(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070373
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】まくらぎ
(51)【国際特許分類】
E01B 3/42 20060101AFI20230512BHJP
E01B 3/26 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
E01B3/42
E01B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182501
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】591036893
【氏名又は名称】鉄道機器株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591121111
【氏名又は名称】株式会社安部日鋼工業
(74)【代理人】
【識別番号】100104064
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 岳人
(72)【発明者】
【氏名】山室 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】足立 剛一
(72)【発明者】
【氏名】土合 恭平
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 充輝
(72)【発明者】
【氏名】束原 実
(72)【発明者】
【氏名】堀内 雄太
(57)【要約】
【課題】比較的軽量で容易に敷設することができるとともに、簡単に製造し組み立てることができるまくらぎを提供する。
【解決手段】まくらぎ2は、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を重ね合わせており、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の長さ方向に連続して、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを嵌合させる嵌合部8を備えている。嵌合部8は、重量まくらぎ部3側の嵌合凹部8aと軽量まくらぎ部5側の嵌合凹部8bとに挿入されて、これらの嵌合凹部8a,8bに嵌合する嵌合軸部8cを備えている。重量まくらぎ部3は、この重量まくらぎ部3の長さ方向に複数のまくらぎ片4によって分割されている。ずれ防止部9は、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが長さ方向にずれるのを防止する。重量まくらぎ部3は、コンクリート製であり、軽量まくらぎ部5は合成樹脂製である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量まくらぎ部に軽量まくらぎ部を重ね合わせたまくらぎであって、
前記重量まくらぎ部及び前記軽量まくらぎ部の長さ方向に連続して、この重量まくらぎ部とこの軽量まくらぎ部とを嵌合させる嵌合部を備えること、
を特徴とするまくらぎ。
【請求項2】
請求項1に記載のまくらぎにおいて、
前記嵌合部は、前記重量まくらぎ部側の嵌合凹部と前記軽量まくらぎ部側の嵌合凹部とに挿入されて、これらの嵌合凹部に嵌合する嵌合軸部を備えること、
を特徴とするまくらぎ。
【請求項3】
請求項1に記載のまくらぎにおいて、
前記嵌合部は、
前記重量まくらぎ部又は前記軽量まくらぎ部の一方に嵌合凸部を備えており、
前記重量まくらぎ部又は前記軽量まくらぎ部の他方に前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を備えること、
を特徴とするまくらぎ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のまくらぎにおいて、
前記重量まくらぎ部は、この重量まくらぎ部の長さ方向に複数のまくらぎ片によって分割されていること、
を特徴とするまくらぎ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のまくらぎにおいて、
前記重量まくらぎ部と前記軽量まくらぎ部とが長さ方向にずれるのを防止するずれ防止部を備えること、
を特徴とするまくらぎ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のまくらぎにおいて、
前記重量まくらぎ部は、コンクリート製、鉄製又は鉄以外の金属製であり、
前記軽量まくらぎ部は、合成樹脂製であること、
を特徴とするまくらぎ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、重量まくらぎ部に軽量まくらぎ部を重ね合わせた複合構造のまくらぎに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道では、レールを固定し軌間を正確に保持するとともに、レールから伝達される列車荷重を広く道床に分散させるために、レールと道床との間に設置される軌道の重要な構成部材としてまくらぎが使用されている。まくらぎには、木製の木まくらぎ、プレストレストコンクリートを使用したPCまくらぎ、鉄製又は鋳鉄製の鉄まくらぎ、及びガラス長繊維によって強化された発泡ウレタン樹脂を成形した合成まくらぎなどが使用されている。鉄道では、PCまくらぎが広く使用されているが、分岐器類に使用される分岐まくらぎには、合成まくらぎが使用されている。合成まくらぎは比較的軽いため、通過する列車本数が多い箇所で合成まくらぎを使用すると、列車が通過する毎に合成まくらぎに列車荷重が繰り返し載荷されて、合成まくらぎが移動することがある。このため、比較的に重いPCまくらぎに合成まくらぎが交換されつつある。しかし、合成まくらぎに比べてPCまくらぎは重いため、狭い構内で多数の合成まくらぎをPCまくらぎに交換する作業は困難で手間がかかる。
【0003】
従来の複合型枕木(以下、従来技術1という)は、左右のレール締結枕木部を構成する合成枕木体と、中間枕木部を構成するコンクリート枕木体と、合成枕木体とコンクリート枕木体とを結合する短尺鉄筋又は長尺鉄筋とを備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1は、レール締結枕木部以外の部分がコンクリート又は鉄からなる重量枕木本体によって構成し、枕木の移動を抑制している。
【0004】
従来のまくら木(以下、従来技術2という)は、合成まくら木を使用したまくら木本体を金型に収容し、まくら木本体と金型との間の隙間にコンクリート流し込み、合成まくら木を使用したまくら木本体と、コンクリートから製造されたカバーとを、長さ方向の溝によって嵌合させている(例えば、特許文献2参照)。この従来技術2は、合成まくら木のまくら木本体の表面が露出するように、コンクリートのカバーによってこのまくら木本体を被覆することによってこのまくら木本体を道床バラストから保護している。
【0005】
従来の枕木(以下、従来技術3という)は、合成枕木本体と、この合成枕木本体の底面に接着剤によって接着されたコンクリート板の耐摩耗材層と、この耐摩耗材層の表面に形成されておりバラスト材が引っ掛かる多数の穴を備えている(例えば、特許文献3参照)。この従来技術3は、耐摩耗材層の多数の穴にバラスト材が引っ掛かるため、列車通過時の繰り返し荷重が作用したときに枕木が移動するのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【0007】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術1では、左右の合成枕木体と中間のコンクリート枕木体とを、この合成枕木体及びこのコンクリート枕木体の内部で短尺鉄筋又は長尺鉄筋によって結合する必要がある。このため、従来技術1では、複合型枕木を構成する構成部材が多くなって、製造コストが高くなり組み立てが困難で手間がかかる問題点がある。また、従来技術1では、合成枕木体やコンクリート枕木体が損傷したときに、これらを交換するために合成枕木体とコンクリート枕木体とを簡単に分離することができない問題点がある。
【0010】
従来技術2では、合成まくら木のまくら木本体を金型に収容し、まくら木本体と金型との間の隙間にコンクリート流し込み、まくら木本体を被覆するカバーとまくら木本体とを一体化させている。このため、従来技術2では、複合型枕木を製造するために専用の金型を用意する必要があり、コストが高くなってしまう問題点があるとともに、金型内にコンクリートを流し込み硬化させる必要があり、複合型枕木の製造に手間や時間がかかる問題点がある。また、従来技術2では、まくら木本体とカバーとが一体であるため、カバーが破損したときにまくら木本体とカバーとを分離してカバーを交換することができない問題点がある。
【0011】
従来技術3では、厚さ3mm以上のコンクリート板の耐摩耗材層を、厚さ140mmの合成枕木本体の表面に接着している。このため、従来技術3では、合成枕木に比べて耐摩耗材層が非常に薄いため、本体枕木全体の重量が軽すぎて列車通過時の列車荷重によって枕木が移動してしまう問題点があるとともに、耐摩耗材層が損傷したときに耐摩耗材層を簡単に交換できない問題点がある。
【0012】
この発明の課題は、比較的軽量で容易に敷設することができるとともに、簡単に製造し組み立てることができるまくらぎを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、
図2、
図4~
図9及び
図14~
図16に示すように、重量まくらぎ部(3)に軽量まくらぎ部(5)を重ね合わせたまくらぎであって、前記重量まくらぎ部及び前記軽量まくらぎ部の長さ方向に連続して、この重量まくらぎ部とこの軽量まくらぎ部とを嵌合させる嵌合部(8)を備えることを特徴とするまくらぎ(2)である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載のまくらぎにおいて、
図5及び
図6に示すように、前記嵌合部は、前記重量まくらぎ部側の嵌合凹部(8a)と前記軽量まくらぎ部側の嵌合凹部(8b)とに挿入されて、これらの嵌合凹部に嵌合する嵌合軸部(8c)を備えることを特徴とするまくらぎである。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1に記載のまくらぎにおいて、
図16に示すように、前記嵌合部は、前記重量まくらぎ部又は前記軽量まくらぎ部の一方に嵌合凸部(8d)を備えており、前記重量まくらぎ部又は前記軽量まくらぎ部の他方に前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部(8e)を備えることを特徴とするまくらぎである。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のまくらぎにおいて、
図1~
図4、
図12、
図14及び
図15に示すように、前記重量まくらぎ部は、この重量まくらぎ部の長さ方向に複数のまくらぎ片(4)によって分割されていることを特徴とするまくらぎである。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のまくらぎにおいて、
図1~
図4、
図11、
図14及び
図15に示すように、前記重量まくらぎ部と前記軽量まくらぎ部とが長さ方向にずれるのを防止するずれ防止部(9)を備えることを特徴とするまくらぎである。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のまくらぎにおいて、
図1~
図7、
図9~
図12及び
図14~
図16に示すように、前記重量まくらぎ部は、コンクリート製、鉄製又は鉄以外の金属製であり、前記軽量まくらぎ部は、合成樹脂製であることを特徴とするまくらぎである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、比較的軽量で容易に敷設することができるとともに、簡単に製造し組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の第1実施形態に係るまくらぎの斜視図である。
【
図2】この発明の第1実施形態に係るまくらぎの一部を破断した状態で分解して示す斜視図である。
【
図3】この発明の第1実施形態に係るまくらぎの全体図であり、(A)は平面図であり、(B)は右側面図であり、(C)は左側面図であり、(D)は正面図であり、(E)は底面図である。
【
図4】この発明の第1実施形態に係るまくらぎの断面図であり、(A)は
図3(D)のIV-IVA線で切断した状態を示す断面図であり、(B)は
図3(A)のIV-IVB線で切断した状態を示す断面図である。
【
図5】
図3(A)のV-V線で切断した状態を示す断面図である。
【
図6】
図3(A)のVI-VI線で切断した状態を示す断面図である。
【
図7】この発明の第1実施形態に係るまくらぎの挟み込み部の斜視図である。
【
図8】この発明の第1実施形態に係るまくらぎの全体図であり、(A)は挟み込み部の上面図であり、(B)は正面図であり、(C)は左側面図であり、(D)は右側面図である。
【
図9】
図3(A)のIX-IX線で切断した状態を示す断面図である。
【
図10】
図4(B)のX部分を拡大して示す部分断面図である。
【
図11】この発明の第1実施形態に係るまくらぎのずれ防止部の斜視図である。
【
図12】この発明の実施形態に係るまくらぎの作用を説明するための模式図であり、(A)はまくらぎが上側に撓んだ状態を示す模式図であり、(B)はまくらぎが下側に撓んだ状態を示す模式図である。
【
図13】この発明の第1実施形態に係るまくらぎの製造法を説明するための斜視図であり、(A)は重ね合わせ工程を示す斜視図であり、(B)は嵌合工程を示す斜視図であり、(C)はずれ防止工程を説明するための斜視図である。
【
図14】この発明の第2実施形態に係るまくらぎの分解斜視図である。
【
図15】この発明の第2実施形態に係るまくらぎの一部を破断した状態で分解して示す斜視図である。
【
図16】この発明の第2実施形態に係るまくらぎの縦断面図である。
【
図17】この発明の第2実施形態に係るまくらぎの製造法を説明するための斜視図であり、(A)は嵌合工程を示す斜視図であり、(B)はずれ防止工程を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1に示すレール1は、列車の車輪を支持し案内して、この列車を走行させる部材である。レール1は、列車の車輪と接触するレール頭部1aと、まくらぎ2に取り付けられるレール底部(フランジ部)1bと、レール頭部1aとレール底部1bとを繋ぐレール腹部(ウェブ部)1cなどを備えている。レール1は、図示しないレール締結装置によってまくらぎ2に締結されている。
【0022】
図1~
図6に示すまくらぎ2は、レール1を支持する支承体(支持体)である。まくらぎ2は、レール1を固定し軌間を正確に保持するとともに、レール1から伝達される列車荷重を広く道床に分散させるために、レール1と道床との間に設置される。
図1~
図6に示すまくらぎ2は、分岐器類に使用され分岐器類を支持する分岐まくらぎである。まくらぎ2は、レール1の長さ方向に所定の間隔をあけて配置されており、レール1を離散的に支持している。まくらぎ2は、
図1~
図6に示す重量まくらぎ部3と、軽量まくらぎ部5と、
図1~
図10に示す挟み込み部6と、
図7、
図8及び
図10に示す位置決め部7と、
図2、
図4~
図6及び
図9に示す嵌合部8と、
図1~
図4及び
図11に示すずれ防止部9と、固定部10とを備えている。まくらぎ2は、
図1、
図2、
図4及び
図5に示すように、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を重ね合わせたまくらぎであり、軽量で高耐久性を有するまくらぎである。まくらぎ2は、例えば、従来の分岐まくらぎと略同一の長さ、幅及び高さになるように各部の寸法が設定されている。
【0023】
図1~
図6に示す重量まくらぎ部3は、比較的重い材料によってまくらぎ2の下部を構成する部材である。重量まくらぎ部3は、コンクリート製である。重量まくらぎ部3は、例えば、セメント、シリカフュームなどの反応性粉体、細骨材、高性能減水剤及び繊維から構成された無機系複合材であり、超高強度,高靭性,高流動性,高耐久性を有するダクタルコンクリート(登録商標)にような超高強度繊維補強コンクリート(Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete(UFC))などである。重量まくらぎ部3は、
図1~
図3に示すように、まくらぎ2の下側まくらぎ部を構成しており、この重量まくらぎ部3の長さ方向に複数のまくらぎ片4によって分割されている。
【0024】
図1~
図3に示すまくらぎ片4は、重量まくらぎ部3の主要部分を構成する部材である。まくらぎ片4は、
図1~
図4に示すように、隣接するまくらぎ片4同士の干渉を防ぐために、重量まくらぎ部3の長さ方向に沿って所定の間隔(隙間)をあけて一列に配置されている。まくらぎ片4は、いずれも略同一構造であり、
図5及び
図6に示すように、断面形状が凹状(略U字状)のブロック体である。まくらぎ片4は、例えば、型枠内にコンクリートを流し込み製造される。まくらぎ片4は、
図5及び
図6に示す収容部4aと、
図3、
図5及び
図6に示す側面(外側側面)4bと、端面4cと、底面(外側底面)4dとを備えている。
【0025】
図5及び
図6に示す収容部4aは、軽量まくらぎ部5を収容する部分である。収容部4aは、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を重ね合わせるために、まくらぎ片4の上面に形成された開口部である。収容部4aは、軽量まくらぎ部5の上部がこの収容部4aから露出するように、軽量まくらぎ部5の高さよりもこの収容部4aの深さが浅く形成されている。収容部4aは、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を挿入可能なように、この収容部4aの幅が軽量まくらぎ部5の幅よりも僅かに広く形成されている。収容部4aは、軽量まくらぎ部5の底面5dと接合する平坦な内側底面4eと、内側底面4eに対して垂直に形成され、軽量まくらぎ部5の側面5bと接合する平坦な内側側面(内側壁面)4fとを備えている。
【0026】
図3、
図5及び
図6に示す側面4bは、まくらぎ片4の側部を構成する部分である。側面4bは、底面4dに対して垂直に形成された平坦面である。端面4cは、まくらぎ片4の端部を構成する部分である。端面4cは、底面4dに対して垂直に形成された平坦面である。底面4dは、まくらぎ片4の底部を構成する部分である。底面4dは、道床によって支持される平坦面である。
【0027】
図1~
図6に示す軽量まくらぎ部5は、比較的軽い材料によってまくらぎ2の上部を構成する部材である。軽量まくらぎ部5は、合成樹脂製である。軽量まくらぎ部5は、ガラス長繊維によって強化された発泡ウレタン樹脂を成形した合成まくらぎ部である。軽量まくらぎ部5は、例えば、ガラス長繊維及び硬質発砲ポリウレタンによって構成されたシートを複数枚積層して形成されている。軽量まくらぎ部5は、まくらぎ2の下側まくらぎ部を構成しており、重量まくらぎ部3とは異なり、
図4~
図6に示すように断面形状が四角形の1枚の板状部材によって形成されている。軽量まくらぎ部5は、例えば、樹脂成型によって製造される。軽量まくらぎ部5は、
図3、
図5及び
図6に示すように、上面5aと、側面5bと、端面5cと、底面5dとを備えている。軽量まくらぎ部5は、この軽量まくらぎ部5の側面5b及び底面5dがまくらぎ片4の側面4b及び底面4dと接着剤などによって接着される。
【0028】
図3、
図5及び
図6に示す上面5aは、軽量まくらぎ部5のまくらぎ上部を構成する部分である。上面5aは、底面5dに対して平行に形成された平坦面であり、レール1をまくらぎ2に締結するレール締結装置が取り付けられる。側面5bは、軽量まくらぎ部5の側部を構成する部分である。側面5bは、上面5a及び底面5dに対して垂直に形成された平坦面である。端面5cは、軽量まくらぎ部5の端部を構成する部分である。端面5cは、上面5a及び底面5dに対して垂直に形成された平坦面である。底面5dは、軽量まくらぎ部5の底部を構成する部分である。底面5dは、まくらぎ片4の収容部4aの内側底面4eによって支持される平坦面である。
【0029】
図1~
図10に示す挟み込み部6は、隣接するまくらぎ片4間に挟み込まれる部材である。挟み込み部6は、
図4(B)及び
図10に示すように、隣り合う一方のまくらぎ片4の端面4cと他方のまくらぎ片4の端面4cとの間の隙間に挟み込まれるスペーサとして機能する。挟み込み部6は、断面がまくらぎ片4の断面と略同一形状であり、弾性変形が可能なゴム又は合成樹脂などの緩衝材によって形成された薄板状部材である。挟み込み部6は、まくらぎ片4の端面4cに接着剤などによって接着されている。挟み込み部6は、
図7~
図9に示すように、逃げ部6a,6bを備えている。
【0030】
逃げ部6aは、軽量まくらぎ部5と干渉するのを防ぐ部分である。逃げ部6aは、挟み込み部6の上縁部を切り欠くように、軽量まくらぎ部5の断面形状に沿った形状に形成されており、四角形状に形成されている。逃げ部6bは、嵌合軸部8cと干渉するのを防ぐ部分である。逃げ部6bは、逃げ部6aの端部を切り欠くように、嵌合軸部8cの断面形状に沿った形状に形成されており、半円状の円弧面に形成されている。
【0031】
図7、
図8及び
図10に示す位置決め部7は、挟み込み部6を所定の位置に位置決めする部分である。位置決め部7は、まくらぎ片4に対して挟み込み部6の位置がずれるのを防止する位置ずれ防止部として機能し、まくらぎ片4の所定の位置に挟み込み部6を位置決めする。位置決め部7は、隣接するまくらぎ片4間に挟み込み部6を挟み込むときに、まくらぎ片4に対して挟み込み部6がずれるのを防止する。位置決め部7は、
図7、
図8及び
図10に示す凸部7aと、
図6、
図7及び
図10に示す凹部7bとを備えている。
【0032】
図7、
図8及び
図10に示す凸部7aは、凹部7bと着脱自在に嵌合する部分である。凸部7aは、
図7及び
図8に示すように、挟み込み部6の一方の端部寄りと他方の端部寄りとに左右一対配置されている。凸部7aは、
図7、
図8及び
図10に示すように、挟み込み部6の表面及び裏面から突出しており、挟み込み部6と同一部材によって一体に形成されており、外観が円柱状に形成されている。凸部7aは、挟み込み部6の表面及び裏面にそれぞれ中心線が一致するように、挟み込み部6を中心として点対称に配置されている。凸部7aは、
図10に示すように、この凸部7aの外径が凹部7bの内径よりも僅かに小さく形成されている。
図6、
図7及び
図10に示す凹部7bは、凸部7aと着脱自在に嵌合する部分である。凹部7bは、
図10に示すように、まくらぎ片4の端面4cに所定の深さで形成されており、
図6及び
図7に示すようにこの凹部7bの内周面が円筒状に形成されている。凹部7bは、
図10に示すように、この凹部7bの深さが凸部7aの高さよりも僅かに深くなるように形成されている。
【0033】
図2、
図4~
図6及び
図9に示す嵌合部8は、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の長さ方向に連続して、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを嵌合させる部材である。嵌合部8は、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが一体となるようにこれらを結合させる。嵌合部8は、例えば、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5が損傷したようなときに、これらを交換可能なように重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5を着脱自在に嵌合させる。嵌合部8は、
図4~
図6及び
図9に示すように、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の中心線を中心として等間隔に配置されており、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の両側に左右一対配置されている。嵌合部8は、
図2、
図4~
図6、
図8及び
図9に示すように、嵌合凹部8a,8bと嵌合軸部8cとを備えている。
【0034】
嵌合凹部8a,8bは、嵌合軸部8cが嵌合する部分である。
図5、
図6及び
図9に示すように、嵌合凹部8aは重量まくらぎ部3側に形成されており、嵌合凹部8bは軽量まくらぎ5側に形成されている。嵌合凹部8a,8bは、
図2及び
図4に示すように、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5と同じ長さで連続して直線状に形成されており、嵌合軸部8cが嵌合するキー溝として機能する。嵌合凹部8aは、
図5、
図6及び
図9に示すように、断面形状が半円状の溝であり、重量まくらぎ部3のまくらぎ片4の収容部4aの左右の内側側面4fに形成されている。嵌合凹部8bは、嵌合凹部8aと同様に断面形状が半円状の溝であり、軽量まくらぎ部5の左右の側面5bに形成されている。嵌合凹部8a,8bは、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を重ね合わせたときに、互いに対向して断面形状が円形になるような位置に形成されている。
【0035】
図2、
図4~
図6、
図8及び
図9に示す嵌合軸部8cは、重量まくらぎ部3側の嵌合凹部8aと軽量まくらぎ部5側の嵌合凹部8bとに挿入されて、これらの嵌合凹部8a,8bに嵌合する部材である。嵌合凹部8a,8bと嵌合することによって、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが上下方向に分離するのを阻止する。嵌合軸部8cは、
図2及び
図4に示すように、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の一方の端面4c,5cから他方の端面4c,5cに向けて挿入される。嵌合軸部8cは、
図5、
図6及び
図9に示すように、断面形状が円形であり、
図2及び
図4に示すように丸棒のような軸状部材である。嵌合軸部8cは、金属、合成樹脂又は複数の合成樹脂を組み合わせた合成素材などによって形成されている。嵌合軸部8cは、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5と同一長さ又は僅かに短く形成されており、嵌合凹部8a,8bに嵌合するキーとして機能する。
【0036】
図1~
図4及び
図11に示すずれ防止部9は、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが長さ方向にずれるのを防止する部分である。ずれ防止部9は、
図1~
図4に示すように、嵌合凹部8a,8bの両端の開口部を塞ぐことによって、嵌合凹部8a,8bから嵌合軸部8cが抜け出すのを防止する抜け出し防止部(抜け出し防止板)として機能する。ずれ防止部9は、嵌合軸部8cの抜け出しを防止することによって、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが長さ方向にずれるのを防止する。ずれ防止部9は、
図11に示すように、重量まくらぎ部3の両端部のまくらぎ片4の端面4cに着脱自在に装着される。ずれ防止部9は、平面形状が略四角形であり、まくらぎ片4の端面4cと略同じ長さ及び幅に形成された金属製の板状部材である。ずれ防止部9は、このずれ防止部9の両端部寄りに、このずれ防止部9を貫通する左右一対の貫通孔9aを備えている。
【0037】
固定部10は、ずれ防止部9をまくらぎ2に固定する部材である。固定部10は、まくらぎ片4にずれ防止部9を着脱自在に固定する。固定部10は、
図2及び
図11に示すように、まくらぎ片4の端面4cに埋め込まれた埋込栓の雌ねじ部と噛み合った状態で、ずれ防止部9の貫通孔9aに挿入されるアンカーボルト10aと、アンカーボルト10aの雄ねじ部と噛み合うナット10bと、ずれ防止部9とナット10bとの間に挟み込まれる座金10cとを備えている。
【0038】
次に、この発明の第1実施形態に係るまくらぎの作用について説明する。
図1に示すレール1上を列車が通過して、列車荷重がまくらぎ2に作用すると、
図12(A)に示すようにまくらぎ2が上側に撓むような曲げモーメントM
1が作用したり、
図12(B)に示すようにまくらぎ2が下側に撓むような曲げモーメントM
2が作用したりすることがある。例えば、
図12に示す重量まくらぎ部3が複数のまくらぎ片4によって分割されておらず、重量まくらぎ部3が1枚の部材である場合には、まくらぎ2に曲げモーメントM
1,M
2が作用すると、軽量まくらぎ部5に比べて重量まくらぎ部3のほうが曲げ剛性が高いため、重量まくらぎ部3に過大な曲げ応力が作用する。この実施形態では、
図12に示すように、重量まくらぎ部3が複数のまくらぎ片4によって分割されているため、まくらぎ2に曲げモーメントM
1,M
2が作用しても、重量まくらぎ部3を構成する各まくらぎ片4が軽量まくらぎ部5の弾性変形に追従するため、重量まくらぎ部3に過大な曲げ応力が作用することがない。
【0039】
図1及び
図2に示すように、まくらぎ2の下部が重量まくらぎ部3によって構成され、まくらぎ2の上部が軽量まくらぎ部5によって構成されている。このため、従来のPCまくらぎに比べてまくらぎ2の重量を軽くすることができ、重機などを使用せずにまくらぎ2を短時間で簡単に交換することができる。また、まくらぎ2を支持する道床バラストが軽量まくらぎ部3と直接接触することがなく、重量まくらぎ部3と道床バラストとが接触する。このため、軽量まくらぎ部5を重量まくらぎ部3によって保護することができ、まくらぎ2の損傷を防ぐことができる。また、まくらぎ2の上部が合成樹脂製の軽量まくらぎ部5によって構成されているため、ねじくぎなどを使用する既設の締結装置によって、軽量まくらぎ部5の上面5aにレール1を簡単に締結することができる。さらに、まくらぎ2が部分的に重量まくらぎ部3によって構成されているため、従来の合成まくらぎに比べて比較的重くなり、まくらぎ2の移動を阻止することができ、軌道強化を図ることができる。
【0040】
次に、この発明の第1実施形態に係るまくらぎの製造方法について説明する。
図13(A)に示す重ね合わせ工程#100は、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を重ね合わせる工程である。
図7及び
図10に示すように、まくらぎ片4の端面4cの凹部7bと挟み込み部6の凹部7bとが嵌合するように、隣接するまくらぎ片4の間に挟み込み部6が挟み込まれて、まくらぎ片4の端面4cと挟み込み部6の表面とが接着される。このとき、
図3及び
図4に示すように、アンカーボルト10aが埋め込まれたまくらぎ片4が両端に位置するように、まくらぎ片4及び挟み込み部6が順次整列されると、
図13(A)に示すようにまくらぎ片4が一列に配列されて、重量まくらぎ部3が組み立てられる。次に、重量まくらぎ部3の収容部4a上に軽量まくらぎ部5が重ね合わさるように、重量まくらぎ部3の内側底面4e及び内側側面4fと軽量まくらぎ部5の側面5b及び底面5dとが接着される。
【0041】
図13(B)に示す嵌合工程#110は、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の長さ方向に連続して、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを嵌合させる工程である。
図11に示す重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の一方の端面4c,5cの嵌合凹部8a,8bに、
図13(B)に示す嵌合軸部8cの端部を差し込み、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の他方の端面4c,5cの嵌合凹部8a,8bまで嵌合軸部8cが挿入される。その結果、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが嵌合部8によって互いに嵌合されて、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5が結合して一体化する。
【0042】
図13(C)に示すずれ防止工程#120は、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが長さ方向にずれるのを防止する工程である。
図11に示すように、重量まくらぎ部3の両端部から突出するアンカーボルト10aをずれ防止部9の貫通孔9aに挿入するとともに、アンカーボルト10aに座金10cを装着し、アンカーボルト10aにナット10bが締結される。その結果、
図1及び
図3に示す重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の両端部にずれ防止部9が装着されて、
図4に示す嵌合凹部8a,8bから嵌合軸部8cが抜け出すのが防止されるとともに、重量まくらぎ3と軽量まくらぎ部5とが相対的にずれるのが防止される。
【0043】
この発明の第1実施形態に係るまくらぎには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の長さ方向に連続して、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを嵌合部8が嵌合させる。このため、従来のPCまくらぎに比べて軽量化を図ることができるとともに、容易に敷設することができる。また、従来の合成まくらぎに比べて耐久性を向上させることができるとともに、列車荷重を繰り返し受けたときの移動を阻止し、軌道強化を図ることができる。さらに、簡単な嵌合構造によって短時間で容易に組み立てることができるとともに、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5をそれぞれ別個に製造して、現場や工場で簡単に組み立てることができる。
【0044】
(2) この第1実施形態では、重量まくらぎ部3側の嵌合凹部8aと軽量まくらぎ部5側の嵌合凹部8bとに嵌合部8が挿入されて、これらの嵌合凹部8a,8bに嵌合軸部8cが嵌合する。このため、嵌合凹部8a,8bに嵌合軸部8cを差し込み、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを簡単に結合することができる。また、重量まくらぎ部3や軽量まくらぎ部5が破損したようなときには、嵌合凹部8a,8bから嵌合軸部8cを抜き出して、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを簡単に分離して交換することができる。
【0045】
(3) この第1実施形態では、重量まくらぎ部3の長さ方向に重量まくらぎ部3が複数のまくらぎ片4によって分割されている。このため、まくらぎ2に列車荷重が繰り返し作用して、曲げモーメントM1,M2がまくらぎ2に作用したときに、重量まくらぎ部3に作用する曲げ応力が緩和して、重量まくらぎ部3が損傷するのを防ぐことができる。
【0046】
(4) この第1実施形態では、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが長さ方向にずれるのをずれ防止部9が防止する。このため、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが分離するのを防ぐことができる。また、ずれ防止部9を着脱することによって重量まくらぎ部3や軽量まくらぎ部5を簡単に交換することができる。
【0047】
(5) この実施形態では、重量まくらぎ部3がコンクリート製、鉄製又は鉄以外の金属製であり、軽量まくらぎ部5が合成樹脂製である。このため、合成樹脂製の軽量まくらぎ部5によってまくらぎ2の上側を構成し、コンクリート製などの重量まくらぎ部3によってまくらぎ2の下側を構成することができる。その結果、従来の合成まくらぎに比べて、列車荷重によって道床バラストと軽量まくらぎ部5とが強く接触して、道床バラストによって軽量まくらぎ部5が傷つくのを防ぐことができ、まくらぎ2の耐久性を向上させることができる。また、従来のPCまくらぎに比べて、まくらぎ2の軽量化を図ることができるため、重機などを使用せずに作業員によって多量のまくらぎ2を短時間で容易に交換することができる。一方、従来の合成まくらぎに比べて、まくらぎ2の重量化を図ることができるため、列車荷重によってまくらぎ2が移動し難くなり、レール1の長さ方向及び左右方向の形状が変位する軌道変位の発生を抑制することができる。さらに、従来のPCまくらぎのようなレール締結装置を取り付けるための埋込栓を予め所定位置に埋め込んでおく必要がなく、軽量まくらぎ部5の上面5aの任意の位置にねじくぎなどによってレール締結装置を自由に取り付けることができる。
【0048】
(第2実施形態)
以下では、
図1~
図13に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図14~
図16に示すまくらぎ2は、
図1~
図13に示すまくらぎ2とは異なり、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を長さ方向からスライドさせることによってこれらを直接嵌合させて、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を重ね合わせる構造である。
図14~
図16に示す嵌合部8は、
図16に示すように、嵌合凸部8dと嵌合凹部8eとを備えている。嵌合部8は、嵌合凸部8dと嵌合凹部8eとを嵌合させることによって、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが上下方向に分離するのを阻止する。
【0049】
嵌合凸部8dは、嵌合凹部8eが嵌合する部分である。嵌合凸部8dは、重量まくらぎ部3側に形成されており、
図14に示すように重量まくらぎ部3と同じ長さで連続して直線状に形成されている。嵌合凸部8dは、断面形状が半円状の突起であり、重量まくらぎ部3のまくらぎ片4の収容部4aの左右の内側側面4fに形成されている。嵌合凹部8eは、嵌合凸部8dが嵌合する部分である。嵌合凹部8eは、軽量まくらぎ5側に形成されており、
図14に示すように軽量まくらぎ部5と同じ長さで連続して直線状に形成されている。嵌合凹部8eは、断面形状が半円状の溝であり、軽量まくらぎ部5の左右の側面5bに形成されている。
【0050】
次に、この発明の第2実施形態に係るまくらぎの製造方法について説明する。
図17(A)に示す嵌合工程#200は、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の長さ方向に連続して、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを嵌合させる工程である。
図14に示すように、隣接するまくらぎ片4の間に挟み込み部6が挟み込まれて、まくらぎ片4の端面4cと挟み込み部6の表面とが接着され、重量まくらぎ部3が組み立てられる。次に、
図14及び
図17(A)に示すように、重量まくらぎ部3の嵌合凸部8dに軽量まくらぎ部5の嵌合凹部8eが嵌合するように、重量まくらぎ部3の長さ方向に沿って軽量まくらぎ部5をスライドさせて、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を差し込む。その結果、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが嵌合部8によって互いに嵌合されて、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5が結合して一体化する。
【0051】
図17(B)に示すずれ防止工程#210は、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とが長さ方向にずれるのを防止する工程である。重量まくらぎ部3の両端部のアンカーボルト10aをずれ防止部9の貫通孔9aに挿入するとともに、アンカーボルト10aに座金10cを装着し、アンカーボルト10aにナット10bが締結される。その結果、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5の両端部にずれ防止部9が装着されて、嵌合凸部8dから嵌合凹部8eが抜け出すのが防止されるとともに、重量まくらぎ3と軽量まくらぎ部5とが相対的にずれるのが防止される。
【0052】
この発明の第2実施形態に係るまくらぎには、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、重量まくらぎ部3が嵌合凸部8dを備えており、嵌合凸部8dと嵌合する嵌合凹部8eを軽量まくらぎ部5が備える。このため、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5をスライドさせて、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを簡単に結合することができる。また、重量まくらぎ部3や軽量まくらぎ部5が破損したようなときには、重量まくらぎ部3から軽量まくらぎ部5を逆方向にスライドさせて、重量まくらぎ部3と軽量まくらぎ部5とを簡単に分離して交換することができる。さらに、第1実施形態に比べて嵌合軸部8cが不要になり部品点数が少なるため、製造コストを低減することができる。
【0053】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、まくらぎ2が分岐まくらぎである場合を例に挙げて説明したが、一般区間に使用される並まくらぎ、鉄橋区間に使用される橋まくらぎ、又はレール継目部に使用される継目まくらぎなどについても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、重量まくらぎ部3に軽量まくらぎ部5を重ねて組み立てる場合を例に挙げて説明したが、軽量まくらぎ部5に重量まくらぎ部3を重ねた後に、重量まくらぎ部3及び軽量まくらぎ部5を反転させて組み立てる場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、重量まくらぎ部3がコンクリート製である場合を例に挙げて説明したが、重量まくらぎ部3が鋼若しくは鋳鉄などの鉄製、又は鉄以外の金属製である場合についても、この発明を適用することができる。
【0054】
(2) この実施形態では、重量まくらぎ部3を7個のまくらぎ片4によって構成した場合を例に挙げて説明したが、まくらぎ片4の個数を7個に限定するものではなく、任意の個数のまくらぎ片4によって重量まくらぎ部3を構成する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、まくらぎ片4の側面4b及び底面4dと軽量まくらぎ部5の側面5b及び底面5dとを接着する場合を例に挙げて説明したが、これらが非接着である場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、まくらぎ片4の端面4cと挟み込み部6とを接着する場合を例に挙げて説明したが、これらが非接着である場合についても、この発明を適用することができる。
【0055】
(3) この実施形態では、まくらぎ片4の端面4cにずれ防止部9を固定する場合を例に挙げて説明したが、軽量まくらぎ部5の端面5cにずれ防止部9を固定する場合についても、この発明を適用することができる。この場合には、軽量まくらぎ部5の端面5cに予め埋め込んだアンカーボルトによってずれ防止部9を固定したり、軽量まくらぎ部5の端面5cにねじくぎなどによってずれ防止部9を固定したりすることもできる。また、この第2実施形態では、重量まくらぎ部3が嵌合凸部8dを備え、軽量まくらぎ部5が嵌合凹部8eを備える場合を例に挙げて説明したが、重量まくらぎ部3が嵌合凹部を備え、軽量まくらぎ部5が嵌合凸部を備える場合についても、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 レール
2 まくらぎ
3 重量まくらぎ部
4 まくらぎ片
4a 収容部
5 軽量まくらぎ部
6 挟み込み部
7 位置決め部
8 嵌合部
8a,8b 嵌合凹部
8c 嵌合軸部
9 ずれ防止部
10 固定部