができる点で好ましいものである。
【0048】
上記アルキルエステル基として具体的には、例えば、メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、n-プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n-ブチルエステル基、イソブチルエステル基、sec-ブチルエステル基、t-ブチルアルキル基等の、公知のエステル基を有するものを使用することができる。
【0049】
上記官能基(31)を有する化合物は、公知の方法によって製造することができる。具体的には、国際公開2021/095202に記載された方法によって製造することができる。
【0050】
上記一般式(4)で表される化合物は、下記一般式(41)で表される官能基及び/又は下記一般式(42)で表される官能基、並びに、不飽和基を有する化合物であってもよい。
【0051】
【0052】
【化12】
(上記一般式(41)、一般式(42)のいずれにおいても、R
1は炭素数50以下のアルキル基。
R
2は、一部に、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい炭素数50以下のアルキレン基)
【0053】
すなわち、一般式(4)で表される化合物において、COOR8基が上記一般式(41)で表されるような構造及び/又は一般式(42)で表されるような構造を有するものであってもよい。
このため、硬化開始温度が130℃以下であり、150℃30分焼付という条件で硬化させたときのゲル分率が80%以上を満たす熱硬化性樹脂組成物を得るための樹脂として好適に使用することができる。
【0054】
上記アルキルエステル基におけるアルキル基(すなわち、上記一般式におけるR1)は、炭素数が50以下のアルキル基であるが、より好ましくは炭素数1~20の範囲内であり、更に好ましくは、1~10の範囲内であり、更に好ましくは、1~6の範囲内である。最も好ましくは、1~4の範囲内である。このような範囲内とすることで、硬化反応を好適に進行させることができる点で好ましいものである。
【0055】
上記アルキル基として具体的には、例えば、メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、n-プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n-ブチルエステル基、イソブチルエステル基、sec-ブチルエステル基、t-ブチルアルキル基等の、公知のエステル基を有するものを使用することができる。
【0056】
上記一般式(41)におけるR2基は、一部に、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい炭素数50以下のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、またはベンゼン環、シクロへキシル環のような環状構造を含んでいてもよい(炭素鎖1~50)。なかでも、原料が安価であり、反応性において優れる点でエチレン基であることが特に好ましい。
【0057】
上記一般式(41)で表される構造を有する化合物としては、例えば、下記一般式(43)で表される化合物を挙げることができる。
【0058】
【化13】
(式中、R
1は炭素数50以下のアルキル基。
R
2は、一部に、酸素原子、窒素原子を含んでいてもよい炭素数50以下のアルキレン基。
R
3は、水素又はメチル基。)
【0059】
上記一般式(43)で表されるエステル化合物のうち、下記一般式(45)で表されるエステル化合物がより好ましい。
【0060】
【0061】
上記一般式(41)で表される官能基を有するエステル化合物の製造方法としては特に限定されないが、国際公開2021/132251に記載された方法によって製造をすることができる。
【0062】
以上に例示した方法で合成することができる一般式(4)で表される化合物の具体的な化学構造の例を以下に示す。なお、本発明は以下で例示する化合物に限定されるものではない。
【0063】
【化15】
(上記一般式中、Rは、炭素数50以下のアルキル基を表す)
【0064】
上記一般式で表される化合物においても、一般式におけるRは、炭素数が50以下のアルキル基であるが、より好ましくは炭素数1~20の範囲内であり、更に好ましくは、1~10の範囲内であり、更に好ましくは、1~6の範囲内である。最も好ましくは、1~4の範囲内である。このような範囲内とすることで、硬化反応を好適に進行させることができる点で好ましいものである。
【0065】
上記構成単位(B)は、表面調整剤に対して、1~30重量%の割合で含まれることが好ましい。30重量%を超えて使用した場合は、表面に配向する前に水酸基を有する樹脂組成物と反応する為、表面調整剤としての機能を発揮しないという点で好ましくない。含有量が1重量%未満であると、上述した本発明の効果を充分に得ることができない点で好ましくない。
【0066】
上記配合割合の範囲は、1~10重量%であることがより好ましく、1~5重量%であることが更に好ましい。
【0067】
(1-3)その他の単量体
本発明の表面調整剤は、上述した構成単位(A)(B)のみからなるものであってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の単量体を併用するものであってもよい。その他の単量体を使用する場合、その使用量は、表面調整剤全量に対して、30重量%以下であることが好ましい。
【0068】
本発明の表面調整剤において使用することができるその他の単量体に基づく構成単位としては、以下のようなものを挙げることができる。
エチレン、プロピレンもしくはブテン-1のような、種々のα-オレフィン類;
塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンのような、フルオロオレフィンを除く、種々のハロゲン化オレフィン類;
スチレン、α-メチルスチレンもしくはビニルトルエンのような、種々の芳香族ビニル化合物;N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはN-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのような、種々のアミノ基含有アミド系不飽和単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのような、種々のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類;tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレートもしくはピペリジニルエチル(メタ)アクリレートのような、種々のアミノ基含有単量体;N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミドのようなジメチル(メタ)アクリルアミド単量体及びジエチル(メタ)アクリルアミド単量体;アクリロイルモルホリンのような不飽和基含有モルホリンアミド単量体;N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-エプシロン-カプロラクタムのようなビニル置換した5~7員環ラクタム単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸もしくはフマル酸のような、種々のカルボキシル基含有単量体類;グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリ
シジル(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アリルグリシジルエーテルのような、種々のエポキシ基含有単量体;マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸のような、各種のα、β-不飽和ジカルボン酸と、炭素数が1~18である一価アルコールとのモノ-ないしはジエステル類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、アリル
トリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、メチルジエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランもしくはγ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランのような、種々の加水分解性シリル基を含有する単量体;
【0069】
【化16】
(式(I)中、R
1は水素原子、又はメチル基、R
2は炭素数1~10のアルキレン基、
R
3は炭素数1~12のアルキル基、mは2~150の正数を示す。)
【0070】
【化17】
(式(II)中、R
4は水素原子、又はメチル基、R
5は炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
【0071】
上記化学式(I)又は(II)で表される、サイラプレーンFM-0711、サイラプレーンFM-0721、サイラプレーンFM-0725、サイラプレーンTM-0701、サイラプレーンTM-0701T(以上チッソ株式会社の製品名;サイラプレーンはチッソ株式会社の登録商標)KF-2012、X-22-2426、X-22-2475(以上信越化学工業株式会社の製品名)のようなシロキシ基含有(メタ)アクリレート単量体;
【0072】
【化18】
(式(III)中、R
6、R
9は同一又は異なる水素原子、又はメチル基、R
7、R
8は、同一又は異なる炭素数1~10のアルキレン基、nは2~150の正数を示す。)
【0073】
上記化学式(III)であらわされるサイラプレーンFM-7711、サイラプレーンFM-7721、サイラプレーンFM-7725(以上チッソ株式会社の製品名)、X-22-164、X-22-164AS、X-22-164A、X-22-164B、X-22-164C、X-22-164E(以上信越化学工業株式会社の製品名)のようなシロキシ基含有ジ(メタ)アクリレート単量体;
【0074】
ふっ化ビニル、ふっ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンもしくは、ヘキサフルオロプロピレンのような、種々のふっ素含有α-オレフィン類;またはトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルもしくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルのような、各種のパーフルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテルないしは(パー)フルオロアルキルビニルエーテル(ただし、アルキル基の炭素数は1~18の範囲内であるものとする。)などのような種々のフッ素原子含有単量体;
【0075】
上記フッ素原子含有単量体としてより具体的には、例えば以下のものを挙げることができる。
パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert-ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec-ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-オクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-デシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ドデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-プロピルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert-ブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec-ブチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-オクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-デシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-プロピルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert-ブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec-ブチル(メタ)エチルアクリレート、パーフルオロiso-ペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘプチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-オクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-デシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ウンデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ドデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ブチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert-ブチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec-ブチル(メタ)プロピルアクリレート、パーフルオロiso-ペンチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘプチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-オクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ノニルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-デシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ウンデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ドデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-プロピルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ブチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert-ブチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec-ブチル(メタ)ブチルアクリレート、パーフルオロiso-ペンチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘキシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘプチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-オクチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ノニルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-デシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ウンデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ドデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシルブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロペンチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘプチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロノニルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロウンデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロドデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-プロピルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ブチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロtert-ブチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロsec-ブチル(メタ)ペンチルアクリレート、パーフルオロiso-ペンチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘキシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ヘプチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-オクチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ノニルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-デシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ウンデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロiso-ドデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロペンチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘプチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロオクチルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロノニルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロウンデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロドデシルペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチルヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルヘキシル(メタ)アクリ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【0076】
CH2=C(R3)-CO-O-CH2-CF2-O-(CF2-CF2-O)n-(CF2-CF2-CF2-O)m-(CFCF3-CF2-O)p-RF2 (IV)
(式(IV)中、R3は水素原子またはメチル基、n、m、pは0~8の数、RF2は炭素数1~6のパーフルオロアルキル基を示す。)
CH2=C(R4)-CO-O-(CH2)2-NH-CO-O-CH2-CF2-O-(CF2-CF2-O)q-(CF2-CF2-CF2-O)r-(CFCF3-CF2-O)s-RF3 (V)
(式(V)中、R4は水素原子またはメチル基、q、r、sは0~8の数、RF3は炭素数1~6のパーフルオロアルキル基を示す。)(IV)、(V)で示すようなフッ素含有(メタ)アクリレート単量体で、パーフルオロポリエーテル基含有単量体;
【0077】
ビニル-2,2-ジメチルプロパノエート、ビニル-2,2-ジメチルブタノエート、ビニル-2,2-ジメチルペンタノエート、ビニル-2,2-ジメチルヘキサノエート、ビニル-2-エチル-2-メチルブタノエート、ビニル-2-エチル-2-メチルペンタノエート、ビニル-3-クロロ-2,2-ジメチルプロパノエートなどをはじめ、さらには、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニルもしくはラウリン酸ビニル、C9 である分岐脂肪族カルボン酸ビニル、C10である分岐脂肪族カルボン酸ビニル、C11である分岐脂肪族カル
ボン酸ビニルまたはステアリン酸ビニルのような、種々の脂肪族カルボン酸ビニル;あるいはシクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルもしくはp-tert-ブチル安息香酸ビニルのような、環状構造を有するカルボン酸のビニルエステル類などを挙げることができる。
【0078】
また、以下に例示する水酸基含有単量体も、その他の単量体として使用することができる。但し、水酸基含有単量体は、自己架橋し表面配向性を阻害することから、使用しないことがより好ましい。使用する場合も、5重量%以下とすることが好ましい。
【0079】
水酸基含有単量体は、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテルもしくは6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテルのような、種々の水酸基含有ビニルエーテル類;またはこれら上掲の各種のビニルエーテルと、ε-カプロラクトンとの付加反応生成物;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アリルエーテル、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル、4-ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、3-ヒドロキシブチル(メタ)アリルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル(メタ)アリルエーテル、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アリルエーテルもしくは6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アリルエーテルのような、種々の水酸基含有アリルエーテル;またはこれら上掲の各種のアリルエーテルと、ε-カプロラクトンとの付加反応生成物;
あるいは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートもしくはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのような、種々の水酸基含有(メタ)アクリレート類;またはこれら上掲の各種の(メタ)アクリレートと、ε-カプロラクトンの付加反応主成分
【0080】
本発明の表面調整剤は重量平均分子量が3000~500000である。この範囲を外れると表面調整剤としての平滑性、消泡性等の基本となる特性が十分に保てない。本発明の表面調整剤の重量平均分子量は、実施例に記載した方法によって測定した値である。
【0081】
本発明においては、上述した(A)~(C)の各種単量体を必要に応じて組み合わせ、重合させることによって、所望の表面調整剤を得ることができる。
【0082】
更に、本発明の表面調整剤は、水酸基を有さないものであることが好ましい。水酸基を有するものとすると、溶解度パラメータを適切な範囲内に調整することが困難となり、本発明の目的に好適に使用することができない点で好ましくない。
【0083】
上記表面調整剤は、その製造方法を特に限定されるものではなく、公知の方法により重合することによって製造することができる。より具体的には、有機溶媒中での溶液重合法、水中での乳化重合法、水中でのミニエマルション重合法、水溶液重合法、懸濁重合法、UV硬化法等の重合方法を挙げることができる。
【0084】
本発明の表面調整剤は、塗膜形成において、塗膜形成樹脂の上層部に偏在することとなるものであることが好ましい。このような観点から、溶解度パラメータが7.6~12.0であることが好ましい。表面調整剤としてより具体的には、レベリング剤、消泡剤とも呼ばれるような添加剤を包含する。
【0085】
上記表面調整剤の重量平均分子量の範囲は、レベリング剤では3,000~100,000であることがより好ましく、3,000~60,000であることが更に好ましい。消泡剤では10,000~500,000であることがより好ましく、10,000~400,000であることが更に好ましい。上記成分(X)の重量平均分子量の下限は、3,000であることがより好ましく、5,000であることが更に好ましい。
【0086】
本発明の表面調整剤を添加した熱硬化性樹脂組成物は、水酸基を有する樹脂又は樹脂組成物(X)を含有することが好ましい。水酸基が存在することで、水酸基と構成単位(B)のアルキルエステル基に基づくエステル交換反応を生じさせることができ、これによって、本発明の効果を好適に発現することができる。本発明の表面調整剤は、熱硬化性樹脂組成物としての主剤となる水酸基を有する樹脂又は樹脂組成物(X)に対する添加剤として好適に使用されるものである。このような熱硬化性樹脂組成物も本発明の一つである。
【0087】
本発明の表面調整剤を熱硬化性樹脂組成物への添加剤として使用する場合、その配合量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分樹脂成分全量に対して0.1~2.0重量%であることが好ましい。上記下限は、0.1重量%であることがより好ましく、0.2重量%であることが更に好ましい。上記上限は、2.0重量%であることがより好ましく、1.0重量%であることが更に好ましい。
【0088】
上記樹脂又は樹脂組成物(X)として使用することができる水酸基を含有する化合物としては特に限定されず、このような目的で一般的に使用される各種ポリオールを挙げることができる。このようなポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらは、公知の任意のものを使用することができる。
【0089】
上記樹脂又は樹脂組成物(X)は、このようなポリオール中の水酸基と反応する硬化剤又は硬化性官能基を有するものであることが好ましい。すなわち、ポリオール中に、硬化剤を添加するものであってもよいし、ポリオール樹脂中に水酸基と反応するような官能基を有するものであってもよい。
【0090】
上述した水酸基を有する熱硬化性樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、イソシアネート化合物、メラミン樹脂、シラン化合物等を硬化剤として配合する組成物を挙げることができる。さらに、国際公開2019/054136、国際公開2019/069398、国際公開2019/139069、国際公開2021/095202、国際公開2021/132251等に開示されたような、水酸基とアルキルエステル基とのエステル交換反応に基づく熱硬化性樹脂組成物であってもよい。
【0091】
本発明の樹脂又は樹脂組成物(X)は、単一の樹脂であっても、複数種の樹脂の混合物のいずれであってもよい。いずれの場合であっても、樹脂又は樹脂組成物中に水酸基が存在するものである。
【0092】
より具体的には、樹脂又は樹脂組成物(X)は、水酸基含有樹脂と硬化剤との混合物であってもよいし、同一の樹脂中に水酸基と反応する官能基及び水酸基の両方を有するものであってもよい。
【0093】
このようなポリオールと併用して使用することができる硬化剤としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
【0094】
ポリイソシアネート化合物
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、該ポリイソシアネートの誘導体等を挙げることができる。
【0095】
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル(慣用名:リジンジイソシアネート)等の脂肪族ジイソシアネート;2,6-ジイソシアナトヘキサン酸2-イソシアナトエチル、1,6-ジイソシアナト-3-イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8-トリイソシアナトオクタン、1,6,11-トリイソシアナトウンデカン、1,8-ジイソシアナト-4-イソシアナトメチルオクタン、1,3,6-トリイソシアナトヘキサン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアナト-5-イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0096】
上記脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(慣用名:イソホロンジイソシアネート)、4-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート(慣用名:水添TDI)、2-メチル-1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-もしくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(慣用名:水添キシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物、メチレンビス(4,1-シクロヘキサンジイル)ジイソシアネート(慣用名:水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5-トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2-(3-イソシアナトプロピル)-2,5-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2-(3-イソシアナトプロピル)-2,6-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3-(3-イソシアナトプロピル)-2,5-ジ(イソシアナトメチル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)-ヘプタン、6-(2-イソシアナトエチル)-2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0097】
上記芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンビス(4,1-フェニレン)ジイソシアネート(慣用名:MDI)、1,3-もしくは1,4-キシリレンジイソシアネート又はその混合物、ω,ω'-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(慣用名:テトラメチルキシリレンジイソシアネート)もしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5-トリイソシアナトメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等を挙げることができる。
【0098】
上記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート(慣用名:2,4-TDI)もしくは2,6-トリレンジイソシアネート(慣用名:2,6-TDI)もしくはその混合物、4,4'-トルイジンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4',4''-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン等の芳香族トリイソシアネート;4,4'-ジフェニルメタン-2,2',5,5'-テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等を挙げることができる。
【0099】
また、上記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、ウレトジオン、ウレトイミン、イソシアヌレート、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等を挙げることができる。
【0100】
ポリイソシアネート化合物としては、基材との密着性及び耐冷熱負荷性等の観点から、上記脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらの誘導体を好適に使用することができる。
【0101】
また上記ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート及びその誘導体と、該ポリイソシアネートと反応し得る化合物とを、イソシアネート基過剰の条件で反応させてなるプレポリマーを使用してもよい。該ポリイソシアネートと反応し得る化合物としては、例えば、水酸基、アミノ基等の活性水素基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、アミン、水等を使用することができる。
【0102】
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーの重合体、又は該イソシアネート基含有重合性不飽和モノマーと該イソシアネート基含有重合性不飽和モノマー以外の重合性不飽和モノマーとの共重合体を使用してもよい。
【0103】
また、上記ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基がブロック剤でブロックされたポリイソシアネート化合物、いわゆるブロック化ポリイソシアネート化合物であってもよい。
【0104】
上記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等のフェノール系;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N-フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等アミン系;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系;N-フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾール、4-ベンジル-3,5-ジメチルピラゾール、4-ニトロ-3,5-ジメチルピラゾール、4-ブロモ-3,5-ジメチルピラゾール、3-メチル-5-フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾールまたはイミダゾール誘導体;2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0105】
なかでも、好ましいブロック剤としては、オキシム系のブロック剤、活性メチレン系のブロック剤、ピラゾール又はピラゾール誘導体が挙げられる。
【0106】
ブロック化を行なう(ブロック剤を反応させる)にあたっては、必要に応じて溶剤を添加して行なうことができる。ブロック化反応に用いる溶剤としてはイソシアネート基に対して反応性でないものが良く、例えば、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)のような溶剤を挙げることができる。
【0107】
メラミン樹脂
本発明において使用することができるメラミン樹脂としては特に限定されず、硬化剤として一般的に使用されている任意のものを使用することができる。メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を、メチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、及びメチルアルコールとブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチル-ブチル混合エーテル化メラミン樹脂等のアルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましい。このような、アルキルエーテル化メラミン樹脂は、硬化
性能が優れる点で特に好ましいものである。
【0108】
エポキシ化合物
本発明において使用することができるエポキシ化合物としては特に限定されず、例えば、エポキシ基含有アクリル樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物等の公知の任意のエポキシ化合物を挙げることができる。
【0109】
上記エポキシ基含有アクリル樹脂は、エポキシ基当量が50~700であるエポキシ基含有アクリル樹脂であることが好ましい。また、1分子中にエポキシ基を平均で2個以上、好ましくは2~10個、より好ましくは3~8個有するものであることが好ましい。
【0110】
上記エポキシ基含有アクリル樹脂の数平均分子量は200~10000であることが好ましい。より好ましくは500~8000、より好ましくは800~5000である。数平均分子量は、塗膜の十分な硬化性を考慮すると大きい方が好ましく、得られる塗料の固形分を多くするためには小さい方が好ましい。また、エポキシ基当量は50~700、好ましくは80~600、より好ましくは100~500である。エポキシ基当量は、塗膜の十分な硬化性を考慮すると小さい方が好ましく塗膜のもろさを考慮すると大きい方が好ましい。
【0111】
上記エポキシ基含有アクリル樹脂(B)は、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー10~60質量%、好ましくは15~50質量%とエポキシ基を有しないエチレン性不飽和モノマー40~90質量%、好ましくは50~85質量%とを、共重合することにより得られるアクリル系ポリエポキシドであることが好ましい。エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーの量は、塗膜の十分な硬化性を考慮すると多い方が好ましく、塗膜の耐候性を考慮すると少ない方が好ましい。
【0112】
エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート及び3,4-エポキシシクロヘキサニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。バランスのとれた硬化性と貯蔵安定性を示す塗料を調製するためには、グリシジル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。エポキシ基を有しないエチレン性不飽和モノマーとしては、以下で詳述する各種不飽和基含有単量体が挙げられる。
【0113】
更に、水酸基含有単量体を上記エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーと併用して使用した場合、当該水酸基は、以下で詳述するエステル交換反応と関与することができるものとなる。したがって、より好適に高架橋密度を得ることができる点で好ましいものである。更に、エポキシ基は水酸基とも反応することができるものであることから、良好な架橋密度を得る意味でも好ましいものである。
【0114】
上記酸基含有アクリル樹脂が更に水酸基も有するものである場合、ここで使用することができる水酸基含有単量体は、以下で詳述する「樹脂成分(B)」において例示される水酸基含有単量体を挙げることができる。
【0115】
上記エポキシ基含有アクリル樹脂が、水酸基を有するものである場合、エポキシ基含有アクリル樹脂の水酸基価は5~300mgKOH/g、好ましくは10~200mgKOH/g、より好ましくは15~150mgKOH/gである。水酸基価が300を超えると、塗料固形分が低下したり硬化塗膜の耐水性が十分でなく、5未満では密着性に劣る。
【0116】
特に好ましいエポキシ基含有アクリル樹脂は、水酸基含有エチレン性不飽和モノマー5~70質量%と、(ii)エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー10~60質量%と、必要に応じて(iii)水酸基とエポキシ基の両者を有しないエチレン性不飽和モノマー0~85質量%とを共重合することにより得ることができる。
この場合、エポキシ基含有アクリル樹脂は、1分子中にエポキシ基を平均で好ましくは2~12個、より好ましくは3~10個、及び水酸基を平均で好ましくは0.5~10個、より好ましくは1~8個有する。
なお、ここで使用することができる水酸基含有単量体は、以下で詳述する「樹脂成分(B)」において例示される水酸基含有単量体を使用することができる。
【0117】
更に、エポキシ基を含有する樹脂として、上述したエポキシ基含有アクリル樹脂以外のものとしては、ノボラック型ポリエポキシ、エピクロルヒドリン-ビスフェノール型ポリエポキシ、ブタンジオールジグリシジルエーテル、1.6-ヘキサンシオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどの如きポリグリコールエーテル型エポキシ化合物、フタル酸ジグリシジルエステルなどの如き多価カルボン酸エステル型エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレートなどの如きイソシアヌレート型エポキシ化合物、エポキシ化大豆油などの如きエポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ基含有ラジカル重合性不飽和モノマー(例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなど)等を挙げることができる。
【0118】
上記硬化剤として、エポキシ化合物を使用する場合、同時にカルボン酸基を有する化合物を併用し、酸エポキシ硬化樹脂組成物とすることが好ましい。ここで使用することができるカルボン酸を有する化合物としては、酸価が50~300mgKOH/g(固形分)であるカルボキシル基とカルボン酸エステル基を含有する酸基含有アクリル樹脂等を挙げることができる。また、上述したエポキシ基を含有する化合物がカルボキシル基も有する化合物とするものであってもよい。更に、水酸基も含有するものであってもよい。
【0119】
酸基含有アクリル樹脂は、酸基を有するものであれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0120】
更に、上記酸基含有アクリル樹脂は、酸無水物基を有するアクリル樹脂とモノアルコールとを反応させることにより得られたものであってもよい。
酸無水物基を有するアクリル樹脂は、例えば、酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマー好ましくは15~40質量%、より好ましくは15~35質量%と、酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマー好ましくは60~85質量%、より好ましくは65~85質量%とを共重合させることにより得られる。酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマーの量が15質量%を下回ると硬化性が不足し、40質量%を上回ると得られる塗膜が固くもろくなりすぎて耐候性が不足する傾向がある。酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、無水イタコン酸、無水マレイン酸及び無水シトラコン酸等が挙げられる。
【0121】
酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマーは酸無水物基に悪影響を与えないものであれば特に限定されず、エチレン性不飽和結合を一つ有する炭素数3~15、特に3~12のモノマーであることが好ましい。具体例として、スチレン、α-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、及び、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリィブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等の(メタ)アクリル酸エステル類、並びに、シェル社製のVeoVa-9及びVeoVa-10等が挙げられる。また、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸及びマレイン酸のようなカルボキシル基を有するモノマーも挙げられる。中でも、ε-カプロラクトン2モル変性アクリル酸〔東亞合成化学工業(株)製、アロニックスM-5300、分子量300〕のようなエチレン性不飽和基とカルボキシル基との間に炭素数5~20個程度分のスペーサー部分を有する長鎖カルボン酸モノマーを用いれば、塗膜の耐擦傷性が向上し、特に好ましい。
【0122】
この酸無水物基含有アクリル樹脂は、例えば、水酸基含有単量体と酸無水物基含有化合物とを、水酸基と酸無水物基とがモル比で1/0.5~1/1.0、好ましくは1/0.8~1/1.0となる割合の量でハーフエステル化反応させることにより得られるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーと、酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマーとを共重合させることにより得られる。上述の水酸基と酸無水物基とのモル比が1/0.5を超えるとポリマー粘度が高くなり作業性不良となる。1/1.0未満になると過剰の酸無水物基含有化合物が残り、塗膜の耐水性が低下する。
【0123】
ここで用いる酸無水物基含有化合物の具体例として、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水コハク酸等が挙げられ、併用することもできる。水酸基含有エチレン性不飽和モノマーと酸無水物基含有化合物とのハーフエステル化の反応は通常の方法に従い、室温から150℃の温度で行なわれる。
酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマーと酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマーとの共重合、及び、上述のモノマーと酸無水物基を有しないエチレン性不飽和モノマーとの共重合は、例えばラジカル重合等の溶液重合のような公知の方法により行われる、例えば、常圧または加圧下で重合温度100~200℃、重合時間3~8時間で行うことができる。開始剤としてはアゾ系またはパーオキサイド系の開始剤が好適に用いられる。連鎖移動剤のような他の添加剤も用いうる。
【0124】
得られるポリマーの数平均分子量は好ましくは500~8000、より好ましくは800~6000、特に好ましくは1500~4000である。数平均分子量が8000を上回ると樹脂同士の相溶性が低下し、外観が低下する。数平均分子量が500を下回ると樹脂組成物の硬化性が不充分となる。得られるポリマーは1分子中に平均で少なくとも2個、好ましくは2~15個の酸無水物基を有する、1分子中に含有される酸無水物基が2個を下回ると、樹脂組成物の硬化性が不充分となる。15個を上回ると固くもろくなりすぎ、耐候性が不足する。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、スチレンポリマー標準により換算値として得ることができる。
【0125】
次いで、得られた酸無水物基を有するアクリル樹脂を、酸無水物基と水酸基とがモル比で1/10~1/1、好ましくは1/5~1/1、より好ましくは1/2~1/1となる割合の量でモノアルコールと反応させることにより、カルボキシル基とカルボン酸エステル基とを有する酸基含有アクリル樹脂を調製する。このモル比が1/10を下回ると過剰のアルコールが多すぎて硬化時にワキの原因となり、1/1を上回ると未反応の無水物基が残り、貯蔵安定性が悪くなる。
【0126】
上記モノアルコールは、1~12個、特に1~8個の炭素原子を有することが好ましい。
酸基含有アクリル樹脂を加熱するとこれらのアルコール成分が容易に脱離し揮発するので、酸無水物基の再生が容易である。好ましいモノアルコールとしては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、n-ヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、フリフリルアルコール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、アセトール、アリルアルコール及びプロパルギルアルコール等が挙げられ、併用することもできる。特に好ましいものはアセトール、フリフリルアルコール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、エタノール及びメタノールである。
【0127】
得られる酸基含有アクリル樹脂の酸価は50~300mgKOH/gであり、好ましくは50~250mgKOH/gである。酸価が50mgKOH/gを下回ると塗膜の硬化性が不足となり、300mgKOH/gを上回ると中塗塗料の貯蔵安定性が不良となるので好ましくない。
【0128】
酸基含有アクリル樹脂成分は、熱硬化性樹脂組成物の全固形分の質量を基準として10~70質量%、好ましくは15~50質量%、より好ましくは20~45質量%の割合で熱硬化性樹脂組成物に配合される。この配合量は、塗膜の耐酸性を考慮すると多い方が好ましく、硬化物のもろさを考慮すると少ない方が好ましい。
【0129】
アルコキシシラン化合物
本発明において使用することができるアルコキシシラン化合物としては特に限定されず、水酸基と反応を生じることで、架橋することができるSi-OR基を有する化合物を挙げることができる。より具体的には、
【0130】
【化19】
Si(R
a)
n(OR
b)
4-n
(R
aは、置換基を有していてもよい炭素数1~50のアルキル基を表す。
R
bは、炭素数1~4のアルキル基を表す。
nは、0~2の整数を表す)
及びその低分子縮合物を挙げることができる。
【0131】
上記アルコキシシラン化合物としては、アルコキシ基に加えてビニル基、エポキシ基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、メルカプト基等の官能基を有する珪素化合物であってもよい。これらは、アルコキシシランとも呼ばれる化合物であり、このような化合物も本発明のアルコキシシラン化合物として好適に使用することができる。
このようなアルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン化合物;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物;β-カルボキシルエチルフェニルビス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-β-(N-カルボキシルメチルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシ含有アルコキシシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基含有アルコキシシラン化合物;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有アルコキシシラン化合物等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
【0132】
上述した官能基を有さないアルコキシシラン化合物としては、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0133】
上記ジアルコキシシランとしては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジプロポキシジメチルシラン、ジプロポキシジエチルシラン、ジプロポキシジプロピルシラン、ジプロポキシジフェニルシラン、ジブトキシジメチルシラン、ジブトキシジエチルシラン、ジブトキシジブチルシラン、ジブトキシジフェニルシラン等が挙げられる。
【0134】
上記トリアルコキシシランとしては、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシエチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、トリメトキシブチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシブチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、トリプロポキシメチルシラン、トリプロポキシプロピルシラン、トリプロポキシフェニルシラン、トリブトキシフェニルシラン等が挙げられる。
【0135】
上記テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン及びジメトキシジエトキシシランなどが挙げられる。
【0136】
上記アルコキシシランのうち、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランが架橋性などの点から好ましい。
【0137】
これらアルコキシシランのアルコキシ基としては特に限定されず、例えば、炭素数が1~4のアルコキシ基が挙げられ、好ましくは炭素数1~3、さらに好ましくは炭素数1~2である。
【0138】
ジ-、トリ-及びテトラ-アルコキシシランのうちの少なくとも1種の低縮合体は、モノ-、ジ-、トリ-及びテトラ-アルコキシシランの単独のアルコキシシランの低縮合体であっても2種以上のアルコキシシランの低縮合体であってもよい。上記低縮合体は、重合度が10以下、特に2~6程度であることが好適である。また、このような低縮合体においては、一部にモノ-アルコキシシランを使用したものであってもよい。
【0139】
また、アルコキシシリル基と重合性不飽和基の両方を有する化合物も多く知られている。したがって、当該アルコキシシリル基と重合性不飽和基の両方を有する化合物を一部又は全部とする重合体も本発明において使用することができる。
【0140】
γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ(メタ)アクリロキシプロピルトリシラノール、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシランなどの如きシラン化合物(d-1):該シラン化合物(d-1)及びトリアルコキシ又はトリヒドロキシシラン化合物(例えばメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリシラノール)との反応物(d-2)(例えば特開平2-160879号公報に記載されるポリシロキサン系マクロモノマー)の単独重合体もしくはその他の重合性不飽和単量体(b)との共重合体などが好適に使用できる。
【0141】
上記硬化剤がポリイソシアネート化合物及び/又はメラミン樹脂である場合、樹脂成分(B)と硬化剤との合計量に対する配合量(すなわち、(硬化剤量)/(硬化剤量+樹脂成分量)が0.01~50重量%であることが好ましい。このような配合量の範囲であることで、エステル交換反応による硬化反応と他の硬化剤による硬化反応とを同時に生じさせるという点で好ましい。上記下限は、0.01重量%であることがより好ましく、1重量%であることが更に好ましい。上記上限は、30重量%であることがより好ましく、20重量%であることが更に好ましい。
【0142】
上記硬化剤がアルコキシシラン化合物である場合、(硬化剤量)/(硬化剤量+樹脂成分量)が0.001~10重量%であることが好ましい。このような配合量の範囲であることで、エステル交換反応による硬化反応と他の硬化剤による硬化反応とを同時に生じさせるという点で好ましい。
【0143】
本発明においては、上記硬化剤の配合割合が、(硬化剤量)/(硬化剤量+樹脂成分量)が、1~20重量%という比較的低い割合で使用した場合であっても、充分な硬化性能を生じるものである。これは樹脂成分(B)による硬化が優先的に進み、硬化剤による硬化反応が補助的に進むことによって、硬化反応が促進されているためであると推測される。
【0144】
上記硬化剤は、上述したポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、エポキシ化合物及びアルコキシシラン化合物の2種以上を併用するものであっても差し支えない。
【0145】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤として上述したポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、エポキシ化合物及びアルコキシシラン化合物を使用する場合、ポリオールは、上述した構成単位(B)を分子中に有さないことが好ましい。これらの硬化剤によって硬化は充分に進行するため、構成単位(B)を樹脂又は樹脂組成物(X)中に存在させることの利点がないためである。
【0146】
更に、本発明の重合体を配合する熱硬化性樹脂組成物は、国際公開2021/132251、国際公開2021/172307、国際公開2021/095202、国際公開2020/204089、国際公開2019/139069、国際公開2019/069783、国際公開2019/054136等の先行文献に記載されたような、エステル交換反応を硬化反応とする熱硬化性樹脂組成物であってもよい。
【0147】
この場合、樹脂又は樹脂組成物(X)は、水酸基及びアルキルエステル基を有するものである。熱硬化性樹脂組成物として使用することができる程度にエステル交換反応を容易に生じさせる場合には、上述した各文献に記載されたような成分によって、樹脂又は樹脂組成物(X)にアルキルエステル基を導入することが好ましい。
これらについて、以下詳述する。
【0148】
(1)上述した一般式(4)で表される単量体に由来する構成単位を一部に有する重合体
このような構成単位に基づくエステル基がエステル交換反応を生じやすいことは、上述した通りである。したがって、このような重合体を上記樹脂又は樹脂組成物(X)の一部として含むことが好ましい。
【0149】
なお、このような重合体は、さらに水酸基を有するものであることが好ましい。すなわち、同一の樹脂中に水酸基及び上述した一般式(4)で表される単量体に由来する構成単位を有するものであることが好ましい。
【0150】
(2)下記一般式で表される構造を分子中に2以上有する化合物
【0151】
(3)エステル化合物
本発明において使用される樹脂成分(A)としては、アルキルエステル基を有するエステル化合物を使用することもできる。上記エステル化合物としては、例えば、以下に例示したものを挙げることができる。
【0152】
(3-1)(活性メチレン基を有する化合物と、ビニル基との付加反応によって得られる化合物)
下記一般式(61)で表される活性メチレン基を有する化合物は、ビニル基との付加反応を生じる。
【0153】
【化20】
(式中、R
14は、炭素数50以下のアルキル基を表す。
Xは、OR
14基又は炭素数5以下の炭化水素基を表す)
【0154】
上記アルキルエステル基はその構造を特に限定されるものではないが、メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、n-プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n-ブチルエステル基、イソブチルエステル基、sec-ブチルエステル基等の、公知のエステル基を有するものを使用することができる。
【0155】
このような活性メチレン基を有する化合物として具体的には、マロン酸エステル及びアセト酢酸エステル等を挙げることができる。これらの化合物をビニル化合物に付加させて得られた化合物を使用することができる。
【0156】
活性メチレン基を有する化合物は、マイケル付加反応によって二重結合に付加することができる。このような活性メチレン基を有する化合物による一般的なマイケル付加反応を下記式で示す。
【0157】
【0158】
このような反応によって得られた化合物は、一般式(61)で表される構造を有するものであり、これは2以上のアルキルエステル基を有する化合物であることから、本発明の目的において特に好適に使用することができる。特に、上記一般式のビニル化合物として、(メタ)アクリル酸又はその誘導体を使用した場合は、
【0159】
【化22】
との反応を生じることとなる。
上記一般式中、R
14は、炭素数50以下のアルキル基を示す。
R
20は、水素又はメチル基を示す。
R
19は、特に限定されず、目的に応じて任意の官能基とすることができる。
このような反応によって得られたエステル化合物は、
【0160】
【化23】
の構造で表される構成単位を分子中に有することとなる。
【0161】
上述した反応において、原料として、2以上の不飽和結合を有するアクリル酸誘導体を使用することで、上述した一般式(64)で表される構造を分子中に2以上有するエステル化合物とすることもできる。
すなわち、当該官能基を有する、
【0162】
【化24】
の一般式で表される構造を有する化合物を本発明において好適に使用することができる。
このような化合物は、エステル交換反応性が高く、多くのCOOR基を分子中に有するために良好な硬化性を得ることができる点で好ましいものである。
上記一般式におけるnは、2~12であることが最も好ましい。また、Yは、当該化合物の分子量が3000以下となるような構造であれば特に限定されず、水酸基、エステル基、エーテル基、等の任意の官能基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0163】
活性メチレン基を有する化合物エステルに由来する構造を有する化合物は、多く知られているが、上記構造を有する化合物は、マロン酸エステルとビニル基の付加反応が進行し易く、合成が容易であり、出発原料を選ぶことでエステル基の数を調整できるため、硬化性能や硬化後の樹脂の性能を容易に調整できるという点で特に好ましい。
具体的には、マロン酸ジメチル、マロン酸ジn-ブチル等を好適に使用することができる。
【0164】
このような化合物は、各種の1以上の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体を原料として、活性メチレン基を有する化合物とのマイケル付加反応を行うことで得られるものである。上記「1以上の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体」としては特に限定されるものではないが、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
【0165】
官能基数1の(メタ)アクリレートの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0166】
官能基数2の(メタ)アクリレートの例は、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジ(メタ)アクリレート(DCP-A)、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(共栄社化学社製;ライトアクリレートBP-4EA、BP-10EA)ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート(共栄社化学社製;BP-4PA、BP-10PA等)を含む。なかでも、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート(共栄社化学社製;BP-4PA)、ジメチロールートリシクロデカンジ(メタ)アクリレート(DCP-A)等を好ましく用いることができる。
【0167】
官能基数3の(メタ)アクリレートの例は、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を含む。なかでも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等を好ましく用いることができる。
【0168】
官能基数4の(メタ)アクリレートの例は、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を含む。なかでも、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができる。
【0169】
官能基数4以上の(メタ)アクリレートの例は、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物のヘキサ(メタ)アクリレートなど多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0170】
上述したような化合物(3)に該当する化合物の具体例を以下に示す。
【0171】
【化25】
式中Rは、炭素数50以下のアルキル基を表す。
【0172】
上記化合物(3)は、架橋点となるアルキルエステルが分子中に3以上存在するものであることが好ましい。すなわち、分子中のアルキルエステル基の数が多いほど、硬化後の樹脂の架橋密度が高いものとなるため、硬化物の硬度が良好となり、優れた物性の硬化物が得られる点で好ましい。
アルキルエステルは、分子中に5以上あることがより好ましい。
【0173】
このような化合物の水性媒体への溶解又は分散は、水溶性溶剤に希釈して加える方法や、乳化剤を使用した乳化、分散によって行うことができる。この場合、併用するその他の成分と混合した後で、乳化剤によって乳化分散する方法や、上記化合物のみを乳化剤によって乳化分散させた分散体を調製し、これをその他の成分と混合する方法等を挙げることができる。また、乳化分散に使用する設備としては、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、ディスパーミキサー、リボンミキサー、プロペラミキサー、高圧乳化などの方法がある。
【0174】
(3-2)多官能カルボン酸のアルキルエステル化物
多官能カルボン酸と、アルコールとの反応によって得られる化合物も本発明のアルキルエステル基を有する化合物として使用することができる。このような反応は、下記一般式で表すことができる。
【0175】
【0176】
なお、同様の反応をカルボン酸誘導体に対して行うことで得られたアルキルエステル基を有する化合物も同様に本発明の目的に使用することができる。
【0177】
各種の多官能カルボン酸は、ポリエステル原料、ポリアミド原料、中和剤、合成原料その他の多くの用途において幅広く安価に提供される汎用原料である。このような多官能カルボン酸を公知の方法によってアルキルエステル化した化合物も本発明において使用することができる。
【0178】
このような化合物を、アルキルエステル基を有する化合物として使用すると、公知の方法で安価にエステル化することができ、比較的低分子量で多価エステル基を導入することができる。また、エステル化することで有機溶剤への相溶性が良くなり好適に使用することができるという点で好ましい。
【0179】
ここで使用する多官能カルボン酸としては特に限定されず、例えば、炭素数が50以下のものを使用することができる。
より具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10-フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-4-エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸;等を挙げることができる。
【0180】
本発明においては、上述した多官能カルボン酸のアルキルエステル化の方法は特に限定されるものではなく、アルコールとの脱水縮合等の公知の方法を適用することができる。また、多官能カルボン酸の誘導体をアルキルエステル化する方法も挙げることができる。
【0181】
上記多官能カルボン酸のアルキルエステル化物は、分子量が10,000以下であることが好ましい。このようなものとすることで、分子が動きやすく硬化が進行する点で好ましいものである。分子量は6,000以下、4,000以下、2,000以下といった、より低分子量のものとすることもできる。
【0182】
(3-3)一般式(31)で表される官能基を2以上有する化合物
上述した一般式(31)で表される官能基を2以上有する化合物も本発明において使用することができる。
【0183】
一般式(31)で表される官能基については、詳細に上述した。このような官能基は、一般式(32)で表される化合物を、カルボン酸と反応させることによって形成される。したがって、各種の公知のポリカルボン酸を上述した一般式(32)で表される化合物と反応させると、上記一般式(31)で表される官能基を2以上有する化合物を得ることができる。さらに、水酸基を有するヒドロキシカルボン酸と反応させると、水酸基及び一般式(32)を有する化合物となり、これもまた、エステル交換による硬化反応を行う熱硬化性樹脂組成物の成分として使用することができる。
【0184】
上記化合物は、本発明の熱硬化性樹脂組成物において使用するには、2以上の官能基を有する化合物であることが好ましく、2以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸、カルボキシル基及び水酸基とを有するヒドロキシカルボン酸等を使用することができる。
【0185】
各種のポリカルボン酸は、ポリエステル原料、ポリアミド原料、中和剤、合成原料その他の多くの用途において幅広く安価に提供される汎用原料である。このようなポリカルボン酸を公知の方法によって上述した一般式(32)で表される官能基に変換した化合物も本発明において使用することができる。
【0186】
このような化合物を一般式(32)で表される官能基を有する化合物として使用すると、公知の方法で安価にエステル化することができ、比較的低分子量で多価エステル基を導入することができる。また、エステル化することで有機溶剤への相溶性が良くなり好適に使用することができるという点で好ましい。
【0187】
ここで使用するポリカルボン酸としては特に限定されず、例えば、炭素数が50以下のものを使用することができる。
より具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;
1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;
ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10-フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-4-エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸;
等を挙げることができる。
【0188】
上記ポリカルボン酸のカルボン酸基を上記一般式(31)で表される構造に置換した化合物は、分子量が10,000以下であることが好ましい。このようなものとすることで、分子が動きやすく硬化が進行する点で好ましいものである。分子量は6,000以下、4,000以下、2,000以下といった、より低分子量のものとすることもできる。
【0189】
なお、このような化合物の一例として、ポリカルボン酸としてクエン酸を使用して、上述した反応を行った場合の化合物の一般構造を以下に示す。
【0190】
【0191】
(3-4)一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を2以上有する化合物
一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を有する化合物は、上述したような製造方法によって得ることができる。
このような官能基を2以上有する化合物や、このような官能基及び水酸基を有する化合物は、エステル交換反応を硬化反応とする樹脂組成物の成分として好適に使用することができる。
【0192】
一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を有する化合物は、硬化性樹脂組成物における硬化性官能基として使用するものである。したがって、2以上の官能基を有する化合物であることが好ましい。より具体的には、上記一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を2以上有するものであってもよいし、上述した一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基で表される官能基に加えて、更に、水酸基等を有するものであってもよい。
【0193】
上述したように、各種エポキシ化合物に対して、一般式(51)で表される反応又は一般式(54)で表される反応を行うことによって、上記一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を導入することができる。
したがって、公知のエポキシ化合物に対して、上記一般式(54)で表される反応を行うことで得られた化合物も、本発明において使用することができる。
このような反応に使用することができるエポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族系多官能液状エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールの誘導体エポキシ樹脂、ナフタレン骨格又は脂環式骨格含有ノボラック系エポキシ樹脂等が挙げられ、オキシラン環がグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂などを挙げることができる。上記エポキシ化合物は、1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であることが好ましい。
【0194】
更に、上述したようにカルボン酸又はその誘導体に対して一般式(53)で表される反応を行うことによって、エポキシ化合物を得ることができる。
そして、当該エポキシ化合物に対して、上記一般式(51)及び/又は一般式(54)で表される反応を行うことで、一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を有する化合物を得ることができる。したがって、各種のポリカルボン酸やヒドロキシカルボン酸に対して上述した反応を行うことによって、このような官能基を2以上有する化合物や、このような官能基及び水酸基を有する化合物を得ることができる。
【0195】
上記反応によって一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を有する化合物とする際の原料とすることができるポリカルボン酸としては、特に限定されず例えば、炭素数が50以下のものを使用することができる。
より具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;
1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;
ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10-フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;等を挙げることができる。
【0196】
上記反応によって一般式(41)で表される官能基及び/又は一般式(42)で表される官能基を有する化合物とする際の原料とすることができるカルボキシル基及び水酸基を有するヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、クエン酸、乳酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-4-エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸;
等を挙げることができる。
【0197】
このような化合物の具定例として、例えば、以下に表すような構造を有する化合物を挙げることができる。
【0198】
【0199】
(3-5)シアヌル酸系エステル化合物
本発明において使用されるアルキルエステル基を有するエステル化合物として、例えば、以下に例示したシアヌル酸系エステル化合物を挙げることができる。
【0200】
その1つは、下記一般式(71)で表されるイソシアヌル酸環を有するエステル化合物である。
【0201】
【化29】
(式中、R
1は、水素又はR
2-COOR
3で表される構造。
R
2は、主鎖の原子数が50以下であり、主鎖中にエステル基、エーテル基、アミド基、ウレタンからなる群より選択される1又は2以上の官能基を有していてもよく、側鎖を有していてもよい炭化水素基。
R
3は、炭素数50以下のアルキル基。)
【0202】
上記一般式(71)で表されるエステル化合物は、2又は3のアルキルエステル基を有するものであり、エステル交換反応性において特に優れるものとすることができる。このため、硬化開始温度が130℃以下であり、150℃30分焼付という条件で硬化させたときのゲル分率が80%以上という樹脂組成物を得る上では、特に好ましいものである。
【0203】
上記一般式(71)で表される単量体は、R3が1級又は2級アルキルエステル基を有するものであることがより好ましい。このような単量体に由来する1級又は2級アルキルエステル基は、水酸基との反応を生じやすく、このため本発明の目的を充分に達成することができる。
【0204】
上記アルキルエステル基としては特に限定されず、メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、n-プロピルエステル基、イソプロピルエステル基、n-ブチルエステル基、イソブチルエステル基、sec-ブチルエステル基等の、公知のエステル基を有するものを使用することができる。なお、アルキル基は炭素数50以下のものとすることが好ましい。上記アルキル基は、エステル交換反応中にアルコールとして生成され、揮散することが好ましいため、アルキル基としては炭素数が20以下のものであることがより好ましく、10以下であることが更に好ましい。また、硬化反応において揮発するアルコールの沸点が300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることが更に好ましい。
【0205】
上記一般式(71)で表されるエステル化合物の製造方法としては特に限定されないが、例えば、その1つとして、シアヌル酸に対して、ハロゲン化カルボン酸エステルを反応させる方法を挙げることができる。これを一般式で表すと下記のような反応となる。
【0206】
【化30】
(式中、R
3は、炭素数50以下のアルキル基。
R
4は、炭素数50以下のアルキレン基。
Xは、ハロゲン元素)
【0207】
上述した反応で使用するハロゲン化カルボン酸エステルとしては、公知の任意のものを挙げることができ、例えば、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸プロピル、クロロ酢酸イソプロピル、2-クロロプロピオン酸メチル、2-クロロプロピオン酸エチル、2-クロロプロピオン酸プロピル、2-クロロプロピオン酸イソプロピル、2-クロロ酪酸メチル、2-クロロ酪酸エチル、2-クロロ酪酸プロピル、2-クロロ酪酸イソプロピル、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸プロピル、ブロモ酢酸イソプロピル、2-ブロモプロピオン酸メチル、2-ブロモプロピオン酸エチル、2-ブロモプ
ロピオン酸プロピル、2-ブロモプロピオン酸イソプロピル、2-ブロモ酪酸メチル、2-ブロモ酪酸エチル、2-ブロモ酪酸プロピル、2-ブロモ酪酸イソプロピル、ヨード酢酸エチル、ヨード酢酸プロピル、ヨード酢酸イソプロピル、2-ヨードプロピオン酸メチル、2-ヨードプロピオン酸エチル、2-ヨードプロピオン酸プロピル、2-ヨードプロピオン酸イソプロピル、2-ヨードブタン酸メチル、2-ヨードブタン酸エチル、2-ヨードブタン酸プロピル、2-ヨードブタン酸イソプロピル等が挙げられる。
上記反応は周知の一般的な反応であり、その反応条件などは一般的な条件によって行うことができる。
【0208】
また、上記一般式(71)で表されるエステル化合物の他の製造方法としては、イソシアヌル酸環を有するカルボン酸に対して、オルトギ酸エステルを反応させる方法を挙げることができる。これを一般式で表すと下記のような反応となる。
【0209】
【化31】
(式中、R
5は、水素又はR
4-COOHで表される構造。
R
4は、炭素数50以下のアルキレン基。
R
6は、水素又はR
4-COOR
3で表される構造。)
【0210】
上述した反応で使用するイソシアヌル酸環を有するカルボン酸としては、イソシアヌル酸トリス(2-カルボキシエチル)、イソシアヌル酸ビス(2-カルボキシエチル)等が挙げられる。
また、上述した反応で使用するオルトギ酸エステルとしては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等が挙げられる。
上記反応は周知の一般的な反応であり、その反応条件などは一般的な条件によって行うことができる。
【0211】
上述した一般式(71)で表されるイソシアヌル酸環を有するエステル化合物の具体的な化学構造の例を以下に示す。なお、本発明は以下で例示する化合物に限定されるものではない。
【0212】
【0213】
本発明において使用されるシアヌル酸系エステル化合物として、上記の他に、例えば、以下に例示したシアヌル酸系エステル化合物を挙げることができる。
【0214】
【化33】
(式中、R
11は、炭素数50以下のアルキレン基。
R
12は、炭素数50以下のアルキル基。)
【0215】
上記一般式(72)で表されるエステル化合物も、エステル交換反応性において特に優れるものとすることができる。このため、硬化開始温度が130℃以下であり、150℃30分焼付という条件で硬化させたときのゲル分率が80%以上という樹脂組成物を得る上では、特に好ましいものである。
【0216】
上記一般式(72)で表されるエステル化合物の製造方法としては特に限定されないが、例えば、シアヌル酸クロリドに対して、ヒドロキシカルボン酸エステルを反応させる方法を挙げることができる。これを一般式で表すと下記のような反応となる。
【0217】
【0218】
また、上述した反応で使用するヒドロキシ酸エステルとしては、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、ヒドロキシプロピオン酸メチル、ヒドロキシプロピオン酸エチル、ヒドロキシプロピオン酸ブチル、ヒドロキシ酪酸メチル、ヒドロキシ酪酸エチル、ヒドロキシ酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられる。
【0219】
各種のシアヌル酸系化合物は、本発明において使用した場合、低温硬化においても高架橋密度の優れた膜物性を示す塗膜が得られるという利点を有する。このような化合物を、アルキルエステル基を有する化合物として使用すると、公知の方法で安価にエステル化することができ、比較的低分子量で多価エステル基を導入することができる。
【0220】
(4)低分子量ポリオール
また、分子中に少なくとも2個の水酸基を有する化合物として低分子量ポリオール(具体的には分子量2,000以下)を使用してもよい。低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,1,1-トリメチロールプロパン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-4,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ジメチロールプロピオン酸等の2価アルコール;上記2価アルコールにε-カプロラクトン等のラクトン化合物を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール化合物;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール化合物;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール等を挙げることができる。
【0221】
このような低分子量ポリオールは、汎用品として知られているものであり、安価で入手することができる。更に低分子ポリオールは水溶性が高く、水系での硬化を目的とする場合は架橋剤として好適に使用できる。
【0222】
樹脂成分(A)は、ラジカル共重合型ポリマー、付加・縮合型オリゴマー及び低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1の化合物であることが好ましい。すなわち、アクリル樹脂等のラジカル共重合型ポリマー、ポリエステル樹脂等の付加・縮合型オリゴマー及び分子量6000以下(より好ましくは4000以下、更に好ましくは2000以下)の低分子量化合物を使用することが好ましい。これらのうち、2種以上を組み合わせて使用するものであってもよい。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後に樹脂の状態となるものであればよく、低分子量化合物の混合物であっても、硬化により樹脂とすることができるものも包含する。
【0223】
なお、水酸基及びアルキルエステル基については、これらの官能基を1のみ有する化合物は使用しないことが好ましい。水酸基及びアルキルエステル基の合計で2以上の官能基を有するか、(メタ)アクリロイル基と水酸基及び/又はアルキルエステル基を有する化合物を使用することが好ましい。官能基として水酸基又はアルキルエステル基を1のみ有する化合物は、鎖状構造を形成することができないため、硬化反応を妨げるおそれがある。以下、それぞれの官能基を有する化合物について詳述する。なお、以下の記載は例示であって、本発明において使用する化合物は、以下に記載するものに限定されるわけではない。
【0224】
本発明の樹脂組成物は、更に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有するものであってもよい。また、上述したような重合体において不飽和基を有する化合物を使用するものであってもよい。このような組成物とすることで、熱硬化性とエネルギー線硬化性の両方の硬化性能を有する組成物とすることができる。このような組成物とする場合の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物について、以下詳述する。
【0225】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、エネルギー線硬化性の化合物として公知の多くの化合物を使用することができる。
【0226】
官能基数1の(メタ)アクリレートの例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0227】
官能基数2の(メタ)アクリレートの例は、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジ(メタ)アクリレート(DCP-A)、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(共栄社化学社製;ライトアクリレートBP-4EA、BP-10EA)ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート(共栄社化学社製;BP-4PA、BP-10PA等)を含む。なかでも、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート(共栄社化学社製;BP-4PA)、ジメチロールートリシクロデカンジ(メタ)アクリレート(DCP-A)等を好ましく用いることができる。
【0228】
官能基数3の(メタ)アクリレートの例は、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等を含む。なかでも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等を好ましく用いることができる。
【0229】
官能基数4の(メタ)アクリレートの例は、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を含む。なかでも、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を好ましく用いることができる。
【0230】
官能基数4以上の(メタ)アクリレートの例は、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物のヘキサ(メタ)アクリレートなど多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0231】
更に、(メタ)アクリロイル基を分子中に有し、粘度が100Pa・s(25℃)以上であるようなものも使用することができる。このような化合物は、分子量としては、数平均分子量が800を超えるものであることが好ましい。
【0232】
このような化合物としては極めて多くの種類のものが知られているが、なかでも、分子中に水酸基を有する芳香族エポキシドの(メタ)アクリルエステルや、分子中にウレタン基を有するウレタンアクリル樹脂(ウレタンプレポリマー)であることが好ましい。より具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物(例えば、共栄社化学社製 エポキシエステル3000A)や、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(例えば、共栄社化学社製 UA-306H、ビスフェノールA PO2mol付加物ジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物(例えば、共栄社化学社製 エポキシエステル3002A)、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー(例えば、共栄社化学社製 UA-306T)、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネート ウレタンプレポリマー(例えば、共栄社化学社製 UA-306I)、UF-8001G、BPZA-66等を挙げることができる。
【0233】
更に、水酸基を有するビニル系重合体等の各種ポリオール化合物に対して、イソシアネート基と不飽和結合を有する化合物を反応させることで不飽和結合を導入した化合物を使用することができる。
具体的には、
【0234】
【0235】
の反応によって得られる不飽和基含有化合物も使用することができる。
【0236】
上記反応において使用することができるイソシアネート基と重合性不飽和基を有する化合物としては、特に限定されず、例えば、下記一般式(72)で表される化合物等を挙げることができる。
【0237】
【化36】
(式中、R
32は、炭素数1~20の炭化水素基。
R
31は、H又はメチル基)
【0238】
より具体的には、昭和電工株式会社カレンズAOI(登録商標)との商品名で販売されている2-イソシアナトエチルアクリラート等を挙げることができる。
【0239】
上記ポリオール化合物としては特に限定されず、公知のアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリビニルアルコール単位を有する重合体等、各種の水酸基含有の化合物を使用することができる。
【0240】
更に、エポキシ基含有重合体に対して、(メタ)アクリル酸を反応させることによって、不飽和基を導入した化合物も使用することができる。具体的には、
【0241】
【0242】
の反応によって得られる不飽和基含有化合物も使用することができる。
上記反応に使用することができるエポキシ含有化合物としては特に限定されず、ビスフェノール系エポキシエポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂に加えて、グリシジル(メタ)アクリレートを単量体の一部として含有するアクリル重合体等を挙げることができる。
【0243】
水酸基及びアルキルエステル基を有する樹脂又は樹脂組成物(X)としては特に限定されず、水酸基及びアルキルエステル基の両方を有する共重合体であってもよいし、水酸基を有する重合体及びアルキルエステル基を有する重合体を混合した樹脂組成物であってもよい。さらに、水酸基を有する重合体、アルキルエステル基を有する重合体、並びに、水酸基及びアルキルエステル基を有する樹脂のすべてを含有する樹脂組成物であってもよい。
【0244】
当該樹脂又は樹脂組成物(X)としては特に限定されず、例えば、上記一般式(4)で表される単量体に由来する構成単位及び水酸基含有単量体に由来する構成単位を有する樹脂又は樹脂組成物を挙げることができる。
【0245】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述した樹脂組成物(X)及び表面調整剤との溶解度パラメータを比較すると、溶解度パラメータは表面調整剤の方が小さく、その差が3.0以下であることが好ましい。上述したように、本発明の表面調整剤は、塗膜において、塗膜表面近傍に偏在するようなものであることが好ましい。このような観点から、樹脂組成物(X)が2以上の成分を含有するものである場合、いずれの成分とも、上述した溶解度パラメータの差を有することが好ましい。
【0246】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、樹脂組成物(X)と表面調整剤の溶解度パラメータが樹脂組成物(X)より表面調整剤の溶解度パラメータが高いと表面調整剤が表面配向しない。また、樹脂組成物(X)より表面調整剤の溶解度パラメータが低く、差が3.0以上となると相溶性が悪くなりすぎる為、表面調整剤が凝集してしまい、ハジキなどの不具合を起こす。
【0247】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、更にエステル交換触媒(Z)を含有するものである。エステル交換触媒としては特に限定されず公知のものを使用することができる。
【0248】
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、エステル交換触媒(B)として金属化合物触媒を使用することが最も好ましい。当該金属化合物触媒は、金属種の選定や、その他の化合物との併用等によって、エステル交換反応性を得ることができる。更に、樹脂組成との組み合わせによって、適宜、必要な性能を得ることができる点で好ましい。
【0249】
上記金属化合物触媒は、亜鉛、スズ、チタン、アルミニウム、ジルコニウム及び鉄からなる群より選択される少なくとも1の金属元素を含む化合物(B-1)であることが好ましい。このような化合物は、好適なエステル交換反応性を有する点で好ましい。これらの中でも、亜鉛、ジルコニウムが特に優れたエステル交換反応性を有する点で好ましいものである。
【0250】
上述した化合物のなかでも、ジルコニウム化合物は、極めて優れたエステル交換能を有しており、これを使用することで、上述した熱硬化性樹脂組成物を容易に得ることができる点で特に好ましいものである。
なお、ジルコニウム化合物をエステル交換触媒として使用した場合、以下に詳述する化合物(B-2)を併用しない場合でも、非常に高いエステル交換能が得られる点でも好ましい。
【0251】
エステル交換反応を硬化反応とする、熱硬化性樹脂組成物においてジルコニウム化合物をエステル交換触媒として使用することは、新規な発明である。よって、-COOR(Rは、炭素数50以下のアルキル基)、及び、水酸基を有する樹脂成分(A)及びエステル交換触媒(B)としてのジルコニウム化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物も本発明の一つである。
【0252】
上記金属化合物触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、アルミニウムイソプロピレート、塩化鉄、ジチオカルバミン酸亜鉛、テトライソプロピルチタネート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、モノブチル錫酸、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニアなどのような種々の金属化合物等を挙げることができる。更に、亜鉛クラスター触媒(例えば、東京化成工業株式会社製のZnTAC24(商品名)等を使用することもできる。更に、上述した化合物のうち、2種以上を併用して使用するものであってもよい。
【0253】
上記金属化合物触媒としては、金属塩化合物が特に好ましく、アニオン成分として、金属アセチルアセトネートを使用すると、同種金属化合物よりも優れたエステル交換能が得られる傾向がある点で好ましい。例えば、亜鉛アセチルアセトネートやジルコニウムアセチルアセトネートは、特に好適に使用することができる。特に、ジルコニウムアセチルアセトネートは、極めて良好な触媒性能を発揮するものである。
【0254】
また、酸化亜鉛を用いる場合には、アセチルアセトンに分散させたものを用いるようにすることが好適である。酸化亜鉛をアセチルアセトンに分散させることで、亜鉛アセチルアセトネートが生成すると考えられる。
上記酸化亜鉛とアセチルアセトンとは、1:0.5~1:10(重量比)の割合で含有することが好ましい。このような割合で配合することで、特に好適な結果を得ることができる。
上記下限は、1:0.8であることがより好ましく、1:1であることがさらに好ましい。上記上限は、1:5であることがより好ましく、1:3であることがさらに好ましい。
【0255】
上記金属化合物を触媒として使用する場合、更に、有機リン化合物、尿素、アルキル化尿素、チオ尿素、アルキル化チオ尿素、スルホキシド化合物、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物、及び、ピリジン,キノリン,イソキノリン,フェナントロリン及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1の化合物(B-2)を併用すると、触媒性能が向上する点でより好ましい。
これらの化合物を併用することで活性化された金属化合物を使用すると、上述した硬化開始温度及びゲル分率を得ることができる点で特に好ましいものである。
【0256】
このような効果が得られる作用は明らかではないが、金属化合物に化合物(B-2)が配位することで、触媒活性を向上させているものと推測される。したがって、化合物(B-2)としては、金属化合物に配位することができるような化合物を選択することが好ましい。
【0257】
エステル交換反応の触媒作用が向上することで、エステル交換反応をより低温で行うことができるようになる。よって、反応温度を低くすることができ、エネルギー効率を改善することができる。更に、耐熱性の低い化合物のエステル交換反応を行う場合にも使用することができる。
【0258】
本発明者らの検討によると、従来のエステル交換反応は、系中にカルボキシル基が存在する状態では反応性が低下することが明らかとなっている。このため、カルボキシル基が存在する水性硬化性樹脂組成物においてエステル交換反応を利用しようとすると、高温での硬化が必要とされていた。
【0259】
本発明者らの検討により、このような問題は、上記金属化合物に加えて化合物(B-2)を併用することで大幅な改善にされることが明らかになった。すなわち、これによって、触媒活性がより向上し、80~150℃の範囲で反応を生じさせることができる。また、種々の要因で反応が進行しにくい系であっても反応を進行させることができる。例えば、カルボキシル基が存在する系においても、反応を進行させられる点で好ましい。よって、水系熱硬化性樹脂組成物におけるエステル交換反応の触媒としても好適に使用することができる。
【0260】
エステル交換反応を熱硬化反応とする従来の熱硬化性樹脂組成物は、酸触媒によってエステル交換反応を行うものが知られていた。しかし、このような熱硬化性樹脂組成物は、酸が存在することによる各種の問題も存在した。
【0261】
例えば、顔料分散剤等の添加剤としてアミン化合物が使用される場合がある。更に、塗料を水性化する場合は、樹脂中にカルボン酸基、スルホン酸基等の酸基を導入し、これをアミン化合物等で中和して水溶化することが広く行われている。この場合、酸性触媒と併用することは困難であった。このことは、エステル交換触媒を硬化反応とする熱硬化性樹脂組成物の水性化の妨げとなる問題であった。エステル交換触媒(B)においては、酸触媒を使用しなくても良好な硬化反応を生じさせることができることから、塩基性化合物を添加した熱硬化性樹脂組成物とすることができる点でも好ましい。
【0262】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物を溶剤系塗料組成物として使用する場合であっても、多層塗膜のうちの一部の層として水性塗料を組み合わせて使用する場合がある。この場合、多層塗膜を同時に加熱硬化する場合、多層塗膜を形成するその他の層からアミンやアンモニア等が発生する場合がある。このような場合であっても、良好な硬化を行うことができるという点で、上記触媒は好ましいものである。
【0263】
なお、本発明にかかるエステル交換触媒は、常圧下でのエステル交換反応における触媒として当該組成を使用するものであることが好ましい。さらに、エステル交換反応を硬化反応とする硬化性樹脂組成物において、エステル交換触媒として使用することが好ましい。
【0264】
上述の通り、エステル交換触媒(B)は、有機リン化合物、尿素、アルキル化尿素、チオ尿素、アルキル化チオ尿素、スルホキシド化合物、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物、及び、ピリジン,キノリン,イソキノリン,フェナントロリン及びそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1の化合物(B-2)を含有することが好ましい。以下、これらの化合物について詳述する。
【0265】
上記有機リン化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、亜ホスホン酸、有機ホスフィンオキシド、有機ホスフィン化合物並びにこれらの種々のエステル、アミド及び塩を挙げることができる。エステルは、アルキル、分岐アルキル、置換アルキル、二官能性アルキル、アルキルエーテル、アリール、及び置換アリールのエステルであってよい。アミドは、アルキル、分岐アルキル、置換アルキル、二官能性アルキル、アルキルエーテル、アリール、及び置換アリールのアミドであってよい。
【0266】
これらのなかでも、ホスホン酸エステル、リン酸アミド及び有機ホスフィンオキシド化合物からなる群より選択される少なくとも1の化合物であることが特に好ましい。これらの有機リン化合物を使用すると、エステル交換触媒機能が最も良好なものとなる。さらに具体的には、トリフェニルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリシクロヘキシルホスフィンオキシドなどの、有機ホスフィンオキシド化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド、トリス(N,N-テトラメチレン)リン酸トリアミド等のリン酸アミド化合物、トリフェニルホスフィンスルフィド、トリブチルホスフィンスルフィド、トリオクチルホスフィンスルフィド等の有機ホスフィンスルフィド化合物、等を好適に使用することができる。
【0267】
上記アルキル化尿素としては、特に限定されず、尿素、ジメチル尿素、ジメチルプロピレン尿素等を挙げることができる。なお、ジメチルプロピレン尿素等のように、環状構造を有するものであってもよい。
【0268】
上記アルキル化チオ尿素としては、特に限定されず、ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素等を挙げることができる。上記スルホキシド化合物としては、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等を挙げることができる。
【0269】
上記第4級アンモニウム化合物としては、下記一般式(i)で表される化合物が好適に用いられる。
【化38】
(ただし、式(i)中、R
41~R
44は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基、または反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基を表し、Y
1-は、1価の陰イオンを表す。R
41~R
44は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。)
【0270】
R41~R44が炭化水素基である場合、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。R41~R44の各炭素原子数は、1~100が好ましく、4~30がより好ましい。
【0271】
R41~R44が、反応に不活性な官能基が結合した1価の炭化水素基である場合の官能基は、反応条件に応じて適宜選択されるが、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ニトリル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基などが挙げられる。
【0272】
上記式(i)における第4級アンモニウム(R41R42R43R44N+)としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-プロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、メチルトリ-n-オクチルアンモニウム、n-ドデシルトリメチルアンモニウム、n-ドデシルトリ-n-ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、セチルベンジルジメチルアンモニウム、トリメチル-2-ヒドロキシエタンアミニウム、セチルピリジニウム、n-ドデシルピリジニウム、フェニルトリメチルアンモニウム、フェニルトリエチルアンモニウム、N-ベンジルピコリニウム、ペンタメトニウム、ヘキサメトニウムなどが挙げられる。
【0273】
上記一般式(i)におけるY1-としては、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオンが好ましく、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオンがより好ましく、塩素イオンまたは臭素イオンがさらに好ましい。
【0274】
上記一般式(i)で表される化合物としては、汎用性および反応性の観点から、下記第4級アンモニウム(R41R42R43R44N+)と、下記Y1-との組合せが好ましい。第4級アンモニウム(R41R42R43R44N+):テトラメチルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、n-ドデシルトリメチルアンモニウム、n-ドデシルトリ-n-ブチルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリメチル-2-ヒドロキシエタンアミニウム。
Y1-:フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン。
【0275】
第4級アンモニウム化合物としては、反応性、工業的入手容易さや価格、扱いやすさ等の点から、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート、n-ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n-ドデシルトリ-n-ブチルアンモニウムブロミド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリメチル-2-ヒドロキシエタンアミニウムクロリド(コリンクロリド)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0276】
第4級ホスホニウム化合物としては、下記一般式(ii)で表される化合物が挙げられる。
【化39】
(ただし、式(ii)中、R
51~R
54は、それぞれ独立して、1価の炭化水素基を表し、Y
2-は、1価の陰イオンを表す。R
51~R
54は、それぞれ同じ基であってもよいし、異なる基であってもよい。)
【0277】
R51~R54における炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基などが挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。
【0278】
上記一般式(ii)における第4級ホスホニウム(R51R52R53R54P+)としては、テトラエチルホスホニウム、テトラ-n-ブチルホスホニウム、エチルトリ-n-オクチルホスホニウム、セチルトリエチルホスホニウム、セチルトリ-n-ブチルホスホニウム、n-ブチルトリフェニルホスホニウム、n-アミルトリフェニルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
【0279】
Y2-としては、塩素イオン、フッ素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、硫酸水素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、安息香酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンなどが挙げられ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、水酸化物イオンが好ましい。
【0280】
反応性、工業的入手容易さの点から、テトラ-n-ブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0281】
上記ピリジン誘導体としては、ジメチルアミノピリジン、ニコチン酸エステル等を挙げることができる。
【0282】
上記キノリン誘導体としては、8-ヒドロキシキノリン、2-メチル-8-キノリノール等を挙げることができる。
【0283】
エステル交換触媒は、化合物(B-1)と化合物(B-2)とを(B-1):(B-2)=100:1~1:100(重量比)の割合で含有することが好ましい。このような割合で配合することで、特に好適な結果を得ることができる。上記下限は、50:1であることがより好ましく、10:1であることがさらに好ましい。上記上限は、1:50であることがより好ましく、1:10であることがさらに好ましい。
【0284】
上記化合物(B-1)は、反応を生じさせる際の反応系中の反応に関与する化合物の量に対して、0.01~50重量%の割合で含有させることが好ましい。
上記化合物(B-2)は、反応を生じさせる際の反応系中の反応に関与する化合物の量に対して、0.01~50重量%の割合で含有させることが好ましい。
【0285】
本発明の樹脂組成物においては、エステル交換触媒(B)として、(1)ジルコニウム化合物を使用する、(2)上記化合物(B-1)及び化合物(B-2)を使用する、という方法によって、上述した物性を特に好適に得ることができる点で好ましいものである。
上記(1)、(2)のエステル交換触媒を使用し、樹脂組成として特にエステル交換反応性が高いものを選択して使用すると、硬化開始温度が130℃以下であり、150℃以下30分焼付という条件で硬化させたときのゲル分率が80%以上であるという性質を有する樹脂組成物を得ることができる。
【0286】
エステル交換反応を硬化反応とする、熱硬化性樹脂組成物において、上記(2)のエステル交換触媒を使用することは、新規な発明である。よって、-COOR(Rは、炭素数50以下のアルキル基)及び水酸基を有する樹脂成分(A)、及び、エステル交換触媒(B)としての上記(2)のエステル交換触媒を含有する熱硬化性樹脂組成物も本発明の一つである。
【0287】
更に、亜鉛アセチルアセトネートをエステル交換触媒として使用し、樹脂組成として特にエステル交換反応性が高いものを選択して使用すると、硬化開始温度が100℃以下であり、100℃以下30分焼付という条件で硬化させたときのゲル分率が80%以上であるという性質を有する樹脂組成物を得ることができる。
【0288】
なお、上述したような、化合物(B-1)及び化合物(B-2)を含有するエステル交換触媒の中でも、亜鉛、スズ、チタン、アルミニウム、ジルコニウム及び鉄からなる群より選択される少なくとも1の金属元素を含む化合物(B-1)、並びに、有機リン化合物、尿素、アルキル化尿素、チオ尿素、アルキル化チオ尿素、スルホキシド化合物、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物、フェナントロリン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1の化合物(B-2)を含有するエステル交換触媒は、新規なエステル交換触媒である。したがって、このような触媒もまた本発明の一つである。
【0289】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性塗料、熱硬化性接着剤等の分野において好適に使用することができる。更に、常乾型の硬化性樹脂組成物として使用することもできる。
【0290】
熱硬化性塗料として使用する場合は、上述した各成分以外に、塗料分野において一般的に使用される添加剤を併用するものであってもよい。例えば、レベリング剤、消泡剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等、顔料分散剤、レオロジーコントロール剤、UV吸収剤、並びにそれらの任意の組み合わせを併用してもよい。
【0291】
顔料を使用する場合、樹脂成分の合計固形分100重量%を基準として、好ましくは合計で1~500重量%の範囲で含むことが好ましい。上記下限はより好ましくは3重量%であり、更に好ましくは5重量部である。上記上限はより好ましくは400重量%であり、更に好ましくは300重量%である。
【0292】
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0293】
上記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられ、硫酸バリウム及び/又はタルクが好ましく、そして硫酸バリウムがより好ましい。
【0294】
上記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタン又は酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタン又は酸化鉄で被覆された雲母、ガラスフレーク、ホログラム顔料等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。上記アルミニウム顔料には、ノンリーフィング型アルミニウム及びリーフィング型アルミニウムが含まれる。
【0295】
上記着色顔料は、顔料分散樹脂により分散された状態で、熱硬化性樹脂組成物に配合されることが好ましい。着色顔料の量は、顔料の種類等によって変化しうるが、一般には、顔料分散樹脂中に含まれる樹脂成分の固形分100重量部に対して、好ましくは約0.1~約300重量部、そしてより好ましくは約1~約150重量部の範囲内である。
【0296】
上記熱硬化性塗料は、所望により、有機溶剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、表面調整剤、沈降防止剤、分散剤、色分かれ防止剤、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、基材湿潤剤、スリップ剤等の塗料用添加剤をさらに含有するものであってもよい。
【0297】
上記増粘剤としては、例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系増粘剤;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸系増粘剤;1分子中に親水性部分と疎水性部分を有し、水性媒体中において、上記疎水性部分が塗料中の顔料やエマルション粒子の表面に吸着する、上記疎水性部分同士が会合する等により増粘作用を示す会合型増粘剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系増粘剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系増粘剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系増粘剤;プルロニック(登録商標)ポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系増粘剤;ビニルメチルエーテル-無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系増粘剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系増粘剤等、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0298】
上記ポリアクリル酸系増粘剤は市販されており、例えば、ロームアンドハース社製の「ACRYSOLASE-60」、「ACRYSOLTT-615」、「ACRYSOLRM-5」(以上、商品名)、サンノプコ社製の「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」(以上、商品名)等が挙げられる。
【0299】
また、上記会合型増粘剤は市販されており、例えば、ADEKA社製の「UH-420」、「UH-450」、「UH-462」、「UH-472」、「UH-540」、「UH-752」、「UH-756VF」、「UH-814N」(以上、商品名)、ロームアンドハース社製の「ACRYSOLRM-8W」、「ACRYSOLRM-825」、「ACRYSOLRM-2020NPR」、「ACRYSOLRM-12W」、「ACRYSOLSCT-275」(以上、商品名)、サンノプコ社製の「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」(以上、商品名)等が挙げられる。
【0300】
上記顔料分散樹脂としては、アクリル系顔料分散樹脂を使用することが好ましい。より具体的には、例えば、重合性不飽和モノマーを、親水性有機溶剤の存在下で、重合開始剤により重合することにより得られたアクリル樹脂を挙げることができる。
【0301】
上記重合性不飽和モノマーとしては、上述した樹脂の合成において例示した化合物を挙げることができ、適宜組み合わせて用いられうる。
上記顔料分散樹脂は、水に溶解するか、又は分散できる樹脂であることが好ましく、具体的には、好ましくは10~100mgKOH/g、そしてより好ましくは20~70mgKOH/gの水酸基価と、好ましくは10~80mgKOH/g、そしてより好ましくは20~60mgKOH/gの酸価とを有する。
【0302】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記樹脂及び顔料分散樹脂の固形分質量の合計を基準として、顔料分散樹脂を、固形分で、好ましくは5~70質量%、そしてより好ましくは7~61質量%含むことが好ましい。上記範囲は、熱硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性と、本発明の着色塗料組成物を用いて形成される着色塗膜の仕上がり性、耐水性、中研ぎ性等との観点から好ましい。
【0303】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、水性組成物とすることもできる。水性とする方法は特に限定されず、上述した成分を使用して一般的な方法によって水性化することができる。水性化した場合でも、本発明のエステル交換触媒を使用することで好適にエステル交換反応を進行させることができる。
【0304】
上記熱硬化性樹脂組成物を適用することができる被塗物としては、特に制限されず、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器、等の家庭電気製品、建築材料、家具、接着剤、フィルムやガラスのコーティング剤等、様々な例を挙げることができる。また、高温短時間硬化によって塗膜を形成するプレコートメタル、金属缶への塗装を挙げることもできる。更に、電着塗料、接着剤、パーティクルボード等への使用も挙げることができる。
【0305】
上記熱硬化性樹脂組成物は、電着塗料組成物として使用することもできる。電着塗料としては、カチオン電着塗料とアニオン電着塗料とを挙げることができるが、これらのいずれとすることもできる。
【0306】
上記被塗物は、上記金属材料及びそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよく、また、塗膜を有する被塗物であってもよい。
上記塗膜を有する被塗物としては、基材に所望により表面処理を施し、その上に下塗り塗膜が形成されたもの等を挙げることができる。特に、電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体が好ましく、カチオン電着塗料によって下塗り塗膜が形成された車体がより好ましい。
【0307】
上記被塗物は、上記プラスチック材料、それから成形された自動車部品等のプラスチック表面に、所望により、表面処理、プライマー塗装等がなされたものであってもよい。また、上記プラスチック材料と上記金属材料とが組み合わさったものであってもよい。
【0308】
上記熱硬化性樹脂組成物の塗装方法としては、特に制限されず、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等が挙げられ、エアスプレー塗装、回転霧化塗装等が好ましい。塗装に際して、所望により、静電印加してもよい。上記塗装方法により、上記水性塗料組成物からウェット塗膜を形成することができる。
【0309】
上記ウェット塗膜は、加熱することにより硬化させることができる。当該硬化は、公知の加熱手段、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉により実施することができる。上記ウェット塗膜は、好ましくは約80~約180℃、より好ましくは約100~約170℃、そしてさらに好ましくは約120~約160℃の範囲の温度で、好ましくは約10~約60分間、そしてより好ましくは約15~約40分間加熱することにより硬化させることができる。また、80~140℃での低温硬化にも対応することができる点で好ましいものである。
【0310】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ウェットオンウェットでの複層塗膜形成方法に使用することもできる。この場合、本発明の熱硬化性樹脂組成物からなる塗料を塗装した後、硬化を行わない状態でその上に別の塗料組成物を塗装し、これらの2層の塗膜を同時に焼き付けることによって複層塗膜を形成する方法等を挙げることができる。また、このような塗装方法においては、3層以上の複層塗膜として、そのうち少なくとも1の層を本発明の熱硬化性樹脂組成物によって形成するものであってもよい。
【0311】
このような複層塗膜の形成に本発明の熱硬化性樹脂組成物を使用する場合、組み合わせて使用する塗料は、水系であってもよいし、溶媒系であってもよい。更に、その硬化系は、上述したようなエステル交換反応による硬化系であってもよいし、メラミン硬化、イソシアネート硬化等のその他の硬化系であってもよい。
【0312】
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、塗料分野において使用する場合は平滑性や耐水性・耐酸性等の性能を有する充分な硬化性能が必要とされる。
一方、接着剤や粘着剤等の分野において使用する場合は、塗料において要求されるほどの高い硬化性能は必要とされない。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、塗料として使用できるレベルのものとすることが可能であるが、このような水準に到達しない組成物であっても、接着剤や粘着剤等の分野においては使用できる場合がある。
【0313】
本発明の熱硬化型樹脂組成物を三次元架橋することによって硬化膜が得られる。このような硬化膜は、塗料・接着剤として使用することができるような充分な性能を有したものである。
上記硬化膜は、上述した複層塗膜の形成方法によって形成された硬化膜も包含するものである。
【実施例0314】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお文中、部は重量部を表す。
【0315】
なお、共重合体の重量平均分子量は全て、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置(カラムは東ソー株式会社製で製品名TSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M、溶出溶媒はTHF(テトラヒドロフラン))を用いて測定した値である。
【0316】
以下、本発明の表面調整剤を調製した例を製造実施例1~7に示し、本発明を適用外の表面調整剤を調製した例を製造比較例1~6に示す。
【0317】
(レベリング剤の製造実施例1)
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、キシレンの100重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら115℃に昇温した。そこへ、下記表1に示す滴下溶液(a-1)を、滴下ロートにより、2時間で等速滴下した。滴下終了後、115℃の温度を維持しつつ4時間反応させ重合物を得た。キシレンで希釈して固形分を30%に調整し、共重合体のキシレン液(A-1)を製造した。この共重合体の重量平均分子量は30,000、SP値は8.3であった。
【0318】
(レベリング剤の製造実施例2)
製造実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а-2)に変更したこと以外は、製造実施例1と同様の方法で共重合物を合成してレベリング剤(A-2)を得た。得られたレベリング剤の重量平均分子量を、製造実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で15,000、SP値は8.2であった。
【0319】
(レベリング剤の製造実施例3)
製造実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а-3)に変更したこと以外は、製造実施例1と同様の方法で共重合物を合成してレベリング剤(A-3)を得た。得られたレベリング剤の重量平均分子量を、製造実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で10,000、SP値は8.2であった。
【0320】
(レベリング剤の製造実施例4)
製造実施例1中の滴下溶液を下記表1の(а-4)に変更したこと以外は、製造実施例1と同様の方法で共重合物を合成してレベリング剤(A-4)を得た。得られたレベリング剤の重量平均分子量を、製造実施例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で8,000、SP値は8.1であった。
【0321】
(合成例1)
無水コハク酸180部、メタノール173部を4つ口フラスコに入れ60~70℃で無水コハク酸を溶解させた。NMRで無水コハク酸のピークが消えたことを確認し、60℃以上で余剰分のメタノールを減圧除去し、コハク酸モノメチルを合成した。コハク酸モノメチル190部、グリシジルメタクリレート204.6部、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、重合禁止剤を加え90℃で10時間以上反応させモノマーAを得た。
【0322】
(消泡剤の製造実施例5)
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、キシレンの70重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら105℃に昇温した。そこへ、下記表1に示す滴下溶液(b-1)を、滴下ロートにより、2時間で等 滴下した。滴下終了後、105℃で維持しつつ1時間反応させた後、115℃に昇温し、4時間反応させ重合物を得た。キシレンで希釈して固形分を30%に調整し、共重合体のキシレン液(B-1)を製造した。この共重合体の重量平均分子量は40,000、SP値は8.0であった。
【0323】
(消泡剤の製造実施例6)
製造実施例5中の滴下溶液を下記表1の(b-2)に変更したこと以外は、製造実施例5と同様の方法で共重合物を合成してレベリング剤(B-2)を得た。得られたレベリング剤の重量平均分子量を、製造実施例5と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で35,000、SP値は7.9であった。
【0324】
(消泡剤の製造実施例7)
製造実施例5中の滴下溶液を下記表1の(b-3)に変更したこと以外は、製造実施例5と同様の方法で共重合物を合成して消泡剤(B-3)を得た。得られた消泡剤の重量平均分子量を、製造実施例5と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で33,000、SP値は7.8であった。
【0325】
【0326】
(レベリング剤の製造比較例1)
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、キシレンの100重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら115℃ に昇温した。そこへ、下記表2に示す滴下溶液(c-1)を、滴下ロートにより、2時間で等速滴下した。滴下終了後、115℃の温度を維持しつつ4時間反応させ重合物を得た。キシレンで希釈して固形分を30%に調整し、共重合体のキシレン液(C-1)を製造した。この共重合体の重量平均分子量は33,000、SP値は8.3であった。
【0327】
(レベリング剤の製造比較例2)
製造比較例1中の滴下溶液を下記表2の(c-2)に変更したこと以外は、製造比較例1と同様の方法で共重合物を合成してレベリング剤(C-2)を得た。得られたレベリング剤の重量平均分子量を、製造比較例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で30,000、SP値は8.3であった。
【0328】
(レベリング剤の製造比較例3)
製造比較例1中の滴下溶液を下記表2の(c-3)に変更したこと以外は、製造比較例1と同様の方法で共重合物を合成してレベリング剤(C-3)を得た。得られたレベリング剤の重量平均分子量を、製造実施比較例1と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で33,000、SP値は8.2であった。
【0329】
(消泡剤の製造比較例4)
撹拌装置、還流冷却管、滴下ロート、温度計及び窒素ガス吹き込み口を備えた1000mLの反応容器に、キシレンの70重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら105℃に昇温した。そこへ、下記表2に示す滴下溶液(d-1)を、滴下ロートにより、2時間で等 滴下した。滴下終了後、105℃で維持しつつ1時間反応させた後、115℃に昇温し、4時間反応させ重合物を得た。キシレンで希釈して固形分を30%に調整し、共重合体のキシレン液(D-1)を製造した。この共重合体の重量平均分子量は35,000、SP値は8.0であった。
【0330】
(消泡剤の製造比較例5)
製造比較例4中の滴下溶液を下記表2の(d-2)に変更したこと以外は、製造比較例4と同様の方法で共重合物を合成して消泡剤(D-2)を得た。得られた消泡剤の重量平均分子量を、製造比較例4と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で40,000、SP値は8.0であった。
【0331】
(消泡剤の製造比較例6)
製造比較例4中の滴下溶液を下記表2の(d-3)に変更したこと以外は、製造比較例4と同様の方法で共重合物を合成して消泡剤(D-3)を得た。得られた消泡剤の重量平均分子量を、製造比較例4と同様にしてゲル浸透クロマトグラフィーで求めたところ、ポリスチレン換算で42,000、SP値は7.9であった。
【0332】
【0333】
表3、表4に示した2液硬化被膜形成組成物用の配合成分と、共重合体の液(A-1)~(A-4)及び(C-1)~(C-3)のレベリング剤とを使用し2液硬化被膜形成組成物を調製し、レベリング性試験を行った。
【0334】
【表3】
*1)固形分のSP値:9.7
*2)希釈剤:キシレン/酢酸ブチル=4/1
【0335】
【表4】
*)希釈剤:キシレン/酢酸ブチル=4/1
【0336】
(2液硬化被膜形成組成物の調製及び硬化被膜の作成)
表3に示した2液硬化被膜形成組成物用成分の混合物に、レベリング剤((A-1)~(A-4)及び表4に示した2液硬化被膜形成組成物用成分の混合物に、(C-1)~(C-3))の0.5重量部を添加し、ラボディスパーで2,000回転で2分間撹拌して、夫々実施例1~4及び比較例1~3の2液硬化被膜形成組成物を調製した。なお、2液硬化被膜形成組成物用成分のみの混合物を比較例4とした。得られた試験塗料を静置脱泡後、基材上に♯42バーコーターにて塗装し、直ちに80℃×20分にて焼き付け、硬化させて硬化被膜を形成した。
【0337】
これらを用いて、平滑性、耐水性の評価をする性能試験を行った。
【0338】
(平滑性評価)
硬化後の塗装面の肌状態を目視にて観察し、下記評価基準で評価した結果を、下記表5に記載した。
【0339】
レベリング性の評価基準
良好:○
バーコーターの塗装筋が僅かに残る:○~△
バーコーターの塗装筋が顕著に残る:△
ハジキが発生:×
【0340】
(耐水性評価)
平滑性評価と同様にして得た塗板を80℃の温水浴中に1時間浸したのち、加熱を止め室温になるまで徐冷し水浴中から塗板を取り出し室温で乾燥させ水浸漬部分の白化性を目視にて観察した。観察した結果を、下記表5に記載した。
【0341】
耐水性評価の基準
全く白化しなかったもの:○
やや白化したもの:△
著しく白化したもの:×
【0342】
【0343】
表5から明らかな通り、本発明のレベリング剤を含む組成物を硬化させた実施例の被膜は、本発明の適用外の組成物を硬化させた比較例の被膜より、レベリング性が優れていた。また、本発明のレベリング剤は低温硬化条件でも被膜から脱離することなく、耐水性が優れていた。
【0344】
表6、表7に示した2液硬化被膜形成組成物用の配合成分と、共重合体の液(B-1)~(B-3)及び(D-1)~(D-3)の消泡剤とを使用し2液硬化被膜形成組成物を調製し、消泡性試験を行った。
【0345】
【表6】
*)希釈剤:キシレン/酢酸ブチル=4/1
【0346】
【表7】
*)希釈剤:キシレン/酢酸ブチル=4/1
【0347】
(2液硬化被膜形成組成物の調製)
表6に示した2液硬化被膜形成組成物用成分の混合物に、消泡剤((B-1)~(B-3)及び表7に示した2液硬化被膜形成組成物用成分の混合物に、(D-1)~(D-3))の0.5重量部を添加し、ラボディスパーで2,000回転で2分間撹拌して、夫々実施例5~7及び比較例5~7の2液硬化被膜形成組成物を調製した。なお、2液硬化被膜形成組成物用成分のみの混合物を比較例8とした。
【0348】
(消泡性評価)
消泡剤添加の2液硬化被膜形成組成物を、撹拌後、直ちに25mLの比重カップに流し込み、これを満たす消泡剤添加の組成物の撹拌直後の重量を測定した。一方、消泡剤無添加の2液硬化被膜形成組成物を、撹拌後、数時間静置させて泡が全く含まれないその組成物を比重カップに流し込み、これを満たす消泡剤無添加の組成物の静置後の重量を測定した。消泡剤無添加の組成物の静置後の重量を100%としたとき、消泡剤添加の組成物の撹拌直後の重量の割合を算出した。
【0349】
消泡性評価の基準
97%以上であるもの:○
97%未満95%以上であるもの:△
95%未満であるもの:×
【0350】
(耐水性評価)
消泡性評価の試験塗料をガラス板に125μmアプリケーターで塗布し、直ちに140℃×30分にて焼き付け、硬化させて硬化被膜を形成した。得た塗板を80℃の温水浴中に1時間浸したのち、加熱を止め室温になるまで徐冷し水浴中から塗板を取り出し室温で乾燥させ水浸漬部分の白化性を目視にて観察した。観察した結果を、下記表6に記載した。
【0351】
耐水性評価の基準
全く白化しなかったもの:○
やや白化したもの:△
著しく白化したもの:×
【0352】
【0353】
表8から明らかな通り、本発明の消泡剤を含む組成物を硬化させた実施例の被膜は、本発明の適用外の組成物を硬化させた比較例の被膜より、耐水性、消泡性が優れていた。
【0354】
表9示した試験塗料組成物用の配合成分と、共重合体の液(A-1)~(A-4)及び(C-1)~(C-3)のレベリング剤と重合体の液(B-1)~(B-3)及び(D-1)~(D-3)の消泡剤とを使用し試験塗料組成物を調製し、塗料の経時安定性試験を行った。
【0355】
【表9】
*)希釈剤:キシレン/酢酸ブチル=4/1
【0356】
(試験塗料の経時安定性評価)
調製した試験塗料の初期、40℃×1ヶ月及び2ヶ月間貯蔵後の粘度(B型粘度計)を測定し、その結果を下記表10に記載した。
【0357】
【0358】
表10から明らかなように、実施例8~14の試験塗料は、その経時安定性が良好であり、増粘やゲル化することもない。
【0359】
(合成例2)
n-ブチルメタクリレート(共栄社化学(株)品:ライトエステルNB)35部、メトキシカルボニルメチルメタクリレート30部、4-ヒドロキシブチルアクリレート25部、スチレン10部をモノマー混合液とし、開始剤としてAIBN5部を芳香族炭化水素(T-SOL100)20部に溶解し開始剤溶液とした。
撹拌可能なフラスコに芳香族炭化水素(T-SOL100)80部を入れ、窒素封入しながら、モノマー溶液および開始剤溶液を滴下した。この時の重合温度を100℃とした。滴下は2時間で行い、更に100℃で熟成を4時間行い、重量平均分子量9400のエステル交換反応を硬化反応として使用する熱硬化性樹脂組成物ポリマー溶液Aを得た。
【0360】
(合成例3)
エチレングリコールモノアセトアセタートモノメタクリレート60部、アクリル酸メチル48部、炭酸カリウム43部、18-クラウン-6エーテル3部、テトラヒドロフラン108部を混合し、50℃で3時間撹拌した。反応終了後、シクロヘキサンと水を投入し、水洗した。有機層は飽和塩化アンモニウム水溶液で中和後、2度水洗し、得られた有機層を減圧下濃縮し、モノマーBを得た。
【0361】
(合成例4)
n-ブチルメタクリレート(共栄社化学(株)品:ライトエステルNB)35部、モノマーB30部、4-ヒドロキシブチルアクリレート25部、スチレン10部をモノマー混合液とし、開始剤としてAIBN5部を芳香族炭化水素(T-SOL100)20部に溶解し開始剤溶液とした。
撹拌可能なフラスコに芳香族炭化水素(T-SOL100)80部を入れ、窒素封入しながら、モノマー溶液および開始剤溶液を滴下した。この時の重合温度を100℃とした。滴下は2時間で行い、更に100℃で熟成を4時間行い、重量平均分子量10700、分散度1.73のポリマー溶液Bを得た。
【0362】
(合成例5)
n-ブチルメタクリレート(共栄社化学(株)品:ライトエステルNB)35部、モノマーA30部、4-ヒドロキシブチルアクリレート25部、スチレン10部をモノマー混合液とし、開始剤としてAIBN5部を芳香族炭化水素(T-SOL100)20部に溶解し開始剤溶液とした。
撹拌可能なフラスコに芳香族炭化水素(T-SOL100)80部を入れ、窒素封入しながら、モノマー溶液および開始剤溶液を滴下した。この時の重合温度を100℃とした。滴下は2時間で行い、更に100℃で熟成を4時間行い、重量平均分子量10300、分散度2.00のポリマー溶液Cを得た。
【0363】
実施例15~38、比較例15~38
表12~17に示した各成分を混合し、レベリング性、消泡性、耐水性試験を行った。表中の各物性は、以下の方法によって測定した。
【0364】
(平滑性評価)
混合した組成物を静置脱泡後、基材上に♯42バーコーターにて塗装し、直ちに80℃×30分で焼き付け、硬化させて硬化被膜を形成した。
硬化後の塗装面の肌状態を目視にて観察した。
レベリング性の評価基準
良好:○
バーコーターの塗装筋が僅かに残る:○~△
バーコーターの塗装筋が顕著に残る:△
ハジキが発生:×
【0365】
(消泡性評価)
消泡剤添加の組成物を、撹拌後、直ちに25mLの比重カップに流し込み、これを満たす消泡剤添加の組成物の撹拌直後の重量を測定した。一方、消泡剤無添加の組成物を、撹拌後、数時間静置させて泡が全く含まれないその組成物を比重カップに流し込み、これを満たす消泡剤無添加の組成物の静置後の重量を測定した。消泡剤無添加の組成物の静置後の重量を100%としたとき、消泡剤添加の組成物の撹拌直後の重量の割合を算出した。
消泡性評価の基準
97%以上であるもの:○
97%未満95%以上であるもの:△
95%未満であるもの:×
【0366】
(耐水性評価)
レベリング剤または消泡剤を添加した組成物をガラス板に125μmアプリケーターで塗布し、直ちに80~200℃×30分にて焼き付け、硬化させて硬化被膜を形成した。得た塗板を80℃の温水浴中に1時間浸したのち、加熱を止め室温になるまで徐冷し水浴中から塗板を取り出し室温で乾燥させ水浸漬部分の白化性を目視にて観察した。
耐水性評価の基準
全く白化しなかったもの:○
やや白化したもの:△
著しく白化したもの:×
【0367】
【0368】
【0369】
【0370】
【0371】
【0372】
【0373】
ポリマー溶液Aと、共重合体の液(A-1)~(A-4)及び(C-1)~(C-3)のレベリング剤と重合体の液(B-1)~(B-3)及び(D-1)~(D-3)の消泡剤とを使用し、経時安定性試験を行った。経時安定性試験の配合は表18、試験結果は表19に記載した。
【0374】
【0375】
(経時安定性評価)
調製した組成物の初期、40℃×2ヶ月間貯蔵後の粘度(B型粘度計)を測定した。
評価の基準
経時貯蔵後の粘度上昇なし:〇
経時貯蔵後の粘度上昇があるまたはゲル化する:×
【0376】
【0377】
表11~16、18から明らかなように、本発明の消泡剤、レベリング剤を含む組成物を硬化させた実施例の被膜は、本発明の適用外の組成物を硬化させた比較例の被膜より耐水性、消泡性またはレベリング性が優れている。また、実施例39~44の組成物はその経時安定性が良好で、増粘やゲル化することもない。