(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070324
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】機械設備制御システム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20230512BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182414
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳史
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707JU14
3C707MS16
3C707MS27
3C707MS29
(57)【要約】
【課題】安全柵内で作業する作業員の安全を確保しつつ、作業員の長時間の不在に起因する機械設備の動作再開までの時間を短縮することが可能な機械設備制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる機械設備制御システム100の構成は、設備固有IDを有するロボット110と端末固有IDを有する教示端末120と、ロボット110および教示端末120と通信可能であり教示端末120の操作に応じてロボット110の動作の制限および解除を行う動作制限装置130と、を備え、動作制限装置130は、教示端末120が作業者の作業開始入力を受け付けたら、設備固有IDと端末固有IDとを紐付けてロボット110の動作制限を行い、同じ教示端末120が作業者の作業終了入力を受け付けたら、ロボット110の動作制限を解除することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備固有IDを有する機械設備と
端末固有IDを有する教示端末と、
前記機械設備および前記教示端末と通信可能であり該教示端末の操作に応じて前記機械設備の動作の制限および解除を行う動作制限装置と、
を備え、
前記動作制限装置は、
前記教示端末が作業者の作業開始入力を受け付けたら、前記設備固有IDと前記端末固有IDとを紐付けて該機械設備の動作制限を行い、
同じ前記教示端末が作業者の作業終了入力を受け付けたら、前記機械設備の動作制限を解除することを特徴とする機械設備制御システム。
【請求項2】
前記教示端末はカメラを有していて、
前記機械設備の近傍には前記設備固有IDのバーコードが表示されていて、
前記機械設備の前記動作制限および前記動作制限の解除は、前記教示端末のカメラによって前記機械設備の前記バーコードを読み取ることにより行うことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の機械設備制御システム。
【請求項3】
前記機械設備の近傍にカメラを備えていて、
前記教示端末に前記端末固有IDのバーコードが表示されていて、
前記機械設備の前記動作制限および前記動作制限の解除は、前記カメラによって前記教示端末の前記バーコードを読み取ることにより行うことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の機械設備制御システム。
【請求項4】
前記教示端末または前記機械設備の近傍のいずれか一方に非接触型ICリーダーを備え、他方にICチップを備えていて、
前記機械設備の前記動作制限および前記動作制限の解除は、前記非接触型ICリーダーによって前記ICチップを読み取ることにより行うことを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の機械設備制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械設備およびその動作を制御する教示端末を含む機械設備制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場等の生産現場において、ロボットアームやマニピュレータ等の産業用ロボット(以下、機械設備と総称する)が用いられている。一般に機械設備の動作範囲の周囲には安全柵が設けられている。これにより、作業員が機械設備の動作範囲に入り込むことを未然に防ぎ、作業員の安全性を確保することができる。
【0003】
しかしながら、機械設備の治具の交換やメンテナンス等の際には作業員が安全柵内に入ることがある。このとき、機械設備が動作していると、動作中の機械設備と作業員が接触してしまう可能性がある。そこで従来から、例えば特許文献1のようなセーフティプラグを用いた安全柵扉の開閉管理が行われている。
【0004】
特許文献1のセーフティプラグは、安全柵の扉が開かないようロックを行うために用いられる安全柵用プラグと、作業者が安全柵内において携帯する携帯用プラグとを備えている。特許文献1によれば、係合機構により携帯用プラグを取り外さなければ安全柵用プラグを取り外すことができず、扉を開けることができないため、安全性を向上させることができるとしている。また特許文献1では、挿入孔閉塞機構により、安全柵用プラグが取り外された状態において携帯用プラグが挿入される挿入孔は塞がれるため、悪意あるいは悪戯等により挿入孔に導電材が挿入され被制御物が稼働するのを確実に防止することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、急用や休憩等の際に安全柵内で作業を行っている作業員が安全柵外に出る場合がある。このとき、作業員が作業を行ってた安全柵の扉を閉じないでその場を離れると、機械設備が停止した状態が続き、生産効率の低下を招いてしまう。したがって、作業員の不在状態での機械設備の停止が長時間にわたる場合には、安全柵の扉の鍵を携帯している作業員を探し出して安全柵の扉を閉じてもらう必要がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1のセーフティプラグの安全柵用プラグおよび携帯用プラグのような物理的なツールを用いる方法であると、鍵を持っている作業員を特定することが難しく、且つ作業員を特定した後にかかる作業員が安全柵の扉を閉じに行く必要がある。このため、機械設備の動作再開までに手間と時間を要してしまう。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、安全柵内で作業する作業員の安全を確保しつつ、作業員の長時間の不在に起因する機械設備の動作再開までの時間を短縮することが可能な機械設備制御システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる機械設備制御システムの代表的な構成は、設備固有IDを有する機械設備と端末固有IDを有する教示端末と、機械設備および教示端末と通信可能であり教示端末の操作に応じて機械設備の動作の制限および解除を行う動作制限装置と、を備え、動作制限装置は、教示端末が作業者の作業開始入力を受け付けたら、設備固有IDと端末固有IDとを紐付けて機械設備の動作制限を行い、同じ教示端末が作業者の作業終了入力を受け付けたら、機械設備の動作制限を解除することを特徴とする。
【0010】
上記教示端末はカメラを有していて、機械設備の近傍には設備固有IDのバーコードが表示されていて、機械設備の動作制限および動作制限の解除は、教示端末のカメラによって機械設備のバーコードを読み取ることにより行うとよい。
【0011】
上記機械設備の近傍にカメラを備えていて、教示端末に端末固有IDのバーコードが表示されていて、機械設備の動作制限および動作制限の解除は、カメラによって教示端末のバーコードを読み取ることにより行うとよい。
【0012】
上記教示端末または機械設備の近傍のいずれか一方に非接触型ICリーダーを備え、他方にICチップを備えていて、機械設備の動作制限および動作制限の解除は、非接触型ICリーダーによってICチップを読み取ることにより行うとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安全柵内で作業する作業員の安全を確保しつつ、作業員の長時間の不在に起因する機械設備の動作再開までの時間を短縮することが可能な機械設備制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態にかかる機械設備制御システムの構成を説明する概略図である。
【
図2】本実施形態の制御システムにおける動作制限装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図3】
図2のサブルーチンの例外処理の動作を説明するフローチャートである。
【
図4】教示端末のタッチパネルに表示されるダイアログの例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態にかかる機械設備制御システム(以下、制御システム100と称する)の構成を説明する概略図である。
図1に示すように本実施形態の制御システム100は、ロボット110、教示端末120および動作制限装置130を含んで構成される。なお以下に説明する実施形態では、機械設備としてロボット110を例示するが、これに限定するものではない。本実施形態の制御システム100は、走行装置、サーボモータによって駆動する回転テーブル、ベルトコンベア、プレス機、工作機械等の機械設備にも適用することが可能である。
【0017】
ロボット110は、ワークの加工や搬送搬出等の作業を行う産業用の機械設備であり、有線または無線によって後述する動作制限装置130との通信が可能である。本実施形態ではI/Oケーブル132によって動作制限装置130とロボット110を接続した例を示している。ロボット110の動作範囲の周囲には安全柵102が配置されていて、安全柵102には作業員Pの出入り用の扉104が設けられている。また安全柵102内には、ロボット110に加えてワーク(不図示)を加工する加工装置106が配置されている。
【0018】
本実施形態の制御システム100ではロボット110は、自機を特定する情報である設備固有IDを有する。かかる設備固有IDは、ロボット110の近傍の安全柵102の外側に、ID呈示手段の例としての二次元バーコード112として表示されている。なお本実施形態では設備固有IDとして二次元バーコードを例示するが、これに限定するものではなく、ロボット110を特定するための画像、文字列、マーク等を設備固有IDとして使用することも可能である。
【0019】
教示端末120は、いわゆるティーチングペンダントであり、ロボット110の動作プログラムの作成やティーチング作業を行うための入力および操作端末である。本実施形態において教示端末120は、市販のタブレット端末にティーチングペンダントのアプリケーションをインストールすることによって構成している。更に本実施形態では教示端末120は、自機を特定する情報である端末固有IDを有する。
【0020】
教示端末120は、動作制限装置130との無線通信が可能であり、作業員Pが携帯して持ち運ぶことができる。また教示端末120は、ダイアログ(通知)を表示する表示部および作業者の操作を受け付ける入力部として機能するタッチパネル122と、ID取得手段の例としてのカメラ124を有する。教示端末120は、カメラ124を用いて二次元バーコード112を撮影することによって設備固有IDを取得することができる。
【0021】
動作制限装置130は、ロボット110および教示端末120と通信可能であり、教示端末120の操作(入力)に応じてロボット110の動作の制限および解除を行う。また本実施形態では動作制限装置130は、安全柵102の外側に取り付けられていて、安全柵102の扉104の開閉動作も行う。
【0022】
図2は、本実施形態の制御システム100における動作制限装置130の動作を説明するフローチャートである。
図3は、
図2のサブルーチンの例外処理の動作を説明するフローチャートである。
図4は、教示端末120のタッチパネル122に表示されるダイアログの例である。
【0023】
図2に示すように本実施形態の制御システム100では、安全柵102の扉104が施錠されている状態(安全柵施錠状態)において作業員Pがロボット110の安全柵102に配置された二次元バーコード112を教示端末120のカメラ124で撮影して読み取ると、設備固有IDを取得した旨の通知が教示端末120から動作制限装置130に送信される。このとき端末固有IDも教示端末120から動作制限装置130に送信される。動作制限装置130は、設備固有IDを取得した通知を受信したら(S202のYES)、ダイアログ情報を教示端末120に送信し、教示端末120のタッチパネル122に
図4(a)に例示する開始確認ダイアログを表示させる(S204)。
【0024】
作業員Pは、
図4(a)に示す開始確認ダイアログにしたがって安全柵102内で作業を行うまたは行わない旨の入力を行う。教示端末120は、この入力結果を動作制限装置130に送信する。ここで
図4(a)に例示されている「再生モード」とはロボット110を本稼働させるモード(制限しない速度で動作させるモード)のことである。
【0025】
動作制限装置130は、教示端末120が受け付けた作業員Pの作業開始入力を入力結果として受信したら(S206のYES)、ロボット110の設備固有IDと教示端末120の端末固有IDとを紐付けてロボット110の動作制限を行う(S208)。この動作制限としては、ロボット110の運転を停止する、または再生モードよりも減速状態で運転する「低速モード」を例示することができる。
【0026】
動作制限装置130は、ロボット110の動作制限を行う際には、運転停止または低速モード運転のいずれかの制御信号をロボット110に送信する。また動作制限装置130は、ロボット110の動作制限に付随して、安全柵102の扉104を制御して解錠する(S209)。これにより、ロボット110の動作制限が完了した状態で安全柵102の扉104が解錠状態(安全柵解錠状態)となり、作業員Pが安全柵内に入って作業を開始することが可能となる。
【0027】
また上述したように本実施形態では、動作制限装置130は、ロボット110の設備固有IDと教示端末120の端末固有IDとを紐付けた上でロボット110の動作制限を行う。これにより、どのロボット110の周囲の安全柵102内でどの作業員Pが作業を行っているかという情報を動作制限装置130において格納および管理することが可能である。
【0028】
ロボット110の動作制限中、換言すれば作業員Pが安全柵102内で作業をしている間、動作制限装置130は例外事象の発生の有無を監視する例外処理を行う(S210)。
図4に示すようにサブルーチンである例外処理S210では、所定時間内におけるロボット操作の有無(S212)、他の設備固有ID取得の有無(S214)、および他の教示装置による制限解除入力の有無(S216)を判断する。
【0029】
なお、これらの判断処理は順不同でよく、必ずしもこの順番で行う必要はない。またこれらの判断処理の全てを実行する必要もなく、これらの判断を行わない(すなわち例外処理S210を行わない)、または一部の判断処理を行う構成とすることも可能である。
【0030】
(S212:所定時間内におけるロボット操作の有無の判断)
S212では、動作制限装置130は、所定時間内において作業員Pによるロボット110の操作があったか否かを判断する。所定時間内において作業員Pによるロボット110の操作がなかった場合(S212のYES)、動作制限装置130は、教示端末120に対してエラー通知(エラー信号)を送信する(S218)。エラー通知を受信した教示端末120は、警告音の出力、端末振動、ランプ点滅等によって作業員Pにエラーを通知しつつ、
図4(b)に例示するエラーダイアログをタッチパネル122に表示する。
【0031】
所定時間内においてロボット操作がなかった場合の例としては、作業員Pがロボット110の制限を解除することなく安全柵102外に出て行ってしまったことが想定される。このような場合に教示端末120によって作業員Pにエラーを通知することにより、作業員Pがロボット110の制限解除をしていなかったことを認識することができる。したがって、作業員Pのロボット110の制限解除忘れを好適に抑制することが可能となる。
【0032】
また所定時間内においてロボット操作がなかった場合の他の例としては、作業員Pがロボット110の操作が必要ない作業を長時間行っていることが想定される。このような場合、作業員Pがタッチパネル122のエラーダイアログの「はい」を入力することにより、ロボット110の動作制限が継続される。したがって、安全柵102内での作業時における作業員Pの安全を確保することが可能となる。
【0033】
(S214:他の設備固有ID取得の有無の判断)
S214では、動作制限装置130は、作業者が、現在動作制限を実行されているロボット110以外の他の設備固有IDを取得したか否かを判断する。作業員Pが他の設備固有IDを取得した場合(S214のYES)、動作制限装置130は、教示端末120に対してエラー通知(エラー信号)を送信する(S218)。
【0034】
他の設備固有IDを取得した場合の例としては、作業員Pが、現在動作制限をかけているロボット110に対して配置された安全柵102内での作業が終わったにもかかわらず、そのロボット110の動作制限を解除することなく、他のロボット等の機械設備に対して配置された安全柵102内での作業を開始しようとしていることが想定される。このような場合においても教示端末120によって作業員Pにエラーを通知することにより、作業員Pがロボット110の制限解除を忘れたことを認識することが可能となる。
【0035】
(S216:他の教示装置による制限解除入力の有無の判断)
S216では、動作制限装置130は、他の教示装置、すなわち他の教示装置を持っている他の作業員Pが、現在動作が制限されているロボット110の制限解除を入力したか否かを判断する。他の教示装置からの動作制限の解除指示が入力された場合(S216のYES)、動作制限装置130は、教示端末120に対してエラー通知(エラー信号)を送信する(S218)。
【0036】
他の教示装置による制限解除の入力があった場合の例としては、安全柵102内で作業している作業員Pを安全柵102外の他の作業者が認識することができず、安全柵102内には作業者が不在であると錯誤してロボット110の動作制限を解除しようとしたことが想定される。このような場合においても教示端末120によって作業員Pにエラーを通知することにより、安全柵102内で作業中の作業員Pがロボット110の動作制限が解除されようとしていることを認識することが可能となる。
【0037】
動作制限装置130は、上述した例外処理(S210)を実行しつつ、ロボット110の動作制限を行った教示端末と同じ教示端末120からの「設備固有IDを取得した通知」の受信の有無を監視する(S222)。作業員Pが作業終了後に安全柵102の外に出て、安全柵102に配置された二次元バーコード112を教示端末120のカメラ124で撮影して読み取ると、設備固有IDを取得した旨の通知が教示端末120から動作制限装置130に送信される。
【0038】
動作制限装置130は、設備固有IDを取得した通知を受信したら(S222のYES)、ダイアログ情報を教示端末120に送信し、教示端末120のタッチパネル122に
図4(c)に例示する終了確認ダイアログを表示させる(S224)。作業員Pは、
図4(c)に示す終了確認ダイアログにしたがって安全柵102内で作業を終了するまたは終了しない旨の入力を行う。教示端末120は、この入力結果を動作制限装置130に送信する。
【0039】
動作制限装置130は、教示端末120が受け付けた作業員Pの作業終了入力を入力結果として受信したら(S226のYES)、ロボット110の安全柵102の扉104を制御して施錠する(S227)。そして動作制限装置130は、ロボット110に制限解除信号を送信し、ロボット110の動作制限を解除する(S228)。これにより、作業員Pが安全柵102外に退出して安全柵102の扉104が再度施錠された状態(安全柵施錠状態)でロボット110が再度再生モードで運転を開始するため、作業員Pの安全を確保することが可能である。
【0040】
上記説明したように本実施形態の制御システム100では、ロボット110の設備固有IDと教示端末120の端末固有IDとを紐付けられていて、同じ教示端末でのロボット110の設備固有IDの取得をトリガーとしてロボット110の動作制限および制限解除を行う。これにより、安全柵102内における作業開始および作業終了の入力時のロボット110の設備固有IDと教示端末120の端末固有IDが一致したときにのみロボット110を再度再生モードとすることができる。したがって、他の作業員Pの操作によるロボット110の制限解除(誤入力)を排除し、作業員Pの安全性を確保することができる。
【0041】
またロボット110の設備固有IDと教示端末120の端末固有IDとが紐づけられていることにより、ロボット110を動作制限している作業員Pを迅速に特定することができる。そしてその作業員Pが携帯している教示端末120にエラーを通知することにより、作業員Pが動作解除し忘れに早期に気づくことができる。したがって、作業員Pの長時間の不在に起因するロボット110の動作再開までの時間を短縮することがとなる。
【0042】
なお本実施形態では、動作制限装置130は、教示端末120が受け付けた作業員Pの作業終了入力を入力結果として受信したらロボット110の動作制限を解除する構成を例示した。ただし、これは1つの安全柵102内において作業している作業員Pが1人であることを想定したものであり、限定するものではない。
【0043】
1つの安全柵102内において作業している作業員Pが複数人である場合、動作制限装置130は、作業終了入力を受信した作業員Pのステータスを「動作制限解除済」とする。そして動作制限装置130は、S226においてすべての作業員Pからの作業終了入力を入力結果として受信したら、ロボット110の動作制限を解除する(S228)。
【0044】
また本実施形態では、教示端末120がID取得手段の例としてカメラ124を有し、ロボット110の近傍の安全柵102にID呈示手段の例として二次元バーコード112を表示する構成を例示した。ただしこれに限定するものではなく、ロボット110の近傍にカメラが配置されていて、教示端末120のタッチパネル122に教示端末120の端末固有IDを表示する構成としてもよい。この場合、動作制限装置130は、ロボット110のカメラによる教示端末120のバーコード(二次元バーコード)の読み取りをトリガーとしてロボット110の動作制限および制限解除を行うとよい。
【0045】
更に本実施形態の制御システム100の他の構成としては、教示端末120またはロボット110の近傍のいずれか一方にID取得手段の例として非接触型ICリーダーを備え、他方にID呈示手段の例としてICチップを備える構成としてもよい。すなわちカメラに替えて非接触型ICリーダー、バーコードに替えてICチップを用いる構成としてもよい。かかる構成によれば、非接触型ICリーダーにおいてICチップが検出されたことをトリガーとしてロボット110の動作制限および制限解除を行うことが可能である。
【0046】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、機械設備およびその動作を制御する教示端末を含む機械設備制御システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
100…制御システム、102…安全柵、104…扉、106…加工装置、110…ロボット、112…二次元バーコード、120…教示端末、122…タッチパネル、124…カメラ、130…動作制限装置、132…I/Oケーブル、P…作業員、W…ワーク