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特開2023-70191多層チップカードを製造する方法および多層チップカード
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  • 特開-多層チップカードを製造する方法および多層チップカード 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070191
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】多層チップカードを製造する方法および多層チップカード
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230511BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
G06K19/077 144
G06K19/077 188
H05K3/46 G
H05K3/46 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022178813
(22)【出願日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】202111312786.7
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517447622
【氏名又は名称】ギーゼッケプルスデフリエント モービル セキュリティー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】GIESECKE+DEVRIENT MOBILE SECURITY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンプゥ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ミレーナ ニーダーフーバー
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316CC08
5E316DD02
5E316EE01
5E316GG28
5E316HH40
5E316JJ12
5E316JJ26
(57)【要約】

【課題】 コア層構造(2)を備えたチップカードの外面の外観を改善する。
【解決手段】 多層チップカードを製造する方法は、表側面と裏側面とを有するコア層構造(2)を提供するステップと、コア層構造(2)の表側面に表側層構造(1)を提供するステップと、コア層構造(2)の裏側面に裏側層構造(3)を提供するステップと、裏側層構造(3)とコア層構造(2)との間にラベル(50)を提供するステップと、積み重ねられた表側層構造(1)、コア層構造(2)および裏側層構造(3)を、コア層構造(2)と裏側層構造(3)との間に位置決めされたラベル(50)を含めて、スタックに熱と圧力とを加えることによってラミネートするステップとを含む。ICチップ(10)と接触パッド(20)とは、表側から裏側に向かって見たときに重畳していない。表側から裏側に向かって見たときに、ラベル(50)と接触パッド(20)とは、重畳している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層チップカードを製造する方法であって、
- 表側面と裏側面とを有するコア層構造(2)を提供するステップであって、前記コア層構造(2)は、前記表側面に設けられた接触パッド(20)を備え、ICチップ(10)と導体パターンとをさらに備え、前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、前記導体パターンに導電接続されていて、表側から裏側に向かって見たときに重畳していない、コア層構造(2)を提供するステップと、
- 前記コア層構造(2)の前記表側面に表側層構造(1)を提供するステップであって、前記表側層構造(1)は、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する断面形状を備えた貫通孔(5)を有する、表側層構造(1)を提供するステップと、
- 前記コア層構造(2)の前記裏側面に裏側層構造(3)を提供するステップと、
- 前記裏側層構造(3)と前記コア層構造(2)との間にラベル(50)を提供するステップであって、表側から裏側に向かって見たときに、前記ラベル(50)と前記接触パッド(20)とは、完全にまたは少なくとも大部分で重畳している、ラベル(50)を提供するステップと、
- 積み重ねられた前記表側層構造(1)、前記コア層構造(2)および前記裏側層構造(3)を、前記コア層構造(2)と前記裏側層構造(3)との間に位置決めされた前記ラベル(50)を含めて、スタックに熱と圧力とを加えることによってラミネートするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ラベル(50)は、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の前記外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する外側輪郭を備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ラベル(50)の厚さは、前記表側層構造(1)の厚さ以上の厚さに選択され、好ましくは、前記ラベル(50)の前記厚さは、前記表側層構造(1)の前記厚さよりも5%~15%肉厚に選択され、かつ/または前記表側層構造(1)の前記厚さは、0.3mm以下として選択され、前記ラベル(50)の前記厚さは、0.3mm以上として選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ラベル(50)は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から形成される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記コア層構造(2)を、前記ICチップ(10)が実装された第1の層(2.1)と、開口(40)を有する第2の層(2.2)とから形成し、これによって、前記第1の層(2.1)に設けられた前記ICチップ(10)を前記第2の層(2.2)の前記開口(40)内に収容するステップを含み、好ましくは、前記コア層構造(2)の前記第2の層(2.2)に設けられた前記開口(40)は、貫通孔であり、前記方法は、前記貫通孔の領域に接着剤を提供し、これによって、前記コア層構造(2)の前記第2の層(2.2)を前記裏側層構造(3)に接触させたときに、前記貫通孔内に収容された前記ICチップ(10)と、前記裏側層構造(3)との間に結合接続を形成するステップをさらに含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記表側層構造(1)および前記裏側層構造(3)のうちの少なくとも一方を複数の層(1.1,1.2,1.3,3.1,3.2,3.3)から形成するステップを含み、好ましくは、前記表側層構造または前記裏側層構造の1つの層(1.3,3.3)の少なくとも1つは、白色であり、前記表側層構造または前記裏側層構造の1つの層(1.2,3.2)は、前記スタックの外側から可視である印刷(P)を備える、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ラミネートするステップに先だって、前記スタックの表側面と前記スタックの裏側面との両方に隔離フィルムを提供するステップと、前記ラミネートするステップ後、前記隔離フィルムを除去するステップとを含み、好ましくは、前記隔離フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むかまたはポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記表側層構造(1)、前記コア層構造(2)および前記裏側層構造(3)は、1回のラミネートプロセスで互いにラミネートされ、より好ましくは、これらの層構造のうちの1つ以上は、1つよりも多い層を備え、全ての層構造(1,2,3)の全ての層(1.1,1.2,1.3,2.1,2.2,3.1,3.2,3.3)は、前記1回のラミネートプロセスで互いにラミネートされる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ラミネートするステップは、第1の加熱温度での第1の加熱ステップと、前記第1の加熱温度よりも高い第2の加熱温度での第2の加熱ステップと、その後、冷却ステップとを含み、好ましくは、前記第1の加熱温度は、120℃~130℃の範囲内に設定され、前記第2の加熱温度は、140℃~150℃の範囲内に設定され、かつ/または前記第1の加熱ステップは、第1のラミネータ内で実施され、前記第2の加熱ステップは、別の第2のラミネータ内で実施される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記圧力は、前記第1の加熱ステップ中に増加させられ、前記第2の加熱ステップ中にさらに増加させられ、前記冷却ステップ中にまださらに増加させられる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
多層チップカードであって、
- 表側面と裏側面とを有するコア層構造(2)であって、前記表側面に設けられた接触パッド(20)を備え、ICチップ(10)と導体パターンとをさらに備え、前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、前記導体パターンに導電接続されていて、表側から裏側に向かって見たときに重畳していない、コア層構造(2)と、
- 前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた表側層構造(1)であって、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する断面形状を備えた貫通孔(5)を有する表側層構造(1)と、
- 前記コア層構造(2)の前記裏側面に設けられた裏側層構造(3)と、
- 前記裏側層構造(3)と前記コア層構造(2)との間に設けられたラベル(50)であって、表側から裏側に向かって見たときに、前記ラベル(50)と前記接触パッド(20)とは、完全にまたは少なくとも大部分で重畳している、ラベル(50)と
を備える、多層チップカード。
【請求項12】
前記ラベル(50)は、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の前記外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する外側輪郭を有し、かつ/または前記ラベル(50)は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から形成されている、請求項11記載の多層チップカード。
【請求項13】
前記コア層構造(2)は、前記ICチップ(10)が実装された第1の層(2.1)と、該第1の層(2.1)に設けられたICチップ(10)が収容された開口(40)を有する第2の層(2.2)とを備える、請求項11または12記載の多層チップカード。
【請求項14】
前記コア層構造(2)は、前記ICチップ(10)に導電接続されたアンテナ(30)を備え、好ましくは、前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、共通の基板(2.1)に設けられており、より好ましくは、前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、前記共通の基板(2.1)の互いに反対の側に設けられている、請求項11から13までのいずれか1項記載の多層チップカード。
【請求項15】
前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、互いに側方の間隔を置いて設けられている、請求項11から14までのいずれか1項記載の多層チップカード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードまたはスマートカードとも呼ばれる多層チップカードを製造する方法および多層チップカード、特にデュアルインタフェースチップカードに関する。デュアルインタフェースチップカードとは、集積回路チップ(ICチップ)と、ICチップとの導電通信用の金属製の接触パッドと、ICチップとの非接触通信用のアンテナとが1つのカード構造内で組み合わされているチップカードである。
【背景技術】
【0002】
通常、ICチップと接触パッドとはチップモジュールとして設けられている。このチップモジュールでは、ICチップと接触パッドとが、支持基板の互いに反対の側に実装されている。ICチップと接触パッドとの間の接触は、両者が設けられた支持基板を通して成されている。チップモジュールは、カード本体のキャビティ内に実装されており、これによって、チップモジュールの接触パッドが、カード本体の外面と同一平面を成していて、ICチップが、キャビティ内に隠されている。デュアルインタフェースチップカードのアンテナは、通常、カード本体の内側に埋め込まれたアンテナコイルの形態を有している。カード本体のキャビティ内に2つのアンテナ接触領域が露出されており、これによって、チップモジュールがキャビティ内に実装されたときに、両方のアンテナ接触領域が、チップモジュールの下側に設けられた対応する接触領域に接触し、ひいては、チップモジュールのICチップに導電接続される。
【0003】
特許文献1には、ICチップと、接触パッドと、アンテナとが、全て同一のフレキシブルなポリエチレンテレフタレート(PET)製の支持基板に設けられており、この支持基板が、カード本体のコア層を形成している、デュアルインタフェーススマートカードが開示されている。表側層は貫通孔を有していて、この貫通孔内に接触パッドが収容されるように、コア層の表側に配置されている。裏側層はキャビティを有していて、このキャビティ内にICチップが収容されるように、コア層の裏側に組み付けられている。ICチップと接触パッドとは、コア層に設けられた導体パターンに電気的に接続されていて、表側から裏側に向かって見たときに重畳していない。
【0004】
特許文献1によれば、コア層と裏側層とが、まず、高温サイクルにおいて、少なくとも80℃の温度および2MPaの圧力で約30分間、その後、低温サイクルにおいて、30℃以下の温度および再度2MPで約20分間、スタックとしてラミネートされる。ラミネート中、裏側層が軟化し、コア層にフリップチップとして設けられたICチップが押圧され、軟化した裏側層内に埋め込まれる。次いで、冷却後、ラミネート構造が、同じ条件下で表側層にラミネートされる。この場合、コア層に設けられた接触パッドが、表側層に設けられた貫通孔に突っ込まれ、これによって、最終的なラミネート構造の表側面との連続的な平らな平面が形成される。代替的には、接触パッドとICチップとが、コア層の同一の側に設けられており、この場合には、ICチップを収容するためのキャビティが、表側層の裏側に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第3384434B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述したコア層構造、つまり、少なくとも接触パッドと、この接触パッドに重畳せずに設けられたICチップとを有していて、更なる層にラミネートされ、これによって、チップカードを形成するコア層を含むコア層構造を備えたチップカードの外面の外観を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、添付の独立請求項において請求している方法および多層チップカードによって達成される。本発明の好適な実施形態および改良形態の特別な特徴は、従属請求項において詳述している。
【0008】
本発明の第1の態様は、多層チップカードを製造する方法であって、
- 表側面と裏側面とを有するコア層構造であって、表側面に設けられた接触パッドを備え、ICチップと導体パターンとをさらに備え、ICチップと接触パッドとは、導体パターンに導電接続されていて、表側から裏側に向かって見たときに重畳していない、コア層構造と、
- コア層構造の表側面に配置された表側層構造であって、コア層構造の表側面に設けられた接触パッドの外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する断面形状を備えた貫通孔を有する表側層構造と、
- コア層構造の裏側面に設けられた裏側層構造と、
- 裏側層構造とコア層構造との間に設けられたラベルであって、表側から裏側に向かって見たときに、ラベルと接触パッドとは、完全にまたは少なくとも大部分で重畳している、ラベルと
が設けられている、方法に関する。
【0009】
次いで、積み重ねられた表側層構造、コア層構造および裏側層構造が、コア層構造と裏側層構造との間に位置決めされたラベルを含めて、スタックに熱と圧力とを加えることによってラミネートされる。貫通孔の断面形状は、接触パッドの外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応しているので、接触パッドが、ラミネート中に貫通孔を通過し、好ましくは、ラミネートされたスタックの外面と同一平面を成すようになっている。
【0010】
本発明の第2の態様は、対応する構造を有する多層チップカードに関する。製造すべきチップカードがデュアルインタフェースチップカードである場合、コア層構造は、さらに、ICチップに導電接続されたアンテナ、例えばアンテナコイルを備えていてよい。好ましくは、ICチップと接触パッドとは、共通の基板、より好ましくは、共通の基板の互いに反対の側に設けられている。特に、ICチップと接触パッドとは、互いに側方の間隔を置いて配置されていてよい。
【0011】
裏側層構造とコア層構造との間に設けられたラベルは、ラミネートされたスタックの表側および/または裏側に生じてしまう恐れがある起伏を補償する機能を有している。スタックのラミネート中、ラベルによってコア層構造の裏側に局所的な圧力が発生させられ、コア層構造をその表側に設けられた接触パッドと共に表側層構造の貫通孔内に押し込む。つまり、接触パッドは、ラミネートされたスタックの外面と同一平面を成すように突っ込まれる表側層構造の厚さと比較して相対的に肉薄である。したがって、ラベルの材料が、貫通孔内の材料の不足をある程度補償する。
【0012】
好ましくは、ラベルは、コア層構造の表側面に設けられた接触パッドの外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する外側輪郭を有している。こうして、ラミネート中にラベルにより発生させられた圧力が、接触パッドの領域全体にわたって均等に分配される。
【0013】
また、ラベルの厚さは、好ましくは、表側層構造の厚さと同じ厚さに選択されるかまたは表側層構造の厚さよりも肉厚にすら選択される。例えば、ラベルの厚さは、表側層構造の厚さよりも5%~15%肉厚に選択されてよい。上述したように、ラベルの体積は、表側層構造の貫通孔内の材料の不足を補償することになる。過度に少ない補償よりも過剰補償が好適である。なぜならば、余剰の材料が流動し、層構造同士の間に均等に分配されることになるからである。好適な実施形態では、表側層構造の厚さは、0.3mmまたは0.3mmをやや下回るように選択され、ラベルの厚さは、0.3mmまたは0.3mmをやや上回るように選択される。
【0014】
好ましくは、ラベルはその比較的低い粘度のため、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から形成される。
【0015】
好適な実施形態では、コア層構造は、ICチップが実装された第1の層と、開口を有する第2の層とから形成され、これによって、第1の層に設けられたICチップが、第2の層の開口内に収容される。これによって、ラミネートプロセス中にICチップに加えられる力が減じられる。より詳細には、開口は、好ましくは、サイズに関してICチップよりも大きく、これによって、これら2つの層が多層構造の残りの層と共にラミネートされる際に何らかの力に曝されることなしに、ICチップが開口の内側に収容される。
【0016】
1つの実施形態では、コア層構造の第2の層に設けられた開口は、貫通孔の形態を有しており、この貫通孔の領域には、接着剤が提供されてよく、これによって、コア層構造の第2の層が裏側層構造に接触したときに、貫通孔内に収容されたICチップと、裏側層構造との間の結合接続が達成される。
【0017】
表側層構造および裏側層構造のうちの少なくとも一方を少なくとも2つ、好ましくは3つの複数の層から形成することがさらに好適である。例えば、表側層構造および裏側層構造のうちの少なくとも一方の構造の内側層は、接触パッドを支持した前述した第1の層またはICチップを収容した前述した第2の層との接触に対して有利である特性を有することができる。内側層のうちの一方または両方は、コア層構造への結合を改善するために、接着剤を支持していてよい。表側層構造および/または裏側層構造の外側層は、良好な保護特性および/または耐引掻き特性を提供することができる。表側層構造および/または裏側層構造のうちの1つの層、例えば中間層は、良好な印刷品質を有することができ、1つ以上の印刷を有していてよい。例えば、表側層構造および/または裏側層構造の少なくとも1つの層は、白色であってよく、かつ/または表側層構造および/または裏側層構造の少なくとも1つの層は、ラミネートされたスタックの外側から可視である印刷を備えていてよい。
【0018】
ラミネートされたスタックの外面の外観をさらに改善するために、ラミネートするステップに先だって、スタックの表側面およびスタックの裏側面のうちの一方または両方、好ましくは、少なくともスタックの表側面に隔離フィルムが提供されてよく、ラミネートするステップ後に除去される。この目的のために、隔離フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでいてよいかまたは好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される。隔離フィルムは、例えば、特に表側層構造に設けられた貫通孔によって生じる恐れがある収容マークからラミネートプレートを保護するために働く。全体として、ラミネートされたスタックの表側面および裏側面の外観ひいては最終的なチップカードの外観が改善される。
【0019】
ラミネートプロセスに関して、好ましくは、表側層構造、コア層構造および裏側層構造が積み重ねられ、1回のラミネートプロセスで互いにラミネートされる。より好ましくは、これらの層構造のうちの1つ以上が1つよりも多い層を備えている場合、全ての層構造の全ての層が積み重ねられ、1回のラミネートプロセスで互いにラミネートされる。
【0020】
ラミネートプロセスは、第1の加熱温度での第1の加熱ステップと、第1の加熱温度よりも高い第2の加熱温度での第2の加熱ステップと、その後、冷却ステップとを含んでいる。こうして、気泡発生と、存在する場合にはアンテナの露出とを回避することができる。第1の加熱温度は、120℃~130℃の範囲内、例えば125℃に設定されてよく、第2の加熱温度は、140℃~150℃の範囲内、例えば145℃に設定されてよい。好ましくは、第1の加熱ステップは、第1のラミネータ内で実施され、第2の加熱ステップは、別の第2のラミネータ内で実施される。冷却は、例えば20℃程度の低い温度で実施されてよい。冷却は、第2のラミネータ内で実施されてよい。
【0021】
好適な実施形態によれば、圧力は、第1の加熱ステップ中に増加させられ、第2の加熱ステップ中にさらに増加させられ、好ましくは冷却ステップ中にまださらに増加させられる。例えば、圧力は、第1の加熱ステップ中に3bar(0.3MPa)~15bar(1.5MPa)に連続的または段階的に、例えば3bar(0.3MPa)、10bar(1.0MPa)および15bar(1.5MPa)の3回のサブステップで増加させられてよい。また、圧力は、第2の加熱ステップ中に25bar(2.5MPa)~35bar(3.5MPa)に連続的または段階的に、例えば25bar(2.5MPa)および35bar(3.5MPa)の2回のサブステップで増加させられてよい。そして、圧力は、冷却ステップ中に50bar(5.0MPa)~60bar(6.0MPa)に連続的または段階的に、例えば50bar(5.0MPa)および60bar(6.0MPa)の2回のサブステップでまださらに増加させられてよい。
【0022】
加熱ステップおよび冷却ステップならびにサブステップの適切な期間は、個別の状況に準じて、特に層材料および層厚さに応じて選択されてよい。前述したラミネート温度およびラミネート圧力は、層材料の大部分がPVCから成っており、更なる層がPETから形成されている場合に有効であることが判っているが、別の状況でも有効であることが判り得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】多層チップカードを形成するために互いにラミネートされる多数の層を示す分解図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好適な実施形態を添付の図面を参照しながら詳しく説明する。図1は唯一の図であり、多層チップカード、より詳細には、デュアルインタフェースチップカードを形成するために互いにラミネートされる多数の層1.1~3.3を分解図で示している。
【0025】
1つの実施形態では、表側層構造とも呼ばれる第1の層構造1が設けられている。この第1の層構造1は貫通孔5を有していて、全部で3つの層1.1,1.2,1.3から成っている。表側層構造1は、より多い層またはより少ない層を備えていてよく、少なくとも1つの層を備えている。
【0026】
コア層構造とも呼ばれる第2の層構造2は、少なくとも層2.1を備えている。この層2.1はその表側面に接触パッド20を支持していて、その裏側面にICチップ10を支持している。さらに、表側面および裏側面には、アンテナ30のアンテナコイルが設けられている。層2.1に設けられていて、ICチップ10をそれぞれ接触パッド20とアンテナ30とに導電接続する導体パターンは図示していない。層2.1はPETから形成されていてよい。ICチップ10は、ワイヤボンディング技術を用いて層2.1に実装かつ接続され、ポリマーマトリックス内に埋め込まれてもよいし、フリップチップ技術を用いてもよい。導体パターン(図示せず)と、アンテナ30と、接触パッド20との、層2.1を覆っているアルミニウムコーティングは、エッチング除去されていてよい。
【0027】
図示の実施形態では、コア層構造は、さらに、ICチップ10が内部に収容される開口40を有する第2の層2.2を備えている。この第2の層2.2は、第1の層2.1に接着剤Gによって取り付けられてよい。この接着剤Gは、有利には、第2の層2.2に提供されてよい。開口40は、層2.2に設けられた凹部の形態を有していてもよいし、本事例のように、貫通孔を形成していてもよい。層が互いに積み重ねられている場合には、開口40内に接着剤が満たされており、これによって、ICチップ10が、隣接した層に接着されている。コア層構造2の第2の層2.2は、ICチップ10を保護するために働く。
【0028】
裏側層構造とも呼ばれる第3の層構造3は、3つの層3.1,3.2,3.3を備えている。裏側層構造は、これら3つの層よりも多い層または少ない層を含んでいてよく、少なくとも1つの層を含んでいる。層3.1,3.2,3.3の厚さおよび材料は、表側層構造1の各々の層1.1,1.2,1.3の厚さに対応していてよい。表側層構造1および裏側層構造3の内面は、接着剤Gによって被覆されており、これによって、コア層構造2との強力な結合が提供される。
【0029】
さらに、表側層構造1および裏側層構造3のうちの一方または両方にそれぞれ印刷P1および/または印刷P2が設けられていてよい。例えば、表側層構造1および裏側層構造3の中間層1.2,3.2は、それぞれPETから形成されていてよい。このPETは、クリアー、つまり、透明であってよく、その表面のいずれか一方に印刷P1,P2を有していてもよいし、好ましくは、白色、つまり、不透明であってよく、図示のように、各々の外面に印刷P1,P2を有していてもよい。付加的または代替的には、内側層1.3,3.3のうちの一方または両方が、印刷を有していてよい。好ましくは、内側層1.3,3.3は、PVC、より好ましくは白色のPVC、つまり、不透明なPVCから形成されている。最後に、表側層構造1および裏側層構造3の外側層1.1,3.1は、それぞれ透明であってよく、好ましくは同様にPVCから成っていてよい。外側層は、多層構造の内側の層および印刷を保護するために働く。上述した印刷は、外側から観察可能である印刷、つまり、最終的なチップカードのユーザによって観察可能となる印刷である。
【0030】
コア層構造2が、電子的な部品が実装された第1の層2.1しか備えていない実施形態では、開口40が、隣接する裏側層構造3、より詳細には、裏側層構造3の層3.3に設けられてよい。ICチップ10が接触パッド20と共に層2.1の表側に実装される場合には、開口40が、表側層構造1、より詳細には、表側層構造1の層1.3に設けられてよい。
【0031】
さらに、ラベル50が設けられている。表側から裏側に向かって見て、このラベル50は、接触パッド20の真裏に位置決めされている。つまり、この接触パッド20は、貫通孔5の断面形状に実質的にまたは正確に対応する外側輪郭を有しており、ラベル50もまた、接触パッドの外側輪郭に実質的にまたは正確に対応する外側輪郭を有している。層1.1~3.3が互いにラミネートされる場合には、接触パッド20が貫通孔5に押し通されて、スタック全体の外面と同一平面を成すようになっている。接触パッド20の背後のラベル50が、このプロセスをサポートしている。
【0032】
ラベル50は、比較的低い温度で溶融しかつ溶融した際に容易に流動することができるように低い粘度を有するPETGから形成されている。
【0033】
個々の層1.1~3.3は、グループで積み重ねられて、互いにスポット溶接されてよく、その後、グループが互いに積み上げられ、ラミネートされ、これによって、位置決め精度を高めることができる。例えば、表側層構造1の層1.1~1.3が、第1のグループで積み重ねられて、例えばはんだごてを用いて互いにスポット溶接されてよい。次いで、積み重ねられた層1.1~1.3のスポット溶接されたグループから、貫通孔5が打抜き加工される。また、コア層構造2の層2.2に設けられる開口40が打抜き加工された後、コア層構造2の層2.1,2.2が、裏側層構造3の層3.3に互いに積み重ねられてよい。ラベル50は、接触パッド20を覆う適正な位置で層2.2と層3.3との間に配置される。次いで、裏側層構造の層3.2,3.1が積み重ねられ、互いにスポット溶接され、これによって、第3のグループのスポット溶接層が形成される。次いで、第1および第2のグループのスポット溶接層が積み重ねられて、ラミネート機械に移送され、そこで、全ての層が互いにラミネートされ、これによって、一体形の多層構造が形成される。
【0034】
当然ながら、図面に示した寸法は縮尺通りではなく、単に概略的に理解すべきものでしかない。しかしながら、個々の層の厚さの比は縮尺通りである。つまり、PVC層1.3,2.2,3.3は、150μmの厚さを有していてよく、PVC層1.1,3.1は、80μmの厚さを有していてよく、PET層1.2,3.2は、100μmの厚さを有していてよく、電子的な要素を支持する「インレー」とも呼ばれるPET層2.1は、40μmの厚さを有していてよく、これによって、最終的にラミネートされた層スタックの全厚さが、約850μmとなる。PETGラベル50は、300μmの厚さを有していてよく、表側層構造1の層1.1~1.3の組み合わされた厚さよりもやや肉厚である。
【0035】
裏側層構造3の露出面は、更なる要素、例えばセキュリティ要素60、一例としてホログラム、署名部領域70、磁気ストライプ80およびこれに類するものを有していてよい。署名部領域と磁気ストライプとが、ラミネートステップに先だって裏側層構造3の層3.1の露出面に被着されるのに対して、ホログラム60は、ラミネート後、例えばホットスタンププロセスで被着されてよい。
【0036】
ラミネートプロセスは、連続生産ラインでの製造時間を最小限に抑えるために、2つの連続するラミネータ機械で実施される。第1の機械では、スタックが、3bar(0.3MPa)、10bar(1.0MPa)および15bar(1.5MPa)の連続的に増加する圧力でそれぞれ480秒、120秒および420秒間、125℃の温度に曝される。第2のラミネータでは、スタックが、25bar(2.5MPa)および35bar(3.5MPa)の連続的に増加する圧力でそれぞれ300秒および720秒間、145℃のより高い温度に曝される。最後に、層のスタックは、50bar(5.0MPa)および60bar(6.0MPa)の連続的に増加する圧力でそれぞれ300秒および720秒間、20℃の冷却ステップに曝される。こうして、気泡発生とアンテナ30の露出とを回避することができる。冷却ステップは、第2のラミネータで実施されてもよいし、別の第3のラミネータで実施されてもよい。
【0037】
ラミネートステップ中、スタックの少なくとも表側面、つまり、表側層構造1の外面、好ましくは、ラミネートステップに先だって、スタックの表側面およびスタックの裏側面の両方に隔離フィルム(図示せず)が設けられ、ラミネートステップ後に除去される。隔離フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでいるかまたは好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)から形成されている。隔離フィルムは、0.05mmの厚さを有していてよい。
【0038】
当然ながら、層は、通常、各々の電子的な要素、孔および開口が、行列、例えば3×8の行列の形態で複数回設けられたより大きなシートとして提供され、個々のチップカードが、シートのラミネートされたスタックから適切なサイズ、例えばISO 7810に準ずるID-1サイズに最終的に打抜き加工される。
【0039】
上述した可視の印刷、例えば印刷P1,P2に加えて、所定の層に処理用のマーキングが設けられていてよい。このマーキングも同じく印刷の形態で設けられていてよい。例えば、印刷P2.2が、コア層構造2の第2の層2.2に設けられ、例えば打抜き加工によって開口40を製作する位置の識別を容易にするための機能を有していてよい。より詳細には、印刷P2.2は、図示のように、開口40が製作される領域を除いて、第2の層2.2を完全に覆っていてもよいし、部分的にのみ、つまり、開口40を正確に取り囲んで設けられていてもよい。代替的には、印刷P2.2は、開口40の領域にだけ正確に設けられていてよい。
【0040】
また、コア層構造2の第2の層2.2に設けられた印刷P2.2同様、印刷P3.3が、第3の層構造3の内側層3.3の内面に設けられ、ラミネートに先だってラベル50が配置される位置の識別を容易にするための機能を有していてよい。より詳細には、印刷P3.3は、図示のように、ラベル50が配置される領域を除いて、内側層3.3を完全に覆っていてもよいし、部分的にのみ、つまり、ラベル50が配置される領域を正確に取り囲んで設けられていてもよい。代替的には、印刷P3.3は、内側層3.3においてラベル50の領域にだけ正確に設けられていてよい。
【0041】
最後に、印刷P1さえ、例えば打抜き加工によって第1の層構造1に貫通孔5を製作する位置の識別を容易にするための機能を果たしていてよい。より詳細には、印刷P1は、図示のように、中間層1.2を完全にまたは部分的に覆っていて、貫通孔5が製作される領域を正確に開放していてよい。
【0042】
本発明の好適な例を以下のパラグラフ1~26において概説する。
【0043】
1. 多層チップカードを製造する方法であって、
- 表側面と裏側面とを有するコア層構造(2)を提供するステップであって、前記コア層構造(2)は、前記表側面に設けられた接触パッド(20)を備え、ICチップ(10)と導体パターンとをさらに備え、前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、前記導体パターンに導電接続されていて、表側から裏側に向かって見たときに重畳していない、コア層構造(2)を提供するステップと、
- 前記コア層構造(2)の前記表側面に表側層構造(1)を提供するステップであって、前記表側層構造(1)は、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する断面形状を備えた貫通孔(5)を有する、表側層構造(1)を提供するステップと、
- 前記コア層構造(2)の前記裏側面に裏側層構造(3)を提供するステップと、
- 前記裏側層構造(3)と前記コア層構造(2)との間にラベル(50)を提供するステップであって、表側から裏側に向かって見たときに、前記ラベル(50)と前記接触パッド(20)とは、完全にまたは少なくとも大部分で重畳している、ラベル(50)を提供するステップと、
- 積み重ねられた前記表側層構造(1)、前記コア層構造(2)および前記裏側層構造(3)を、前記コア層構造(2)と前記裏側層構造(3)との間に位置決めされた前記ラベル(50)を含めて、スタックに熱と圧力とを加えることによってラミネートするステップと
を含む、方法。
【0044】
2. 前記ラベル(50)は、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の前記外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する外側輪郭を備える、パラグラフ1記載の方法。
【0045】
3. 前記ラベル(50)の厚さは、前記表側層構造(1)の厚さ以上の厚さに選択される、パラグラフ1または2記載の方法。
【0046】
4. 前記ラベル(50)の前記厚さは、前記表側層構造(1)の前記厚さよりも5%~15%肉厚に選択される、パラグラフ3記載の方法。
【0047】
5. 前記表側層構造(1)の前記厚さは、0.3mm以下として選択され、前記ラベル(50)の前記厚さは、0.3mm以上として選択される、パラグラフ3または4記載の方法。
【0048】
6. 前記ラベル(50)は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から形成される、パラグラフ1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0049】
7. 前記コア層構造(2)を、前記ICチップ(10)が実装された第1の層(2.1)と、開口(40)を有する第2の層(2.2)とから形成し、これによって、前記第1の層(2.1)に設けられた前記ICチップ(10)を前記第2の層(2.2)の前記開口(40)内に収容するステップを含む、パラグラフ1から6までのいずれか1つ記載の方法。
【0050】
8. 前記コア層構造(2)の前記第2の層(2.2)に設けられた前記開口(40)は、貫通孔であり、前記方法は、前記貫通孔の領域に接着剤を提供し、これによって、前記コア層構造(2)の前記第2の層(2.2)を前記裏側層構造(3)に接触させたときに、前記貫通孔内に収容された前記ICチップ(10)と、前記裏側層構造(3)との間に結合接続を形成するステップをさらに含む、パラグラフ7記載の方法。
【0051】
9. 前記表側層構造(1)および前記裏側層構造(3)のうちの少なくとも一方を複数の層(1.1,1.2,1.3,3.1,3.2,3.3)から形成するステップを含む、パラグラフ1から8までのいずれか1つ記載の方法。
【0052】
10. 好ましくは、前記表側層構造または前記裏側層構造の1つの層(1.3,3.3)の少なくとも1つは、白色であり、前記表側層構造または前記裏側層構造の1つの層(1.2,3.2)は、前記スタックの外側から可視である印刷(P)を備える、パラグラフ9記載の方法。
【0053】
11. 前記ラミネートするステップに先だって、前記スタックの表側面と前記スタックの裏側面との両方に隔離フィルムを提供するステップと、前記ラミネートするステップ後、前記隔離フィルムを除去するステップとを含む、パラグラフ1から10までのいずれか1つ記載の方法。
【0054】
12. 前記隔離フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むかまたはポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される、パラグラフ11記載の方法。
【0055】
13. 前記表側層構造(1)、前記コア層構造(2)および前記裏側層構造(3)は、1回のラミネートプロセスで互いにラミネートされる、パラグラフ1から12までのいずれか1つ記載の方法。
【0056】
14. 前記表側層構造(1)、前記コア層構造(2)および前記裏側層構造(3)のうちの1つ以上は、1つよりも多い層を備え、全ての層構造(1,2,3)の全ての層(1.1,1.2,1.3,2.1,2.2,3.1,3.2,3.3)は、前記1回のラミネートプロセスで互いにラミネートされる、パラグラフ13記載の方法。
【0057】
15. 前記ラミネートするステップは、第1の加熱温度での第1の加熱ステップと、前記第1の加熱温度よりも高い第2の加熱温度での第2の加熱ステップと、その後、冷却ステップとを含む、パラグラフ1から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0058】
16. 前記第1の加熱温度は、120℃~130℃の範囲内に設定され、前記第2の加熱温度は、140℃~150℃の範囲内に設定される、パラグラフ15記載の方法。
【0059】
17. 前記第1の加熱ステップは、第1のラミネータ内で実施され、前記第2の加熱ステップは、別の第2のラミネータ内で実施される、パラグラフ15または16記載の方法。
【0060】
18. 前記圧力は、前記第1の加熱ステップ中に増加させられ、前記第2の加熱ステップ中にさらに増加させられ、前記冷却ステップ中にまださらに増加させられる、パラグラフ15から17までのいずれか1つ記載の方法。
【0061】
19. 多層チップカードであって、
- 表側面と裏側面とを有するコア層構造(2)であって、前記表側面に設けられた接触パッド(20)を備え、ICチップ(10)と導体パターンとをさらに備え、前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、前記導体パターンに導電接続されていて、表側から裏側に向かって見たときに重畳していない、コア層構造(2)と、
- 前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた表側層構造(1)であって、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する断面形状を備えた貫通孔(5)を有する表側層構造(1)と、
- 前記コア層構造(2)の前記裏側面に設けられた裏側層構造(3)と、
- 前記裏側層構造(3)と前記コア層構造(2)との間に設けられたラベル(50)であって、表側から裏側に向かって見たときに、前記ラベル(50)と前記接触パッド(20)とは、完全にまたは少なくとも大部分で重畳している、ラベル(50)と
を備える、多層チップカード。
【0062】
20. 前記ラベル(50)は、前記コア層構造(2)の前記表側面に設けられた前記接触パッド(20)の前記外側輪郭にサイズおよび位置に関して実質的に対応する外側輪郭を有する、パラグラフ19記載の多層チップカード。
【0063】
21. 前記ラベル(50)は、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)から形成されている、パラグラフ19または20記載の多層チップカード。
【0064】
22. 前記コア層構造(2)は、前記ICチップ(10)が実装された第1の層(2.1)と、該第1の層(2.1)に設けられたICチップ(10)が収容された開口(40)を有する第2の層(2.2)とを備える、パラグラフ19から21までのいずれか1つ記載の多層チップカード。
【0065】
23. 前記コア層構造(2)は、前記ICチップ(10)に導電接続されたアンテナ(30)を備える、パラグラフ19から22までのいずれか1つ記載の多層チップカード。
【0066】
24. 前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、共通の基板(2.1)に設けられている、パラグラフ23記載の多層チップカード。
【0067】
25. 前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、前記共通の基板(2.1)の互いに反対の側に設けられている、パラグラフ24記載の多層チップカード。
【0068】
26. 前記ICチップ(10)と前記接触パッド(20)とは、互いに側方の間隔を置いて設けられている、パラグラフ19から25までのいずれか1つ記載の多層チップカード。
図1
【外国語明細書】