(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070217
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】横型ロータリー式自動充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/087 20120101AFI20230512BHJP
【FI】
B65B9/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182246
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】596092595
【氏名又は名称】三光機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134212
【弁理士】
【氏名又は名称】提中 清彦
(72)【発明者】
【氏名】立石 隆博
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050BA03
3E050CB01
3E050DB00
3E050DD04
3E050DF01
3E050FA01
3E050FB01
3E050FB08
3E050GB03
3E050GB09
(57)【要約】
【課題】 連続包装袋を引っ張りながらミシン目を入れたり所定袋数毎にカットする際に、ミシン目位置やカット位置が累積してずれていくことを防ぎ、製品品質を高く維持することができる横型ロータリー式自動充填包装機を提供する。
【解決手段】 本発明は、サイドシール装置7と、充填シュート8と、ターンテーブル20と、トップシール装置12と、クランプ搬送装置14と、カッター装置16と、操作パネルを含む制御装置19と、を備えた横型ロータリー式自動充填包装機1であって、クランプ搬送装置14は連続包装袋の1袋毎の製品長さよりも僅かに長い間隔でクランプ142~145が無終端配置されていると共に、操作パネルによりカッター装置の袋毎のカット位置を設定距離だけずらすカット位置補正量を設定可能とし、当該カット位置補正量に基づいて前記制御装置19がカット位置を補正するようにカッター装置16を制御することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して幅方向に熱シールするサイドシール装置と、
このサイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入する充填シュートと、
複数配置されたサイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、
内容物が充填された包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールするトップシール装置と、
でき上がった連続包装袋のトップシールの一部を1袋毎にクランプで把持して搬送するクランプ搬送装置と、
搬送されてきた連続包装袋を、予め設定した位置のサイドシールをカットすることで所定数の包装袋が複数連接された連接包装袋にするカッター装置と、
連続包装袋のサイドシールのカット位置を設定可能な操作パネルを含む制御装置と、
を備えた横型ロータリー式自動充填包装機であって、
前記クランプ搬送装置は、連続包装袋の1袋毎の製品長さよりも僅かに長い間隔でクランプが無終端配置されていると共に、
前記操作パネルによりカッター装置の袋毎のカット位置を設定距離だけずらすカット位置補正量を設定可能とし、当該カット位置補正量に基づいて前記制御装置がカット位置を補正するようにカッター装置を制御する
ことを特徴とする横型ロータリー式自動充填包装機。
【請求項2】
前記カッター装置の搬送方向上流側に、連続包装袋のサイドシールにミシン目を入れるミシン目装置が備えられ、
前記カット位置補正量は、ミシン目装置が入れるミシン目位置にも適用され、1つの連接包装袋の範囲においてミシン目位置毎に累積して設定され、カット装置によりカットして切り離された時点でこの累積したカット位置補正量がリセットされること
を特徴とする請求項1に記載の横型ロータリー式自動充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平搬送される長尺の包装フィルム(樹脂フィルム)を多数の袋部に区分し、水平方向に並ぶ各袋部に内容物を充填してなる包装物を製造する横型ロータリー式自動充填包装機の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長尺の包装フィルム(樹脂フィルム)を使用して、定量に調量された粉剤等の内容物を多数の包装体に区分して包装する自動充填包装機の一つに横型ロータリー式自動充填包装機がある。
【0003】
この横型ロータリー式自動充填包装機では、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているように、芯材の周囲に包装フィルム等が巻回されているフィルムコイルから該包装フィルムを水平方向に引き出し移動させながら、フィルムガイド部において、当該包装フィルムをフィルム進行方向と略直交する方向に二つ折りすることで袋部の底部となる部分を形成しながら、ターンテーブルへと当該包装フィルムを導入する。
【0004】
ターンテーブル上の周囲に配設される多数のサイドシールバーは、この導入された包装フィルムと同期した速度で回転されながら、包装フィルムを垂直方向から挟み込むことで、水平方向に移動(回転移動)される包装フィルムに対して移動方向の垂直方向に延在される幅シール(サイドシール:熱シール)を形成する。
【0005】
そして、順次折り畳まれた包装フィルムの間(上方開口の袋部)には、互いに隣り合うサイドシールバーの間に対応して複数配設されると共に包装フィルムやサイドシールバーと同期して回転される充填シュートが挿入され、かかる充填シュートから所定量に調量された内容物(粉状物、粒状物)を充填(投入)し、その後充填シュートを袋部から抜き、樹脂フィルムを挟み持っていたサイドシールバーを外す。
【0006】
このようにして各袋部に内容物が充填された包装フィルムは、その後、袋部の上縁をトップシール(熱シール)されて密封される。この状態で、袋部間の幅シール部分を長手方向に沿って切断或いはミシン目を入れられて、所要の包装形態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-341607号公報
【特許文献2】特開2006-124030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、従来から高速で動作する横型ロータリー式自動充填包装機において、包装袋のカット部分を綺麗にして製品品質を向上させるために、包装袋を引っ張ってフィルムに張りを持たせながらカットしたりミシン目を入れたりする手法が用いられている。
具体的には、カット時に包装袋(F4)を把持搬送するクランプ搬送装置のクリップ(144)の間隔を1包間隔(L)よりも僅かに長く(L1)することで、包装袋のカット部分(サイドシール部分)(L2)にテンションをかけて、高品質で安定したカットを行う工夫である(
図2(A)~(C)参照)。
【0009】
しかしながら、この方法で連接包装の包装袋間にミシン目を入れる場合に、所定包装袋数毎にカットされる1組の連接包装の連接数が増えるほどミシン目の設定位置(目標位置)に対する実際のミシン目位置が右へずれていく(遅れていく)という問題が発生するという実情があり、昨今の更なる高速化に伴いかかる問題が顕著となってきた。
【0010】
通常、ミシン目を入れるためのミシン目装置は、包装袋の製袋搬送と同期して1袋間隔でサイドシールの中央位置である設定位置(C1)にミシン目を施すように動作するように構成されている。
【0011】
しかし、搬送速度の高速化に伴い包装袋の連続体(連続包装袋F4)の揺れなどを抑制するために、クランプ搬送装置により包装袋の連続体にテンションを掛けて引っ張りながら搬送するため、ミシン目を入れるべき設置位置(C1)は1袋間隔よりも僅かに伸長することとなるので、その分だけミシン目位置(C2)にズレ(L3)が生じてしまうのが原因と考えられる(
図2(C)参照)。
【0012】
これが1包装袋ずつカットする場合は、許容誤差レベルのわずかなズレであるため大きな問題とならなかった。
しかし、複数の包装体が連接されている場合は、ミシン目で連なる分だけズレが累積して大きくなっていくため、製品品質上大きな問題となっていた。
【0013】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、連続包装袋を引っ張りながらミシン目を入れたり所定袋数毎にカットする際に、ミシン目位置やカット位置が累積してずれていくことを防ぎ、製品品質を高く維持することができる横型ロータリー式自動充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、本発明に係る横型ロータリー式自動充填包装機は、
水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して幅方向に熱シールするサイドシール装置と、
このサイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入する充填シュートと、
複数配置されたサイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、
内容物が充填された包装フィルム袋部の上縁に対して熱シールするトップシール装置と、
でき上がった連続包装袋のトップシールの一部を1袋毎にクランプで把持して搬送するクランプ搬送装置と、
搬送されてきた連続包装袋を、予め設定した位置のサイドシールをカットすることで所定数の包装袋が複数連接された連接包装袋にするカッター装置と、
連続包装袋のサイドシールのカット位置を設定可能な操作パネルを含む制御装置と、
を備えた横型ロータリー式自動充填包装機であって、
前記クランプ搬送装置は、連続包装袋の1袋毎の製品長さよりも僅かに長い間隔でクランプが無終端配置されていると共に、
前記操作パネルによりカッター装置の袋毎のカット位置を設定距離だけずらすカット位置補正量を設定可能とし、当該カット位置補正量に基づいて前記制御装置がカット位置を補正するようにカッター装置を制御する
ことを特徴とする。
【0015】
本発明において、
前記カッター装置の搬送方向上流側に、連続包装袋のサイドシールにミシン目を入れるミシン目装置が備えられ、
前記カット位置補正量は、ミシン目装置が入れるミシン目位置にも適用され、1つの連接包装袋の範囲においてミシン目位置毎に累積して設定され、カット装置によりカットして切り離された時点でこの累積したカット位置補正量がリセットされること
を特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、連続包装袋を引っ張りながらミシン目を入れたり所定袋数毎にカットする際に、ミシン目位置やカット位置が累積してずれていくことを防ぎ、製品品質を高く維持することができる横型ロータリー式自動充填包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る横型ロータリー式自動充填包装機の正面図であり、(B)はサイドシールから製品カットまでを抜き出して示した平面図(
図1(A)のA-A矢視図)である。る。
【
図2】(A)は連続包装袋(F4)の正面図であり、(B)はミシン目位置の平面拡大図(F5)であり、(C)は補正なしでミシン目が施された連続包装袋の例(F6)を示す正面図である。
【
図3】(A)は補正ありの場合のミシン目位置の平面拡大図(F5’)であり、(B)は補正ありの場合のミシン目が施された連続包装袋の例(F6’)を示す正面図である。
【
図4】(A)は操作パネル(制御す値)のミシン目位置設定画面の例を示す図であり、(B)はミシン目位置補正の動作(制御)フローの例((A)の設定値に準拠)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る一実施の形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0019】
まず、
図1を用いて、本発明に係る横型ロータリー式自動充填包装機の全体構成について説明する。
図1(A)は、本発明に係る横型ロータリー式自動充填包装機を示す正面図(一部断面図)であり、
図1(B)は包装フィルムの搬送経路を上方から見た平面図である。
図1(A)に示すように、横型ロータリー式自動充填包装機1は、本体2に回転自在に支持される包装フィルム原反ロール支持軸(使用中)3、次回使用の(予備の)包装フィルム原反ロール支持軸(待機中)4、包材送り装置5、包材フィルム折り込みガイド(製袋ガイド)6、サイドシール装置(サイドシールバー)7、充填シュート8、内容物貯留ホッパー9、計量装置10、予熱装置11、トップシール装置12、ノッチ装置13、クランプ搬送装置14、ミシン目装置15、カッター装置16、第1の搬出スベリ台17、第2の搬出スベリ台18、操作パネル(制御装置)19を備える。なお、サイドシール装置(サイドシールバー)7、充填シュート8などは、水平面内で本体本願端2に回転されるターンテーブル20に取り付けられている。
【0020】
包装フィルムは、包装フィルム原反ロールF1としてロール状に巻回されて包装フィルム原反ロール支持軸3に支持されている。また、包装フィルム原反ロールF1の残りが予備の包装フィルム原反ロールF1’が包装フィルム原反ロール支持軸4に支持されている。
ここで、包装フィルムは、透明又は半透明な材料から構成され、例えば、PET等のベースフィルムと、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成される。また、包装フィルムF1は、ベースフィルム、中間フィルム、ヒートシールフィルムの3層構造を有してもよい。
【0021】
包装フィルム原反ロール支持軸3に支持されている包装フィルム原反ロールF1から引き出された包装フィルムF2は、包材送り装置5を通過した後、
図1(A)の右方向に連続的に送られ、製袋ガイド(包材フィルム折り込みガイド)6によって長手方向中央部に沿って二つに折り曲げられて上方開放のU字状とされる。折り曲げられた包装フィルムF2は、
図1(B)に示すように、ターンテーブル20の接線方向からターンテーブル21に導入されて、ターンテーブル20と同期した速度で周方向(
図1(B)に示した矢印の回転方向)に移動される。
【0022】
ターンテーブル20上には、
図1(B)に示すように、幅シールを形成するサイドシール装置(サイドシールバー)7が同心円上に多数配置されている。ターンテーブル20と同期した速度で回転移動するサイドシール装置7は、ターンテーブル20に導入されて周方向に回転移動される包装フィルムF2に対して所定の位置決め(周方向及び高さ方向の位置決め)を行うと共に、同時に、包装フィルムF2の幅方向に熱シールを施して局部的に熱圧着する。
【0023】
このとき、サイドシール装置7により挟まれた部分の包装フィルムは、サイドシール装置7から供給された熱によって溶融する。それと共に、サイドシール装置7が包装フィルムF2を挟み込んでいるため、二つ折りにされた包装フィルムF2の溶融部分が加圧される。これらにより、二つ折りの包装フィルムF2のヒートシールフィルム同士が圧着し、サイドシールL2(
図2(A)など参照)が形成される。このようにして、二つ折りの包装フィルムF2には、サイドシール装置7により挟まれた上方開口の複数の袋部が形成される。
【0024】
なお、上記サイドシール装置7よる熱シール動作と平行して二つ折りにされた包装フィルムF2の間に充填シュート8が挿入され、計量装置10にて計量された内容物が充填シュート8を経由して投入される。ターンテーブル20に同心的に複数配設される充填シュート8は、ターンテーブル20延いては包装フィルムF2と同期した速度で周方向(
図1(B)に示した矢印の回転方向)に回転移動するように構成されている。
【0025】
この後、内容物が充填された包装フィルムF3は、ターンテーブル20から接線方向(
図1(B)において左水平方向)に送り出され、トップシール装置(トップシールロール)11により、包装フィルムF3の袋部の充填口(上方開口)に対して熱シールを施して熱圧着してトップシールを形成する。これにより、内容物が充填された上方開口の包装フィルム(連続包装袋)F3は、内容物が密封された連続包装袋F4とされる(
図1(A)、(B)参照)。
【0026】
その後、ミシン目装置15、カッター装置16により、サイドシールL2の中央付近にミシン目が入れられると共に所定数毎に包装袋を切断して複数の包装袋が連接された連接包装袋P1、P2(
図1(A))が生産される。
【0027】
図2(A)は、本発明に係る連続包装袋F4を
図1(A)平面で表示した図である。
本実施の形態では、連続包装袋F4のサイドシールL2にミシン目を入れるミシン目装置15が備えられている。連続包装袋F4は、所定寸法(ピッチ)Lにて、複数の包装袋が連接されている。なお、各図において、符号F5はクランプ搬送装置14で把持されて搬送されている連続包装袋を示し、符号F6はミシン目が施された連続包装袋を示している。
ミシン目装置15は、
図1(B)に示すように、及び
図2(B)に拡大して示すように、サーボモータ等により回転駆動されるミシン目カッター15Aとカッター受部15Bとにより、連続包装袋F4(F5)のサイドシールL2を表裏面の両側から挟み込むようにしてミシン目を入れるように構成されている。なお、ミシン目カッター15Aの外周には、ミシン目を入れるために所定間隔でカッター部と、受け部15Bから退避してサイドシールL2をカットしない退避部と、が形成されている。
【0028】
ここで、本実施の形態では、
図2(B)、(C)に示すように、ミシン目カッター15Aとカッター受部15Bとにより、連続包装袋F4(F5)のサイドシールL2を表裏両側から挟み込んでミシン目を入れるが、ミシン目を入れる際に、連続包装袋F4(F5)が、
図2(C)などの左右方向(連続包装袋の搬送方向)に関して所定にピンと張っていない(所定張力で引っ張られていない)と、ミシン目が斜めになったり確実にミシン目が入れられないなどの不具合が発生するおそれがある。特に、自動充填包装機の生産能力の向上の要請から搬送速度を高速化した場合にこのような不具合は顕著になる。
【0029】
なお、カット装置16においても同様である。カット装置16は、
図1(B)に示すように、及び
図2(B)に拡大して示すように、サーボモータ等により回転駆動されるカッター16Aとカッター受部16Bとにより、連続包装袋F4(F5)のサイドシールL2を表裏面の両側から挟み込むようにして所定数に連接した連接包装袋(P1,P2)毎にカットするように構成されている。なお、カッター16Aの外周がカッターとして機能するように構成されている。
【0030】
このため、本実施の形態では、連続包装袋F4(F5)を直線的に搬送しながらテンションを掛けることができるクランプ搬送装置14を備えて構成されている。クランプ搬送装置14は、
図1(A)、(B)に示すように、連続包装袋F4(F5)の直線的な搬送方向と一致する方向に移動する直線部分を有する無端(無終端)の連続体である無端(無終端)のチェーン(或いはベルトなど)141が備えられている。かかるチェーン(或いはベルトなど)141は、図示しないスプロケット(或いはプーリー)などに掛け回されて、水平面内(
図1(B)の平面内)において前記直線部分と円弧部分を有するように配設され、電動モータなどにより回転駆動される。
【0031】
このチェーン141には、所定間隔(ピッチ)L1にて、クランプ142(143,144,145)が取り付けられている。すなわち、連続包装袋F4(F5)の1袋毎の製品長さ(L)よりも僅かに長い間隔(L1)でクランプ142が無終端配置されている。
クランプ142は、例えば、洗濯バサミのような構造を有し、通常はスプリング(図示せず)等を介して先端(
図2(B)において下端)が閉じた閉状態に付勢されている一方、当該スプリングの付勢力に抗して先端が開いた開状態とされることが可能な構成を有し、連続包装袋F4(F5)のトップシール部を閉状態で掴み、開状態で解放することができるように構成されている。
なお、閉じた状態(閉状態)のクランプを符号142、開いた状態(開状態)のクランプを符号143、連続包装袋F4(F5)のトップシール部をクランプした状態(閉状態)のクランプを符号144、連続包装袋F4(F5、F6)を解放した状態(開状態)のクランプを符号145にて表す。
【0032】
そして、
図1(B)に示すように、スプロケットなどの外周の円弧状に沿って矢印B方向に回転移動されているクランプ142が、矢印B下流側に向けて移動されて、例えば、図示しないカム機構(或いは押圧機構)などを介して、クランプ142の基端側(
図2(C)、
図3(C)において符号144の上端側)の間隔をスプリングの付勢力に抗して狭めることで先端が開いた開状態のクランプ143とされる。
その後、当該クランプ143は矢印B方向に更に移動され、連続包装袋F4(F5)の搬送方向(チェーン141の直線部分)と一致された後、
図1(B)の符号144の位置にて、クランプ142の基端側を解放してクランプの先端を閉じ状態として連続包装袋F4(F5)のトップシール部を把持(或いは挟持)して、連続包装袋F4(F5)を下流方向に搬送する。
【0033】
なお、最初のクランプ144(
図2(C)の左端の符号144)で連続包装袋F4(F5)の対応するトップシール部を把持してトップシール装置12に対して連続包装袋F4(F5)を引っ張ってテンションを掛け(張り持たせ)、その後順に先に挟持したクランプ144に対してテンションを掛けながら最後のクランプ144(
図2(C)の右端の符号144)まで同様にテンションを掛けつつ、ミシン目を入れるため、クランプ144のチェーン141への取り付けピッチはL1(>L)とされ、連続包装袋F4(F5)の搬送速度よりも、L1/Lだけ速い速度で、各クランプ144は移動するようにチェーン141の駆動モータは制御される。
【0034】
このため、本実施の形態では、
図2(B)に示すように、サイドシールL2の製品搬送方向上流端からサイドシール中心C1までの距離L3に対して、サイドシールL2の製品搬送方向上流端からミシン目C2までの距離L4は、L5だけ短い状態、すなわち、所定に連続包装袋F4(F5)を引っ張ってテンションTを掛けた状態にて、ミシン目を入れるように構成されている。
【0035】
このようなミシン目の入れ方によると、
図2(C)に示すように、1包目のミシン目位置を真ん中に合わせた場合(1包目のミシン目位置C2をサイドシール中心C1と一致させL3(=L41)=10mmとした場合)、図中右隣のミシン目は0.4mm右方向にずれ(L42=9.6mm)、その右隣のミシン目は0.8mm右方向にずれ(L43=9.2mm)、更にその右隣のミシン目は1.2mm右方向にずれ(L44=8.8mm)、更にその右隣のミシン目は1.6mm右方向にずれ(L45=8.4mm)、更にその右隣のカット位置は2.0mm右方向にずれ(L46=8.0mm)てしまうことになる。L41、L42、L43、L44、L45、L46については、
図2(C)を参照。
【0036】
すなわち、例えば、
図2(C)のような6連包の場合、図中右側に進むほどミシン目の位置が徐々に累積して大きくずれると共に、6包目のカット位置は2mmもずれてしまい、サイドシールL2の幅が20mmとすると、カット線の右側が12mm、左側が8mmmと、左右で大きく相違してしまい、製品品質や見栄えが好ましくない状況となっていた。
なお、ここで説明に用いた数値は一例を示したものであり、包装袋やクランプの搬送速度、連接された包装袋(製品)の連接ピッチ、クランプの取り付けピッチなどに応じた数値となる。
【0037】
なお、
図1(A)に示すように、カット装置16にて複数の包装袋毎にカットされた連接包装袋(製品)P1、P2は、それぞれ第1の搬出スベリ台17、第2の搬出スベリ台18を介して搬出され、例えば箱詰などされる。但し、搬出スベリ台を一つのみとし、連接包装袋(製品)をP1(或いはP2)のみとすることも可能である。
【0038】
ここで、本実施の形態では、上述した連包の数が増えるにつれてミシン目位置やカット位置のずれ量が大きくなることを抑制するために、制御装置(操作パネル)19では、以下のような制御を行なう。
【0039】
本実施の形態では、横型ロータリー式自動充填包装機1において、クランプ搬送装置14で所定に張力を付与しながら(連続包装袋F4(F5’)を所定に伸張させながら)連続包装袋F4(F5’)を把持して搬送しつつ各包装袋間のサイドシールL2にミシン目を施すときに、1包装袋ごとに予め設定した「カット位置補正値」分だけ通常よりも早いタイミングにずらして(L6)ミシン目装置15によりミシン目を施し、且つ同じ連続包装袋F4内で1包ずつ補正値分を累積させて加算した分だけ早いタイミングにずらしてミシン目を施していき、1組分の最後で同じく累積補正した位置でカットを行い、カット後に累積させた分だけタイミングを遅らせて補正をリセットする(
図4(A)、(B)などを参照)。
【0040】
なお、ミシン目装置15を構成しているミシン目カッター15Aとカッター受部15Bはサーボモータ等により回転駆動されるが、その回転駆動制御は、連続包装袋F4の搬送や他の装置から独立しているため、サーボモータを制御することで、ミシン目の位置の調整(ミシン目を入れるタイミング)を適宜に他から独立して制御(設定変更)することが可能となっている。
【0041】
また、カット装置15も同様で、カッター16Aとカッター受部16Bは、サーボモータ等により回転駆動されるが、その回転駆動制御は、連続包装袋F4の搬送や他の装置から独立しているため、サーボモータを制御することで、カット位置の調整(カットのタイミング)を適宜に他から独立して制御(設定変更)することが可能となっている。
【0042】
このようなミシン目位置補正制御、カット位置補正制御について、
図4(B)に従って説明する。なお、当該制御は、制御装置19が行う。
ステップ(図ではSと記す。以下同様)1では、
図4(A)に示すように、制御装置(操作パネル)19に、カット位置補正量(ミシン目位置補正量)を入力する。ここでは、0.4mmを入力する。
なお、ミシン目位置補正量或いはカット位置補正量は、
図2(A)の連続包装袋F4の袋間ピッチLと
図2(C)のクランプの配設ピッチL1等から定まる各包装袋(ここでは、1包目~6包目)のミシン目位置或いはカット位置の基準値(言い換えると連続包装袋F4(F5’)を所定にテンションを掛けてミシン目を入れたりカットする際に伸びを考慮しないで設定される値)に対する補正量(補正値)である。
ステップ2では、ミシン目連接数を入力する。ここでは、連接数6を入力する。
ステップ3では、包装機1の運転を開始する。
ステップ4では、1包目:ミシン目位置(L41→L71:
図3(C)参照。以下同様)を0.4mm早める(補正累計-0.4mm)。すなわち、制御装置19が、1包目のミシン目を入れるタイミングを1包目の基準値に対して0.4mm(補正累計-0.4mm)早めるようにミシン目装置15の駆動を制御する。
ステップ5では、2包目:ミシン目位置(L72)を0.4mm早める(補正累計-0.8mm)。すなわち、制御装置19が、2包目のミシン目を入れるタイミングを2包目の基準値に対して0.4mm(補正累計-0.8mm)早めるように補正してミシン目装置15の駆動を制御する。
ステップ6では、3包目:ミシン目位置(L73)を0.4mm早める(補正累計-1.2mm)。すなわち、制御装置19が、3包目のミシン目を入れるタイミングを3包目の基準値に対して0.4mm(補正累計-1.2mm)早めるように補正してミシン目装置15の駆動を制御する。
ステップ7では、4包目:ミシン目位置(L74)を0.4mm早める(補正累計-1.6mm)。すなわち、制御装置19が、4包目のミシン目を入れるタイミングを4包目の基準値に対して0.4mm(補正累計-1.6mm)早めるように補正してミシン目装置15の駆動を制御する。
ステップ8では、5包目:ミシン目位置(L75)を0.4mm早める(補正累計-2.0mm)。すなわち、制御装置19が、5包目のミシン目を入れるタイミングを5包目の基準値に対して0.4mm(補正累計-2.0mm)早めるように補正してミシン目装置15の駆動を制御する。
ステップ9では、6包目:カット位置(L76)を0.4mm早める(補正累計-2.4mm)。すなわち、制御装置19が、6包目のサイドシールL2をカットする6包目の基準値に対してタイミングを0.4mm(補正累計-2.4mm)早めるように補正してカット装置16の駆動を制御する。
ステップ10では、補正をリセットして(補正累計0mm)、ステップ4へ戻り、次の連続包装袋F4のミシン目及びカットを行う。
【0043】
なお、カット装置16によりカットして製品P1(或いはP2)を生産した後は、例えば、図示しないカム機構(或いは押圧機構)などを介して、クランプ144の基端側(
図2(C)、
図3(C)において符号144の上端側)の間隔をスプリングの付勢力に抗して狭めることで先端が開いた開状態のクランプ145として、連続包装袋F4(F6’)を製品P1(或いはP2)として解放する(
図1(A)参照)。
その後、当該クランプ145はその基端側を解放してクランプの先端を閉じ状態のクランプ142とされて、再び連続包装袋F4(F5’)のトップシール部を挟持するためにチェーン141により循環される。
【0044】
このように、連接包装袋P1(或いはP2)の連接数に応じてミシン目位置及びカット位置の補正を行うことができるようにしたので、製品のカット品質を保持しつつ、包装袋1包毎のミシン目位置とカット位置を一定に保つことが可能となるため、高品質な連接包装袋の製造(生産)が可能となる。
【0045】
本実施の形態では、ミシン目装置15、カット装置16として、カッターを回転させてミシン目を入れたりカットする場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、カッターを押圧させてミシン目を入れたり、カッターをスライドさせてカットしたりするような装置を採油することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、ミシン目装置15、カット装置16を共に備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カット装置16のみを備えた構成とすることもできる。
【0047】
なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0048】
1:横型ロータリー式自動充填包装機
2:本体
3:包装フィルム原反ロール支持軸(使用中)
4:包装フィルム原反ロール支持軸(待機中)
5:包材送り装置
6:製袋ガイド
7:サイドシール装置
8:充填シュート
9:ホッパー
10:計量装置
11:予熱装置
12:トップシール装置
13:ノッチ装置
14:クランプ搬送装置
15:ミシン目装置
16:カッター装置
17:第1のスベリ台
18:第2のスベリ台
19:操作パネル(制御装置)
20:ターンテーブル
F1 :ロール状の包装フィルム(使用中)
F1’:ロール状の包装フィルム(待機中)
F2 :帯状の包装フィルム
F3 :上部開口した連続包装袋
F4 :連続包装袋
F5 :クランプ搬送装置で把持されて搬送されている連続包装袋
F6 :ミシン目が施された連続包装袋
P1 :複数個連なってカットされた連切包装袋(第1の搬出口から搬出)
P2 :複数個連なってカットされた連切包装袋(第2の搬出口から搬出)
141:チェーン
142:閉じたクランプ
143:開いたクランプ
144:閉じて製品を把持したクランプ
145:開いて製品を搬出スベリ台へ落下させたクランプ
L :センター間の袋ピッチ
L1 :クランプに引っ張られたセンター間の袋ピッチ
L2 :サイドシール
L3 :シール縁からシール中心までの距離
L4 :シール縁からミシン目位置までの距離
L5 :ミシン目の遅延距離(L3-L4)
L6 :補正した距離
L7 :補正したシール縁からミシン目位置までの距離
L41:第1のミシン目位置
L42:第2のミシン目位置
L43:第3のミシン目位置
L44:第4のミシン目位置
L45:第5のミシン目位置
L71:第1の補正ミシン目位置
L72:第2の補正ミシン目位置
L73:第3の補正ミシン目位置
L74:第4の補正ミシン目位置
L75:第5の補正ミシン目位置