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  • 特開-止水装置および止水装置用取付具 図1
  • 特開-止水装置および止水装置用取付具 図2
  • 特開-止水装置および止水装置用取付具 図3
  • 特開-止水装置および止水装置用取付具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007029
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】止水装置および止水装置用取付具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230111BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20230111BHJP
   E06B 7/22 20060101ALN20230111BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
E06B7/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109985
(22)【出願日】2021-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】591003541
【氏名又は名称】中部美化企業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】笹野 泰広
(72)【発明者】
【氏名】グェン ディン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ギエム タイン トゥン
【テーマコード(参考)】
2E036
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB02
2E036FA08
2E036GA02
2E036HA02
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】止水板を設置する際に、少ない操作で、止水板を複数方向に向けて押圧する。
【解決手段】本発明の止水装置1は、建物の出入口Eに設置される方立4と、止水板3と、止水板3を方立に取り付ける取付具2とを備える。取付具2は、方立4のスリット41に掛止されるフック22と、止水板3を鉛直方向に操作するボルト24と、止水板3の移動方向を規制する規制孔23と、止水板3に固定され規制孔23に遊嵌される突起部26から構成される。このとき、規制孔23は、鉛直方向から水平方向に湾曲する湾曲部23aを含み、鉛直方向への押圧力を水平方向の押圧力に変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入口に設置される方立と、止水板と、前記止水板を方立に取り付ける取付具とを備えた止水装置において、
前記取付具が、前記方立に掛止されるフックと、前記止水板を鉛直方向に操作する操作部と、前記止水板の移動方向を規制する規制孔と、前記止水板に固定され前記規制孔に遊嵌される突起部とを含み、
前記規制孔は、鉛直方向から水平方向に湾曲する湾曲部を含むことを特徴とする止水装置。
【請求項2】
前記取付具が、前記止水板に固定された固定片を含み、
前記固定片が、前記操作部を水平移動可能に保持する保持孔を含む請求項1に記載の止水装置。
【請求項3】
前記方立が、前記フックを鉛直移動可能に受け入れるスリットを備えた請求項1または2に記載の止水装置。
【請求項4】
止水板を建物の出入口に設置される方立に取り付ける取付具であって、
前記取付具が、前記方立に掛止されるフックと、前記止水板を鉛直方向に操作する操作部と、前記止水板の移動方向を規制する規制孔と、前記止水板に固定され前記規制孔に遊嵌される突起部とを含み、
前記規制孔は、鉛直方向から水平方向に湾曲する湾曲部を含むことを特徴とする止水装置用の取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台風や豪雨等の際に、施設、店舗、地下鉄、地下街等の建物の出入口に設置し、建物への浸水を防止するための止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出入口を止水板で塞ぎ、出入口と止水板の隙間をパッキン等により密閉して、建物への浸水を防止する止水装置の発明が知られている。例えば、特許文献1には、止水板に、建物の出入口の下側および左右両側と当接するパッキンを設け、止水板を出入口の下側に向けて押圧する第一押圧機構と、止水板を出入口の左右両側に向けて押圧する第二押圧機構を設け、第一押圧機構および第二押圧機構を用いてパッキンを出入口に押し付ける止水板装置の発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-193517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の止水装置によれば、止水板を鉛直下方向および建物出入口の左右両側部に押し付ける際に、第一押圧機構および第二押圧機構を用いているため、複数回の操作が必要となり、止水装置の設置作業に手間と時間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、止水板を取り付ける際の手間と時間を削減できる止水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の止水装置は、建物の出入口に設置される方立と、止水板と、止水板を方立に取り付ける取付具とを備え、取付具が、方立に掛止されるフックと、止水板を鉛直方向に操作する操作部と、止水板の移動方向を規制する規制孔と、止水板に固定され規制孔に遊嵌される突起部とを含み、規制孔は、鉛直方向から水平方向に湾曲する湾曲部を含むことを特徴とする。
【0007】
このとき、取付具が、止水板に固定された固定片を含み、固定片が、操作部を水平移動可能に保持する保持孔を含む。また、方立は、フックを鉛直移動可能に受け入れるスリットを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の止水装置によれば、取付具を備え、取付具に、止水板の移動方向を規制する規制孔を設け、該規制孔が鉛直方向から水平方向に湾曲する湾曲部を備えたため、一の操作で鉛直方向および水平方向という異なる向きに止水板を押圧できる。このため、止水装置を設置する際の時間と手間を省いて、迅速に止水板を設置できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を示す止水装置の分解斜視図である。
図2】止水装置の構成を示す(a)平面図および正面図、(a)A-A線断面図である。
図3】止水装置の構成を示す(a)平面図および側面図、(a)B-B線断面図である。
図4】止水装置の作用を示す側面方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を止水装置に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、止水板3に第二パッキン32を取り付けた側を止水装置1の背面1b、その反対側を止水装置1の正面1aとして説明する。また、取付具2は、止水板3の左右両側面に対になって配置されるが、一対の取付具2は左右対称であるため、右側面の取付具2についてのみ説明する。
【0011】
図1~3に示す止水装置1は、建物の出入口Eに着脱可能に設置される方立4と、出入口Eを塞いで浸水を防止する止水板3と、止水板3を方立4に取り付ける取付具2と、止水板3を載置するフレーム5から構成される。図1では、止水装置1は、出入口Eの内側に設置されているが、止水装置1を出入口Eの外側に設置することも可能である。このとき、出入口Eの内側に設置する場合には、正面1aが建物の中を向くように設置し、出入口Eの外側に設置する場合には、正面1aが建物の外を向くように設置する。
【0012】
方立4は、止水板3を支持する支柱として機能する。また、方立4の下方には、止水板3を載置するフレーム5が設けられている。なお、方立4としては、角柱、角パイプ、押し出し成型された部材等を採用できる。
【0013】
止水板3は、本体33と、本体33の底面33bに取り付けられた第一パッキン31と、止水板3が方立4と当接する領域に取り付けられた第二パッキン32から構成される。第一パッキン31がフレーム5に押圧され、かつ、第二パッキン32が方立4に押圧されることによって、第一パッキン31および第二パッキン32を介して、止水板3が方立4およびフレーム5に密着し、浸水を確実に防止することができる。第一パッキン31や第二パッキン32は、ゴムや樹脂などの可撓性を有する材料から形成されている。また、本体33の天面33aに、運搬用の持ち手(図示なし)を取り付けることも可能である。
【0014】
取付具2は、本体21と、止水板3を鉛直方向に操作する操作部としての摘み24a付きのボルト24と、止水板3に固定された固定片25と、止水板3に固定され規制孔に遊嵌される有頭の突起部26から構成される。このとき、突起部26の頭部26aは、本体21の抜け止め防止部材として作用する。突起部26としては、止水板3に螺合されたボルトを採用できる。
【0015】
固定片25は、断面略L字形状の金属片を、L字底辺が天面25aとなるように、止水板3の両側面に固定したものである。このとき、天面25aは、止水板3の本体33の天面33aと同一平面内となるように固定される。また、天面25aには、スリット状の保持孔25bが形成されており、保持孔25bは、ボルト24を正面1a方向または背面1b方向に向けて水平移動可能に保持している。
【0016】
取付具2の本体21には、方立4に形成されたスリット41に掛止されるフック22が形成され、フック22の基端部には、止水板3の移動方向を規制する規制孔23が開設されている。規制孔23は、鉛直方向から水平方向に湾曲する湾曲部23aを含む。
【0017】
本体21の上端には、摘み24a付きのボルト24を受け入れる溝21aが形成され、溝21aには、ボルト24を螺合するナット21bが形成されている。ボルト24は、固定片25の保持孔25bに挿通され、ナット21bに螺合される。
【0018】
方立4には、フック22を鉛直移動可能に受け入れるスリット41が設けられている。スリット41は、鉛直方向に長く形成され、スリット41の上端部は、止水板3の取付状態(図4(b)参照)において、フック22のカギ状部22aと係合する。
【0019】
続いて、上記構成の止水装置1を設置するときの動作を、図4に従って説明する。まず、図4(a)に示すように、止水板3を第一パッキン31に載置し、第二パッキン32を方立4に軽く当接させた状態でフック22をスリット41に挿入する。そして、ボルト24の摘み24aを正回転させると、ボルト24がナット21bに螺合しつつ溝21aの奥に進む。なお、正回転とは、ボルト24が締まる向きを言い、逆回転とはボルト24が緩む向きを言う。
【0020】
このとき、ボルト24は固定片25により止水板3の本体33の天面33aと同じ高さに保持される。このため、本体21は止水板3に対して鉛直上方向に引き上げられ、フック22がスリット41の上端部と係合する。このとき、スリット41は、フック22の鉛直方向への移動を許容するため、本体21の鉛直上方向への移動を妨げない。
【0021】
次に、フック22がスリット41の上端部と係合した状態において、さらにボルト24の摘み24aを正回転させると、止水板3が本体21に対して鉛直下方向に引き下げられ、第一パッキン31が鉛直下方向に押圧され、止水板3がフレーム5に密着する。このとき、規制孔23に挿通された突起部26も、規制孔23の内部を鉛直下方向に移動する。
【0022】
規制孔23は、下方向に向かうにつれて徐々に水平方向に湾曲しているため、止水板3も、徐々に本体21に対して水平方向、つまり、正面方向の方立4に向けて移動する。このとき、ボルト24は、保持孔25bによって水平移動可能に保持されているため、止水板3の水平方向への移動を妨げない。
【0023】
摘み24aを十分に回すと、図4(b)に示すように、第二パッキン32が押圧され、止水板3が方立4に密着する。そして、止水板3の掛止を解除する場合には、ボルト24の摘み24aを逆回転させればよい。なお、この実施例では、突起部26が規制孔23の端部まで移動させているが、第一パッキン31および第二パッキン32が防水可能な適度に押圧されていれば良く、規制孔23の中途で取り付けが完了するように構成することもできる。
【0024】
したがって、この実施形態の止水装置1によれば、止水板3の両側に取付具2を備え、取付具2に止水板3の移動方向を規制する規制孔23を設け、該規制孔23が鉛直方向から水平方向に湾曲する湾曲部23aを備えたため、鉛直方向に加えた押圧力を水平方向の押圧力に変更でき、一の操作で複数方向に押圧できる。
【0025】
また、ボルト24を保持する固定片25に、ボルト24の水平方向への移動を許容する保持孔25bを設けたため、止水板3の水平方向への移動が許容され、確実に第二パッキン32を押圧できる。さらに、方立4にフック22を掛止するスリット41が形成され、該スリット41が、フック22の鉛直方向への移動を許容するため、フック22をスリット41に容易に着脱できる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 止水装置
2 取付具
3 止水板
4 方立
5 フレーム
21 取付具の本体(a:溝、b:ナット)
22 フック(a:カギ状部)
23 規制孔(a:湾曲部)
24 ボルト(a:摘み)
25 固定片(a:天面、b:保持孔)
26 突起部(a:頭部)
31 第一パッキン
32 第二パッキン
33 止水板の本体(a:天面、b:底面)
41 スリット
E 出入口
図1
図2
図3
図4