(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070209
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20230512BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230512BHJP
A62B 3/00 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
G08B27/00 Z
G08G1/09 R
G08G1/09 F
G08B27/00 A
A62B3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182229
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【テーマコード(参考)】
2E184
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
2E184AA10
2E184GG11
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA60
5C087BB20
5C087DD14
5C087DD28
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG82
5C087GG84
5H181AA01
5H181BB04
5H181EE15
5H181FF05
5H181FF22
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】トンネル内の防災に関する情報を車両側に伝達することが可能となる防災システムを提供すること。
【解決手段】トンネルT1に関する防災を行うトンネル防災システム200及びナビゲーションシステム500であって、トンネルT1内で火災を検出したことを示す受信機側火災信号を受信する防災側サーバ装置4の通信部と、通信部が受信した受信機側火災信号に基づいて、トンネルT1内又はトンネルT1の手前を走行している車両側において、トンネルT1内の火災に関する防災情報を出力する防災側管理部及びナビ側管理部と、を備え
防災側サーバ装置4の通信部は、受信機側火災信号と、トンネル内で火災を検出した場合において当該トンネルへの進入を禁止することを示す進入禁止信号とを受信し、防災側管理部及びナビ側管理部は、防災側サーバ装置4の通信部が火災信号及び進入禁止信号の両方を受信した場合に、防災情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルに関する防災を行う防災システムであって、
前記トンネル内で火災を検出したことを示す火災信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記火災信号に基づいて、前記トンネル内又は前記トンネルの手前を走行している車両側において、前記トンネル内の火災に関する防災情報を出力する管理手段と、
を備える防災システム。
【請求項2】
前記トンネルは、複数の防災区画に区分けされており、
前記火災信号は、前記トンネル内で火災を検出したことと、前記トンネル内の火災が検出された防災区画である火災発生防災区画とを示しており、
前記防災システムは、
前記複数の防災区画を示す区画情報と前記トンネル内の位置を示す位置情報とが相互に関連付けられている区画位置情報を格納する格納手段、を備え、
前記管理手段は、
前記格納手段の前記区画位置情報に基づいて、前記火災発生防災区画に対応する前記トンネル内の位置である火災発生位置を特定する第1処理と、
前記車両の走行位置を特定する第2処理と、
前記第1処理の処理結果と、前記第2処理の処理結果とに基づいて、前記防災情報を出力する第3処理と、を行う、
請求項1に記載の防災システム。
【請求項3】
前記受信手段は、前記火災信号と、前記トンネル内で火災を検出した場合において当該トンネルへの進入を禁止することを示す進入禁止信号とを受信し、
前記管理手段は、前記受信手段が前記火災信号及び前記進入禁止信号の両方を受信した場合に、防災情報を出力する、
請求項1又は2に記載の防災システム。
【請求項4】
前記防災システムの一部を構成するものであって前記トンネル内の火災防災を行うためのトンネル内防災設備が設けられており、
前記火災信号は、前記トンネル内防災設備側からの信号であり、
前記進入禁止信号は、前記トンネルを含む道路を管理する道路管理システム側からの信号である、
請求項3に記載の防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が走行するトンネル内の防災を行う技術が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、防災性を向上させる観点から、トンネル内の防災に関する情報を車両側に伝達する技術が要望されていた。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、トンネル内の防災に関する情報を車両側に伝達することが可能となる防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防災システムは、トンネルに関する防災を行う防災システムであって、前記トンネル内で火災を検出したことを示す火災信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記火災信号に基づいて、前記トンネル内又は前記トンネルの手前を走行している車両側において、前記トンネル内の火災に関する防災情報を出力する管理手段と、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の防災システムは、請求項1に記載の防災システムにおいて、前記トンネルは、複数の防災区画に区分けされており、前記火災信号は、前記トンネル内で火災を検出したことと、前記トンネル内の火災が検出された防災区画である火災発生防災区画とを示しており、前記防災システムは、前記複数の防災区画を示す区画情報と前記トンネル内の位置を示す位置情報とが相互に関連付けられている区画位置情報を格納する格納手段、を備え、前記管理手段は、前記格納手段の前記区画位置情報に基づいて、前記火災発生防災区画に対応する前記トンネル内の位置である火災発生位置を特定する第1処理と、前記車両の走行位置を特定する第2処理と、前記第1処理の処理結果と、前記第2処理の処理結果とに基づいて、前記防災情報を出力する第3処理と、を行う。
【0008】
また、請求項3に記載の防災システムは、請求項1又は2に記載の防災システムにおいて、前記受信手段は、前記火災信号と、前記トンネル内で火災を検出した場合において当該トンネルへの進入を禁止することを示す進入禁止信号とを受信し、前記管理手段は、前記受信手段が前記火災信号及び前記進入禁止信号の両方を受信した場合に、防災情報を出力する。
【0009】
また、請求項4に記載の防災システムは、請求項3に記載の防災システムにおいて、前記防災システムの一部を構成するものであって前記トンネル内の火災防災を行うためのトンネル内防災設備が設けられており、前記火災信号は、前記トンネル内防災設備側からの信号であり、前記進入禁止信号は、前記トンネルを含む道路を管理する道路管理システム側からの信号である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の防災システムによれば、受信手段が受信した火災信号に基づいて、トンネル内又はトンネルの手前を走行している車両側において防災情報を出力することにより、例えば、トンネル内の防災に関する情報を車両側に伝達することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の防災システムによれば、火災発生防災区画に対応するトンネル内の位置である火災発生位置を特定する処理の処理結果と、車両の走行位置を特定する処理の処理結果とに基づいて、防災情報を出力する処理を行うことにより、例えば、火災発生位置を特定した上で、車両の走行位置を考慮して、適切な防災情報を出力することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の防災システムによれば、火災信号及び進入禁止信号の両方を受信した場合に防災情報を出力することにより、例えば、防災情報を出力する必要性が極めて高く適切なタイミングに当該防災情報を出力することが可能となるので、防災性を向上させた状態で、スムーズな交通の阻害を防止することが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の防災システムによれば、火災信号はトンネル内防災設備側からの信号であり、進入禁止信号は道路管理システム側からの信号であることにより、例えば、2系統からの信号に基づいて防災情報を出力することができるので、より適切なタイミングに当該防災情報を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係る情報処理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る防災システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
〔実施の形態の基本的概念〕
まずは、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、防災システムに関するものである。
【0017】
ここで、「防災システム」とは、トンネルに関する防災を行うシステムであり、具体的には、トンネル内又はトンネルの手前を走行している車両側において、トンネル内の火災に関する防災情報を出力するシステムである。
【0018】
なお、「車両側において、トンネル内の火災に関する防災情報を出力する」とは、例えば、車両に搭載されている装置(一例としては、カーナビゲーションシステムの車載装置、車両に設置されているスピーカ、ディスプレイ等)、又は車両の搭乗者が携帯している装置(一例としては、スマートフォン、又はタブレット端末等)を介して、防災情報を出力することを示す概念である。
【0019】
「防災情報」とは、トンネル内の火災の防災に関する情報であり、例えば、火災を報知する情報、避難を促す情報、及び火災を回避する情報等を含む概念である。
【0020】
そして、以下に示す実施の形態では、車両に搭載されているカーナビゲーションシステムの車載装置を介して、防災情報を出力する場合を例示して説明する。
【0021】
(構成)
まず、本実施の形態に係る情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報処理システムを示すブロック図である。
図1の情報処理システム900は、情報処理を行うシステムであり、例えば、道路管理システム100、トンネル防災システム200、及びナビゲーションシステム500を備える。
【0022】
なお、本実施の形態では、トンネル防災システム200及びナビゲーションシステム500が「防災システム」に対応するものと解釈してもよい。また、各システムについては、特記する構成以外は公知の構成を適用することができるので、当該公知の構成については説明を簡略化又は省略する。
【0023】
また、本実施の形態では、トンネルT1が高速道路に設置されているトンネルであることとし、当該トンネルT1の火災の防災に関する特徴について説明する。
【0024】
(構成-道路管理システム)
図1の道路管理システム100は、トンネルT1を含む各種道路に関する管理を行うためのシステムであり、例えば、道路管理側サーバ装置11、遠方監視制御装置12、及び道路情報板装置13を備える。
【0025】
なお、実際には、道路管理側サーバ装置11に対して多数の遠方監視制御装置12及び道路情報板装置13が設けられているが、本実施の形態では、図示されている構成要素に着目して説明する。
【0026】
(構成-道路管理システム-道路管理側サーバ装置)
道路管理側サーバ装置11は、道路を管理するためのサーバコンピュータであり、例えば、道路管理センター等に設けられている。
【0027】
(構成-道路管理システム-遠方監視制御装置)
遠方監視制御装置12は、道路管理側サーバ装置11と他の装置(例えば、道路情報板装置13及び防災受信機2等)とを通信可能に接続している装置である。
【0028】
(構成-道路管理システム-道路情報板装置)
道路情報板装置13は、道路において情報を表示するための装置であり、例えば、トンネルT1の入口付近を含む任意の位置に設置されている情報表示用のディスプレイ、各種情報を記録する記録部(メモリ)、及び道路情報板装置13自体の制御を行う制御部(CPU等)等を備える。
【0029】
(構成-トンネル防災システム)
図1のトンネル防災システム200は、トンネルT1に関する防災を行う防災システムであり、例えば、防災受信機2、無線通信装置31、火災検知器32、及び防災側サーバ装置4を備える。
【0030】
なお、実際には、トンネルT1には、ユーザがボタンを押下することにより火災発生を報知するための発信機等も設けられているが、この発信機等の図示及び説明は省略する。
【0031】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機)
図2は、防災受信機を示すブロック図である。
図1の防災受信機2は、防災システムの一部を構成するものであってトンネルT1内の火災防災を行うためのトンネル内防災設備であり、例えば、いわゆる防災受信盤である。
【0032】
防災受信機2は、
図2に示すよう例えば、通信部21、操作部22、表示部23、音響部24、記録部25、及び制御部26を備える。
【0033】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機-通信部)
図2の通信部21は、外部機器との間で通信を行うための通信手段である。通信部21は、例えば、通信線901を介して遠方監視制御装置12との間で通信を行い、また、通信線902を介して火災検知器32との間で通信を行い、また、無線通信装置31を介して防災側サーバ装置4との間で通信を行う手段である。この通信部21は、例えば、公知の通信回路等を用いて構成することができる(他の装置の通信部も同様とする)。
【0034】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機-操作部)
図2の操作部22は、ユーザの指等で操作されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部22は、例えば、公知の操作ボタン等を備えて構成することができる。
【0035】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機-表示部)
図2の表示部23は、制御部26の制御に基づいて各種情報を表示する表示手段である。この表示部23は、例えば、公知の表示灯、あるいは、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を備えて構成することができる。
【0036】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機-音響部)
図2の音響部24は、制御部26の制御に基づいて音を出力する音出力手段である。この音響部24は、例えば、公知のスピーカ等を備えて構成することができる。
【0037】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機-記録部)
記録部25は、防災受信機2の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、公知のメモリ又はハードディスク等の記録媒体を用いて構成することができる(後述する装置の記録部も同様とする)。記録部25には、例えば、区画特定情報が格納されている。
【0038】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機-記録部-区画特定情報)
図3は、区画特定情報を例示した図である。「区画特定情報」とは、火災が発生した区画を特定するための情報であり、例えば、
図3の各項目の情報が相互に関連付けられている。
【0039】
なお、「区画」とは、防災区画であって、トンネルT1を複数の領域に分けた際の各領域を示す概念であり、本実施の形態では、例えば、トンネルT1内に火災検知器32が所定間隔おきに設けられていることとし、各火災検知器32の設置位置(つまり、各火災検知器32が火災を検出可能な検出可能領域)に対応する領域が各区画に対応するものとして説明する。例えば、
図1の火災検知器321の設置位置に対応する領域(一例としては、トンネルT1の入口の位置から50m離れた位置までの領域)が「A区画」と定められており、また、火災検知器322の設置位置に対応する領域(一例としては、トンネルT1の入口から50m離れた位置から100m離れた位置までの領域)が「B区画」と定められており、また、火災検知器323の設置位置に対応する領域(一例としては、トンネルT1の入口から100m離れた位置から150m離れた位置までの領域)が「C区画」と定められていることとして説明する。
【0040】
図3のアドレス情報は、各火災検知器32を一意に識別するため情報であり、各火災検知器32に設定されているアドレスを示す情報である。
図3では、例えば、火災検知器321に設定されアドレス情報である「Adr1」、火災検知器322に設定されアドレス情報である「Adr2」、及び火災検知器323に設定されアドレス情報である「Adr3」が例示されている。
図3の区画情報は、前述の区画を示す情報であり、例えば、前述の「A区画」等が例示されている。
【0041】
そして、
図3の最上段の情報においては、「Adr1」に示す火災検知器321に対応する区画が「A区画」であることが示されている。なお、この区画特定情報の具体的な格納手法は任意であるが、例えば、管理者が情報を入力することにより格納される(後述の位置特定情報も同様とする)。
【0042】
(構成-トンネル防災システム-防災受信機-制御部)
図2の制御部26は、防災受信機2を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述する装置の制御部も同様とする)。特に、実施の形態に係る制御プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して防災受信機2にインストールされることで、制御部26の各部を実質的に構成する。
【0043】
(構成-トンネル防災システム-無線通信装置)
図1の無線通信装置31は、防災受信機2と防災側サーバ装置4との間の通信を中継する装置である。
【0044】
(構成-トンネル防災システム-火災検知器)
図1の火災検知器32は、トンネルT1内で発生した火災を検出するための装置であり、例えば、トンネルT1の長手方向に沿って当該トンネルT1内に所定間隔おきに設けられている火災検知器321~323等を備える。なお、火災検知器321~323等には、前述したアドレス情報として、「Adr1」~「Adr3」等が各火災検知器32の記録部に格納されて設定されていることとする。
【0045】
(構成-トンネル防災システム-防災側サーバ装置)
図4は、防災側サーバ装置を示すブロック図である。
図1の防災側サーバ装置4は、トンネルT1に関する防災を行うための装置であり、
図4に示すように例えば、通信部41、記録部42、及び制御部43を備える。
【0046】
(構成-トンネル防災システム-防災側サーバ装置-通信部)
図4の通信部41は、外部機器との間で通信を行うための通信手段である。通信部41は、例えば、無線通信装置31を介して防災受信機2との間で通信を行い、また、ナビ側サーバ装置5との間で通信を行う手段である。また、通信部41は、受信機側火災信号と、進入禁止信号とを受信する受信手段である。
【0047】
「受信機側火災信号」とは、トンネルT1内で火災を検出したことを示す火災信号であり、例えば、
図1の火災検知器32による火災の検出に基づいて、防災受信機2から防災側サーバ装置4に送信される信号である。
【0048】
「進入禁止信号」とは、トンネルT1内で火災を検出した場合において当該トンネルT1への進入を禁止することを示す信号であり、例えば、道路管理システム100側から防災受信機2を介して防災側サーバ装置4に送信される信号である。
【0049】
(構成-トンネル防災システム-防災側サーバ装置-記録部)
図4の記録部42は、防災側サーバ装置4の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、位置特定情報が格納されている格納手段である。
【0050】
(構成-トンネル防災システム-防災側サーバ装置-記録部-位置特定情報)
図5は、位置特定情報を例示した図である。「位置特定情報」とは、前述の区画(つまり、防災区画)に対応する位置を特定するための情報であり、具体的には、区画位置情報であり、例えば、
図5の各項目の情報が相互に関連付けられている。
【0051】
図5の区画情報は、
図3の同一名称の情報と同様である。
【0052】
図5の位置情報は、区画に対応する位置を示す情報である。本実施の形態では、例えば、
図1のナビゲーションシステム500で用いられる地図情報(後述)が示す地図上の位置を示す情報として、当該地図上の位置に対応する座標を示す情報を、位置情報として用いることとする。なお、
図5では、説明の便宜上「D1」等が図示されているが、この「D1」等については座標を示す情報であることする。
【0053】
位置情報についてより詳細には、例えば、対応する各区画内の代表点の座標を示す情報を用いてもよい。つまり、例えば、トンネルT1の入口の位置から50m離れた位置までの領域に対応するA区画については、トンネルT1の入口の位置から25m離れた位置(つまり、A区画の中間点)の座標を示す情報を用いてもよい。
【0054】
あるいは、位置情報については、各区画の境界点の座標を示す情報を用いてもよい。つまり、例えば、トンネルT1の入口の位置から50m離れた位置までの領域に対応するA区画については、トンネルT1の入口の位置(つまり、A区画の始点)及び50m離れた位置(つまり、A区画の終点)の座標を示す情報を用いてもよい。
【0055】
なお、本実施の形態では、例えば、位置情報については、対応する各区画内の代表点(例えば中間点)の座標を示す情報を用いる場合について説明する。
【0056】
なお、この位置情報としては、ナビゲーションシステム500側で位置を特定可能となる限りにおいて、座標を示す情報以外の任意の情報を用いることができ、例えば、所定の基準位置からの道路上の距離を示すキロポストを示す情報を位置情報として用いてもよい。
【0057】
そして、
図5の最上段の情報については、「A区画」に対応する地図上の位置が「D1」の座標が示す位置であることが示されている。
【0058】
(構成-トンネル防災システム-防災側サーバ装置-制御部)
図4の制御部43は、防災側サーバ装置4を制御する制御手段である。制御部43は、機能概念的には例えば、防災側管理部431を備える。防災側管理部431は、通信部41が受信した受信機側火災信号に基づいて、トンネルT1内又はトンネルT1の手前を走行している車両側において、トンネルT1内の火災に関する防災情報を出力する処理を行う管理手段である。なお、制御部43の各部で行われる処理については、後述する。
【0059】
(構成-ナビゲーションシステム)
図1のナビゲーションシステム500は、トンネルT1に関する防災を行う防災システムであり、また、車載装置6を搭載した車両の経路案内等を行うためのシステムである。ナビゲーションシステム500は、例えば、ナビ側サーバ装置5、及び車載装置6を備える。
【0060】
なお、実際には、ナビゲーションシステム500には、多数の車両に各々に搭載される多数の車載装置6が設けられているが、図示されている車載装置6について代表して説明する。また、車載装置を搭載した車両を単に「車両」とも称して説明する。また、「車両」とは、四輪自動車、及び二輪自動車等を含む概念であるが、以下では、車両が四輪自動車である場合について説明する。
【0061】
(構成-ナビゲーションシステム-ナビ側サーバ装置)
図6は、ナビ側サーバ装置を示すブロック図である。
図1のナビ側サーバ装置5は、トンネルT1に関する防災を行うための装置であり、また、車両の経路の案内等を行うための装置であり、
図6に示すように例えば、通信部51、記録部52、及び制御部53を備える。
【0062】
(構成-ナビゲーションシステム-ナビ側サーバ装置-通信部)
図6の通信部51は、外部機器との間で通信を行うための通信手段である。通信部51は、例えば、防災側サーバ装置4及び車載装置6との間で通信を行う手段である。
【0063】
(構成-ナビゲーションシステム-ナビ側サーバ装置-記録部)
図6の記録部52は、ナビ側サーバ装置5の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、地図情報が格納されている格納手段である。
【0064】
(構成-ナビゲーションシステム-ナビ側サーバ装置-記録部-地図情報)
「地図情報」とは、ユーザ(車両の搭乗者)に対して地図を提示するための情報であり、具体的には、道路、道路の交差点、道路構造物、トンネル、施設等を含む各種の位置の特定に必要な情報である。地図情報の具体的な内容は任意であるが、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(例えばノードID、座標等)や、道路上に設定された各リンクに関するリンクデータ(例えばリンクID、リンク名、接続ノードID、道路座標、道路種別(例えば、細街路、一般道路、主要国道、及び高速道路等)、道路幅、車線数等)、地物データ(例えばトンネル、信号機、道路標識、ガードレール、施設等)、地形データ等を含んで構成されている。なお、この地図情報については、
図1のトンネルT1を示す情報も格納されている。
【0065】
そして、このような地図情報については、任意の手法で記録されるが、例えば、所定の記録媒体を介して入力することにより記録されたり、不図示の配信センターから配信された情報を受信することにより記録されたりする(後述する車載装置6の地図情報も同様とする)。
【0066】
(構成-ナビゲーションシステム-ナビ側サーバ装置-制御部)
図6の制御部53は、ナビ側サーバ装置5を制御する制御手段である。制御部53は、機能概念的には例えば、ナビ側管理部531を備える。ナビ側管理部531は、防災側サーバ装置4の通信部41が受信した受信機側火災信号に基づいて、トンネルT1内又はトンネルT1の手前を走行している車両側において、トンネルT1内の火災に関する防災情報を出力する処理を行う管理手段である。なお、制御部53の各部で行われる処理については、後述する。
【0067】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置)
図7は、車載装置を示すブロック図である。
図1の車載装置6は、車両に搭載されて当該車両と共に移動する装置であり、
図7に示すように例えば、通信部61、タッチパッド62、ディスプレイ63、スピーカ64、現在位置検出部65、記録部66、及び制御部67を備える。
【0068】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置-通信部)
図7の通信部61は、外部機器(ナビ側サーバ装置5を含む各機器)との間で通信を行うための通信手段である。この通信部61の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の移動体無線通信手段や、FM多重放送やビーコンを介した公知のVICS(登録商標)システム用の無線通信手段を用いて構成することができる。
【0069】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置-タッチパッド)
図7のタッチパッド62は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種操作入力を受け付ける操作手段である。このタッチパッド62の具体的な構成は任意であるが、例えば、抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のものを用いることができる。
【0070】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置-ディスプレイ)
図7のディスプレイ63は、制御部67の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。このディスプレイ63の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。なお、上記のタッチパッド62とディスプレイ63とをタッチパネルとして一体形成しても構わない。
【0071】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置-スピーカ)
図7のスピーカ64は、制御部67の制御に基づいて各種の音声を出力する音声出力手段である。スピーカ64より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0072】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置-現在位置検出部)
図7の現在位置検出部65は、車両(車載装置6が搭載されている車両)の現在位置(つまり、現在の走行位置)を取得する現在位置取得手段である。この現在位置検出部65は、GPSやジャイロセンサ、距離センサ(いずれも図示省略)を有し、現在の車載装置6の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。そして、この現在位置検出部65で取得した現在位置については、後述の記録部66に記録されている地図情報が示す地図上の座標としても取得することが可能となる。
【0073】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置-記録部)
図7の記録部66は、車載装置6の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、地図情報及び車両IDが格納されている格納手段である。なお、この地図情報については、ナビ側サーバ装置5に記録されている地図情報と同様であることとする。
【0074】
「車両ID」とは、車載装置6(つまり、車載装置6が搭載されている車両)を一意に識別するための車両識別情報(以下、識別情報を「ID」とも称する)である。
【0075】
(構成-ナビゲーションシステム-車載装置-制御部)
図7の制御部67は、車載装置6を制御する制御手段である。
【0076】
(処理)
次に、このように構成される情報処理システム900によって実行される処理として、受信機側防災処理、及び車両側防災処理について説明する。
【0077】
(処理-受信機側防災処理)
まず、受信機側防災処理について説明する。
図8は、受信機側防災処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。「受信機側防災処理」とは、
図1の防災受信機2が受信機側火災信号を送信する処理である。なお、実際には、火災発生時に防災受信機2側で行われる処理としては、各種警報を出力する処理等の様々な処理が含まれているが、ここでは、本願の特徴に関連する処理についてのみ詳細に説明する。
【0078】
===SA1===
図8のSA1において防災受信機2の制御部26は、受信機側火災信号を送信するか否かを判定する。具体的には、トンネルT1の火災検知器32が、火災を検出した場合に自己に設定されているアドレス情報を含む検知器側火災信号(火災を検出したことを示す信号)を、防災受信機2に送信するように構成されていることとする。そして、防災受信機2の制御部26は、この検知器側火災信号の受信及び断定操作(火災を断定するための操作)の有無に基づいて判定する。
【0079】
詳細には、検知器側火災信号の受信していない場合、又は、断定操作が行われていない場合、受信機側火災信号を送信しないものと判定し(SA1のNO)、受信機側火災信号を送信するものと判定するまで、繰り返しSA1を実行する。また、検知器側火災信号の受信し、且つ、断定操作(例えば、防災受信機2の操作部22である不図示の断定ボタンを押下する操作等)が行われた場合、防災受信機2の制御部26は、受信機側火災信号を送信するものと判定し(SA1のYES)、SA2に移行する。
【0080】
ここでは、例えば、トンネルT1の「B区画」内で火災が発生した場合、火災検知器322が、自己のアドレス情報である「Adr2」を含む検知器側火災信号を防災受信機2に送信する。また、この際に、防災担当者等が、防災受信機2に対して断定操作を行うこととする。この場合、防災受信機2は、検知器側火災信号の受信し、且つ、断定操作が行われることになるので、受信機側火災信号を送信するものと判定する。
【0081】
なお、ここでの受信機側火災信号を送信する判定条件は任意に変更してもよく、例えば、検知器側火災信号の受信の有無のみに基づいて判定してもよいし、他の公知の断定条件に対応する判定条件を適用してもよい。
【0082】
===SA2===
図8のSA2において防災受信機2の制御部26は、火災が発生した区画(火災発生防災区画)を特定する。具体的には、SA1で受信した検知器側火災信号に含まれているアドレス情報を取得し、
図3の区画特定情報を参照して、取得したアドレス情報に関連付けられている区画情報を特定し、当該特定した区画情報が示す区画を火災が発生した区画として特定する。
【0083】
ここでは、例えば、SA1で「Adr2」を含む検知器側火災信号を受信した場合、
図3の区画特定情報において、「Adr2」に関連付けられている「B区画」を特定し、当該「B区画」を火災が発生した区画として特定する。
【0084】
===SA3===
図8のSA3において防災受信機2の制御部26は、受信機側火災信号を送信する。具体的には、SA2で特定した区画を示す区画情報を含む受信機側火災信号を生成して、生成した受信機側火災信号を、無線通信装置31を介して防災側サーバ装置4に送信する。また、道路管理システム100側にも火災発生を報知するために、防災受信機2の制御部26は、前述の生成した受信機側火災信号を、通信線901及び遠方監視制御装置12を介して道路管理側サーバ装置11にも送信する。
【0085】
ここでは、例えば、「B区画」を含む受信機側火災信号を、防災側サーバ装置4及び道路管理側サーバ装置11に送信する。これにて、受信機側防災処理を終了する。
【0086】
(処理-車両側防災処理)
次に、車両側防災処理について説明する。
図9は、車両側防災処理のフローチャートである。「車両側防災処理」とは、車両側において防災情報を出力する処理である。
【0087】
===SB1===
図9のSB1において防災側サーバ装置4の防災側管理部431は、火災関連信号を送信するか否かを判定する。「火災関連信号」とは、トンネルT1内で火災が発生したことを示す信号であり、例えば、火災が発生した位置(つまり、火災発生位置)を示す情報を含む信号である。処理について具体的には、通信部41が受信機側火災信号及び進入禁止信号の両方の信号を受信したか否かに基づいて判定する。
【0088】
詳細には、通信部41が受信機側火災信号を受信していない場合、又は、通信部41が進入禁止信号を受信していない場合、火災関連信号を送信しないものと判定し(SB1のNO)、火災関連信号を送信するものと判定するまで、繰り返しSB1を実行する。また、通信部41が受信機側火災信号及び進入禁止信号の両方の信号を受信した場合、火災関連信号を送信するものと判定し(SB1のYES)、SB2に移行する。
【0089】
ここでは、例えば、トンネルT1で火災が発生して、
図8のSA3が送信されると受信機側火災信号が防災側サーバ装置4に送信されるので、この場合、防災側サーバ装置4の通信部41は、当該受信機側火災信号を受信することになる。
【0090】
また、例えば、トンネルT1で火災が発した場合、
図8のSA3で道路管理側サーバ装置11側にも受信機側火災信号が送信され、道路管理センター側にもトンネルT1での火災発生が報知されることになる。そして、道路管理センター側の管理者は、例えば、トンネルT1内に設置されている不図示のカメラ等を介してトンネルT1内の映像を確認し、火災発生を確認した場合に、トンネルT1への進入を禁止するための進入禁止信号を送信する操作を行うことにより、道路管理システム100側から防災側サーバ装置4に対して進入禁止信号が送信され、この場合、防災側サーバ装置4の通信部41は、当該進入禁止信号を受信することになる。
【0091】
なお、進入禁止信号を道路管理システム100側から防災側サーバ装置4に送信するための具体的な手法は任意であるが、例えば、以下の第1の手法又は第2の手法の何れかの手法を用いてもよい。
【0092】
=第1の手法=
第1の手法は、進入禁止信号を、道路情報板装置13及び防災受信機2を介して間接的に送信する手法である。この手法では、例えば、道路管理側サーバ装置11は、遠方監視制御装置12及び通信線901を介して、道路情報板装置13に進入禁止信号を送信するように構成されていることとする。そして、道路情報板装置13と防災受信機2とが相互に通信可能となるように専用通信線を介して接続した上で、道路情報板装置13が、道路管理側サーバ装置11から送信された進入禁止信号を受信した場合に、当該進入禁止信号を防災受信機2及び無線通信装置31を介して防災側サーバ装置4に送信することとする。
【0093】
=第2の手法=
第2の手法は、進入禁止信号を、道路情報板装置13及び防災受信機2を介さずに直接送信する手法である。この手法では、例えば、道路管理側サーバ装置11が、道路情報板装置13及び防災受信機2等を介さずに、防災側サーバ装置4との間で直接的に通信可能となるように通信ネットワークが構築されていることとする。そして、道路管理側サーバ装置11は、進入禁止信号を当該通信ネットワークを介して、防災側サーバ装置4に送信することとする。
【0094】
ここでは、例えば、前述したようにトンネルT1の「B区画」内で火災が発生した場合において、防災側サーバ装置4の通信部41が、「B区画」を含む受信機側火災信号及び進入禁止信号の両方の信号を受信した場合、防災側管理部431は、火災関連信号を送信するものと判定する。
【0095】
===SB2===
図9のSB2において防災側サーバ装置4の防災側管理部431は、火災発生位置を特定する。具体的には、SB1で受信した受信機側火災信号に含まれている区画情報を取得し、
図5の位置特定情報を参照して、取得した区画情報に関連付けられている位置情報を特定し、当該特定した位置情報が示す位置を火災発生位置として特定する。
【0096】
ここでは、例えば、SB1で「B区画」を含む受信機側火災信号を受信した場合、
図5の位置特定情報において、「B区画」に関連付けられている「D2」を特定し、当該「D2」が示す位置を火災発生位置として特定する。
【0097】
===SB3===
図9のSB3において防災側サーバ装置4の防災側管理部431は、火災関連信号を送信する。具体的には、SB2で特定した位置を示す位置情報(つまり、火災発生位置を示す位置情報)を含む火災関連信号を生成して、生成した火災関連信号を、ナビ側サーバ装置5に送信する。ここでは、例えば、「D2」を含む火災関連信号を、ナビ側サーバ装置5に送信する。
【0098】
===SC1===
図9のSC1においてナビ側サーバ装置5のナビ側管理部531は、SB3で送信された火災関連信号を受信する。ここでは、例えば、「D2」を含む火災関連信号を受信する。
【0099】
===SC2===
図9のSC2においてナビ側サーバ装置5のナビ側管理部531は、防災情報を出力する対象となる車載装置である対象車載装置を特定する。具体的には、車載装置6が、現在位置検出部65の検出結果に基づいて、自車両(車載装置6がされている車両)の現在位置(つまり、現在の走行位置)を特定し、ナビ側サーバ装置5に対して所定時間間隔で当該現在位置を示す情報及び自己の車両IDを送信するように構成されており、ナビ側サーバ装置5側で各車両が走行している道路等及び現在位置を特定可能となっていることとする。
【0100】
そして、ナビ側サーバ装置5のナビ側管理部531は、火災が発生したトンネルT1内を走行している車両、及び当該トンネルT1に至る道路においてトンネルT1の手前を走行している車両(例えば、トンネルT1までの距離が所定距離(一例としては、300m~500m等)以内の位置を走行している車両)を特定し、特定したこれらの車両に搭載されている車載装置6を対象車載装置として特定する。
【0101】
===SC3===
図9のSC3においてナビ側サーバ装置5のナビ側管理部531は、SC2で特定した対象車載装置を介して防災情報を出力する。具体的には、SC2で特定した対象車載装置を搭載している車両の現在位置と、火災発生位置とに基づいて、防災情報を生成して出力する。
【0102】
=処理=
詳細には、まず、SC1受信した火災関連信号に含まれている位置情報を取得し、
図6の記録部52の地図情報が示す地図において、当該位置情報が示す位置をトンネルT1内の火災発生位置として特定し、また、当該地図において車両の現在位置を特定する。次に、これらの特定結果に基づいて、防災情報を生成し、生成した防災情報と当該防災情報を出力する対象車載装置の車両IDとを組み合わせて送信する。
【0103】
一方、車載装置6の制御部67は、自己の車両IDと同じ車両IDと組み合わせられている防災情報を受信して、受信した防災情報を、ディスプレイ63を介して表示出力したり、あるいは、スピーカ64を介して音声出力したりする。
【0104】
=防災情報=
防災情報の種類や内容は任意であるが、例えば、以下の防災情報を生成して出力してもよい。
【0105】
<トンネルT1の手前の場合>
例えば、車両の現在位置がトンネルT1の手前(つまり、トンネル外)の位置である対象車載装置に関しては、「トンネル内で火災が発生、進入禁止」等のメッセージ情報を防災情報として生成して送信することにより出力してもよい。すなわち、例えば、
図1のトンネルT1の入口に未だ入っていない対象車載装置に関しては、ここで説明した防災情報を出力してもよい。
【0106】
<トンネルT1内(火災発生位置の手前の場合)>
また、例えば、車両の現在位置がトンネルT1内の位置であり、且つ、車両の現在位置が火災発生位置の手前の位置(つまり、車両が火災発生位置に近づく方向に走行しており当該火災発生位置に未だ至っていない位置)である対象車載装置に関しては、「トンネル内の〇〇付近で火災発生、停止して避難せよ」等のメッセージ情報を防災情報として生成して送信することにより出力してもよい。すなわち、
図1のトンネルT1の建夫ば火災検知器321が設けられている位置付近の対象車載装置に関しては、ここで説明した防災情報を出力してもよい。
【0107】
なお、前述のメッセージの「〇〇付近」の「〇〇」については、車両の搭乗者に対して火災発生位置を示す情報であり、例えば、トンネル入り口から火災発生位置までの距離を特定し、「XXm付近」(なお、「XX」は距離を示す数値であることとする)等の情報を用いてもよい。
【0108】
<トンネルT1内(火災発生位置を過ぎた場合)>
また、例えば、車両の現在位置がトンネルT1内の位置であり、且つ、車両の現在位置が火災発生位置を通り過ぎた位置(つまり、車両が火災発生位置から遠ざかる方向に走行しており火災発生位置を通り過ぎた位置)である対象車載装置に関しては、「トンネル内の〇〇付近で火災発生、速やかに避難せよ」等のメッセージ情報を防災情報として生成して送信することにより出力してもよい。すなわち、
図1のトンネルT1の例えば火災検知器323が設けられている位置付近の対象車載装置に関しては、ここで説明した防災情報を出力してもよい。
【0109】
<トンネルT1内(現在位置を特定できない場合)>
また、例えば、車両がトンネルT1内を走行している場合において、任意の要因(例えば、車載装置6とナビ側サーバ装置5との間の通信状態の悪化、又は、車載装置6の一部の機能の不具合等)に基づいて、トンネルT1内での車両の現在位置の特定が困難となっている対象車載装置に関しては、「トンネル内の〇〇付近で火災発生、速やかに避難せよ」等のメッセージ情報を防災情報として生成して送信することにより出力してもよい。
【0110】
なお、上述の各場合において、相互に異なるメッセージを防災情報として出力するように構成してもよい。あるいは、上述の各場合に分けずに、SC2で特定した対象車載装置に対して「トンネル内の〇〇付近で火災発生」等の共通のメッセージを防災情報として出力するように構成してもよい。これにて、車両側防災処理を終了する。
【0111】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、防災側サーバ装置4の通信部41が受信した受信機側火災信号に基づいて、トンネルT1内又はトンネルT1の手前を走行している車両側において防災情報を出力することにより、例えば、トンネルT1内の防災に関する情報を車両側に伝達することが可能となる。
【0112】
また、火災発生防災区画に対応するトンネルT1内の位置である火災発生位置を特定する処理の処理結果と、車両の走行位置を特定する処理の処理結果とに基づいて、防災情報を出力する処理を行うことにより、例えば、火災発生位置を特定した上で、車両の走行位置を考慮して、適切な防災情報を出力することが可能となる。
【0113】
また、受信機側火災信号及び進入禁止信号の両方を受信した場合に防災情報を出力することにより、例えば、防災情報を出力する必要性が極めて高く適切なタイミングに当該防災情報を出力することが可能となるので、防災性を向上させた状態で、スムーズな交通の阻害を防止することが可能となる。
【0114】
また、受信機側火災信号は防災受信機2であるトンネル内防災設備側からの信号であり、進入禁止信号は道路管理システム100側からの信号であることにより、例えば、2系統からの信号に基づいて防災情報を出力することができるので、より適切なタイミングに当該防災情報を出力することが可能となる。
【0115】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0116】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0117】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0118】
(火災関連信号を送信するか否かの条件について)
また、上記実施の形態の
図9のSB1では、通信部41が受信機側火災信号及び進入禁止信号の両方の信号を受信したか否かに基づいて、火災関連信号を送信するか否かを判定する場合について説明したが、これに限らない。
【0119】
例えば、受信機側火災信号を受信したか否かのみに基づいて判定するように構成してもよい。この場合、例えば、通信部41が受信機側火災信号を受信していない場合、火災関連信号を送信しないものと判定し、一方、通信部41が受信機側火災信号を受信した場合、火災関連信号を送信するものと判定する。
【0120】
又は、例えば、進入禁止信号を受信したか否かのみに基づいて判定するように構成してもよい。この場合、例えば、通信部41が進入禁止信号を受信していない場合、火災関連信号を送信しないものと判定し、一方、通信部41が進入禁止信号を受信した場合、火災関連信号を送信するものと判定する。
【0121】
(機能配置(その1))
また、上記実施の形態で説明した各システム又は各装置の機能配置を任意に変更してもよい。例えば、ナビ側サーバ装置5の一部の機能を防災側サーバ装置4に設けてもよいし、逆に、防災側サーバ装置4の一部の機能をナビ側サーバ装置5に設けてもよい。又は、例えば、防災側サーバ装置4及びナビ側サーバ装置5を統合して共通のサーバ装置を設けてもよい。
【0122】
また、例えば、実施の形態で説明したナビ側サーバ装置5で実行する処理、又は、当該処理と同様な処理を、車載装置6で実行するように構成してもよい。
【0123】
(機能配置(その2))
また、例えば、
図9のSB1~SB3と同様な処理を実行するセンター装置を、道路管理システム100側に設けて、防災側サーバ装置4の代わりに当該センター装置が処理を実行するように構成してもよい。
【0124】
詳細には、例えば、受信機側火災信号及び進入禁止信号がセンター装置に送信されるように構成した上で、センター装置が、受信機側火災信号及び進入禁止信号の両方の信号を受信した場合に、火災関連信号を送信し、一方、受信機側火災信号を受信しない場合、又は、進入禁止信号お受信しない場合に、火災関連信号を送信しないように構成してもよい。なお、このように構成した場合、
図1の道路管理システム100も、「防災システム」に対応するものと解釈してもよい。
【0125】
(位置情報について)
また、上記実施の形態では、位置情報として、各区画の中間点の位置の座標を示す情報を用いる場合について説明したが、前述したように、位置情報として、各区画の境界点の位置の座標(例えば、B区間に関しては、当該B区間の始点及び終点)を示す情報を用いてもよい。
【0126】
このように構成した場合、車両の現在位置がトンネルT1内の位置であり、且つ、車両の現在位置が火災発生位置(例えば、B区間の始点及び終点の間の位置)である対象車載装置に関しては、「車両付近で火災発生、速やかに避難せよ」等のメッセージ情報を防災情報として出力してもよい。
【0127】
(他の特徴について)
また、車載装置6の地図情報が更新されていないトンネルに対しては、出力の有無を選択可能となるように構成してもよい。
【0128】
具体的には、自動的に出力の有無を選択してもよい。例えば、トンネルT1で火災が発生し、ナビ側サーバ装置5が、火災関連信号を受信した場合に、車載装置6の地図情報のバージョンを特定し、特定したバージョンの地図情報が示す地図(一例としては、更新されておらず古いバージョンの地図)に火災発生位置に対応するトンネルT1を示す情報が含まれていない場合、防災情報を出力しない。一方で、例えば、トンネルT1で火災が発生し、ナビ側サーバ装置5が、火災関連信号を受信した場合に、車載装置6の地図情報のバージョンを特定し、特定したバージョンの地図情報が示す地図(一例としては、更新されており最新のバージョンの地図)に火災発生位置に対応するトンネルT1を示す情報が含まれている場合、防災情報を出力する。
【0129】
又は、ユーザの設定に応じて出力の有無を選択してもよい。例えば、トンネルT1で火災が発生し、ナビ側サーバ装置5が、火災関連信号を受信した場合に、車載装置6の地図情報のバージョンを特定し、特定したバージョンの地図情報が示す地図に火災発生位置に対応するトンネルT1を示す情報が含まれていない場合、ユーザの設定に応じて以下の処理を行う。例えば、予めユーザによって「表示する」(防災情報を出力する設定)に設定されている場合、実施の形態で説明した場合と同様に、防災情報を出力する。また、例えば、予めユーザによって「表示しない」(防災情報を出力しない設定)に設定されている場合、防災情報を出力しない。なお、地図情報が示す地図に火災発生位置に対応するトンネルT1を示す情報が含まれている場合には、前述の設定に関わらず、実施の形態で説明した場合と同様に、防災情報を出力する。
【0130】
また、火災発生時に表示する防災情報に関して、車載装置6が、
図7の通信部61を介して他の装置に対して電文として送信するように構成してもよい。なお、ここでの他の装置は、例えば、車両の搭乗者が携帯している装置(一例としては、スマートフォン、又はタブレット端末等)等を含む。
【0131】
(組み合わせについて)
また、上記実施の形態の技術と、変形例の技術とを任意に組み合わせてもよい。
【0132】
(付記)
付記1の防災システムは、トンネルに関する防災を行う防災システムであって、前記トンネル内で火災を検出したことを示す火災信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記火災信号に基づいて、前記トンネル内又は前記トンネルの手前を走行している車両側において、前記トンネル内の火災に関する防災情報を出力する管理手段と、を備える。
【0133】
付記2の防災システムは、付記1に記載の防災システムにおいて、前記トンネルは、複数の防災区画に区分けされており、前記火災信号は、前記トンネル内で火災を検出したことと、前記トンネル内の火災が検出された防災区画である火災発生防災区画とを示しており、前記防災システムは、前記複数の防災区画を示す区画情報と前記トンネル内の位置を示す位置情報とが相互に関連付けられている区画位置情報を格納する格納手段、を備え、前記管理手段は、前記格納手段の前記区画位置情報に基づいて、前記火災発生防災区画に対応する前記トンネル内の位置である火災発生位置を特定する第1処理と、前記車両の走行位置を特定する第2処理と、前記第1処理の処理結果と、前記第2処理の処理結果とに基づいて、前記防災情報を出力する第3処理と、を行う。
【0134】
付記3の防災システムは、付記1又は2に記載の防災システムにおいて、前記受信手段は、前記火災信号と、前記トンネル内で火災を検出した場合において当該トンネルへの進入を禁止することを示す進入禁止信号とを受信し、前記管理手段は、前記受信手段が前記火災信号及び前記進入禁止信号の両方を受信した場合に、防災情報を出力する。
【0135】
付記4の防災システムは、付記3に記載の防災システムにおいて、前記防災システムの一部を構成するものであって前記トンネル内の火災防災を行うためのトンネル内防災設備が設けられており、前記火災信号は、前記トンネル内防災設備側からの信号であり、前記進入禁止信号は、前記トンネルを含む道路を管理する道路管理システム側からの信号である。
【0136】
(付記の効果)
付記1に記載の防災システムによれば、受信手段が受信した火災信号に基づいて、トンネル内又はトンネルの手前を走行している車両側において防災情報を出力することにより、例えば、トンネル内の防災に関する情報を車両側に伝達することが可能となる。
【0137】
付記2に記載の防災システムによれば、火災発生防災区画に対応するトンネル内の位置である火災発生位置を特定する処理の処理結果と、車両の走行位置を特定する処理の処理結果とに基づいて、防災情報を出力する処理を行うことにより、例えば、火災発生位置を特定した上で、車両の走行位置を考慮して、適切な防災情報を出力することが可能となる。
【0138】
付記3に記載の防災システムによれば、火災信号及び進入禁止信号の両方を受信した場合に防災情報を出力することにより、例えば、防災情報を出力する必要性が極めて高く適切なタイミングに当該防災情報を出力することが可能となるので、防災性を向上させた状態で、スムーズな交通の阻害を防止することが可能となる。
【0139】
付記4に記載の防災システムによれば、火災信号はトンネル内防災設備側からの信号であり、進入禁止信号は道路管理システム側からの信号であることにより、例えば、2系統からの信号に基づいて防災情報を出力することができるので、より適切なタイミングに当該防災情報を出力することが可能となる。
【符号の説明】
【0140】
2 防災受信機
4 防災側サーバ装置
5 ナビ側サーバ装置
6 車載装置
11 道路管理側サーバ装置
12 遠方監視制御装置
13 道路情報板装置
21 通信部
22 操作部
23 表示部
24 音響部
25 記録部
26 制御部
31 無線通信装置
32 火災検知器
41 通信部
42 記録部
43 制御部
51 通信部
52 記録部
53 制御部
61 通信部
62 タッチパッド
63 ディスプレイ
64 スピーカ
65 現在位置検出部
66 記録部
67 制御部
100 道路管理システム
200 トンネル防災システム
321 火災検知器
322 火災検知器
323 火災検知器
431 防災側管理部
500 ナビゲーションシステム
531 ナビ側管理部
900 情報処理システム
901 通信線
902 通信線
T1 トンネル