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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070202
(43)【公開日】2023-05-18
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20230511BHJP
   F25D 23/08 20060101ALI20230511BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20230511BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20230511BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20230511BHJP
【FI】
F25D23/06 W
F25D23/08 Y
F25D23/08 W
F25D21/04 F
F25D19/00 510C
F25D23/00 305E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037350
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2018245417の分割
【原出願日】2018-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 均史
(72)【発明者】
【氏名】山川 貴志
(72)【発明者】
【氏名】土田 俊之
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA01
3L102LB01
3L102MA01
3L102MA02
3L102MA03
3L102MB01
3L102MB17
3L102MB22
(57)【要約】
【課題】真空断熱材と冷媒パイプの配置が好適化された冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本発明の冷蔵庫10は、開口を有する冷凍室13が形成される断熱箱体11と、冷凍室13に送風される空気を冷却する冷凍サイクルと、を備える。また、断熱材17は、側面用真空断熱材22と、発泡断熱材23と、を有する。更に、フレームパイプ42に連続する接続パイプ40と、内箱16との間に、側面用真空断熱材22を配置することで、内箱16の内部に形成される冷凍室13と接続パイプ40とを断熱している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記貯蔵室に送風される空気を冷却する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの冷媒が流通する冷媒パイプと、を備え、
前記断熱箱体は、前記断熱箱体の外面を形成する外箱と、前記外箱の内部に配設された内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、
前記外箱は、前記断熱箱体の幅方向に沿って伸びる外箱後面板と、前記断熱箱体の奥行方向に沿って伸びる外箱側面板と、を有し、
前記内箱は、前記断熱箱体の幅方向に沿って伸びる内箱後面板と、前記断熱箱体の奥行方向に沿って伸びる内箱側面板と、を有し、
前記冷媒パイプは、前記断熱箱体の前記開口に沿って配設されたフレームパイプと、前記フレームパイプと連続する接続パイプと、を有し、
前記断熱材は、真空断熱材と、発泡断熱材と、を有し、
前記内箱側面板と前記外箱側面板との間に形成された空間の内部において、前記真空断熱材は前記内箱側面板に接近する側に配置され、前記発泡断熱材は前記外箱側面板に接近する側に配置され、
前記内箱側面板と前記外箱側面板との間に形成された空間の内部において、前記接続パイプは、前記真空断熱材の幅方向外側を向く主面と、前記外箱側面板との間に配設され、
前記接続パイプは、前記真空断熱材の側辺と交差するように配設されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記接続パイプは、前記真空断熱材の下側辺と交差するように配設されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記接続パイプと交差する前記真空断熱材の前記下側辺は、後方に向かって上方に傾斜する傾斜辺であることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記真空断熱材の前記下側辺と交差する前記接続パイプは、水平方向に沿って伸びることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記内箱側面板と前記外箱側面板との間に形成された空間の内部において、前記接続パイプは、前記真空断熱材の幅方向外側を向く主面から離間することを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、断熱箱体の開口部周辺を昇温するフレームパイプを有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷蔵庫では、断熱箱体の内部に貯蔵室を形成し、この貯蔵室の前方開口を断熱扉で開閉可能に閉鎖している。断熱箱体は、鋼板から成る外箱と、外箱の内側に配置される合成樹脂板から成る内箱と、外箱と内箱との間に充填された断熱材とから成る。
【0003】
冷蔵庫の断熱箱体に充填される断熱材としては、一般的に発泡ウレタンが採用される。しかしながら、冷蔵庫の更なる省エネルギ化に対処するためには発泡ウレタンよりも断熱性が高い断熱材が好ましい。
【0004】
そこで、断熱箱体に内蔵される断熱材として真空断熱材が採用される場合がある。真空断熱材はガラスウール等の繊維状無機材料を真空包装したものであり、発泡ウレタンの十数倍以上の断熱効果を有する。真空断熱材を採用することで、真空断熱材により貯蔵室と外部とを良好に断熱でき、冷蔵庫の冷却運転に要するエネルギを低減することができる。
【0005】
また、一般的な冷蔵庫では、断熱箱体の開口部周辺で結露が発生することを抑制するために、高温状態の冷媒が流通する冷媒パイプを、断熱箱体の開口部に配設することが行われている。断熱箱体の開口部に配設された冷媒パイプは、フレームパイプと称される。フレームパイプを設けることで、断熱箱体の開口部周辺を昇温し、当該部分に結露が発生することを抑制している。このような構成は、例えば、特許文献1等に記載されている。
【0006】
図7は、真空断熱材104およびフレームパイプ108を有する冷蔵庫100を示す側面図である。
【0007】
冷蔵庫100は、外箱101の内部に内箱102が配設され、外箱101と内箱102との間に真空断熱材104と発泡断熱材103が配置されている。また、内箱102の内部に貯蔵室である冷凍室109が形成されている。
【0008】
冷凍室109の開口部の周囲には、フレームパイプ108が配設されている。冷蔵庫100を冷却運転すると、高温状態の冷媒が、冷媒パイプ106を経由してフレームパイプ108に流れ、冷凍室109の開口部周辺を昇温し、結露の発生を防止する。フレームパイプ108を流れた冷媒は、冷媒パイプ106を経由して、膨張手段および蒸発器に向かって流動する。
【0009】
ここで、冷媒パイプ106は、真空断熱材104の側辺105の近傍に配置されており、その前端は、外箱101および内箱102の前方下端から前側に引き回されている。係る構成とすることで、外箱101または内箱102の端部に切り欠きを形成する簡易な構成で、冷媒パイプ106を前方に引き出すための開口を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7-239178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した冷蔵庫100では、冷媒パイプ106と冷凍室109との間には、真空断熱材104が介在していない。冷媒パイプ106と冷凍室109との間には、真空断熱材104よりも断熱性能が低い発泡断熱材103が介在しているのみである。また、真空断熱材104の傾斜面である側辺105に沿って冷媒パイプ106が配設されている。よって、真空断熱材104の側辺105を覆う金属膜を介して、冷媒パイプ106の内部の冷媒と、冷凍室109の内部の冷気とが不用意に熱交換する。
【0012】
この結果、冷媒パイプ106を流れる冷媒が温度低下してしまう恐れがある。冷媒パイプ106を流れる冷媒が温度低下すると、冷媒パイプ106の内部で冷媒が液化してしまい、ここでは図示しない蒸発器に於いて冷媒が不足し、冷蔵庫の冷却性能に悪影響が及ぶ恐れがある。
【0013】
また、上記した熱交換の結果、冷凍室109の内部の冷気が温度上昇すると、冷凍室109に収納される被冷凍物の保存性に悪影響が発生する恐れがある。更には、冷凍室109の冷却に要する時間およびエネルギが増大することも考えられる。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、真空断熱材と冷媒パイプとの相対配置が好適化された冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の冷蔵庫は、開口を有する貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記貯蔵室に送風される空気を冷却する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの冷媒が流通する冷媒パイプと、を備え、前記断熱箱体は、前記断熱箱体の外面を形成する外箱と、前記外箱の内部に配設された内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、前記外箱は、前記断熱箱体の幅方向に沿って伸びる外箱後面板と、前記断熱箱体の奥行方向に沿って伸びる外箱側面板と、を有し、前記内箱は、前記断熱箱体の幅方向に沿って伸びる内箱後面板と、前記断熱箱体の奥行方向に沿って伸びる内箱側面板と、を有し、前記冷媒パイプは、前記断熱箱体の前記開口に沿って配設されたフレームパイプと、前記フレームパイプと連続する接続パイプと、を有し、前記断熱材は、真空断熱材と、発泡断熱材と、を有し、前記内箱側面板と前記外箱側面板との間に形成された空間の内部において、前記真空断熱材は前記内箱側面板に接近する側に配置され、前記発泡断熱材は前記外箱側面板に接近する側に配置され、前記内箱側面板と前記外箱側面板との間に形成された空間の内部において、前記接続パイプは、前記真空断熱材の幅方向外側を向く主面と、前記外箱側面板との間に配設され、前記接続パイプは、前記真空断熱材の側辺と交差するように配設されることを特徴とする。
【0016】
本発明の冷蔵庫では、前記接続パイプは、前記真空断熱材の下側辺と交差するように配設されることを特徴とする。
【0017】
本発明の冷蔵庫では、前記接続パイプと交差する前記真空断熱材の前記下側辺は、後方に向かって上方に傾斜する傾斜辺であることを特徴とする。
【0018】
本発明の冷蔵庫では、前記真空断熱材の前記下側辺と交差する前記接続パイプは、水平方向に沿って伸びることを特徴とする。
【0019】
本発明の冷蔵庫では、前記内箱側面板と前記外箱側面板との間に形成された空間の内部において、前記接続パイプは、前記真空断熱材の幅方向外側を向く主面から離間することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、真空断熱材と冷媒パイプとの相対配置が好適化された冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す側方断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱箱体を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)はフレームパイプを示す斜視図であり、(B)は冷媒パイプおよび圧縮機等を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は冷蔵庫の上下方向中間部に於ける断面図であり、(B)は(A)の拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)はスペーサを示す斜視図であり、(B)はスペーサが側面用真空断熱材に組み付けられる構成を示す断面図であり、(C)はスペーサが側面用真空断熱材に組み付けられる構成を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)はフレームパイプに繋がる接続パイプの構成を示す斜視図であり、(B)は接続パイプが配置される箇所の上方断面図である。
図7】背景技術に係る冷蔵庫に於いて、冷媒パイプが配設される構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10の幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1を参照して、冷蔵庫10の概略構成を説明する。図1は冷蔵庫10の側方断面図である。
【0024】
冷蔵庫10には、断熱箱体11の内部に貯蔵室としての冷蔵室12および冷凍室13が形成されている。冷蔵室12の前面開口は断熱扉34で閉鎖され、冷凍室13の前面開口は断熱扉35で閉鎖されている。断熱扉34および断熱扉35は、例えば右方側の端部が断熱箱体11に介して回転可能に接続された回転式の扉である。断熱扉34および断熱扉35としては、引出式扉または観音式扉が採用されても良い。
【0025】
冷凍室13の後方には冷却室27が区画形成されており、冷却室27には蒸発器26が収納されている。また、断熱箱体11の最下部後方には機械室14が区画形成されており、機械室14には圧縮機29等が収納されている。
【0026】
蒸発器26および圧縮機29は、ここでは図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒パイプを経由して接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成している。圧縮機29は、低温低圧の冷媒蒸気を高温高圧の状態に圧縮する。凝縮器は、冷媒と外部雰囲気とを熱交換することで、冷媒から熱を奪って凝縮する。膨張手段は、冷媒を絞り膨張する。蒸発器26は、上記した冷却室27の内部の空気と冷媒とを熱交換することで、冷却室27の内部の空気を冷却する。冷凍サイクルの冷媒としては、例えば、イソブタン(R600a)が用いられる。
【0027】
冷却室27の上部には送風機28が配設されており、蒸発器26が冷却した冷却室27の内部の空気を送風機28が冷蔵室12および冷凍室13に送風する。冷蔵室12への風路には、ダンパ24が介装されている。ここでは図示しない制御装置は、図示しない冷蔵室の庫内温度センサーを検知し、ダンパ24の開閉を制御する。これにより、冷蔵室12への冷気の流量を調整し、冷蔵室12の庫内温度を一定に保つ。従って、冷蔵室12は冷蔵温度帯域に冷却され、冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却される。また、冷蔵室12および冷凍室13を冷却した冷気は、冷却室27に帰還する。図1では、冷気の流れを矢印で示している。また、蒸発器26の下方には、蒸発器26の着霜を熔融するための除霜ヒータ21が配設されている。
【0028】
断熱箱体11は、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板から成る外箱15と、外箱15の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱16と、外箱15と内箱16との間に充填された断熱材17と、から構成されている。
【0029】
断熱材17として発泡断熱材および真空断熱材を採用している。発泡断熱材としては例えば発泡ウレタンが採用される。真空断熱材とは、ガラス等の繊維の集合体を、アルミニウム等の金属膜から成る収納袋に収納し、その収納袋の内部を真空状態にしたものである。本実施形態では、真空断熱材として、後述する側面用真空断熱材22および後面用真空断熱材25を採用している。図1では、断熱箱体11の後面近傍に後面用真空断熱材25を配設している。側面用真空断熱材22および後面用真空断熱材25は、板状を呈する真空断熱材である。
【0030】
また、断熱材17は、組み合わせ部分37と発泡断熱材単独部分38とを含む。組み合わせ部分37は、発泡断熱材23と後面用真空断熱材25から断熱材17が構成される部分である。発泡断熱材単独部分38は、発泡断熱材23のみから断熱材17が構成される部分である。
【0031】
図2は、上記した断熱箱体11を前側上方から見た斜視図である。断熱箱体11の内部には、上方から、冷蔵室12と冷凍室13が形成されている。冷蔵室12と冷凍室13とは、断熱区画壁33で区画されている。また、冷凍室13の前部には、上下方向に伸びる柱状の仕切部20が形成されている。仕切部20は、図1に示した両開きの断熱扉35が、冷凍室13を遮蔽するために形成されている。
【0032】
周辺部19は、断熱箱体11の前面であって、冷凍室13を囲む領域であり、外箱15の一部である。外部雰囲気と冷凍室13の内部とでは、大きな温度差が発生していることから、周辺部19には結露が発生してしまう恐れがある。この結露を防止するために、周辺部19の内部には、図3(A)に示すフレームパイプ42が配設されている。図2では、後述するフレームパイプ42が配設される部分を、ハッチングで示している。
【0033】
図3を参照して、上記した断熱箱体11の開口部44に結露が発生することを抑制するための冷媒パイプの構成を説明する。図3(A)は冷媒パイプの一部であるフレームパイプ42を前側上方から見た斜視図である。図3(B)は圧縮機29およびその周辺部を後側上方から見た斜視図である。
【0034】
図3(A)を参照して、フレームパイプ42は、冷凍サイクルで用いられる冷媒が流通する冷媒パイプの一部であり、図2に示した周辺部19に沿って、断熱箱体11の内部に配設されている。フレームパイプ42の一部は、上記した仕切部20に沿って配設されている。ここでは、冷媒パイプの内部に於ける冷媒の流れを実線の矢印で示している。
【0035】
フレームパイプ42の両端は、接続パイプ40に繋がっている。接続パイプ40は、接続パイプ401と接続パイプ402とから成る。接続パイプ401はフレームパイプ42に流れ込む冷媒が流通する冷媒パイプである。接続パイプ402はフレームパイプ42から流出する冷媒が流通する冷媒パイプである。
【0036】
図3(B)を参照して、接続パイプ401の端部は側面放熱パイプ45と繋がっている。また、接続パイプ402の端部は、ドライヤ50および開閉弁51と繋がっている。開閉弁51は、コンプレッサ停止時に蒸発器26への冷媒流入を防止する。また、開閉弁51の出口側は、減圧手段であるキャピラリーチューブ52と繋がっている。
【0037】
ここで、冷凍サイクルに於ける冷媒の流れを具体的に説明する。圧縮機29は、蒸発器26から帰還した低温低圧の冷媒蒸気を、高温高圧の状態に圧縮する。高温高圧の冷媒は、冷媒パイプを経由して、例えばマイクロチャンネルコンデンサである凝縮器36に流入する。凝縮器36は、冷媒と外部雰囲気とを熱交換することで、冷媒から熱を奪う。凝縮器36を経た冷媒は、側面放熱パイプ45に送られる。側面放熱パイプ45は、断熱箱体11の左右両側面に沿って蛇行形成され、その出口端部は右側下端に配置されている。側面放熱パイプ45の端部は、接続パイプ401に接続しており、側面放熱パイプ45を経た冷媒は、図3(B)に示す接続パイプ401を経由して、フレームパイプ42に送られる。フレームパイプ42を流通することで、図2に示す周辺部19を温めた冷媒は、接続パイプ402を経由して、ドライヤ50および開閉弁51に送られる。開閉弁51の後段では、膨張手段であるキャピラリーチューブ52は、冷媒を絞り膨張させる。キャピラリーチューブ52を経た冷媒は、蒸発器26に送られる。蒸発器26は、冷却室27の内部の空気と冷媒とを熱交換させることで、冷却室27の内部の空気を冷却する。蒸発器26を経た冷媒は、圧縮機29に帰還する。
【0038】
図4を参照して、冷蔵庫10の断面構成を説明する。図4(A)は上下方向の中間部に於ける冷蔵庫10の断面図であり、図4(B)は図4(A)のスペーサ30が配置される部分を拡大して示す拡大断面図である。
【0039】
図4(A)を参照して、外箱15は、厚みが0.5mm程度の薄い鋼板を曲折加工して成り、外箱後面板151と、外箱後面板151の左右方向端部から前方に向かって伸びる外箱側面板152を有している。外箱後面板151と外箱側面板152とは、嵌めあい構造になっており、断熱材17である発泡ウレタンが接着することで外箱15が形成される。内箱16は、合成樹脂から成り、内箱後面板161と、内箱後面板161の左右方向端部から前方に向かって伸びる内箱側面板162を有している。
【0040】
内箱側面板162と外箱側面板152との間の空間43において、側面用真空断熱材22は内箱側面板162に略密着するように配設されている。側面用真空断熱材22は、内箱側面板162の前端近傍から、内箱側面板162の後端近傍まで連続して、内箱側面板162の外面に略密着している。ここで、内箱側面板162の外面と側面用真空断熱材22との間には若干の間隙が形成されても良い。
【0041】
内箱側面板162と外箱側面板152との空間43において、幅方向に於ける外側部分には発泡断熱材23が発泡充填されている。
【0042】
外箱側面板152の内側に、側面放熱パイプ45が配設されている。また空間43の前端に、フレームパイプ42が配設されている。側面放熱パイプ45は、外箱側面板152の内面に貼着するアルミテープ32で被覆されている。更に、側面用真空断熱材22の後端は、接着テープ31を介して、内箱後面板161に貼着されている。
【0043】
図4(B)を参照して、側面用真空断熱材22の前端にはスペーサ30が固定されており、スペーサ30は側面用真空断熱材22と外箱側面板152との間で圧縮されている。係る構成とすることで、圧縮されたスペーサ30から右方、即ち幅方向内側に向かって反発力が生じる。
【0044】
フレームパイプ42は、側面放熱パイプ45の前端部に於いて、外箱側面板152に接触するように配置されている。
【0045】
図5を参照して、側面用真空断熱材22の位置を規制するスペーサ30を説明する。図5(A)はスペーサ30を示す斜視図であり、図5(B)は側面用真空断熱材22にスペーサ30が取り付けられる構成を示す断面図であり、図5(C)は側面用真空断熱材22にスペーサ30が取り付けられる全体構成を示す斜視図である。
【0046】
図5(A)を参照して、スペーサ30は、各角部が面取された略直方体形状を呈している。紙面前方からスペーサ30を見た場合、スペーサ30は、左側上方の部分を切り欠いた断面形状を呈している。即ち、スペーサ30には、紙面左方を向く平坦面である第1接着面301と、紙面上方を向く平坦面である第2接着面302が形成されている。
【0047】
スペーサ30は、発泡ポリエチレン等の発泡樹脂材から成る。スペーサ30として発泡樹脂材を採用することで、上記した空間43にスペーサ30を挿入した際に、スペーサ30が適度に圧縮変形し、この際にスペーサ30から発生する反発力で、側面用真空断熱材22を内箱側面板162に押しつけることができる。
【0048】
図5(B)を参照して、スペーサ30は側面用真空断熱材22の紙面下端に取り付けられる。具体的には、スペーサ30の第1接着面301は、側面用真空断熱材22の紙面右方側面の下端に接着される。また、スペーサ30の第2接着面302は、側面用真空断熱材22の紙面下面の右方部分に接着される。側面用真空断熱材22とスペーサ30との接着には、接着テープまたは接着剤が用いられる。
【0049】
図5(C)を参照して、側面用真空断熱材22は、上下方向に長く形成された 略矩形形状を呈しており、前方側辺に複数のスペーサ30が取り付けられる。また、側面用真空断熱材22の後端近傍には、傾斜辺221が形成されている。
【0050】
側面用真空断熱材22の前方側辺に於いて、上方端部および下方端部に2つのスペーサ30が取り付けられている。側面用真空断熱材22に複数のスペーサ30を取り付けることで、側面用真空断熱材22をより安定的に、断熱箱体11に位置決めして組み込むことができる。スペーサ30は、側面用真空断熱材22の後方側辺に配置しても良い。
【0051】
図6を参照して、接続パイプ40と側面用真空断熱材22との関連構成を説明する。図6(A)は、断熱箱体11の下部を後側右方から見た斜視図である。図6(B)は外箱側面板152と内箱側面板162との間の空間43に接続パイプ40が配置される構成を示す上方断面図である。
【0052】
図6(A)に示すように、接続パイプ401と接続パイプ402から成る接続パイプ40は、断熱箱体11の後端側から前端側まで略水平に伸びている。接続パイプ401および接続パイプ402の前端はフレームパイプ42に接続する。接続パイプ401の後端は、図3(B)を参照して上記したように、側面放熱パイプ45に接続する。接続パイプ402の後端は、図3(B)を参照して説明したように、ドライヤ50および開閉弁51を経てキャピラリーチューブ52に接続する。また、接続パイプ40の前端は、内箱16の前方周縁部を部分的に開口した開口部44から、前方に引き出されている。
【0053】
図6(B)を参照して、外箱側面板152と内箱側面板162との間の空間43には、側面用真空断熱材22と接続パイプ40とが配設されている。また、側面用真空断熱材22は、内箱側面板162と接続パイプ40との間に配置されている。図1を参照して説明したように、断熱材17は、組み合わせ部分37と発泡断熱材単独部分38とを含むが、接続パイプ40は、組み合わせ部分37に配置されている。
【0054】
接続パイプ40の内部は、図3(B)に示した側面放熱パイプ45を経た比較的高温の冷媒が流通する。一方、内箱16の内部に形成された冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却されている。よって、接続パイプ40と内箱16との断熱が不十分であれば、接続パイプ40の内部を流通する冷媒が不用意に冷却されて液化してしまい、蒸発器26に於いて冷媒が不足し、冷蔵庫10の冷却性能が低下してしまう恐れがある。
【0055】
本実施形態では、発泡ウレタンの十数倍の断熱性を有する側面用真空断熱材22を、内箱16と接続パイプ40との間に配置している。よって、内箱16と接続パイプ40とが良好に断熱される。このことから、接続パイプ40の内部を流通する冷媒が不用意に冷却されて液化することを防止し、蒸発器26で冷媒が不足することを抑止できる。更に、接続パイプ40の内部を流通する冷媒により、内箱16の内部に形成された冷凍室13が不用意に加熱されることがない。
【0056】
また、図6(A)を参照して、側面用真空断熱材22の側辺と接続パイプ40とは交差している。具体的には、側面用真空断熱材22の下辺の一部は傾斜辺221である。一方、接続パイプ40は水平後方に沿って延在している。即ち、接続パイプ40は、側面用真空断熱材22の側辺に沿うように配置されていない。よって、側面用真空断熱材22の傾斜辺221を覆う金属膜を介して、接続パイプ40と内箱16とが不用意な熱交換を行うことが抑止されている。従って、接続パイプ40の内部で冷媒が液化することが抑止され、蒸発器26に於いて冷媒を十分に確保することができる。
【0057】
更に、図4(B)を参照して説明したように、側面用真空断熱材22の前端は、スペーサ30により幅方向内側に向かって押圧されている。係る構成にすることで、側面用真空断熱材22の主面と、接続パイプ40とを離間させることができる。更に、側面用真空断熱材22の主面と、接続パイプ40との間には発泡断熱材23が充填されている。よって、側面用真空断熱材22の表面を構成する金属膜を経由して不用意に熱が伝導することを抑制し、接続パイプ40と内箱16とが熱交換することを抑止できる。
【0058】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【0059】
前述した本実施形態により把握できる発明をその効果と共に下記する。
【0060】
本発明の冷蔵庫は、開口を有する貯蔵室が形成される断熱箱体と、前記貯蔵室に送風される空気を冷却する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルの冷媒が流通する冷媒パイプと、を備え、前記断熱箱体は、前記断熱箱体の外面を形成する外箱と、前記外箱の内部に配設された内箱と、前記外箱と前記内箱との間に配置された断熱材と、を有し、前記外箱は、前記断熱箱体の幅方向に沿って伸びる外箱後面板と、前記断熱箱体の奥行方向に沿って伸びる外箱側面板と、を有し、前記内箱は、前記断熱箱体の幅方向に沿って伸びる内箱後面板と、前記断熱箱体の奥行方向に沿って伸びる内箱側面板と、を有し、前記断熱材は、前記外箱と前記内箱との間に配設された真空断熱材および発泡断熱材を有し、前記冷媒パイプは、前記断熱箱体の前記開口に沿って配設されたフレームパイプと、フレームパイプと連続する接続パイプと、を有し、前記断熱材は、真空断熱材と発泡断熱材との組み合わせ部分と、発泡断熱材単独部分とから成り、前記内箱側面板と前記外箱側面板との間に形成された空間の内部に於いて、少なくとも前記接続パイプと前記内箱側面板との間に配置される前記断熱材は、前記真空断熱材と前記発泡断熱材との前記組み合わせ部分であることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、真空断熱材と冷媒パイプの配置が好適化された冷蔵庫を提供することができる。具体的には、接続パイプと内箱側面板との間に配置される断熱材は、真空断熱材と発泡断熱材との組み合わせ部分であることで、冷媒パイプの内部を流通する高温の冷媒と、貯蔵室の内部冷気とが不用意に熱交換することを抑止できる。よって、貯蔵室の庫内温度が上昇することを抑制できる。更には、フレームパイプに繋がる接続パイプを流通する冷媒が、不用意に液化してしまうことを抑止し、蒸発器で冷媒が不足することを抑止することができる。
【0061】
また、本発明の冷蔵庫では、前記貯蔵室は、冷凍室であることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、冷凍温度帯域に冷却される冷凍室の近傍に、高温冷媒が流通する冷媒パイプを配設すると、冷凍室と冷媒パイプとの間で不要な熱交換が行われる恐れが大きいが、本願発明によりその熱交換を抑止することができる。
【0062】
また、本発明の冷蔵庫では、前記貯蔵室の前記開口の側に配置される前記真空断熱材の側辺と、前記外箱側面板との間に、スペーサを配置することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、真空断熱材の前端部と外箱との間にスペーサを配置することで、真空断熱材を内箱側に寄せて配置でき、真空断熱材と冷媒パイプとを離間できる。よって、真空断熱材の表皮を構成する金属膜を経由して、不用意な熱交換が行われることを抑止できる。
【符号の説明】
【0063】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 冷蔵室
13 冷凍室
14 機械室
15 外箱
151 外箱後面板
152 外箱側面板
16 内箱
161 内箱後面板
162 内箱側面板
17 断熱材
19 周辺部
20 仕切部
21 除霜ヒータ
22 側面用真空断熱材
221 傾斜辺
23 発泡断熱材
24 ダンパ
25 後面用真空断熱材
26 蒸発器
27 冷却室
28 送風機
29 圧縮機
30 スペーサ
301 第1接着面
302 第2接着面
31 接着テープ
32 アルミテープ
33 断熱区画壁
34 断熱扉
35 断熱扉
36 凝縮器
37 組み合わせ部分
38 発泡断熱材単独部分
40 接続パイプ
401 接続パイプ
402 接続パイプ
42 フレームパイプ
43 空間
44 開口部
45 側面放熱パイプ
50 ドライヤ
51 開閉弁
52 キャピラリーチューブ
100 冷蔵庫
101 外箱
102 内箱
103 発泡断熱材
104 真空断熱材
105 側辺
106 冷媒パイプ
108 フレームパイプ
109 冷凍室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7