(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000702
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】マット及び載置台と体重測定装置
(51)【国際特許分類】
A47C 27/08 20060101AFI20221222BHJP
G01G 19/50 20060101ALI20221222BHJP
G01G 5/04 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A47C27/08 B
G01G19/50 Z
G01G5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101677
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大城 巧
(72)【発明者】
【氏名】太田 偉喜
(72)【発明者】
【氏名】坂田 全弘
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AC11
3B096AD03
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、流体の外部との移動がなく簡単な構成となり、極めて使用しやすいマット及び載置台と体重測定装置を提供することである。
【解決手段】
本発明のマット及び載置台と体重測定装置は、載置台と、流体を封入したマットと、マットの内圧を測定する内圧測定手段と、既知の荷重Mを載せた場合の内圧と荷重Mのデータを格納する荷重-内圧参照データメモリと、荷重-内圧参照データメモリのデータを参照して、測定された内圧から未知の体重を求める重量m換算手段と、を備え、
載置台又は/及びマットは、その接触部において一定の底面積を確保する堅牢性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を封止したマットと、前記マットの上面側にあって、測定すべき荷重体を載せる載置台と、で構成され、前記荷重体を前記載置台に載せることで、前記荷重体の重量による前記マット内の内圧の測定に使用されるものであって、
前記載置台又は/及び前記マットは、前記荷重体の重量及び形状にかかわらず、載置され測定される前記荷重体の前記重量に対して一定の面積を前記載置台と前記マットとの接触部において確保する堅牢性を持つことにより、前記載置台が前記マットの上面を一定の面積で押すように構成されていることを特徴とするマット及び載置台。
【請求項2】
前記マットの下に配置される下ケースと、前記載置台に一体に形成された上ケースを有し、前記上ケースと前記下ケースは、前記マットを内包してカバー保護するとともに、相互間で上下動自在であることで、載置台の上下動を可能としたことを特徴とする請求項1記載のマット及び載置台。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の前記マットと前記載置台と、体重測定手段と、を備え、前記体重測定手段は、
制御手段と、前記制御手段により制御される、
前記マットの内部に連通し内部の前記流体の内圧Pを測定する内圧P測定手段と、
既知荷重Mを前記載置台に載せて前記内圧Pを前記内圧P測定手段で測定したことによる前記既知荷重Mと前記内圧Pの参照データを格納する荷重-内圧等参照データメモリと、前記載置台に載せて人体等の前記荷重体の重量mを測定する場合に、前記重量mに対応して前記内圧P測定手段により測定された前記内圧Pから、前記荷重-内圧等参照データメモリを参照して、前記内圧Pに対応する人体等の前記荷重体の前記重量mを逆算する重量m換算手段と、前記重量mを測定日時のデータとともに格納する日時体重データメモリと、前記測定日時と、前記重量mと、必要な場合には前記重量mから求めた前記荷重体自体の重量である真の体重nと、のデータを出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする体重測定装置。
【請求項4】
前記体重測定手段は、前記既知荷重Mと前記内圧Pの参照データを作成するキャリブレーション工程において使用するために、前記既知荷重Mを入力する既知荷重M入力手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の体重測定装置。
【請求項5】
前記体重測定手段は、前記内圧Pの温度による影響を補正するために、前記流体又はマットの温度を測定する測温手段を備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の体重測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアマット等の流体封入マットによる、マット及び載置台と体重測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアマット等の流体を満たしたマットによる先行技術として以下の特許文献(
図7にその代表図)を示す。
特許文献1(7-A)では、寝具の下側に膨張・収縮が自在の主タンクを配設し、この主タンクに膨張・収縮が自在の標準タンクを開閉弁付きの管状体を介して連通するとともに、この管状体に差圧伝送器を設け、上記寝具上に患者が乗った際に、主タンクの内圧と標準タンクの内圧との間に生じる差圧から患者の体重変化を測定できるようにした。測定においては、開閉弁を開いておいて患者を寝具に載せると、主タンクの内圧と標準タンクの内圧が等しくなるので、その後、開閉弁を閉じて、患者の体重が変わると二つのタンクの内圧の差として現れるので、体重変化として計測できることを示している。体重変化分を求めるには都合がよいが、装置全体の構成が面倒になる。
特許文献2(7-B)では、人体他の被計測物の下にエアーマットを置き、エアーマット内への気体の注入による移動、又はエアーマット内からの気体の排出による移動の操作を行うことにより、被計測物の重量と均衡する気体の圧力変化と移動した気体の量との関係から被計測物の重量を求めるものである。この文献では、重量Wが圧力Pと接触面積の積で計算するが、接触面積が人体やその時の状態により変わるため、その対策として、気体の移動時の圧力の時間的変化が、接触面積の割合であるNと相関があることで、時間変化から接触面積に従って、重量Wを求めることをしている。卓越した考えであると思うが、これも気体の移動をさせる為の構成が面倒であり、更に、測定の度に前提として加圧する機構が必要となる。
特許文献3(7-C)では、患者をエアマットで保持した状態で電磁弁を開にして空気を排出しエアマットのマット内部圧力を漸次低下させる。エアマットの内部圧力とエアマットに加わる患者を含む荷重とが平衡状態におけるマット内部圧力に基づき患者の体重を求めるとなっているが、これも、空気の加圧と排出が伴うので、その機構が必要になり、操作も面倒である。
特許文献4(7-D)では、体重測定装置は、複数のエアーセルを有して生体を支持する支持部(エアーマット)と、複数のエアーセルの内部圧力を検出する圧力検出部と、複数のエアーセルの内部圧力を除圧および加圧する圧力調整部と、エアーセルを順番に除圧させ、他のエアーセルの圧力変化量を計測することにより生体の体重を算出するものである。エアーマットの面にわたり複数のエアーセルに別れ、エアーセル内の圧力を検出して、全体の体重を求めるものであるが、エアーセルを分けた分かえって圧力バランスを考慮するため、エアーセルの細分化が必要であり複雑な構成になり、減圧と加圧も面倒である。
特許文献5(7-E)では、それぞれ独立に内圧が制御される一対のエアマットを有し、これら一対のエアマットが重ねて配置されてなり、一対のエアマットを異なる内圧に調圧する調圧手段と、異なる内圧に調圧された一対のエアマット間を連通する連通手段と、連通手段を開閉する機構と、一対のエアマットの少なくとも一方の内圧を計測する計測手段とを備える。一対のエアマットを異なる内圧に調圧した後、これら一対のエアマット間を連通し、収束する内圧、若しくは一定時間後の内圧を計測することにより体重を測定している。
これも、一対のエアマット間の連通手段によるエアの移動により体重を測定していて機構が複雑で面倒である。
更に、先行技術において、流体の複雑な移動機構を備えた上記の欠点に加え、以下の共通した欠点がある。7-Fには、マットと、その上に横臥した人体を見たものであり、上には上面図、下にはマットのみの側面図で示しているが、当然、人体に沿ったマット部分が凹む形で接触面を形成している。図に体の小さな人体の場合も示しているが、このように個々の人体のサイズや重量で接触面の面積が変わり一定にならない不都合があり、それでも、7-Fでは、マット上部の面は、未だマット下部の面から浮いているので、人体の重量は有効にマット内圧に影響している。この場合には、接触面積が個々の人体で変わることにより、先行技術の様な複雑な手段を取る必要があったと思われる。7-Gでは、更に人体の重量により、マット上部の面は、マット下部の面に接触(〇で囲った部分)しているので、人体の重量は、床面にかかることになり、有効にマット内圧を挙げることに寄与しないため、この状態では、体重の正しい測定は不能となる。そのため、先願の技術では、マットを機能させる為には過大の条件的制限が存在していることになる。
尚、「エア」と「エアー」の表現は、できるだけ、先行文献の記述に忠実に表現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-64085
【特許文献2】特開平2-275320
【特許文献3】特開2004-271368
【特許文献4】特開2018-4377
【特許文献5】特開2018-29877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、測定において面倒な流体の移動処理が不要で構成が簡単なエアマット等の流体封入マットによる、マット、載置台、体重測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、マット及び載置台であって、
流体を封止したマットと、前記マットの上面側にあって、測定すべき荷重体を載せる載置台と、で構成され、前記荷重体を前記載置台に載せることで、前記荷重体の重量による前記マット内の内圧の測定に使用されるものであって、
前記載置台又は/及び前記マットは、前記荷重体の重量及び形状にかかわらず、載置され測定される前記荷重体の前記重量に対して一定の面積を前記載置台と前記マットとの接触部において確保する堅牢性を持つことにより、前記載置台が前記マットの上面を一定の面積で押すように構成されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のマット及び載置台において、
前記マットの下に配置される下ケースと、前記載置台に一体に形成された上ケースを有し、前記上ケースと前記下ケースは、前記マットを内包してカバー保護するとともに、相互間で上下動自在であることで、載置台の上下動を可能としたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、体重測定装置であって、
請求項1又は請求項2記載の前記マットと前記載置台と、体重測定手段と、を備え、前記体重測定手段は、
制御手段と、前記制御手段により制御される、
前記マットの内部に連通し内部の前記流体の内圧Pを測定する内圧P測定手段と、
既知荷重Mを前記載置台に載せて前記内圧Pを前記内圧P測定手段で測定したことによる前記既知荷重Mと前記内圧Pの参照データを格納する荷重-内圧等参照データメモリと、前記載置台に載せて人体等の前記荷重体の重量mを測定する場合に、前記重量mに対応して前記内圧P測定手段により測定された前記内圧Pから、前記荷重-内圧等参照データメモリを参照して、前記内圧Pに対応する人体等の前記荷重体の前記重量mを逆算する重量m換算手段と、前記重量mを測定日時のデータとともに格納する日時体重データメモリと、前記測定日時と、前記重量mと、必要な場合には前記重量mから求めた前記荷重体自体の重量である真の体重nと、のデータを出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の体重測定装置において、
前記体重測定手段は、前記既知荷重Mと前記内圧Pの参照データを作成するキャリブレーション工程において使用するために、前記既知荷重Mを入力する既知荷重M入力手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の体重測定装置において、
前記体重測定手段は、前記内圧Pの温度による影響を補正するために、前記流体又はマットの温度を測定する測温手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の様に構成されているので、本発明によれば、先願技術に比べ極めて簡単な構成と測定工程で流体マットによる、マット、載置台、体重測定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明にかかるマット、載置台、体重測定装置の概要と構成の一実施態様を示す図である。
【
図2】本発明にかかる体重測定装置の載置台とマットの一実施態様を示す図である。
【
図3】本発明にかかる体重測定装置の測定原理を説明する図である。
【
図4】本発明にかかる体重測定装置の測定原理に関わる重量補正を説明する図である。
【
図5】本発明にかかる体重測定装置にかかわる処理フローの実施態様を示す図である。
【
図6】本発明にかかる体重測定装置の載置台とマットの他の実施形態を示す図である。
【
図7】先行技術にかかる流体を満たしたエアマット等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明にかかるマット、載置台、体重測定装置の概要と構成の一実施態様を示す図である。
本発明にかかる体重測定装置1000は、流体、通常はエア(空気)を内包したマット1100と、マット1100の上面側にある載置台1200と、マット1100内の流体の内圧Pを測定し、内圧Pから載置台1200上の既知荷重M又は人体等の重量mを算出する体重測定手段1300を備えている。ここで、載置台1200又は/及びマット1100は、荷重体の重量及び形状にかかわらず、載置され測定される荷重体の重量に対して一定の面積(定面積値S)を載置台1200とマット1100との接触部において確保する堅牢性を有している。
尚、載置台とマットの接触部は、一定の面積を確保する堅牢性を持てば、構成する素材は、金属、プラスチック、ゴム他、あらゆる素材を使用することができる。
先ず、
図2を用い、マット1100と載置台1200の例を説明し、その後、
図1に戻り、体重測定手段1300について詳述する。
【0013】
図2は、本発明にかかる体重測定装置の載置台とマットの一実施態様を示す図である。
図2では、
図1のA-A又は、B-Bで切った断面を描いている。2-Aにおいて、マット1100の上面を内側と外側から、載置台1200の2枚の面で挟むように構成されている。
2-Bでは、マット1100の上面に載置台1200が載せてあり、一体に接着されているか、又は、別体でも一定の面積で、載置台とマットが接触するものである。2-Dでは、マット1100の上面の内側に載置台1200が一体に接着されている。
2-Cでは、マット1100と載置台1200が接着ではなく一体構成されている。
いずれにせよ、載置台1200又は/及びマット1100は、堅牢性を有するので、その上に載置される既知荷重M又は人体等の重量mの量及び形状がどうであれ、載置されたものに応じて凹むことなく、一定の面積に保たれるので、既知荷重M又は人体等の重量mによりマット1100に及ぼす圧力は、M/S、又は、m/Sで与えられる。尚、測定される荷重を、既知荷重Mと人体等の重量mで表現しているが、前者は、後述するキャリブレーションで用いる、値が既知の重量であり、後者は、これから値を測定する未知の重量である。尚、マット1100の上面と載置台1200の下面が重量物を載せた際に、一定の面積で接触していればよいので、マット1100の上面と載置台1200下面は、一体構成でも、別体構成でも良いことは述べた通りであり、必ずしも接着しなくともよい。
尚、請求の範囲では、「前記マットの上面側に有って、荷重体を載せる載置台」とは、上記のような2-Aから2-Dに示す実施例のマットと載置台の関係をも広く含むものとする。
【0014】
再び、
図1に戻り、体重測定手段1300について説明する。体重測定手段1300は、制御手段1310と、制御手段1310により制御される、
マット1100の内部に連通し内部の流体の内圧Pを測定する内圧P測定手段1320と、既知荷重Mを載置台1200に載せて内圧Pを内圧P測定手段1320で測定したことによる既知荷重Mと内圧Pを参照データセットとして格納する荷重-内圧等参照データメモリ1330と、既知荷重Mを入力する既知荷重M入力手段1340と、載置台1200に載った人体等の重量mを測定する場合に、重量mに対応して内圧P測定手段1320により測定された内圧Pから、荷重-内圧等参照データメモリ1330を参照して、内圧Pに対応する人体等の重量mを逆算する重量m換算手段1350と、(必要な場合には重量mから、載置台1200と荷重体(人体)との間に敷いたクッションマット、敷き布団等の重量n1と荷重体(人体)をカバーした毛布、掛け布団、衣服等の重量n2を引き算して、荷重体自体(人体)の重量である真の体重nを求める真の体重算定手段1360と、)重量m(必要な場合には真の体重n)を測定日時のデータとともに格納する日時体重データメモリ1370と、測定日時と、重量m(必要な場合には真の体重n)のデータを、表示する表示手段1380と、必要な場合には外部に出力する外部出力手段1390と、を備えている。尚、日時体重データメモリ1370や表示や外部出力に関するデータは、被測定者の個人別に構成されていると好都合である。
【0015】
尚、既知荷重M入力手段1340は、出荷前のキャリブレーションに必要なだけなので、製品としての出荷・販売される体重測定装置1000には、含めなくとも可能である。
外部出力手段1390としては、音声出力手段や、外部とのデータの送受信インタフェース(通信も含む)等がある。尚、請求の範囲では、表示手段1380又は/及び外部出力手段1390を出力手段として記述する。
更に、真の体重算定手段1360に対応して、必要な場合は、n1、n2の値を、入力するn1、n2入力手段1361と、そのデータを格納するn1、n2補正値メモリ1362を備えることで、真の体重算定手段1360に供給することができる。
更に、空気等の流体は、マット1100内において、絶対温度(T(°K)=t(℃)+273)に比例して圧力が変わるので、厳密に算定する場合は、内圧Pを温度補正する目的でサーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体などの測温手段1400と、温度データを一時格納する測定時温度データメモリ1410と、を備えて、重量m換算手段1350に供給し、補正した内圧Pに対する重量mを求めることができる。しかしながら、重量mの絶対的値が重要でない場合や相対的に変化を見る場合には、温度補正は、必須で無くともよい。
【0016】
図3は、本発明にかかる体重測定装置の測定原理を説明する図である。本願では先願の技術とは違い、マットの外部との流体の移動は全く行わないので、構成に、加圧装置やエア抜きバルブや配管など、その手段はない。本発明にかかる体重測定装置で必要なのは、内圧Pを測定する内圧P測定手段1320と、その測定内圧Pの値から重量mを求める計算のための手段である。
図3において、この図は、
図1のマット1100と載置台1200上に人体イラストで示した被測定体(重量m)、(キャリブレーション工程では、既知重量M)が載置された状態を
図1のA-Aの断面でみたものである。マット内は圧力はどこでも同じく伝わるので、内圧Pと均衡するのは、外の空気から押される大気圧P0とマット素材から受ける張力Qと、載置台1200の台重量m0と被測定体(重量m)、又は、キャリブレーション工程では既知重量Mであり、
圧力のバランス式は、
P=P0+Q+(m(又はM)+m0)/S (1)
ただし、Sは、載置台1200又は、/及びマット1100の両者接触部の定面積の値(一定で既知)である。
測定の範囲(例えば5kgから120kgの体重の範囲を測定範囲としてカバーしたい場合、既知のMとして、5kg、10kg、20kg、40kg、80kgの荷重物(錘)を用意して、載置台1200に載せたM(上記の組み合わせの例では、最大155kg可能)に対する内圧Pを測定する。他のP0(1気圧)、M、m0、Sも既知であるから、MとPの値から、これに対応するQの値も、容易に計算で求まる。このようにして、MとPの関係が
図5のキャリブレーション(校正)工程で求められ、データを重量Mと内圧P(温度補正をしたい場合は、温度Tも)のデータを荷重-内圧等参照データメモリ1330に格納される。
【0017】
図5は、本発明にかかる体重測定装置にかかわる処理フローの実施態様を示す図である。
本願の装置では、A、B、Cの工程がある。
Aにおいて、マット流体封入工程で体重測定装置の製作時に行われる。
a1.所定内圧まで流体を封入し、封止する。(先願のように外部に移動したり、再度封入することはない)
流体封入、封止工程を詳述すると、製造工程で流体封入口に流体供給口を繋いで、流体を封入し内圧が所定の値になったらバルブを止め、流体供給口を外すことになるが、流体供給口への流体供給口の接続、流体供給、所定内圧検出、その結果、バルブ止め、流体供給口の外しまでの処理を自動的に行うことも可能である。本発明の体重測定装置では、その後にユーザーでは、先願の様な、流体を移動したり、入れたり抜いたりすることは一切なく、そのような設備構成も不要なので、構成が極めて簡単、小型になる。そのため、
図1には、内圧を測定する管の傍に分岐した流体封入口と封止のためのバルブを記述した。勿論、これらは、内圧を測定する管とは別に有ってもよいことは当然である。
Bにおいて、キャリブレーション(校正)工程で出荷前に行われる。
出荷前のキャリブレーション(校正)のプロセス:
想定される測定範囲をカバーする既知の重量Mの複数の物体を台に載せて、Mに対する内圧Pを測定する。これにより、既知の重量Mと内圧Pのデータセットが求まる。これだけで十分であるが、P0は大気圧で1気圧、m0もSも既知であるので、(1)式から、既知のMと内圧Pに対して、マット素材の張力Qも求まる。少なくとも、MとPのデータは実際の未知の重量mの測定を行う場合に参照するために、参照データとしてメモリに記憶される。
b1.体重範囲をカバーする複数の異なる既知重量Mの重量物を載置台に載置し、マットの内圧Pを測定、既知のMの値も入力(温度補正が必要なら、一定温度で測定するか又は、内圧を温度補正)する。
b2.重量Mと内圧P(必要なら温度Tも)データを重量-内圧参照データメモリに格納する。
Cにおいて、実際の重量測定工程であり、ユーザの体重測定に使用される。
その後の実際の測定プロセス:Pを測定すれば、対応データセットからmが求まり、必要な場合には、寝具等の既知の重量を減じる補正を入れれば、真の体重のみが求まる。
尚、Pに温度補正を行うと精度向上になる。更に厳密に、一定の面積の部分のマット素材の重量(わずかの重量であり無視も可能)を考慮したい場合は、扱いとして台重量m0に含めればよい。
c1.ユーザ(被測定人体)が載置台に載った状態で測定開始
c2.(必要ならn1、n2入力)
c3.内圧P測定(必要なら温度T測定も)
c4.(必要なら内圧Pの温度補正)
c5.荷重-内圧参照データメモリを参照して、内圧Pから重量mを計算
c6.(必要ならn1、n2を考慮して、真の体重nの計算)
c7.測定日時(必要ならTも)、重量m(必要なら真の体重n)を日時体重データメモリに格納して表示、出力
【0018】
図4は、本発明にかかる体重測定装置の測定原理に関わる重量補正を説明する図である。
重量補正は、本願に限らないことである。
n=m-n1-n2 (2)
真の体重nは、内圧Pから求めたmから既知のn1、n2を減じて求まる。
ここで、n1:クッションマット、敷き布団等重量
n2:毛布、掛け布団、衣服等重量
である。なお、温度補正と同様に、重量mの絶対的値が重要でない場合や相対的に変化を見る場合には、重量補正は、必須で無くともよい。
【0019】
図6は、本発明にかかる体重測定装置の載置台とマットの他の実施形態を示す図である。
本願に用いる載置台とマット上面で接触する条件は、一定の面積で接触するということである。そのため、歪まない堅牢性のものである。
今迄に示したものは、6-Aに示すものであるが、本願の実施態様として、6-Bから6-Dに示すものもある。いずれの場合も、その効果は、先願技術において7-F、7-Gで説明した不都合なことが全て回避でき、更に極めて簡単な構成が可能となる。
載置される荷重体(人体)の重量や形状に応じて凹むことなく、マットと載置台の接触部で一定の面積を保持しているという条件が満足されれば、変形の実施形態が他にも可能であり、例えば、6-Bから6-Dで示す。6-Aとの対比で見てみる。
6-Bでは、マットは、上ケースと下ケースの間に収納され、上ケースは載置台の端から外側に伸びて、下ケースとの間で上下に可動自在に組合っている。
6-Cでは、6-Bの載置台をカバーするように上ケースが構成されている。
載置台とマットは、その接触部において凹まない堅牢性のものであるが、ケースは、マットを保護するべく堅固な素材が好ましいことを考慮すると、載置台の素材もケースの素材も区別する必要ない。このため、6-Dのように、載置台も上ケース、下ケースも歪まない堅牢性の同じ素材で構成してよいことになる。
6-Aから6-Dまで、横から見た断面で示したが、6-Eでは、マットを上ケースと下ケースの間に収納した状態を示している。このようにする利点は、荷重により一定の面積を確保したまま使用でき、構成が簡単なだけでなく、マットが突起物による損傷で破壊することから保護する利点も出てくる。また、ケース形状に合わせてマットを平たい形状に構成することもでき、コンパクトな形状となる。尚、ケース入りという形態により、体重測定装置全体の取り扱いも容易となる。
【0020】
尚、請求項では、既知重量M、被測定体の重量mなどの荷重を有し載置台に測定のために載せるものを荷重体と表現する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように本発明にかかるマット、載置台、体重測定装置は、流体の外部との移動がないため、簡単な構成となり、極めて使用しやすいので、産業上利用して極めて好都合である。
【0022】
1000 体重測定装置
1100 マット
1200 載置台
1300 体重測定手段
1310 制御手段
1320 内圧P測定手段
1330 荷重-内圧等参照データメモリ
1340 既知荷重M入力手段
1350 重量m換算手段
1360 真の体重算定手段
1361 n1,n2入力手段
1362 n1,n2補正値メモリ
1370 日時体重データメモリ
1380 表示手段
1390 外部出力手段
1400 測温手段
1410 測定時温度データメモリ