(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070345
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】高所作業車の障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20230512BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
B66F9/24 H
B66F11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182453
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】森山 亮
(72)【発明者】
【氏名】狩野 翔
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB01
3F333DB10
3F333FA11
3F333FA34
3F333FA36
3F333FD15
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】必要以上に作動規制が行われることを抑制し得る高所作業車の障害物検知装置を提供する。
【解決手段】作業台140に取り付けられた作業台障害物検知センサ201a,201bによる障害物の検知可能エリアAR内において、作業台140の移動方向に対応する有効検知エリアVARを設定可能とする。その有効検知エリアVAR内において、作業台障害物検知センサ201a,201bにより障害物が検知された場合に、走行体110および昇降装置の作動規制を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行移動可能に作動する走行体と、
作業台を支持して前記走行体に設けられ、前記作業台を前記走行体に対し相対移動させるように作動する昇降装置と、
前記走行体および/または前記昇降装置が作動する際の前記作業台の移動方向を検出する移動方向検出装置と、
前記作業台に取り付けられ、前記作業台が移動する際の障害物を検知する作業台障害物検知センサと、
前記作業台障害物検知センサによる障害物の検知可能エリア内において、前記作業台の移動方向に対応する有効検知エリアを設定する検知エリア制御装置と、
前記検知エリア制御装置により設定された前記有効検知エリア内において、前記作業台障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、前記走行体および/または前記昇降装置の作動規制を行う作動制御装置と、を備えて構成されることを特徴とする高所作業車の障害物検知装置。
【請求項2】
前記移動方向検出装置は、前記昇降装置が作動する際の前記作業台の前記走行体に対する相対移動方向と、前記走行体が作動する際の前記走行体の走行移動方向とに基づき、前記作業台の移動方向を検出することを特徴とする請求項1に記載の高所作業車の障害物検知装置。
【請求項3】
前記作動制御装置は、前記検知エリア制御装置により設定された前記有効検知エリア内において、前記作業台障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、検知された障害物と検知した作業台障害物検知センサとの距離に応じて、前記走行体および/または前記昇降装置の作動速度を減速させる作動規制を行うことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の高所作業車の障害物検知装置。
【請求項4】
前記作動制御装置は、前記走行体および/または前記昇降装置の作動規制により前記作業台の移動が停止した場合は、その後、前記検知された障害物と前記検知した作業台障害物検知センサとの距離が遠くなる方向に前記作業台を移動させる場合のみ前記走行体および/または前記昇降装置の作動を許可することを特徴とする請求項3に記載の高所作業車の障害物検知装置。
【請求項5】
前記検知エリア制御装置により設定された前記有効検知エリア内において、前記作業台障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、前記検知された障害物と前記検知した作業台障害物検知センサとの距離に応じて警報を発出する警報装置を備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の高所作業車の障害物検知装置。
【請求項6】
前記走行体に取り付けられ、前記走行体が走行移動する際の障害物を検知する走行体障害物検知センサを備え、
前記検知エリア制御装置は、前記走行体障害物検知センサによる障害物の検知可能エリア内において、前記走行体の走行移動方向に対応する有効検知エリアを設定するとともに、設定した当該有効検知エリア内において、前記走行体障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、前記走行体の作動規制を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の高所作業車の障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行体上に設けられた昇降装置により移動可能に支持された作業台を備えた高所作業車の障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車は、走行移動可能な走行体と、その走行体上に設けられた昇降装置と、その昇降装置により移動可能に支持された作業台とを備えて構成されている。このような高所作業車には、走行体の形態として、トラック車両をベースに構成されたものや、車輪もしくはクローラ機構を備えた自走式のものがある。また、昇降装置の形態としても、旋回、起伏および伸縮可能なブーム式のものや、シザースリンク機構もしくは伸縮ポストを備えた垂直昇降式のものがあり、これらの走行体および昇降装置の形態を組み合わせた種々の高所作業車が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高所作業車において、走行体や昇降装置を作動させて作業台を移動させる際に、その移動経路上に建造物や樹木等が存在する場合、それらが作業台の移動を妨げる障害物となって、作業台と接触してしまい作業に支障をきたす虞がある。そこで、このような障害物を検出するためのセンサ(「障害物検出センサ」とも称する)を作業台に取り付け、その障害物検出センサにより障害物が検出されると、走行体や昇降装置の作動を規制し、作業台の移動速度を減速させたり作業台を停止させたりするように構成された制御装置(「障害物検知装置」とも称する)を備えた高所作業車も知られている。
【0005】
従来の障害物検知装置は、作業台周囲の広い範囲に亘って障害物を検出するように構成されている。例えば、作業台の複数位置に障害物検出センサを取り付け、そのいずれかのセンサの検出可能エリア内に侵入物があると、それを障害物として検知し、昇降装置等の作動規制を行うようになっている。このように、作業台周囲の広い範囲に亘って障害物を検出する場合、作業台の移動の妨げとならない位置にあるものも障害物として検知してしまい、作動規制する必要のない状況においても作動規制が行われてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業台の移動の妨げとならないものを障害物として検知することを低減して必要以上に作動規制が行われることを抑制し得る高所作業車の障害物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る高所作業車の障害物検知装置は、走行移動可能に作動する走行体と、作業台を支持して前記走行体に設けられ、前記作業台を前記走行体に対し相対移動させるように作動する昇降装置と、前記走行体および/または前記昇降装置が作動する際の前記作業台の移動方向を検出する移動方向検出装置(例えば、第1実施形態における移動方向検出部151)と、前記作業台に取り付けられ、前記作業台が移動する際の障害物を検知する作業台障害物検知センサと、前記作業台障害物検知センサによる障害物の検知可能エリア内において、前記作業台の移動方向に対応する有効検知エリア
を設定する検知エリア制御装置(例えば、第1実施形態における検知エリア制御部152)と、前記検知エリア制御装置により設定された前記有効検知エリア内において、前記作業台障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、前記走行体および/または前記昇降装置の作動規制を行う作動制御装置(例えば、第1実施形態における作動規制部153)と、を備えて構成される。
【0008】
本発明に係る障害物検知装置において、前記移動方向検出装置は、前記昇降装置が作動する際の前記作業台の前記走行体に対する相対移動方向と、前記走行体が作動する際の前記走行体の走行移動方向とに基づき、前記作業台の移動方向を検出することが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る障害物検知装置において、前記作動制御装置は、前記検知エリア制御装置により設定された前記有効検知エリア内において、前記作業台障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、検知された障害物と検知した作業台障害物検知センサとの距離に応じて、前記走行体および/または前記昇降装置の作動速度を減速させる作動規制を行うことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る障害物検知装置において、前記作動制御装置は、前記走行体および/または前記昇降装置の作動規制により前記作業台の移動が停止した場合は、その後、前記検知された障害物と前記検知した作業台障害物検知センサとの距離が遠くなる方向に前記作業台を移動させる場合のみ前記走行体および/または前記昇降装置の作動を許可することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る障害物検知装置において、前記検知エリア制御装置により設定された前記有効検知エリア内において、前記作業台障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、前記検知された障害物と前記検知した作業台障害物検知センサとの距離に応じて警報を発出する警報装置を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る障害物検知装置において、前記走行体に取り付けられ、前記走行体が走行移動する際の障害物を検知する走行体障害物検知センサを備え、前記検知エリア制御装置は、前記走行体障害物検知センサによる障害物の検知可能エリア内において、前記走行体の走行移動方向に対応する有効検知エリアを設定するとともに、設定した当該有効検知エリア内において、前記走行体障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、前記走行体の作動規制を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る高所作業車の障害物検知装置では、作業台に取り付けられた作業台障害物検知センサによる障害物の検知可能エリア内において、作業台の移動方向に対応する有効検知エリアが設定され、その有効検知エリア内において、作業台障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、走行体および/または昇降装置の作動規制が行われる。作業台の移動方向に対応する範囲にあるものは作業台が移動する際の障害物となる可能性が高く、作業台の移動方向に対応しない範囲にあるものは作業台が移動する際の障害物となる可能性は低い。そのため、本発明によれば、作業台の移動方向と対応しない範囲にある、作業台の移動の妨げとならないものを障害物として検知することを低減し、必要以上に走行体や昇降装置の作動規制が行われることを抑制することが可能となる。
【0014】
本発明に係る障害物検知装置において、走行体に取り付けられて走行体が走行移動する際の障害物を検知する走行体障害物検知センサを備え、走行体障害物検知センサによる障害物の検知可能エリア内において、走行体の走行移動方向に対応する有効検知エリアを設定するとともに、設定した有効検知エリア内において、走行体障害物検知センサにより障害物が検知された場合に、走行体の作動規制を行う構成とすれば、走行体の走行移動方向
と対応しない範囲にある、走行体の走行移動の妨げとならないものを障害物として検知することを低減し、必要以上に走行体の作動規制が行われることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る障害物検知装置を備えたブーム式の高所作業車の側面図である。
【
図2】上記ブーム式の高所作業車の作動制御構成を示すブロック図である。
【
図3】上記第1実施形態に係る障害物検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】上記第1実施形態に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための側面図である。
【
図5】上記第1実施形態に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための平面図である。
【
図6】上記第1実施形態に係る障害物検知装置における作業台の移動方向の検知方法を説明するための概略図である。
【
図7】上記第1実施形態に係る障害物検知装置における障害物検出センサの有効検知エリアの設定方法について例示する平面図である。
【
図8】上記第1実施形態に係る障害物検知装置における障害物検出センサの有効検知エリアの設定方法について例示する側面図である。
【
図9】上記第1実施形態に係る障害物検知装置における障害物検出センサの有効検知エリアを変更する場合について例示する側面図である。
【
図10】上記第1実施形態の第1の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための側面図である。
【
図11】上記第1実施形態の第1の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための平面図である。
【
図12】上記第1実施形態の第2の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための側面図である。
【
図13】上記第1実施形態の第2の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための平面図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る障害物検知装置を備えた垂直昇降式の高所作業車の斜視図である。
【
図15】上記垂直昇降式の高所作業車の作動制御構成を示すブロック図である。
【
図16】上記第2実施形態に係る障害物検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図17】上記第2実施形態に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための側面図である。
【
図18】上記第2実施形態に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための平面図である。
【
図19】上記第2実施形態の第1の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための側面図である。
【
図20】上記第2実施形態の第1の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための平面図である。
【
図21】上記第2実施形態の第2の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための側面図である。
【
図22】上記第2実施形態の第2の変形例に係る障害物検知装置における障害物検出センサの機能を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る障害物検知装置を備えた自走式の伸縮ブーム式の高所作業車101を
図1に示している。この高所作業車101について、
図1および
図2を参照して説明する。高所作業車10
1は、走行可能に構成された走行体110と、走行体110の上部に水平旋回可能に設けられた旋回体120と、旋回体120の上部に起伏可能に設けられたブーム130と、ブーム130の先端部に設けられた作業台140とを備えて構成される。なお、旋回体120およびブーム130により昇降装置が構成される。
【0017】
走行体110は、走行体フレーム111に回転自在に設けられた左右一対の前輪112および後輪113を有している。走行体110は、左右の前輪112をそれぞれ回転駆動する2つの前輪走行モータ116と、左右の後輪113をそれぞれ回転駆動する2つの後輪走行モータ117とを有している。走行体110は、前輪および後輪走行モータ116,117により左右の前輪112および後輪113をそれぞれ回転駆動するとともに、これら前輪112および後輪113をそれぞれ操舵することにより、所望の方向へと走行移動できるように構成されている。なお、左右の前輪112を操舵輪とし、左右の後輪113を走行モータによる駆動輪としてもよい。あるいは、左右の後輪113を操舵輪とし、左右の前輪112を走行モータによる駆動輪としてもよい。
【0018】
走行体フレーム111の上部中央には旋回機構115が設けられている。旋回機構115は、走行体フレーム111に固定された外輪と、旋回体120に固定され、前記外輪に係合された内輪と、旋回体120に設けられた旋回モータ126と、旋回体120に設けられた油圧ポンプPから走行体110に設けられた前輪および後輪走行モータ116,117等に作動油を供給するためのロータリーセンタージョイント(図示せず)とを有している。旋回体120は、旋回機構115により走行体フレーム111に水平旋回自在に取り付けられ、旋回モータ126を正転もしくは逆転作動させることにより、走行体110に対して左右方向に旋回可能に構成されている。
【0019】
旋回体120の上部には、枢結ピン134によりブーム130が上下方向に揺動自在(起伏自在)に設けられている。ブーム130は、旋回体120とブーム130の間に跨設されたブーム起伏シリンダ135により旋回体120に対して起伏作動が可能になっている。ブーム130は、旋回体120に枢結された基端ブーム131、並びに、基端ブーム131に入れ子式に組み合わされた中間ブーム132および先端ブーム133を有して伸縮自在に構成される。ブーム130は、ブーム130内に設けられたブーム伸縮シリンダ136により伸縮作動が可能になっている。
【0020】
先端ブーム133の先端部には、枢結ピンにより垂直ポスト137が上下方向に揺動自在に設けられている。垂直ポスト137の上部には、作業台140が左右方向に旋回自在(首振り自在)に設けられている。先端ブーム133の先端部と垂直ポスト137との間には上側レベリングシリンダ(図示せず)が跨設されている。この上側レベリングシリンダは、基端ブーム131と旋回体120との間に跨設される下側レベリングシリンダ(図示せず)との間で油圧ホースによって閉回路が形成されており、下側レベリングシリンダの伸縮作動に応じて上側レベリングシリンダが伸縮作動されることにより、垂直ポスト137を先端ブーム133に対して上下揺動させてブーム130の起伏角度によらず常に作業台140の床面を水平な状態に保持するように構成されている。
【0021】
作業台140は、作業台140に設けられた首振りモータ146により垂直ポスト137に対して左右方向に旋回作動(首振り作動)が可能に構成されている。作業台140は、作業者が搭乗可能な略矩形状の作業床141と、その作業床141の周囲に立設された手摺り142とを有している。作業台140には、走行体110の走行操作やブーム130の作動操作等を行うための操作装置170が設けられている。
【0022】
操作装置170は、
図2に示すように、走行体110の発進停止および前進後退の切り替え等を行う走行操作レバー171と、走行体110の操舵操作(前輪112および後輪
113の操舵)を行う操舵ダイヤル172と、旋回体120の旋回操作を行う旋回操作レバー174と、ブーム130の起伏および伸縮操作を行うブーム操作レバー175と、作業台140の首振り操作(旋回操作)を行う首振り操作レバー176とを有している。高所作業車101では、作業者が作業台140に搭乗し、走行操作レバー171および操舵ダイヤル172等を操作することにより所望の作業位置に走行移動させるとともに、旋回操作レバー174およびブーム操作レバー175等を操作することにより作業台140を所望の高所位置に昇降移動させることができるように構成されている。
【0023】
左右の前輪112および後輪113と操舵ダイヤル172とは、ステアリング装置(図示略)を介して連動連結されている。ステアリング装置は、左右の前輪112に繋がる前輪転舵機構と、前輪転舵機構を駆動して左右の前輪112の舵角を変化させる前輪操舵シリンダ192と、左右の後輪113に繋がる後輪転舵機構と、後輪転舵機構を駆動して左右の後輪113の舵角を変化させる後輪操舵シリンダ194と、左右の前輪112の舵角を検出する前輪舵角検出器196と、左右の後輪113の舵角を検出する後輪舵角検出器197とを有している。
【0024】
走行体110には、左右の前輪112の回転をそれぞれ制動する2つの前輪ブレーキシリンダ118と、左右の後輪113の回転をそれぞれ制動する2つの後輪ブレーキシリンダ119とが設けられている。
【0025】
旋回体120には、左右の前輪走行モータ116、左右の後輪走行モータ117、左右の前輪ブレーキシリンダ118、左右の後輪ブレーキシリンダ119、前輪操舵シリンダ192、後輪操舵シリンダ194、旋回モータ126、ブーム起伏シリンダ135、ブーム伸縮シリンダ136および首振りモータ146等の駆動源として、これらの油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ユニット180が設けられている。油圧ユニット180は、エンジンEと、エンジンEによって駆動される油圧ポンプPと、作動油タンクTと、油圧ポンプPから各油圧アクチュエータに供給する作動油の供給方向および供給量を制御する制御バルブユニット185とを有している。制御バルブユニット185は、各油圧アクチュエータに対応して設けられた複数の制御バルブV1~V10を有している。
【0026】
旋回体120には、作業台140に設けられた操作装置170から操作信号が入力されるコントローラ150が設けられている。コントローラ150は、操作装置170からの操作信号を受けると、当該操作信号に応じた指令信号を油圧ユニット180の制御バルブユニット185に出力する。例えば、操作装置170の旋回操作レバー174から操作信号が入力されると、旋回操作レバー174の傾倒操作方向および操作量に応じた指令信号を制御バルブユニット185の旋回制御バルブV7に出力して、旋回制御バルブV7のスプール移動方向およびバルブ開度を制御し、旋回モータ126を駆動させて走行体110に対して旋回体120を旋回作動させる。
【0027】
コントローラ150は、ブーム操作レバー175から操作信号が入力されると、ブーム操作レバー175の傾倒操作方向および操作量に応じた指令信号を制御バルブユニット185の起伏および伸縮制御バルブV8,V9に出力して、起伏および伸縮制御バルブV8,V9のスプール移動方向およびバルブ開度を制御し、ブーム起伏シリンダ135およびブーム伸縮シリンダ136を駆動させてブーム130を起伏および伸縮作動させる。また、コントローラ150は、首振り操作レバー176から操作信号が入力されると、首振り操作レバー176の傾倒操作方向および操作量に応じた指令信号を制御バルブユニット185の首振り制御バルブV10に出力して、首振り制御バルブV10のスプール移動方向およびバルブ開度を制御し、首振りモータ146を駆動させて垂直ポスト137に対して作業台140を首振り作動させる。
【0028】
このように旋回体120、ブーム130および作業台140の作動制御を行うため、高所作業車101は、走行体110に対する旋回体120の旋回角度を検出する旋回角度検出器161と、旋回体120に対するブーム130の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器162と、ブーム130の伸長量を検出するブーム伸長量検出器163と、ブーム130(垂直ポスト137)に対する作業台140の首振り角度(旋回角度)を検出する首振り角度検出器164と、水平面に対する走行体フレーム111の傾斜角度を検出する傾斜角度検出器165とを有し、これら各検出器からの検出信号がコントローラ150に入力されるようになっている。コントローラ150は、これら各検出器からの検出信号に基づいて走行体110に対する作業台140の相対移動位置を常に求めて記憶するようになっている。
【0029】
コントローラ150は、走行操作レバー171から操作信号が入力されると、その操作信号に応じた指令信号を走行制御バルブユニット185の前輪走行制御バルブV1、後輪走行制御バルブV2、前輪ブレーキ制御バルブV5および後輪ブレーキ制御バルブV6に出力して、前輪走行モータ116,116および後輪走行モータ117,117の回転作動、すなわち前輪112,112および後輪113,113の駆動を制御する。
【0030】
コントローラ150は、操舵ダイヤル172から操舵信号が入力されると、操舵信号に応じた指令信号を前輪操舵制御バルブV3および後輪操舵制御バルブV4に出力して、前輪および後輪舵角検出器196,197により検出される舵角が操舵信号に対応した目標舵角となるように前輪操舵シリンダ192および後輪操舵シリンダ194を作動させて前輪112,112および後輪113,113を転舵作動させる。
【0031】
次に、高所作業車101における障害物検知装置について、
図3~
図9を追加参照して説明する。
図3に示すように、この障害物検知装置は、走行操作レバー171、操舵ダイヤル172、旋回操作レバー174、ブーム操作レバー175、首振り操作レバー176、旋回角度検出器161、ブーム起伏角度検出器162、ブーム伸長量検出器163、首振り角度検出器164、傾斜角度検出器165、前輪舵角検出器196、後輪舵角検出器197、作業台障害物検出センサ201a,201b、走行体障害物検出センサ211a,211b、警報器215およびコントローラ150(特に、移動方向検出部151、検知エリア制御部152、作動規制部153、警報制御部154)を主体として構成される。
【0032】
作業台障害物検出センサ201a,201bおよび走行体障害物検出センサ211a,211bは、レーザ光を照射して対象物(障害物)からの反射光を受光することにより、対象物の存在を検出するとともに、対象物までの距離を測定することができるLiDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略称)により構成されている。
図4および
図5に示すように、作業台障害物検出センサ201aは作業台140の前部に設けられ、作業台障害物検出センサ201bは作業台140の後部に設けられている。また、走行体障害物検出センサ211aは走行体110の前部に設けられ、走行体障害物検出センサ211bは走行体110の後部に設けられている。
【0033】
作業台障害物検出センサ201a,201bおよび走行体障害物検出センサ211a,211bの機能について、作業台障害物検出センサ201bを例にとって説明する。作業台障害物検出センサ201bは、検出可能エリアAR(
図4および
図5において破線の扇形で示す)が広く構成されており、その検出可能エリアAR内に侵入物があるとそれを障害物として検出することが可能になっている。また、作業台障害物検出センサ201bは、検出可能エリアAR内において、有効検知エリアVAR(
図4および
図5において円弧状の両矢線で示す範囲)が設定できるようになっている。この有効検知エリアVARが設定されると作業台障害物検出センサ201bは、有効検知エリアVAR内に侵入物がある
とそれを障害物として検出する一方、検出可能エリアAR内ではあるが有効検知エリアVARに設定されていないエリア内に侵入物があってもそれを検知しないようになっている。有効検知エリアVARは、検出可能エリアAR内であれば任意の向きに設定することができる。また、有効検知エリアVARの範囲は、上下方向および左右方向にそれぞれ、例えば、5度から30度の放射状の広がりを有するように設定することができる。作業台障害物検出センサ201aおよび走行体障害物検出センサ211a,211bについても、作業台障害物検出センサ201bと同様の機能を有している。
【0034】
警報器215は、後述する作動規制(走行体110および作業台140の作動規制)が行われた際に、そのことを作業者に警告するための警報(例えば、音声や光による)を発出することが可能に構成されている。警報器215は、例えば、作業台140に設置される。
【0035】
コントローラ150の移動方向検出部151は、走行体110の移動方向と作業台140の移動方向をそれぞれ検出する。この移動方向の検出は、例えば、次のように行われる。まず、移動方向検出部151は、走行操作レバー171および操舵ダイヤル172からの各操作信号と、傾斜角度検出器165、前輪舵角検出器196および後輪舵角検出器197からの各検出信号に基づき、走行体110の走行移動方向を検出する。この走行移動方向は、
図6に示すように例えば、路面に固定されたXYZ3軸直交座標系(X軸は左右方向、Y軸は前後方向、Z軸は上下方向に沿うとする)におけるベクトルVとして求められる。このベクトルVのX軸方向成分、Y軸方向成分およびZ軸方向成分を、それぞれVx、Vy、Vzとすると、Vxは走行体110の左右方向への旋回に関連し、Vyは走行体110の前後方向への走行に関連し、Vzは走行体110が坂道等を走行する際の傾きに関連する。
【0036】
また、移動方向検出部151は、旋回操作レバー174、ブーム操作レバー175および首振り操作レバー176からの各操作信号と、旋回角度検出器161、ブーム起伏角度検出器162、ブーム伸長量検出器163および首振り角度検出器164からの各検出信号に基づき、走行体110に対する作業台140の相対移動方向を検出する。この相対移動方向は、
図6に示すように例えば、(走行体110が走行移動していないとみなしたときの)XYZ3軸直交座標系におけるベクトルUとして求められる。このベクトルUのX軸方向成分、Y軸方向成分およびZ軸方向成分を、それぞれUx、Uy、Uzとすると、Uxはブーム130の旋回および作業台140の首振りに関連し、Uyはブーム130の旋回、伸縮および起伏に関連し、Uzはブーム130の伸縮および起伏に関連する。
【0037】
そして、移動方向検出部151は、走行体110に対する作業台140の相対移動方向と、走行体110の走行移動方向とに基づき、作業台140の移動方向(3次元空間内での移動方向)を検出する。この作業台140の移動方向は、
図6に示すように例えば、ベクトルUとベクトルVとを合成した合成ベクトルWとして求められる。
【0038】
コントローラ150の検知エリア制御部152は、移動方向検出部151により検出された作業台140の移動方向に対応するように作業台障害物検出センサ201aまたは201bにおいて有効検知エリアVARを設定する。また、検知エリア制御部152は、移動方向検出部151により検出された走行体110の走行移動方向に対応するように、走行体障害物検出センサ211aまたは211bにおいて有効検知エリアVARを設定する。例えば、
図7に示すように、走行体110が後方に右旋回して進み、作業台140は走行体110に対し相対移動していない場合、走行体110の走行移動方向(ベクトルV)は後進右旋回の方向となり、作業台140の移動方向(合成ベクトルW)は走行体110の走行移動方向と同じ方向となる。そこで、検知エリア制御部152は、走行体障害物検出センサ211bの検知可能エリアAR内において走行体110の走行移動方向に対応す
るように(ベクトルVを挟んで左右10度程度の範囲において)有効検知エリアVARを設定する。また、検知エリア制御部152は、作業台障害物検出センサ201bの検知可能エリアAR内において作業台140の移動方向に対応するように(合成ベクトルWを挟んで左右10度程度の範囲において)有効検知エリアVARを設定する。
【0039】
別の例として、
図8に示すように、走行体110が上り勾配の路面を後方に直進し、作業台140は走行体110に対し相対移動していない場合、走行体110の走行移動方向(ベクトルV)は後ろ斜め上方となり、作業台140の移動方向(合成ベクトルW)は走行体110の走行移動方向と同じ方向となる。そこで、検知エリア制御部152は、走行体障害物検出センサ211bの検知可能エリアAR内において走行体110の走行移動方向に対応するように有効検知エリアVARを設定する。また、検知エリア制御部152は、作業台障害物検出センサ201bの検知可能エリアAR内において作業台140の移動方向に対応するように有効検知エリアVARを設定する。
【0040】
コントローラ150の作動規制部153は、走行体障害物検出センサ211aまたは211bの有効検知エリアVAR内において障害物が検出されると、走行体110の作動を規制する。すなわち、走行操作レバー171の操作量にかかわらず前輪走行モータ116,116および後輪走行モータ117,117の回転作動を規制し、走行体110の走行移動速度を減速させる。また、作動規制部153は、作業台障害物検出センサ201aまたは201bの有効検知エリアVAR内において障害物が検出されると、走行体110の作動を規制するとともに、昇降装置(旋回体120およびブーム130)の作動を規制する。すなわち、旋回操作レバー174の操作量にかかわらず旋回モータ126の作動を規制し、旋回体120の旋回速度を減速させ、ブーム操作レバー175の操作量にかかわらずブーム起伏シリンダ135およびブーム伸縮シリンダ136の作動を規制し、ブーム130の起伏および伸縮作動速度を減速させ、首振り操作レバー176の操作量にかかわらず首振りモータ146の作動を規制し、作業台140の首振り作動速度を減速させる。
【0041】
この作動規制は、障害物を検出したセンサと障害物との距離に応じて行われる。例えば、作業台障害物検出センサ201bにより障害物が検出された場合、作業台障害物検出センサ201bと障害物との距離が例えば1m以内となると走行体110および昇降装置の作動速度の減速を開始し、当該距離が例えば30cmまで接近すると走行体110および昇降装置の作動を停止させる。作動規制により走行体110または昇降装置の作動が停止した場合、作動規制部153は、障害物を検出したセンサと障害物との距離が遠くなる方向に、走行体110および作業台140が移動するように走行体110および昇降装置の作動操作が行われた場合のみこれらの作動再開を許可する。
【0042】
コントローラ150の警報制御部154は、作動規制部153により作動規制が行われる際に、警報器215により警報を発出させ、作業者に注意を促す。なお、障害物を検出したセンサと障害物との距離に応じて警報の内容を変更してもよい。例えば、障害物を検出したセンサと障害物との距離が短くなるほど警報に用いる音声の音量を増大させたり、警報に用いるランプの点灯色を変化させたりしてもよい。
【0043】
なお、或る障害物検知センサにより障害物が検出された際に、別の障害物検知センサの有効検知エリアを変更するようにしてもよい。
図9は、走行体110が水平な路面を後方に直進しているときに、走行体障害物検出センサ211bにより進行方向において路面状態の変化(この場合は路面が水平から上り勾配に変化すること)が検出された状況を示している。この場合、作業台障害物検出センサ201bの有効検出エリアVARは、路面状況の変化が検出される前は後方を向くように(円弧状の両矢線α1で示す範囲に)設定されているのに対し、路面状況の変化が検出される後は後方斜め下方の範囲まで広がるように(円弧状の両矢線α2で示す範囲に)設定が変更される。
【0044】
以上のように高所作業車101における障害物検知装置によれば、走行体110の走行移動方向および作業台140の移動方向に対応した範囲に有効検知エリアVARが設定され、この有効検知エリアVAR内において障害物が検出された場合に走行体110および昇降装置の作動規制が行われる。そのため、走行体110の走行移動方向および作業台140の移動方向と対応しない範囲にある、これらの移動の妨げとならないものを障害物として検知することを低減し、必要以上に作動規制が行われることを抑制することができる。
【0045】
以下、第1実施形態の変形例について、
図10~
図14を追加参照して説明する。第1実施形態の第1の変形例としての高所作業車101Aを
図10および
図11に示している。この高所作業車101Aは、障害物検知装置において作業台障害物検出センサ202a,202bおよび走行体障害物検出センサ212a,212bを備えている点で高所作業車101と異なり、他の構成は略同じである。作業台障害物検出センサ202a,202bおよび走行体障害物検出センサ212a,212bは、LiDARにより構成されている。
図10および
図11に示すように、作業台障害物検出センサ202aは作業台140の前部に設けられ、作業台障害物検出センサ202bは作業台140の後部に設けられている。また、走行体障害物検出センサ212aは走行体110の前部に設けられ、走行体障害物検出センサ212bは走行体110の後部に設けられている。
【0046】
作業台障害物検出センサ202a,202bおよび走行体障害物検出センサ212a,212bの機能について、作業台障害物検出センサ202bを例にとって説明する。作業台障害物検出センサ202bは、検出可能エリアAR(
図10および
図11において破線の扇形で示す)が上述の作業台障害物検出センサ201a,201bおよび走行体障害物検出センサ211a,211bに比較して狭く構成されており、その検出可能エリアAR内に侵入物があるとそれを障害物として検出することが可能になっている。また、作業台障害物検出センサ202bは、上下方向および左右方向に所定の揺動可能範囲(
図10および
図11において円弧状の両矢線で示す範囲)内で揺動可能に取り付けられており、電動アクチュエータ(図示略)により揺動作動して、検出可能エリアARを揺動可能範囲内において任意の向きに設定できるようになっている。作業台障害物検出センサ202aおよび走行体障害物検出センサ212a,212bについても、作業台障害物検出センサ202bと同様の機能を有している。
【0047】
この変形例におけるコントローラ150の検知エリア制御部152は、移動方向検出部151により検出された作業台140の移動方向に対応するように、作業台障害物検出センサ202aまたは202bの検出可能エリアARの向きを変更し、当該向きを変更した検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。また、検知エリア制御部152は、移動方向検出部151により検出された走行体110の走行移動方向に対応するように、走行体障害物検出センサ212aまたは212bの検出可能エリアARの向きを変更し、当該向きを変更した検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。
【0048】
第1実施形態の第2の変形例としての高所作業車101Bを
図12および
図13に示している。この高所作業車101Bは、障害物検知装置において作業台障害物検出センサ203a,203b,203c,203d,203e,203f,203g,203h,203i,203jおよび走行体障害物検出センサ213a,213bを備えている点で高所作業車101と異なり、他の構成は略同じである。作業台障害物検出センサ203a~203jおよび走行体障害物検出センサ213a,213bは、LiDARにより構成されている。
図12および
図13に示すように、作業台障害物検出センサ203aは作業台140の前部に設けられ、作業台障害物検出センサ203bは作業台140の後部に設けられ、作業台障害物検出センサ203cは作業台140の上部に設けられ、作業台障害物
検出センサ203dは作業台140の下部に設けられている。作業台障害物検出センサ203eは作業台140の右側部に設けられ、作業台障害物検出センサ203fは作業台140の左側部に設けられている。作業台障害物検出センサ203gは作業台140の前右角部に設けられ、作業台障害物検出センサ203hは作業台140の前左角部に設けられ、作業台障害物検出センサ203iは作業台140の後右角部に設けられ、作業台障害物検出センサ203jは作業台140の後左角部に設けられている。また、走行体障害物検出センサ213aは走行体110の前部に設けられ、走行体障害物検出センサ212bは走行体110の後部に設けられている。
【0049】
作業台障害物検出センサ203a~203jおよび走行体障害物検出センサ213a,213bの機能について説明する。作業台障害物検出センサ203a~203jおよび走行体障害物検出センサ213a,213bは、検出可能エリアAR(
図12および
図13において破線の扇形で示す)が上述の作業台障害物検出センサ201a,201bおよび走行体障害物検出センサ211a,211bに比較して狭く構成されており、その検出可能エリアAR内に侵入物があるとそれを障害物として検出することが可能になっている。また、作業台障害物検出センサ203a~203jおよび走行体障害物検出センサ213a,213bは、それぞれの検出可能エリアARが互いに異なる向きとなるように互いに異なる位置に取り付けられている。
【0050】
この変形例におけるコントローラ150の検知エリア制御部152は、移動方向検出部151により検出された作業台140の移動方向に対応するように、作業台障害物検出センサ203a~203jの中から少なくとも1個の障害物検出センサを選択し、その選択した障害物検出センサの検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。例えば、作業台140の移動方向が上方であれば作業台障害物検出センサ203cを選択し、作業台140の移動方向が右斜め後方であれば作業台障害物検出センサ203iを選択する。また、検知エリア制御部152は、移動方向検出部151により検出された走行体110の走行移動方向に対応するように、走行体障害物検出センサ213aまたは213bを選択し、その選択した障害物検出センサの検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。例えば、走行体110の走行移動方向が前方であれば走行体障害物検出センサ213aを選択し、走行体110の走行移動方向が後方であれば走行体障害物検出センサ213bを選択する。なお、走行体110の各角部にも走行体障害物検出センサを設け、様々な走行移動方向に対応できるようにしてもよい。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態に係る障害物検知装置を備えた自走式の垂直昇降式の高所作業車1を
図14に示している。この高所作業車1について、
図14および
図15を参照して説明する。高所作業車1は、前後左右に設けられた4個のタイヤ車輪11を有する走行体10と、走行体10上に設けられた昇降装置20と、この昇降装置20に支持された作業台30とを備えて構成されている。
【0052】
走行体10は、タイヤ車輪11のうち左右一対の前輪11a,11bをそれぞれ回転駆動する左右の走行モータ12a,12bと、左右の前輪11a,11bを繋ぐ転舵機構(図示せず)と、この転舵機構を駆動して左右の前輪11a,11bの舵角(走行体10の前後中心軸に対する偏向角)を変化させる操舵シリンダ17とを有している。タイヤ車輪11のうち左右一対の後輪11c,11dは、車軸により連結された非駆動輪である。走行体10は、左右の走行モータ12a,12bにより左右の前輪11a,11bを回転駆動するとともに、操舵シリンダ17により左右の前輪11a,11bの舵角を変化させることによって、所望の方向へ走行移動可能に構成されている。なお、左右の前輪11a,11bを操舵輪とし、左右の後輪11c,11dを走行モータによる駆動輪としてもよい。
【0053】
昇降装置20は、X字形状の2本のリンク部材20aを走行体10の左右方向に並設するとともに、2本のリンク部材20aの中央部を第1枢結棒20bにより連結し、さらにそれらを上下方向に3段並設してそれぞれ第2枢結棒20cにより枢結した構成のシザースリンク機構と、このシザースリンク機構と走行体10の間に跨設された昇降シリンダ21とを有して構成される。
【0054】
シザースリンク機構を構成する最下方のリンク部材20aは、走行体10の前方に位置する側の下端部が走行体10の上部に枢結され、走行体10の後方に位置する側の下端部には走行体10の上部に設けられたレール上を転動するローラ20eが設けられている。シザースリンク機構を構成する最上方のリンク部材20aは、走行体10の前方に位置する側の上端部が作業台30の下部に枢結され、走行体10の後方に位置する側の上端部には作業台30の下部に設けられたレールを転動するローラ20fが設けられている。昇降装置20は、昇降シリンダ21を伸縮作動させることによりシザースリンク機構を上下方向に伸縮させて作業台30を上下方向に昇降移動させることができるように構成されている。
【0055】
作業台30は、作業者が搭乗可能な作業床31と、その作業床31上の前後左右の端部に立設された手摺り32と、前方側の手摺り32の上部に設けられた操作装置40とを有している。操作装置40は、
図15に示すように、走行体10の発進停止および前進後進の走行操作を行う走行操作レバー41と、走行体10の操舵操作(操舵輪である左右の前輪11a,11bの操舵)を行う操舵ダイヤル42と、作業台30の昇降操作を行う昇降操作レバー43とを有している。高所作業車1は、作業台30に搭乗した作業者が走行操作レバー41、操舵ダイヤル42および昇降操作レバー43を操作することにより、走行体10の走行移動および作業台30の昇降移動を行わせて所望の作業位置に移動できるように構成されている。
【0056】
走行操作レバー41は、非操作状態において垂直姿勢となる中立位置に位置し、この中立位置を基準に前方および後方へ傾倒操作可能に構成されている。走行操作レバー41の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)は、操作装置40内に設けられたポテンショメータ等からなる走行操作検出器41aによって検出され、その検出信号がコントローラ50に入力される。走行操作レバー41の前方への傾倒操作は、走行体10の前進走行指令に相当し、その傾倒操作量が大きい程、コントローラ50において前進走行時の目標速度が大きい値に設定される。走行操作レバー41の後方への傾倒操作は、走行体10の後進走行指令に相当し、その傾倒操作量が大きい程、コントローラ50において後進走行時の目標速度が大きい値に設定される。走行操作レバー41の中立位置への復帰操作は、走行体10の停止指令に相当する。
【0057】
操舵ダイヤル42は、非操作状態において中立位置(
図15に示すように、操舵ダイヤル42に記されたマークと操作装置40の表面に記されたマークとが一致する位置)に位置し、この中立位置を基準に右回り(時計回り)および左回り(反時計回り)に捻り操作可能に構成されている。操舵ダイヤル42の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)は、操作装置40内に設けられたポテンショメータ等からなる操舵操作検出器42aによって検出され、その検出信号がコントローラ50に入力される。操舵ダイヤル42の右回り方向への捻り操作は、前輪11a,11bの右方向への操舵指令に相当し、その捻り操作量が大きい程、コントローラ50において右方向への目標舵角が大きい値に設定される。操舵ダイヤル42の左回り方向への捻り操作は、前輪11a,11bの左方向への操舵指令に相当し、その捻り操作量が大きい程、コントローラ50において左方向への目標舵角が大きい値に設定される。また、操舵ダイヤル42の中立位置への復帰操作は、前輪11a,11bの舵角を零の状態にする指令(走行体10の直進走行指令)に相当する。
【0058】
昇降操作レバー43は、非操作状態において垂直姿勢となる中立位置に位置し、この中立位置を基準に前方および後方へ傾倒操作可能に構成されている。昇降操作レバー43の操作状態(中立位置を基準とした操作方向と操作量)は、操作装置40内に設けられたポテンショメータ等からなる昇降操作検出器43aによって検出され、その検出信号がコントローラ50に入力される。昇降操作レバー43の中立位置よりも前方への傾倒操作は作業台30の下降指令に相当し、中立位置よりも後方への傾倒操作は作業台30の上昇指令に相当する。また、昇降操作レバー43の中立位置への復帰操作は、作業台30の停止指令に相当する。
【0059】
走行体10には、バッテリBと、バッテリBからの直流電力を交流電力に変換して左右の走行モータ12a,12bに供給するインバータIVとが設けられている。コントローラ50のインバータ制御部56は、走行操作レバー41の操作状態に応じた回転方向および回転速度で左右の走行モータ12a,12bが回転駆動するようにインバータIVを介して左右の走行モータ12a,12bに電力を供給し、左右の走行モータ12a,12bを回転駆動させる制御を行うようになっている。
【0060】
さらに、走行体10には、バッテリBからの電力によって回転駆動するポンプ駆動用モータMTと、ポンプ駆動用モータMTによって駆動される油圧ポンプPと、作動油タンクTと、操舵シリンダ17への作動油の供給方向を切り換える操舵制御バルブ71と、昇降シリンダ21への作動油の供給方向(供給するか否かを含む)を切り換える昇降制御バルブ72とを備えている。ポンプ駆動用モータMTは、昇降操作レバー43による作業台30の上昇操作、および操舵ダイヤル42による操舵操作を行った場合のみに回転駆動される。油圧ポンプPから吐出された作動油は、操舵制御バルブ71を介して操舵シリンダ17に供給され、昇降制御バルブ72を介して昇降シリンダ21に供給される。
【0061】
コントローラ50の操舵制御部57は、操舵ダイヤル42の操作に応じて操舵制御バルブ71のスプールを電磁駆動して操舵シリンダ17への作動油の供給方向を切り換え、操舵シリンダ17を伸縮作動させて左右の前輪11a,11bの舵角を変化させる制御を行うようになっている。コントローラ50の昇降制御部58は、昇降操作レバー43の操作に応じて昇降制御バルブ72のスプールを電磁駆動して昇降シリンダ21への作動油の供給方向を切り換え、昇降シリンダ21を伸縮作動させて昇降装置20により作業台30を昇降移動させる制御を行うようになっている。
【0062】
昇降装置20は、昇降シリンダ21の伸長量から作業台30の昇降位置(高さ位置)を検出する昇降位置検出器61を備えている。昇降位置検出器61により検出された作業台30の昇降位置情報は、コントローラ50の昇降制御部53に入力されるようになっている。なお、昇降位置検出器61は、昇降シリンダ21の伸長量から作業台30の昇降位置を検出する構成の他に、光学式や超音波式の反射型距離センサにより構成して作業台30の昇降位置を検出するようにしてもよい。また、シザースリンクの角度を検出して、作業台30の高さを算出するようにしてもよい。
【0063】
次に、高所作業車1における障害物検知装置について、
図16~
図18を追加参照して説明する。
図16に示すように、この障害物検知装置は、走行操作レバー41、操舵ダイヤル42、昇降操作レバー43、昇降位置検出器61、舵角検出器62、作業台障害物検出センサ81a,81b、走行体障害物検出センサ86a,86b、警報器91およびコントローラ50(特に、移動方向検出部51、検知エリア制御部52、作動規制部53、警報制御部54)を主体として構成される。舵角検出器62は、操舵輪である左右の前輪11a,11bの舵角を検出し、その検出信号をコントローラ50に出力する。
【0064】
作業台障害物検出センサ81a,81bおよび走行体障害物検出センサ86a,86bは、LiDARにより構成されている。
図17および
図18に示すように、作業台障害物検出センサ81aは作業台30の前部に設けられ、作業台障害物検出センサ81bは作業台30の後部に設けられている。また、走行体障害物検出センサ86aは走行体10の前部に設けられ、走行体障害物検出センサ86bは走行体10の後部に設けられている。なお、
図18では、本来であれば平面視において互いに重なる位置にある走行体10と作業台30を、便宜的に並べて図示している。この点は、以下において参照する
図20および
図22においても同様である。
【0065】
作業台障害物検出センサ81a,81bおよび走行体障害物検出センサ86a,86bは、第1実施形態の作業台障害物検出センサ201a,201bおよび走行体障害物検出センサ211a,211bと同様の機能を有している。すなわち、検出可能エリアAR(
図17および
図18において破線の扇形で示す)において、有効検知エリアVAR(
図17および
図18において円弧状の両矢線で示す範囲)が設定できるようになっており、この有効検知エリアVAR内に侵入物があるとそれを障害物として検出するようになっている。
【0066】
警報器91は、第1実施形態の警報器215と同様の機能を有している。すなわち、警報器91は、走行体10および作業台30の作動規制が行われた際に、そのことを作業者に警告するための警報を発出する。警報器91は、例えば、作業台30に設置される。
【0067】
コントローラ50の移動方向検出部51は、走行体10の移動方向と作業台30の移動方向をそれぞれ検出する。例えば、移動方向検出部51は、走行操作レバー41および操舵ダイヤル42からの各操作信号(詳細には、走行操作検出器41aおよび操舵操作検出器42aからの各検出信号)と、舵角検出器62からの検出信号に基づき、走行体10の走行移動方向を検出する。また、移動方向検出部51は、昇降操作レバー43からの操作信号(詳細には、昇降操作検出器43aからの検出信号)と、昇降位置検出器61からの検出信号に基づき、走行体10に対する作業台30の相対移動方向を検出する。そして、移動方向検出部51は、走行体10に対する作業台30の相対移動方向と、走行体10の走行移動方向とに基づき、作業台30の移動方向(3次元空間内での移動方向)を検出する。
【0068】
コントローラ50の検知エリア制御部52は、移動方向検出部51により検出された作業台30の移動方向に対応するように作業台障害物検出センサ81aまたは81bにおいて有効検知エリアVARを設定する。また、検知エリア制御部52は、移動方向検出部51により検出された走行体10の走行移動方向に対応するように、走行体障害物検出センサ86aまたは86bにおいて有効検知エリアVARを設定する。例えば、走行体10が前方に進み、作業台30は走行体10に対し上方に相対移動している場合、走行体10の走行移動方向は前方となり、作業台30の移動方向は前斜め上方となる。そこで、検知エリア制御部52は、走行体障害物検出センサ86aの検知可能エリアAR内において走行体10の走行移動方向(前方)に対応するように有効検知エリアVARを設定する。また、検知エリア制御部52は、作業台障害物検出センサ81aの検知可能エリアAR内において作業台30の移動方向(前斜め上方)に対応するように有効検知エリアVARを設定する。
【0069】
コントローラ50の作動規制部53は、走行体障害物検出センサ86aまたは86bの有効検知エリアVAR内において障害物が検出されると、走行体10の作動を規制する。すなわち、走行操作レバー41の操作量にかかわらず走行モータ12a,12bの回転作動を規制し、走行体10の走行移動速度を減速させる。また、作動規制部53は、作業台障害物検出センサ81aまたは81bの有効検知エリアVAR内において障害物が検出さ
れると、走行体10の作動を規制するとともに、昇降装置20の作動を規制する。すなわち、昇降操作レバー43の操作量にかかわらず昇降シリンダ21の作動を規制し、作業台30の昇降速度を減速させる。この作動規制は、第1実施形態の作動規制部153と同様に、障害物を検出したセンサと障害物との距離に応じて行われる(ここでは説明を省略する)。
【0070】
コントローラ50の警報制御部54は、作動規制部53により作動規制が行われる際に、警報器91により警報を発出させ、作業者に注意を促す。
【0071】
以上のように高所作業車1における障害物検知装置によれば、走行体10の走行移動方向および作業台30の移動方向に対応した範囲に有効検知エリアVARが設定され、この有効検知エリアVAR内において障害物が検出された場合に走行体10および昇降装置20の作動規制が行われる。そのため、走行体10の走行移動方向および作業台30の移動方向と対応しない範囲にある、これらの移動の妨げとならないものを障害物として検知することを低減し、必要以上に作動規制が行われることを抑制することができる。
【0072】
以下、第2実施形態の変形例について、
図19~
図22を追加参照して説明する。第2実施形態の第1の変形例としての高所作業車1Aを
図19および
図20に示している。この高所作業車1Aは、障害物検知装置において作業台障害物検出センサ82a,82b,82cおよび走行体障害物検出センサ87a,87bを備えている点で高所作業車1と異なり、他の構成は略同じである。作業台障害物検出センサ82a~82cおよび走行体障害物検出センサ87a,87bは、LiDARにより構成されている。
図19および
図20に示すように、作業台障害物検出センサ82aは作業台30の前部に設けられ、作業台障害物検出センサ82bは作業台30の後部に設けられ、作業台障害物検出センサ82cは作業台30の下部に設けられている。また、走行体障害物検出センサ87aは走行体10の前部に設けられ、走行体障害物検出センサ87bは走行体10の後部に設けられている。
【0073】
作業台障害物検出センサ82a~82cおよび走行体障害物検出センサ87a,87bの構成および機能は、第1実施形態の第1の変形例における作業台障害物検出センサ202a,202bおよび走行体障害物検出センサ212a,212bと同様であり、ここでは説明を省略する。
【0074】
この変形例におけるコントローラ50の検知エリア制御部52は、移動方向検出部51により検出された作業台30の移動方向に対応するように、作業台障害物検出センサ81a,81bまたは81cの検出可能エリアARの向きを変更し、当該向きを変更した検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。また、検知エリア制御部52は、移動方向検出部51により検出された走行体10の走行移動方向に対応するように、走行体障害物検出センサ87aまたは87bの検出可能エリアARの向きを変更し、当該向きを変更した検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。
【0075】
第2実施形態の第2の変形例としての高所作業車1Bを
図21および
図22に示している。この高所作業車1Bは、障害物検知装置において作業台障害物検出センサ83a,83b,83c,83d,83e,83f,83g,83h,83i,83jおよび走行体障害物検出センサ88a,88bを備えている点で高所作業車1と異なり、他の構成は略同じである。作業台障害物検出センサ83a~83jおよび走行体障害物検出センサ88a,88bは、LiDARにより構成されている。
図21および
図22に示すように、作業台障害物検出センサ83aは作業台30の前部に設けられ、作業台障害物検出センサ83bは作業台30の後部に設けられ、作業台障害物検出センサ83cは作業台30の上部に設けられ、作業台障害物検出センサ83dは作業台30の下部に設けられている。作業
台障害物検出センサ83eは作業台30の右側部に設けられ、作業台障害物検出センサ83fは作業台30の左側部に設けられている。作業台障害物検出センサ83gは作業台30の前右角部に設けられ、作業台障害物検出センサ83hは作業台30の前左角部に設けられ、作業台障害物検出センサ83iは作業台30の後右角部に設けられ、作業台障害物検出センサ83jは作業台30の後左角部に設けられている。また、走行体障害物検出センサ88aは走行体10の前部に設けられ、走行体障害物検出センサ88bは走行体10の後部に設けられている。
【0076】
作業台障害物検出センサ83a~83jおよび走行体障害物検出センサ88a,88bの構成および機能は、第1実施形態の第2の変形例における作業台障害物検出センサ202a,202bおよび走行体障害物検出センサ203a~203jおよび走行体障害物検出センサ213a,213bと同様であり、ここでは説明を省略する。
【0077】
この変形例におけるコントローラ50の検知エリア制御部52は、移動方向検出部51により検出された作業台30の移動方向に対応するように、作業台障害物検出センサ83a~83jの中から少なくとも1個の障害物検出センサを選択し、その選択した障害物検出センサの検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。例えば、作業台30の移動方向が下方であれば作業台障害物検出センサ83dを選択し、作業台30の移動方向が右斜め前方であれば作業台障害物検出センサ83gを選択する。また、検知エリア制御部52は、移動方向検出部51により検出された走行体10の走行移動方向に対応するように、走行体障害物検出センサ88aまたは88bを選択し、その選択した障害物検出センサの検出可能エリアARを有効検知エリアとして設定する。例えば、走行体10の走行移動方向が前方であれば走行体障害物検出センサ88aを選択し、走行体10の走行移動方向が後方であれば走行体障害物検出センサ88bを選択する。なお、走行体10の各角部にも走行体障害物検出センサを設け、様々な走行移動方向に対応できるようにしてもよい。
【0078】
以上、本発明に係る好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、障害物検知センサとしてLiDARを例示しているが、障害物の検知方式は特定のものに限定されるものではない。超音波センサを用いて障害物を検知する方式や画像認識により障害物を検知する方式等、種々の検知方式を利用することができる。
【0079】
上述の第1実施形態では、本発明を適用するブーム式の高所作業車として、伸縮ブーム式の高所作業車を示したが、屈折ブーム式の高所作業車にも適用可能である。また、上述の第2実施形態では、本発明を適用する垂直昇降式の高所作業車として、シザースリンク式の高所作業車を示したが、マスト式の高所作業車にも適用可能である。また、本発明は、ローラジャッキを備えた高所作業車や自走式でない高所作業車に対しても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1,101 高所作業車
10,110 走行体
20 昇降装置
30,140 作業台
50,150 コントローラ
51,151 移動方向検出部
52,152 検知エリア制御部
53,153 作動規制部
54,154 警報制御部
120 旋回体
130 ブーム