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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070108
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ポリマー布地
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/256 20060101AFI20230511BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20230511BHJP
   D06M 10/02 20060101ALI20230511BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230511BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
D06M15/256
D06M15/643
D06M10/02 C
B05D7/00 G
B32B27/12
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022172035
(22)【出願日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21206475
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506161108
【氏名又は名称】シーファー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SEFAR AG
【住所又は居所原語表記】Hinterbissaustrasse 12 9410 Heiden Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド モクブル オサン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ エレンベルゲル
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4D075BB49X
4D075BB49Y
4D075BB77X
4D075CA36
4D075CA37
4D075DA04
4D075DB20
4D075DB31
4D075EB01
4D075EB16
4D075EB43
4F100AD11C
4F100AK01A
4F100AK17B
4F100AK52C
4F100BA03
4F100BA07
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EJ61
4F100EJ68
4F100JB05B
4F100JB06B
4F100JB06C
4L031AB31
4L031BA32
4L031CB05
4L031DA19
4L033AB04
4L033AC03
4L033AC04
4L033CA17
4L033CA59
(57)【要約】
【課題】疎水性および疎油性を有する頑丈で信頼性のある布地、布地を製造する方法、ならびにポリマー布地を製造するための装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、第1の化合物から作られた、疎水性および疎油性を有する外側機能層と、第2の化合物から作られた、疎水性を有する第2の機能層とを含み、第1の化合物と第2の化合物とが、互いに異なる、ポリマー布地に関する。さらに、外側機能層が、第2の機能層を少なくとも部分的に被覆する。加えて、本発明は、ポリマー布地を製造する方法、およびポリマー布地を製造するための装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の化合物から作られた、疎水性および疎油性を有する外側機能層と、
第2の化合物から作られた、疎水性を有する第2の機能層と
を含み、
前記第1の化合物と前記第2の化合物とが、互いに異なり、
前記外側機能層が、前記第2の機能層を少なくとも部分的に被覆する、
ポリマー布地。
【請求項2】
前記第2の機能層が、疎油性を有していない、請求項1に記載のポリマー布地。
【請求項3】
前記外側機能層が、1つ、2つ、もしくは3つの炭素原子のみを含むペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)ベース、ならびに/またはペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)ベースのプラズマ・ナノコーティングである、請求項1に記載のポリマー布地。
【請求項4】
前記第2の機能層が、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはダイヤモンド状炭素(DLC)層ベースのプラズマ・ナノコーティングである、請求項1に記載のポリマー布地。
【請求項5】
前記外側機能層および/または前記第2の機能層が、低圧プラズマ・コーティング技術によって堆積される、請求項1に記載のポリマー布地。
【請求項6】
前記ポリマー布地が、第1のモノフィラメント糸および第2のモノフィラメント糸の織物である織担体層を含み、前記第1のモノフィラメント糸および前記第2のモノフィラメント糸が、同じまたは異なるポリマー材料から製造される、請求項1に記載のポリマー布地。
【請求項7】
前記ポリマー布地が、少なくとも織担体層と電界紡糸膜層とを含む複合膜を含む、請求項1に記載のポリマー布地。
【請求項8】
前記第2の機能層の厚さと前記外側機能層の厚さとの比が、約2:1、3:1、またはそれ以上である、請求項1に記載のポリマー布地。
【請求項9】
疎水性および疎油性を提供する外側機能層が、低圧プラズマ・コーティング技術によってポリマー布地に堆積され、
疎水性を提供する第2の機能層が、低圧プラズマ・コーティング技術によって前記ポリマー布地に堆積され、
前記外側機能層と前記第2の機能層とが、互いに異なり、
前記外側機能層が前記ポリマー布地に堆積される前に、前記第2の機能層が前記ポリマー布地に堆積され、
前記外側機能層が、前記第2の機能層を少なくとも部分的に被覆する、
請求項1に記載のポリマー布地を製造する方法。
【請求項10】
前記第2の機能層の前記堆積の前に、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、およびテトラフルオロメタン・ガス、ならびに/またはそれらの混合ガスを使用して、低圧プラズマ技術によって前記ポリマー布地の前処理が行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の機能層の前記堆積の前に、ポリマー布地の2ステップ前処理が行われ、
第1のステップで、グラビアおよび/またはスロット・ダイ・コーティング法を使用して、前記ポリマー布地が、紫外線硬化インプリント樹脂で被覆され、
第2のステップで、紫外線インプリントおよび/または熱エンボス加工法を使用して、表面パターニングが行われる、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の機能層の前記堆積の前に、前記ポリマー布地の前処理が行われ、前記ポリマー布地が、水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水溶液で処理される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記外側機能層および/または前記第2の機能層が、1つのプロセスにおいて1つの処理ステップで堆積されて、フッ素ドープHMDSOプラズマ・ナノコーティングおよび/またはフッ素ドープDLCプラズマ・ナノコーティングを得る、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
低圧プラズマ・コーティング・デバイスを備える、請求項1に記載のポリマー布地を製造するための装置であって、
前記低圧プラズマ・コーティング・デバイスが、
・疎水性および疎油性を提供する外側機能層を、低圧プラズマコーティング技術によって前記ポリマー布地に堆積させるように構成され、
・疎水性を提供する第2の機能層を、低圧プラズマコーティング技術によって前記ポリマー布地に堆積させるように構成され、前記外側機能層と前記第2の機能層とが、互いに異なり、
前記低圧プラズマ・コーティング・デバイスが、
・最初に前記第2の機能層を前記ポリマー布地に堆積させ、次に前記外側機能層を前記ポリマー布地に堆積させるように構成され、前記外側機能層が、前記第2の機能層を少なくとも部分的に被覆する、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性および疎油性を有するポリマー布地、ならびに疎水性および疎油性を有するポリマー布地を製造する方法に関する。さらに、本発明は、ポリマー布地を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密濾過の適用においては、換気された施設、機器、および付属品の保護に対する大きな需要がある。ここでの課題の1つは、有害な液体、粒子が換気された施設の内部に入ることを防ぐことである。したがって、撥液コーティングが、水などの表面張力の高い液体から表面張力の低い油までの広範囲の液体をはじくことができるため、多くの分野で頻繁に使用されるようになっている。
【0003】
従来、長分子鎖、例えばC8フッ化炭素(FC)化合物が、軍用化学製剤だけでなく、水、油、燃料、潤滑油、洗浄溶剤、および他の汚染物質のような日常の物質から人を保護するためのコーティングに使用される。しかしながら、毒性が高い可能性があるため、その使用を制限または禁止する法律が世界中で整備されている。代替的なコーティングが開発され、商品化されている。特に、短鎖C6フルオロケミカル・コーティングは、高い環境リスクなしで、性能が従来のC8ベースのFCコーティングに近付いている。
【0004】
C6フッ化炭素ベースの使用は、微量のペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびその塩を含むため、依然として地球環境汚染につながり、これらの物質の残留性および生体蓄積の可能性のため、懸念が生じている。さらに、2020年12月3日から有効になった新しいREACH規制(EU/784/2020)は、PFOA閾値を25ppb(10億分の1)未満に維持することを認めている。したがって、健康上の理由から、これらの化学物質を避けることが一般的な傾向である。さらに、依然として、油脂に対する撥液性の高い、次世代の超疎水性および疎油性コーティングの需要がある。
【0005】
ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)は、無毒の材料であり、処理中に有害な材料が生成されないため、C6フッ化炭素の代替品として産業上の1つの選択肢となっている。これは、適切な蒸気圧により、プラズマ・プロセスの前駆体モノマーとして広く使用されている。純HMDSOからの、炭素を多く含むプラズマ重合HMDSO(pp-HMDSO)は、低い内部応力、良好な接着性、および優れた疎水バリア性能などの有望な機械的特性を示す。pp-HMDSOコーティングによって提供される耐水性は有望であるが、pp-HMDSOコーティングは疎油性をもたらさない。
【0006】
薄膜技術の技術的開発が進むにつれて、濾過の適用に固有の機能特性を示す超短鎖PFASを使用して、永久的な疎水性および疎油性官能基の薄膜を作製するための、化学気相成長プロセスを開発することが、引き続き必要とされる。適切な揮発性前駆体がないこと、およびコーティングの組成制御が困難であることが、この目的の実現を遅らせる主な障害となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、水分離、音響、医療、健康管理、食品などの衛生および濾過の適用のための、疎水性および疎油性を有する頑丈で信頼性のある布地、布地を製造する方法、ならびにポリマー布地を製造するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、一方で、請求項1の特徴を有するポリマー布地、請求項9の特徴を有するポリマー布地を製造する方法、ならびに請求項14の特徴を有するポリマー布地を製造するための装置によって達成される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項に記載される。
【0010】
本発明によるポリマー布地は、第1の化合物から作られた、疎水性および疎油性を有する外側機能層と、第2の化合物から作られた、疎水性を有する第2の機能層とを含み、第1の化合物と第2の化合物とは、互いに異なる。さらに、外側機能層は、第2の機能層を少なくとも部分的に被覆する。
【0011】
さらに、ポリマー布地を製造するための本発明による方法は、疎水性および疎油性を提供する外側機能層が、低圧プラズマ・コーティング技術によってポリマー布地に堆積され、疎水性を提供する第2の機能層が、低圧プラズマ・コーティング技術によってポリマー布地に堆積され、外側機能層と第2の機能層とが互いに異なることを特徴とする。加えて、外側機能層がポリマー布地に堆積される前に、第2の機能層がポリマー布地に堆積され、外側機能層は、第2の層を少なくとも部分的に被覆する。
【0012】
本発明の基本的な考えは、すべての必要な特徴または特性を有する層を布地に設けるという現行システムから離れることにある。本発明に基づいて、2つの層が互いに重なって設けられ、層は互いに異なる。これにより、異なる特徴を有する異なる層を選択することができる。したがって、すべての必要な特徴を提供する材料を見つけて使用する必要はなくなり、異なる層の異なる材料を組み合わせて、その組合せが必要な特徴を提供するようにすればよい。
【0013】
第2の機能層が、疎油性を有していないことが好ましい。これにより、第2の機能層は、疎水性および疎油性を提供する外側機能層とは明らかに異なる。しかしながら、これら2つの層が互いに重なり合うことにより、例えば、外側層の疎水性は、同じく疎水性を提供する第2の機能層が下方に設けられるため、それほど高いレベルである必要はない。
【0014】
実施形態において、外側機能層は、1つ、2つ、もしくは3つの炭素原子のみを含むペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)ベース、ならびに/またはペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)ベースのプラズマ・ナノコーティングである。さらに、別の実施形態または組み合わせた実施形態において、第2の機能層は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはダイヤモンド状炭素(DLC)層ベースのプラズマ・ナノコーティングである。
【0015】
前述したように、短分子鎖C6フッ化炭素(FC)化合物の使用は、問題があり、一部の地域では、もはや認められていない。C6フッ化炭素(FC)化合物をペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)のような超短鎖C3~C1フッ化炭素(FC)に置き換える直接的なステップは、一見すると有望な解決策に思われる。しかしながら、これらの化合物は原理上、疎水性および疎油性を提供するが、プラズマ・ナノコーティングを使用してこれらの化合物を布地に堆積させると、問題が生じることがわかった。プラズマ・ポリマー・コーティングのプロセス中、PFASベースのC3~C1フッ化炭素(FC)層の厚さは、以前のC6~C8ベースのフッ化炭素(FC)層と比べて非常に薄い。したがって、特に布地、例えば織布に設けられた層は、不十分な層にしかならないため、実証可能な疎水性を与えない。意外にも、層が薄くても、良好な疎油性を提供することがわかった。
【0016】
このことは、ペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)ベースのプラズマ・ポリマー・コーティングのプロセスによって作製される層を分析したときにも観察された。しかしながら、1つ、2つ、もしくは3つの炭素原子のみを含むペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)ベースのプラズマ・ナノコーティングと比べたペルフルオロポリエーテル化合物の利点は、ペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)がさらに環境に優しいことである。
【0017】
本発明に基づいて、外側機能層は、1つ、2つ、もしくは3つの炭素原子のみを含むペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)ベース、ならびに/またはペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)ベースのプラズマ・ナノコーティングであり、疎水性を有する第2の機能層上に設けられる。したがって、外側機能層の実証不能な疎水性を、本発明の第2の機能層によって向上させることかできる。言い換えると、最初に良好な疎水性を有する層が布地に堆積され、次に第2のさらなるステップで、疎水性および疎油性を有する外側機能層が、第2の機能層によって既に覆われている布地に堆積される。この構成により、布地に優れた疎水性および疎油性が提供される。
【0018】
第2の機能層は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはダイヤモンド状炭素(DLC)層ベースであってよい。プラズマ・ポリマー・コーティングを使用すると、それにより、第2の機能層を、pp-HMDSOベースのコーティング、すなわち、ポリ(ジメチルシロキサン)状(PDMS状)コーティング、フッ素ドープpp-HMDSOコーティング、および/またはフッ素ドープDLCコーティングとして形成することができる。これらのコーティングは、プラズマ・ポリマー技術によって堆積されるときに、前述した外側機能層よりも厚い層を作製するのに十分に良好な堆積速度を有する。したがって、これら2つの層の技術の組合せにより、ポリマー・プラズマ・コーティングによってポリマー布地に優れた疎水性および疎油性を提供することができる。
【0019】
外側機能層および/または第2の機能層は、低圧プラズマ・コーティング技術によって堆積されることが好ましい。この技術は、プラズマ化学気相成長(PECVD)法としても知られる。この技術は低温プラズマを使用する。したがって、この技術は、モノフィラメント・メッシュ、複合膜などの温度に敏感なポリマー材料に適している。PECVDを使用すると、官能基が網目に組み込まれた高架橋度のポリマー網目を堆積させることができるため、改質された表面の高い長期安定性を得ることができる。
【0020】
一般に、ポリマー布地は任意の種類の布地であってよい。一実施形態において、ポリマー布地は、第1のモノフィラメント糸および第2のモノフィラメント糸の織物である織担体層を含み、第1のモノフィラメント糸および第2のモノフィラメント糸は、同じまたは異なるポリマー材料から製造される。提供されるモノフィラメント糸は、提案されたプラズマベースの堆積プロセスに特に適している。
【0021】
ポリマー布地のフィルタ特性を向上させるために、ポリマー布地は、少なくとも織担体層と電界紡糸膜層とを含む複合膜を含むことができる。電界紡糸膜層は、0.20μm~2.0μmの孔径を有することができる。膜層を織担体層に直接紡糸しても、基材に紡糸して、後で接合プロセス中に織担体層に転写してもよい。
【0022】
説明したように、外側機能層の厚さは第2の機能層よりも小さい。第2の機能層の厚さと外側機能層の厚さとの比が、約2:1、3:1、またはそれ以上であれば、優れた疎水性および疎油性を実現することができる。例えば、第2の機能層は、20~300nmの層厚さを有することができ、外側機能層は、好ましくは10~150nmの層厚さを有することができる。
【0023】
ポリマー布地を製造するための本発明の方法によれば、疎水性および疎油性を提供する外側機能層が、低圧プラズマ・コーティング技術によってポリマー布地に堆積され、疎水性を提供する第2の機能層が、低圧プラズマ・コーティング技術によってポリマー布地に堆積され、外側機能層と第2の機能層とは、互いに異なる。加えて、外側機能層がポリマー布地に堆積される前に、第2の機能層がポリマー布地に堆積され、外側機能層は、第2の機能層を少なくとも部分的に被覆する。
【0024】
本発明の中心的な考えは、一方が他方に少なくとも部分的に重なり合う2つの異なる層を設けることである。これにより、外側機能層の特徴を、第2の機能層の特徴によって支えることができる。したがって、すべての必要な特徴を有する1つの化合物のみの使用を必要として、優れた結果、すなわち、ポリマー布地に疎水性および疎油性を与えることに関する優れた結果を実現することができる。これは、外側機能層が、以前に使用されていた化合物よりもより環境に優しいが、比較して疎水性および疎油性があまり良好でない、1つ、2つ、もしくは3つの炭素原子のみを含むペルフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)ベース、ならびに/または、ペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)ベースである場合に特に該当する。
【0025】
第2の機能層との接着性を向上させるために、第2の機能層の堆積の前に、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、およびテトラフルオロメタン・ガスなどの非重合性ガス、ならびに/またはそれらの混合ガスを使用して、低圧プラズマ技術によってポリマー布地の前処理を行うことができる。
【0026】
加えてまたはあるいは、第2の機能層の堆積の前に、ポリマー布地の2ステップ前処理を行うことができ、第1のステップで、グラビアおよび/またはスロット・ダイ・コーティング法を使用して、ポリマー布地を紫外線硬化インプリント樹脂で被覆し、第2のステップで、紫外線インプリントおよび/または熱エンボス加工法を使用して、表面パターニングを行う。
【0027】
最後に、前述した前処理に加えてまたはその代わりに、第2の機能層の堆積の前に、ポリマー布地の前処理を行うことができ、ポリマー布地は、水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水溶液で処理される。
【0028】
前処理により、機能層の堆積の前に、布地の表面を化学的および/または形態学的に改質することができ、その結果、プラズマ重合中に、プラズマ・ポリマーが基材に特にしっかりと貼り付くことができる。さらに、ロールオフ効果、いわゆるロータス効果を向上させるための表面構造化も、ナノインプリントおよびプラズマ前処理によって実現することができる。前処理のうちの1つまたは前処理の組合せによって、ポリマー布地の洗浄、活性化、および/またはテクスチャリングが実現されるため、第2の機能層の接着性を向上させることができる。本発明に基づいて、布地の前処理または洗浄は、布地への層の作製とはみなされない。
【0029】
改良された実施形態に基づいて、外側機能層および/または第2の機能層は、1つのプロセスにおいて1つの処理ステップで堆積されて、フッ素ドープHMDSOプラズマ・ナノコーティングおよび/またはフッ素ドープDLCプラズマ・ナノコーティングを得る。
【0030】
本発明に基づいて、耐水性および撥油性が向上し、かつ/または、水、ジヨードメタン、およびペンタンジオールとの接触角が110°~150°、AATCC118によるオイル・グレードが5~8の、ポリマー布地を提供することができる。
【0031】
本発明のポリマー布地を製造するための本発明の装置は、低圧プラズマ・コーティング・デバイスを備え、低圧プラズマ・コーティング・デバイスは、疎水性および疎油性を提供する外側機能層を、低圧プラズマ・コーティング技術によってポリマー布地に堆積させるように構成され、疎水性を提供する第2の機能層を、低圧プラズマ・コーティング技術によってポリマー布地に堆積させるように構成され、外側機能層と第2の機能層とは、互いに異なり、低圧プラズマ・コーティング・デバイスは、最初に第2の機能層をポリマー布地に堆積させ、次に外側機能層をポリマー布地に堆積させるように構成され、外側機能層は、第2の機能層を少なくとも部分的に被覆する。
【0032】
以下で、添付図面に概略的に示す好ましい例示的な実施形態により、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ポリマー布地の概略図である。
図2】膜を含む、本発明によるポリマー布地の概略断面図である(「単層」)。
図3】いわゆる「サンドイッチ」配置の、本発明による複合材料の概略断面図である。
図4】多層構造を有する、本発明による複合材料の概略断面図である(「多層」)。
図5】2つの異なる担体層を有する「ハイブリッド」配置の、本発明による複合材料の概略断面図である。
図6】本発明のポリマー布地を製造する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、ポリマー布地100の非常に概略的な図である。図の左側では、ポリマー布地100に外側機能層120のみが設けられ、右側では、外側機能層120に加えて、第2の機能層110が設けられている。以下で、この例に基づいて、本発明の概念をさらに説明する。
【0035】
図1に、ポリマー布地100の大きく拡大した概略図が示され、2本の横糸102と1本の縦糸104とが示されている。
【0036】
左側に示すように、1~3炭素原子を含むPFASベースの第1のポリマーを堆積させる場合、この化合物の最適ではない堆積速度により、層は糸を完全には覆わない。これは、特に左側の横糸102と縦糸104との接触領域に見られる。1~3炭素原子を含むPFASの代わりに、PFPEベースの第1のポリマーを堆積させる場合にも同じ結果が生じる。
【0037】
これとは逆に、外側機能層120に加えて、外側機能層120を設ける前に、例えばHMDSOベースの第2の機能層110を設けて、布地100が第2の機能層110によって完全に覆われることを保証する。一方で、外側機能層120のより良好な堆積を実現することができ、他方で、領域が外側機能層120によって覆われていなくても、その領域は少なくとも第2の機能層110によって覆われる。HMDSOの第2の機能層110の代わりに、この層は、FドープHMDSO、DLC、FドープDLC、またはこれらの組合せをベースとしてもよい。
【0038】
図2は、担体層11を含む複合材料10としてのポリマー布地の断面図である。電界紡糸法によって形成された膜12が、担体層11上に配置され、貼り付けられる。担体層11に対する膜12の接着性を向上させるために、複合材料を、両方の層を互いにしっかりと接続する少なくとも1つの接続点13を有して設計することができる。この接続点13は、点もしくは線の形の溶着または接着接合位置であってよい。担体材料11および膜12の層厚さが小さいことにより、接続位置で、接続点13が複合材料を完全に貫通することができる。
【0039】
複合材料10、より詳細には電界紡糸膜12に、孔を形成することができる。複合材料10の表面と孔の繊維とを、図1を参照して説明した本発明の2ステップ・プラズマ・コーティング法によって施されるコーティングで被覆することができる。これにより、pp-HMDSOまたはDLCの第1のプラズマ・コーティングが施されて、疎水性のみを提供する。次に、1つ、2つ、または3つの炭素原子のみを含むPFASベース、および/またはPFPEベースの層を設けるさらなるプラズマ・コーティングを施して、疎水性および疎油性を提供する。外側機能層と第2の機能層とを1つのプラズマ処理ステップで堆積させて、疎水性および疎油性を提供するフッ素ドープHMDSOまたはフッ素ドープDLC層を得ることもできる。場合により、FドープHMDSOまたはFドープDLCを第2の機能層として使用してもよい。
【0040】
繊維の表面コーティングが、図示の点および線14により全体として概略的に図面に示されている。コーティングは、複合材料10の内部または深部に位置する膜12の孔内の領域において繊維を被覆することもできる。したがって、複合材料の目に見える外面を被覆できるだけでなく、目に見えない内面、すなわち、例えば繊維、凹部、および凹凸部分を被覆することもでき、この場合、単繊維が個々に包まれるまたは囲まれる。
【0041】
図3は、いわゆる「サンドイッチ」配置のさらなる複合材料10を示す。ここでは、膜12が2つの担体層11の間に配置され、これにより、膜12は、層の間で特に機械的応力から保護される。サンドイッチ配置の実施形態において、例えば、200Paで15.6l/msの通気性に達することができる。基本的に、サンドイッチ配置、多層配置、またはハイブリッド配置により、200Paで最高80l/msの通気性に達することもできる。
【0042】
複合材料10の層のすべての可能な配置において、これらの層を単純な積層によって互いに重ねて配置することができる。しかしながら、層を接続点13によって互いにしっかりと接続してもよく、これにより、複合材料10の特に確実な機械的強度を得ることができる。
【0043】
図4に、複合材料10の多層配置(多層)が示されている。この配置では、担体層11と膜層12とが、互いに交互に重なって支持されるように設けられている。図4によれば、2つの担体層11と2つの膜層12とが設けられている。多層配置は、任意の数の担体層11および/または膜層12を有していてもよい。必要に応じて、2つの膜層12が、2つ以上の担体層の間に互いに直接重なって設けられていてもよい。多層配置の場合でも、本発明の2ステップ・プラズマ・コーティングを、互いに重なって支持されるすべての膜層12および担体層11の目に見えない表面に施すことができる。したがって、多層構造においても、本発明の2ステップ・プラズマ・コーティングを、複合材料10の内面に施すことができる。
【0044】
図5は、複合材料10の変形形態を示し、膜12が第1の担体層11と第2の担体層15との間に配置されている。基本的に、第1の担体層11は特に布地として設計することができ、第2の担体層15は第1の担体層11とは異なり、特にフリースとして設けることができる。このような「ハイブリッド」配置により、異なる材料の特性を複合材料において有利に組み合わせることができるため、フィルタ、保護特性、および音響伝達特性を複合材料10において有利に実現することができる。図5に示すハイブリッド配置においても、本発明の2ステップ・プラズマ・コーティングを複合材料10に施すことができ、この場合、第2の機能層および外側機能層のプラズマ重合を、複合材料10内において、孔の開口部内のようなより深い層で行ってもよい。
【0045】
図6の略図は、担体層を含む複合材料のような本発明のポリマー布地の製造プロセスの例を示す。電界紡糸膜が形成される収集基材(上の図)が設けられる(第1の製造ステップ)。電界紡糸膜は、一般に既知の概念に従って形成され、以下でさらに説明する。
【0046】
第2のステップで、形成された膜が担体層に転写および接合され(接合1)、電界紡糸膜が形成されていた元の収集基材を、場合により除去することができる(収集基材除去)。上記の図示によれば、担体層はメッシュまたは布地であってよい。
【0047】
場合により、第2の外側層の導入後に第2の接合(接合2)を行い、その後、任意のカレンダ仕上げプロセスを行うことができる。したがって、場合により、サンドイッチ構造を形成する2つの等しいまたは異なる層の間に、膜を配置することができる。第2の外側層を、例えばメッシュ、ライニング、または不織材料として設けることができる。最後に、本発明の2ステップ・プラズマ・コーティングが、少なくとも1つの担体層および膜に施される。これにより、疎水性のみを提供する第1の層と、疎水性および疎油性を提供する次の層とが堆積される。第1の層は、pp-HMDSO、フッ素ドープHMDSO、DLC、またはフッ素ドープDLC層であってよい。さらなる外側層は、1つ、2つ、または3つの炭素原子のみを含むPFASベースおよび/またはPFPEベースの層であってよい。
【0048】
電界紡糸
ナノ繊維ウエブを作るプロセスが、WO2006/131081、WO2008/106903に記載されている。
【0049】
簡単に説明すると、電界紡糸プロセスにおいては、高電圧を使用して、帯電したポリマー溶液を噴射し、またはピペットから溶融させる。収集スクリーンに到達する前に、噴射溶液は蒸発または固化し、互いに接続された細かい繊維のウエブとして収集される。一方の電極を紡糸溶液/溶融物に入れ、他方の電極をコレクタに取り付ける。多くの場合、コレクタは単純に接地される。表面張力によって保持された溶液を含む毛細管の端部に、電界を加える。これにより、液体の表面に電荷が誘起される。相互電荷反発および対電極に対する表面電荷の収縮は、表面張力とは正反対の力を引き起こす。電界強度の増加に伴って、毛細管の先端の流体の半球面が延伸し、テイラー・コーンと呼ばれる円錐形を形成する。さらに電界を増加させると、静電斥力が表面張力を上回る臨界値に達し、帯電流体がテイラー・コーンの先端から噴射される。噴射されたポリマー溶液は、不安定および延伸プロセスを経て、非常に長く薄くなる。その際、溶媒は蒸発し、帯電ポリマー繊維が残る。溶融物の場合、噴射された溶融物は空気中を移動するときに固化する。
【0050】
接合方法
様々な接合技術を使用することができる。ホットメルト・グラビア積層技術、超音波接合技術、浸漬接合技術、UFD繊維化スプレー技術(ホットメルト)、および紡糸ウエブ接合技術がある。
【0051】
ホットメルト・グラビア積層技術が、インライン・プロセス用に工業的に確立されている。したがって、「サンドイッチ」型の膜については、1つのラインで2ステップ接合を行うこともできる。この技術は、ドット・コーティング用のグラビア・ローラ、リボルバ・ドージング・ヘッド(正/正または負/負)および塗布ローラおよび積層ローラおよび逆圧ローラから構成される、多目的ホットメルト積層およびコーティング・システムを使用する。
【0052】
グラビア・ローラを使用して接着剤をドット・コーティングすることにより、2つの異なる反応性PU系接着剤(一方はPU電界紡糸膜用、他方はPA6膜用)を使用することができる。約15~25%の通気性損失により、高い接合強度を得ることができる。接着剤は、膜の最終的な貼付け中に問題が生じないように、(適合性、物理的および化学的適合性、医療および食品等級などについて)注意深く選択しなければならない。接着剤による材料の硬化が認められる。
【0053】
浸漬接合技術(化学的接合)を、電界紡糸プロセス前の担体の前処理に使用することができ、これが好ましい場合もある。また、大きな利点として、接合のための追加のプロセス・ステップを省くことができる。その後、2層積層体を、第2の接合、例えばホットメルト、紡糸ウエブ、UFDなどに使用して、多層通気材を形成することができる。
【0054】
UFDは、繊維化スプレー技術であり、ホットメルト接着剤塗布のための最先端技術である。積層板技術(LPT)は、接着剤のフィラメント・ストランドを製造するために適用される。加熱空気を使用して、ストランドを延伸させ、規則的または不規則的なパターンで配置する。多くの場合、UFD技術を使用すると、接着剤の高精度塗布により、接合強度または耐久性が悪影響を受けることなく、接着剤の使用量を20~50%削減することができる。非接触モードを使用することができ、それにより、積層中の電界紡糸繊維の損傷の可能性がより低くなる。UFD技術は、ホットメルト・グラビア積層よりもクリーンなプロセスである。
【0055】
紡糸ウエブ接合技術により、表面が閉鎖された膜ではなく、3次元構造が得られる。開放構造によって得られる積層体は、より柔軟性および通気性に優れている。ウエブは、コポリアミド、コポリエステル、コポリオレフィン、ポリウレタンなどの様々な材料から作られる。紡糸ウエブ技術は、非常に単純なプロセスである。積層中に考慮すべき3つの主なパラメータは、温度、圧力、および時間である。
【0056】
カレンダ仕上げ
カレンダ仕上げを、布、メッシュ、積層通気材などの材料に使用して、より滑らかで薄い材料を得る。これにより、材料は、高い温度および圧力のローラの間またはその下に通される。カレンダ仕上げの条件によっては、孔の大きさおよび形状が影響を受けることがある。
【0057】
プラズマPECVD
工業用および医療用織物ならびに複合材料の撥水撥油性のような表面特性を向上させるために、織物仕上げプロセスとして織物材料のプラズマ処理を施すことができる。従来の湿式化学繊維仕上げと比べて、プラズマ技術は環境問題に関して有利である。PECVD処理により、例えば、接着性の向上、疎水性の向上、表面への特別な官能基の導入、または表面形態の改質を達成することができる。
【0058】
一般にプラズマ重合またはPECVDとして知られるプラズマ蒸着では、非常に薄いポリマー層(ナノスケール)を基材表面に蒸着させることができる。この層は、基材表面に直接重合される有機前駆体ガスの重合によって形成される。従来の重合とは対照的に、プラズマ重合は、すべてのモノマー・ガスまたは蒸気を、その反応性に限定されることなく使用することができる。プラズマ・ポリマーは、分岐しランダムに終端された鎖および高架橋度により、従来とは異なる重合挙動を示す。
【0059】
プラズマ・ポリマーのバルク構造は、従来のポリマーのバルク構造とはかけ離れて、完全に不規則である。プラズマ・ポリマー・コーティング(ナノ薄膜)は、体積当たりの高密度の官能基、高架橋度の分岐プラズマ・ポリマー網目、ナノメートル厚のコーティング(<200nm)、基材に対するコーティングの高い接着性、および、ポリマー布地であり得る基材のバルク特性が変化しないことによって、従来のポリマーとは異なる。
【0060】
本発明によれば、好ましくは約13MHz~14MHz、好ましくは約13.5MHzの無線周波数により、または直流(DC)電源により動作するシステムを回転させるロール内に複数のローラおよび/またはエキスパンダを有するプラズマ・チャンバにおいて、プラズマ処理を行うことができる。
【0061】
本発明を実施するための1つのモードは、最初に、前処理を、好ましくは約2分間~約5分間、好ましくは約70mTorr~約200mTorrのベース圧力、好ましくは約20℃~最高約60℃の温度、好ましくは約500ワット~約1800ワットの電力出力で行うことであってよい。次に、第1のコーティングステップを、好ましくは約2分間~約5分間、好ましくは約15mTorr~約150mTorrのベース圧力、好ましくは約20℃~最高約60℃の温度、好ましくは約100ワット~約1000ワットの電力出力で行う。次に、第2のコーティングステップを、好ましくは約2分間~約5分間、好ましくは約15mTorr~約150mTorrのベース圧力、好ましくは約20℃~最高約60℃の温度、好ましくは約100ワット~約800ワットの電力出力で行って、外側機能層を堆積させる。本実施形態において、外側機能層はC1~C3ベースのPFASをベースとし、第2の機能層はHMDSOまたはDLCをベースとする。
【実施例0062】
本発明による布地に基づく濾過媒体の好ましい実施形態は、最高の撥液性を得るための異なるパターンを有する織構造を含み、したがって、表1に見られるように、110°超の接触角を持つ超疎水性および疎油性表面を得ることができる。プラズマ誘起疎水および疎油の度合いは、織物構造および織構成にも関連する。プラズマ種が織物構造に貫入すると、より高い撥液性が可能になる。したがって、基材の疎水性および疎油性は、布地の横フィラメントおよび縦フィラメントの両方の配置、最終的なフィラメントの繊度、布地密度および織構造および繊維含有量によっても決まる。
【0063】
【表1】
【実施例0064】
また、処理されたポリマー布地の撥油性を、水性液体ではなく撥油液性を試験する「合否」型の方法でもあるAATCC118により、並行して評価した。AATCC118は、表面張力が低下する8つの液体炭化水素を使用して、撥油性を判定する。油のスケールは、25℃で31.5mN/mの表面張力を持つ鉱油であるKaydolを使用する0(否)から、25℃で19.8mN/mの表面張力を持つn-ヘプタンを使用する8(最高の撥油性)に及ぶ。サンプルを湿潤させない油に付した数字は、撥油性のグレードとみなされる。
【0065】
【表2】
表2からわかるように、本発明のコーティングを使用することにより、C6ベースの標準的なコーティングと比べて同様のおよび良好な結果を得ることができる。この知見は、以下のように説明することができる。すなわち、物理的な改質がロールオフ効果を向上させる。PDMS状コーティング(すなわちpp-HMDSO)は、良好な撥水性を得るよう強化し、フッ素化トップコーティングは、油、脂、およびミルクに対して効果的である。
【0066】
本発明に基づいて、布地に埋め込まれた疎水基および疎油基が、ASTMF1980-16による加速劣化処理に対する安定性および耐性を有する、濾過媒体のためのポリマー布地を製造することもできる。さらに、濾過媒体の2ステップの疎水性および疎油性ナノコーティングは、ISO4920およびAATCC118のそれぞれによる優れた撥水性および撥油性を有する。
【0067】
本発明に基づいて、疎水性および疎油性を有する頑丈で信頼性のある布地を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】