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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070246
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】自動精算システム
(51)【国際特許分類】
   G07F 15/00 20060101AFI20230512BHJP
   G07G 1/14 20060101ALI20230512BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20230512BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20230512BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20230512BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230512BHJP
【FI】
G07F15/00
G07G1/14
G07F9/10 C
H05K5/02 L
H05K5/03 A
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182292
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】591231421
【氏名又は名称】コモタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】莊司 悦史
【テーマコード(参考)】
3E044
3E047
3E142
4E360
5L049
【Fターム(参考)】
3E044AA20
3E044FB01
3E044FB14
3E047HA07
3E047JA02
3E047KA01
3E047KA04
3E142AA06
3E142HA03
3E142HA13
3E142JA02
4E360AB64
4E360BA03
4E360BC05
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA05
4E360EB03
4E360ED02
4E360FA02
4E360FA13
4E360GA29
4E360GB25
4E360GB99
4E360GC08
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】複数の自動精算機を含み、精算に係る情報を処理するサーバと接続するルーターを搭載した通信親機と、この通信親機と接続する通信子機とを備えてなる自動精算システムを、比較的低コストで簡単に構築する。
【解決手段】通信親機11は親機用アンテナを搭載して無線通信可能なものとし、通信子機12も子機用アンテナを搭載して無線通信可能なものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動精算機を含む自動精算システムであって、
精算に係る情報を処理するサーバを含む外部ネットワークに接続可能なルーター、前記接続を無線で行うためのルーター用アンテナ部、および前記ルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載した通信親機と、
前記通信親機のルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載した通信子機と、
を備えたことを特徴とする自動精算システム。
【請求項2】
前記複数の自動精算機が給油スタンドに設置されたものであり、
前記通信親機が、前記複数の自動精算機の中の少なくとも1台に設置され、
前記通信子機が、前記通信親機が設置された自動精算機以外の自動精算機にそれぞれ設置されている、
請求項1に記載の自動精算システム。
【請求項3】
前記通信親機および/または前記通信子機に設けられたアンテナ部が、前記自動精算機の筐体の頂部上に設置されており、
前記頂部上に設置されたアンテナ部を覆って該アンテナ部への水の流入を防止する防水カバーと、
前記防水カバーに遮られて該防水カバーの側方に流れた水を、前記筐体の外側を流れるように案内する水路と、
が設けられている請求項1または2に記載の自動精算システム。
【請求項4】
前記通信親機が有する前記近距離無線通信用アンテナ部として、前記通信子機に用いられたものと同じ構成の近距離無線通信用アンテナ部が用いられている請求項1から3のいずれか1項に記載の自動精算システム。
【請求項5】
前記通信親機のルーター用アンテナ部がLTEアンテナからなり、
前記通信親機および通信子機の近距離無線通信用アンテナ部がWiFiアンテナからなる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の自動精算システム。
【請求項6】
前記通信子機または通信親機の近距離無線通信用アンテナ部が取り付けられたアンテナ基部が、一方向に延びる回転軸の周りを回転可能に形成され、
上記アンテナ基部の回転位置を固定する固定手段が設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の自動精算システム。
【請求項7】
前記通信親機に、該通信親機の前記近距離無線通信用アンテナ部と無線通信するためのさらなる親機内アンテナ部が設けられている請求項1から6のいずれか1項に記載の自動精算システム。
【請求項8】
通信親機および通信子機からなり、複数の自動精算機を含む自動精算システムを構成する前記通信親機であって、
精算に係る情報を処理するサーバを含む外部ネットワークに接続可能なルーター、前記接続を無線で行うためのルーター用アンテナ部、および前記ルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載してなる通信親機。
【請求項9】
通信親機および通信子機からなり、複数の自動精算機を含む自動精算システムを構成する前記通信子機であって、
前記通信親機に設けられたルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載してなる通信子機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動精算システムに関し、特に詳細には、精算に係る情報を処理するサーバと接続する通信親機、およびこの通信親機と情報交換する通信子機を備えてなる自動精算システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されているように、銀行等における精算に係る情報やカード情報等を処理するシステムにおいて、情報処理するコンピュータ(サーバ)に接続する通信親機と、この通信親機と情報交換する通信子機とを備えてなるシステムが知られている。他方、屋外に設置された自動販売機に通信機器を取り付け、この通信機器や公衆回線等を介して遠隔地のコンピュータと携帯端末との間で無線通信するシステムも知られている(特許文献2および3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-107579号公報
【特許文献2】特許第5005842号公報
【特許文献3】特開2016-194884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような通信親機と通信子機とを備えてなる従来の自動精算システムにおいては、通信親機と通信子機とを接続する有線回路の敷設に多大な費用や時間を要することから、システムを低コストで簡単に構築することが困難になっていた。本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、通信親機と通信子機とを備えてなる自動精算システムを、低コストで簡単に構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による自動精算システムは、
複数の自動精算機を含む自動精算システムであって、
精算に係る情報を処理するサーバを含む外部ネットワークに接続可能なルーター、前記接続を無線で行うためのルーター用アンテナ部、および前記ルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載した通信親機と、
前記通信親機のルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載した通信子機と、
を備えたことを特徴とするものである。なお好ましくは通信親機において、上記近距離無線通信用アンテナ部と無線通信するためのさらなる親機内アンテナが設けられる。
【0006】
上記構成を有する本発明の自動精算システムは、
複数の自動精算機が、給油スタンドに設置されたものであり、
通信親機が、上記複数の自動精算機の中の少なくとも1台に設置され、
通信子機が、通信親機が設置された自動精算機以外の自動精算機にそれぞれ設置されて、給油スタンド用の自動精算システムとされることが望ましい。
【0007】
また、本発明の自動精算システムにおいては、
通信親機および/または通信子機に設けられたアンテナ部が、自動精算機の筐体の頂部上に設置されており、
上記頂部上に設置されたアンテナ部を覆って該アンテナ部への水の流入を防止する防水カバーと、
上記防水カバーに遮られて該防水カバーの側方に流れた水を、上記筐体の外側を流れるように案内する水路と、
が設けられていることが望ましい。
なお、上記の「通信親機に設けられたアンテナ部」とは、通信親機に設けられたルーター用アンテナ部と近距離無線通信用アンテナとの双方を意味し、そして特に前述した親機内アンテナが設けられた場合はそれも含んで意味するものであり、「通信子機に設けられたアンテナ部」とは通信子機に設けられた近距離無線通信用アンテナ部を意味するものである。
【0008】
また本発明の自動精算システムにおいては、通信親機が有する近距離無線通信用アンテナ部として、通信子機に用いられたものと同じ構成の近距離無線通信用アンテナ部が用いられていることが望ましい。そして、通信親機のルーター用アンテナ部はLTEアンテナからなり、通信親機および通信子機の近距離無線通信用アンテナ部はWiFi(登録商標)アンテナからなることが望ましい。
【0009】
また本発明の自動精算システムにおいては、
通信親機または通信子機の近距離無線通信用アンテナ部が取り付けられたアンテナ基部が、一方向に延びる回転軸の周りを回転可能に形成され、
上記アンテナ基部の回転位置を固定する固定手段が設けられている、
ことが望ましい。
【0010】
本発明はさらに、上述のような自動精算システムを構成する通信親機を提供するものである。この本発明による通信親機は、精算に係る情報を処理するサーバを含む外部ネットワークに接続可能なルーター、上記接続を無線で行うためのルーター用アンテナ部、および上記ルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載してなるものである。
【0011】
本発明はさらに、上述のような自動精算システムを構成する通信子機を提供するものである。この本発明による通信子機は、通信親機に設けられたルーターと無線通信する近距離無線通信用アンテナ部を搭載してなるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動精算システムにおいては、通信親機と通信子機とを無線接続可能としたので、通信親機と通信子機とを接続するための有線回路の敷設が不要となり、そこでこの自動精算システムは比較的低コストでかつ簡単に構築可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による自動精算システムを示す概略構成図
図2図1のシステムにおける無線アンテナ部を示す斜視図
図3図2に示した無線アンテナ部の一つを拡大して詳しく示す斜視図
図4図1のシステムにおける防水カバーおよび水路を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による自動精算システム1の全体構成を示す概略図である。この自動精算システム1は一例として、自動車用の給油スタンドに設置された自動精算機による精算のために設けられたものであり、精算に係る情報を処理するサーバ10と、例えば1台の通信親機11と、複数(図1では一例として3台)の通信子機12と、通信親機11をサーバ10に接続する有線接続網13と、通信親機11をサーバ10に接続する無線接続網14とを備えて構成されている。
【0015】
上記通信親機11および各通信子機12はそれぞれ、給油スタンドに設置された複数の自動精算機20のうちの1台に設置されている。より詳しくは、自動精算機20は通常のものと同様に筐体を有し、この筐体の頂部となる筐体天板の上に通信親機11や通信子機12が設置されている。なお、給油スタンドにおいて多数の自動精算機20が散在し、それらの散在した自動精算機20の上にそれぞれ通信子機12が設置されるような場合は、各通信子機12との無線接続をより確実にするために、2台以上の自動精算機20の上にそれぞれ通信親機11が設けられてもよい。
【0016】
通信親機11には、IoT(Internet of Things)基板11aおよびルーター11bが搭載されている。一方通信子機12の各々にルーターは搭載されず、IoT基板12aが搭載されている。なお、IoT基板11aには後述する近距離無線通信用アンテナ部が接続され、IoT基板12aにも後述する近距離無線通信用アンテナ部が接続されているが、図1ではそれらのアンテナ部は省いている。本実施形態において通信親機11は、ルーター11bおよび図示しないルーター用アンテナ部を除いては基本的に通信子機12と同様の構成を有し、IoT基板11aとそれに接続される近距離無線通信用アンテナ部として、IoT基板12aとそれに接続される近距離無線通信用アンテナ部を流用している。この点については後に詳述する。
【0017】
IoT基板11a、12aはそれぞれ所定のプログラムがインストールされたものであり、自動精算機20に本来設けられている図示外の精算機制御基板と接続されている。この接続は、一般的な電気工事によって行われてもよいし、あるいは予め設けたIoT基板11a、12a側のコネクタと、精算機制御基板側のコネクタとを結ぶことによって簡単に行うこともできる。精算機制御基板は、自動精算機20に設けられた現金投入口やクレジットカード受入口を介して受け取った現金あるいはクレジットカード情報と、例えば自動精算機20に隣接された給油機から通知された油種や給油量とに対応して、釣銭払い出しを含む通常の精算処理を行うためのものである。
【0018】
上記有線接続網13および無線接続網14は、閉域網15を介してサーバ10に接続されている。サーバ10は、通信親機11および通信子機12が設置された給油スタンドとは離れた精算センターのような所に設置されて、その給油スタンドや、あるいはその給油スタンドを含む系列の複数給油スタンドについて、精算に係る全ての処理を一元管理かつ閲覧するための処理を行う。
【0019】
有線接続網13は、通信親機11のルーター11bが接続するLAN(Local Area Network)16と、このLAN16に接続したONU(Optical Network Unit)17と、このONU17と閉域網15との間に介在する光回線18とから構成されている。一方無線接続網14はLTE無線通信網19からなり、通信親機11のルーター11bと上記閉域網15とを無線接続するものである。なお、無線通信網は、LTEに限るものではなく、通信速度、容量など、通信品質において、支障のないものを適宜選べばよい。
以上の通り本実施形態において通信親機11のルーター11bは、有線接続網13と無線接続網14のどちらを介してもサーバ10に接続可能とされている。
【0020】
次に図2および図3を参照して、前述した親機用アンテナおよび子機用アンテナについて詳述する。図2は、通信親機11が載置された自動精算機20の筐体頂部を示している。この筐体は、4枚の筐体側板21および1枚の筐体天板22を有して概略直方体状に形成されたものであり、筐体天板22の上にはIoTユニット用アンテナ部30と、親機内アンテナとしてのIoT接続用アンテナ部50と、ルーター用アンテナ部55とが取り付けられている。ルーター用アンテナ部55内には、ルーターを外部ネットワークに接続するためのルーター用アンテナ(図示せず)が収容されている。なお上記筐体の内部には、図1に示したIoT基板11aおよびルーター11bが配置されている。
【0021】
なお通信子機12が載置される自動精算機20の筐体頂部については特に図示していないが、ルーター11bが設けられていない通信子機12に対してルーター用アンテナ部55およびIoT接続用アンテナ部50は設けられていない。その点を除いて通信子機12と通信親機11とは互いに基本的に同じ構成とされている。それにより、通信子機12と通信親機11の各構成を大部分共用できるので、自動精算システム1のコストを抑える上で有利となる。
【0022】
IoTユニット用アンテナ部30は、図1に示した通信親機用IoT基板11aおよび通信子機用IoT基板12aに対してそれぞれ設けられた親機用(通信子機12にあっては子機用)近距離無線通信用アンテナ部であり、複数の取付けネジ31で筐体天板22の上に取り付けられた固定板32と、通信親機用IoT基板11aに電気的に接続する例えば2本のWiFiアンテナ34とを有している。一方IoT接続用アンテナ部50は、ルーター11bに対して設けられた親機内アンテナであり、複数の取付けネジ51で筐体天板22の上に取り付けられた固定板52と、ルーター11bに電気的に接続する例えば3本のアンテナ54とを有している。3本のアンテナ54はWiFiアンテナである。また、ルーター用アンテナ部55内に配された図示外のルーター用アンテナはLTEアンテナである。
【0023】
上記のWiFiアンテナ34および3本のアンテナ54は、無線LANを構築するために、図1に示した通信親機用IoT基板11aや通信子機用IoT基板12aと共に、WiFi規格に準拠した構成を有している。なお、無線LANを構築するためには、上記のようにWiFi規格に準拠した構成に限らずにその他の規格、例えばBLUETOOTH(登録商標)規格に準拠した構成が適用されてもよい。一方ルーター用アンテナ部55内のLTEアンテナは、図1に示したLTE無線通信網19の一部を構成するものである。図1に示した通信親機用IoT基板11aと閉域網15との間の距離が比較的短いような場合は、無線接続網14をWiFi接続網として、ルーター用アンテナ部55のアンテナとしてWiFiアンテナを使用するようにしてもよい。
【0024】
ここで図3を参照して、WiFiアンテナ34の取り付けに関して詳しく説明する。固定板32の上面には側面形状がL字形であるアンテナ基部33が固定され、前述した2本のWiFiアンテナ34はこのアンテナ基部33に取り付けられている。各WiFiアンテナ34はこの種の多くのアンテナと同様に長軸方向に伸縮自在とされ、またその根元部はアンテナ基部33に対して長軸周りに回転自在とされている。固定板32には、固定ネジ35が通される1個のネジ孔(図示せず)と、そのネジ孔を中心とする弧上に配されたネジ孔32aが設けられている。ネジ孔32aは、一例として30°の等角度ピッチで7個設けられている(図では6個のみ表示)。
【0025】
アンテナ基部33を固定板32に取り付ける際には、アンテナ基部33の底部(横向きに延びている部分)に形成された図示外の円孔および上記1個のネジ孔に上方から固定ネジ35が通された後、その固定ネジ35を中心にしてアンテナ基部33が鉛直軸周りに回転される。それにより、2本のWiFiアンテナ34の向きを変えることができる。このようにして変えられたアンテナ基部33の回転位置、つまりWiFiアンテナ34の向きは、上記7個のネジ孔32aの一つに螺合させた固定ネジ36を締め付けることにより固定される。つまり本実施形態では、7個のネジ孔32aが形成されている固定板32、および固定ネジ36により、アンテナ基部33の回転位置を固定する固定手段が構成されている。
【0026】
以上の通りにして2本のWiFiアンテナ34の向きを変えるのは、基本的に、前述した複数の通信子機12の各々において行えばよい。一般の給油スタンドにおいて、通信子機12が取り付けられる複数の自動精算機20は、通信親機11が取り付けられる1台の自動精算機20に対してそれぞれ異なった方向に設置される。そこで、通信子機12側のWiFiアンテナ34の向きを変え得るようにしておけば、通信親機11と通信子機12との間の無線通信をより確実かつ正確に実行可能となる。なお、通信親機11においても必要に応じてWiFiアンテナ34の向きを同様に変え得るようにしてもよい。
【0027】
次に図4を参照して、上記IoTユニット用アンテナ部30やルーター用アンテナ部55等の浸水被害を防止する構成について説明する。給油スタンドにおいては一般に、自動精算機20は屋外に設置されるので、通信親機11や通信子機12を構成するIoTユニット用アンテナ部30や親機内アンテナとしてのIoT接続用アンテナ部50とルーター用アンテナ部55は雨や雪等に曝される可能性が高い。その点を考慮して本実施形態では、図4に示す防水カバー40が自動精算機20の頂部上に設置されている。自動精算機20の頂部上とは、より詳しくは図2に示した筐体天板22(図4では不図示)の上のことである。
【0028】
図4に示す防水カバー40は例えば合成樹脂から形成されたもので、横方向に延びる2つの裾部41と、該裾部41の間から上方に向かって突出した内部空間を有するカバー部42と、裾部41の図中左右端部を取り囲むように概略コ字状に若干盛り上がった縁部43および44とを有する。この防水カバー40は例えば4個の固定ネジ45によって、上記筐体天板22の上に固定される。なお図2には、防水カバー40の高さ位置や横方向位置を規定するための4個の位置規定突部23を示す。
【0029】
上述のような防水カバー40が固定されることにより、図2に示したIoTユニット用アンテナ部30や親機内アンテナとしてのIoT接続用アンテナ部50とルーター用アンテナ部55は、カバー部42の内部空間内に収められることになる。そこで、電気的構成であるアンテナ部30、50および55やそれらに接続する導線等が雨や雪等に曝されることがなくなり、雨水や雪融け水によるショート等の不具合発生が防止される。なお、上記アンテナ部30、50および55の他に、通信親機11や通信子機12の一部を構成する回路部分が筐体天板22の上に設置されるような場合も、上記カバー部42により同様の効果を得ることができる。
【0030】
なお概略コ字状に若干盛り上がった縁部43および44は、カバー部42に近接した部分で低く形成されて、その部分は凹部43a、44aとなっている。そこで、カバー部42に遮られて該カバー部42の側方に流れた雨水等の水は、上記凹部43a、44aを通って筐体側板21の外側を流れるように案内される。つまり本実施形態では、カバー部42の側外方を取り囲む形状とされると共に、上記凹部43a、44aが設けられた縁部43および44により、カバー部42の側方に流れた水を、自動精算機20の筐体の外側を流れるように案内する水路が構成されている。
【0031】
本実施形態では、通信親機11と通信子機12との間の情報交換が無線でなされるように構成されているので、この情報交換のために長い有線回路を敷設する必要がなく、よって自動精算システム1を比較的低コストで容易に構築することが可能になる。
【0032】
次に、本実施形態の自動精算システム1によってなされ得る処理について説明する。通信親機11あるいは通信子機12が設置される自動精算機20が行う通常の精算処理は、前述した通り、各自動精算機20に本来設けられている精算機制御基板によってなされるので、以下では主に通信親機11および通信子機12に関連する処理について説明する。
【0033】
<情報集配信処理(1)>
各自動精算機20において通信、取引、エラー等の処理が行われると、その自動精算機20の精算機制御基板(所定のプログラムがインストールされている)から、該自動精算機20の上に設置された通信親機11のIoT基板11aあるいは、該自動精算機20の上に設置された通信子機12のIoT基板12aにその処理のログが送信される。IoT基板11aおよびIoT基板12aは、送信されたそのログを保存しておく。
【0034】
通信親機11のIoT基板11aは、保存したログが所定の件数に達した場合、ログを保存している時間が所定時間に達した場合、あるいは通信親機11が設置された自動精算機20の精算機制御基板からログ送信指令が入力された場合等には、保存しているログ全てを、IoTユニット用アンテナ部30およびIoT接続用アンテナ部50を介した無線通信によりルーター11bに送る。一方通信子機12のIoT基板12aは、同様に保存しているログ全てを、該通信子機12のIoTユニット用アンテナ部30および通信親機11のIoT接続用アンテナ部50を介した無線通信によりルーター11bに送る。ルーター11bはこのログを前述した有線接続網13を介してサーバ10に送る。あるいはルーター11bは上記ログを、ルーター用アンテナ部55内のLTEアンテナを含む無線接続網14を介してサーバ10に送る。サーバ10は閲覧要求が入力されると、このログを図示外のモニターに表示させたり、図示外のプリンタによって用紙に印刷させたりする。
【0035】
<情報集配信処理(2)>
以上説明した情報集配信処理(1)では、IoT基板11aやIoT基板12aが、保存したログが所定の件数に達する等の条件が満たされたとき、保存しているログをサーバ10に送るようになっているが、本情報集配信処理(2)ではログを送る指令がサーバ10からIoT基板11aまたはIoT基板12aに送られる。この指令は上記と同様の条件が満たされたとき自動的に発せられるようにしてもよいし、あるいは、必要に応じてサーバ10にログ閲覧要求が入力されたとき発せられるようにしてもよい。
【0036】
<機器設定内容の送出処理>
各自動精算機20においては、例えば受け入れ可能な貨幣や、該自動精算機20の表示部の音量、表示輝度等の設定内容が変更されることがある。この設定内容変更がなされると、その自動精算機20の精算機制御基板から、該自動精算機20の上に設置された通信親機11のIoT基板11aあるいは、該自動精算機20の上に設置された通信子機12のIoT基板12aに、変更された設定内容が送信され、保存される。さらに、必要に応じて、通信親機11のIoT基板11aはこうして送信されて来た設定内容を、通信親機用のIoTユニット用アンテナ部30および通信親機11のIoT接続用アンテナ部50を介した無線通信によりルーター11bに送る。
【0037】
一方通信子機12のIoT基板12aは送信されて来た設定内容を、通信子機用のIoTユニット用アンテナ部30および通信親機11のIoT接続用アンテナ部50を介した無線通信によりルーター11bに送る。ルーター11bは、この設定内容を前述したログと同様に、有線接続網13を介してサーバ10に送る。あるいはルーター11bは上記設定内容を、ルーター用アンテナ部55内のLTEアンテナを含む無線接続網14を介してサーバ10に送り、保存することもできる。
【0038】
各自動精算機20の精算機制御基板は、例えば基板の一部が破損した場合等において、破損前の上記設定内容を必要とすることがある。それに備えて通信親機11のIoT基板11aおよび通信子機12のIoT基板12aは、自動精算機20毎に上記設定内容を保存している。そしてIoT基板11aおよびIoT基板12aは、破損した精算機制御基板が正常なものに交換された後に、保存している設定内容を精算機制御基板に送信して再設定させる。この場合、必要に応じて、サーバ10に送信されて保管されていた設定内容を利用することもできる。
【0039】
<バージョンアップ処理>
自動精算機20の精算機制御基板にインストールされているプログラムは、適宜バージョンアップすることが望まれる。またIoT基板12aやIoT基板11aにインストールされているプログラムも同様である。サーバ10は、そのためのバージョンアップファイルを取得した後、該バージョンアップファイルを、有線接続網13あるいは無線接続網14を介してルーター11b、IoT接続用アンテナ部50、および親機用IoTユニット用アンテナ部30経由で通信親機11のIoT基板11aに無線送信する。
【0040】
またサーバ10は、取得したバージョンアップファイルを、有線接続網13あるいは無線接続網14を介してルーター11b、IoT接続用アンテナ部50、および子機用IoTユニット用アンテナ部30経由で通信子機12のIoT基板12aに無線送信する。さらにサーバ10は、取得したバージョンアップファイルを上記と同様にして、通信親機11が設けられている自動精算機20、あるいは通信子機12が設けられている自動精算機20の精算機制御基板に送信する。
【0041】
通信親機11が設置されている自動精算機20や、通信子機12が設置されている自動精算機20の精算機制御基板は、こうして送られて来たバージョンアップファイルに基づいて、自身でバージョンアップを実行する。また、IoT基板12aやIoT基板11aも、上述のようにして送られて来たバージョンアップファイルに基づいて、自身でバージョンアップを実行する。
【符号の説明】
【0042】
1 自動精算システム
10 サーバ
11 通信親機
11a 通信親機のIoT基板
11b ルーター
12 通信子機
12a 通信子機のIoT基板
13 有線接続網
14 無線接続網
15 閉域網
16 LAN
17 ONU
18 光回線
19 LTE無線通信網
20 自動精算機
21 筐体側板
22 筐体天板
23 位置規定突部
30 IoTユニット用アンテナ部
31 取付けネジ
32 固定板
34 WiFiアンテナ
40 防水カバー
41 防水カバーの裾部
42 防水カバーのカバー部
43、44 防水カバーの縁部
43a、44a 縁部の凹部
50 IoT接続用アンテナ部
51 取付けネジ
52 固定板
54 アンテナ
55 ルーター用アンテナ部
図1
図2
図3
図4