(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070136
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】ブロック機構
(51)【国際特許分類】
F16H 63/34 20060101AFI20230511BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20230511BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20230511BHJP
F16D 65/16 20060101ALI20230511BHJP
F16D 127/06 20120101ALN20230511BHJP
F16D 127/02 20120101ALN20230511BHJP
F16D 129/04 20120101ALN20230511BHJP
【FI】
F16H63/34
B60T1/06 G
F16D63/00 H
F16D65/16
F16D127:06
F16D127:02
F16D129:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176081
(22)【出願日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】2111747
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】503041177
【氏名又は名称】ヴァレオ アンブラヤージュ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】アントナン、シェロン
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ディアスコーン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ、モリエ
【テーマコード(参考)】
3J058
3J067
【Fターム(参考)】
3J058AB21
3J058BA46
3J058CC52
3J058FA07
3J058FA28
3J067DA33
3J067EA81
3J067FA57
3J067FB85
3J067GA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性を有し、安価で、施行が容易で、高負荷に耐えるブロック機構を提供する。
【解決手段】本発明は、変速機ケーシング(1)と、係止フィンガ(35)を備える可動爪(34)と、ガイドレール(27)によりガイドされる可動キャリッジ(38)を移動させるリニアアクチュエータ(37)と、変速機ケーシングに形成されたハウジング(2)と、を備えるブロック機構において、可動爪は、平面内において枢動軸を中心として変速機ケーシングに、係止フィンガが係止凹部に係合する係止位置と係止フィンガが係止凹部から係合解除される解放位置との間において枢動可能に装着され、可動爪は、カム面を備え、可動キャリッジは、カム面上で移動可能なカムフォロワを含み、ガイドレールはハウジングに嵌合する、ブロック機構とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの係止凹部(45)を有する車両のシャフトを回転に関してブロックするためのブロック機構であって、前記ブロック機構は、
-変速機ケーシング(1)と、
-係止フィンガ(35)を備える可動爪(34)と、
-ガイドレール(27)によりガイドされる可動キャリッジ(38)を移動させるリニアアクチュエータ(37)と、
-前記変速機ケーシング(1)に形成されたハウジング(2)と、
を備え、
前記可動爪(34)は、平面内において枢動軸を中心として前記変速機ケーシング(1)に、前記係止フィンガ(35)が前記係止凹部(45)に係合する係止位置と前記係止フィンガ(35)が前記係止凹部(45)から係合解除される解放位置との間において枢動可能に装着され、
前記可動爪(34)は、カム面(36)を備え、
前記可動キャリッジ(38)は、前記可動爪を前記解放位置から前記係止位置に移動させるように前記カム面(36)上で移動可能なカムフォロワを含み、
前記ガイドレール(27)は前記ハウジング(2)に嵌合することで、前記平面内における前記ガイドレール(27)の移動が防止される、
ブロック機構。
【請求項2】
前記ハウジング(2)は、第2側壁(22)に面するとともにこれから距離を置く第1側壁(21)と、前記第1側壁(21)と前記第2側壁(22)との間に配置された第1長手方向壁(23)と、を有し、
前記ハウジング(2)に対応して、前記ガイドレール(27)は、第2側壁(29)に面するとともにこれから距離を置く第1側壁(28)と、前記第1側壁(28)と前記第2側壁(29)との間に配置された第1長手方向壁(30)と、を有し、
前記ガイドレール(27)の前記第1側壁(28)、前記第2側壁(29)および前記第1長手方向壁(30)は、前記ハウジング(2)の前記第1側壁(21)、前記第2側壁(22)および前記第1長手方向壁(23)に、それぞれ接触する、
請求項1に記載のブロック機構。
【請求項3】
前記ハウジング(2)は、前記第1長手方向壁(23)に面するとともにこれから距離を置く第2長手方向壁(24)を備え、
前記ガイドレール(27)は、前記第1長手方向壁(30)に面するとともにこれから距離を置く第2長手方向壁(31)を備える、
請求項2に記載のブロック機構。
【請求項4】
前記ハウジングは、開口(26)を有し、
前記ガイドレール(27)は、開口(33)を有し、
前記ハウジング(2)の前記開口(26)および前記ガイドレール(27)の前記開口(33)は、貫通開口である、
請求項1~3の一項に記載のブロック機構。
【請求項5】
前記カムフォロワは、前記ハウジング(2)の前記開口(26)および前記ガイドレール(27)の前記開口(33)において、前記カム面(36)上を移動可能である可動ローラ(41)を含む、
請求項4に記載のブロック機構。
【請求項6】
前記ハウジングは、ノッチ(25)を有し、
前記ガイドレールは、ノッチ(32)を有し、
前記ハウジングの前記ノッチ(25)および前記ガイドレールの前記ノッチ(32)は、貫通ノッチであるとともに、前記リニアアクチュエータ(37)の通過を許容することが意図されている、
請求項1~5の一項に記載のブロック機構。
【請求項7】
前記ガイドレール(27)は、前記可動キャリッジ(38)が前記ガイドレール(27)を超えて移動することを防止する戻り止め(28)を備える、
請求項1~6の一項に記載のブロック機構。
【請求項8】
前記戻り止めは、前記ガイドレール(27)の前記第1側壁(28)により形成される、
請求項6と組み合わせた請求項2~7の一項に記載のブロック機構。
【請求項9】
取付手段が、前記ガイドレール(27)を前記変速機ケーシング(1)に取り付け、
ブロック手段が、前記平面に対して垂直な方向における前記ガイドレールの移動をブロックする、
請求項1~8の一項に記載のブロック機構。
【請求項10】
前記ガイドレールは、屈曲したメタル片から一部品として作製される、
請求項1~9の一項に記載のブロック機構。
【請求項11】
少なくとも1つの係止凹部(45)を有するシャフトと、
請求項1~10のいずれか一項に記載のブロック機構と、
を備える変速機システム。
【請求項12】
請求項11に記載の変速機システムを備える自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の移動装置の駆動系のシャフトを回転に関してブロックするためのブロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロック機構は、例えば停止している自動車を動かないようにするためのサイドブレーキとして使用されている。このような場合、自動車の変速機シャフトを回転に関してブロックすることができる。このようなブロック機構は、自動変速機を有する自動車、ハイブリッド車両、または電気自動車に特に使用されている。
【0003】
ブロック機構の始動時に、その部品に著しい負荷が及ぼされることがある。したがって、ブロック機構の部品は、確実なブロックを確保すべく、大きな力に耐え得る必要がある。
【0004】
係止フィンガを有する爪であって、変速機ケーシングにおいて解放位置と係止位置との間で枢動可能に装着された爪を備えたブロック機構が知られている。係止フィンガは、係止位置において、ブロックすべき変速機シャフトに固定された係止凹部に挿入され、変速機シャフトと一体的に回転する。ブロック機構は、ガイドレールにより変速機ケーシング上で回転がガイドされる可動キャリッジを移動させるアクチュエータをさらに含んでいる。可動キャリッジは、ローラを含んでいる。ローラは、可動キャリッジの並進移動により爪が枢動するように、爪のカム面と相互作用する。ガイドレールは、打抜加工されたシートメタル品である。ガイドレールは、一方で、ネジ等の取付部材により変速機ケーシングの面に取り付けられた取付面を含み、他方で、可動キャリッジのローラが回転するガイド面を含んでいる。ガイド面は、取付面に対して実質的に垂直である。しかしながら、ガイドレールの製造公差を考慮すると、取付面とガイド面との間で形成される角度は、90°前後で変化しやすい。さらに、このようなガイドレールは、種々の機械的応力を受けて変形する傾向がある。これに対して、ガイドレールのガイド面の爪に対する正確な位置決めを確保することが重要である。この目的は、一方では、確実なブロックを確保することであり、他方では、過度に高い負荷がブロック機構を通過して損傷を与えることを防止することである。
【0005】
したがって、信頼性を有し、安価で、施行が容易で、高負荷に耐えるブロック機構を提案する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明のベースとなる1つの考案は、車両のシャフトを回転に関してブロックするためのブロック機構である。
【0007】
本発明のベースとなる1つの考案は、従来技術における単数または複数の技術的課題、例えば上述の課題を解決できるブロック機構である。
【0008】
本発明は、少なくとも1つの係止凹部を有する車両のシャフトを回転に関してブロックするためのブロック機構であって、前記ブロック機構は、
-変速機ケーシングと、
-係止フィンガを備える可動爪と、
-ガイドレールによりガイドされる可動キャリッジを移動させるリニアアクチュエータと、
-前記変速機ケーシングに形成されたハウジングと、
を備え、
前記可動爪は、平面内において枢動軸を中心として前記変速機ケーシングに、前記係止フィンガが前記係止凹部に係合する係止位置と前記係止フィンガが前記係止凹部から係合解除される解放位置との間において枢動可能に装着され、
前記可動爪は、カム面を備え、
前記可動キャリッジは、前記可動爪を前記解放位置から前記係止位置に移動させるように前記カム面上で移動可能なカムフォロワを含み、
前記ガイドレールは前記ハウジングに嵌合することで、前記平面内における前記ガイドレールの移動が防止される、
ブロック機構に関する。
【0009】
これらの特徴により、ガイドレールは、ブロック機構が解放位置から係止位置に、またはこの逆に向かう際に変形することを防止されつつ、ハウジングに保持される。具体的には、ハウジングは、可動キャリッジがガイドレールに及ぼす負荷を吸収する。これにより、ガイドレールの正確な相対的位置決めが保証される。
【0010】
一実施形態によれば、ハウジングは、ガイドレールを固定するとともに、前記ガイドレールの平面内での任意の方向における移動を防止するように選択された寸法に機械加工される。
【0011】
「機械加工されたハウジング」という用語は、本発明の意味において、変速機ケーシングから材料を除去することを意味すると解釈されるべきである。
【0012】
一実施形態によれば、前記ハウジングは、第2側壁に面するとともにこれから距離を置く第1側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁との間に配置された第1長手方向壁と、を有し、
前記ハウジングに対応して、前記ガイドレールは、第2側壁に面するとともにこれから距離を置く第1側壁と、前記第1側壁と前記第2側壁との間に配置された第1長手方向壁と、を有し、
前記ガイドレールの前記第1側壁、前記第2側壁および前記第1長手方向壁は、前記ハウジングの前記第1側壁、前記第2側壁および前記第1長手方向壁それぞれに、接触する。
【0013】
一実施形態によれば、前記ハウジングは、前記第1長手方向壁に面するとともにこれから距離を置く第2長手方向壁を備え、前記ガイドレールは、前記第1長手方向壁に面するとともにこれから距離を置く第2長手方向壁を備える。
【0014】
一実施形態によれば、前記ガイドレールは、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1長手方向壁のみを含む。
【0015】
一実施形態によれば、前記ガイドレールは、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1長手方向壁、および前記第2長手方向壁のみを含む。換言すれば、前記ガイドレールは、底壁または天井を含まない。
【0016】
一実施形態によれば、前記ガイドレールの全ての壁は、前記平面に対して垂直である。
【0017】
一実施形態によれば、前記ガイドレールの前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1長手方向壁、および/または前記第2長手方向壁は、1.5mm~3.5mm、好適には2.5~3mmの厚さを有する。
【0018】
一実施形態によれば、前記ハウジングは開口を有し、前記ガイドレールは開口を有し、前記ハウジングの前記開口および前記ガイドレールの前記開口は、貫通開口である。
【0019】
一実施形態によれば、前記ハウジングの前記開口は、前記ハウジングの前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1長手方向壁、および前記第2長手方向壁から選択される少なくとも1つの壁に、好適には前記第2長手方向壁に作製される。
【0020】
一実施形態によれば、前記ガイドレールの前記開口は、前記ガイドレールの前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1長手方向壁、および前記第2長手方向壁から選択される少なくとも1つの壁に、好適には前記第2長手方向壁に作製される。
【0021】
一実施形態によれば、前記ハウジングの前記開口と前記ガイドレールの前記開口とは、互いに面する。
【0022】
一実施形態によれば、前記ハウジングはノッチを有し、前記ガイドレールはノッチを有し、前記ハウジングの前記ノッチおよび前記ガイドレールの前記ノッチは、貫通ノッチであるとともに、前記リニアアクチュエータの通過を許容することが意図されている。
【0023】
一実施形態によれば、前記ノッチは、凹部、切欠、長方形の穴、溝、またはスロットから選択される。
【0024】
一実施形態によれば、前記ハウジングの前記ノッチは、前記ハウジングの前記第1側壁に配置され、前記ガイドレールの前記ノッチは、前記ガイドレールの前記第1側壁に配置される。
【0025】
一実施形態によれば、前記ハウジングは、15mm~30mmの高さを有する。
【0026】
一実施形態によれば、前記カムフォロワは、前記ハウジングの前記開口および前記ガイドレールの前記開口において、前記カム面上を移動可能である可動ローラを含む。
【0027】
これらの特徴により、可動キャリッジがガードレールに対して相対的に移動する際の、可動キャリッジとガイドレールとの間の摩擦力が低減される。したがって、可動キャリッジの移動は、可動キャリッジまたはガイドレールが摩耗することなく確保される。
【0028】
一実施形態によれば、前記可動キャリッジは、前記ガイドレールの前記第1長手方向壁に沿って移動可能な第2可動ローラを備える。
【0029】
一実施形態によれば、前記ガイドレールは、前記可動キャリッジが前記ガイドレールを超えて移動することを防止する戻り止めを備える。
【0030】
これらの特徴により、可動キャリッジは、ハウジングに保持される。
【0031】
一実施形態によれば、前記戻り止めは、前記ガイドレールの前記第1側壁により形成される。
【0032】
一実施形態によれば、取付手段が、前記ガイドレールを前記変速機ケーシングに取り付け、前記取付手段は、前記平面に対して垂直な方向に前記ガイドレールを取り付ける。
【0033】
一実施形態によれば、前記取付手段は、ネジ、ネジ/ナットシステム、または接着材料から選択される。
【0034】
一実施形態によれば、前記ガイドレールは、屈曲したメタル片から一部品として作製される。
【0035】
また、本発明は、少なくとも1つの係止凹部を有するシャフトと、上述のブロック機構と、を備える変速機システムに関する。
【0036】
一実施形態によれば、前記シャフトは、少なくとも1つの前記係止凹部を含むホイールを備える。例えば、前記ホイールは爪車である。
【0037】
一実施形態によれば、前記ホイールは、1~12個の係止凹部を含む。
【0038】
一実施形態によれば、複数の前記凹部は、互いに離間して規則的に配置される。
【0039】
また、本発明は、上述の変速機システムを備える自動車に関する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、一実施形態によるガイドレール用のハウジングを備える変速機ケーシングの一部の端面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態によるハウジングおよびガイドレールを備える変速機ケーシングの一部の端面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態によるブロック機構を備える変速機ケーシングの一部の端面図である。
【
図8】
図8は、別の実施形態によるガイドレールの斜視図である。
【
図9】
図9は、別の実施形態によるガイドレールの斜視図である。
【
図10】
図10は、一実施形態による取付手段を備えるガイドレールの斜視図である。
【
図11】
図11は、回転に関してブロックされた車両のシャフトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
車両のシャフトを回転に関してブロックするための機構は、特に、可動爪と、リニアアクチュエータと、可動キャリッジと、ガイドレールと、ハウジングと、を備えている。ブロック機構は、特に、車等の車両の停車時に、これを動かないようにすることが意図されている。
【0042】
種々の代替的な実施形態によるガイド機構の種々の要素について以下に呈示する。
【0043】
図1および
図2は、車両ブロック機構用のハウジング2を備えた変速機ケーシング1を示す。
【0044】
ハウジング2は、変速機ケーシング1に形成されている。換言すれば、ハウジングは、変速機ケーシング1に取り付けられた別部品ではない。具体的には、ハウジング2は、変速機ケーシング1の壁の厚さをくりぬいて、またはこれに直接的に作製されている。
【0045】
ハウジング2は、丸みのある隅部を有する全体として矩形の形状を有するとともに、第2側壁22に面するとともにこれから距離を置く第1側壁21と、第2長手方向壁24に面するとともにこれから距離を置く第1長手方向壁23と、底壁46と、を備えている。
【0046】
ハウジング2は、特に
図3、
図4および
図5に示すガイドレールを収容しつつ固定することが意図されている。
【0047】
図3および
図4は、
図1および
図2に示すハウジング2を備える変速機ケーシング1の一部を示すとともに、ハウジング2に収容されたガイドレール27を示す。
【0048】
ガイドレール27は、ハウジング2と同様の寸法を有しており、ハウジング2に固定的に嵌合している。換言すれば、ガイドレール27は、ハウジング2の輪郭に沿っている。したがって、ガイドレールは、長手方向Xと長手方向Xを横切る横方向Yとを備える平面Pにおいて、かつ前記平面に対して底壁46に向かって直角である直交方向Oにおいて、ハウジング2の内部に静止状態で保持されている。ガイドレール27が受ける種々の圧力が、ハウジング2の壁に、ひいては変速機ケーシング1に吸収されるため、この配置は特に有利である。この配置により、ガイドレール27の寸法を、変形のない状態で、したがって経年劣化のない状態で維持することができる。このようなガイドレールを、特に
図5に示す。
【0049】
図1および
図2に示すようなハウジング2と同様に、
図5に示すガイドレール27は、第2側壁29に面するとともにこれから距離を置く第1側壁28と、第2長手方向壁31に面するとともにこれから距離を置く第1長手方向壁30と、を有している。
【0050】
ガイドレール27の第1側壁28、第2側壁29、前記第1長手方向壁30、および第2長手方向壁31は、ハウジング2の第1側壁21、第2側壁22、第1長手方向壁23、および第2長手方向壁24に、それぞれ接触している。
【0051】
さらに、ハウジング2の第1側壁21は、
図6および
図7に示すリニアアクチュエータの通過を許容することが意図されたノッチ25を備えている。ノッチ25は、「U」字形状を有している。
【0052】
ガイドレール27の第1側壁28は、
図4に示すように、ハウジング2のノッチ25の形状に対応する形状を有するノッチ32を備えている。ノッチ32は、
図6および
図7に示すリニアアクチュエータの通過を許容することが意図されている。
【0053】
ハウジング2の第2側壁22および第2長手方向壁24は、共通の開口26を有している。開口26により、
図6および
図7に示すハウジング2に配置された可動キャリッジと、
図6、
図7および
図11に示す開口26に配置された可動爪との接触が許容される。
【0054】
ガイドレール27の第2長手方向壁31および第2側壁29は、ハウジング2の開口26と連通する共通の開口33を有している。
【0055】
ガイドレール27の第1側壁28は、
図6および
図7に示す可動キャリッジ38の戻り止めである。これにより、可動キャリッジは、ハウジング2において、ガイドレール27により並進に保持されている。
【0056】
ガイドレール27は、可動キャリッジをガイドする役割を果たすとともに、可動キャリッジが、ブロック機構を係止状態にすべく係止凹部内にある係止フィンガを始動させるために必要な並進移動しか行わないことを確保している。係止状態であるにより、例えば自動車が駐車することが許容される。
【0057】
ガイドレールは、例えばメタル片から構成される。メタル片は、一方でノッチを形成するように切断され、次いでその長さに沿って3回屈曲されて、ガイドレールの構成部品となる前記壁が形成される。メタル片は、屈曲される前は矩形形状を有している。メタル片は、屈曲前に、ガイドレールのノッチを形成することが意図されたノッチも備え得る。
【0058】
図6および
図7は、解放位置にあるシャフトを回転に関してブロックするための機構の部分図を示す。
【0059】
ブロック機構は、
図1~
図4に記載されるようなハウジング2と、
図3~
図5に記載されるようなガイドレール27と、を備えている。ブロック機構は、変速機ケーシング1に配置された可動爪34をさらに備えている。
【0060】
可動爪34は、細長い形状を有するとともに、第1端部71と、第1端部71から距離を置く第2端部72と、を有している。
【0061】
第1端部71により、可動爪34を変速機ケーシング1に取り付けることが可能となる一方、前記可動爪34の回動が許容される。換言すれば、可動爪は、平面Pにおいて枢動軸を中心として枢動可能に装着されている。
【0062】
第2端部72は、ガイドレール27の開口33、およびハウジングの開口26に配置されている。第2端部72は、可動爪34の第1側面に配置されてハウジングの内側を向くカム面36を備えている。第2端部72は、可動爪34の第2側面からハウジング2の外側に向かって突出する係止フィンガ35をさらに備えている。係止フィンガ35は、ブロック機構がトリガされたときに、
図11に示す係止凹部に挿入されることが意図されている。係止凹部は、例えば爪車44に配置されている。爪車44は、
図11に示すように前記係止フィンガ35を受容可能であり、また、回転に関してブロックすべき変速機シャフト60と一体的に回転するようにこれに固定されている。
【0063】
図11に示す代替例によれば、可動爪34は、ねじりばね50をさらに備えている。ねじりばね50は、可動爪34の第1端部71に巻回されている。ねじりばね50は、変速機ケーシングの当接面に当接する第1端部分51と、可動爪34の当接面に当接する第2端部分52と、を備えている。ねじりばね50は、可動爪34が解放位置に復帰するように可動爪34に復帰力を及ぼすように配置されている。ブロック機構は、
図6に部分的に示す、変速機ケーシング1に取り付けられたリニアアクチュエータ37をさらに備えている。リニアアクチュエータ37は、長手方向Xにおいて移動可能であるロッド39を備えている。
【0064】
ロッド39は、ハウジング2のノッチ25およびガイドレール27のノッチ32を通過して、ハウジング2の内部スペースまで延びている。ロッド39は、ハウジング2に配置された可動キャリッジ38に取り付けられている。
【0065】
可動キャリッジ38は、ガイドレール27によりガイドされることが意図されている。
【0066】
ダイナミックフェーズにおいて可動キャリッジ38が可動爪34により押し戻された場合、可動キャリッジ38は、ガイドレール27の第1側壁28を付勢する。このため、第1側壁28は、可動キャリッジ38に対する戻り止めを形成している。この場合、可動キャリッジ38は、可動爪34に対して、ロッド39を囲む牽引ばね40から及ぼされる復帰力により押圧される。牽引ばね40は、アクチュエータの本体に取り付けられた第1端部と、可動キャリッジ38に取り付けられた第2端部と、を含んでいる。この作用は、例えば過度に高速で係合を試みようとする際に生じ得る。例えば3km/h~5km/hである閾値速度を超えると、可動爪34は係合を防止すべく跳ね返り、こうして可動キャリッジ38は押し付けられる。
【0067】
可動キャリッジ38は、ガイドレール27の第1長手方向壁30に沿って移動可能である第1可動ローラ41をさらに備えている。可動キャリッジ38は、第2可動ローラを含むカムフォロワ42をさらに備えている。第2可動ローラは、可動爪34のカム面36に接触するとともに、このカム面36に沿って移動可能である。
【0068】
可動キャリッジ38は、可動爪34の第2端部に配置された凸部43をさらに備えている。凸部43は、可動爪34を平面P内に維持することが意図されている。
【0069】
可動爪34を係止位置に移動させるには、リニアアクチュエータ37のロッド39を、ガイドレール27のノッチ32を通過させることで、可動キャリッジ38を長手方向に移動させる。可動キャリッジ38は、ガイドレール27の第1側壁28から第2側壁29に向かって移動する。可動キャリッジ38の移動により、第1可動ローラ41がガイドレール27の第1長手方向壁30に沿って移動するとともに、カムフォロワ42が可動爪34のカム面36に沿って移動する。カム面36は傾斜を有しているため、可動キャリッジ38は、その移動を介して圧力を可動爪34のカム面36に及ぼす。この圧力により、係止凹部に向かう可動爪34の第2端部の回動が生じる。このため、係止フィンガ35は、例えば
図11に示すような爪車に存在する係止凹部に係合して、前記爪車44を係止する。
【0070】
図11は、爪車44を備える変速機ケーシング1を示す。爪車44は、爪車44の全周に亘って互いに離間して規則的に配置された複数の凹部45を備えている。複数の凹部の各凹部45は、可動爪34の係止フィンガ35を受容することを可能とする寸法を有している。
図11は、ブロック機構によって回転に関してブロックされた車両のシャフト60も示す。
【0071】
ブロック機構を係止位置から解放位置へと移動させるには、ロッド39を移動させることで、可動キャリッジ38がガイドレール27の第1側壁28に接触するまで、可動キャリッジ38を第1側壁28に向けて移動させる。係止フィンガ35は、爪車44に存在する係止凹部から係合解除される。これにより、爪車が解放されることで、変速機シャフト60の回転が許容される。
【0072】
図8~
図10は、複数の実施形態による、変速機ケーシングのハウジングに嵌合することが意図されたガイドレール27を示す。
【0073】
図8は、変速機ケーシングに形成されたハウジングに嵌合することが意図されたガイドレール27を示す。ガイドレール27は、ハウジングの壁とガイドレール27の壁との形状における協働によりハウジング2に保持されるように、ハウジングと同様の寸法を有している。この点について、ガイドレール27は、第2側壁29に面するとともにこれから距離を置く第1側壁28と、第1側壁28と第2側壁29との間に配置された第1長手方向壁30と、を有している。第1側壁28および第2側壁29は、湾曲している。ガイドレール27の第1側壁28は、ノッチ32を備えている。
【0074】
図9および
図10は、第1長手方向壁30の縁部に配置された溝47をさらに備えるガイドレールを示す。
【0075】
溝47は、ネジ等の取付手段48を受容する。取付手段48は、ガイドレール27を、直交方向Oにおいて第1長手方向壁30の長手方向に対して直角に取り付けることが意図されている。
【0076】
図8~
図10のガイドレールを受容することが意図されたハウジングは、その内側に嵌合したガイドレール27を受容することを可能とする寸法を有している。したがって、ハウジングは4つの部品、すなわち、底壁と、第2側壁に面するとともにこれから距離を置く第1側壁と、第1側壁と第2側壁との間に配置された第1長手方向壁と、を有している。第1側壁および第2側壁は、ガイドレールの第1側壁および第2側壁に沿うように、互いに相補的な半円形にそれぞれ湾曲している。ハウジングの第1長手方向壁は、第1側壁と第2側壁との間の間隙により構成された開口に面している。
【0077】
本発明を複数の特定の実施形態と関連付けて説明したが、本発明は決してこれに限定されず、記載された手段のすべての技術的同等物、ならびにそれらの組み合わせが本発明の範囲に入る場合には、それらを備えることが明らかである。
【0078】
「備える」または「含む」という動詞、およびその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素またはステップの存在を排除しない。
【0079】
特許請求の範囲において、括弧内の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【外国語明細書】