(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070376
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20230512BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182505
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 真弘
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼淵 崇亘
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB06
4C267BB12
4C267BB28
4C267CC09
4C267DD01
4C267HH16
(57)【要約】
【課題】体腔内でのバルーンの挿通性を高めること、狭窄部等の病変部においてバルーンを腔壁に対して滑らないように固定することという、相反するニーズに対して解決策を提供する。
【解決手段】シャフトとバルーン本体を有しているバルーンカテーテルであって、バルーン本体は、直管部と、直管部よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部と、直管部よりも近位側に位置している近位側テーパー部と、を有しており、直管部は、バルーン本体の径方向の外方に突出しておりバルーン本体の長手軸方向に延在している突出部60が形成されている突出部形成領域41と、突出部60が形成されていない突出部非形成領域42とを有しており、直管部の外面側であって、突出部非形成領域42の少なくとも一部には親水性コーティング層70が形成されており、突出部形成領域41の少なくとも一部には親水性コーティング層70が形成されていないバルーンカテーテルを構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトとバルーン本体を有しているバルーンカテーテルであって、
前記バルーン本体は、直管部と、該直管部よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部と、前記直管部よりも近位側に位置している近位側テーパー部と、を有しており、
前記直管部は、前記バルーン本体の径方向の外方に突出しており前記バルーン本体の長手軸方向に延在している突出部が形成されている突出部形成領域と、前記突出部が形成されていない突出部非形成領域とを有しており、
前記直管部の外面側であって、前記突出部非形成領域の少なくとも一部には親水性コーティング層が形成されており、前記突出部形成領域の少なくとも一部には親水性コーティング層が形成されていないバルーンカテーテル。
【請求項2】
前記直管部の延在方向の少なくとも一部区間において、前記突出部形成領域の全部、及び、前記突出部非形成領域の一部を含む領域であって前記突出部形成領域に接する境界部領域には、親水性コーティング層が形成されていない請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記一部区間とは異なる区間において、前記突出部非形成領域と前記突出部形成領域との境界部領域には、親水性コーティング層が形成されている請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記突出部非形成領域において、長手方向が前記直管部の延在方向である帯状の前記親水性コーティング層が形成されており、該親水性コーティング層は、幅方向の中央部よりも幅方向の端部のほうが厚く形成されている請求項2または3に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記突出部非形成領域において、長手方向が前記直管部の延在方向である帯状の前記親水性コーティング層が形成されており、該親水性コーティング層は、近位部よりも遠位部の方が厚く形成されている請求項2または3に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記遠位側テーパー部には、前記バルーン本体の径方向の外方に突出しており前記バルーン本体の長手軸方向に延在している遠位側突出部が形成されており、
前記近位側テーパー部には、前記バルーン本体の径方向の外方に突出しており前記バルーン本体の長手軸方向に延在している近位側突出部が形成されており、
前記遠位側突出部と前記近位側突出部の少なくとも一方には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されている請求項1~5のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記遠位側突出部と前記近位側突出部の両方に、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されている請求項6に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記遠位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されており、前記近位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていない請求項6に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記近位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されており、前記遠位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていない請求項6に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記バルーン本体の表面のうち、前記突出部非形成領域の表面粗さA(Ra)と前記突出部形成領域の表面粗さB(Ra)とが下記(1)式を満足している請求項1~9のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
表面粗さA(Ra)>表面粗さB(Ra)-5μm・・・(1)
【請求項11】
前記バルーン本体が収縮した状態において、前記直管部の前記突出部非形成領域により形成される羽根部が、前記突出部を覆っている請求項1~10のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
前記直管部において、前記突出部には凹部が形成されており、前記凹部の内面には親水性コーティング層が形成されていない請求項1~11のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
前記突出部形成領域であって親水性コーティング層が形成されていない領域の少なくとも一部に疎水性コーティング層を有している請求項1~12のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内壁に石灰化等により硬化した狭窄部が形成されることによって、狭心症や心筋梗塞等の疾病が引き起こされる。これらの治療の一つとして、バルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張させる血管形成術がある。血管形成術は、バイパス手術のような開胸術を必要としない低侵襲療法であり、広く行われている。
【0003】
血管形成術において、一般的なバルーンカテーテルでは石灰化等により硬化した狭窄部を拡張させにくいことがある。また、ステントと称される留置拡張器具を狭窄部に留置することによって狭窄部を拡張する方法も用いられているが、例えば、この治療後に血管の新生内膜が過剰に増殖して再び血管の狭窄が発生してしまうISR(In-Stent-Restenosis)病変等が起こる場合もある。ISR病変では新生内膜が柔らかく、また表面が滑りやすいため、一般的なバルーンカテーテルではバルーンの拡張時にバルーンの位置が病変部からずれてしまい血管を傷つけてしまうことがある。
【0004】
このような石灰化病変やISR病変であっても狭窄部を拡張できるバルーンカテーテルとして、狭窄部に食い込ませるための突出部やブレード、スコアリングエレメントがバルーンに設けられているバルーンカテーテルが開発されている。例えば、特許文献1には、バルーン本体を形成する高分子材料よりも剛性の高い高分子材料から構成されているスコアリングエレメントを有しており、バルーンの一方端及び他方端においてスコアリングエレメントが平坦化されているバルーンカテーテルが開示されている。特許文献2には、スコアリングエレメントの高さがバルーンの先細形状に沿って減少するスコアリングバルーン構造が、特許文献3には、バルーンの直管部には外側突出部が設けられ、テーパー部には内側突出部が設けられているバルーンカテーテルが開示されている。上記特許文献1~3では、バルーンの両端部でスコアリングエレメントの高さが減少したり、外側突出部ではなく内側突出部が設けられたりしている。これに対し、バルーンの直管部に配置される突出部よりも遠位側テーパー部に配置される突出部の突出量のほうが大きい高突出部となっているバルーンカテーテルもある(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0128718号明細書
【特許文献2】特表2014-506140号公報
【特許文献3】国際公開第2020/012851号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2020/012850号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バルーンカテーテルは、収縮して折り畳まれた状態で体腔に挿通され治療部位まで送達される。そのため、上記特許文献1~3に開示されているバルーンカテーテルでは、体腔に挿通されやすいようにバルーンの先端部におけるスコアリングエレメントの高さを抑えることにより外径が大きくなることを抑制し、バルーンの通過性の向上を試みている。また、上記特許文献4に開示されているバルーンカテーテルでは、先端側コーン領域だけを病変部に導入しバルーンを拡張するにあたり、先端側コーン領域に設けられたエレメントで病変部に切り込みを入れながらバルーンを拡張できるように先端側テーパー部に配置される突出部の高さが高くなっている。しかし、これらいずれのバルーンにおいても、バルーンの収縮状態においてバルーンを前進或いは後退させながら、狭窄部を斜めに切開したり一度の動作で幅広い領域を切開したりするとともに、立体障害となるスコアリングエレメントによる通過性低下の影響を抑えることは想定されていなかった。
【0007】
上記の事情に鑑み本発明は、バルーンの送達中やバルーンが病変部に送達された際に、収縮状態において狭窄部を斜めに切開したり狭窄部を幅広く切開したりすることのできるバルーンカテーテルを提供することを目的とし、特に、体腔内でのバルーンの挿通性を高めること、狭窄部等の病変部においてバルーンを腔壁に対して滑らないように固定することという、相反するニーズに対して解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し得た本発明のバルーンカテーテルの一実施形態は、シャフトとバルーン本体を有しているバルーンカテーテルであって、前記バルーン本体は、直管部と、該直管部よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部と、前記直管部よりも近位側に位置している近位側テーパー部と、を有しており、前記直管部は、前記バルーン本体の径方向の外方に突出しており前記バルーン本体の長手軸方向に延在している突出部が形成されている突出部形成領域と、前記突出部が形成されていない突出部非形成領域とを有しており、前記直管部の外面側であって、前記突出部非形成領域の少なくとも一部には親水性コーティング層が形成されており、前記突出部形成領域の少なくとも一部には親水性コーティング層が形成されていないものである。
【0009】
この実施形態では、突出部非形成領域には、基本的には親水性コーティング層が形成されている構成により、バルーン本体を体腔内に挿通する際、バルーン本体の挿通性が上がる。また、突出部については基本的に親水性コーティング層が形成されていない構成であることにより、狭窄部への食い込み性および不滑性が上がる。バルーンの収縮時には、突出部非形成領域(以下、「羽根部」と記載することがある)により突出部が概ね覆われているため、バルーン本体の挿通性を落とすという影響が少ない。
【0010】
上記バルーンカテーテルは、前記直管部の延在方向の少なくとも一部区間において、前記突出部形成領域の全部、及び、前記突出部非形成領域の一部を含む領域であって前記突出部形成領域に接する境界部領域には、親水性コーティング層が形成されていないことが好ましい。
【0011】
上記バルーンカテーテルは、前記一部区間とは異なる区間において、前記突出部非形成領域と前記突出部形成領域との境界部領域には、親水性コーティング層が形成されていることが好ましい。
【0012】
上記バルーンカテーテルは、前記突出部非形成領域において、長手方向が前記直管部の延在方向である帯状の前記親水性コーティング層が形成されており、該親水性コーティング層は、幅方向の中央部よりも幅方向の端部のほうが厚く形成されていることが好ましい。
【0013】
上記バルーンカテーテルは、前記突出部非形成領域において、長手方向が前記直管部の延在方向である帯状の前記親水性コーティング層が形成されており、該親水性コーティング層は、近位部よりも遠位部の方が厚く形成されていることが好ましい。
【0014】
上記バルーンカテーテルは、前記遠位側テーパー部には、前記バルーン本体の径方向の外方に突出しており前記バルーン本体の長手軸方向に延在している遠位側突出部が形成されており、前記近位側テーパー部には、前記バルーン本体の径方向の外方に突出しており前記バルーン本体の長手軸方向に延在している近位側突出部が形成されており、前記遠位側突出部と前記近位側突出部の少なくとも一方には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていることが好ましい。
【0015】
上記バルーンカテーテルは、前記遠位側突出部と前記近位側突出部の両方に、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていることが好ましい。
【0016】
上記バルーンカテーテルは、前記遠位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されており、前記近位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていないことが好ましい。
【0017】
上記バルーンカテーテルは、前記近位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されており、前記遠位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていないことが好ましい。
【0018】
上記バルーンカテーテルは、前記バルーン本体の表面のうち、前記突出部非形成領域の表面粗さA(Ra)と前記突出部形成領域の表面粗さB(Ra)とが下記(1)式を満足していることが好ましい。
表面粗さA(Ra)>表面粗さB(Ra)-5μm・・・(1)
【0019】
上記バルーンカテーテルは、前記バルーン本体が収縮した状態において、前記直管部の前記突出部非形成領域により形成される羽根部が、前記突出部を覆っていることが好ましい。
【0020】
上記バルーンカテーテルは、直管部における突出部には凹部が形成されており、前記凹部の内面には親水性コーティング層が形成されていないことが好ましい。
【0021】
上記バルーンカテーテルにおいて、突出部形成領域であって親水性コーティング層が形成されていない領域の少なくとも一部に疎水性コーティング層を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
上記バルーンカテーテルによれば、突出部非形成領域には、基本的には親水性コーティング層が形成されている構成によりバルーン本体を体腔内に挿通する際、バルーン本体の挿通性が上がる。また、突出部については基本的に親水性コーティング層が形成されていない構成であることにより、狭窄部への食い込み性および不滑性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルの側面図を表す。
【
図2】
図1に示したバルーンカテーテルのバルーンの拡張状態における平面図を表すものであり突出部を真上から見たものである。
【
図3】
図2に示したバルーンの直管部の収縮状態における径方向の断面図を表す図であり、
図2のIII-III位置に相当するものである。
【
図4】
図2に示したバルーンの直管部の収縮状態における径方向の断面図を表す図であり、
図2のIV-IV位置に相当するものである。
【
図5】
図3に示したバルーンの直管部の収縮状態における径方向の断面図であって、羽根の長さが異なる他の実施態様を示すものである。
【
図6】(a)は本発明の一実施形態に係る突出部の側面を示す図であり、(b)は同突出部を頂部から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施の形態に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0025】
図1~
図5を参照しながら、本発明の実施態様におけるバルーンカテーテルについて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルの側面図を表し、
図2は
図1に示したバルーンカテーテルのバルーンの拡張状態における平面図を表すものであり突出部を真上から見たものである。
図3は
図2に示したバルーンの直管部の収縮状態における径方向の断面図を表す図であり
図2のIII-III位置に相当するものである。
図4は
図2に示したバルーンの直管部の収縮状態における径方向の断面図を表す図であり
図2のIV-IV位置に相当するものである。
図5は
図3に示したバルーンの直管部の収縮状態における径方向の断面図であって、羽根の長さが異なる他の実施態様を示すものである。
図6(a)は本発明の一実施形態に係る突出部の側面を示す図であり、(b)は同突出部を頂部から見た平面図である。
【0026】
本発明において、近位側とはバルーンカテーテル1の延在方向又はシャフト3の長手軸方向aに対して使用者又は術者の手元側の方向を指し、遠位側とは近位側の反対方向、すなわち処置対象者側の方向を指す。シャフト3のような長尺状の部材以外であっても、シャフト3と同じ長手軸方向aを有する。径方向bは、長手軸方向aに垂直な方向であって長手軸方向aに垂直な断面においてバルーン本体20の中心とバルーン本体20の外接円上の点とを結ぶ方向である。周方向cは、長手軸方向aに垂直な断面において拡張状態のバルーン本体20の外接円の円周に沿う方向である。
【0027】
図1及び
図2に示すように、バルーンカテーテル1は、シャフト3とシャフト3の外側に設けられたバルーン2とを有するものである。バルーンカテーテル1は遠位側と近位側を有し、シャフト3の遠位側にバルーン2が設けられる。バルーンカテーテル1は、シャフト3を通じてバルーン2の内部に流体が供給されるように構成され、インデフレーター(バルーン用加圧器)を用いてバルーン2の拡張及び収縮を制御することができる。流体は、ポンプ等によって加圧された加圧流体であってもよい。
【0028】
シャフト3は、内部に流体の流路を有しており、さらにガイドワイヤの挿通路を有していることが好ましい。シャフト3が内部に流体の流路及びガイドワイヤの挿通路を有する構成とするには、例えば、シャフト3が外側チューブ31と内側チューブ32とを有しており、内側チューブ32がガイドワイヤの挿通路として機能し、内側チューブ32と外側チューブ31の間の空間が流体の流路として機能する構成とすることが挙げられる。このようにシャフト3が外側チューブ31と内側チューブ32とを有している構成の場合、内側チューブ32が外側チューブ31の遠位端から延出してバルーン2よりも遠位側に貫通し、バルーン2の遠位側が内側チューブ32に接合され、バルーン2の近位側が外側チューブ31と接合されることが好ましい。
【0029】
図1および
図2に示すように、バルーン2は、外面及び内面を有するバルーン本体20を有しており、バルーン本体20は、直管部23と、直管部23よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部24と、直管部23よりも近位側に位置している近位側テーパー部22と、を有しており、遠位側テーパー部24と直管部23と近位側テーパー部22は、バルーン本体20の外面よりも径方向の外方に突出しておりバルーン本体20の長手軸方向aに延在している突出部60を有しており、突出部60は、バルーン本体20の径方向bの断面において先端部61を有している。
【0030】
図1~3に示すように、本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテルは、シャフト3とバルーン本体20を有しているバルーンカテーテル1であって、バルーン本体20は、直管部23と、直管部23よりも遠位側に位置している遠位側テーパー部24と、直管部23よりも近位側に位置している近位側テーパー部22とを有しており、直管部23は、バルーン本体20の径方向の外方に突出しておりバルーン本体20の長手軸方向に延在している突出部60が形成されている突出部形成領域41(
図3参照)と、突出部60が形成されていない突出部非形成領域42(
図3参照)を有しており、直管部23の外面側であって突出部非形成領域42の少なくとも一部には親水性コーティング層70が形成されており、突出部形成領域41の少なくとも一部には親水性コーティング層70が形成されていないものである。
【0031】
この実施形態では、突出部非形成領域42には、基本的には親水性コーティング層70が形成されている構成とすることにより、バルーン本体20を体腔内に挿通する際、バルーン本体20の挿通性が上がる。また、突出部60の表面については基本的に親水性コーティング層70が形成されていない構成とすることにより、狭窄部への食い込み性および不滑性が向上する。また、通常、バルーン2の収縮時には、突出部非形成領域42(羽根形成部28)により突出部60が概ね覆われているため、バルーン本体20の挿通性を落とすという影響が少ないため、手技を効率的に進めることができる。
【0032】
バルーン本体20に塗布可能な親水性コーティング剤としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体などの親水性ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせで作られた親水性コーティング剤などを用いることができる。
【0033】
親水性コーティング層70を形成する部分と形成しない部分を選択的に作製するためには、例えば、親水性コーティング層70を形成しない部分に予め保護層(図示せず)によりマスキングしておき、その状態で親水性コーティング剤を含む溶液にバルーン本体20をディッピングし、溶液が乾燥した後に保護層を除去する方法を採用することができる。
【0034】
バルーン本体20は、直管部23の延在方向の少なくとも一部区間において、突出部形成領域41の全部、及び、突出部非形成領域42の一部を含む領域であって突出部形成領域41に接する境界部43の領域には、親水性コーティング層70が形成されていないことが好ましい。境界部43の領域において親水性コーティング層70が形成されていないため突出部60の不滑性能が上がる。
【0035】
前記一部区間とは異なる区間においては、突出部非形成領域42と突出部形成領域41との境界部43の領域には、親水性コーティング層が形成されていてももちろんよい。
【0036】
突出部非形成領域42において、長手方向が直管部23の延在方向である帯状の親水性コーティング層70が形成されており、親水性コーティング層70は、幅方向の中央部よりも幅方向の端部のほうが厚く形成されていることが好ましい。突出部非形成領域42(羽根形成部28)の幅方向の中央は、バルーン本体20の収縮時に羽根29の先端となるため親水性コーティング層70が割れて剥がれることを防ぐために、相対的に膜厚を下げておくものである。
【0037】
突出部非形成領域42において、長手方向が直管部23の延在方向である帯状の親水性コーティング層70が形成されており、親水性コーティング層70は、近位部よりも遠位部の方が厚く形成されていることが好ましい。バルーン本体20の近位部はバルーン本体20を操作する線状部材(図示せず)に接続されているため線状部材の動きによってはバルーン本体20に曲げの力が作用しやすい部分であり、そのような部分で親水性コーティング層70が割れて剥がれることを防ぐために、遠位側より相対的に膜厚を下げておくものである。
【0038】
遠位側テーパー部24には、バルーン本体20の径方向の外方に突出しておりバルーン本体20の長手軸方向に延在している遠位側突出部が形成されており、近位側テーパー部22には、バルーン本体20の径方向の外方に突出しておりバルーン本体20の長手軸方向に延在している近位側突出部が形成されており、遠位側突出部と近位側突出部の少なくとも一方には、長手方向がバルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層(図示せず)が形成されていることが好ましい。遠位側テーパー部24は、バルーン本体20の挿通時、近位側テーパー部22はバルーン本体20の抜去時、挿通性を阻害しやすい部分であるため親水性コーティング層が形成されていることが好ましい。中でも、次の(1)~(3)のいずれかの態様を取ることが一層好ましい。
【0039】
(1)遠位側突出部と近位側突出部の両方に、長手方向がバルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されている構成。
【0040】
遠位側突出部に親水性コーティング層を形成することで、立体的な障害物があっても挿通性が保てる。また近位側突出部に親水性コーティング層を形成することで、バルーン本体の抜去時の抵抗を抑えられる。
【0041】
(2)遠位側突出部には、長手方向がバルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されており、近位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていない構成。
【0042】
遠位側突出部に親水性コーティング層を形成することで、立体的な障害物があっても挿通性が保てる。近位側突出部には親水性コーティング層を形成しないことにより、狭窄部内に進めてバルーン本体を配置する際に、バルーン本体が近位側に押し戻される力に対して滑りにくくでき、位置決めが容易となる。
【0043】
(3)近位側突出部には、長手方向が前記バルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されており、遠位側突出部には、長手方向がバルーン本体の延在方向である帯状の親水性コーティング層が形成されていない構成。
【0044】
遠位側突出部には親水性コーティング層を形成しないことにより、狭窄入り口を最初に広げるために拡張した際、バルーン本体が近位側に押し戻されて滑るデメリットが少ない。すなわち、狭窄部内に押し込んで配置する際の位置決め作業において滑りにくい。また、近位側突出部に親水性コーティング層を形成することにより、抜去時の抵抗を抑えられる。
【0045】
遠位側突出部若しくは直管部の遠位端部、または近位側突出部若しくは直管部の近位端部に切り欠き部が存在している場合において、突出部が切り欠かれた部分に親水性コーティング膜が形成されている場合にはバルーン本体の挿通性、抜去性、切開力が良くなる。また、親水性コーティング層が形成されていない場合はバルーン本体の滑り性が低くなる。
【0046】
バルーン本体20の表面のうち、突出部非形成領域42の表面粗さA(Ra)と突出部形成領域41の表面粗さB(Ra)とが下記(1)式を満足していることが好ましい。
【0047】
表面粗さA(Ra)>表面粗さB(Ra)-5μm・・・(1)
【0048】
このように、突出部非形成領域41の表面粗さA(Ra)を相対的に大きめに保つことにより、突出部非形成領域41においてバルーン本体20と親水性コーティング層70の接合性が良くなる。なお表面粗さは、バルーン本体20の表面における粗さ曲線の基準長さ間での算術平均粗さRaである。上記算術平均粗さRaは、JIS B 0601(2001)に規定される算術平均粗さRaに相当し、JIS B 0633(2001)に準じて測定される。基準長さはJIS B 0633(2001)に示されるとおりである。測定には、JIS B 0651(2001)に規定される測定器(例えば、キーエンス社製レーザー顕微鏡、VK-9510)を用いる。
【0049】
図5は、
図3に示したバルーンの直管部の収縮状態における径方向の断面図であって、羽根の長さが異なる他の実施態様を示すものである。
図5に示すように、バルーン本体20が収縮した状態において、直管部23の突出部非形成領域42により形成される羽根形成部28が、突出部60を覆っていることが好ましい。突出部60には親水性コーティング層70がないため滑り性の低い突出部60の先端部61がバルーン本体20の外側に露出してしまうとバルーン本体20の挿通性が悪くなるが、
図5のように羽根29が長い場合には先端部61がバルーン本体20の外側に露出しないため、バルーン本体の挿通性を損なわない。
【0050】
図6(a)は本発明の一実施形態に係る突出部の側面を示す図であり、(b)は同突出部を頂部から見た平面図である。
図6(a)(b)に示すように突出部60には頂部を切り欠くような凹部62が形成されている。突出部60に凹部62が形成されていることにより、病変部の腔壁に対する突出部60の食い込みやすさが向上する。また、凹部62の内側壁である凹部内面64には親水性コーティング層を設けないことにより、凹部62の不滑性を損なわない。
【0051】
突出部形成領域41上であって親水性コーティング層70が形成されていない領域(凹部内面64を含む)の一部または全部に疎水性コーティング層(図示せず)を有していることが好ましい。疎水性コーティング層を備えることで、親水性コーティング層が形成された部分と病変部との張り付きが防止され、バルーン本体20の拡張がスムーズとなる。
【0052】
バルーン本体20に塗布可能な疎水性コーティング剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、シリコーンオイル、疎水性ウレタン樹脂、カーボンコート、ダイヤモンドコート、ダイアモンドライクカーボン(DLC)コート、セラミックコート、アルキル基やパーフルオロアルキル基で終端された表面自由エネルギーが小さい物質などが挙げられる。
【0053】
遠位側テーパー部24と近位側テーパー部22は、直管部23から離れるにつれて縮径するように形成されていることが好ましい。バルーン本体20が拡張状態において最大径を有する直管部23を有していることにより、バルーン2を狭窄部において拡張させた際に直管部23が狭窄部と十分に接触して狭窄部の拡張乃至切開を行いやすくできる。また、後述するようにバルーン2を収縮させると羽根29が形成されるが、バルーン本体20が直管部23から離れるにつれて外径が小さくなる遠位側テーパー部24及び近位側テーパー部22を有していることにより、バルーン2を収縮させて羽根29をシャフト3に巻きつけた際に、遠位側テーパー部24及び近位側テーパー部22において突出部60をバルーン2の羽根29から露出させることができ、この露出した突出部60により、バルーン2の収縮時においても狭窄部を切開することができる。
【0054】
図2及び
図3に示すように、バルーン2が有する突出部60とは、バルーン2の拡張状態においてバルーン本体20の外面よりも径方向bの外方に突出している部分である。径方向bの断面において突出部60がバルーン本体20の外面よりも径方向bの外方に突出している最大長さは、バルーン本体20の膜厚の1.2倍以上であることが好ましく、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上であり、また100倍以下、50倍以下、30倍以下、或いは10倍以下であることも許容される。これにより、突出部60により狭窄部に適度な深さの切り込みを入れやすくなり、切開が容易となる。また、このような突出部60により、バルーン2の強度を向上したり加圧時のバルーン2の過拡張を抑制したりすることが可能となる。
【0055】
バルーン2の周方向cにおける突出部60の数は、1つであってもよいし、
図3に示すように複数であってもよい。バルーン2が周方向cに複数の突出部60を有している場合は、複数の突出部60が周方向cに離隔していることが好ましく、周方向cに等間隔に配されることがより好ましい。離隔距離は、突出部60の最大周長よりも長いことが好ましい。突出部60が周方向cに離隔して、好ましくは等間隔に配されることにより、バルーン2の固定や狭窄部の切開が行いやすくなる。
【0056】
図3に示すように、突出部60は、バルーン本体20の径方向bの断面において先端部61を有している。先端部61により、狭窄部に切り込みを入れやすくなるため、血管内膜の解離を防ぎながら狭窄部を切開することができる。先端部61は、突出部60がバルーン本体20の外面よりも径方向bの外方に最も突出している部分であり、
図3に示したような鋭角を有する形状を有していてもよいし、鈍角を有する形状、曲線からなる形状、又は平坦な形状を有していてもよい。切り込みの入れやすさの点からは、鋭角を有する形状を有していることが好ましい。突出部60の径方向bの断面における形状は任意であってよく、
図3に示したような略三角形であってもよく、また、多角形、扇型、楔形、凸字形、紡錘形等であってもよい。
【0057】
図3~
図5に示すように、バルーン2の収縮状態はバルーン2の内部から流体が排出された後又はバルーン2の内部に流体を供する前の状態であり、バルーン2の収縮状態においてはバルーン本体20の内面がシャフト3に近接する部分と羽根29とが形成されている。言い換えると、
図3に示すように、拡張状態のバルーン2は、収縮状態において羽根29を形成する羽根形成部28を有している。
図3~
図5に示した態様は、シャフト3が外側チューブ31と内側チューブ32を有している態様であり、バルーン2は収縮状態においてバルーン本体20の内面が内側チューブ32に近接する部分を有している。遠位側テーパー部24及び近位側テーパー部22がそれぞれ遠位側及び近位側にいくに従って漸次縮径されている場合は、径方向bの断面における羽根29の径方向bの長さもそれぞれ遠位側及び近位側にいくに従って漸次短くなり、遠位側テーパー部24の遠位側部分及び近位側テーパー部22の近位側部分では羽根29が形成されないこともある。遠位側テーパー部24の遠位端部及び近位側テーパー部22の近位端部では、羽根29が形成されていないことが好ましい。遠位側テーパー部24の遠位端部分及び近位側テーパー部22の近位端部分において羽根29が形成されなければ、当該部分において突出部60が羽根29に阻害されることなく体腔壁に当接することができ、狭窄部の切開を行うことが可能となる。
【0058】
図3~
図5では、羽根29が3枚の態様を示しているが、バルーン2が折り畳める限り羽根29の数は特に制限されず、例えば2枚以上が好ましく、3枚以上がより好ましく、4枚以上或いは5枚以上であってもよい。羽根29の数の下限が上記範囲であれば、折り畳み時に突出部60を覆いつつバルーン2の径を小さくして体腔内の挿通を良好とすることができる。また、羽根29は例えば10枚以下が好ましく、8枚以下がより好ましく、6枚以下がさらに好ましい。羽根29の数の上限が上記範囲であれば、径の大きなバルーン2であっても容易に折り畳むことができる。羽根29の数の範囲を上記範囲とすることで、遠位側テーパー部24及び近位側テーパー部22において突出部60の羽根29に覆われる部分の大きさを調整することができる。
【0059】
バルーン本体20を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等のポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ラテックスゴム等の天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂が好適に用いられる。特に、バルーン本体20の薄膜化や柔軟性の点からエラストマー樹脂を用いることが好ましい。例えば、ポリアミド系樹脂の中では、ナイロン12、ナイロン11等がバルーン本体20を構成する樹脂として好適であり、ブロー成形する際に比較的容易に成形可能である点から、ナイロン12がより好適である。また、バルーン本体20の薄膜化や柔軟性の点から、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリアミドエーテルエラストマー等のポリアミドエラストマーが好ましく用いられる。中でも、降伏強度が高く、バルーン本体20の寸法安定性を良好とする点から、ポリエーテルエステルアミドエラストマーが好ましく用いられる。
【0060】
突出部60は、バルーン本体20と同一材料から構成されていることが好ましい。突出部60がバルーン本体20と同一材料から構成されていれば、バルーン2の柔軟性を維持しながら、突出部60がバルーン本体20の外面を傷付けにくくすることができる。バルーン本体20と突出部60は、一体成形されていることが好ましい。これにより、バルーン本体20からの突出部60の脱落を防ぐことができる。
【0061】
シャフト3を構成する材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、シャフト3を構成する材料は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びフッ素系樹脂の少なくとも1つであることが好ましい。これにより、シャフト3の表面の滑り性を高め、バルーンカテーテル1の体腔内での挿通性を向上させることができる。
【0062】
バルーン2とシャフト3との接合は、接着剤による接着、溶着、バルーン2の端部とシャフト3とが重なっている箇所にリング状部材を取り付けてかしめること等が挙げられる。中でも、バルーン2とシャフト3は、溶着によって接合されていることが好ましい。バルーン2とシャフト3が溶着されていることにより、バルーン2を繰り返し拡張及び収縮させてもバルーン2とシャフト3との接合が解除されにくく、バルーン2とシャフト3との接合強度を容易に高めることができる。
【0063】
図1に示すように、バルーンカテーテル1において、シャフト3の近位側にはハブ4が設けられていてもよく、ハブ4には、バルーン2の内部に供給される流体の流路と連通した流体注入部7が設けられていてもよい。また、ハブ4は、ガイドワイヤの挿通路と連通したガイドワイヤ挿通部5を有することが好ましい。バルーンカテーテル1が流体注入部7とガイドワイヤ挿通部5を備えるハブ4を有していることにより、バルーン2の内部に流体を供給してバルーン2を拡張及び収縮させる操作や、ガイドワイヤに沿ってバルーンカテーテル1を治療部位まで送達する操作を容易に行うことができる。
図1に示したようにガイドワイヤがシャフト3の遠位側から近位側にわたって挿通される所謂オーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルのみならず、本発明の実施形態に係るバルーン2は、シャフトの遠位側から近位側に至る途中までガイドワイヤを挿通する所謂ラピッドエクスチェンジ型のバルーンカテーテルにも適用することができる。
【0064】
シャフト3とハブ4との接合は、例えば、接着剤による接着、溶着等が挙げられる。中でも、シャフト3とハブ4は、接着により接合されていることが好ましい。シャフト3とハブ4とが接着されていることにより、例えば、シャフト3は柔軟性の高い材料から構成され、ハブ4は剛性の高い材料から構成されている等、シャフト3を構成する材料とハブ4を構成する材料とが異なっている場合に、シャフト3とハブ4との接合強度を高めてバルーンカテーテル1の耐久性を高めることができる。
【符号の説明】
【0065】
1:バルーンカテーテル
2:バルーン
3:シャフト
4:ハブ
5:ガイドワイヤ挿通部
7:流体注入部
20:バルーン本体
22:近位側テーパー部
23:直管部
24:遠位側テーパー部
28:羽根形成部
29:羽根
31:外側チューブ
32:内側チューブ
41:突出部形成領域
42:突出部非形成領域
43:境界部
60:突出部
61:先端部
62:凹部
64:凹部内面
70:親水性コーティング層
a:長手軸方向
b:径方向
c:周方向