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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070391
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230512BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20230512BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230512BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230512BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230512BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/92
A61K8/891
A61K8/9789
A61K8/81
A61Q19/00
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182533
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】村上 大
(72)【発明者】
【氏名】寺田 奈莉子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD151
4C083AD152
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】低温での伸びおよび高温での厚み感に優れ、短時間での重ね塗りによる使用感の差異がなく、安定性の高い水中油型乳化化粧料の提供。
【解決手段】(A)炭素数が16~22の偶数炭素数を有する1価アルコールを0.2~5質量%、(B)炭素数が15~23の奇数炭素数を有する1価アルコールを0.0005~0.1質量%、(C)ステアリン酸グリセリルを0.2~5質量%、(D)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.1~4質量%、(E)液状油を3~40質量%および水を含有する水中油型乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)および水を含有する水中油型乳化化粧料。
(A)炭素数が16~22の偶数炭素数を有する1価アルコールを0.2~5質量%
(B)炭素数が15~23の奇数炭素数を有する1価アルコールを0.0005~0.1質量%
(C)ステアリン酸グリセリルを0.2~5質量%
(D)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.1~4質量%
(E)液状油を3~40質量%
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔や身体等の肌の保湿に用いられる水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
肌荒れを防ぐ目的で、肌のバリア機能を向上させる乳化化粧料が使用されており、その中でも水中油型乳化化粧料は使用時の油膜感のなさのために好まれている。
水中油型乳化化粧料は様々な温度環境下で使用されているため、低温および高温環境下における優れた保存安定性(以下単に「安定性」と表記する。)が求められる。例えば、特許文献1には、平均アルキル鎖長18以上の高級アルコール、長鎖アシルスルホン酸塩型陰イオン性界面活性剤、分子量400以下の極性油分、および水を含有するクリーム組成物が開示されており、かかるクリーム組成物は高温から低温まで幅広い温度域において安定性が良好で、肌の上で伸びが良いことが記載されている。しかし、水中油型乳化化粧料は、低温環境下と高温環境下とで使用感の差異が小さいことが好ましいが、低温保管により伸びが低下することが課題であった。
【0003】
この課題を解決するために、特許文献2には、平均分子量が800~3000の炭化水素油、炭素数10~24の高級アルコール、融点が30~55℃の固形油、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの共重合体を含有する水中油型乳化皮膚化粧料が開示されており、この皮膚化粧料は、ベタツキ感や、きしみ感がなく、塗布時に厚みを感じることができ、伸びが良く、低温下においても優れた使用感を有することが記載されている。
【0004】
また、水中油型乳化化粧料は高温保管により厚み感が低下することも課題であり、高温における優れた厚み感を有する水中油型乳化化粧料が望まれていた。
さらに、最近は手指をアルコール等で消毒する機会が増えており、手指の消毒の度に水中油型乳化化粧料を重ね塗りする場合には、手指の消毒を頻繁に行うと短時間の間に水中油型乳化化粧料を重ね塗りすることになるため、このような場合にも重ね塗りの前後で使用感の差異がないことが求められていた。しかし、短時間の間に水中油型乳化化粧料を重ね塗りすると、重ね塗りの際にべたつき感やきしみ感を感じることがあり、短時間での重ね塗りによる使用感の差異がない水中油型乳化化粧料が望まれていた。
【0005】
以上のように、低温での伸びおよび高温での厚み感に優れ、短時間での重ね塗りによる使用感の差異がなく、安定性の高い水中油型乳化化粧料は未だ開発されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-44866号公報
【特許文献2】特開2020-100607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の現状に鑑み、低温での伸びおよび高温での厚み感に優れ、短時間での重ね塗りによる使用感の差異がなく、安定性の高い水中油型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の成分を選択し、その配合割合を特定範囲とすることによって、所期の作用効果を奏する水中油型乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)および水を含有する水中油型乳化化粧料である。
(A)炭素数が16~22の偶数炭素数を有する1価アルコールを0.2~5質量%
(B)炭素数が15~23の奇数炭素数を有する1価アルコールを0.0005~0.1質量%
(C)ステアリン酸グリセリルを0.2~5質量%
(D)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.1~4質量%
(E)液状油を3~40質量%
【発明の効果】
【0009】
本発明の水中油型乳化化粧料によれば、低温での伸びおよび高温での厚み感に優れ、短時間での重ね塗りによる使用感の差異がなく、安定性が高いという効果が得られる。
なお、本明細書において「低温」は0~10℃を表し、「高温」は30~40℃を表し、「短時間」は10分以内を表す。
また「肌」は顔面を含む頭部、頚部、胴部、腕部および脚部などの身体における体表面を表し、皮膚と同義である。
「伸び」、「厚み感」および「使用感」は、いずれも試料を肌に塗布し、指または手にて試料を肌の上で拡げたときの感触であり、教育および訓練を受けたパネラー(以下単に「パネラー」と表記する。)により主観的に評価することができる。
「伸び」は肌上での試料の拡がり易さの感触である。「厚み感」は、指または手と肌との間における試料の厚みの感触である。「使用感」は「べたつき感」および「きしみ感」よりなる群から選ばれる少なくとも1種の感覚を意味する。「べたつき感」は、肌の上に試料が残る感触の残液感と、指または手が肌に貼り付く感触の粘着感を含む。「きしみ感」とは、試料を肌の上で拡げたときに受ける引っかかる感触(抵抗感)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の水中油型乳化化粧料は、下記の成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)および水を少なくとも含有する。以下、各成分について説明する。
なお、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は2以上、5以下を表す。
【0011】
<成分(A):炭素数が16~22の偶数炭素数を有する1価アルコール>
本発明で用いられる成分(A)は、炭素数が16~22の偶数炭素数を有する1価アルコールであり、25℃で流動性を有しない固体状である。成分(A)は分岐や不飽和結合を有しない直鎖状の飽和アルコールであることが好ましい。
成分(A)として具体的には、例えば、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。特に高温での厚み感や安定性の点から、ベヘニルアルコールが好ましい。成分(A)として、上記1価アルコールの中から選ばれる1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0012】
成分(A)の含有量は、水中油型乳化化粧料の全体量に対して、0.2~5質量%であり、好ましくは0.4~4質量%、より好ましくは0.5~3.5質量%、特に好ましくは1~3質量%である。成分(A)の含有量が少なすぎる場合には、高温での厚み感が十分ではなく、安定性が低下することがあり、成分(A)の含有量が多すぎる場合には、低温での伸びが十分ではなく、短時間での重ね塗りによる使用感の差異が生じることがある。
【0013】
<成分(B):炭素数が15~23の奇数炭素数を有する1価アルコール>
本発明で用いられる成分(B)は、炭素数が15~23の奇数炭素数を有する1価アルコールであり、25℃で流動性を有しない固体状である。成分(B)は分岐や不飽和結合を有しない直鎖状の飽和アルコールであることが好ましい。
成分(B)として具体的には、例えば、ペンタデカノール、ヘプタデカノール、トリコサノール等が挙げられる。特に低温での伸びや重ね塗りした際の使用感の差異がない点から、トリコサノールが好ましい。成分(B)として、上記1価アルコールの中から選ばれる1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
成分(B)の含有量は、水中油型乳化化粧料の全体量に対して、0.0005~0.1質量%であり、好ましくは0.001~0.08質量%、より好ましくは0.005~0.05質量%、特に好ましくは0.008~0.03質量%である。成分(B)の含有量が少なすぎる場合には、低温での伸びが十分ではなく、重ね塗りした際の使用感の差異があり、安定性が低下することがあり、成分(B)の含有量が多すぎる場合には、配合量に見合った効果が見られず、経済的に不利になることがあり、場合によっては、低温での伸びが十分ではなく、短時間での重ね塗りによる使用感に差異が生じることがある。
【0015】
成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比(A)/(B)は、好ましくは10~5000、より好ましくは15~3000、さらに好ましくは20~1000、特に好ましくは25~500である。
【0016】
<成分(C):ステアリン酸グリセリル>
本発明に用いられる成分(C)は、ステアリン酸グリセリルである。ステアリン酸グリセリルはグリセリンとステアリン酸のモノエステルである。
成分(C)の含有量は、水中油型乳化化粧料の全体量に対して、0.2~5質量%であり、好ましくは0.4~4質量%、より好ましくは0.5~3.5質量%、特に好ましくは1~3質量%である。成分(C)の含有量が少なすぎる場合には、高温での厚み感が不十分となったり、安定性が低下したりすることがあり、成分(C)の含有量が多すぎる場合には、低温での伸びが不十分となることがある。
【0017】
<成分(D):ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル>
本発明に用いられる成分(D)は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。このエステルを形成する脂肪酸は、炭素数が12~18であることが好ましく、飽和または不飽和のいずれでも良い。このエステルにおけるエチレンオキシド付加モル数は10~40が好ましく、15~30がより好ましい。
成分(D)としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルなどが挙げられ、好ましくはポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルである。成分(D)として、上記エステルの中から選ばれる1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
成分(D)の含有量は、水中油型乳化化粧料の全体量に対して、0.1~4質量%であり、好ましくは0.2~3質量%、より好ましくは0.3~2.5質量%、特に好ましくは0.5~2質量%である。成分(D)の含有量が少なすぎる場合には、短時間での重ね塗りによる使用感に差異が生じることがあり、成分(D)の含有量が多すぎる場合には、高温での厚み感が不十分となることがある。
【0019】
<成分(E):液状油>
本発明で用いられる成分(E)は、化粧品、医薬品などに通常用いられる25℃で液体状の油、即ち25℃で流動性を有する液状油であり、極性油および非極性油よりなる群から選ばれる。極性油としては、トリグリセライド(植物油)(例えば、オリーブ油)、エステル油(例えば、エチルヘキサン酸セチル)が挙げられる。非極性油としては、炭化水素油(例えば、水添ポリイソブテン)、シリコーン油(例えば、ジメチコン)等が挙げられる。成分(E)として、上記極性油および非極性油の中から選ばれる1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができ、特に、1種または2種以上の極性油と、1種または2種以上の非極性油とを組み合わせて使用することが好ましい。
【0020】
成分(E)の含有量は、水中油型乳化化粧料の全体量に対して、3~40質量%であり、好ましくは4~30質量%、より好ましくは5~20質量%、特に好ましくは8~15質量%である。成分(E)の含有量が少なすぎる場合には、低温での伸びが不十分となることがあり、成分(E)の含有量が多すぎる場合には、短時間での重ね塗りによる使用感に差異が生じることがある。
成分(E)として極性油と非極性油とを組み合わせて使用する場合、極性油と非極性油の配合比(極性油:非極性油)は、好ましくは10:1~1:2、より好ましくは8:1~1:1、特に好ましくは6:1~2:1である。
【0021】
<水>
本発明の水中油型乳化化粧料は、上記(A)~(E)の各成分の他に水を含有する。水としては、脱イオン水、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
水の含有量は、上記(A)~(E)の各成分との合計含有量が、水中油型乳化化粧料の全体量に対して、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80~100質量%、特に好ましくは85~99質量%となるように適宜設定される。
【0022】
<その他の添加成分>
本発明の水中油型乳化化粧料は、上記の成分(A)~成分(E)および水の他にも、化粧品に使われる一般的な成分を添加成分としてさらに含有していてもよい。
その他の添加成分としては、例えば、脂肪酸、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、色素、香料、顔料等が挙げられる。その他の添加成分の含有量は、水中油型乳化化粧料の全体量に対して、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明の水中油型乳化化粧料は公知の方法により製造することができる。例えば、成分(A)としての偶数飽和脂肪族アルコール、成分(B)としての奇数飽和脂肪族アルコール、成分(C)としてのステアリン酸グリセリル、成分(D)としてのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、成分(E)としての液状油、および水などを混合し、加熱して均一に混合させた後、これを室温付近まで攪拌冷却して、本発明の水中油型乳化化粧料を製造することができる。
【実施例0024】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1~13、比較例1~2>
表1(実施例1~13)および表2(比較例1~2)に示す水中油型乳化化粧料を公知の方法により調製し、下記の方法により評価した。
なお、表1および表2において、各成分の数値は乳化化粧料の全体量に対する含有量(質量%)を示す。また、(A)/(B)は成分(B)に対する成分(A)の含有量比を示す。
【0025】
原料は以下のものを使用した。
〔成分(A)〕
・セタノール(1-ヘキサデカノール、炭素数16の直鎖状飽和アルコール):試薬特級グレード(東京化成工業(株)製)
・ステアリルアルコール(1-オクタデカノール、炭素数18の直鎖状飽和アルコール):試薬特級グレード(東京化成工業(株)製)
・ベヘニアルコール(1-ドコサノール、炭素数22の直鎖状飽和アルコール):試薬特級グレード(東京化成工業(株)製)
〔成分(B)〕
・ペンタデカノール(1-ペンタデカノール、炭素数15の直鎖状飽和アルコール):試薬特級グレード(東京化成工業(株)製)
・ヘプタデカノール(1-ヘプタデカノール、炭素数17の直鎖状飽和アルコール):試薬特級グレード(東京化成工業(株)製)
・トリコサノール(1-トリコサノール、炭素数23の直鎖状飽和アルコール):試薬特級グレード(東京化成工業(株)製)
〔成分(C)〕
・ステアリン酸グリセリル:モノグリMB(日油(株)製)
〔成分(D)〕
・ポリソルベート60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル(エチレンオキシド付加モル数20、脂肪酸の炭素数18の飽和脂肪酸エステル)):ノニオンST-60(日油(株)製)
・ポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エステル(エチレンオキシド付加モル数20、炭素数18の不飽和脂肪酸エステル)):ノニオンOT-80(日油(株)製)
〔成分(E)〕
(極性油)
・オリーブ油:精製オリーブ油(日油(株)製)
・エチルヘキサン酸セチル:サラコス816(日清オイリオグループ(株))
(非極性油)
・水添ポリイソブテン:パールリーム6(日油(株)製)
・ジメチコン:KF-96A 20CS(信越化学工業(株)製)
【0026】
<評価方法>
(1)低温での伸びの評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、ハンドソープで手を洗った後、5℃で保管しておいた水中油型乳化化粧料0.2gを指先にとり、手の甲に塗布した時の伸びについて、下記基準で評価を行った。
2点:伸びが非常に良いと感じた場合。
1点:伸びがやや良いと感じた場合。
0点:伸びが悪いと感じた場合。
【0027】
(2)高温での厚み感の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、ハンドソープで手を洗った後、35℃で保管しておいた水中油型乳化化粧料0.2gを指先にとり、手の甲に塗布した時の厚み感について、下記基準で評価を行った。
2点:厚みが非常にあると感じた場合。
1点:厚みがややあると感じた場合。
0点:厚みがないと感じた場合。
【0028】
(3)短時間での重ね塗りによる使用感の差異の評価
25歳から55歳までの女性20名をパネラーとし、ハンドソープで手を洗った後、25℃で保管しておいた水中油型乳化化粧料0.2gを指先にとり、手の甲に塗布した。5分後、25℃で保管しておいた水中油型乳化化粧料0.2gを指先にとり、手の甲に再び塗布した。1回目の塗布時の使用感と2回目の塗布時の使用感との差異について、下記基準で評価を行った。
2点:べたつき感やきしみ感にほとんど違いがないと感じた場合。
1点:べたつき感やきしみ感にあまり違いがないと感じた場合。
0点:べたつき感やきしみ感に違いがあると感じた場合。
【0029】
上記(1)~(3)の各評価について下記の基準で判定して、表1および表2にそれぞれ示した。なお、「◎」および「○」を合格と判定した。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が30点以上、35点未満
△:合計点が20点以上、30点未満
×:合計点が20点未満
【0030】
(4)安定性の評価
5℃および40℃でそれぞれ1ヶ月間静置保存した後の状態を確認し、下記のように安定性を判定した。
○:分離や析出物がみられなかった。
×:分離や析出物がみられた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
実施例1~13の水中油型乳化化粧料は、いずれも、低温での伸びおよび高温での厚み感に優れ、重ね塗りした際の使用感の差異がなく、安定性が良好であった。
これに対して、比較例1~2では、十分な性能が得られていない。
比較例1は、成分(B)の含有量が多すぎるので、低温での伸びが不十分であった。
比較例2は、成分(B)が含有されていないので、低温での伸びが不十分であり、短時間での重ね塗りによる使用感に差異があった。
【0034】
<実施例14>
下記に示す配合処方により水中油型乳化化粧料を調製し、上記実施例と同様に評価を行った。
(A)セタノール 1質量%
(A)ステアリルアルコール 1質量%
(A)ベヘニルアルコール 1質量%
(B)ペンタデカノール 0.01質量%
(B)ヘプタデカノール 0.01質量%
(B)トリコサノール 0.01質量%
(C)ステアリン酸グリセリル 2質量%
(D)ポリソルベート60 0.5質量%
(D)ポリソルベート80 0.5質量%
(E)オリーブ油 2質量%
(E)エチルヘキサン酸セチル 2質量%
(E)水添ポリイソブテン 2質量%
(E)ジメチコン 2質量%
水 68質量%
(その他の添加成分)
グリセリン 6質量%
ジプロピレングリコール 6質量%
ペンチレングリコール 2質量%
ミリスチン酸ミリスチル 1質量%
シア脂 1質量%
ステアリン酸PEG-75 1質量%
カルボキシビニルポリマー 0.1質量%
アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.1質量%
アルギニン 0.07質量%
トコフェロール 0.1質量%
エチルヘキシルグリセリン 0.1質量%
フェノキエシエタノール 0.3質量%
香料 0.1質量%
ポリクオタニウム-51 0.1質量%
合計配合量 100質量%
【0035】
実施例14の水中油型乳化化粧料は、低温での伸びおよび高温での厚み感に優れ、短時間での重ね塗りによる使用感の差異がなく、安定性が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の水中油型乳化化粧料は、連続相を水とするものであり、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の各種剤型にすることができ、スキンケア乳液、スキンケアクリーム等のスキンケア化粧料;ファンデーション等のメイクアップ化粧料;日焼け止め乳液等の紫外線防御化粧料として利用することができる。