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特開2023-70129樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置
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  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図1a
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図1b
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図2
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図3
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図4
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図5a
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図5b
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図5c
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図6a
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図6b
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図7
  • 特開-樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070129
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】樹脂組成物、樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及び接着部材を含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20230511BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022175788
(22)【出願日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0149782
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝洋
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040FA131
4J040KA13
4J040NA17
4J040NA19
4J040PB03
(57)【要約】
【課題】吐出安定性に優れ、硬化後は高い接着特性を示す樹脂組成物及び樹脂組成物からなる接着部材の製造方法を提供すること。
【解決手段】一実施例の樹脂組成物は、少なくとも一つの少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む。樹脂組成物は25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみ(Hencky strain)が6の条件でみかけ伸長粘度は100mPa・s以下である。それによって、樹脂組成物は吐出が容易な特性を示し、樹脂組成物からなる接着部材は接着信頼性が高い特性を示す。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、
少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、
少なくとも一つの光開始剤と、を含み、
25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみ(Hencky strain)が6の条件でみかけ伸長粘度は0mPa・s超過100mPa・s以下である樹脂組成物。
【請求項2】
下記式1を満たす請求項1に記載の樹脂組成物:
/Y<12(式1)
前記式1において、
は25℃温度で測定された前記樹脂組成物のみかけ伸長粘度の最大値であり、Yは25℃温度でJIS Z8803法で測定された前記樹脂組成物のせん断粘度である。
【請求項3】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記単官能(メト)アクリレートの重量の和は80wt%以上90wt%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記二官能(メト)アクリレートは、重量平均分子量が10000以上40000未満のウレタン(メト)アクリレートを含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記二官能(メト)アクリレートの重量は10wt%以上20wt%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記単官能(メト)アクリレートは、それぞれ独立して4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、及び2-エチルヘキシル-ジグリコールアクリレートのうち少なくとも一つを含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂組成物に吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第1吐出速度を有し、
前記吐出圧力を除去してから60秒以上300秒以下の時間が経過して、前記樹脂組成物に前記吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第2吐出速度を有するが、
前記第1吐出速度に対する前記第2吐出速度の変化量は0%超過20%以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記第1吐出速度及び前記第2吐出速度はそれぞれ独立して5.5m/s以上6.5m/s以下である請求項7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
紫外線硬化後、前記樹脂組成物の180°剥離力は800gf/25mm以上であるが、前記180°剥離力は高分子基板に対する剥離力である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
紫外線硬化後、前記樹脂組成物は-20℃でJIS K7244-7法で測定された貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
吐出装置を利用して基板の上に少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む樹脂組成物を提供するステップと、
前記樹脂組成物に光を提供して接着部材を形成するステップと、を含み、
前記吐出装置から前記樹脂組成物に吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第1吐出速度を有し、
前記吐出圧力を除去してから60秒以上300秒以下の時間が経過して、前記樹脂組成物に前記吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第2吐出速度を有し、
前記第1吐出速度に対する前記第2吐出速度の変化量は0%超過20%以下であり、
前記樹脂組成物は請求項1乃至請求項10のうちいずれか一項に記載の樹脂組成物である、
接着部材の製造方法。
【請求項12】
表示パネルと、
前記表示パネルの上に配置されるウィンドウと、
前記表示パネルと前記ウィンドウとの間に配置される接着部材と、を含み、
前記接着部材は、少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む樹脂組成物から由来する重合体を含み、
前記樹脂組成物は、25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度は0mPa・s超過100mPa・s以下である表示装置。
【請求項13】
前記接着部材は、-20℃でJIS K7244-7法で測定された貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満で、高分子基板に対する180°剥離力は800gf/25mm以上である請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記接着部材は、前記樹脂組成物を前記ウィンドウの一面または前記表示パネルの一面の上に提供し、前記提供された樹脂組成物を光硬化して形成される請求項12に記載の表示装置。
【請求項15】
少なくとも一つの折りたたみ領域を含み、
前記折りたたみ領域の曲率半径は0mm超過5mm以下である請求項12に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物、その樹脂組成物からなる接着部材の製造方法、及びその接着部材を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン、携帯電話、タブレットコンピュータ、ナビゲーション、ゲーム機などのようなマルチメディア装置に使用される多様な表示装置が開発されている。特に、最近は携帯が容易で、ユーザの便宜性を向上させるために折り曲げられるフレキシブル表示部材を備えて折りたたみ、折り曲げ、または巻き取りが可能な表示装置に関する開発が行われている。
【0003】
フレキシブルな表示装置で使用される各部材は折りたたみや折り曲げ動作の際に信頼性を確保する必要がある。また、多様な形状の表示装置に適用される接着層を形成するために使用される接着樹脂は、多様な形態の表示装置の部材に対して優れた吐出安定性を有することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-172649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、吐出安定性に優れ、硬化後は高い接着特性を示す樹脂組成物及び樹脂組成物からなる接着部材の製造方法を提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、高い接着特性を有する接着部材を含むことで信頼性の優れた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態は、少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤と、を含み、25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみ(Hencky strain)が6の条件でみかけ伸長粘度は0mPa・s超過100mPa・s以下の樹脂組成物を提供する。
【0008】
前記樹脂組成物は、下記式1を満たす。
/Y<12(式1)
前記式1において、Yは25℃温度で測定された前記樹脂組成物のみかけ伸長粘度の最大値であり、Yは25℃温度でJIS Z8803法で測定された前記樹脂組成物のせん断粘度である。
【0009】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記単官能(メト)アクリレートの重量の和は80wt%以上90wt%以下である。
【0010】
前記二官能(メト)アクリレートは、重量平均分子量が10000以上40000未満のウレタン(メト)アクリレートを含む。
【0011】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記二官能(メト)アクリレートの重量は10wt%以上20wt%以下であってもよい。
【0012】
前記単官能(メト)アクリレートは、それぞれ独立して4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、及び2-エチルヘキシル-ジグリコールアクリレートのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0013】
前記樹脂組成物に吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第1吐出速度を有し、前記吐出圧力を除去してから60秒以上300秒以下の時間が経過して、前記樹脂組成物に前記吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第2吐出速度を有するが、前記第1吐出速度に対する前記第2吐出速度の変化量は0%超過20%以下であってもよい。
【0014】
前記第1吐出速度及び前記第2吐出速度はそれぞれ独立して5.5m/s以上6.5m/s以下であってもよい。
【0015】
紫外線硬化後、前記樹脂組成物の180°剥離力は800gf/25mm以上であり、前記180°剥離力は高分子基板に対する剥離力であってもよい。
【0016】
紫外線硬化後、前記樹脂組成物は-20℃でJIS K7244-7法で測定された貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満であってもよい。
【0017】
一実施形態は、吐出装置を利用して基板の上に少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む樹脂組成物を提供するステップと、前記樹脂組成物に光を提供して接着部材を形成するステップと、を含み、前記吐出装置から前記樹脂組成物に吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第1吐出速度を有し、前記吐出圧力を除去してから60秒以上300秒以下の時間が経過して、前記樹脂組成物に前記吐出圧力が加えられれば前記樹脂組成物は第2吐出速度を有するが、前記第1吐出速度に対する前記第2吐出速度の変化量は0%超過20%以下である接着部材の製造方法を提供する。
【0018】
前記樹脂組成物は、25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度は100mPa・s以下であってもよい。
【0019】
前記第1吐出速度及び前記第2吐出速度はそれぞれ独立して5.5m/s以上6.5m/s以下であってもよい。
【0020】
一実施形態は、表示パネルと、前記表示パネルの上に配置されるウィンドウと、前記表示パネルと前記ウィンドウとの間に配置される接着部材と、を含み、前記接着部材は、少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む樹脂組成物から由来する重合体を含み、前記樹脂組成物は、25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度は0mPa・s超過100mPa・s以下の表示装置を提供する。
【0021】
前記樹脂組成物は、下記式1を満たす。
/Y<12(式1)
前記式1において、Yは25℃温度で測定された前記樹脂組成物のみかけ伸長粘度の最大値であり、Yは25℃温度でJIS Z8803法で測定された前記樹脂組成物のせん断粘度であってもよい。
【0022】
前記樹脂組成物の全体重量を基準に、前記単官能(メト)アクリレートの重量の和は80wt%以上90wt%以下であってもよい。
【0023】
前記二官能(メト)アクリレートは、重量平均分子量が10000以上40000未満のウレタン(メト)アクリレートを含んでもよい。
【0024】
前記接着部材は、-20℃でJIS K7244-7法で測定された貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満で、高分子基板に対する180°剥離力は800gf/25mm以上であってもよい。
【0025】
前記接着部材は、前記樹脂組成物を前記ウィンドウの一面または前記表示パネルの一面の上に提供し、前記提供された樹脂組成物を光硬化して形成されてもよい。
【0026】
前記表示装置は少なくとも一つの折りたたみ領域を含み、前記折りたたみ領域の曲率半径は0mm超過5mm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態の樹脂組成物は、25℃温度でのせん断粘度の範囲及び25℃温度でのヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘の度範囲を満たすことで吐出安定性に優れ、硬化後は接着信頼性が高い特性を示す。
【0028】
一実施形態の接着部材の製造方法は、吐出安定性の高い樹脂組成物を提供するステップを含むことで製造信頼性が高い特性を示す。
【0029】
一実施形態の表示装置は、樹脂組成物からなる接着部材を含むことで信頼性が優秀な特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】一実施形態の表示装置の斜視図である。
図1b図1aに示した表示装置の折りたたみ状態を示す図である。
図2】一実施形態の表示装置の分解斜視図である。
図3】一実施形態の表示装置の断面図である。
図4】一実施形態の接着部材の製造方法を示す順序図である。
図5a】一実施形態の接着部材を製造する方法を示す図である。
図5b】一実施形態の接着部材を製造する方法を示す図である。
図5c】一実施形態の接着部材を製造する方法を示す図である。
図6a】一実施形態の接着部材を製造する方法を示す図である。
図6b】一実施形態の接着部材を製造する方法を示す図である。
図7】一実施形態の表示装置の断面図である。
図8】一実施形態の表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるゆえ、特定実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定な開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解すべきである。
【0032】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、「結合される」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0033】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。「及び/または」は、関連する構成要素が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0034】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0035】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成要素の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0036】
「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0037】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義された用語のような用語は、関連技術の脈絡で有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであって、ここで明示的に定義されない限り、過度に理想的であるか形式的な意味で解釈してはならない。
【0038】
以下、図面を参照して一実施形態の樹脂組成物及び一実施形態の表示装置について説明する。
【0039】
図1aは、一実施形態による表示装置の斜視図である。図1bは、図1aに示した表示装置の折りたたみ状態を示す図である。一実施形態による表示装置DDは、折りたたまれるかまたは折り曲げられるか、折りたたみ状態または折り曲げ状態に維持されるフレキシブル(flexible)表示装置である。本明細書において、フレキシブルとは曲げられる特性を意味し、曲げられて完全に折りたたまれる構造に限らず、数ナノメートル(nm)レベルに曲がっている構造まで含む。
【0040】
図1a及び図1bを参照すると、表示装置DDは、電気的信号によって活性化される装置である。例えば、表示装置DDは携帯情報端末、タブレット、カーナビゲーションユニット、ゲーム機、またはウェアラブル装置であってもよいが、これに限らない。図1a及び図1bでは、表示装置DDが携帯用電子機器であることを例示的に示している。
【0041】
図1aを参照すると、一実施形態による表示装置DDは、第1方向軸DR1及び第1方向軸DR1と交差する第2方向軸DR2が定義する表示面DSを含む。表示装置DDは、表示面DSを介して画像IMをユーザに提供する。
【0042】
表示面DSは、表示領域DAと表示領域DAに隣接した非表示領域NDAとを含む。表示領域DAは画像IMを表示し、非表示領域NDAは画像IMを表示しない。非表示領域NDAは表示領域DAを囲む。但し、これに限らず、表示領域DAの形状及び非表示領域NDAの形状は変形されてもよい。
【0043】
表示面DSはセンシング領域SAを更に含む。センシング領域SAは表示領域DAの一部領域である。センシング領域SAは表示領域DAより高い透過率を有する。センシング領域SAを介して光信号、例えば、可視光線または赤外線が移動する。表示装置DDはセンシング領域SAを通過する可視光線を介して外部イメージを撮影するか、赤外線を介して外部物体の接近性を判断する電子モジュールを含む。図1aでは一つのセンシング領域SAを例示的に示しているが、これに限らず、センシング領域SAは複数個で提供されてもよい。
【0044】
表示装置DDの厚さ方向は、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2が定義する平面に対する法線方向である第3方向軸DR3と並ぶ方向である。本明細書で説明される第1乃至第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向は相対的な概念であって、他の方向に変換されてもよい。また、第1乃至第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向は第1乃至第3方向と説明され、同じ図面符号が使用される。本明細書において、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2は互いに直交し、第3方向軸DR3は第1方向軸R1と第2方向軸DR2が定義する平面に対する法線方向である。
【0045】
表示装置DDは、折りたたみ領域FAと複数個の非折りたたみ領域NFA1、NFA2とを含む。非折りたたみ領域NFA1、NFA2は第1非折りたたみ領域NFA1と第2非折りたたみ領域NFA2とを含む。第1方向軸DR1と並んで、第1非折りたたみ領域NFA1、折りたたみ領域FA、及び第2非折りたたみ領域NFA2が順次に配置される。
【0046】
図1a及び図1bの表示装置DDでは一つの折りたたみ領域FAと2つの非折りたたみ領域NFA1、NFA2を含むと示しているが、折りたたみ領域と非折りたたみ領域の個数はこれに限らない。例えば、表示装置は3つ以上の非折りたたみ領域と互いに隣接した非折りたたみ領域の間に配置される2つ以上の折りたたみ領域を含んでもよい。
【0047】
図1bに示したように、折りたたみ領域FAは第2方向DR2に並んだ折りたたみ軸FXを基準に折りたたまれる。折りたたみ領域FAは所定の曲率及び曲率半径R1を有する。例えば、折りたたみ領域FAの曲率半径R1は5mm以下である。
【0048】
表示装置DDが折りたたまれたら非折りたたみ領域NFA1、NFA2は互いに向かい合う。表示装置DDが完全に折りたたまれた状態で表示面DSが外部に露出されなければ、これは内側折りたたみ(inner-folding)と称される。図示していないが、一実施形態の表示装置DDが完全に折り畳まれた状態で表示面DSが外部に露出されれば、これは外側折りたたみ(outer-folding)と称される。
【0049】
図2は、一実施形態の表示装置DDの分解斜視図である。図3は、図1aのI-I'線に対応するものであって、一実施形態の表示装置DDの断面図である。
【0050】
一実施形態の表示装置DDは、表示モジュールDMと、表示モジュールDMの上に配置されるウィンドウWPとを含む。一実施形態の表示装置DDにおいて、表示モジュールDMは、表示素子層DP-ELを含む表示パネルDPと、表示パネルDPの上に配置される入力感知部TPとを含む。一実施形態の表示装置DDは、表示パネルDPとウィンドウWPとの間に配置される接続部材APを含む。例えば、接着部材APは入力感知部TPとウィンドウWPとの間に配置される。
【0051】
接着樹脂APは一実施形態の樹脂組成物から由来する重合体を含む。一実施形態の樹脂組成物は、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度が100mPa・s以下である。一実施形態の樹脂組成物は、25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下である。初期長さが第1長さである試片を一方向に伸長して第2長さにした際、ヘンキーひずみは第2長さを第1長さで割った値に自然対数(natural logarithm)を取った値である。
【0052】
25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度が100mPa・s以下の樹脂組成物は、樹脂組成物を塗布するために使用される機器から容易に吐出される。また、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度が100mPa・s以下の樹脂組成物は、均一な吐出速度及び均一な吐出量が維持される。一方、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度が100mPa・sを超過する樹脂組成物は、樹脂組成物を塗布するために使用される機器から樹脂組成物が適切な量で吐出されづらい。
【0053】
25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下の樹脂組成物は、樹脂組成物を塗布するために使用される機器から容易に吐出され、均一な吐出速度及び均一な吐出量が維持される。25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s未満の樹脂組成物は、樹脂組成物を提供する際に垂れが発生し、接着部材を形成する際に均一な厚さで形成することが難しい。これとは異なって、25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が50mPa・sを超過する樹脂組成物は、樹脂組成物を塗布するために使用される機器から樹脂組成物が適切な量で吐出されづらい。
【0054】
一実施形態の樹脂組成物は、下記式1を満たす。式1は、25℃温度で樹脂組成物のみかけ伸長粘度と樹脂組成物のせん断粘度の関係を示す式である。
/Y<12(式1)
【0055】
式1において、Yは25℃の温度で測定された樹脂組成物のみかけ伸長粘度の最大値であり、Yは25℃温度でJIS Z8803法で測定された樹脂組成物のせん断粘度である。式1によると、25℃温度で測定された樹脂組成物のみかけ伸長粘度の最大値は25℃温度でJIS Z8803法で測定された樹脂組成物のせん断粘度の12倍未満である。式1を満たす一実施形態の樹脂組成物は、樹脂組成物を塗布するために使用される機器から容易に吐出され、樹脂組成物からなる接着部材APは接着信頼性が高い特性を示す。また、樹脂組成物からなる接着部材APを含む表示装置DDは、折りたたみ及び非折りたたみを繰り返す際にすぐれた信頼性を示す。
【0056】
例えば、樹脂組成物はインクジェットプリント法またはディスペンシングプリント法などの方法で提供される。樹脂組成物を提供する際、樹脂組成物を塗布するために機器が使用されるが、塗布するために使用される機器は樹脂組成物に一定量の吐出圧力を加える。一定量の吐出圧力は、樹脂組成物が均一な速度及び均一な量で吐出されるようにする圧力である。
【0057】
樹脂組成物に一定量の吐出圧力が加えられれば樹脂組成物は第1吐出速度を有する。吐出圧力が除去されてから60秒以上300秒以下の時間が経過して、樹脂組成物に一定量の吐出圧力が更に加えられれば、樹脂組成物は第2吐出速度を有する。一実施形態において、第1吐出速度に対する前記第2吐出速度の変化量は20%以下である。吐出速度の変化量は、第1吐出速度と第2吐出速度との差の割合である。第1吐出速度と第2吐出速度は同じであるか異なる。第1吐出速度と第2吐出速度が異なる場合、その速度の差は20%以下である。
【0058】
例えば、第1吐出速度及び第2吐出速度はそれぞれ独立して5.5m/s以上6.5m/s以下である。第1吐出速度が5.5m/sで第2吐出速度が6.5m/sであれば、第1吐出速度に対する第2吐出速度の変化量は約18.2%である。これとは異なって、第1吐出速度が6.5m/sで第2吐出速度が5.5m/sであれば、第1吐出速度に対する第2吐出速度の変化量は約15.3%である。
【0059】
つまり、樹脂組成物の第2吐出速度は、樹脂組成物が第1吐出速度で吐出された後、所定時間樹脂組成物の吐出が中止されてから再開された際の吐出速度である。第1吐出速度に対する第2吐出速度の変化量が20%以下の樹脂組成物は吐出が安定的な特性を示す。それによって、樹脂組成物を塗布するために使用される機器から樹脂組成物が均一な速度及び均一な量で吐出される。
【0060】
一実施形態の樹脂組成物は光によって硬化される。より詳しくは、液状の樹脂組成物は紫外線によって硬化されるが、紫外線硬化後、-20℃での貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満である。-20℃における貯蔵弾性率はJIS K7244-7法で測定した。また、紫外線硬化後、樹脂組成物は高分子基板に対する180°剥離力が800gf/25mm以上である。それによって、一実施形態の樹脂組成物からなる接着層は接着信頼性が高い特性を示す。
【0061】
一実施形態の樹脂組成物は、少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む。本明細書において、単官能(メト)アクリレートは一つの官能基(functional group)を含む(メト)アクリレートを示し、二官能(メト)アクリレートは2つの官能基を含む(メト)アクリレートを示す。また、本明細書において、(メト)アクリレートはアクリレートまたはメタアクリレートを示す。
【0062】
一実施形態の樹脂組成物は少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートを含むが、単官能(メト)アクリレートはそれぞれ独立して少なくとも一つの(メト)アクリロイル基を含む。複数の単官能(メト)アクリレートは同じであるか少なくとも一つが異なる。
【0063】
樹脂組成物の全体重量を基準に、複数の単官能(メト)アクリレートの重量の和は80wt%以上90wt%以下である。樹脂組成物の全体重量を基準に単官能(メト)アクリレートの重量の和が80wt%未満の樹脂組成物は、せん断粘度及び伸長粘度が高く、吐出安定性が低下する恐れがある。これとは異なって、樹脂組成物の全体重量を基準に単官能(メト)アクリレートの重量の和が90wt%を超過する樹脂組成物からなる重合体を含む接着部材は接着性が低い。
【0064】
例えば、前記単官能(メト)アクリレートは、それぞれ独立して4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、及び2-エチルヘキシル-ジグリコールアクリレートのうち少なくとも一つを含む。単官能(メト)アクリレートはヒドロキシ基を含有する(メト)アクリレート、アルキル(メト)アクリレート、及び脂環式(メト)アクリレートのうち少なくとも一つを含む。
【0065】
一実施形態の樹脂組成物は、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートを含む。例えば、二官能(メト)アクリレートはウレタン結合を含む。樹脂組成物は二官能(メト)アクリレートとして、UF-C051(共栄社化学製)、UF-C052(共栄社化学製)、UN6207(根上工業株式会社製)、及びUN6304(根上工業株式会社製)のうち少なくとも一つを含む。
【0066】
樹脂組成物の二官能(メト)アクリレートは、重量平均分子量(Weight average molecular weight, Mw)が10000以上40000未満のウレタン(メト)アクリレートを含む。重量平均分子量が10000以上40000未満のウレタン(メト)アクリレートを含む樹脂組成物は上述した式1を満たす。それによって、重量平均分子量が10000以上40000未満のウレタン(メト)アクリレートを含む樹脂組成物は、樹脂組成物を塗布するために使用される機器から容易に吐出され、樹脂組成物からなる接着部材APは接着信頼性が優れた特性を示す。
【0067】
樹脂組成物の全体重量を基準に、二官能(メト)アクリレートの重量は10wt%以上20wt%以下である。より詳しくは、樹脂組成物の全体重量を基準に、二官能(メト)アクリレートの重量は10wt%以上15wt%以下、更に好ましくは11wt%以上15wt%以下である。例えば、樹脂組成物は複数の二官能(メト)アクリレートを含むが、二官能(メト)アクリレートの重量の和は樹脂組成物の全体重量を基準に10wt%以上15wt%以下である。樹脂組成物が複数の二官能(メト)アクリレートを含む場合、複数の二官能(メト)アクリレートの重量平均分子量はそれぞれ独立して10000以上30000以下である。
【0068】
それとは異なって、樹脂組成物は一つの二官能(メト)アクリレートを含んでもよく、一つの二官能(メト)アクリレートの重量は樹脂組成物の全体重量を基準に10wt%以上15wt%以下である。樹脂組成物が一つの二官能(メト)アクリレートを含めば、一つの二官能(メト)アクリレートの重量平均分子量はして30000超過40000以下である。但し、これは例示的なものであって、二官能(メト)アクリレートの重量平均分子量及び樹脂組成物の全体重量を基準にする二官能(メト)アクリレートの重量はこれに限らない。
【0069】
一実施形態の樹脂組成物は、少なくとも一つの光開始剤を含む。樹脂組成物が複数個の光開始剤を含めば、異なる光開始剤は互いに異なる中心波長の紫外線光によって活性化される。
【0070】
例えば、光開始剤は、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、及び2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オンのうち少なくとも一つを含む。
【0071】
また、光開始剤は、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、[1-(4-フェニルスルファニルベンゾイル)ヘプチリデンアミノ]ベンゾアート、[1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エチリデンアミノ]アセテート、及びビス(2,4-シクロペンタジエニル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1-ピリル)フェニル]チタン(IV)のうち少なくとも一つを含む。
【0072】
図3を参照すると、表示パネルDPは、ベース基板BSと、ベース基板BSの上に配置される回路層DP-CLと、回路層DP-CLの上に配置される表示素子層DP-ELと、表示素子層DP-ELをカバーする封止層TFEとを含む。例えば、表示パネルDPは、表示素子層DP-ELに複数個の有機発光素子または複数個の量子ドット発光素子を含む。回路層DP-CLは複数のトランジスタを含む。
【0073】
表示パネルDPの構成は例示的なものであって、表示パネルDPの構成は図3などに示したものに限らない。例えば、表示パネルDPは液晶表示素子を含んでもよいが、この場合は封止層TFEが省略される。
【0074】
入力感知部TPは表示パネルDPの上に配置される。例えば、入力感知部TPは表示パネルDPの封止層TFEの上に直接配置される。入力感知部TPは外部の入力を感知して所定の入力信号に変更し、入力信号を表示パネルDPに提供する。例えば、一実施形態の表示装置DDにおいて、入力感知部TPはタッチを感知するタッチ感知部である。入力感知部TPは、ユーザの直接タッチ、ユーザの間接タッチ、物体の直接タッチ、または物体の間接タッチを認識する。
【0075】
一方、入力感知部TPは、外部から印加されるタッチの位置及びタッチの強度(圧力)のうち少なくともいずれか一つを感知する。入力感知部TPは多様な構造を有するか多様な物質からなり、いずれか一つの実施形態に限らない。入力感知部TPは外部の入力を感知するための複数個の感知電極(図示せず)を含む。感知電極(図示せず)は静電容量方式で外部の入力を感知する。表示パネルDPは入力感知部TPから入力信号を提供され、入力信号に対する映像を生成する。
【0076】
ウィンドウWPは表示パネルDP及び入力感知部TPなどを保護する。表示パネルDPで生成された画像IMはウィンドウWINを透過してユーザに提供される。ウィンドウWPは表示装置DDのタッチ面を提供する。折りたたみ領域FAを含む表示装置DDにおいて、ウィンドウWPはフレキシブルウィンドウである。
【0077】
ウィンドウWPは、ベース層BLと、プリント層BMとを含む。ウィンドウWPは、透過領域TAと、ベゼル領域BZAとを含む。透過領域TA及びベゼル領域BZAを含むウィンドウWPの前面は表示装置DDの前面に当たる。
【0078】
透過領域TAは光学的に透明な領域である。ベゼル領域BZAは、透過領域TAに比べ相対的に光透過率が低い領域である。ベゼル領域BZAは、所定のカラーを有する。ベゼル領域BZAは、透過領域TAに隣接して透過領域TAを囲む。ベゼル領域BZAは透過領域TAの形状を定義する。但し、実施形態はこれに限らず、ベゼル領域BZAは透過領域TAの一側にのみ隣接して配置されてもよく、一部分が省略されてもよい。
【0079】
ベース層BLはガラスまたはプラスチック基板である。例えば、ベース層BLは強化ガラスが使用される。または、ベース層BLは可撓性のある高分子樹脂からなる。例えば、ベース層BLは、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、またはこれらの組み合わせからなる。しかし、実施形態はこれに限らず、該当技術分野におけるウィンドウWPのベース層BLとして知られている一般的な携帯であれば制限なく使用される。
【0080】
プリント層BMはベース層BLの一面の上に配置される。一実施形態において、プリント層BMは表示モジュールDMに隣接したベース層BLの下部面に提供される。プリント層BMはベース層BLの縁領域に配置される。プリント層BMはインクプリント層である。また、プリント層BMは顔料または染料を含んで形成される層である。ウィンドウWPにおいて、ベゼル領域BZAはプリント層BMが提供される部分である。
【0081】
一方、ウィンドウWPはベース層BLの上に提供される少なくとも一つの機能性層(図示せず)を更に含む。例えば、機能性層(図示せず)は、ハードコーティング層、指紋防止コーティング層などであってもよいが、実施形態はこれに限らない。
【0082】
一実施形態の表示装置DDに含まれる接着部材APは、液状の樹脂組成物がウィンドウWPの一面または表示モジュールDMの一面の上に提供され、ウィンドウWPと表示モジュールDPとの間に提供される液状の樹脂組成物を紫外線硬化して形成される。これとは異なって、別途の工程で液状の樹脂組成物を紫外線硬化して接着部材APを形成し、接着フィルムの形態で硬化された状態の接着部材APの一面をウィンドウWPの一面または表示モジュールDMの一面の上に積層(lamination)し、接着部材APの残りの一面に取り付けられていないウィンドウWPの一面または表示モジュールDMの一面を取り付ける方法で接着部材APが提供される。
【0083】
接着部材APの厚さT0は50μm以上200μm以下である。例えば、接着部材APは100μm以上150μm以下厚さT0を有する。但し、これは例示的なものであって、接着部材APの厚さT0はこれに限らない。
【0084】
図4は、一実施形態の接着部材の製造方法を示す順序図である。図5a乃至図5cは、一実施形態による接着部材の製造方法のステップを概略的に示す図である。
【0085】
一実施形態による接着部材の製造方法は、樹脂組成物を提供するステップS100と、接着部材を形成するステップS200とを含む。図5aを参照すると、樹脂組成物RCは基板CFの上に提供される。例えば、樹脂組成物RCが提供される基板CFはポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。基板CFは樹脂組成物RCから接着部材APを形成するために使用される臨時基板であって、樹脂組成物が硬化してから接着部材APから容易に脱着できるものであれば制限なく使用される。例えば、樹脂組成物RCに提供される基板CFの一面には離型処理(release treatment)が施されている。
【0086】
樹脂組成物RCはインクジェットプリント法またはディスペンシング法などの方法で提供される。樹脂組成RCは25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度は100mPa・s以下である。それによって、樹脂組成物RCはノズルNZを介して容易に吐出され、一定な厚さで塗布されるように提供される。
【0087】
樹脂組成物RCが一定な厚さで塗布されて形成される予備接着部材P-APに紫外線光UVが照射される。図5bでは予備接着部材P-APに紫外線光UVが直接照射されると示されているが、実施形態はこれに限らない。予備接着部材P-APの上にキャリアフィルム(図示せず)が配置されてもよいが、キャリアフィルム(図示せず)は紫外線光を透過するものであって、紫外線硬化の工程中に予備接着部材P-APをカバーする。
【0088】
予備接着部材P-APの紫外線硬化後、接着部材APが形成される。工程中に使用された基板CFを除去して形成される接着部材APは、-20℃での貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満で、180°剥離力は800gf/25mm以上である。それによって、一実施形態の接着部材APは接着信頼性が高い特性を示す。
【0089】
図5a乃至図5cに示したステップで製造される接着部材APは上述した表示装置DDに適用される。例えば、接着部材APの一面が表示モジュールDMの上に取り付けられ、次に表示モジュールDMに取り付けられている接着部材APの一面と向かい合う接着部材APの他面の上にウィンドウWPが順次に取り付けられる。これとは異なって、接着部材APの一面が表示モジュールDMと向かい合うウィンドウWPの一面の上に取り付けられ、次にウィンドウWPに取り付けられている接着部材APと一面と向かい合う接着部材APの他面を表示モジュールDMに取り付けて、接着部材APが表示装置DDに提供されてもよい。
【0090】
一方、表示モジュールDMとウィンドウWPとの間に液状で提供される樹脂組成物が硬化されて接着部材APが形成される。図6a及び図6bは、図5a乃至図5cを参照して説明した接着部材APの製造方法とは異なる方法で製造されて表示装置DDに含まれる接着部材APの製造方法のステップを概略的に示す。
【0091】
図6aは、表示モジュールDMの上に樹脂組成物RCを提供するステップを示す。また、図6bは、樹脂組成物RCから形成される予備接着部材P-APに紫外線光を照射するステップを示す。予備接着部材P-APに紫外線光が照射されて接着部材APが形成される。
【0092】
樹脂組成物RCはインクジェットプリント法またはディスペンシング法などの方法で提供される。一実施形態の樹脂組成RCは、25℃温度で8mPa・s以上50mPa・s以下のせん断粘度を有し、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度は100mPa・s以下である。それによって、一実施形態の樹脂組成物RCはノズルNZから容易に吐出され、表示モジュールDMを逸脱して垂れずに均一な厚さで塗布される。
【0093】
ノズルNZから吐出される樹脂組成物RCは第1吐出速度及び第2吐出速度を有する。樹脂組成物RCは第1吐出速度でノズルNZから吐出されてから、樹脂組成物RCの吐出が中止される。吐出が中止されて所定時間(例えば、60秒以上300秒以下)が経てから吐出が再開されれば、樹脂組成物RCは第2吐出速度でノズルNZから吐出される。一実施形態において、樹脂組成物RCの第1吐出速度に対する前記第2吐出速度の変化量は20%以下である。例えば、第1吐出速度及び第2吐出速度はそれぞれ独立して5.5m/s以上6.5m/s以下である。第1吐出速度に対する第2吐出速度の変化量が20%以下の樹脂組成物RCは吐出安定性が高い特性を示す。
【0094】
樹脂組成物RCを均一な厚さで塗布して形成される予備接着部材P-APの上にウィンドウWPが提供される。樹脂組成物RCを硬化するための紫外線光UVはウィンドウWPを透過して提供される。予備接着部材P-APは、提供される紫外線光UVによって重合されてから硬化されて接着部材APとして形成される。一実施形態による接着部材APは、-20℃での貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満で、高分子基板に対する180°剥離力は800gf/25mm以上である。それによって、一実施形態の樹脂組成物RCからなる接着部材APは接着信頼性が高い特性を示す。
【0095】
一方、図6bの図示とは異なって、ウィンドウWPが予備接着部材P-APの上に提供される前に紫外線光UVが予備接着部材P-APに提供されて樹脂組成物RCで重合反応が行われてもよい。提供される紫外線光UVの量は樹脂組成物RCを完全に硬化させる程度の光量である。これとは異なって、予備接着部材P-APの状態で樹脂組成物RCの重合反応を一部行い、次にウィンドウWPが提供されてから未反応の樹脂組成物RCを追加反応させて接着部材APが形成されてもよい。
【0096】
一実施形態の表示装置DD(図1a)は樹脂組成物RCから由来する重合体を含む接着部材APを含むことで、折りたたみ領域FAでも接着部材APが浮くことなくウィンドウWPと表示モジュールDMの接着状態を維持する。
【0097】
図7は、一実施形態による表示装置を示す断面図である。以下、図7に示した一実施形態の表示装置に関する説明において、図1a乃至図6bを参照して説明した内容と重複する内容は再度説明せず、差を中心に説明する。
【0098】
図2乃至図3を参照して説明した表示装置DDに比べ、図7に示す表示装置DD-1は、光制御層PPと、光学接着層AP-aとを更に含む。一実施形態の表示装置DD-1は、接着部材APとウィンドウWPとの間に配置される光制御層PPと、光制御層PPとウィンドウWPとの間に配置される光学接着層AP-aとを更に含む。
【0099】
光制御層PPは表示パネルDPの上に配置され、外部光による表示パネルDPにおける反射光を制御する。光制御層PPは、例えば偏光層を含むか、またはカラーフィルタ層を含んでもよい。
【0100】
光学接着層AP-aは、光学透明接着フィルム(OCA、optically clear adhesive film)または光学透明接着樹脂層(OCR、optically clear adhesive resin layer)である。光学接着層AP-aは一実施形態の接着部材AP(図3)と同じく一実施形態の樹脂組成物からなる。光学接着層AP-aは、少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む樹脂組成物から由来する重合体を有する。
【0101】
一実施形態の樹脂組成物は、25℃温度でJIS Z8803法で測定されたせん断粘度が8mPa・s以上50mPa・s以下で、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度は100mPa・s以下である。一実施形態による樹脂組成物からなる光学接着層AP-aは、-20℃での貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満で、高分子基板に対する180°剥離力は800gf/25mm以上である。それによって、光制御層PPとウィンドウWPとの間に配置される光学接着層AP-aは接着信頼性が高い特性を示す。また、光学接着層AP-a及び接着部材APを含む一実施形態の表示装置DD-1は、折りたたみ及び非折りたたみを繰り返しても優秀な信頼性を示す。
【0102】
図8は、一実施形態による表示装置を示す断面図である。以下、図8に示した一実施形態に対する表示装置に関する説明において、上述した図1a乃至図7を参照して説明した内容と重複する内容は再度説明せず、差を中心に説明する。
【0103】
図2乃至図3を参照して説明した表示装置DDに比べ、図8に示した一実施形態の表示装置DD-2は、光制御層PPと、光学接着層AP-aと、層間接着層PIBとを更に含む。一実施形態の表示装置DD-2は、図7に示した一実施形態の表示装置DD-1のように、接着部材APとウィンドウWPとの間に配置される光制御層PPと、光制御層PPとウィンドウWPとの間に配置される光学接着層AP-aとを更に含む。
【0104】
一実施形態の表示装置DD-2は、接着部材APが表示パネルDPと入力感知部TPとの間に配置される。つまり、入力感知部TPが表示パネルDPの上に直接配置されず、接着部材APによって表示パネルDPと入力感知部TPが互いに結合する。例えば、接着部材APは、表示パネルDPの封止層TFE(図3)と入力感知部TPとの間に配置される。
【0105】
光制御層PPの下側には層間接着層PIBが提供される。層間接着層PIBは入力感知部TPと光制御層PPとの間に配置され、透湿防止性に優れた接着材料からなる。例えば、層間接着層PIBはポリイソブチレンを含んで形成される。層間接着層PIBは入力感知部TPの上に配置され、入力感知部TPの感知電極の腐食を防止する。
【0106】
一実施形態の表示装置DD-2は、一実施形態の樹脂組成物からなる光学接着層AP-aと接着部材APとを含むが、光学接着層AP-a及び接着部材APを含む表示装置DD-2は、折りたたみ及び非折りたたみを繰り返す際に優れた信頼性を示す。
【0107】
以下では実施例及び比較例を参照し、本発明の一実施例による樹脂組成物、接着部材、及び表示装置について詳しく説明する。また、以下に示す実施例は本発明の理解を助けるための一例示であって、本発明の範囲はこれに限らない。
【実施例0108】
1.樹脂組成物の調製
実施例及び比較例の樹脂組成物は、表1及び2に記載の配合比によって調製された。表1及び表2に開示の材料をそれぞれの重量割合で耐熱遮光容器に提供した。また、光開始剤としてOmnirad 819(アイジーエムレジン社製)及びChivacure TPO-L(チテックテクロノジーコーポレーションリミテッド社製)を3:7の重量比で混合し、樹脂組成物の全体重量に対して4wt%で提供した。次に、組成物が均一に混合されるように室温で撹拌し、実施例及び比較例の組成物を調整した。
【表1】

【表2】
【0109】
<表1及び2の材料に対する資料>
UF-C051:分子量35000のウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社製)
UF-C052:分子量10000のウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社製)
UN6207:分子量27000のウレタンアクリレート(根上工業株式会社製)
UN6304:分子量10000のウレタンアクリレート(根上工業株式会社製)
4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(東亞合成株式会社製)
IDAA:イソデシルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社)
THF-A:テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社化学株式会社製)
EHDG-AT:2-エチルヘキシル-ジグリコールアクリレート(共栄社化学株式会社製)
Viscoat#260:1,9-ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業株式会社)
酸素阻害防止剤:トリフェニルホスファイト(城北化学工業株式会社製)
【0110】
表1及び2において、UF-C051、UF-C052、UN6207、及びUN6304は二官能(メト)アクリレートに当たる。表1及び2において、4-HBA、2-EHA、IDAA、THF-A、及びEHDG-ATは単官能(メト)アクリレートに当たる。酸素阻害防止剤は組成物の重合反応の際に酸素の妨害を防止するためのものであり、Viscoat#260は架橋剤に当たる。
【0111】
2.樹脂組成物及び樹脂組成物からなる接着部材の物性評価1
下記表3に、表1の実施例1乃至5、及び表2の比較例1乃至3の樹脂組成物のせん断粘度、伸長粘度、及び吐出安定性と、樹脂組成物からなる接着部材の貯蔵弾性率及び剥離力値を測定して示した。樹脂組成物のせん断粘度の測定、みかけ伸長粘度の測定、及び吐出安定性の評価と、接着部材の貯蔵弾性率の測定、及び剥離力の測定は以下の方法で行った。
【0112】
[せん断粘度の測定方法]
本明細書で説明する樹脂組成物のせん断粘度はJIS Z8803法を利用して25℃温度で測定されており、粘度計TVE-25L(東機産業社製)を利用して、10rpmの速度条件で測定した。
【0113】
[伸長粘度の測定方法]
Capillary Breakup Extensional Rheometer(モデル名:CaBER1,サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)を利用し、25℃温度、上部プレート及び下部プレートの直径4mm、初期ギャップ1mm、上部プレートの引き上げ(pulling)距離3.5mm、上部プレートの引き上げ時間30ms(millisecond)、測定時間1秒の条件で測定を実施した。得られた直径-時間曲線をデータ変換し、みかけ伸長粘度-変形曲線を得た。みかけ伸長粘度-変形曲線において、変形が6である際のみかけ伸長粘度を記録した。
【0114】
[貯蔵弾性率の測定方法]
スライドグラス(スライドグラスS1112、松浪硝子工業株式会社製)の上に、離型処理されたPETフィルム(製品名:NP100A,パナック株式会社製)と直径8mmの穴が形成されたシリコンゴムシート(タイガースポリマー株式会社社製)を順次に積層した。シリコンゴムシートの穴に調製した樹脂組成物を28μL滴下し、405nm及び365nmにピークを有するUV LEDランプを利用して、それぞれ光量が220mJ/cm、380mJ/cmになるように紫外線光を照射した。紫外線光を照射した後、離型処理されたPETフィルム(製品名:NP100A,パナック株式会社製)とスライドグラス(スライドグラスS1112、松浪硝子工業株式会社製)を順次に積層した。積層されたスライドグラスの上に395nmにピークを有するUV LEDランプを利用し、4000mJ/cmの紫外線光を照射して樹脂組成物を硬化させて、直径8mm及び厚さ500μmの測定サンプルを得た。得られたサンプルの貯蔵弾性率の測定はJIS K7244-7法によって測定した。より詳しくは、サンプルの貯蔵弾性率は粘弾性測定器MCR302(Anton-Paar製品)を使用し、-20℃温度及び1Hzの周波数条件で貯蔵弾性率を測定した。
【0115】
[剥離力の測定方法]
26mm×76mmサイズのソーダライムガラス(セントラル硝子株式会社製)の上に調製した液状の樹脂組成物を50μmの厚さになるようにインクジェット装置を利用して塗布した。インクジェット装置として、KM1024i(コニカミノルタ株式会社製)を設置したDevicePrinter-CX(株式会社マイクロジェット製)を利用した。
【0116】
液状の樹脂組成物を塗布したソーダライムグラスに405nm、365nmにピークを有するUV LEDランプを利用して、それぞれ積算光量が220mJ/cm、380mJ/cmになるように紫外線を照射した。紫外線を照射したソーダライムグラスに20mm×150mmのサイズに切り取ったPETフィルム東洋紡株式会社製、A4360、厚さ50μm)を提供し、0.15MPaの圧力を加えて接合した。次に、PETフィル側から395nmのピークを有するUV LEDランプを利用して、4000J/cmの積算光量になるように紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させてサンプルを得た。得られたサンプルを300mm/minの速度で剥離角度180°になるように、万能材料試験機(万能試験機,インストロン社製,製品5965型)を利用して剥離力を3回測定した。約50mm剥離の平均値を求めて、得られた値を1.25倍して25mmの幅に対する剥離力を記録した。
【0117】
[吐出安定性の評価]
インクジェット装置として、KM1024i(コニカミノルタ株式会社製)を設置したDevicePrinter-CX(株式会社マイクロジェット製)を利用した。吐出速度が5.5m/s以上6.5m/s以下になるように装置の電圧、パルス駆動周期、及び温度を調整した。得られた吐出条件で吐出を実施した後、吐出を停止し、60秒後、120秒後、及び300秒後にそれぞれ吐出を再開して、ノズルから吐出されない状態(不吐出)、液滴が屈曲して吐出される(飛行屈曲)状態などを肉眼で確認した。正常に吐出された最長時間を記録し、60秒後に再吐出されなかったものは「X」で表示した。
【表3】
【0118】
表3を参照すると、一実施例による樹脂組成物である実施例1乃至5の樹脂組成物は、25℃温度で8mPa・s以上50mPa・s以下のせん断粘度を有し、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度が100mPa・s以下である。実施例1乃至5の樹脂組成物は-20℃温度での貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満で、180°剥離力が800gf/25mm以上であることが分かる。また、実施例1及び4の樹脂組成物は60秒以上120秒以下の時間が経てから均一な速度で吐出され、実施例2、3及び5の樹脂組成物は60秒以上300秒以下の時間が経てから均一な速度で吐出されることが分かる。それによって、一実施例の樹脂組成物は吐出安定性に優れ、樹脂組成物からなる接着部材は接着信頼性が高い特性を示す。一実施例の接着部材を含む表示装置は優秀な信頼性を示す。
【0119】
一方、一つの単官能(メト)アクリレートを含む比較例3の樹脂組成物は、180°剥離力が800gf/25mm未満であることが分かる。比較例1及び2の樹脂組成物は、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度が100mPa・sを超過しており、約60秒の時間が経てから再吐出されなかったことが分かる。比較例1の樹脂組成物は、-20℃温度での貯蔵弾性率が0.2MPa以上であることが分かる。
【0120】
3.樹脂組成物及び樹脂組成物からなる接着部材の物性評価2
下記表4に、表1の実施例1乃至4、及び6と、表2の比較例1、2、及び4の樹脂組成物のせん断粘度、伸長粘度、及び吐出安定性と、樹脂組成物からなる接着部材の貯蔵弾性率及び剥離力値を測定して示した。
【0121】
樹脂組成物のせん断粘度の測定、伸長粘度の測定、及び吐出安定性の評価と、接着部材の貯蔵弾性率の測定、及び剥離力の測定は表3と同じ方法で行っており、樹脂組成物の最大伸長粘度は伸長粘度測定方法から得たみかけ伸長粘度-変形曲線で伸長粘度の最大値を記録した。表4において、「伸長粘度/せん断粘度」は最大伸長粘度をせん断粘度で割った値を示す。また、表4において、実施例1乃至4と比較例1及び2の樹脂組成物、及び樹脂組成物からなる接着部材に対する測定及び評価結果のうちせん断粘度、貯蔵弾性率、剥離力、吐出安定性は表3と同じ結果である。
【表4】
【0122】
表4を参照すると、一実施例による樹脂組成物である実施例1乃至4及び6の樹脂組成物は、25℃温度で8mPa・s以上50mPa・s以下のせん断粘度を有し、最大伸長粘度をせん断粘度で割った値が12未満である。実施例1乃至4及び6の樹脂組成物は-20℃温度での貯蔵弾性率が0.05MPa以上0.2MPa未満であり、180°剥離力が800gf/25mm以上であることが分かる。また、実施例1及び4の樹脂組成物は60秒以上120秒以下の時間が経てから均一な速度で吐出され、実施例2、3、及び6の樹脂組成物は60秒以上300秒以下の時間が経てから均一な速度で吐出されることが分かる。それによって、一実施例の樹脂組成物は吐出安定性に優れ、樹脂組成物からなる接着部材は接着信頼性が高い特性を示す。したがって、一実施例の接着部材を含む表示装置は優れた信頼性を示す。
【0123】
一方、比較例4の樹脂組成物は180°剥離力が800gf/25mm未満であることが分かる。比較例4の樹脂組成物は一つの単官能(メト)アクリレートを含む。
一実施例の樹脂組成は、25℃温度で8mPa・s以上50mPa・s以下のせん断粘度を有し、25℃温度及びヘンキーひずみが6の条件でみかけ伸長粘度が100mPa・s以下である。樹脂組成物は、少なくとも2つの単官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの二官能(メト)アクリレートと、少なくとも一つの光開始剤とを含む。それによって、一実施例の樹脂組成物は均一な速度及び均一な量で吐出され、樹脂組成物から由来する接着部材を含む一実施例の表示装置は優れた信頼性を示す。
【0124】
一実施例の接着部材の製造方法は樹脂組成物を提供するステップを含み、樹脂組成物の第1吐出速度に対する第2吐出速度の変化量は20%以下である。第2吐出速度は樹脂組成物が第1吐出速度で吐出されていて、吐出が中止されてから60秒以上300秒以下の時間が経た後、吐出が再開された際の樹脂組成物の吐出速度である。第1吐出速度に対する第2吐出速度の変化量が20%以下の樹脂組成物を提供するステップを含む接着部材の製造方法は、製造信頼性が高い特性を示す。また、一実施例の樹脂組成物からなる接着部材は接着信頼性が高い特性を示す。
【0125】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。
【0126】
よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載の内容に限らず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0127】
DD、DD-1、DD-2:表示装置
DM:表示モジュール
DP:表示パネル
AP:接着部材
RC:樹脂組成物
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7
図8