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特開2023-70197セルロースファイバー生地を使用したマットレスおよびセルロースファイバー生地。
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  • 特開-セルロースファイバー生地を使用したマットレスおよびセルロースファイバー生地。 図1
  • 特開-セルロースファイバー生地を使用したマットレスおよびセルロースファイバー生地。 図2
  • 特開-セルロースファイバー生地を使用したマットレスおよびセルロースファイバー生地。 図3
  • 特開-セルロースファイバー生地を使用したマットレスおよびセルロースファイバー生地。 図4
  • 特開-セルロースファイバー生地を使用したマットレスおよびセルロースファイバー生地。 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070197
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】セルロースファイバー生地を使用したマットレスおよびセルロースファイバー生地。
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20230511BHJP
【FI】
A01K1/015 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022186927
(22)【出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2021195765
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】310007287
【氏名又は名称】平山工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平山 勝治
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101GB01
(57)【要約】
【課題】保温性を高めるだけでなく防虫効果を備えたペット用マットレスおよび生地を提供する。
【解決手段】高反発ウレタンフォーム200の上に配置したセルロースファイバーを含むセルロースファイバー生地C2に通風性の良いスポンジシート300を配置して成るペット用マットレスPMである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースファイバーを含んだ第一生地と、通気性を備える生地又は通気性と防水性を備える第二生地にて前記第一生地を被覆して成るセルロースファイバー生地。
【請求項2】
セルロースファイバーを付着させた第一生地と、通気性を備える生地又は通気性と防水性を備える第二生地とを被覆して成るセルロースファイバー生地。
【請求項3】
前記第一生地の片面側に接着剤若しくは粘着剤が塗布され、又は粘着性のあるシートが貼り付けられ、前記接着剤若しくは粘着剤、又は前記粘着性のあるシートの表面にセルロースファイバーを付着させたことを特徴とする請求項2記載のセルロースファイバー生地。
【請求項4】
前記セルロースファイバーを含んだ第一生地は、セルロースファイバー単独、又はセルロースファイバーに反発ウレタン、ラテックス、反発ファイバー、ポリエチレンパイプ、羽毛、ウール、蕎麦殻、ポリエステル粒綿、極小ビーズの少なくもいずれか一つの素材を含んだ請求項1記載のセルロースファイバー生地。
【請求項5】
第一生地を被覆する際に前記第二生地の接合は接着、粘着若しくは溶着、又は粘着若しくは溶着した領域を縫合して成る請求項1または請求項2記載のセルロースファイバー生地。
【請求項6】
前記セルロースファイバー生地を使用した請求項1または請求項2記載のペット用マットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防虫・防水性に優れたペット用マットレスおよびセルロースファイバー生地に関する。
【背景技術】
【0002】
ノミやダニは家屋や室内に生存しており、室内に於いては暗く湿度が高いところを好み家具の下や隙間、ソファーやベッドの上などに多く見られる。一方、家屋に於いては直射日光の当たらない暗く湿った場所に多く見られ、犬や猫などのペットを散歩に連れて行くとノミやダニが寄生する確率が高まる。
【0003】
犬や猫などが寝そべったりするためのペット用ベッドは、凹部形状を有する枠体と前記枠体の内側にマットレスを嵌め込んだ構造が一般的に知られているが上述したようにノミやダニに対して格好の住処となっている。最近では新型コロナウイルスによる外出自粛によりペットを購入する割合も高くなり、特にトイプードル、シーズー、マルチーズなどの室内小型犬は人気であり飼い主は衣服や小物を身に纏わせる傾向にある。ベッドと同様に衣服や小物を身に纏わせた室内犬などはノミやダニの格好な場所となり増殖を促進することになる。
【0004】
犬や猫などにノミやダニが寄生すると皮毛に潜り込んで吸血するだけでなく大量に繁殖すると貧血を起こすことやノミアレルギー性皮膚炎や感染症をもたらすことにもなる。
【0005】
ところで、ペット用ベッドのマットレスには、ペットの健康状態に依存して様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1には、主クッション部と、主クッション部の上面を覆うように配される通気クッション部と、主クッション部と通気クッション部とを覆うカバーとを備えている。通気クッション部は、通気性を備えると共に、この通気性を確保しつつペットの体型に倣って凹む特性を備えた最上層と、マイナスイオンを生じさせる物質を備えた内層とを備えて構成されたペット用ベッドとなっている。
【0006】
特許文献2は、平面方向及び厚み方向を有し、上面及び下面を有するマットレスと、前記上面に、前記マットレスと前記厚み方向に重なるように配置される吸収性シートとを備えるペット用ベッドであって、前記マットレスは熱可塑性樹脂繊維によって構成された繊維構造体であり、前記吸収性シートは、液透過性の表面シートと、吸収体と、液不透過性且つ透湿性の裏面シートとを含むペット用ベッドとなっている。
【0007】
ペット用衣類や小物について、特許文献3には愛玩動物の胴回りに装着される胴回り部と、足回りに装着される複数の足回り装着部と、前記複数の足回り装着部および前記胴回り部を支える複数の支部と、愛玩動物用のリードに供えられたフック部と連結される連結部と、を備えた愛玩動物用ハーネスであって、前記足回り装着部、前記胴回り部または前記支部の少なくともいずれかに絞り生地が用いられている愛玩動物用ハーネスが提案されている。
【0008】
特許文献4は、織布を裁断することで首回り部を各々別体に形成してなるペット用衣服であって、前記首回り部は、ペットの首回りを背部側から覆い包むべく形成されるとともに、同ペットの胸部側で係脱される第一接合部と、首輪を挿通させる首輪挿通部とを備え、前記胴回り部は同ペットの胴回りを腹部側から覆い包むべく形成されるとともに、同ペットの背部側で係脱される第二接合部を備えているペット用衣服が提案されている。
【0009】
特許文献4は、ペット用のペット用具であってペットの体に取り付けられる取付部を備えており、該取付部に磁石が設けられている磁石付きペット首輪である。
【0010】
上述したように室内小型犬に対しては、散歩の際にノミやダニの持ち込みだけでなくペットに装着させた衣服や小物は格好な住処となり増殖を促進するリスクが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004-16145号公報
【特許文献2】特許第6009115号公報
【特許文献3】実用新案登録第3197630号公報
【特許文献4】特開2002-345359号公報
【特許文献5】特開2011-182687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したようなペット用ベッドのマットレス(クッション)については単独機能を有するものであり、防虫を含めた複数の機能を有するペット用マットレスは存在していない。同様にペットに着用させる衣服や小物に使用する生地については特許文献5に於いて屋内でのペットの運動不足による筋肉中の血液循環障害、精神ストレスに伴う筋肉中の血行不良による凝りを防止するために首輪に磁石を取り付けたものであり防虫を含めた複数の機能を有する生地は存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題に鑑み、発明者は誠意工夫の結果、鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造などの大型建造物の断熱材として使用されているセルロースファイバーに着目し、本発明であるペット用マットレスおよびセルロースファイバー生地を完成させた。
【0014】
セルロースファイバーとは、木質繊維として主に古新聞またはダンボールを原料に製造され、セルロース原料を裁断・攪拌し、さらに難燃剤としてホウ酸や硫酸アンモニウムを添加したうえで製造される。ホウ酸が添加されているため難燃性であり、防虫作用を有し、防カビ作用、および水蒸気を透過するため通風性も良く、また古新聞に使用されているインク自体も防虫効果があると言われている。
【0015】
本発明の第一実施形態であるセルロースファイバー生地は、セルロースファイバーを含んだ第一生地を、通気性を備える生地又は通気性と防水性を備える第二生地にて第一生地を被覆することで完成する。
【0016】
セルロースファイバーを含んだ第一生地とは、セルロースファイバー単独、又はセルロースファイバーに反発ウレタン、ラテックス、反発ファイバー、ポリエチレンパイプ、羽毛、ウール、蕎麦殻、ポリエステル粒綿、極小ビーズの少なくもいずれか一つを含む素材とする。使用方法としてはセルロースファイバー単独層、幾つかの素材毎による層の組み合わせ、又は幾つかの素材と混合させた層とすることが可能である。
【0017】
本発明の第一実施形態であるセルロースファイバー生地の製造に於いて、第二生地で覆う際にはセルロースファイバーを含む層は2方袋や3方袋に挿入する方式や一方の第二生地の上にセルロースファイバーを含む層を置いた状態で別の第二生地を覆い接着や縫合するなど自在である。
【0018】
セルロースファイバーは非常に細かな微粒子(紙粉やホウ酸粉)が発生するため、単にセルロースファイバーをカバーで被覆し縫製するだけでは前記微粒子が縫合した面から外部に飛散する問題が生じる。上記課題を解決するために、カバーとなる第二生地には予め糊代部を備え、カバーの糊代部を接着剤や両面テープ等で接着若しくは熱によりカバー生地を溶着させることが好ましい。
【0019】
本発明の第二実施形態であるセルロースファイバー生地は、セルロースファイバーを付着させた第一生地と、通気性を備える生地又は通気性と防水性を備える第二生地とを被覆することで完成する。
【0020】
本発明の第二実施形態で使用する第一生地とは、シート状の樹脂、紙、不織布、テープ、およびゴムなどセルロースファイバーを保持できるものであれば素材は何でもよく、前記素材の少なくとも一方の表面に接着剤若しくは粘着剤を塗布、又は両面に粘着性のあるテープやシートを貼り付けた後に前記表面にセルロースファイバーを塗布させることでセルロースファイバーを固着させたものである。又は、予め粘着剤が塗布された片面若しくは両面粘着テープやシートの表面にセルロースファイバーを固着させてもよい。
【0021】
本発明の第二実施形態であるセルロースファイバー生地の製造に於いて、第一生地の外周部付近の粘着部若しくは接着部にセルロースファイバーを散布しないようにすると第二生地を簡単に貼り合わせることで完成する。
【0022】
本発明の第一実施形態および第二実施形態であるセルロースファイバー生地を被覆する第二生地は、少なくとも通気性を備える生地を使用しないとセルロースファイバーの特性である防虫作用、防カビ作用、および水蒸気を透過するため通気性を発揮できなくなる。セルロースファイバーは水洗いするとホウ酸が溶解もしくは洗い落とされるため機能を気視させるためには洗濯が出来ないために好ましくは通気性と防水性も備える第二生地とすれば、ペットが尿をした際でもセルロースファイバーの尿濡れを防止できる。
【0023】
ペット用ベッドとして、凹部形状を有する枠体と本発明の第一実施形態であるセルロースファイバー生地を前記枠体の内側にマットレスとして嵌め込むことで完成する。セルロースファイバーの効果をより発揮させるために前記枠体にセルロースファイバー生地を使用してもよい。
【0024】
市販のペット用ベッドに本発明のセルロースファイバー生地を使用する例として、前記ベッドのマットレス表面に本発明の第二実施例であるセルロースファイバー生地をマットレスカバーとして使用することも可能である。
【0025】
本発明の第二実施例のセルロースファイバー生地によれば、第一生地を薄手の布などに接着剤を塗布しセルロースファイバーを固着させて第二生地を貼り付けるだけなのでペット用の衣服の裏地や首輪の内側に第二生地がペットと向かい合うように取り付けることで防虫効果を示す。
【発明の効果】
【0026】
セルロースファイバーを含んだマットレスと通気性を備える生地又は通気性と防水性を備える生地により被覆したペット用マットレスはペット用のベッドや衣服類に使用するだけでなく、ペット用キャリーバックにも簡単に設置できるためセルロースファイバーの保湿効果によりキャリーバック内ではペットの居心地も良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第一実施形態である第一生地の外観図
図2】本発明の第一実施形態であるセルロースファイバー生地の外観図
図3】本発明の第二実施形態である第一生地の外観図
図4】本発明の第二実施形態であるセルロースファイバー生地の外観図
図5】本発明であるセルロースファイバー生地を使用したペット用マットレスの外観図
図6】本発明であるセルロースファイバー生地を使用したペット用首輪であり(a)正面図、(b)断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態を図面により説明するが、本発明の範囲は本実施形態に制限されるものではない。
【実施例0029】
図1は、本発明の第一実施形態である第一生地A1の外観図、図2は本発明の第一実施形態であるセルロースファイバー生地A2の外観図を示しているが、第一生地として10cm四方のブロック体に成形したセルロースファイバー10を通気性のある布生地100に搭載したものを、第二生地として通気性のある布生地105にて被覆した後に前記布生地の外周領域同士を両面テープにて固着させた後に縫製することでセルロースファイバー生地が完成する。
【0030】
図3は、本発明の第二実施形態である第一生地B1の外観図、図4は本発明の第二実施形態であるセルロースファイバーB2の外観図を示しているが、第一生地として10cm四方の不織布20の片面に両面粘着シート30を貼り付けた後に他方の両面粘着シート面には外周部を除く領域に細かく切断したセルロースファイバー30を散布した構成からなる。さらに第二生地として通気性の良いガーゼ110にて被覆することでセルロースファイバー生地が完成する。
【0031】
図5は、本発明であるセルロースファイバー生地C2を使用したペット用マットレスPMの外観図を示している。ペット用セルロースファイバー生地400は、第二実施形態による第一セルロースファイバー生地の製法を採用し、第一生地として長半径30cm、短半20cmの楕円形状のリネンの片面にスプレー糊を塗布しセルロースファイバーを散布したものを、第二生地として前記セルロースファイバー表面に同サイズのリネンを重ね合わせ、さらに重ね合わせたリネンの外周部に片面粘着テープを貼り付けセルロースファイバー生地を完成させる。
【0032】
ペット用マットレスPMの構造については、長半径30cm、短半20cm、高さを15cmとした高反発ウレタンフォーム200から成る楕円柱の上にセルロースファイバー生地C2を搭載し、さらに長半径30cm、短半20cm、高さを5cmとしたスポンジシート300を搭載することで完成する。尚、当該ペット用マットレスPM布製、革製などの枠体に入れることでペット用ベッドが完成する。
【0033】
図6は、本発明であるセルロースファイバー生地を使用したペット用首輪PCであり(a)正面図、(b)断面図を示す。第一生地として、長さ30cm、横幅1.5cmの両面粘着シート40の片面に外周領域を除いた領域に細かく切断したセルロースファイバー50を散布し、第二生地として通気性のあるスポンジ120を貼り付けることで完成する。尚、使用する首輪のサイズに合うように裁断し両面粘着シート40の他方の面を首輪の内側面に貼り付ければよい。
【0034】
本発明のセルロースファイバー生地については、防虫機能を有するためペット用首輪に留まらず、ペット用衣服の裏地に貼り付けることやデザイン性を有する第二生地であれば、そのままペット用衣服としての使用も可能となる。
【符号の説明】
【0035】
10 ブロック体に成形したセルロースファイバー
20 不織布
30 両面粘着シート
40 両面粘着シート
50 細かく切断したセルロースファイバー
100 通気性のある布生地
105 通気性のある布生地
110 ガーゼ
120 スポンジシート
200 高反発ウレタンフォーム
300 スポンジシート
400 マットレス用のセルロースファイバー生地
A1 第一実施形態である第一生地
A2 第一実施形態であるセルロースファイバー生地
B1 第二実施形態である第一生地
B2 第二実施形態であるセルロースファイバー生地
PM ペット用ベッドのマットレス
PC ペット用首輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6