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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023070412
(43)【公開日】2023-05-19
(54)【発明の名称】取付金具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20230512BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20230512BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20230512BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
H02S20/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021182572
(22)【出願日】2021-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】513256675
【氏名又は名称】ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】竹山 正樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 祥一
(72)【発明者】
【氏名】二田 大輔
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】 太陽光発電パネルを太陽光発電パネル設置用架台に取り付ける際の作業性に優れた取付金具を提供する。
【解決手段】 太陽光発電パネル5を架台6の桟材7に取り付けるための取付金具10であって、締結部材1と、桟材7に当接可能な桟材当接部21と締結部材1を挿通可能な貫通孔22とが設けられたクランプ部材2と、太陽光発電パネル5の外周を取り囲むフレーム51に当接可能なフレーム当接部31と締結部材1を挿通して螺合可能な締結孔32とが設けられたクランプナット部材3と、を備える。締結部材1はクランプ部材2の下側から挿通可能であるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネルを架台の桟材に取り付けるための取付金具であって、
締結部材と、
前記桟材に当接可能な桟材当接部と前記締結部材を挿通可能な貫通孔とが設けられたクランプ部材と、
前記太陽光発電パネルの外周を取り囲むフレームに当接可能なフレーム当接部と前記締結部材を挿通して螺合可能な締結孔とが設けられたクランプナット部材と、を備え、
前記締結部材が前記クランプ部材の下側から挿通可能であるように構成されていることを特徴とする取付金具。
【請求項2】
前記桟材当接部は、前記桟材の上部において外側に向かって延設された上フランジ部に下側から当接可能であり、
前記フレーム当接部は、前記フレームに上側から当接可能であることを特徴とする請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
隣接する2つの前記太陽光発電パネルをそれぞれ第一太陽光発電パネル及び第二太陽光発電パネルと定義するとき、
前記クランプナット部材は、前記第一太陽光発電パネルの前記フレームの側面に当接可能な第一当接部と、前記第二太陽光発電パネルの前記フレームの側面に当接可能な第二当接部とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の取付金具。
【請求項4】
隣接する2つの前記太陽光発電パネルをそれぞれ第一太陽光発電パネル及び第二太陽光発電パネルと定義するとき、
前記フレーム当接部は、前記第一太陽光発電パネルの前記フレーム又は前記第二太陽光発電パネルの前記フレームのいずれかのみに当接可能であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の取付金具。
【請求項5】
前記クランプナット部材は、前記締結孔が設けられた第一平面部と、前記第一平面部の一方の端部から垂直上方向に延びる第一垂直部と、前記第一平面部の他方の端部から垂直下方向に延びる第二垂直部と、前記第一垂直部の上端部から前記第一平面部が延びる方向とは反対の水平方向に延びる第二平面部とを有し、
前記第二平面部が前記フレーム当接部を、前記第一垂直部が前記第一当接部を、前記第二垂直部が前記第二当接部を、それぞれ構成していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の取付金具。
【請求項6】
前記第一平面部と前記第一垂直部との角部を第一角部、前記第一平面部と前記第二垂直部との角部を第二角部と定義するとき、
前記第一角部及び前記第二角部が面取りされていることを特徴とする請求項5に記載の取付金具。
【請求項7】
前記第一垂直部と前記第二垂直部との離隔よりなる対向平面を定義するとき、
前記クランプナット部材は、該クランプナット部材を傾けることにより、該クランプナット部材の全体が前記対向平面で隔離された空間内に収まる形状を有することを特徴とする請求項6に記載の取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルを太陽光発電パネル設置用架台に取り付ける際に用いられる取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの太陽光発電パネルは、複数枚配列したセルを樹脂や強化ガラスなどで挟み、外周を金属製のフレームで補強した構造となっている。このような太陽光発電パネルは、地盤に打設された支持杭の上部に井桁状に組まれた桟材を連結した構造からなる太陽光発電パネル設置用架台に取り付けて使用される。
【0003】
このような太陽光発電パネルを太陽光発電パネル設置用架台に取り付ける際には、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されているように、太陽光発電パネルのフレームを架台の桟材に向かって上方から押さえ付けるように固定するクランプ固定式の取付金具が一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-132120号公報
【特許文献2】特開2018-064331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のクランプ固定式の取付金具は、桟材の真上に位置させて用いることを前提とした構造になっている。例えば、特許文献1の取付金具は、桟材の上面中央軸上に設けられた溝にボルトの頭を通して上からナット締めすることにより、太陽光発電パネルを架台の桟材に固定する構造となっている。特許文献2の取付金具は、桟材の上面中央軸上に設けられた溝にクランプナットを通して上からボルト締めすることにより、太陽光発電パネルを架台の桟材に固定する構造となっている。しかし、このような取付金具を用いた固定方法では必然的に太陽光発電パネル側から作業を行う必要があるため、架台の桟材側から取り付け作業をすることができない。そのため、例えば営農型ソーラーのような高さ寸法の大きい架台へ太陽光発電パネルを取り付ける場合には高い足場を組む等する必要が生じてしまい、取り付け作業の効率が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、太陽光発電パネルを太陽光発電パネル設置用架台に取り付ける際の作業性に優れた取付金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、太陽光発電パネルを架台の桟材に取り付けるための取付金具であって、締結部材と、前記桟材に当接可能な桟材当接部と前記締結部材を挿通可能な貫通孔とが設けられたクランプ部材と、前記太陽光発電パネルの外周を取り囲むフレームに当接可能なフレーム当接部と前記締結部材を挿通して螺合可能な締結孔とが設けられたクランプナット部材と、を備え、前記締結部材が前記クランプ部材の下側から挿通されるように構成されていることを特徴とする取付金具を提供する(発明1)。
【0008】
かかる発明(発明1)によれば、クランプ部材の桟材当接部を桟材に当接させ、かつ、クランプナット部材のフレーム当接部を太陽光発電パネルのフレームに当接させた上で、桟材側から締結部材を挿通させて締結する作業を行うことができる。そのため、例えば営農型ソーラーのような背の高い架台へ太陽光発電パネルを取り付ける場合であっても、架台の桟材側から締結作業を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記桟材当接部は、前記桟材の上部において外側に向かって延設された上フランジ部に下側から当接可能であり、前記フレーム当接部は、前記フレームに上側から当接可能であることが好ましい(発明2)。
【0010】
かかる発明(発明2)によれば、桟材側から締結部材を挿通させて締結する作業を確実かつ容易に行うことができる。
【0011】
上記発明(発明1,2)においては、隣接する2つの前記太陽光発電パネルをそれぞれ第一太陽光発電パネル及び第二太陽光発電パネルと定義するとき、前記クランプナット部材は、前記第一太陽光発電パネルの前記フレームの側面に当接可能な第一当接部と、前記第二太陽光発電パネルの前記フレームの側面に当接可能な第二当接部とを有していることが好ましい(発明3)。
【0012】
かかる発明(発明3)によれば、隣接する2つの太陽光発電パネルの間隔を適切に確保できる。
【0013】
上記発明(発明1-3)においては、隣接する2つの前記太陽光発電パネルをそれぞれ第一太陽光発電パネル及び第二太陽光発電パネルと定義するとき、前記フレーム当接部は、前記第一太陽光発電パネルの前記フレーム又は前記第二太陽光発電パネルの前記フレームのいずれかのみに当接可能であることが好ましい(発明4)。
【0014】
かかる発明(発明4)によれば、隣接する太陽光発電パネルが存在しない端部の太陽光発電パネルにも、同じように取付金具を使用することができる。そのため、端部の太陽光発電パネル専用の取付金具を別途用意する必要がない。また、従来のパネルクランプのように、隣接する2つの太陽光発電パネルのうちの一方を交換する際に、もう一方を一緒に取り外す必要がない。そのため、作業効率を向上させることができる。
【0015】
上記発明(発明1-4)においては、前記クランプナット部材は、前記締結孔が設けられた第一平面部と、前記第一平面部の一方の端部から垂直上方向に延びる第一垂直部と、前記第一平面部の他方の端部から垂直下方向に延びる第二垂直部と、前記第一垂直部の上端部から前記第一平面部が延びる方向とは反対の水平方向に延びる第二平面部とを有し、前記第二平面部が前記フレーム当接部を、前記第一垂直部が前記第一当接部を、前記第二垂直部が前記第二当接部を、それぞれ構成していることが好ましい(発明5)。
【0016】
かかる発明(発明5)によれば、太陽光発電パネルを架台の桟材に安定的に取り付けることができる。
【0017】
上記発明(発明1-5)においては、前記第一平面部と前記第一垂直部との角部を第一角部、前記第一平面部と前記第二垂直部との角部を第二角部と定義するとき、前記第一角部及び前記第二角部が面取りされていることが好ましい(発明6)。
【0018】
かかる発明(発明6)によれば、取付金具を傾けることによって、第一当接部と第二当接部との水平距離が縮まるので、取付金具を隣接する2つの太陽光発電パネルの間に挿入しやすい。
【0019】
上記発明(発明6)においては、前記第一垂直部と前記第二垂直部との離隔よりなる対向平面を定義するとき、前記クランプナット部材は、該クランプナット部材を傾けることにより、該クランプナット部材の全体が前記対向平面で隔離された空間内に収まる形状を有していることが好ましい(発明7)。
【0020】
かかる発明(発明7)によれば、第一太陽光発電パネルと第二太陽光発電パネルとの間からクランプナット部材を下方に抜いたり、下方から挿入したりすることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る取付金具によれば、クランプ部材の桟材当接部を桟材に当接させ、かつ、クランプナット部材のフレーム当接部を太陽光発電パネルのフレームに当接させた上で、桟材側から締結部材を挿通させて締結する作業を行うことができる。そのため、例えば営農型ソーラーのような背の高い架台へ太陽光発電パネルを取り付ける場合であっても、架台の桟材側から締結作業を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。このように、本発明に係る取付金具は、太陽光発電パネルを太陽光発電パネル設置用架台に取り付ける際の作業性に極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る取付金具を示す分解斜視図である。
図2図1の取付金具を示す斜視図である。
図3図1の取付金具を用いて太陽光発電パネルを架台に取り付けた状態を示す拡大斜視図である。
図4A図1の取付金具の平面図である。
図4B図1の取付金具の底面図である。
図4C図1の取付金具の側面図である。
図4D図1の取付金具の背面側からの斜視図である。
図5図1の取付金具を用いた太陽光発電パネルの取り付け方法を示す側面図であって、(a)は取付金具を2つの太陽光発電パネルの間に挿入している状態、(b)は取付金具の挿入がさらに進んだ状態、(c)は取付金具を取り付けた状態を示している。
図6図1の取付金具を用いた太陽光発電パネルの取り付け方法及び取り外し方法を示す斜視図であって、(a)は1段目の太陽光発電パネルを取り付けた状態、(b)は2段目の太陽光発電パネルを取り付けた状態、(c)は全ての太陽光発電パネルを取り付けた状態、(d)は1つの太陽光発電パネルのみを取り外した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る取付金具の実施の形態について、適宜図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0024】
〔取付金具〕
図1は、本発明の一実施形態に係る取付金具10を示す分解斜視図である。図2は、取付金具10を示す斜視図である。図4Aから図4Dはそれぞれ、取付金具10の平面図、底面図、側面図、及び背面側からの斜視図である。取付金具10は、太陽光発電パネル5(以下、単に「パネル5」という。)を太陽光発電パネル設置用架台6(以下、単に「架台6」という。)の桟材7に取り付けるために用いられる。
【0025】
取付金具10は、締結部材1、クランプ部材2、及びクランプナット部材3を備える。クランプ部材2には、桟材7に当接可能な桟材当接部21、及び締結部材1を挿通可能な貫通孔22が設けられている。クランプナット部材3には、パネル5の外周を取り囲むフレーム51に当接可能なフレーム当接部31、及び締結部材1を挿通して螺合可能な締結孔32が設けられている。締結部材1は、クランプ部材2の下側から挿通可能であるように構成されている。
【0026】
図3は、取付金具10を用いてパネル5を架台6に取り付けた状態を示す拡大斜視図である。クランプ部材2の下側から締結部材1をクランプ部材2の貫通孔22とクランプナット部材3の締結孔32とを挿通して締結孔32に螺合することにより、パネル5を桟材7に取り付けることができる。具体的には、締結部材1を締結することにより、クランプナット部材3のフレーム当接部31によってフレーム51が下方に押し下げられる。これにより、フレーム51及び桟材7がフレーム当接部31と桟材当接部21との間に挟まれて固定される。
【0027】
(締結部材)
締結部材1は、クランプ部材2の下側から、クランプ部材2の貫通孔22とクランプナット部材3の締結孔32とを挿通して締結孔32に螺合可能であれば、その構造は特に限定されない。締結部材1の一例は、ボルトである。図1では、締結部材1がボルトである場合を示している。図1において、締結部材1は、ステンレス鋼製のいわゆる六角穴付ボルトであり、外周面にネジ山が形成された円柱形状の軸部11、及び円柱形状の頭部12を有している。軸部11外周面には、ネジ山が形成されている。頭部12には、六角形状の穴が形成されている。
【0028】
(クランプ部材)
クランプ部材2は、平面視略矩形状のプレート形状を有している。桟材当接部21は、桟材7の上部において外側に向かって延設された上フランジ部71に下側から当接可能であるよう構成されている。図3に示すように、桟材7の上フランジ部71がその先端に略下側に向かって延設された反し部72を有している場合、桟材当接部21は、反し部7に嵌合する嵌合溝211を有していてもよい。本実施形態において、桟材当接部21は嵌合溝211を有している。嵌合溝211は、クランプ部材2の一辺に沿って設けられている。貫通孔22は、平面視正円形を有する。貫通孔22は、クランプ部材2の平面視中央を基準として桟材当接部21に近い側に設けられている。
【0029】
クランプ部材2の材料は特に限定されない。本実施形態において、クランプ部材2はアルミニウム合金製である。クランプ部材2は、架台6へのパネル5の取付金具としての使用に十分な強度及び耐久性等が確保できれば、ステンレス鋼等他の金属製であってもよい。
【0030】
クランプ部材2は、その上部に平面視において対向するように配置された立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bを有していてもよい。立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bは、それぞれクランプ部材2の上面からクランプナット部材3側に立ち上げて形成されている。各立ち上がり部44a,44bは、四辺形状の立ち上がりベース部及び複数の三角形状の尖端部とから構成されている。この場合、クランプ部材2は、導電性を有する金属製であることが好ましい。立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bによれば、取付金具10を用いてパネル5を桟材7に取り付けた際に、立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bがパネル5のフレーム51の裏側に押し付けられてフレーム51表面の絶縁層を傷つけることにより、パネル5とクランプ部材2とを導通させることができる。このように、立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bがアースプレートの役割を果たすので、別途アースプレートを設ける必要がない。
【0031】
立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bは、クランプ部材2とクランプナット部材3との間に挟設可能な別部材、すなわち、アースプレートによって構成されていてもよい。本実施形態において、立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bは、アースプレート4によって構成されている。アースプレート4は、導電性を有する金属薄板を型抜及び折曲加工して製造される。アースプレート4の材質は導電性を有する金属であればよく、加工容易性や耐候性も考慮して鉄合金材料、めっき鋼板、ステンレス材料等を用いることが望ましい。
【0032】
アースプレート4は矩形平板状の基部41を有し、基部41の両端部にはクランプ部材2の両端部に係合する係合部42が、基部41の両端部を折曲して形成されている。
【0033】
アースプレート4の基部41には、締結部材1を挿通可能な正円形の貫通孔43が設けられている。貫通孔43は、基部41の平面視中央に設けられている。貫通孔43は、アースプレート4をクランプ部材2とクランプナット部材3との間に挟設した際に、クランプ部材2の貫通孔22及びクランプナット部材3の締結孔32と重なるような位置に配置されている。
【0034】
立ち上がり部44aと立ち上がり部44bは、アースプレート4の基部41において、貫通孔43と係合部42の間に平面視において対向するように配置されている。立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bは、それぞれアースプレート4の基部41の一部をアースプレート4の上面からクランプナット部材3側に立ち上げて形成されている。取付金具10を用いてパネル5を桟材7に取り付ける際、立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bがパネル5のフレーム51の裏側に押し付けられてフレーム51表面の絶縁層を傷つけることにより、パネル5とアースプレート4とが導通する。
【0035】
(クランプナット部材)
クランプナット部材3は、平面視でクランプ部材2よりも大きい幅寸法を有している。本実施形態において、幅寸法とは取付金具10をフレーム51及び桟材7に取り付けた際においてフレーム51の長手方向を意味する。すなわち、クランプナット部材3において、幅寸法とはフレーム当接部31の長手方向を意味する。締結孔32は、平面視正円形を有し、クランプナット部材3の平面視中央に設けられている。締結孔32の内周面には締結部材1としてのボルトの軸部11外周面に形成されているネジ山に対応する形状のネジ山が形成されている。このような構造であることにより、取付金具10をフレーム51及び桟材7に取り付けた際に、クランプナット部材3は、平面視でクランプ部材2よりも桟材7の中央に向かって突出した突出部39を有する。突出部39とクランプ部材2とによって桟材7の上フランジ部71を上下から挟みこむことで、パネル5を安定的に固定することができる。
【0036】
クランプナット部材3において、フレーム当接部31は、フレーム5に上側から当接可能であるよう構成されている。
【0037】
ここで、図5に示すように、隣接する2つのパネル5をそれぞれ第一パネル5a及び第二パネル5bと定義する。このとき、クランプナット部材3は、第一パネル5aのフレーム51aの側面に当接可能な第一当接部33、及び第二パネル5bのフレーム51bの側面に当接可能な第二当接部34を有している。第一当接部33及び第二当接部34は、平面形状を有している。第一当接部33及び第二当接部34によって、隣接する第一パネル5aと第二パネル5bとの間隔を適切に確保できる。
【0038】
フレーム当接部31は、第一パネル5aのフレーム51a又は第二パネル5bのフレーム51bのいずれかのみに当接可能であるよう構成されている。このような構造であることにより、隣接するパネル5が存在しない端部のパネル5にも同じように取付金具10を使用することができるので、端部のパネル5専用の取付金具を別途用意する必要がない。また、従来のパネルクランプのように、隣接する2つのパネル5のうちの一方のパネル5を交換する際に、もう一方のパネル5を一緒に取り外す必要がないので、作業効率を向上させることができる。
【0039】
クランプナット部材3は、第一平面部35、第一垂直部36、第二垂直部37、及び第二平面部38を有する。第一平面部35には、締結孔32が設けられている。第一垂直部36は、第一平面部35の一方の端部351から垂直上方向に延びている。第二垂直部37は、第一平面部35の他方の端部352から垂直下方向に延びている。第二平面部38は、第一垂直部36の上端部361から第一平面部35が延びる方向とは反対の水平方向に延びている。第二平面部38がフレーム当接部31を構成している。第一垂直部36が第一当接部33を構成している。第二垂直部37が第二当接部34を構成している。
【0040】
第一平面部35と第一垂直部36との角部を第一角部、第一平面部35と第二垂直部37との角部を第二角部と定義する。第一角部は端部351に、第二角部は端部352にそれぞれ対応している。第一角部及び前記第二角部は面取りされている。図5は、取付金具10を用いたパネル5の取り付け方法を示す側面図であって、(a)は取付金具10を隣接する2つのパネル5a及び5bの間に挿入している状態、(b)は取付金具10の挿入がさらに進んだ状態、(c)は取付金具10を取り付けた状態を示している。図5に示すように、第一角部及び前記第二角部が面取りされていると、取付金具10を傾けることによって、第一当接部33と第二当接部34との水平距離が縮まるので、取付金具10を隣接する2つのパネル5a及び5bの間に挿入しやすい。また、第一垂直部36と第二垂直部37との離隔よりなる対向平面を定義するとき、クランプナット部材3は、クランプナット部材3を傾けることにより、クランプナット部材3の全体が対向平面で隔離された空間内に収まる形状を有している。そのため、図5(a)に示すように、クランプナット部材3を傾けることにより、クランプナット部材3の全体が第一パネル5aと第二パネル5bとの間に収まるため、第一パネル5aと第二パネル5bとの間からクランプナット部材3を下方に抜いたり、下方から挿入したりすることが可能となる。
【0041】
取付金具10は、クランプ部材2とクランプナット部材3とが締結部材1によって締結されるとき、桟材当接部21が設けられているクランプ部材2の一辺と、フレーム当接部31が設けられているクランプナット部材3の一辺とが、平面視において直交する構造になっている。これにより、本実施形態の取付金具10は、架台6の桟材7とパネル5のフレーム51とを交差させるように配置した状態で、その交差位置を取付位置として用いることに適した形状となっている。
【0042】
〔取付金具のよる取り付け方法〕
以上説明した取付金具10を用いてパネル5(第一パネル5a及び第二パネル5b)を架台6の桟材7に取り付ける方法を、さらに図6を参照しながら説明する。
【0043】
パネル5は、複数枚配列したセルを樹脂や強化ガラスなどで挟み、外周をアルミニウム合金製のフレーム51で補強した構造となっている。フレーム51は、美観の劣化を防止するために表面に絶縁性のアルマイト処理が施されている。
【0044】
架台6は、地盤に打設された支持杭の上部に井桁状に組まれた桟材7を連結した構造を有する。井桁状に組まれた複数の桟材7のうち、上側に位置する上桟と呼ばれる桟材を桟材75と定義し、下側に位置する桟材と呼ばれる桟材を桟材76と定義する。桟材75の上面にパネル5が取り付けられる。
【0045】
図6(a)に示すように、架台6の桟材75の上面に第一パネル5aを載置したとき、第一パネル5aのフレーム51aと桟材75とが交差する位置が取付金具10を用いる取付位置となる。第二パネル5b及びそれ以降のパネルについても同様である。図6(a)及び(b)では、第一パネル5aにおける取付位置を実線の丸で、第二パネル5bにおける取付位置を破線の丸で示している。
【0046】
まず、図6(a)に示すように、桟材75の上面に第一パネル5aを仮締め状態で取り付ける。具体的には、桟材75の上部において外側に向かって延設された上フランジ部71の先端の返し部72に、クランプ部材2の桟材当接部21の嵌合溝211を嵌合させることにより、クランプ部材2を桟材75に噛み合わせる。
【0047】
この状態で、クランプナット部材3をフレーム当接部31がフレーム51aの上面に当接するように配置し、締結部材1を仮締めする(図5(c)参照)。ここで、クランプナット部材3を配置する際に、第一当接部33及び第二当接部34がそれぞれ隣接する第一パネル5a及び第二パネル5bのフレーム51a、51bの側面に当接するように配置する。
【0048】
パネル5の複数個所を桟材75に取り付ける場合は、各取付位置において同様の作業を行い、複数の取付金具10を用いて第一パネル5aを桟材75に仮締め状態で取り付ける。
【0049】
全ての取付金具10を仮締めしたら、順番に一つずつ所定のトルクで締結部材1としてのボルトを締め付けて、第一パネル5aを桟材75に固定していく。このとき、フレーム51aの下面に当接している立ち上がり部43a,43bがフレーム51aに押し付けられていくことにより絶縁性アルマイト層を傷つけ、架台6に取り付けられる複数のパネル5同士が導通する。
【0050】
次に、図6(b)に示すように、第一パネル5aと同様の方法で、桟材75の上面に第二パネル5bを取り付ける。ただし、クランプナット部材3を配置する際に、第一当接部33及び第二当接部34がそれぞれ隣接する第二パネル5b及び第一パネル5aのフレーム51b、51aの側面に当接するように配置する。
【0051】
同様にして、図6(c)に示すように、複数のパネル5を桟材75に取り付ける。
【0052】
図6(d)は、1つのパネル5のみを取り外した状態を示している。このように、取付金具10では、フレーム当接部31が隣り合う2つのパネル5のいずれかのみに当接可能であるよう構成されているので、従来のパネルクランプのように、隣接する2つのパネル5のうちの一方のパネル5を交換する際に、もう一方のパネル5を一緒に取り外す必要がない。また、取付金具10は、隣接するパネル5が存在しない端部のパネル5にも同じように使用することができるので、端部のパネル5専用の取付金具を別途用意する必要がない。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の取付金具10によれば、クランプ部材2の桟材当接部21を桟材75に当接させ、かつ、クランプナット部材3のフレーム当接部31をパネル5のフレーム51に当接させた上で、桟材75側から締結部材1を挿通させて締結する作業を行うことができる。そのため、例えば営農型ソーラーのような背の高い架台6へパネル5を取り付ける場合であっても、桟材75側から締結作業を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。このように、取付金具10は、パネル5を架台6に取り付ける際の作業性に極めて優れている。
【0054】
また、本実施形態の取付金具1によれば、クランプ部材3を桟材75に対してピンポイントではなく幅のある領域で嵌合させることができるとともに、クランプナット部材3をフレーム51に対してピンポイントではなく幅のある領域で当接させてフレーム51を挟持することができる。そのため、パネル5を架台6に安定的に取り付けることができる。
【0055】
端部のパネル5では、取付位置には最大2つの取付金具10を用いることができる。具体的には、取付金具10が用いられている位置に加え、図3に示すように、桟材75の反対側の「P」で示す位置にも取付金具10を用いることができる。なお、この場合、取付金具10は、図1から図4に示した構造とは、桟材75の長手方向中心線を通る垂直平面を対称面とする対称構造を有することはいうまでもない。2つの取付金具10を用いてパネル5を桟材75に取り付けることにより、取り付け強度を高めることができるため、積雪などの高荷重や強風に対する耐久性を高めることができる。
【0056】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0057】
取付金具10は、アースプレート4を用いずに他の部材を用いて導通してもよい。また、立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bの形状は、取付金具10全体の形状に応じて適宜変更することができる。また、立ち上がり部44a及び立ち上がり部44bのような立ち上がり部を設けることなく、取付金具10に導通機能を付与しない構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る取付金具は、太陽光発電パネルを太陽光発電パネル設置用架台に取り付ける際の作業性向上に極めて有効である。
【符号の説明】
【0059】
10 取付金具
1 締結部材
11 軸部
12 頭部
2 クランプ部材
21 桟材当接部
211 嵌合溝
22 貫通孔
3 クランプナット部材
31 フレーム当接部
32 締結孔
33 第一当接部
34 第二当接部
35 第一平面部
351,352 端部
36 第一垂直部
37 第二垂直部
38 第二平面部
39 突出部
4 アースプレート
41 基部
42 係合部
43 貫通孔
44a,44b 立ち上がり部
5 パネル
51 フレーム
6 架台
7 桟材
71 上フランジ部
72 反し部
75 桟材(上桟)
76 桟材(下桟)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6