(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070161
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】リサイクルされるリチウムイオンバッテリーから合成される電荷材料
(51)【国際特許分類】
H01M 10/54 20060101AFI20230511BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230511BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230511BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20230511BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20230511BHJP
C22B 3/08 20060101ALI20230511BHJP
C22B 3/10 20060101ALI20230511BHJP
C22B 3/06 20060101ALI20230511BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20230511BHJP
C22B 23/00 20060101ALI20230511BHJP
C22B 47/00 20060101ALI20230511BHJP
C22B 21/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
H01M10/54
H01M4/525
H01M4/505
C01G53/00 A
C22B7/00 C
C22B3/08
C22B3/10
C22B3/06
C22B3/44 101A
C22B23/00 102
C22B47/00
C22B21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176859
(22)【出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】17/519,914
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522431874
【氏名又は名称】バッテリー リソーサーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】グラッツ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ヤドン
【テーマコード(参考)】
4G048
4K001
5H031
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA03
4G048AB02
4G048AB08
4G048AC06
4G048AD03
4G048AE02
4G048AE05
4K001AA02
4K001AA07
4K001AA09
4K001AA10
4K001AA16
4K001AA19
4K001AA34
4K001BA22
4K001CA01
4K001CA02
4K001DB02
4K001DB03
4K001DB04
4K001DB05
4K001DB06
4K001DB16
4K001DB23
4K001GA10
5H031BB02
5H031RR01
5H050AA17
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050GA13
(57)【要約】
【課題】 リサイクルされるリチウムイオンバッテリーから合成される電荷材料を提供する。
【解決手段】 リチウムイオンバッテリー(LIB)のリサイクルは、産業の持続可能性にとって重要な構成要素として考えられる。ポータブルエレクトロニクス、電気自動車及びグリッドストレージにおける大量のLIBは、最終的に廃棄物となり、深刻な経済的及び環境上の問題を招く。したがって、その広い適用可能性、低いコスト及び高い生産性のため、使用済みLIBを処理するための最も有望な選択肢であることから、湿式製錬リサイクルプロセスを改良するための多大な努力が払われている。これらの利点にもかかわらず、一部の余分な元素(Al、Fe、C、F等)は、除去プロセスにおいて不純物として残り、及び溶液中に残り、高品質カソード材料を得るうえで課題をもたらす。この手法は、浸出溶液中に潜在的な不純物を添加することにより、改良された電気化学的性能を実証する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次バッテリー電荷材料のための好ましい酸化数を有する電荷材料前駆体を生成する方法であって、
再循環流からの目標電荷材料を浸出溶液中に浸出することにより、前記目標電荷材料を含む浸出溶液を形成することと、
前記目標電荷材料を前記浸出溶液中に溶解させるために、前記浸出溶液のpHを制御することと、
前記浸出溶液中のハロゲン化物の所定の百分率を確立することと、
電荷材料粒子を沈殿させるために強塩基を前記浸出溶液に添加することであって、前記電荷材料粒子は、Li化合物との後続の焼結のための電荷材料前駆体形態の前記目標電荷材料を含む、添加することと
を含む方法。
【請求項2】
前記目標電荷材料は、Ni、Mn、Co及びAlの少なくとも1つの化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化物は、フッ化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ハロゲン化物は、前記沈殿した電荷材料粒子中に正孔をもたらし、前記正孔は、前記電荷材料前駆体の2+対3+の酸化数の比を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電荷材料の沈殿前に前記浸出溶液へのフッ素の添加から生じるフッ化物の所定の百分率は、後続の焼結後、前記電荷材料の表面上において、Ni3+イオンを上回ってNi2+イオンの百分率を増加させる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記電荷材料の沈殿前に前記浸出溶液へのフッ素の添加から生じるフッ化物の所定の百分率は、後続の焼結後、前記電荷材料粒子の表面上において、Co3+イオンを上回ってCo2+イオンの百分率を増加させる、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記浸出溶液は、前記電荷材料の沈殿前に0.2~5at%の範囲のフッ化物を有し、及び前記電荷材料粒子の表面上のNi2+イオンの百分率を40.1%~43.8%まで増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記浸出溶液は、前記電荷材料の沈殿前に0.2~5at%の範囲のフッ化物を有し、及び前記電荷材料粒子の表面上のCo2+イオンの百分率を13.0%~35.2%まで増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記目標電荷材料を含むように前記浸出溶液を形成して、NCM622電荷材料前駆体をもたらすことを更に含み、及び前記ハロゲン化物は、所定の百分率のフッ化物からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸及び過塩素酸からなる群から選択される浸出酸から前記浸出溶液を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記強塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムからなる群から選択される沈殿剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記目標電荷材料の1つ以上の酸化数を達成するために、前記浸出溶液中のハロゲン化物の前記所定の百分率を決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
リチウム化合物との焼結に応じて活性電荷材料を形成するための前駆体形態のニッケル、マンガン及びコバルト(NMC)粒子、
0at%~5.0at%の、前記NMC粒子中のフッ素不純物、
前記フッ素不純物から生じる前記粒子中の正孔
を有する電荷材料前駆体であって、前記粒子の各々は、ニッケルイオンを有する表面を有する構造を画定し、前記Ni表面イオンの少なくとも40.1%は、+2の酸化数を有する、電荷材料前駆体。
【請求項14】
前記表面は、コバルトイオンを有し、前記コバルト表面イオンの少なくとも13%は、+2の酸化数を有する、請求項13に記載の電荷材料前駆体。
【請求項15】
前記フッ素は、Ni3+イオンを10%上回ってNi2+イオンの比を増加させる、請求項13に記載の電荷材料前駆体。
【請求項16】
前記フッ素は、Co2+イオンの比を35.2%まで増加させる、請求項14に記載の電荷材料前駆体。
【請求項17】
リサイクルされる二次バッテリー電荷材料の酸化数を制御する方法であって、
再循環流からのNMC(ニッケル、マンガン、コバルト)電荷材料を浸出溶液中に浸出することと、
前記電荷材料を前記浸出溶液中に溶解させるために、浸出酸の添加を通して前記浸出溶液のpHを制御することであって、前記浸出溶液は、pHを有する、制御することと、
前記電荷材料を溶液中に残しながら、除去のために不純物を沈殿させるためのpH範囲に前記pHを調節することであって、前記不純物は、鉄及び銅を含む、調節することと、
前記不純物の除去後、フッ化物の所定の百分率を確立することと、
電荷材料粒子を沈殿させるために強塩基を添加することであって、前記電荷材料粒子は、Li化合物との後続の焼結のための電荷材料前駆体形態の前記NMCを含み、前記沈殿した電荷材料は、前記所定の百分率に基づく酸化数を有する、添加することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる、「METHOD AND APPARATUS FOR RECYCLING LITHIUM-ION BATTERIES」という名称の2016年11月22日に出願された米国特許出願公開第15/358,862号、現在は米国特許第10,522,884号に関連する。
【背景技術】
【0002】
背景
リチウムイオンバッテリー(LIB)は、自動車、パーソナルエレクトロニクス及び工業的用途のために広範囲に使用されている。リサイクルされるバッテリーの廃棄物流は、一般的に、完全なバッテリー組立体の乱雑な攪拌(圧潰及び破砕)を必要とし、カソード、アノード、セパレーター及びケーシング材料の混じり合った混合物をもたらす。LIBで使用される主流のカソード材料(例えば、NCM)は、毒性があるだけでなく、高価であり、限定されているニッケル及びコバルトなどの重金属からなる。疑いなく、バッテリー廃棄物の次第に大きくなる負担は、使用済みLIBを管理する実質的な解決策がなければ、環境上の及び経済的な課題となり得る。リサイクル技術は、主に、乾式製錬リサイクル、湿式製錬リサイクル及び直接物理的リサイクルなどの3つのカテゴリーを含む。湿式製錬法は、その高い回収効率、大規模生産能力及び低いエネルギーコストのため、バッテリーのリサイクルのために有望な方法として研究及び産業の両方で広範囲に採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リチウムイオンバッテリー(LIB)のリサイクルは、産業の持続可能性にとって重要な構成要素として考えられる。ポータブルエレクトロニクス、電気自動車及びグリッドストレージにおける大量のLIBは、最終的に廃棄物となり、深刻な経済的及び環境上の問題を招く。したがって、その広い適用可能性、低いコスト及び高い生産性のため、使用済みLIBを処理するための最も有望な選択肢であることから、湿式製錬リサイクルプロセスを改良するための多大な努力が払われている。これらの利点にもかかわらず、外来の元素(Al、Fe、C、F等)は、多くの場合、除去プロセスにおいて不純物として残り、及び溶液中に残り、高品質カソード材料を得るうえで課題をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書における構成は、湿式製錬共沈殿によって得られたNCMカソード材料中のフッ素不純物又はドーピングにより生じた有利な改良を実証する。5at%までのフッ素不純物は、カソード粒子の表面上のより高いNi2+比のため、回収された材料に良い影響を与え得る。更に、共沈殿中のフッ化物イオンの存在は、カソード粒子中に正孔を形成し、レート能力及びサイクル性を劇的に改良する。バージン電荷材料と比べて、0.2at%のフッ素不純物を有するNCM622(LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2)材料の容量は、約8%増加し(167.7mAh/g)、0.33Cにおいて100サイクル後に98.0%の著しい容量維持率を有する。更に、0.2at%のフッ素不純物を有するカソード材料は、バージンカソード材料の性能よりも、特に高レートではるかに良いレート性能を示す(5Cにおいて約7%増加した)。これらの結果は、浸出溶液中に潜在的不純物を添加することにより、改良された電気化学的性能を実証し、より具体的には、特にNCM調合のために低濃度のフッ素不純物が湿式製錬リサイクルプロセスで望ましいことを実証する。開示される方法は、イオンドーピングによる共沈殿製造によって高性能NCM622カソード材料の設計における有利な含意を実証する。
【0005】
本明細書における構成は、部分的には、Liイオンバッテリーのための再循環流が、多くの場合、「不純物」とみなされる付加的な材料を導入する傾向があるという観察に基づく。以前に配置されたバッテリーの物理的除去は、物理的ケーシング、集電装置及び内部回路などの構造側面及び回路側面を再循環流に導入する。消耗した/使用済みの電荷材料中には、既存の不純物もあり得る。残念ながら、従来の方法は、不純物を完全に除去するのが難しいという欠点があり、貴重な電荷材料化合物を除去せずに不純物を十分に除去する兼ね合いを多くの場合にもたらす。本明細書における構成は、得られた電荷材料の性能に有利な効果を実際に与える不純物を特定することにより、従来の方法の欠点を実質的に克服する。
【0006】
バッテリーのリサイクル方法は、分解されたバッテリーの再循環流から生じる浸出溶液中の少量又は微量の化合物を特定する。バッテリー性能は、電荷材料中のイオン間で電子を移動させることによって電荷材料が電子流を生成する能力に基づく。活性電荷材料は、一緒に固まるか又は凝結して分子の結晶又は網目構造を形成する粒子を含有する。特に粒子表面上の各々の分子の酸化数は、電荷容量、放電率及び充電サイクルの寿命などの側面についてバッテリーの性能に影響を与える。特定の追加の微量元素の混入は、再循環流から若しくは浸出溶液への添加からの付随的混入によるか、又は「ドーピング」によるかにかかわらず、得られたリサイクルされるバッテリーの性能に有利な効果を有し得る。特に、フッ素などの少量のハロゲン化物は、ニッケル及びコバルトの+2の酸化数を促進する能力を有する。粒子表面の+3酸化数を有する原子に対して+2原子の増加は、性能に有利な効果を与える。
【0007】
使用済みLIBをリサイクルするための高効率閉ループ湿式製錬リサイクル方法は、上記の引用された出願で開発されている。このプロセスでは、使用済みLIBは、分解され、圧潰され、及びふるい分けされる。得られた混合粉末は、浸出及び後続の精製プロセスを通過する。その後、精製した溶液を後続の共沈殿のために目標電荷材料の所望の濃度比に調節して、前駆体を製造する。最終的な回収されたカソード材料は、前駆体の高温焼結によって得られた。この新規なリサイクル方法は、高い回収効率(約90%)を有し、それは、広範囲のカソード材料(LiNixCoyMnzO2、x+y+z=1)に適用可能である。とりわけ、回収されたカソード生成物は、商用対応物と比べて同様の又は更により良い電気化学的性質を有する。しかしながら、不完全な精製によってもたらされる不純物は、湿式製錬技術の潜在的な問題のままである。すなわち、それらの同様の性質のため、溶液中の有用な遷移金属からAl、Fe及びCuなどの全ての不純物元素を分離することは難しい。不純物の結果として回収されたカソードに及ぼす有利な影響は、研究者の間で一層大きい注目を集めている。例えば、Al3+、Fe3+及びCu2+などの金属イオンは、不純物のレベルが非常に低い場合にのみ、最終的な回収されたカソードに良い影響を与えることが実証されている。特に、これらのカチオンは、合成中に沈殿物を形成することによってカソード結晶内の遷移金属イオンに取って代わることができる。
【0008】
開示される方法は、湿式製錬合成によってフッ素不純物の影響下で回収されたNCM、特にNCM622材料の改良された性能を説明する。開示される方法は、他のNCM化学物質にも適用可能である。0.2at%、1at%~5at%の含有量(全遷移金属、Ni+Co+Mn=1の相対的原子パーセント)を有する追加のフッ素供給源NaFが、リサイクルプロセスに必要とされる不純物として共沈殿反応前に金属硫酸塩浸出溶液中に添加される。NCM622バージン材料(VNCMとして示される)及びフッ素不純物被作用材料(0.2FNCM、1FNCM及び5FNCMとして示される)が与えられる。共沈殿中のフッ化物イオンは、前駆体粒子中に正孔を生成することが明らかにされている。焼結後、フッ化物イオンは、カソード結晶内の酸素部位を占め、粒子表面上のNi2+/Ni3+の比を著しく増加させるNiイオンとの結合(NiF2)を主に形成することがわかっている。フッ素不純物のレベルが過度でない場合、小さい格子膨張及び秩序立った構造のためにバルク拡散率も改良される。0.2FNCM及び1FNCM試料の両方とも、0.33Cにおいて100サイクル後、約98%のすぐれた容量維持率(VNCM94.8%)を有する、約167mAh/gのすぐれた放電容量(VNCMよりも約8%良い)を示す。更に、バージン基礎原料と比べて、全てのFNCMカソードは、特に高レートですぐれたレート能力を有する。確かに、カソード粒子中の正孔、高い表面Ni2+含有量及び改良されたリチウムバルク拡散率は、湿式製錬リサイクルにおけるフッ素不純物の肯定的な側面を実証する。更に、過度の量のフッ化物がNCM622結晶格子内に導入される場合、カソード表面上のコバルトの酸化数が作用を受ける。高いCo2+濃度が5FNCMカソード表面上に検出されており、電気化学的性質に関して他のFドープトNCM622に及ばない不十分なカチオン配列及び構造安定性をもたらす。結果は、フッ素不純物の残余がバッテリーの湿式製錬リサイクルにおいて有利な効果を与えるが、高レベルのフッ化物イオン含有量(>1at%)において低下し、プロセス中に妨げられることを示す。更に、開示される方法は、フッ化物添加剤を利用する湿式製錬方法を使用して、「強化された」NCM622カソードの大量生産の実現可能性を実証する。
【0009】
特定の構成において、二次バッテリー電荷材料のための好ましい酸化数を有する電荷材料前駆体を生成する開示される方法は、再循環流から得られる目標電荷材料を浸出溶液中に浸出することにより、目標電荷材料を含む浸出溶液を形成することと、目標電荷材料を浸出溶液中に溶解させるために、浸出溶液のpHを制御することとを含む。特に魅力あるバッテリー化学物質は、ニッケル、マンガン及びコバルトの電荷材料(NMC又はNCM)を含む。この方法は、ドープされた物質から生じる+2酸化数と+3酸化数との比など、目標電荷材料の1つ以上の酸化数に基づいて、浸出溶液中のフッ素などからハロゲン化物の所定の百分率を確立する。リサイクルされる材料は、電荷材料粒子を沈殿させるために強塩基を浸出溶液に添加することによって得られる。電荷材料粒子は、Li化合物との後続の焼結のための電荷材料前駆体形態の目標電荷材料を含む。
【0010】
図面の簡単な説明
前述の及び他の特徴は、添付した図面において説明されるように、本明細書に開示される特定の実施形態の以下の説明から明白であり、図面では、同じ参照符号は、異なる図面の全体にわたり同じ部分を指す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本発明の原理の説明に重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書における構成と共に使用するのに適した湿式製錬リサイクル方法のコンテキスト図である。
【
図2】平均粒径及び球形度が増加する、異なる時間における前駆体モルフォロジーを示す。
【
図3】前駆体からの合成NCM622試料のSEM画像を示す。
【
図4A】調製された材料の相及び構造が粉末X線回折によってパターンで分析されることを示す。
【
図4B】調製された材料の相及び構造が粉末X線回折によってパターンで分析されることを示す。
【
図4C】調製された材料の相及び構造が粉末X線回折によってパターンで分析されることを示す。
【
図4D】調製された材料の相及び構造が粉末X線回折によってパターンで分析されることを示す。
【
図5A】
図4A~4Dの材料のVNCMカソードの精製プロファイルを示す。
【
図5B】
図4A~4Dの材料の0.2FNCMカソードの精製プロファイルを示す。
【
図5C】
図4A~4Dの材料の1FNCMカソードの精製プロファイルを示す。
【
図5D】
図4A~4Dの材料の5FNCMカソードの精製プロファイルを示す。
【
図6A】カソード材料の表面走査のスペクトルを示す。
【
図6B】カソード材料の表面走査のスペクトルを示す。
【
図6C】カソード材料の表面走査のスペクトルを示す。
【
図7A】カソード材料粒子上のNi表面イオンの逆畳み込み走査を示す。
【
図7B】カソード材料粒子上のCo表面イオンの逆畳み込み走査を示す。
【
図7C】カソード材料粒子上のNi表面イオンの百分率を示す。
【
図7D】カソード材料粒子上のCo表面イオンの百分率を示す。
【
図8A】ピーク電流(Ip2)対走査速度(ν)間のフィッティングラインのプロットを示す。
【
図8B】ピーク電流(Ip2)対走査速度(ν)間のフィッティングラインのプロットを示す。
【
図8C】ピーク電流(Ip2)対走査速度(ν)間のフィッティングラインのプロットを示す。
【
図9】異なるカソード結晶構造中のliイオン拡散を示す。
【
図10A】ドーピング/不純物に基づいて形成された正孔を示す概略図である。
【
図10B】ドーピング/不純物に基づいて形成された正孔を示す概略図である。
【
図10C】ドーピング/不純物に基づいて形成された正孔を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーをリサイクルするための実施例方法及び装置が以下に記載される。提案される方法は、例であり、使用済みバッテリーをリサイクルして、新しいバッテリーにおいて使用するために適したカソード活物質を回収するために、他のリチウム及び非リチウムバッテリーに適用可能である。
【0013】
図1は、本明細書における構成と共に使用するために適した湿式製錬リサイクル方法のコンテキスト図である。商用リチウムイオンバッテリーにおいて広範囲に使用されるカソード材料には、LiCoO
2、LiMn
2O
4、LiNiO
2、LiNi
xCo
yAl
zO
2、LiNi
xMn
yCo
zO
2及びLiFePO
4が含まれる。リチウムイオンバッテリーを有効にリサイクルするために、全ての様々なバッテリー化学物質を考慮に入れることが有利である。したがって、様々な広範囲に使用されるLIBに一般的に適用可能である、より簡単な及び環境上の許容範囲のリサイクル方法を開発することが有利である。本明細書において開示される構成は、Co、Ni、Mn及びLiの望ましい元素を含有する化合物を混合カソード材料から抽出して、リサイクルされる材料を利用してバッテリーのための活物質を製造する実施例を示す。開示される方法を用いて別の化学物質をリサイクルすることができる。
【0014】
図1を参照して、工程1において、放電されたLiイオンバッテリーは圧潰され/細断される。工程1aにおいて示されるように、機械的分離プロセスを前処理として適用して、外箱及びケース並びにプラスチック破片を分離する。再循環流は、電荷材料の少なくとも一部、例えば目標電荷材料のNi、Mn、Coを含む混じり合った塊であり、例えばNMC622、NMC532、NMC111又はNMC811などの所期のリサイクルされるバッテリーのバッテリー化学物質及び比を意味する。
【0015】
工程2に示されるように、ふるい分けされるカソード粉末は、4~5M硫酸(H2SO4)及び29~32%過酸化水素などの還元剤によって約2~3時間にわたり70~80度で浸出される。他の濃度の浸出酸並びに別の還元剤も使用することができる。別の形態において、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸及び過塩素酸の1つ以上を含む浸出酸から浸出溶液を形成することができる。過酸化水素H2O2を添加することにより、Fe2+をFe3+に変化させるだけでなく、他の金属イオンMn、Ni、Coを2+に変化させ、したがって工程3において溶液のpHを制御することによって分離した鉄をもたらす。工程2aに示されるように、濾過後、残留したLiFeO4及び炭素を遠心分離によって分離することができる。工程2bに示されるように、他の不純物も溶液の表面から除去される。
【0016】
工程3に示されるように、圧潰されたカソード原材料は、使用済みセルから凝結体バッテリー材料の溶液を生成するために使用される粒状塊を形成するとき、目的の金属元素は水溶液に移動される。これには、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Mn(マンガン)の目標電荷材料が含まれる。別のバッテリー化学物質と共に本方法を使用して他の目標電荷材料を使用することができる。pHを調節して鉄、銅及びアルミニウムをFe(OH)3、Cu(OH)2及びAl(OH)3として抽出する。これは、pHを3.0~7.0の範囲に調節することを必要とする。したがって、NaOH溶液を添加してpH数を調節して、より低い溶解度係数を有するFe(OH)3、Cu(OH)2及びAl(OH)3を堆積させ、溶液中にMn2+、Co2+、Ni2+を維持し、次にFe(OH)3、Cu(OH)2及びAl(OH)3を濾過によって分離する。上記のプロセスは、溶液を40℃~80℃の温度に維持することを含み、したがって従来の方法において必要とされる高熱を避けることに留意しなければならない。
【0017】
不純物の除去のためのpH調節は、一般的に、除去のために要求される特定の不純物に基づいてpHを調節する。約3~5のpH範囲は、例えば、鉄を溶液から沈殿させる。銅は、5~7ぐらいのpHで沈殿する傾向がある。再循環流中の不純物の量及びタイプに応じて、不純物の除去段階は、異なるpH範囲を目標とすることができる。電荷材料金属(Ni、Mn、Co)が溶解されると、pHは、酸浸出の量及び濃度に応じて1~3ぐらいに低下されているであろう。pHを上げて高純度形態のNCMを沈殿させる前に、以下に更に考察される還元体を任意選択により添加することにより、不純物を沈殿させることができる。換言すれば、水酸化ナトリウム又は他の強塩基を添加してpHを上げる間、不純物が低めのpHで沈殿し、その後、NCM水酸化物がより高いpHで沈殿する。強塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの混合物などの沈殿剤を含むこともできる。
【0018】
今度は目標電荷材料を溶液中に溶解させる。目標電荷材料の所定の目標比に基づいて、溶液を調節して目標電荷材料の所定の比を達成する。実施例の方法において、これはニッケル、コバルト及びマンガンの6:2:2の組合せであるが、任意の適した比を使用することができるであろう。したがって、溶液を調節することは、生成された溶液から得られるリサイクルされるカソード材料において使用するための電荷材料の所望の比を特定することと、バージン材料を添加して所望の比を達成することとを含む。原材料を添加することは、目標電荷材料の追加量を添加して既に溶液の形態の個々の目標電荷材料を分離せずに所望の比を達成することを含み、したがって混合された目標電荷材料(Co、Mn、Ni)は、化合物の分子結合を壊す高熱を通常必要とする、従来の方法におけるように別々に引き出されたり抽出される必要はない。
【0019】
換言すれば、最初にpHを上げて、電荷材料以外のものを意味する、「不純物」と考えられる元素を抽出する。NCM化学物質において、これはFe、Cu、Al及び他の微量材料を含む。すなわち、Alは、他のバッテリー調合物においてバッテリー化学物質の一部である。不純物が抽出されると、pHを更に上げて目標電荷材料を沈殿させる。本明細書における構成において、フッ素などのハロゲン化物は、再循環流からの残留量から及び/又はドーピング剤として付加的な材料の添加によるかのいずれかから形成される。
【0020】
所期の化学又は目標電荷材料の比を達成するために、溶液中のMn2+、Co2+、Ni2+の濃度が試験され、それらの比を6:2:2に又は追加のCoSO4、NiSO4、MnSO4を使用して他の適した比に調節した。NaOH溶液を添加して、通常10.0~13の範囲内でpHを約11に増加させ、したがって新しい(リサイクルされる)電荷材料のための目標電荷材料が沈殿するように溶液のpHを調節した。工程4に示されるように、各モル比が1:1:1であるようにNi1/3Mn1/3Co1/3(OH)2又はNi1/3Mn1/3Co1/3O(OH)又はそれらの混合物が共沈殿され得る。NixMnyCoz(OH)2又はNixMnyCozO(OH)又はx、y及びzの異なる比を有する混合物も沈殿され得る。工程5に示されるように、Na2CO3を溶液に添加してLi2CO3を堆積させる。最後に、回収されたNi1/3Mn1/3Co1/3(OH)2とLi2CO3を焼結してカソード材料を製造する。
【0021】
実施例形態において、目標電荷材料には、使用済みバッテリーセルの電荷材料から抽出されるマンガン(Mn)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)が含まれ、ここで、目標電荷材料は、沈殿する間溶液中に混じり合ったままである。pHを調節することは、目標電荷材料が沈殿するようにNaOH(苛性アルカリ溶液又は苛性ソーダとも称される、水酸化ナトリウム)などの物質を添加してpHを上げることを含み、しかしながらpHを上げるための任意の適した物質を使用することができる。最終結果として、pHを調節することは、水酸化ナトリウムを添加してpHを上げて、目標電荷材料を画定する個々の化合物を別々に沈殿させずに目標電荷材料の沈殿を可能にし、カソード前駆体材料として使用することを含む。中間体又は前駆体形態は、炭酸リチウムLi2CO3との焼結後に酸化リチウム形態をもたらす。
【0022】
Na2CO3を溶液に添加して約40°CでLi2CO3を堆積させる。工程5及び5aに示されるように、濾過後、Li2CO3を出発原料としてリサイクルしてカソード活物質LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を合成することができる。したがって、この方法は、沈殿した目標電荷材料にリチウムを戻して新しいバッテリーのために適したカソード活物質を形成し、目標電荷材料を所定の比で沈殿させて新しいバッテリーのための電荷材料を形成する。
【0023】
工程6に示されるように、共沈殿した材料Ni1/3Mn1/3Co1/3(OH)2又はNi1/3Mn1/3Co1/3O(OH)又はそれらの混合物及び回収されたLi2CO3をLi対M(M=Ni1/3Mn1/3Co1/3)のモル比1.1で付加的なLi2CO3と共に混合し、乳鉢内で微粉砕した。混合物を任意の適した加工によって再調合して、新しいバッテリー140のためのカソード活物質134を形成することができる。実施例の方法において、混合物を900℃で15時間にわたって焼結した。反応生成物を粉末に微粉砕して、その後、新しいセル140に分散及び再形成することができる。LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を900℃で15時間にわたって高温固相法によって焼結する。
【0024】
図1の方法を拡大して、カソード材料は共沈殿反応と後焼結法によって合成され、そこで遷移金属イオンM
2+(M=Ni、Co、Mn)は共沈殿してアルカリ性溶液中にNi
0.6Co
0.2Mn
0.2(OH)
2前駆体を形成し、次に乾燥された前駆体とリチウム塩との混合物を焼結して、最終的なカソード試料としてLiNi
0.6Co
0.2Mn
0.2O
2(NCM622)を得た。以下の実施例は、622NMC電荷材料前駆体をもたらす目標電荷材料を含有する浸出溶液を説明し、ハロゲン化物は、実質的に約1.0at%の所定の百分率のフッ化物からなる。更に別の構成は、得られた電荷材料粒子上に形成されるように意図された、目標電荷材料の1つ以上の酸化数に基づいて浸出溶液中にハロゲン化物の所定の百分率を確立することができる。ハロゲン化物は、ハロゲンと別の原子の電気陰性度とに基づいている。より一般的なイオン:塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、ヨウ化物(I-)及びアスタチン化物(At-)のいくつかを含む、他の適したハロゲン化物を使用することができる。
【0025】
金属硫酸塩水和物NiSO4・6H2O、CoSO4・7H2O及びMnSO4・H2Oを6:2:2の化学量論比で脱イオン(DI)水に添加して2M金属硫酸塩溶液を得た。不純物が含まれる試料の調製のために、NaF塩を0.2at%、1at%及び5at%の異なる濃度で金属硫酸塩溶液中に混合し、それぞれ以下に0.2FNCM、1FNCM及び5FNCMと呼ばれる。開始前に、0.5M NH3・H2Oを錯化剤として5L連続撹拌タンク反応器(CSTR)内に入れた。次に、金属硫酸塩溶液とアンモニア溶液を制御された流量で反応器内にポンプ移送した。その間、7.5M NaOH溶液を蠕動ポンプによって反応器内に加えて、所望のpH条件で反応を維持した。共沈殿反応が、12時間にわたりpH=11及びT=55の一定の条件で窒素保護下において連続的に行われた。反応後、合成された前駆体を濾過し、DI水で洗浄して、pHが7に低下するまで残留物を除去し、次いで前駆体粉末を130℃の炉内で一晩乾燥させた。カソード材料を得るために、前駆体を1:1.05の化学量論比において乳鉢内でLi2CO3と混合した(焼結中のリチウムイオンの低下を補償するために5%過剰なリチウム塩を使用した)。次に、混合物は二段階焼結法を受けた:(I)5時間にわたって450℃まで加熱され、次に室温まで冷却され、(II)18時間にわたって850℃まで加熱され、次に、その後、同じ冷却方法が実施された(傾斜率を2℃/分に固定した)。最後に、合計数4つのカソード材料が得られた:LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(VNCM)及びLiNi0.6Co0.2Mn0.2FxO2-x(x=0.002、0.01及び0.05、それぞれ0.2FNCM、1FNCM及び5FNCMと呼ばれる)。
【0026】
粒子のモルフォロジー及び微小構造をエネルギー分散型分光分析(EDS)と結合した走査電子顕微鏡(SEM、JEOLJSM-7000F)によって観察して、元素組成を分析した。誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を利用して、カソード中の全ての金属元素の正確な濃度を測定した。各々の試料の相は、Cu Kα(λ=1.54Å)及び0.02°/走査のステップサイズを有する粉末X線回折(XRD、PANalytical Empyrean)によって同定された。格子パラメーターを得るために、以下のリートベルト解析をFullProfソフトウェアによって実施し、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(PDF#00-066-0854)の粉末構造を参照モデルとして選択した。PHI 5000 VersaProbe II装置(Physical Electronics)を使用して全てのカソードのX線光電子分光分析(XPS)データを得て、元素組成及び遷移金属の酸化数を調べた。Ar+イオン及び電子ビーム試料中和、固定分析器伝送モードに設定された単色AlKα(hυ=1486.6eV)を備えたX線源が25Wで作動していた。XPSスペクトルは、XPSpeakソフトウェア上で処理される後続の逆畳み込みシミュレーション(スペクトルを複数のガウス-ローレンツピークにフィッティングした)前に284.8eVでC-Cに対して較正された。
【0027】
カソード電極、セパレーター、電解質及びアノードとしてリチウム金属からなるCR-2032コインセルをアルゴンガス充填グローブボックス(H2O、O2<1ppm)内で組み立てて、電気化学的性能を調べた。電極を作製するため、活物質(カソード粉末、80重量%)、導電性炭素(C65、10重量%)及びポリフッ化ビニリデンバインダー(PVDF、10重量%)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒中で混合して、スラリーを形成した。次に、混合されたスラリーをドクターブレード(MTI)によってアルミニウム箔上にキャストし、60℃で一晩乾燥させた。円形電極(Φ=12mm)をカレンダー処理し、乾燥した電極シートから打ち抜き、3.5約4.0mg/cm2の活性質量負荷を有する最終厚さ約40μmを得た。電極試料を真空炉内において一晩120℃で更に乾燥させて、残留したNMP及び水分を除去した。三層ポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン膜(Φ=16mm)及びエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(EC/EMC、重量%で3:7)中の1M LiPF6をそれぞれセパレーター及び電解質として使用した。電気化学的性能は、(Li/Li+に対して)3.0V~4.3VでLandバッテリー試験装置(Land、CT2001A)上において試験された。具体的には、セルはサイクル試験において0.33C及び5Cの電流密度で測定され、電流密度はレート性能試験において0.1Cから5Cまでに設定された(1C=175mAh/g)。サイクリックボルタンメトリー(CV)及び電気化学インピーダンス分光法(EIS)の試験は、EC-Labプログラムを使用して電気化学分析器(Bio-Logic SAS、VMP3)上で行われた。CV試験において、走査電位は、0.1mV/sのレートで(Li/Li+に対して)3.0V~4.5Vに設定された。EIS試験において、サイクル前及び後のセルは、10mVの振幅で100kHz~10mHzの周波数範囲内で測定された。
【0028】
合成中に水酸化物前駆体のモルフォロジーをモニタするために、試料を3時間ごとに集め、次いでSEMで分析した。
図2は、反応時間が長くなるにつれて平均粒径及び球形度が増加する異なる時間における前駆体モルフォロジーを示す。各々の指定された時間において、0.2FNCM(横列201)、横列202における1FNCM及び横列203における5FNCMからの試料間に明確な違いは観察されず、共沈殿中のアルカリ環境内のフッ化物イオンの存在は、粒子の成長を抑制すると共に粒子球形度を妨げる余分な沈殿物を形成しないことを示す。粒子モルフォロジーは、その物理的性質、例えば粉末タップ密度との密接な相関関係を有する。表Iにおいて、反応が進むにつれてタップ密度も上がり、全てのFNCM試料が各々の時間断面において同様の密度レベルを共有する。FNCMと比較して、バージン群は、フッ素不純物によって影響を与えられる前駆体の平均値の約77%、79%及び89%である3時間(縦列211)、6時間(212)及び9時間(213)における一層低い粉末タップ密度を有することが指摘される。しかしながら、沈殿プロセスが12時間で終了するとき(214)、全ての試料は、同様の密度レベル(約1.90g/ml)に近づく。その初期段階でより速い核形成及び粒子の成長によって引き起こされる粉末タップ密度の増加のために、フッ素不純物は、共沈殿プロセスに影響を与えているが、反応が定常状態になるとき、粒子モルフォロジー及びタップ密度に顕著な変化をもたらさないことをこの現象は示唆する。
【0029】
【0030】
図3は、前駆体からの合成NCM622試料のSEM画像を示す。
図3において、0.2FNCM(横列301)、1FNCM(横列302)及び5FNCM(横列303)のSEM画像は、前駆体(縦列211)、カソード(縦列312)及びカソード横断面(縦列313)(スケールバー10μm)について示される。(差し込み図:スケールバー2μmを有する更に高い倍率の画像)。多数の極めて小さいフレーク状一次粒子から構成される典型的なほぼ球形の二次粒子が縦列311に観察される。一次粒子は、合成材料の最も基本的なビルディングブロックである。反応中に、一次粒子の成長、付着及び凝結は、球形二次粒子を生じる。縦列312に示される全てのカソードについて、一次粒子の形状は、高温での前駆体焼結後にフレークから多角形になる。前駆体とカソードの両方とも、フッ素不純物が最終的なカソードのモルフォロジーにごくわずかな影響のみを与えることを意味する、むらのない表面モルフォロジー並びに二次粒子寸法(約8μm)を有する。しかしながら、粒子内部は、全く異なる。縦列313に与えられる横断面画像によると、正孔が(円及び黄色の矢印によって示される)FNCMカソード粒子内に見出される。0.2at%から5at%への不純物の濃度の増加により、カソード粒子内の正孔形成も生じる。これは、フッ素不純物がカソード粒子内の正孔の形成の基本要因であることを実証し、この有利な特徴は電気化学的性能の向上を促すことができる。
【0031】
作製されたのみのカソードのSEM-EDSマッピングの結果は、遷移金属元素Ni、Co及びMnが粒子全体にわたって均質に分散されることを示す。異なる不純物レベルにおけるNCM622カソード中の各々の元素の組成は、ICP-MSによって測定される。表IIにおいて示されるように、全ての試料中のNi、Co及びMnの原子比は、理論値(6:2:2)に近いままである。具体的には、NCMのなかの正確な原子比をVNCM、0.2FNCM、1FNCM及び5FNCMについて計算すると、それぞれ6:2.05:2.00、6:2.11:2.01、6:2.10:2.00及び6:2.15:2.05(Ni=6)である。更に、リチウム組成物は、不純物の濃度の変化に関係なく安定したままである。したがって、フッ化物イオンは、合成プロセス中にカチオンの部位を占めるのではなく、カソード結晶内の酸素に取って代わることを結論することができる。
【0032】
【0033】
共沈殿による高密度及び球形の水酸化物粒子の合成のための典型的な機構を実施することができる。沈殿物を形成する2つの工程がある:遷移金属イオンが最初にアンモニア錯化剤によって配位し(1)、次いで塩基溶液からゆっくりと沈殿する(2)。関連した二段階反応は以下の通りである。
M2++nNH3→[M(NH3)n]2+ (1)
[M(NH3)n]2++2OH-→M(OH)2↓+nNH3 (2)
初期段階において、比較的十分なフッ化物イオンが反応をもたらすことができる:
[M(NH3)n]2++2F-→MF2+nNH3 (3)
これは、錯イオン[M(NH3)n]2+を消費し、反応(2)の平衡を左に推し進める。この場合、一次粒子の溶解速度は再結晶化を上回り、その結果、正孔が前駆体中に生じる。
【0034】
図4A~4Dは、パターンを有する粉末X線回折によって分析される調製された材料の相及び構造を示す。
図4A~4Dは、
図4A、4Bにおいて(001)面の拡大による前駆体のX線回折パターン並びに
図4C及び4Dにおいて(003)面の拡大によるカソードのX線回折パターンを示す。
図5A~5Dは、VNCM、0.2FNCM、1FNCM及び5FNCMカソードの精製プロファイルを示す。
図4A~4Bにおける全てのパターンは、層状金属水酸化物である、β-Ni(OH)
2に相当する同じ回折ピークを有する(PDF#00-059-0462)。
図4C~4Dにおいて全てのカソードのXRDスペクトルに、典型的な層状遷移金属酸化物を意味する、LiNi
0.6Co
0.2Mn
0.2O
2(PDF#00-066-0854)に完全に一致した9つの著しい回折ピークがある。余分な相又は構造の変化は前駆体及びカソードの両方のパターンにおいて見出されない。その間、高純度相及び十分に層状のカソード材料が維持される。それにもかかわらず、FNCM前駆体の(001)ピークは、一次粒子サイズの減少のために、4Aに示されるように少し広がる。(003)面はまた、結晶格子のc軸の拡大の結果として全てのFNCMカソードについてより低い角度にわずかに移動する(
図4C~4D)。5FNCMが、最も低いI
(003)/I
(104)比(1.59)を有するが、他のカソードVNCM(1.81)、0.2FNCM(1.80)及び1FNCM(1.76)がより高い値を保持することは、注目に値する。より高いI
(003)/I
(104)値は、カソード材料中のより低いLi
+/Ni
2+混合を示し、すぐれた電気化学的性能をもたらす。したがって、高濃度フッ素不純物(5at%)の影響下の回収されたカソードは、他のものと比較して競争力がある可能性はない。
【0035】
回収されたカソードの格子情報をより詳細に得るために、リートベルト解析を用いて構造パラメーターを計算し、空間群
【数1】
を有する菱面体晶系を標準として用いた。
図5~5Dは、全てのカソード材料のフィッティングされたXRDパターンを示し、精密化した結晶学的データが表IIIに列挙され、実施例NCM622カソードのリートベルト解析結果を示す。
図5A~5Dに示されるように、計算されたパターンと観察されたパターンとの間に良好なコンシステンシーが達成される。VNCMは
図5Aに示され、0.2FNCM、1FCNM及び5FCNMはそれぞれ
図5B~5Dに示される、更に、比較的小さいχ
2が各々のフィッティング操作について得られ(表III)、それは、この作業全ての精密化した結果が良好であることを補償する。c軸の拡大はフッ素不純物のレベルの増加と関連していることは明らかであり、それは先行研究と一致している。すなわち、VNCMのスラブ間距離c(14.214Å)は、5FNCMについて14.218Åまで約0.03%拡大され、セル体積の約0.13%の膨張を伴なう。このような膨張した格子はLi拡散の妨害を低減するだけでなく、層間のカチオン交換(Li
+/Ni
2+)のエネルギー障壁を抑えることができることが明らかにされるべきである。一見したところ、0.2FNCM及び1FNCMと比べて、その過剰な格子膨張のために5FNCMはカチオン混合の減少があるが(4.41%)、結晶構造の小さい改良がある他のカソードは良い状態のままである。F
-によるO
2-の置換は、NCM格子パラメーターに測定可能な変化を引き起こす原因であると考えられる。フッ素を含有することにより、電荷補償のためにTMイオンの還元をもたらし得ることが報告されている。より低い酸化数を有するTMイオンがより大きい半径を有するため、(O
La格子値の減少によって更に立証される)より高い不純物の濃度の影響下でF
-によって置き換えられるO
2-の数が増える場合、より大きいTMイオンの存在がより大きい格子膨張に一致する。これらの結果は、最適化された格子改良によってフッ素不純物(<1at%)がカソード中のLi拡散率を高めることができることを示唆するが、過度の不純物(>5at%)が含まれる場合、秩序立った構造が損なわれ得る。
【0036】
【0037】
図6A~6Cは、カソード材料の表面走査のスペクトルを示す。XPS試験を用いて、調製されたカソードの材料の組成及び元素の原子価状態を調べた。
図6AにおけるNa 1sのサーベイスキャンは、全ての試料に信号がないことを示す。これは、Na関連物質が最終的な回収された材料中に存在しないことを確実にする。
図6B及び6Cは、全てのカソード試料の表面及びバルクのF 1sスペクトルを示す。強いピークがFNCMカソードの表面スペクトルに観察される。これに反して、
図6Cにおいて、フッ素信号は全く存在しない。それは、フッ化物イオンはカソード粒子の内部ではなく表面に主に集まることを意味する。更に、
図6Bにおけるピーク(約685eV)は、LiF及びTMF
2(TM=Ni、Co又はMn)のような金属フッ化物とよく一致する。更に、不純物の濃度が0.2at%から5at%に上がるとき、ピーク強度は相対的に増加する。したがって、XPS分析は、酸素を置き換えることによってカソード材料中にフッ化物を含有することを検証し、より重要なことには、フッ化物イオンは、一般に、粒子表面付近に存在して、高レベルの低原子価(+2)TMイオンを有する層を形成する。
【0038】
特許請求の範囲の方法において、電荷材料の沈殿前に、フッ化物の所定の百分率が浸出溶液へのフッ素の添加又は単に残留量により導入される。結果は、後続の焼結後に電荷材料の表面上の各々のNi3+イオン及びCo3+イオンを上回るNi2+イオン及び/又はCo2+イオンの増加である。他のイオンは、粒子結晶構造に基づいて好ましい表面分布を達成することもできる。
【0039】
図7A~7Dは、カソード材料粒子上のNi及びCo表面イオンの逆畳み込み走査及び百分率を示す。カソード材料中のNi
2+/Ni
3+及びCo
2+/Co
3+の関連含有量を明確に決定するために、2p
3/2ピーク領域のスペクトルの逆畳み込みを実施して異なるTMイオンの正確なパーセント比を計算する。
図7Aに示されるNi2p
3/2のフィッティングされたスペクトルは、カソード中のNi
2+及びNi
3+の混合を示す。実施例において浸出溶液は、電荷材料の沈殿前に0.2~5at%の範囲のフッ化物を有し、電荷材料粒子の表面上のNi
2+イオンの百分率を40.1%~43.8%まで増加させる。したがって、フッ素は、粒子表面上の少なくとも、2+の酸化数を有するNi及びCo(Ni
2+、Co
2+)を増加させることに対する定量化できる効果を有する。上に実証されたように、浸出溶液が、電荷材料の沈殿前に0.2~5at%の範囲のフッ化物を有し、電荷材料粒子の表面上のNi
2+イオンの百分率を40.1%~43.8%まで増加させる場合である。同様に、浸出溶液が、電荷材料の沈殿前に0.2~5at%の範囲のフッ化物を有し、電荷材料粒子の表面上のCo
2+イオンの百分率を13.0%~35.2%まで増加させる場合である。他のイオンもハロゲン化物のドーピングに基づいて好ましく分散され得る。上に示されるように、Ni2p
3/2ピークは、Ni
2+(854.7eV)とNi
3+(856.5eV)とに分解され得る。同様に、
図7Bに示されるように、Co2p
3/2ピークは、Co
2+(782.1eV)とCo
3+(780.2eV)にそれぞれ分割され得る。
図7Cによると、粒子表面におけるNi
2+の比は、全てのFNCMカソードについて40.1%(VNCM)から平均43.8%まで約4%増加した。対照的に、コア内のNi
2+の含有量は、追加のフッ素不純物によってほとんど影響を与えられず、VNCMと5FNCMとの間の最大の比の変化は1%未満である。これは、より多くのNi
2+イオンがFNCMカソードの表面付近に存在することを更に裏付け、それは、サイクルの繰り返し中より高い可逆的な容量に寄与し得る。
図7Dは、ごく少量のCo
2+がバージンカソード表面にあることを示す。表面Co
2+の百分率は、0.2FNCM及び1FNCMについて約13%まで増加し、5FNCMについて35.2%にも達する。特に、高レベルのフッ化物がカソード粒子内へ導入される(5at%)場合、コバルトイオンの還元も粒子表面で起こることを推測することができる。Li
+とCo
3+との間のより大きいサイズ及び電荷の差は十分なカチオン配列を確実にし、それはカソード内の速いリチウムイオン拡散のために重要であることに留意しなければならない。したがって、著しく低い表面Co
3+濃度により、XRD分析によって前に明らかにされたように5FNCMが不十分なカチオン混合を有することは驚くべきことではない。Co
2+の比は、粒子のバルクにおいて全ての試料について安定(約36%)を維持することを示すことができる。
【0040】
図8A~8Cは、(8A)アノード側、及び(8B)カソード側のCV曲線のピーク電流(Ip2)対走査速度(ν)間のフィッティングラインのプロット、及び(8C)計算されたLiイオン拡散係数を示す。
図9は、異なるカソード結晶構造中のLiイオン拡散を示す。
図8A-9を参照して、様々な走査速度における一連のサイクリックボルタンメトリー(CV)試験を用いて、Randles-Sevcik方程式:
【数2】
を用いることによってLi拡散係数(D
Li)を決定し、ここで、nはレドックス反応において移動される電子の数であり(n=1)、Aは電極表面積(1.13cm
2)であり、CはNCM結晶中のLiイオンの理論モル濃度であり(0.05モル/cm
3)、D
LiはLi拡散係数である。二乗ピーク電流(I
p
2)対走査速度(υ)の比は、リチウムイオン拡散率(D
Li)に比例している。これらの2つの変数(I
p
2対υ)間の比例関係は、
図8A~8Bに示され、ここで、フィッティングされた線の勾配は、NCM材料中のLiイオンの拡散速度を直接に反映する。次いで、勾配値をRandles-Sevcik方程式に入れてD
Liを計算し、関連するデータは
図8Cに与えられる。
図8A、8Bに示されるアノード勾配とカソード勾配は、脱リチオ化及びリチオ化中のLi拡散をそれぞれ表わすアノード拡散率とカソード拡散率との間の強い相関関係を裏付ける。VNCMのD
Liを計算すると、1.57×10
-10cm
2/s(アノード)及び4.24×10
-11cm
2/s(カソード)であり、それらは最近の報告による。
【0041】
勾配によれば、0.2FNCM及び1FNCMは、バージン標準と比べてD
Liのより大きい値を有し、他方、5FNCMのLiイオン拡散条件は、それら全てのうちで最も悪い。特に、0.2FNCMの,最大Li拡散係数はバージン標準のLi拡散係数よりも約30%及び14%大きい、2.04×10
-10cm
2/s(アノード)及び4.83×10
-11cm
2/s(カソード)であり、0.2FNCMが全ての調製試料のなかで最も良い電気化学的性能を有し得ることを示す。
図9の格子画像は、NCM結晶中に異なるレベルのフッ化物を含有することによってイオン拡散に及ぼす効果を実証する。最密充填酸素イオン間の八面体部位(赤のxで印をつけた)は、層中のLiイオン拡散のためのものであることに留意しなければならない。小さいフッ化物置換が生じるとき(<1at%)、拡散経路は、依然として可能なままである。フッ化物イオンが酸素イオン(約1.4Å)と比較してより小さいイオン半径(約1.3Å)及び電荷数を有するため、このような置換は、Liイオン拡散率の増加の原因である拡大した間隔及び低減エネルギー障壁をもたらし得る。しかしながら、過度のフッ化物の含有(>5at%)は、カチオン配列のかなりの低下を引き起こす。したがって、より多くの拡散経路が、減少した拡散効率をもたらすミスマッチしたNi
2+イオンによってブロックされる。
【0042】
図10A~10Cは、フッ素不純物によって引き起こされる回収されたNCM622カソードへの良い影響を説明するためのドーピング/不純物に基づいて形成された正孔を示す概略図である。フッ化物などの少量のハロゲン化物を添加することにより、沈殿した電荷材料粒子中に正孔をもたらす。正孔に関連している内部粒子電荷及び力は、電荷材料前駆体の2+対3+酸化数の比を増加させる。共沈殿中にフッ素反応平衡を導入することにより、フッ化物イオンは、一次粒子の溶解を促進し、前駆体中にキャビティ又は正孔を形成する。
【0043】
図10Aは、従来のバージン材料が、正孔を有さない固体粒子101を示すことを図示する。
図10Bは、正孔102を含む、Ni
2+イオンに結合した負のF
1-イオンを有する約1%のフッ素含有量を示し、及び正孔103を同様に囲む、
図10Cの5%Fを有するF
1-イオンの増加した密度を示す。
【0044】
したがって、前駆体が焼結された後、正孔によって画定される中空構造を有するカソード粒子がFNCM材料において得られる。正孔の存在がLi拡散の全距離を減少させ、及びサイクルの繰り返し中に体積変化を抑えることによって粒子の安定性を改良し得るため、正孔を含む粒子構造の画定は、カソードのレート性能及びサイクル安定性に積極的な効果を有する。更に、電荷補償のために、FNCMカソードにおいてNi2+の増加した比を有する表面層が実証され、それは材料の可逆的な容量を実質的に増加させる。表面付近の高原子価Ni3+の量を低減することにより、表面の安定性を維持する能力を高める。更に、格子酸素の極めてわずかな部分がフッ化物イオンによって置き換えられる場合にFNCMカソードにおいてLi拡散係数が改良され(<1at%)、リチウム層におけるイオン輸送のためのより良い構造及びエネルギー準位をもたらす。全てのそれらの積極的な役割にもかかわらず、好ましくない高レベルのカチオン不規則性が5FNCMカソードに見い出され、そして次にそれはLi拡散に好ましくない影響をもたらす。湿式製錬法によって得られる回収されたNCM622カソード上の適度のレベルのフッ素不純物又はドーピングが有利である。同様の利点は、少なくとも他のNMC化学物質にも当てはまる。一般的には、これらの結果は、NMC622カソード材料上のフッ素不純物の利点を裏づける。
【0045】
本明細書において規定される装置及び方法は、その実施形態を参照して特に示され、説明されたが、添付した特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、それらに対する形態及び詳細における様々な変更形態がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【符号の説明】
【0046】
1 工程
1a 工程
2 工程
2a 工程
2b 工程
3 工程
3a 工程
4 工程
4a 工程
5 工程
5a 工程
6 工程
101 固体粒子
102 正孔
103 正孔
134 カソード活物質
140 バッテリー
201 横列
202 横列
203 横列
211 縦列
212 縦列
213 縦列
301 横列
302 横列
303 横列
311 縦列
312 縦列
313 縦列
【外国語明細書】