(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070261
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】酸性組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/48 20060101AFI20230512BHJP
A01P 1/00 20060101ALN20230512BHJP
A01P 3/00 20060101ALN20230512BHJP
A01N 31/08 20060101ALN20230512BHJP
A01N 43/80 20060101ALN20230512BHJP
A01N 43/78 20060101ALN20230512BHJP
A01N 25/30 20060101ALN20230512BHJP
【FI】
C11D3/48
A01P1/00
A01P3/00
A01N31/08
A01N43/80 102
A01N43/78 101
A01N25/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182317
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 安貴子
(72)【発明者】
【氏名】大島 務
(72)【発明者】
【氏名】川尻 由美
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003AC13
4H003DA05
4H003DA06
4H003DA08
4H003DA09
4H003DA17
4H003EA03
4H003EB07
4H003ED02
4H003FA01
4H003FA27
4H003FA34
4H011AA02
4H011AA04
4H011BB03
4H011BB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】次亜塩素酸塩等を含有する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤と併用されたり、混合されたときに発生する塩素ガスの量を抑制する効果を発揮することができる酸性組成物を提供する。
【解決手段】含炭素二重結合界面活性剤を含有する酸性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含炭素二重結合界面活性剤を含有する酸性組成物。
【請求項2】
前記含炭素二重結合界面活性剤は、A/B≧0.010(A;含炭素二重結合界面活性剤中の二重結合を形成する炭素原子の総原子量、B;含炭素二重結合界面活性剤の分子量)を満たす請求項1に記載の酸性組成物。
【請求項3】
前記含炭素二重結合界面活性剤は、ポリオキシエチレン構造及び/又はポリオキシプロピレン構造を有する請求項1又は2に記載の酸性組成物。
【請求項4】
前記含炭素二重結合界面活性剤は、ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレンの付加モル数が1以上20以下である請求項3に記載の酸性組成物。
【請求項5】
酸性洗浄剤、酸性消臭剤、酸性除菌剤及び酸性ウイルス除去剤からなる群より選択される1種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の酸性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室、トイレの汚れ成分は人体から分泌される有機物質、脂肪酸金属塩、リン酸カルシウム、酸化鉄等であることが知られている。また、台所の流し台等に使用されるステンレス面やアルミサッシのアルミ面等の金属表面のくもり汚れは空気中の酸素によって次第にそれらの金属表面が酸化されて酸化被膜を形成し、そのことにより、本来の金属表面の輝きが失われてくもり汚れになると考えられている。従来、これらの汚れを除去する洗浄剤としては、酢酸等のカルボン酸やグリコール酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸または塩酸等の無機酸を主成分とした酸性洗浄剤が知られている。
【0003】
しかしながら、酸性洗浄剤の場合はこれらの汚れに対する除去効果は優れているものの、使用者が誤って次亜塩素酸塩等を含有する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤と併用したり、混合したときに塩素ガスが発生し、人体に対する危険性が伴うという問題点があった。
【0004】
本出願人らは、これまである種のカルボン酸(特許文献1)や、ある種のテルペン化合物(特許文献2)を配合することで、浴室やトイレ等に存在する汚れに対して優れた洗浄性を有し、しかも次亜塩素酸塩を含有する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤と併用されたり、混合されたときに発生する塩素ガスの量を低減させた酸性洗浄剤に関する発明を出願している。
【0005】
しかし、これら開示の発明では、使用できる酸に制限があり(特許文献1)、テルペン化合物を、別途添加する必要があるため製造コストが上がってしまう(特許文献2)
ため、必ずしも満足のいくものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-202394号公報
【特許文献2】特開平7-113099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、次亜塩素酸塩等を含有する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤と併用されたり、混合されたときに発生する塩素ガスの量を抑制する効果を発揮することができる酸性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、酸性組成物中の含炭素二重結合界面活性剤が、酸性組成物と次亜塩素酸塩等を含有する溶液を混合したときに発生する塩素ガスを抑制する効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の発明に関するものである。
(1)含炭素二重結合界面活性剤を含有する酸性組成物。
(2)前記含炭素二重結合界面活性剤は、A/B≧0.010(A;含炭素二重結合界面活性剤中の二重結合を形成する炭素原子の総原子量、B;含炭素二重結合界面活性剤の分子量)を満たす(1)に記載の酸性組成物。
(3)前記含炭素二重結合界面活性剤は、ポリオキシエチレン構造及び/又はポリオキシプロピレン構造を有する(1)又は(2)に記載の酸性組成物。
(4)前記含炭素二重結合界面活性剤は、ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレンの付加モル数が1以上20以下である(3)に記載の酸性組成物。
(5)酸性洗浄剤、酸性消臭剤、酸性除菌剤及び酸性ウイルス除去剤からなる群より選択される1種以上である、(1)~(4)のいずれか1に記載の酸性組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の酸性組成物は、次亜塩素酸塩等を含有する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤と併用されたり、混合されたときに発生する塩素ガスの量を抑制する効果を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の酸性組成物について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0012】
本発明は、含炭素二重結合界面活性剤を含有する酸性組成物に関する。本発明では、酸性組成物中の含炭素二重結合界面活性剤が、酸性組成物と次亜塩素酸塩等を含有する溶液を混合したときに発生する塩素ガスを抑制する効果を示すものである。
【0013】
本発明において、含炭素二重結合界面活性剤とは、分子内に炭素原子炭素原子間の二重結合構造を有する界面活性剤のことである。かかる含炭素二重結合界面活性剤は、芳香族性の二重結合を有しても、非芳香族性の二重結合を有しても良いが、非芳香族性の二重結合を有することが好ましい。
【0014】
含炭素二重結合界面活性剤は、含炭素二重結合界面活性剤中の二重結合を形成する炭素原子の総原子量Aと、含炭素二重結合界面活性剤の分子量Bとが、A/B≧0.010であることが好ましく、0.500≧A/B≧0.020であることがより好ましく、0.400≧A/B≧0.030であることがさらに好ましい。A/Bが、上記範囲にあることで、次亜塩素酸塩等を含有する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤と併用されたり、混合されたときに発生する塩素ガスの量を抑制する効果により優れたものとなる。なお、酸性組成物中に複数の含炭素二重結合界面活性剤が含有している場合、含炭素二重結合界面活性剤中の少なくとも1つのA/Bが上記範囲にあることが好ましい。
【0015】
ここでA/Bについて例を挙げて説明する。含炭素二重結合界面活性剤がPOE(2)オレイルアミンである場合は、炭素原子炭素原子間の二重結合が1つであるため、Aは12×2=24であり、Bは分子量356であるため、A/B=24/356=0.067となる。また、含炭素二重結合界面活性剤がPOE(2)牛脂アミンのように数種のPOE(2)飽和炭化水素アミンとPOE(2)不飽和炭化水素アミンとの混合物で1つの界面活性剤である場合は、各成分のA/Bを基にして、各成分の含炭素二重結合界面活性剤中の配合率を重みとした加重平均値がとしてA/Bが求められる。例えば、POE(2)牛脂アミンが、POE(2)オレイルアミンとPOE(2)ステアリルアミンの1:1の混合物である場合、A/B=(0.067×0.5)+0×0.5=0.034となる。
【0016】
このような含炭素二重結合界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン(2)オレイルアミン(商品名;リポノールO/12DJ、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(15)オレイルアミン(商品名;リポノールO/25、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(2)牛脂アミン(商品名;リポノールT/12、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(15)牛脂アミン(商品名;リポノールT/25、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(2)ココアルキルアミン(商品名;リポノールC/12、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレンアルキル(ヤシ)アミン(商品名;ナイミーンF-202、日油株式会社)、ポリオキシエチレン(3)牛脂プロピレンジアミン(商品名;ブラウノンDT-03、青木油脂工業株式会社)等のポリオキシエチレン不飽和アルキルアミン、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(商品名;ブラウノンEN-1502、青木油脂工業株式会社製)等のポリオキシエチレン不飽和アルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(商品名;ソルゲンTW-80、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート(商品名;ニューコール3-85、日本乳化剤株式会社製)等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和カルボン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(商品名;ノイゲンEA-87、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル(商品名;アクアロンAN-10、第一工業製薬株式会社製)等のポリオキシエチレン置換フェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(商品名;アクアロンAR-10、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(商品名;アクアロンBC-10、第一工業製薬株式会社製)等のポリオキシエチレン置換フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ソルビタンモノオレート(商品名;ソルゲン40、第一工業製薬株式会社製)、ソルビタントリオレート(商品名;ニューコール3-80、日本乳化剤株式会社製)等のソルビタン不飽和脂肪酸エステル、オレイン酸ジエタノールアミド(商品名;スタホームDO、日油株式会社製)、牛脂ジエタノールアミド(商品名;スタホームT、日油株式会社製)等の不飽和脂肪酸ジエタノールアミド、モノオレイン酸グリセリル(商品名;NIKKOL MGO、日光ケミカルズ株式会社製)、モノウンデシレン酸グリセリル(商品名;NIKKOL MGU、日光ケミカルズ株式会社製)等の不飽和脂肪酸グリセリル、ショ糖オレイン酸エステル(商品名;O-170、三菱ケミカル株式会社製)、ショ糖エルカ酸エステル(商品名;ER-290、三菱ケミカル株式会社製)等のショ糖不飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンスチレン化フェニルエーテル(商品名;ブラウノンTSPP-1604、青木油脂工業株式会社製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン牛脂アミン(商品名;ブラウノンSAP-3004、青木油脂工業株式会社製)、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル(商品名;アクアロンKN-10、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム(商品名;アクアロンKH-10、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(商品名;ハイテノールNF-08、第一工業製薬株式会社製)、ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩等のアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。これら含炭素二重結合界面活性剤の中でも、ポリオキシエチレン構造及び/又はポリオキシプロピレン構造を有する、ポリオキシエチレン(2)オレイルアミン(商品名;リポノールO/12DJ、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(15)オレイルアミン(商品名;リポノールO/25、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(2)牛脂アミン(商品名;リポノールT/12、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(15)牛脂アミン(商品名;リポノールT/25、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレン(2)ココアルキルアミン(商品名;リポノールC/12、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレンアルキル(ヤシ)アミン(商品名;ナイミーンF-202、日油株式会社)、ポリオキシエチレン(3)牛脂プロピレンジアミン(商品名;ブラウノンDT-03、青木油脂工業株式会社)等のポリオキシエチレン不飽和アルキルアミン、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(商品名;ブラウノンEN-1502、青木油脂工業株式会社製)等のポリオキシエチレン不飽和アルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(商品名;ソルゲンTW-80、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート(商品名;ニューコール3-85、日本乳化剤株式会社製)等のポリオキシエチレンソルビタンモノ不飽和カルボン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(ノイゲンEA-87、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル(商品名;アクアロンAN-10、第一工業製薬株式会社製)等のポリオキシエチレン置換フェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(商品名;アクアロンAR-10、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(商品名;アクアロンBC-10、第一工業製薬株式会社製)等のポリオキシエチレン置換フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンスチレン化フェニルエーテル(商品名;ブラウノンTSPP-1604、青木油脂工業株式会社製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン牛脂アミン(商品名;ブラウノンSAP-3004、青木油脂工業株式会社製)、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル(商品名;アクアロンKN-10、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム(商品名;アクアロンKH-10、第一工業製薬株式会社製)、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム(商品名;ハイテノールNF-08、第一工業製薬株式会社製)が好ましく、ポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレンの付加モル数が1以上20以下であることが好ましく、2以上16以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明の酸性組成物中の含炭素二重結合界面活性剤の配合量は、0.01重量%(w/w%)以上10重量%(w/w%)以下であることが好ましく、0.05重量%(w/w%)以上8重量%(w/w%)以下であることがより好ましく、0.1重量%(w/w%)以上5重量%(w/w%)以下であることがさらに好ましく、0.3重量%(w/w%)以上5重量%(w/w%)以下であることがとりわけ好ましい。酸性組成物中の含炭素二重結合界面活性剤の配合量が、上記範囲にあることで、次亜塩素酸塩等を含有する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤と併用されたり、混合されたときに発生する塩素ガスの量を抑制する効果により優れたものとなる。
【0018】
本発明の酸性組成物には、酸性物質及び/又は酸性物質の水溶性塩を含有する。かかる酸性物質及び/又は酸性物質としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸等の一般の無機酸、酢酸等のカルボン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸等のアミノカルボン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等のホスホン酸、スルファミン酸等の一般の有機酸及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、低級アルカノールアミン塩が挙げられる。
【0019】
本発明の酸性組成物中の酸性物質及び/又は酸性物質の水溶性塩の配合量は0.1重量%(w/w%)以上20重量%(w/w%)以下であることが好ましく、0.1重量%(w/w%)以上10重量%(w/w%)以下であることがより好ましい。
【0020】
本発明の酸性組成物には、水、有機溶剤、含炭素二重結合界面活性剤ではない界面活性剤、芳香剤、抗菌剤、酸化防止剤、防腐剤等を配合することができる。
【0021】
水を例示すると、イオン交換水や逆浸透膜水等の精製水や、通常の水道水や工業用水、海洋深層水等が挙げられる。
【0022】
有機溶剤を例示すると、エタノール、及びイソプロパノール(IPA)等の炭素数が2~3の低級アルコール、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、及び流動パラフィン等の炭化水素系溶剤、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)等の炭素数が16~20の高級脂肪酸エステル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)グリコールモノエチルエーテル、ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(2)グリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、並びにケトン系溶剤等が挙げられる。
【0023】
含炭素二重結合界面活性剤ではない界面活性剤を例示すると、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート等のアニオン系界面活性剤、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジドデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等のジアルキルジメチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系界面活性剤、カルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0024】
芳香剤を例示すると、リモネン、ピネン、テルピノーレン、ミルセン、γ-テルピネン、α-フェランドレン、α―ピネン、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトラール、カルボン、シトラルジメチルアセタール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート、p-メンタン-3,8-ジオール、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油等が挙げられる。
【0025】
抗菌剤を例示すると、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、オルト-フェニルフェノール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等が挙げられる。
【0026】
酸化防止剤を例示すると、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(α-トコフェロール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ジブチルヒドロキシアニソール)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0027】
防腐剤を例示すると、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ノルマルプロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラヒドロキシ安息香酸ノルマルブチル、パラヒドロキシ安息香酸イソブチル等のパラベン等が挙げられる。
【0028】
上記の成分以外に、pH調整剤、緩衝剤、色素、ハイドロトロープ剤、安定剤、増粘剤等を配合することができる。
【0029】
本発明の酸性組成物は、上記の各種成分を公知の方法により、添加、混合等することで製造することができる。
【0030】
本発明の酸性組成物において、酸性組成物と混合した際に塩素ガスを発生する塩素系漂白剤、洗浄剤、除菌剤やウイルス除去剤の塩素系成分としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等が挙げられる。
【0031】
本発明の酸性組成物は、浴室、トイレ、キッチン等に存在する汚れや金属表面のくもり汚れに対して優れた汚れ除去効果を示すため、酸性洗浄剤として好適に使用することができる。また、浴室、トイレ、キッチン等に存在する悪臭に対して、優れた消臭効果を示すため、酸性消臭剤としても好適に使用することができる。また、酸性除菌剤や酸性ウイルス除去剤としても好適に使用できる。
【実施例0032】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0033】
<酸性物質及び/又は酸性物質の水溶性塩>
濃塩酸(36.4w/w%塩酸水溶液、富士フイルム和光純薬株式会社製)
酢酸(99.0w/w酢酸水溶液、富士フイルム和光純薬株式会社製)
<界面活性剤>
POE(2)オレイルアミン(ポリオキシエチレン(2)オレイルアミン、商品名;リポノールO/12DJ、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、A/B=0.067)
POE(15)オレイルアミン(ポリオキシエチレン(15)オレイルアミン、商品名;リポノールO/25、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、A/B=0.026)
POE(2)牛脂アミン(ポリオキシエチレン(2)牛脂アミン、商品名;リポノールT/12、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、A/B=0.034)
POE(15)牛脂アミン(ポリオキシエチレン(15)牛脂アミン、商品名;リポノールT/25、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、A/B=0.013)
POE(2)ココアルキルアミン(ポリオキシエチレン(2)ココアルキルアミン、商品名;リポノールC/12、ライオン、スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、A/B=0.008)
POE(5)ステアリルエーテル(ポリオキシエチレン(5)ステアリルエーテル、商品名;ブラウノンSR-705、青木油脂工業株式会社製、A/B=0)
【0034】
(実施例1)
水道水73.4gに対して、濃塩酸(36.4w/w%塩酸水溶液)26.1gを加えて混合した。さらに、POE(2)オレイルアミン0.5gを加えて混合し、水道水を加えて全量を100gとして実施例1の酸性組成物を製造した。同様に実施例2~7、比較例1~2、参考例1~2についても表1、表2に記載の処方で酸性組成物を製造した。
【0035】
【0036】
【0037】
(塩素ガス発生抑制試験)
(1) 22L合成樹脂(ポリエチレン製、積水化学工業株式会社製)容器に実施例1の酸性組成物3mLを入れた10mLビーカーを入れ、スターラーで撹拌を開始した。ここに、所定濃度(500ppm)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液3mLを入れ、すぐに樹脂容器に蓋をして、ファンを回転させて5分間混合した。5分後、北川式ガス検知管(塩素ガス0.1-10.0ppm、Tube Nо.109SB)で容器内のガスを100mL、1分間吸引し、容器内の塩素ガス濃度を測定した。
(2) 次式から、家庭用品品質表示法で規定されている塩素ガス発生濃度を計算した。
塩素ガス濃度(ppm)=[測定塩素ガス濃度(ppm)/3]×[合成樹脂容器の容量(L)/20]
(3) 次式から、塩素ガス発生抑制率を計算した。
塩素ガス発生抑制率(%)=[参考例1の測定塩素ガス濃度(ppm)-実施例1の測定塩素ガス濃度(ppm)]/[参考例1の測定塩素ガス濃度(ppm)]×100
(4) 塩素ガス抑制効果は、塩素ガス発生抑制率が90%以上100%以下をA、65%以上90%未満をB、40%以上65%未満をC、10%以上40%未満をD、1%以上10%未満をE、1%未満をFとした。
(5) 実施例2~6、比較例1、参考例1についても同様の試験を実施し、塩素ガス発生濃度、及び塩素ガス発生抑制率、塩素ガス発生抑制効果を算出した。
(各結果は、表3に記載の通り)
【0038】
【0039】
試験の結果、含炭素二重結合界面活性剤を含有する酸性組成物である実施例1~7は、酸性組成物と次亜塩素酸塩等を含有する溶液を混合したときに発生する塩素ガスの量を抑制する効果を示すことが分かった。中でも、A/B≧0.010(A;含炭素二重結合界面活性剤中の二重結合を形成する炭素原子の総原子量、B;含炭素二重結合界面活性剤の分子量)を満たす含炭素二重結合界面活性剤を含有する酸性組成物である実施例1~5及び7は塩素ガスの抑制効果により優れ、とりわけ、A/B≧0.020を満たす含炭素二重結合界面活性剤を含有する酸性組成物であり、酸性組成物中の含炭素二重結合界面活性剤の配合量が0.3重量%(w/w%)以上である実施例1、3、4及び7は塩素ガスの抑制効果にさらに優れることが分かった。