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  • 特開-マルチウェルデバイス及び使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070078
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】マルチウェルデバイス及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/28 20060101AFI20230511BHJP
   B01D 61/34 20060101ALI20230511BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20230511BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20230511BHJP
   C12M 3/06 20060101ALN20230511BHJP
【FI】
B01D61/28
B01D61/34
B01D71/68
G01N1/10 B
C12M3/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022163023
(22)【出願日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】17/519,112
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ソフマン, マリアンナ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス, スティーブン
【テーマコード(参考)】
2G052
4D006
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AB18
2G052AD06
2G052AD26
2G052AD46
2G052BA22
2G052DA06
2G052DA15
2G052EA02
2G052EA13
2G052GA09
2G052GA11
2G052JA09
2G052JA11
2G052JA16
4D006GA13
4D006HA77
4D006JA03A
4D006JA03C
4D006KA16
4D006KE13P
4D006KE28R
4D006MA04
4D006MA22
4D006MB05
4D006MC23X
4D006MC54
4D006MC62
4D006MC63
4D006NA23
4D006NA75
4D006PA01
4D006PB20
4D006PB52
(57)【要約】
【課題】 流体試料を処理するためのマルチウェルデバイスを提供すること。
【解決手段】 このデバイスは、複数のウェルを含むプレートを備え、各ウェルは、単独透析膜によって仕切られた第1のサブウェル及び第2のサブウェルを含む。単独透析膜は上端部と下端部とを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有しており、第1のサブウェルの各々と第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、第1のサブウェル及び第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、単独透析膜は、連続的なテーパ状の切欠き部に流体密に封止される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料を処理するためのマルチウェルデバイスであって、
当該マルチウェルデバイスは、複数のウェルを含むプレートであって、前記ウェルの各々が、単独透析膜によって仕切られた第1のサブウェル及び第2のサブウェルを含む、プレートを備え、
前記単独透析膜は上端部と下端部とを有し、前記上端部から前記下端部まで連続的なテーパを有し、
前記第1のサブウェルの各々と前記第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、前記第1のサブウェル及び前記第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、前記共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、前記単独透析膜は、前記連続的なテーパ状の切欠き部に流体密に封止されている、マルチウェルデバイス。
【請求項2】
前記単独透析膜の各々が、75kDa~165kDaの範囲の細孔サイズを有する、請求項1に記載のマルチウェルデバイス。
【請求項3】
前記単独透析膜の各々はポリエーテルスルホン膜又はポリスルホン膜である、請求項1又は2に記載のマルチウェルデバイス。
【請求項4】
流体試料を平衡化するための方法であって、
当該方法は、複数のウェルを含むプレートを備えるマルチウェルデバイスにおける複数の第1のサブウェル及び複数の第2のサブウェル内に流体試料を配置するステップを含み、
前記ウェルの各々は第1のサブウェルと第2のサブウェルとを含み、前記第1のサブウェルと前記第2のサブウェルとの各々は単独透析膜によって仕切られ、前記単独透析膜の各々は上端部と下端部とを有し、前記上端部から前記下端部まで連続的なテーパを有し、前記第1のサブウェルの各々と前記第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、前記第1のサブウェル及び前記第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、前記共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、前記単独透析膜は、前記連続的なテーパ状の切欠き部内に流体密に封止されており、
当該方法は、前記複数の第1のサブウェルと前記複数の第2のサブウェルとの間の平衡が得られるようにするステップを含む、方法。
【請求項5】
流体試料を分析するための方法であって、
当該方法は、複数のウェルを含むプレートを備えるマルチウェルデバイスにおける複数の第1のサブウェル及び複数の第2のサブウェル内に流体試料を配置するステップを含み、
前記ウェルの各々は第1のサブウェルと第2のサブウェルとを含み、前記第1のサブウェルと前記第2のサブウェルとの各々は単独透析膜によって仕切られ、前記単独透析膜の各々は上端部と下端部とを有し、前記上端部から前記下端部まで連続的なテーパを有し、前記第1のサブウェルの各々と前記第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、前記第1のサブウェル及び前記第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、前記共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、前記単独透析膜は、前記連続的なテーパ状の切欠き部内に流体密に封止されており、
当該方法は、
前記複数の第1のサブウェルと前記複数の第2のサブウェルとの間の平衡が得られるようにするステップと、
前記複数の第1のサブウェルと前記複数の第2のサブウェルとの各々内の流体試料を分析するステップと
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]平衡透析等のいくつかの分析は、透析膜によって仕切られた2つのチャンバ(例えば、試料チャンバ及び標準(試料)チャンバ)の内容物を分析することを含む。その場合、より小さい着目材料及び/又は着目分子は、膜を通過することができ、より大きい材料及び/又は分子は、膜を通過することが妨げられ、平衡に達した後に2つのチャンバの内容物が比較される。
【0002】
[0002]透析膜によって仕切られた2つのチャンバの内容物を分析する際の使用に適した、より改善されたデバイス及び方法が必要とされている。
【0003】
[0003]本発明は、先行技術の問題点の少なくともいくつかを改善するものである。本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下に示す説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本発明の一態様は、流体試料を処理するためのマルチウェルデバイスを提供するものである。このマルチウェルデバイスは、複数のウェルを含むプレートであって、ウェルの各々が、単独透析膜によって仕切られた第1のサブウェル及び第2のサブウェルを含む、プレートを備え、単独透析膜は上端部と下端部とを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有し、第1のサブウェルの各々と第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、第1のサブウェル及び第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、単独透析膜は、前記連続的なテーパ状の切欠き部に流体密に封止される。
【0005】
[0005]本発明の他の態様によれば、流体試料を平衡化するための方法が提供される。この方法は、複数のウェルを含むプレートを備えるマルチウェルデバイスにおける複数の第1のサブウェル及び複数の第2のサブウェル内に流体試料を配置するステップを含み、ウェルの各々は第1のサブウェルと第2のサブウェルとを含み、第1のサブウェルと第2のサブウェルとの各々は単独透析膜によって仕切られ、単独透析膜の各々は上端部と下端部とを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有し、第1のサブウェルの各々と第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、第1のサブウェル及び第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、単独透析膜は、連続的なテーパ状の切欠き部内に流体密に封止されている。この方法はまた、複数の第1のサブウェルと複数の第2のサブウェルとの間の平衡が得られるようにするステップを含む。
【0006】
[0006]本発明のさらに別の態様によれば、流体試料を分析するための方法が提供される。この方法は、複数のウェルを含むプレートを備えるマルチウェルデバイスにおける複数の第1のサブウェル及び複数の第2のサブウェル内に流体試料を配置するステップを含み、ウェルの各々は第1のサブウェルと第2のサブウェルとを含み、第1のサブウェルと第2のサブウェルとの各々は単独透析膜によって仕切られ、単独透析膜の各々は上端部と下端部とを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有し、第1のサブウェルの各々と第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、第1のサブウェル及び第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、単独透析膜は、連続的なテーパ状の切欠き部内に流体密に封止される。また、この方法は、複数の第1のサブウェルと複数の第2のサブウェルとの間の平衡が得られるようにするステップと、複数の第1のサブウェルと複数の第2のサブウェルとの各々内の流体試料を分析するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一態様によるマルチウェルデバイスを示す平面図である。
図2A図1に示されるマルチウェルデバイスを示す斜視図である。
図2B図1の線B-Bに沿ってのマルチウェルデバイスの断面図である。
図2C図2Aに全体的に示されるものと同様な、サブウェル間に膜がないデバイスの斜視図である。
図3】詳細部Dで図1に示されるマルチウェルデバイスにおけるサブウェル間の共通壁に設けられたテーパ状切欠き部に配置されたテーパ状透析膜を示す図である。
図4】本発明の一態様によるマルチウェルデバイスにおける対応のサブウェルからの分析用試料を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0011]本発明の一態様は、流体試料を処理するためのマルチウェルデバイスを提供するものである。このマルチウェルデバイスは、複数のウェルを含むプレートであって、ウェルの各々が、単独透析膜によって仕切られた第1のサブウェル及び第2のサブウェルを含む、プレートを備え、単独透析膜は上端部と下端部とを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有し、第1のサブウェルの各々と第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、第1のサブウェル及び第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、単独透析膜は、前記連続的なテーパ状の切欠き部に流体密に封止される。
【0009】
[0012]本発明の他の態様によれば、流体試料を平衡化するための方法が提供される。この方法は、複数のウェルを含むプレートを備えるマルチウェルデバイスにおける複数の第1のサブウェル及び複数の第2のサブウェル内に流体試料を配置するステップを含み、ウェルの各々は第1のサブウェルと第2のサブウェルとを含み、第1のサブウェルと第2のサブウェルとの各々は単独透析膜によって仕切られ、単独透析膜の各々は上端部と下端部とを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有し、第1のサブウェルの各々と第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、第1のサブウェル及び第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、単独透析膜は、連続的なテーパ状の切欠き部内に流体密に封止されている。この方法はまた、複数の第1のサブウェルと複数の第2のサブウェルとの間の平衡が得られるようにするステップを含む。
【0010】
[0013]本発明のさらに別の態様によれば、流体試料を分析するための方法が提供される。この方法は、複数のウェルを含むプレートを備えるマルチウェルデバイスにおける複数の第1のサブウェル及び複数の第2のサブウェル内に流体試料を配置するステップを含み、ウェルの各々は第1のサブウェルと第2のサブウェルとを含み、第1のサブウェルと第2のサブウェルとの各々は単独透析膜によって仕切られ、単独透析膜の各々は上端部と下端部とを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有し、第1のサブウェルの各々と第2のサブウェルの各々とは、上端部及び下端部と、複数の側壁とを有し、1つの側壁は、第1のサブウェル及び第2のサブウェルによって共有される共通の側壁であり、共通の側壁は、連続的なテーパ状の切欠き部を有し、単独透析膜は、連続的なテーパ状の切欠き部内に流体密に封止される。また、この方法は、複数の第1のサブウェルと複数の第2のサブウェルとの間の平衡が得られるようにするステップと、複数の第1のサブウェルと複数の第2のサブウェルとの各々内の流体試料を分析するステップとを含む。
【0011】
[0014]一態様において、流体試料を分析するための方法は、流体試料中のタンパク質結合の伸び及び曲がりの検出を含む。
【0012】
[0015]代替的又は追加的に、本方法の諸態様は、例えば、特にタンパク質治療薬の凝集の定量化を含む、流体試料中の凝集の検出及び定量化を含み得る。
【0013】
[0016]有利なことには、対応するサブウェル内のバッファ液コンディションは、さらなる操作を行うことなしに、例えば、外部透析膜及び/又はバッファ液交換器を使用して平衡化されるべき各サブウェルから試料を取り出す必要なく、平衡化され得る。
【0014】
[0017]他の利点では、いくつかの用途において、例えば、タンパク質結合の伸び及び曲がりの検出、並びに凝集の検出及び定量化(特に、タンパク質治療剤の凝集の定量化)を含み、試料チャンバと標準(試料)チャンバ(サブウェル)内のバッファ液濃度、調合物及び/又はコンディションの変動は、排除されないとしても最小化され、分析の悪影響及び/又は分析装置からの「バッファ液ミスマッチエラー」信号を減少させる。これは、インライン自動化デバイス及び装置と共に使用するために、及びより純粋なタンパク質治療剤を開発するために、特に適している。
【0015】
[0018]次に、本発明の構成要素のそれぞれについて以下でより詳細に説明するが、同様の構成要素は同様の参照番号を付するものとする。
【0016】
[0019]図1及び図2A図2Cは、複数のウェル400(ウェルは一体的に形成されている)を有するプレート(「デバイスプレート」ともいう)500を備えるマルチウェルデバイス1000の一態様を示し、各ウェルは開放上端部401及び閉鎖下端部402を有し、各ウェル400は第1のサブウェル450及び第2のサブウェル460を含む。サブウェル450、460は、それぞれの開放上端部451、461、閉鎖下端部452、462、及び流体を受容するためのチャンバ453、463を有する。各サブウェルは4つの側壁、すなわち、それぞれ第1の側壁454A、464Aと、第2の側壁454B、464Bと、第3の側壁454C、464Cとを有し、第4の側壁475は、第1の壁面459(第1のサブウェル450について。図2Cも参照されたい)及び第2の壁面469(第1のサブウェル460について)を有する共通の側壁であり、透析膜490がこの共通の側壁にある。
【0017】
[0020]図2A図2Cに示され、図3により詳細に示されるように、共通の側壁475は、連続的なテーパ状の切欠き部480(上端部480Aにおいてより広く、下端部480Bにおいてより狭い)を有し、透析膜490(図2Cには示されない)は、より広い上端部490A及びより狭い下端部490Bを有し、上端部から下端部まで連続的なテーパを有し、また、その縁部は、連続的なテーパ状の切欠き部480に流体密に封止される。
【0018】
[0021]図3に示されるように、連続的なテーパ状の切欠き部480は、共通の側壁の面積の50%超~90%未満の範囲にある。テーパ状の切欠き部の面積(及びテーパ状の膜の対応する面積)は共通の側壁の90%未満である。
【0019】
[0022]本発明の態様によるデバイスは、任意の好適な数のウェル、例えば、6、12、24又は96個のウェルを有することができるが、デバイスの態様によっては、より少ない数又はより多い数のウェルを有することができる。好ましくは、デバイスは、例えば、プレートリーダ、顕微鏡ホルダ、及び自動分析装置と共に使用するために適切な寸法(例えば、ウェルの数についての標準的な構造を含む)を有する。
【0020】
[0023]ウェルは、液体の任意の好適な有効な体積(working volume)に対して、例えば各サブウェルにつき約1~約7mLに対して、任意の好適な深さを有することができるが、体積は、用途及びウェルの数に応じて、より大きく又はより小さくすることができる。適切な有効体積は当業者によって決定され得る。
【0021】
[0024]デバイスプレートは、処理される流体に適合する任意の不浸透性熱可塑性材料を含む任意の適切な剛性の不浸透性材料から製造することができる。好ましい態様において、デバイスプレートは、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート樹脂などのポリマーである。
【0022】
[0025]デバイスプレートは、例えば射出成形を含む様々な技術によって製造することができる。
【0023】
[0026]様々な膜が本発明の態様における使用に適しており、好適な膜は様々なポリマーから製造することができる。好ましくは、膜は、デバイスプレートを形成するために使用される材料と熱的に結合し得るポリマーから作製され、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)膜は、ポリプロピレン又はポリスチレンプレートに熱的に結合され得る。好適な膜としては、例えば、SUPOR(登録商標)PES膜(ニューヨーク州ポート・ワシントンのPall Corporation)が挙げられる。
【0024】
[0027]膜は、任意の好適な細孔構造、例えば、細孔サイズ(例えば、バブルポイントから、又は例えば米国特許第4,340,479号明細書に記載されているようなKから、又は毛管凝縮流ポロメトリーから明らかとされるもの)、平均流量細孔(MFP)サイズ(ポロメータ、例えば、Porvair Porometer(英国ノーフォーク州のPorvair plc)などのポロメータ又はPOROLUX(ベルギーのPorometer.com)の商標名で入手可能なポロメータを使用して特徴付けられる場合など)、細孔等級、細孔径(例えば、米国特許第4,925,572号に記載されている修正OSU F2試験を用いて特徴付けられる場合など)、又は除去等級を有することができる。但し、細孔構造が、バッファ液、培地、塩、微粒子及び増殖因子の通過を許容するが、抗体のような生物製剤の通過は妨げるものに限る。例えば、バッファ液及び培地交換を含む用途については、75~165kDaの範囲の細孔サイズが適しており、好ましくは、約100kDa又は約200kDaの細孔サイズが適している。
【0025】
[0028]膜は、任意の所望の臨界湿潤表面張力(例えば、米国特許第4925572号に定義されるようなCWST)を有することができる。CWSTは、当該分野で知られているように、例えば、米国特許第5,152,905号、同第5,443,743号、同第5,472,621号、及び同第6,074,869号にさらに開示されているように、選択することができる。
【0026】
[0029]CWST膜の表面特性は改変することができる(例えば、CWSTに影響を与えるため、表面電荷(例えば、正電荷又は負電荷)を持たせるため、及び/又は、表面の極性又は親水性を変更するため)。
【0027】
[0030]一態様では、本発明の実施形態による透析膜はモノリシックであり、好ましくは付加製造(「付加層製造」又は「3Dプリント」と呼ばれることもある)によって製造され、デバイス壁内にプリントすることができる。それらは、典型的には、活性化可能な結合剤と一緒に結合された金属粉末の反復堆積(例えば、「粉末上の液滴」と呼ばれることもある結合剤噴射)によって形成され、典型的には、その後、例えば焼結によって粉末を塊状化される。必要に応じて、製造中に、所望のサイズのビーズを膜ポリマー材料中に含ませ、続いてエッチングして膜中に細孔を設けることもできる。
【0028】
[0031]一態様では、デバイスプレートは、例えば射出成形によって切欠き部と共に個別に製作され、膜は、その後、付加製造によって切欠き部内で製造される。必要に応じて、デバイスプレートは加熱され、それによって膜がプリントされる際のデバイスプレートに対する膜のシール性を向上させる。
【0029】
[0032]付加製造の一態様において、膜材料(例えば、PES、ナイロン、又はポリプロピレン、又はナイロン)は、(細孔サイズを規定するための所望の径の)単分散シリカビーズ、及び溶媒(例えば、Nメチルピロリドン(NMP)などの有機溶媒)を含み、ポンプのノズルを通して押し出され、加熱される。プリント後、シリカビーズをエッチング除去する(例えば、水酸化カリウムを使用)。
【0030】
[0033]別の態様では、デバイスプレート及び膜は両方とも、例えば、2つの押出機を使用して、付加製造によってプリントすることができ、一方の押出機は、シリカビーズを有さないデバイスプレート用の樹脂(例えば、ポリプロピレン)を含み、他方の押出機は、ビーズを有する樹脂を含み、続いてビーズはエッチング除去される。
【0031】
[0034]任意の好適な付加製造装置を使用することができ、様々な製造用3Dプリンタが適し市販されている。
【0032】
[0035]対応するサブウェル内の流体試料間で平衡に達するための時間は、例えば、約2分~約2時間の範囲内であり得、平衡は、透析膜がより小さい細孔サイズを有する場合よりも、透析膜がより大きい細孔サイズを有する場合に、より迅速に達する。時間の長さは、当業者によって容易に決めることができる。
【0033】
[0036]以下の実施例は、本発明をさらに例示するものであるが、もちろん、その範囲を決して限定するように解釈されるべきではない。
【実施例0034】
[0037]本実施例は、マイクロ流体変調中赤外分光法を使用して、タンパク質結合の伸び及び曲がりを検出し、ひいては二次タンパク質構造情報及び潜在的な凝集を明らかにする、タンパク質治療薬の凝集を測定及び定量化するための装置を有するインラインデバイスとして使用可能なマルチウェルデバイスの一態様を使用することを実証する。
【0035】
[0038]図1に示されるようなマルチウェルデバイスが、試験のために使用され得る。各透析膜は10nmの細孔サイズを有する。参考のために図4を使用すると、試料(S)及び標準(試料)(R)(例えば、S1及びR、S2及びRなど)は、バッファ液を含む対応するサブウェルに入れられ、そしてそれぞれの対はこの装置によって評価される。
【0036】
[0039]対応するサブウェル内の流体は、数分以内に平衡化されるため、この装置は、タンパク質構造分析に悪影響を与え得る「バッファ液ミスマッチエラー」を信号化しない。
【0037】
[0040]この装置は、5つの明確に異なる濃度で凝集モノクローナル抗体試料を同定することができる。
【0038】
[0041]本明細書で引用する刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
[0042]本発明を説明する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)用語「1つ(a)」及び「1つ(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つ(at least one)」及び同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を対象とすると解釈されるものである。「少なくとも1つ」という用語の後に1つ又は複数の項目のリスト(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)を使用することは、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、リストされた項目から選択された1つの項目(A又はB)、又はリストされた項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるものである。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、別段明記しない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるものである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に参照する簡略化された方法として役立つことを意図するにすぎず、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に説明するすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく明らかにすることを意図するにすぎず、別段の請求がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中の言語は、請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0040】
[0043]本発明を実施するために発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい態様が、本明細書に説明される。これらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読むことで、当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に説明する以外の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用される法律によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての改変形態及び同等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における上記で説明する要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【符号の説明】
【0041】
400…ウェル、401…開放上端部、402…閉鎖下端部、450…サブウェル、451…開放上端部、452…閉鎖下端部、453…チャンバ、460…サブウェル、490…透析膜、500…(デバイス)プレート、1000…マルチウェルデバイス。

図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【外国語明細書】